JP2019177812A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】シートに吸い込まれる風量を確保して乗員の快適性を向上させながら、着座感を良好にする【解決手段】車両用シートは、シート表皮材11と、通気性を有する通気パッド材12と、空気通路を有するクッション材14と、送風機15とを備えている。通気パッド材12は、車両用シートにおいて乗員を支持する領域から、乗員が接触しない、または乗員が弱く接触する領域にかけて連続して設けられている。【選択図】図3
Description
本発明は、例えば自動車等に搭載される車両用シートに関し、特にシートの内部に空気通路を設ける構造の技術分野に属する。
従来より、自動車に搭載される車両用シートの内部に空気通路を設けることによってシート表面に気流を形成する構造が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に開示されている車両用シートは、表皮材に覆われたシートパッドと、シートパッドを裏側から支持する支持パネルと、支持パネルの裏側に配設される送風機とを有している。シートパッドには、乗員の着座面に開口する複数の通気孔が前後方向及び左右方向に互いに間隔をあけて形成されている。支持パネルには、各通気孔に連通する通気溝が前後方向及び左右方向に延びるように形成されている。送風機は、支持パネルの中央部近傍において1つ配設されており、送風機の作動によってシートパッドの通気孔から空気を吸い込み、通気孔から吸い込まれた空気が支持パネルの通気溝を流れてシートの下方に吹き出すようになっている。
特許文献2に開示されている車両用シートは、乗員の着座面に開口する複数の吸込口が前後方向や左右方向に互いに間隔をあけて形成されたシート座部を備えている。このシート座部の内部には、送風機収容部が設けられている。この送風機収容部に収容された1つの送風機が作動することにより、吸込孔から空気を吸い込み、吸込孔から吸い込まれた空気がシートの座面以外の方向に吹き出すようになっている。
また、特許文献1、2では、空気を着座面から吹き出すように制御する形態も開示されている。
ところで、特許文献1には、複数の通気孔がシートパッドの前後方向及び左右方向に互いに間隔をあけて形成されているが、これら通気孔と乗員の各部位との位置関係について具体的な開示はない。
また、特許文献1では、シートパッドにおける乗員の着座面となる面に通気孔が開口しているので、乗員が着座した際に通気孔の内と外とで面圧が異なることになり、乗員の着座感が悪化する懸念がある。この点については、特許文献2においても同様であり、吸込口が乗員の着座面に開口している場合には、乗員の着座感が悪化する懸念がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、風量を確保して乗員の快適性を向上させながら、着座感を良好にすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る車両用シートは、通気性を持たせたシート表皮材と、前記シート表皮材の裏側に配置され、通気性を有する通気パッド材と、前記シート表皮材により覆われた状態で前記通気パッド材を前記シート表皮材とは反対側から支持するとともに、前記通気パッド材における前記シート表皮材とは反対側の面から前記車両用シートの着座面以外の部分まで延びる空気通路を有するクッション材と、前記空気通路内の空気を前記車両用シートの着座面以外の部分から排出する送風機とを備え、前記通気パッド材は、前記車両用シートにおいて乗員を支持する第1領域から、前記車両用シートにおいて乗員が接触しない、または乗員が前記第1領域よりも弱く接触する第2領域にかけて連続して設けられている。
この構成によれば、乗員が車両用シートに着座すると、乗員の各部位がシート表皮材の通気性を有する部分に対応するように位置する。この乗員の各部位は、シート表皮材の通気性を有する部分、通気パッド材及びクッション材を介して支持される。通気パッド材は空気を通過するようになっているので、通気パッド材には従来例のような通気のための貫通孔を形成する必要が無くなる。これにより、乗員の着座感が良好になる。
そして、送風機が作動すると、クッション材の空気通路内に、シート表皮材側から車両用シートの着座面以外の部分へ向けて流れる空気の流れが形成されて該空気が排出される。このとき、通気パッド材は、車両用シートにおいて乗員を支持する第1領域から乗員が接触しない、または弱く接触する第2領域にかけて連続しているので、乗員を支持する部分だけでなく、接触していない部分や弱く接触している部分からも空気が吸い込まれることになり、空気が吸い込まれる範囲が拡大する。このことに加えて、乗員が接触していない部分や弱く接触している部分では、乗員を支持する部分に比べて空気が通りやすくなっており、これにより、空気の流量が多くなる。特に冷房時には、空調風が乗員の冷却部位近傍に向けて流れるような気流が形成されるので、このことにより乗員の冷却部位の冷却が促進される。さらに、空気通路内の空気は記車両用シートの着座面以外の部分から排出されるので、冷却部位近傍には相対的に低温低湿度の空気が供給されて乗員に冷涼感を与える。また、室内が冷房されている場合には、空調風が乗員の冷却部位近傍に向けて流れるような気流が形成されるので、このことにより乗員の冷却部位の冷却が促進される。
本発明の第2の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左大腿部に対応する部位から右大腿部に対応する部位まで連続して設けられている。
この構成によれば、乗員の汗腺が集中し、かつ温冷感の感度が高い大腿部を冷却することができる。
本発明の第3の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左大腿部に対応する部位から股に対応する部位を経て右大腿部に対応する部位まで連続して設けられている。
この構成によれば、温冷感の感度が高い股及びその近傍を冷却することができる。
本発明の第4の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の後端部は、乗員の尻による着座圧が作用する部分近傍に配置されている。
この構成によれば、乗員の体のうちシートと密着することで高温多湿となり冷涼感が不足する部位を冷却することができる。
