JP2019175999A - 有機電界発光素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

有機電界発光素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い発光効率と高い駆動安定性を有し、かつ長寿命の有機電界発光素子を提供する。【解決手段】有機電界発光素子の発光層は熱活性化遅延蛍光(TADF)特性を示す有機材料、電荷輸送材料及び燐光発光材料を含み、該有機材料は、下記式(1−A)で表される化合物である。[式(1−A)中、R1及びR2は各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基を表し、Gは、別記式で表される置換基を表し、少なくとも2つのGが互いにパラ位になる位置に置換し、nは2〜5の整数を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、熱活性化遅延蛍光(TADF)特性を示す有機材料と燐光発光材料とを含む
発光層を有する有機電界発光素子、該有機電界発光素子を用いた表示装置および照明装置
に関する。
近年、有機電界発光照明(有機EL照明)や有機電界発光ディスプレイ(有機ELディ
スプレイ)など、有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」と称すこともある。)を利
用する各種電子デバイスが実用化されつつある。有機EL素子は、印加電圧が低く消費電
力が小さく、面発光であり、三原色発光も可能であることから、照明やディスプレイへの
適用が盛んに検討されている。そのためにも、有機EL素子のより一層の発光効率の改善
が求められる。
有機EL素子の発光効率の改善技術としては、例えば、ホールと電子の再結合によって
生成する一重項励起子と三重項励起子との生成比が1:3であることを利用して、有機E
L素子の発光層に燐光発光材料を利用することが提案されている。燐光発光材料としては
、例えば、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウムアセチルアセトナー
ト(Irppy(acac))や、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イ
リジウム(Ir(ppy))をはじめとしたオルトメタル化イリジウム錯体化合物が広
く知られている(非特許文献1)。
TADF発光には分子の二つの励起状態が関わり、それらの状態間のエネルギー差ΔES
Tが室温の熱エネルギーに近いことにより発光効率が高くなると考えられている。TAD
F型の発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)が、イリジウム燐光
発光素子のような高い量子効率を示すことが示されている(非特許文献2)。
発光層のホストとして発光寿命が長いTADF型材料を用いた蛍光素子や燐光素子の研
究も進んでいる。例えば、分子の三重項(T)励起状態の濃度が高くなると、衝突によ
って一重項(S)励起状態が生成する三重項−三重項消滅(Triplet-triplet Annihila
tion, TTA)が起こる。この時に、TとS状態間のエネルギー差ΔESTが室温の熱
エネルギーが近いことにより高発光効率の有機EL素子が得られることが示されている(
非特許文献3)。
また、ホスト上のTTAを抑えることで、ホストからイリジウム錯体へのエネルギーの
移動を促進し、高効率の燐光素子を得ることも報告されている(非特許文献4)。
カルバゾール基を有するヘテロ芳香族化合物は優れた正孔輸送性と電子輸送性を併せ持
ち、優れた電気的酸化還元耐久性と高い三重項励起準位を有する。この化合物を用いるこ
とで、高い発光効率と高い駆動安定性を有し、かつ長寿命の有機電界発光素子となること
が示されている(特許文献1)。
また、カルバゾール基をフェニルのパラ位置に置換した構造とすることで、分子の一重
項状態が電荷局在励起種より低いエネルギー、つまり逆変換に必要なエネルギー差が小さ
くなることで、TADF性をより強く示すことが示されている(非特許文献5)。
一方、TADF性を利用して発光層に含まれるホスト種を減らし、簡単な製造プロセス
で高効率素子を提供することも報告されている(特許文献2)。
特開2006−199679号公報 WO2016/181846
Highly Efficient OLEDs with Phosphorescent Materials、 H. Yersin編、 WILEY-VCH社, 2008年 Nature、492、234-238 Appl. Phys. Lett.、89、063504 Chemical Science, 2017, 8, 1259-1268 Science Advances, 2017, 3, e1603282
特許文献2等の様に、発光層に単一のホストを用いた場合、発光材料とエネルギー準位
の差や電荷移動遷移(Charge Transfer, CT)障碍などを生じるため、材料をマッチン
グする際に、狭い範囲内に選択しなければならない問題があった。
また、高い発光効率と高い駆動安定性を有し、かつ長寿命の有機電界発光素子としては
未だ十分なものは得られていなかった。
本発明は、高い発光効率と高い駆動安定性を有し、かつ長寿命の有機電界発光素子を提
供することを課題とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の有機材料と特定の燐
光発光材料を含む発光層を含む有機電界発光素子を用いることで、上記課題を解決できる
ことを見出した。
即ち、本発明の要旨は、下記[1]〜[7]に存する。
[1]両電極の間に少なくとも一層の発光層を含む有機電界発光素子において、前記発光層
は熱活性化遅延蛍光(TADF)特性を示す有機材料、電荷輸送材料及び燐光発光材料を
含み、
該有機材料は、下記式(1−A)で表される化合物である、有機電界発光素子。
[式(1−A)中、
及びRは各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環
基を表し、
Gは、下記式(1−a)で表される置換基を表し、少なくとも2つのGが互いにパラ位に
なる位置に置換し、
nは2〜5の整数を表す。]
[式(1−a)中、
Xは、Rで置換されていてもよい炭素原子又は窒素原子を表し、複数存在するXは同一
であっても異なっていてもよい。
は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−CN
基、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基を表し、複数存在するR