本発明の第5の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左肩胛骨に対応する部位から右肩胛骨に対応する部位まで連続して設けられている。
本発明の第6の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の肩に対応する部位から背中に対応する部位まで連続して設けられている。
この構成によれば、乗員の背中のうちシートと密着し高温多湿となる部位を集中的に冷却することができる。
本発明の第7の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の肩に対応する部位から背中に対応する部位を経て腰に対応する部位まで連続して設けられている。
本発明の第8の側面に係る車両用シートは、前記空気通路は、三次元構造体によって形成された空間と前記クッション材の内部に形成された空間との少なくとも一方またはこれらの組み合わせによって構成される。
本発明の第9の側面に係る車両用シートは、前記三次元構造体の密度は、前記クッション材の密度と同等である。
この構成によれば、三次元構造体によって空気通路を構成する場合に、三次元構造体とクッション材とが同等な密度であることから、乗員の着座感が良好になる。
本発明の第10の側面に係る車両用シートは、前記通気パッド材は、前記シート表皮材側に開口する貫通孔を有さず、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm2・s以上の通気性を有する部材で構成されている。
この構成によれば、通気パッド材におけるシート表皮材側に開口する貫通孔が無いので、乗員の着座感が良好になる。そして、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm2・s以上の通気性を有する通気パッド材とすることで、通気パッド材の通気抵抗が少なくなり、小型の送風機であっても十分な風量を確保することが可能になる。
本発明の第11の側面に係る車両用シートは、前記通気パッド材と前記クッション材との間に、該通気パッド材及び該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている。
この構成によれば、通気パッド材を通過する空気がクッション材の空気通路以外の部分に向けて流れるのが、高通気抵抗層によって抑制される。よって、冷却効率が向上する。
この構成によれば、通気パッド材を通過する空気がクッション材の空気通路以外の部分に向けて流れるのが、高通気抵抗層によって抑制される。よって、冷却効率が向上する。
前記高通気抵抗層は、例えば塗料、樹脂材、布材、クッション材よりも密度の高いスポンジ材等で構成することができる。
本発明の第12の側面に係る車両用シートは、前記クッション材の外表面のうち、乗員を支持する部分以外の面に、該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている。
この構成によれば、空気が、クッション材の外表面における乗員を支持する部分以外から空気通路に流入するのが高通気抵抗層によって抑制される。よって、冷却効率が向上する。
この構成によれば、空気が、クッション材の外表面における乗員を支持する部分以外から空気通路に流入するのが高通気抵抗層によって抑制される。よって、冷却効率が向上する。
前記高通気抵抗層は、例えば塗料、樹脂材、布材、クッション材よりも密度の高いスポンジ材等で構成することができる。
本発明の第13の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分には、多数の小孔が該シート表皮材を貫通するように形成されている。
この構成によれば、簡単な構成でもってシート表皮材の通気性を確実に高めることができる。
この構成によれば、簡単な構成でもってシート表皮材の通気性を確実に高めることができる。
本発明の第14の側面に係る車両用シートは、前記送風機は、前記クッション材の内部に収容され、前記クッション材には、前記送風機の吐出側から前記車両用シートの着座面以外の部位に向けて延びて当該部位に開口する空気排出通路が設けられている。
この構成によれば、送風機をクッション材の内部に収容することで省スペース化を図ることができる。
本発明によれば、乗員を指示する部分だけでなく、乗員が接触していない部分や弱く接触している部分からも広い範囲で空気を吸い込むことができるので、風量を確保して乗員の快適性を向上させることができ、しかも、部位による面圧の相違を小さくして着座感を良好にすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用シート1を備えた自動車の室内(車室内)Rの一部を示す側面図である。以下の説明において、「前」とは車両前後方向の前側であり、「後」とは車両前後方向の後側であり、「左」とは車両左右方向の左側であり、「右」とは車両左右方向の右側である。
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用シート1を備えた自動車の室内(車室内)Rの一部を示す側面図である。以下の説明において、「前」とは車両前後方向の前側であり、「後」とは車両前後方向の後側であり、「左」とは車両左右方向の左側であり、「右」とは車両左右方向の右側である。
室内Rのフロアパネル100には、車両用シート1がスライド装置101を介して取り付けられている。室内Rの前端部には、図示しない計器類を有するインストルメントパネル102が配設されている。インストルメントパネル102の運転席側には、ステアリングコラム103が後側へ突出するように設けられている。ステアリングコラム103の後端部には、ステアリングホイール104が乗員Aと正対するように設けられている。
スライド装置101は、フロアパネル100に固定された前後方向に延びるレール部材101aと、車両用シート1の下部に固定され、レール部材101aによって前後方向に案内される被案内部材101bと、被案内部材101bをレール部材101aに対して所望位置で固定するロック部材(図示せず)とを備えている。
(車両用シート1の全体構成)
この実施形態で説明する車両用シート1は、運転席を構成するものであるが、本発明は助手席を構成するシートや、後席を構成するシートに適用することもできる。また、左右方向に複数人が並んで着座可能に構成された、いわゆるベンチシートに本発明を適用することもできる。
この実施形態で説明する車両用シート1は、運転席を構成するものであるが、本発明は助手席を構成するシートや、後席を構成するシートに適用することもできる。また、左右方向に複数人が並んで着座可能に構成された、いわゆるベンチシートに本発明を適用することもできる。
車両用シート1は、シートクッション部10と、シートバック部20と、リクライニング機構30と、ヘッドレスト40とを備えている。シートクッション部10は、シート座部とも呼ぶことができるものであり、乗員Aの主に尻から大腿部を下方から支持するように構成されている。シートクッション部10の下面に、スライド装置101の被案内部材101bが固定されている。シートバック部20は、シート背もたれ部とも呼ぶことができるものであり、乗員Aの主に腰、背中、肩胛骨周り、肩を後方から支持するように構成されている。シートクッション部10の後端部と、シートバック部20の下端部とは、リクライニング機構30を介して連結されている。リクライニング機構30は、シートバック部20をシートクッション部10に対して左右方向に延びる水平軸周りに揺動可能にする機構であり、従来から周知のものである。リクライニング機構30によってシートバック部20のシートクッション部10に対する角度を変更し、任意の角度でシートバック部20を固定することができるようになっている。また、ヘッドレスト40は、シートバック部20の上端部に設けられている。ヘッドレスト40とシートバック部20とは一体成形されていてもよい。
乗員Aの乗車姿勢は、スライド装置101による車両用シート1の前後位置の調整と、リクライニング機構30によるシートバック部20の角度調整の他、図示しないが、車両用シート1の昇降装置や、シートクッション部10の傾動装置等によって変更することができる。尚、各調整機構は必須なものではなく、いずれか1つまたは複数を省略したシートであってもよい。
以下の説明では、乗員Aが平均的な身長及び体重の成人(男性、女性)である場合を想定し、その乗員Aの乗車姿勢が標準的な乗車姿勢(例えば図1に示す姿勢)、即ち、運転者であれば安全上、支障のない乗車姿勢、助手席乗員や後席乗員であれば、一般的な乗車姿勢である場合を想定しており、例えば腰を前へずらして寝そべったような乗車姿勢等は除外する。
車両用シート1は、後述するように、乗員Aの所定の冷却部位を冷却するための気流を形成することができるように構成されたシートであり、ベンチレーション機能付きシート、あるいはベンチレーションシート等と呼ぶこともできる。乗員Aの所定の冷却部位とは、乗員Aとシート1の間で温度および湿度が上昇しやすく、乗員Aの温冷感が悪化しやすい部位とすることができる。「温冷感が悪化しやすい」とは、温度および湿度によって人が不快に感じるようになりやすいということである。つまり、冷却部位とは、乗員Aとシート1が密着することで高温多湿となりやすい部位や、加温されているか冷却されているかを感じ易い部位であるということができる。乗員Aの所定の冷却部位は、具体的には、乗員Aの大腿部の裏側の部位、大腿部の裏側から内股部にかけての部位、尻から大腿部の裏側にかけての部位、肩胛骨周りの部位、背中、腰部等を挙げることができる。
(シートクッション部10の構成)
図3に示すように、シートクッション部10は、シート表皮材11と、クッション部通気パッド材12と、クッション材14と、前側クッション部ファン(送風機)15と、後側クッション部ファン(送風機)16とを少なくとも備えている。
図3に示すように、シートクッション部10は、シート表皮材11と、クッション部通気パッド材12と、クッション材14と、前側クッション部ファン(送風機)15と、後側クッション部ファン(送風機)16とを少なくとも備えている。
シート表皮材11は、一部または全部に通気性を持たせた部材であり、例えば、合成繊維、天然繊維、合成皮革、天然皮革等のいずれか1つまたは複数を組み合わせて構成することができる。シートクッション部10における乗員Aの冷却部位は、図3に示す乗員Aの左右の大腿部A1、A2の裏側の部位及び股である。シート表皮材11の通気性を持たせた部分、即ち通気部11aは、乗員Aの左大腿部A1に対応する部位から右大腿部A2に対応する部位まで連続して設けられている。通気部11aは、乗員Aの左大腿部A1に対応する部位から股に対応する部位を経て右大腿部A2に対応する部位まで連続して広い範囲に設けることができる。
図4に通気部11aの断面を拡大して示すように、通気部11aは、多数のピンホール状の小孔11cがシート表皮材11を貫通するように形成された部分である。小孔11cの形成によって所望の通気性を確保する手法は従来から周知のものであり、その径は従来から形成されている小孔の径と同程度にすることができる。小孔11cの形成は必須ではなく、例えば合成繊維、天然繊維の場合には、通気部11aのみメッシュ状にするとか、網目を粗くする等の手法によって所望の通気性を確保することができる。
図3に示すように、通気部11aの左右方向中央部は、乗員Aの股の下に対応するように配置されている。通気部11aの左縁部B1は乗員Aの左大腿部A1の左端部よりも右に配置され、また、通気部11aの右縁部B2は乗員Aの右大腿部A1の右端部よりも右に配置される。これにより、通気部11aの左右方向の寸法(幅W1)は、乗員Aの左大腿部A1の左端部と右大腿部A1の右端部との間隔よりも広くなる。通気部11aの幅W1は、乗員Aの左大腿部A1の左端部と右大腿部A1の右端部との間隔と同じか、それ以下であってもよい。
図2に示すように、通気部11aの前端部B5は、シートクッション部10の前端部よりも後に位置している。通気部11aの後端部B6は、乗員Aの尻A3(図6に示す)による着座圧が最も高い部分、または尻A3による着座圧が最も高い部分よりも後に配置されている。乗員Aの尻A3による着座圧が最も高い部分は、例えば尾骨の直下とすることができ、この実施形態では、通気部11aの後端部B6が乗員Aの尾骨よりも後に位置することになる。尚、通気部11aの後端部B6は、乗員Aの尾骨の直下としてもよい。