は、同一であっても異なっていてもよい。]
[2]前記燐光発光材料がイリジウム錯体である、[1]に記載の有機電界発光素子。
[3]前記電荷輸送材料が式(1−B)で表される化合物、式(1−C)で表される化合物
及び式(1−D)で表される化合物からなる群の少なくとも1つを含むものである、[1]
又は[2]に記載の有機電界発光素子。
[式(1−B)中、
Ph〜Phは、各々独立に、置換基を有していてもよい2価のベンゼン環であり、
Ar〜Arは、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数3以上30
以下の芳香環基であり、
〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1以上20以下のアルキ
ル基又は炭素数3以上30以下の芳香環基である。]
[式(1−C)中、
〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基
を表す。]
[式(1−D)中、
10〜R13は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香
環基を表す。]
[4]互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ以上有する有機電界発光デバイス
において、[1]乃至[3]のいずれか1に記載の有機電界発光素子を1つ以上有するもので
ある、有機電界発光デバイス。
[5]互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ以上有する有機電界発光デバイス
において、該2つ以上の有機電界発光素子が[1]乃至[3]のいずれか1に記載の有機電界
発光素子のみから構成されるものである、有機電界発光デバイス。
[6] [4]又は[5]に記載の有機電界発光デバイスを含むものである、有機EL表示装置

[7] [4]又は[5]に記載の有機電界発光デバイスを含むものである、有機EL照明。
本発明の有機電界発光素子の発光層は、TADF特性を示す有機材料、電荷輸送材料及
び燐光発光材料を含み、該有機材料は、式(1−A)で表される化合物である。式(1−
A)で表される化合物は、優れた溶解性、正孔輸送性及び電子輸送性を併せ持ち、優れた
電気的酸化還元耐久性並びにTADF特有の長寿命発光特性を持つものである。本発明の
有機電界発光素子は、高い発光効率と高い駆動安定性を有し、かつ長寿命であり、表示装
置、照明装置用なおとして有用である。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定さ
れるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
[語句の説明]
炭化水素芳香族環とは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フル
オレン等のように炭素と水素のみの原子で構成される芳香族環を表す。
複素芳香族環とはピリジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環等の様に炭素と水素
原子の他に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、珪素原子等を含んでなる芳香族環を表す。
芳香族環とは、炭化水素芳香族環と複素芳香族環の全てを表す。
遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改定第2版、南江堂、1992年発
行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるものを言う。すなわち、例えば
、「1個の遊離原子価を有するベンゼン環」はフェニル基のことを言い、「2個の遊離原
子価を有するベンゼン環」はフェニレン基のことを言う。
<本発明の基本構成>
本発明の有機電界発光素子は、両電極の間に少なくとも一層の発光層を含む有機電界発
光素子であって、前記発光層は熱活性化遅延蛍光(TADF)特性を示す有機材料、電荷
輸送材料及び燐光発光材料を含み、該有機材料は、式(1−A)で表される化合物である

式(1−A)で表される化合物は、分子の電子求引基と電子供与基が離れることによっ
て分子の最低励起一重項エネルギーと最低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対
値(ΔEst)が小さくなる。更に、カルバゾール基が式(1−A)中のフェニルのパラ
位に置換する構造であるため、一重項状態は電荷局在励起種からより低いエネルギーの電
荷非局在励起種となり、逆変換に必要なエネルギー差が小さくなり、TADF性がより強
く示される。
また、式(1−A)で表される化合物はΔEstが小さいため、三重項励起子は逆項間
交差(Reverse Intersystem Crossing、RISC)により、一重項励起子を生成すること
ができる。一重項励起子のエネルギーは燐光発光材料へ蛍光共鳴エネルギー移動(Fluore
scence Resonance Energy Transfer、FRET)して燐光発光材料の一重項励起子が生成
され、さらに項間交差(Intersystem Crossing、ISC)により三重項励起子となり燐光
発光する。すなわち、通常は無輻射遷移するため発光に寄与しない三重項励起子ホストが
発光に寄与するため、素子の発光効率が向上すると考えられる。
式(1−A)で表される化合物と電荷輸送性材料を混合することにより、発光層内のホ
ールと電子がバランスよく輸送されて、燐光発光材料が効率よく発光することが可能とな
る。
<発光層>
本発明の発光層は、TADF特性を示す有機材料、電荷輸送材料及び燐光発光材料を含
む。含まれる各材料の種類や数は特に限定されない。
発光層中の燐光発光材料及び電荷輸送材料の種類は、材料の管理、発光層形成用組成物
の調製等における手間から、合計で20種類以下であることが好ましく、特に15種類以
下であることが好ましい。実用的には、発光層中の燐光発光材料を1種類又は2種類とし
、電荷輸送材料を1〜13種類、特に2〜12種類程度用いることが好ましい。
本発明に係る発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有
していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を
使用することが好ましい。溶解性の面から好ましくは分子量3000以下、高純度の化合
物が得られるという面から特に好ましくは分子量1500以下の材料である。
[TADF特性を示す有機材料]