シートクッション部10の上面において乗員Aの着座圧が高い領域は、乗員Aの臀部に対応する領域(尾骨の直下領域)と、左大腿部A1及び右大腿部A1の付け根に対応する領域であり、これら領域は、車両用シート1において乗員Aを支持する第1領域となる。一方、図3に示すように、シートクッション部10の上面において左大腿部A1と右大腿部A1との間で股の直下の領域は、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。またシートクッション部10の上面において左大腿部A1と右大腿部A1との間でかつ股よりも前の領域も、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。またシートクッション部10の上面において左大腿部A1の左側方の領域、及び右大腿部A2の右側方の領域も、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。さらに、図6に示すように、左大腿部A1及び右大腿部A1の膝に近い部分は、シートクッション部10の上面に僅かに接触するか、殆ど接触しない部分となる。よって、シートクッション部10の上面において左大腿部A1及び右大腿部A1の膝に近い部分に対応する領域も、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。この実施形態では、シート表皮材11の通気部11aが第1領域から第2領域に亘って連続して設けられることになる。
図3に示すように、クッション部通気パッド材12は、シート表皮材11の裏側において前記第1領域から第2領域に亘って連続して設けられており、通気性を有するクッション材である。すなわち、クッション部通気パッド材12は、前記通気部11aと同様に、乗員Aの左大腿部A1に対応する部位から右大腿部A2に対応する部位まで連続して設けることができ、また乗員Aの左大腿部A1に対応する部位から股に対応する部位を経て右大腿部A2に対応する部位まで連続して広い範囲に設けることができる。クッション部通気パッド材12の左端部は通気部11aの左端部B1と同じ位置にすることができ、またクッション部通気パッド材12の右端部は通気部11aの右端部B2と同じ位置にすることができる。
さらに、クッション部通気パッド材12の前端部は通気部11aの前端部B5と同じ位置にすることができ、シートクッション部10の前端部よりも後に位置している。クッション部通気パッド材12の後端部は、通気部11aの後端部B6と同じ位置にすることができ、乗員Aの尻A3(図6に示す)による着座圧が最も高い部分よりも後に配置されている。クッション部通気パッド材12の各端部と、通気部11aの各端部とは完全に同じ位置にしなくてもよい。
クッション部通気パッド材12は、シート表皮材11側に開口する貫通孔を有さず、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm2・s以上の通気性を有する部材で構成されている。ここで、シート表皮材11側に開口する貫通孔とは、乗員Aがシートクッション部10に着座したときに、貫通孔の内と外とで面圧が異なることを乗員が感じる程度の大きさの開口を持つ貫通孔のことである。例えば直径が数mm以下の開口であれば、クッション部通気パッド材12のシート表皮材11側に開口していてもよい。
フラジール法で使用する試験機は、例えばJIS L 1096で規定されているフラジール型通気性試験機を使用することができ、JIS L 1096に準拠する方法で試験を行うことができる。その結果、厚さ3cmのとき200cc/cm2・s以上の通気性を有する部材をクッション部通気パッド材12として用いることができる。クッション部通気パッド材12の通気性は、厚さ3cmのときフラジール法で300cc/cm2・s以上とすることができ、また厚さ3cmのときフラジール法で400cc/cm2・s以上とすることができ、さらに、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm2・s以上500cc/cm2・s以下の範囲とすることができる。
クッション部通気パッド材12の厚みは、シート表皮材11の厚みよりも厚く設定されており、例えば1cm以上、3cm以上または5cm以上に設定することができる。クッション部通気パッド材12の厚みの上限は、特に限定されないが、例えば10cm以下にすることができる。
クッション材14は、例えば発泡ウレタン等で構成されており、シート表皮材11により覆われた状態で、クッション部通気パッド材12をシート表皮材11とは反対側(下側)から支持する弾性材である。尚、図示しないがクッション材14の内部には、クッション材14の形状を維持するとともに乗員Aの体重を支える金属製のフレームが設けられており、このフレームにスライド装置101の被案内部材101bが固定されるとともに、リクライニング機構30が固定されている。
クッション材14の上部は、クッション部通気パッド材12が嵌まるように形成されている。クッション部通気パッド材12がクッション材14の上部に嵌まった状態で、クッション部通気パッド材12が前後方向及び左右方向に位置ずれしないように、該クッション材14によって保持される。この状態で、クッション部通気パッド材12の上面と、クッション材14の上面とは略面一となるように各部材を形成することができる。
クッション材14の内部には空気通路14aが形成されている。空気通路14aは、クッション部通気パッド材12におけるシート表皮材11とは反対側の面(下面)からシートクッション部10の裏側(車両用シート1の着座面以外の部分)にかけて延びる通路であり、この実施形態では、シートクッション部10の下面に開口している。空気通路14aが上下方向に延びていることで、空気の流れの主流は、上下方向に直線状に形成されることになる。
空気通路14aは、上述したようにクッション材14の内部に形成された空間で構成することができるが、これに限らず、例えば図示しないダクトのような形状を有する三次元構造体、立体構造物等によって構成することもできる。また、空気通路14aは、クッション材14の内部に形成された空間と、上記三次元構造体の内部に形成された空間とを組み合わせて構成することもできる。上記三次元構造体は、例えば発泡ウレタン等で形成することができ、この場合、三次元構造体の密度は、クッション材14の密度と同等にすることができる。発泡体で三次元構造体を作成する場合、密度を発泡倍率で置き換えて表現することもできる。密度を同等にすることで、三次元構造体がクッション材14に埋め込まれた状態であっても着座感を良好にすることができる。
図2に示す前側クッション部ファン15は、空気通路14a内に、シート表皮材11側からシートクッション部10の裏側へ向けて流れる空気の流れを形成して該空気通路14a内の空気をシートクッション部10の外部へ排出するためのものであり、シートクッション部10の前側に配設されている。また、後側クッション部ファン16も空気通路14a内に、シート表皮材11側からシートクッション部10の裏側へ向けて流れる空気の流れを形成して該空気通路14a内の空気をシートクッション部10の外部へ排出するためのものであり、前側クッション部ファン15から後側に離れた所に配設されている。前側クッション部ファン15及び後側クッション部ファン16を設けることで、各ファン15、16を小型化しながら、十分な風量を得ることができる。
尚、この実施形態では、前側クッション部ファン15及び後側クッション部ファン16の2つのファンを設けているが、これに限らず、図示しないが、1つのファンであってもよいし、3つ以上のファンを設けてもよい。またファンは左右に並べて設けてもよい。
(シートバック部20の構成)
図2及び図5に示すように、シートバック部20は、シート表皮材21と、バック部通気パッド材22と、クッション材24と、バック部ファン(送風機)25とを少なくとも備えている。シート表皮材21は、シートクッション部10のシート表皮材11と同様な部材とすることができ、一部または全部に通気性を持たせた部材である。シートバック部20における乗員Aの冷却部位は、図6に示すように乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6、及びそれらの周囲である。従って、シート表皮材21の通気性を持たせた部分は、乗員Aの肩胛骨近傍A4から背中A5を経て腰近傍A6にかけての部分とそれらの周囲に対応する部分であり、符号21aで示す通気部となっている。通気部21aの構成は、シートクッション部10の通気部11aと同じにすることができる。
図2及び図5に示すように、シートバック部20は、シート表皮材21と、バック部通気パッド材22と、クッション材24と、バック部ファン(送風機)25とを少なくとも備えている。シート表皮材21は、シートクッション部10のシート表皮材11と同様な部材とすることができ、一部または全部に通気性を持たせた部材である。シートバック部20における乗員Aの冷却部位は、図6に示すように乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6、及びそれらの周囲である。従って、シート表皮材21の通気性を持たせた部分は、乗員Aの肩胛骨近傍A4から背中A5を経て腰近傍A6にかけての部分とそれらの周囲に対応する部分であり、符号21aで示す通気部となっている。通気部21aの構成は、シートクッション部10の通気部11aと同じにすることができる。
図5に示すように、通気部21aの左右方向中央部は、乗員Aの背中A5の左右方向中央部に対応するように配置されている。通気部21aの左縁部B7は乗員Aの背中A5の左端部よりも左に配置され、また、通気部21aの右縁部B8は乗員Aの背中A5の右端部よりも右に配置される。これにより、通気部21aの左右方向の寸法(幅W3)は、乗員Aの背中A5の幅よりも広くなる。尚、通気部21aの幅W3は、乗員Aの背中A5の幅と同じにしてもよい。
また、通気部21aは、乗員Aの左肩胛骨に対応する部位から右肩胛骨に対応する部位まで連続して設けることができる。すなわち、図6に示すように、通気部21aの上端部B9は、乗員Aの肩胛骨近傍A4に配置されている。また、通気部21aの下端部B10は、乗員Aの腰近傍A6に配置されている。従って、通気部21aは、乗員Aの肩胛骨近傍A4から腰近傍A6までの広範囲に設けられることになる。また、通気部21aは、乗員Aの肩に対応する部位から腰に対応するまで、または肩に対応する部位から背中に対応する部位を経て腰に対応する部位まで連続して設けることができる。
バック部通気パッド材22は、クッション部通気パッド材12と同様な部材で構成することができ、通気部21aと同様に設けることができる。例えば、バック部通気パッド材22は、乗員Aの肩胛骨近傍A4から腰近傍A6の直後方に位置付けることができる。
バック部通気パッド材22の上端部と、通気部21aの上端部B9との上下方向の位置は同じとされ、またバック部通気パッド材22の下端部と、通気部21aの下端部B10との上下方向の位置は同じとされている。図5に示すように、バック部通気パッド材22の左端部と、通気部21aの左端部B7との左右方向の位置は同じとされ、またバック部通気パッド材22の右端部と、通気部21aの右端部B8との左右方向の位置は同じとされている。従って、バック部通気パッド材22も乗員Aの背中A5に対応するように設けられることになり、バック部通気パッド材22の左右方向の中央部は、乗員Aの背中A5の幅方向中央部に対応するように配置され、左右方向の幅は、乗員Aの背中A5の幅よりも広くなる。
シートバック部20の前面において乗員Aの着座圧が高い領域は、乗員Aの腰部A6に対応する領域であり、この領域は、車両用シート1において乗員Aを支持する第1領域となる。一方、シートバック部20の前面において背中A5に対応する領域は、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。またシートバック部20の前面において乗員Aの肩胛骨近傍A4に対応する領域も、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。またシートバック部20の前面において左肩の左側方の領域、及び右肩の右側方の領域も、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。さらに、脇腹は、シートバック部20の前面に僅かに接触するか、殆ど接触しない部分となり、また脇の下はシートバック部20の前面に殆ど接触しない部分となる。よって、シートバック部20の前面において脇腹及び脇の下に対応する領域も、乗員Aが前記第1領域よりも弱く接触するか、乗員Aが接触しない領域となり、第2領域となる。この実施形態では、シート表皮材21の通気部21aが第1領域から第2領域に亘って連続して設けられることになる。
クッション材24は、シートクッション部10のクッション材14と同様な部材で構成することができ、シート表皮材21により覆われた状態で、バック部通気パッド材22をシート表皮材21とは反対側(後側)から支持する弾性材である。尚、図示しないがクッション材24の内部には、クッション材24の形状を維持するとともに乗員Aを後から支える金属製のフレームが設けられており、このフレームにリクライニング機構30が固定されている。
クッション材24の前面部は、バック部通気パッド材22が嵌まるように形成されている。バック部通気パッド材22がクッション材24の前面部に嵌まった状態で、バック部通気パッド材22が上下方向及び左右方向に位置ずれしないように、該クッション材24によって保持される。この状態で、バック部通気パッド材22の前面と、クッション材24の前面とは略面一となるように各部材を形成することができる。
クッション材24の内部には、バック側空気通路24aが形成されている。バック側空気通路24aは、乗員Aの背中A5の直後方に配置され、バック部通気パッド材22におけるシート表皮材21とは反対側の面(後面)からシートバック部20の裏側(車両用シート1の着座面以外の部分)にかけて延びる通路であり、この実施形態では、シートバック部20の後面に開口している。バック側空気通路24aが前後方向に延びていることで、空気の流れの主流は、前後方向に直線状に形成されることになる。
バック側空気通路24aは、上述したようにクッション材24の内部に形成された空間で構成することができるが、これに限らず、例えば図示しないダクトのような三次元構造体によって構成することもできる。また、バック側空気通路24aは、クッション材24の内部に形成された空間と、上記三次元構造体とを組み合わせて構成することもできる。
バック部ファン25は、バック側空気通路24a内に、シート表皮材21側からシートバック部20の裏側へ向けて流れる空気の流れを形成して該バック側空気通路24a内の空気をシートバック部20の外部へ排出するためのものであり、シートバック部20の内部において略中央部に配設されている。バック部ファン25から排出された空気は、シート表皮材21を通過させることができるようになっている。
(車両用空調装置5の構成)
この自動車には、車両用空調装置5(図7に示す)が搭載されている。車両用空調装置5は、制御装置50と、空調装置スイッチ51と、冷凍サイクル装置のコンプレッサ52と、ブロアファンモータ53と、冷凍サイクル装置のエバポレータ(図示せず)と、エンジン冷却水が循環するヒータコア(図示せず)とを備えている。空調装置スイッチ51は、例えばインストルメントパネル102等に配設されており、車室内温度の設定やブロアファンモータ53の回転速度(風量)を設定するためのものである。制御装置50は、空調装置スイッチ51で設定された温度や風量となるように、コンプレッサ52やブロアファンモータ53、エアミックスダンパ(図示せず)を制御するように構成されている。エバポレータとヒータコアとが車室内に配設されており、空気がエバポレータやヒータコアを通過することによって温度調節された後、車室の各部に供給されるようになっている。
この自動車には、車両用空調装置5(図7に示す)が搭載されている。車両用空調装置5は、制御装置50と、空調装置スイッチ51と、冷凍サイクル装置のコンプレッサ52と、ブロアファンモータ53と、冷凍サイクル装置のエバポレータ(図示せず)と、エンジン冷却水が循環するヒータコア(図示せず)とを備えている。空調装置スイッチ51は、例えばインストルメントパネル102等に配設されており、車室内温度の設定やブロアファンモータ53の回転速度(風量)を設定するためのものである。制御装置50は、空調装置スイッチ51で設定された温度や風量となるように、コンプレッサ52やブロアファンモータ53、エアミックスダンパ(図示せず)を制御するように構成されている。エバポレータとヒータコアとが車室内に配設されており、空気がエバポレータやヒータコアを通過することによって温度調節された後、車室の各部に供給されるようになっている。
前側クッション部ファン15、後側クッション部ファン16及びバック部ファン25は、制御装置50に接続されており、該制御装置50によって制御される。制御装置50が冷房を行う場合に、前側クッション部ファン15、後側クッション部ファン16及びバック部ファン25を作動させるように構成されている。尚、前側クッション部ファン15、後側クッション部ファン16及びバック部ファン25は、乗員が任意に作動させるようにしてもよく、この場合は、別途、操作スイッチ(図示せず)を設ければよい。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る車両用シート1によれば、乗員Aが車両用シート1に着座すると、乗員Aの左大腿部A1と、右大腿部A2と、左大腿部A1及び右大腿部A2との間の部分がそれぞれシートクッション部10の通気部11aに対応するように位置することになる。また、乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6及びそれらの周囲がシートバック部20の通気部21aに対応するように位置することになる。
以上説明したように、この実施形態に係る車両用シート1によれば、乗員Aが車両用シート1に着座すると、乗員Aの左大腿部A1と、右大腿部A2と、左大腿部A1及び右大腿部A2との間の部分がそれぞれシートクッション部10の通気部11aに対応するように位置することになる。また、乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6及びそれらの周囲がシートバック部20の通気部21aに対応するように位置することになる。
従って、乗員Aの各部位は、シート表皮材11の通気性を有する部分11a、21a、通気パッド材12、22及びクッション材14、24を介して支持される。通気パッド材12、22は空気を通過するようになっているので、通気パッド材12、22には従来例のような通気のための貫通孔を形成する必要が無くなる。また、この通気パッド材12、22が三次元形状を有していて所定の厚みを持っているので、クッション材14、24の空気通路14a、24aの存在による面圧の相違を乗員が感じにくくなる。これにより、乗員の着座感が良好になる。
そして、前側クッション部ファン15及び後側クッション部ファン16が作動すると、クッション材14の空気通路14a内に、シート表皮材11側からシートクッション部10の裏側へ向けて流れる空気の流れが形成されて該空気が排出される。これにより、乗員Aの左大腿部A1近傍、右大腿部A2近傍及び股近傍の空気が、それぞれ、シート表皮材11の通気部11aと、クッション部通気パッド材12を通過し、その後、クッション材14の空気通路14a内に流入し、シートクッション部10の裏側へ向けて排出されるので、左大腿部A1及び右大腿部A2が直接冷却されるとともに、股の周囲も冷却される。また室内が冷房されている場合には、空調風が乗員Aの左大腿部A1近傍、右大腿部A2及び股の周囲に向けて流れるような気流が形成されるので、このことによっても乗員Aの左大腿部A1、右大腿部A2及び股の周囲が冷却される。
またクッション材14の空気通路14aは、通気パッド材12からシートクッション部10の裏側にかけて、空気の流れの主流が直線状になるように延びているので、空気通路14aに流入した空気はスムーズにシートクッション部10の裏側へ流れて排出されることになる。従って、空気の吸込から排出までの間で圧力損失が小さくなり、小型の前側クッション部ファン15及び後側クッション部ファン16であっても十分な風量を確保することが可能になる。
また、バック部ファン25が作動すると、シートバック部20のクッション材24のバック側空気通路24a内に、シート表皮材21側からシートバック部20の裏側へ向けて流れる空気の流れが形成されて該空気が排出される。これにより、乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6及びそれらの周囲の空気が、シート表皮材21の通気部21aと、バック部通気パッド材22を通過し、その後、クッション材24のバック側空気通路24a内に流入し、シートバック部20の裏側(後側)へ向けて排出されるので、肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6及びそれらの周囲が冷却される。また室内が冷房されている場合には、空調風が乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6及びそれらの周囲に向けて流れるような気流が形成されるので、このことによっても乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6及びそれらの周囲が冷却される。
シート表皮材21の通気部21aと、バック部通気パッド材22とが共に乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6に対応するように配置されているので、シート表皮材21の通気部21aを通過した空気はバック部通気パッド材22に流入しやすくなる。さらにクッション材24のバック側空気通路24aは、バック部通気パッド材22からシートバック部20の裏側にかけて、空気の流れの主流が直線状になるように延びているので、空気通路24aに流入した空気はスムーズにシートバック部20の裏側へ流れて排出されることになる。従って、空気の吸込から排出までの間で圧力損失が小さくなり、小型のバック部ファン25であっても十分な風量を確保することが可能になる。
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態2では、高通気抵抗層17を設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図8は、本発明の実施形態2に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態2では、高通気抵抗層17を設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
クッション部通気パッド材12とクッション材14との間には、該通気パッド材12及び該クッション材14よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層17が設けられている。高通気抵抗層17は、例えば塗料、樹脂材、布材、クッション材よりも密度の高いスポンジ材等で構成することができる。高通気抵抗層17は、クッション材14の空気通路14aの内面にも設けられている。
この実施形態2によれば、実施形態1の作用効果に加えて、クッション部通気パッド材12を通過する空気がクッション材14の空気通路14a以外の部分に向けて流れるのを高通気抵抗層17によって抑制することができ、その結果、冷却効率を向上させることができるという効果を奏することができる。
尚、シートバック部20も同様に、バック部通気パッド材22とクッション材24との間に高通気抵抗層(図示せず)を設けることができる。
(実施形態3)
図9は、本発明の実施形態3に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態3では、クッション材14の外表面に高通気抵抗層19を設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図9は、本発明の実施形態3に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態3では、クッション材14の外表面に高通気抵抗層19を設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
クッション材14の外表面のうち、乗員Aを支持する部分以外の面に、該クッション材14よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層19が設けられている。乗員Aを支持する部分以外の面とは、例えば左側面、右側面、前端面、後端面、下面であり、また上面であっても左縁部近傍、右縁部近傍は、乗員Aを支持する部分以外の面となり得る。高通気抵抗層19は、実施形態2の高通気抵抗層17と同様に構成することができる。
この実施形態3によれば、実施形態1の作用効果に加えて、空気が、クッション材14の外表面における乗員Aを支持する部分以外から空気通路14aに流入するのを高通気抵抗層19によって抑制することができるので、冷却効率を向上させることができる。
尚、シートバック部20も同様に、クッション材24の外表面のうち、乗員Aを支持する部分以外の面に、該クッション材24よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層(図示せず)を設けることができる。
(実施形態4)
図10及び図11は、本発明の実施形態3に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態4では、送風機をクッション材14の内部に設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図10及び図11は、本発明の実施形態3に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態4では、送風機をクッション材14の内部に設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図11に示すように、クッション部ファン15は、クッション材14の内部に収容されている。クッション材14におけるクッション部ファン15の下方には、クッション部ファン15の吐出側(下側)からシートクッション部10の下部に向けて延びて当該下部において開口する空気排出通路14cが設けられている。
空気排出通路14cは、車両前部、後部、車両左側部及び右側部の少なくとも1つの部位に向けて延びて当該部位において開口するように設けることもできる。
この実施形態4によれば、実施形態1の作用効果に加えて、クッション部ファン15をクッション材14の内部に収容することで省スペース化を図ることができる。
尚、シートバック部20も同様に空気排出通路を設けることができる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る車両用シートは、例えば自動車の室内に配設することができる。
1 車両用シート
11 シート表皮材
11a 通気部
11c 小孔
12 クッション部通気パッド材
14 クッション材
14a 空気通路
14c 空気排出通路
15 前側クッション部ファン(送風機)
16 後側クッション部ファン(送風機)
17 高通気抵抗層
18 高通気抵抗層
19 高通気抵抗層
11 シート表皮材
11a 通気部
11c 小孔
12 クッション部通気パッド材
14 クッション材
14a 空気通路
14c 空気排出通路
15 前側クッション部ファン(送風機)
16 後側クッション部ファン(送風機)
17 高通気抵抗層
18 高通気抵抗層
19 高通気抵抗層
Claims (14)
- 車両に配設される車両用シートにおいて、
前記車両用シートは、
通気性を持たせたシート表皮材と、
前記シート表皮材の裏側に配置され、通気性を有する通気パッド材と、
前記シート表皮材により覆われた状態で前記通気パッド材を前記シート表皮材とは反対側から支持するとともに、前記通気パッド材における前記シート表皮材とは反対側の面から前記車両用シートの着座面以外の部分まで延びる空気通路を有するクッション材と、
前記空気通路内の空気を前記車両用シートの着座面以外の部分から排出する送風機とを備え、
前記通気パッド材は、前記車両用シートにおいて乗員を支持する第1領域から、前記車両用シートにおいて乗員が接触しない、または乗員が前記第1領域よりも弱く接触する第2領域にかけて連続して設けられている車両用シート。 - 請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左大腿部に対応する部位から右大腿部に対応する部位まで連続して設けられている車両用シート。 - 請求項2に記載の車両用シートにおいて、
前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左大腿部に対応する部位から股に対応する部位を経て右大腿部に対応する部位まで連続して設けられている車両用シート。 - 請求項2または3に記載の車両用シートにおいて、
前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の後端部は、乗員の尻による着座圧が作用する部分近傍に配置されている車両用シート。 - 請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左肩胛骨に対応する部位から右肩胛骨に対応する部位まで連続して設けられている車両用シート。 - 請求項1から5のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の肩に対応する部位から背中に対応する部位まで連続して設けられている車両用シート。 - 請求項6に記載の車両用シートにおいて、
前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の肩に対応する部位から背中に対応する部位を経て腰に対応する部位まで連続して設けられている車両用シート。 - 請求項1から7のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記空気通路は、三次元構造体によって形成された空間と前記クッション材の内部に形成された空間との少なくとも一方またはこれらの組み合わせによって構成される車両用シート。 - 請求項8に記載の車両用シートにおいて、
前記三次元構造体の密度は、前記クッション材の密度と同等である車両用シート。 - 請求項1から9のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記通気パッド材は、前記シート表皮材側に開口する貫通孔を有さず、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm2・s以上の通気性を有する部材で構成されている車両用シート。 - 請求項1から10のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記通気パッド材と前記クッション材との間に、該通気パッド材及び該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている車両用シート。 - 請求項1から11のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記クッション材の外表面のうち、乗員を支持する部分以外の面に、該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている車両用シート。 - 請求項1から12のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記シート表皮材の通気性を持たせた部分には、多数の小孔が該シート表皮材を貫通するように形成されている車両用シート。 - 請求項1から13のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
前記送風機は、前記クッション材の内部に収容され、
前記クッション材には、前記送風機の吐出側から前記車両用シートの着座面以外の部位に向けて延びて当該部位に開口する空気排出通路が設けられている車両用シート。
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