本発明において、TADF特性を示す有機材料は、式(1−A)で表される化合物であ
る。式(1−A)で表される化合物を含んでいればそれ以外のTADF特性を示す有機材
料を含んでいてもよく、TADF特性を示す有機材料が電荷輸送材料であってもよい。ま
た、TADF特性を示す有機材料として、式(1−A)で表される化合物を複数有してい
てもよい。
[式(1−A)で表される化合物]
(R及びR)
及びRは各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香
環基を表す。置換基を有していてもよい炭素数3〜30の芳香環基は、1個の遊離原子価
を有する、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基の両方を意味する。
炭素数は、分子の共役を広げて電子輸送能力を向上する理由により、好ましくは6以上
であり、また、好ましくは24以下であり、より好ましくは18以下である。
炭素数3〜30の芳香環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環
、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレ
ン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、フラン環、
ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオ
フェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドー
ル環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環
、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラ
ン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピ
リジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソ
キノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナ
ゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環、及びこれらの基の組み合わせが挙げられる。
また、R及びRとして、下記で表される構造も例示される。なお、下記構造は後述
する置換基群Zを有していてもよい。
耐久性の観点から、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、ジベンゾ
フラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリア
ジン環が好ましく、中でも、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ジベンゾフラン環
がより好ましい。さらに、1個の遊離原子価を有するベンゼン環が好ましく、特に1,4
−フェニレン基が好ましい。上記であることで、式(1―A)で表される化合物の電気化
学的安定性に優れる傾向にある。
及びRの炭素数3以上30以下の芳香環基が有していてもよい置換基は特に制限
は無いが、例えば、下記置換基群Zから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
(置換基群Z)
メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基
、tert−ブチル基等の、炭素数1から8までの直鎖又は分岐のアルキル基;ビニル基
、アリル基、1−ブテニル基等の炭素数2から9までのアルケニル基;エチニル基、プロ
パルギル基等の炭素数2から9までのアルキニル基;ベンジル基等の炭素数7から17ま
でのアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1から20までのア
ルコキシ基;フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等の炭素
数6から12までのアリールオキシ基;ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基等の炭素数
3から20までの5又は6員環の複素芳香族環を有するヘテロアリールオキシ基;ホルミ
ル基、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1から10までのアシル基;メトキシカルボ
ニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2から10までのアルコキシカルボニル基;フ
ェノキシカルボニル基等の炭素数7から13までのアリールオキシカルボニル基;アセト
キシ基等の炭素数2から10までのアルキルカルボニルオキシ基;メチルチオ基、エチル
チオ基等の炭素数1から8までのアルキルチオ基;フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基
等の炭素数6から12までのアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル
基等の炭素数3以上30以下のシリル基;1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフ
タレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、
ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環等の、5又は6員環
の単環又は2〜5縮合環などの炭化水素芳香族環からなる基;1個の遊離原子価を有する
、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、
ジベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール
環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロ
ロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環
、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダ
ゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノ
リン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミ
ジン環、キナゾリン環等の、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環などの複素芳香族環か
らなる基。
上記置換基の内、化合物の安定性の面から、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環
の単環又は2〜5縮合環などの炭化水素芳香族環、1個の遊離原子価を有する、5又は6
員環の単環又は2〜4縮合環の複素芳香族環からなる基が好ましい。また、バンドギャッ
プが広いため効率的な電荷の受け渡しができることから、ベンゼン環、ナフタレン環、カ
ルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環からなる基が更に好ましく、ベ
ンゼン環からなる基が特に好ましい。
上記各置換基は、さらに置換基を有していてもよく、その例としては前記置換基群Zに
例示した基が挙げられる。
(G)
Gは、式(1−a)で表される置換基を表す。少なくとも2つのGが互いにパラ位にな
る位置に置換する。パラ位になる位置に置換することで、式(1―A)で表される化合物
の一重項状態が電荷局在励起種からより低いエネルギーの電荷非局在励起種となるため、
逆変換に必要なエネルギー差が小さくなり、TADF性がより強く示される。
(n)
nは2〜5の整数を表す。特に限定されないが、合成のしやすい傾向にあるため、好ま
しくは4以下である。
(X)
Xは、Rで置換されていてもよい炭素原子又は窒素原子を表す。式(1−a)中に複
数存在するXは同一であっても異なっていてもよい。
隣接するXは同時に窒素原子であってもよい。連続する窒素原子は2以下であることが
好ましい。Rで置換されていてもよい炭素原子及び窒素原子の位置は特に限定されない
。Gの電子供与性が高くなりTADF性が向上するため、全てのXはRで置換されてい
てもよい炭素原子であることが好ましい。
(R
は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−C
N基、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基を表す。また、複数存
在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
は、溶解性向上の観点では、好ましくはフェニレン基、より好ましくはビフェニレ
ン基である。また、置換位置はGの5員環の窒素原子に対してパラ位にあたる3及び6位
に置換することが安定性の観点から好ましい。また、Rは、安定性の観点では、好まし
くは水素原子である。
以下に式(1−A)で表される化合物を例示するが、これらに限定されるものではない
(式(1−A)で表される化合物の分子量)
式(1−A)で表される化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意
である。好ましくは5000以下であり、より好ましくは3000以下であり、さらに好
ましくは2000以下である。また、好ましくは450以上であり、より好ましくは50
0以上であり、さらに好ましくは600以上である。分子量が上記範囲内であると、ガラ
ス転移温度や融点、分解温度等が高く、発光材料及び形成された発光層の耐熱性が良好で
ある。また。再結晶化や分子のマイグレーションなどに起因する発光層の膜質の低下や、
材料の熱分解に伴う不純物濃度の上昇などが起こり難く、素子性能に優れる傾向にある、
さらに、化合物の精製が容易である傾向にある。
(式(1−A)で表される化合物の含有量)
本発明の発光層中に含まれる式(1−A)で表される化合物の含有量は、好ましくは1
.0重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以
上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である、さらに好
ましくは70重量%以下である。この範囲であることで、TADF性の効果により、高い
発光効率が得られ、安定で長寿命の素子を得られる傾向にある。
<電荷輸送材料>
本発明の発光層に含まれる電荷輸送材料は特に限定されず、既存の電荷輸送材料を用い
ることができる。式(1−A)で表される化合物と電荷輸送性材料を混合することにより
、発光層内のホールと電子がバランスよく輸送されて効率よく発光することが可能となる
電荷輸送材料には、正孔輸送性を有する化合物(正孔輸送材料或いは正孔輸送性化合物
と称することがある)と、電子輸送性を有する化合物(電子輸送材料或いは電子輸送性化
合物と称することがある)がある。発光層は、正孔輸送材料と電子輸送材料の両方を含ん
でいてもよく、いずれか一方を含んでいてもよい。なお、発光層が、正孔輸送性化合物は
含んでいるが、電子輸送性化合物を含んでいない場合は、発光層において、正孔輸送性化
合物が電子を輸送すれば良い。同様に発光層が電子輸送性化合物を含んでいるが、正孔輸
送性化合物を含んでいない場合は、発光層において、電子輸送性化合物が正孔を輸送すれ
ば良い。
ここで、電荷輸送材料の例としては、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物
、ポルフィリン系化合物、チオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン
系化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン
系化合物、キナクリドン系化合物、トリフェニレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピ
レン系化合物、アントラセン系化合物、フェナントロリン系化合物、キノリン系化合物、
ピリジン系化合物、トリアジン系化合物、オキサジアゾール系化合物、イミダゾール系化
合物等が挙げられる。
電荷輸送材料の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。本発明
における電荷輸送材料の分子量は、好ましくは5000以下であり、より好ましくは30
00以下、さらに好ましくは2000以下である。また、本発明における電荷輸送材料の
分子量は、好ましくは400以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは600
以上である。電荷輸送材料の分子量が上記範囲内であると、ガラス転移温度や融点、分解
温度等が高く、発光材料及び形成された発光層の耐熱性が良好である。また。再結晶化や
分子のマイグレーションなどに起因する発光層の膜質の低下や、材料の熱分解に伴う不純
物濃度の上昇などが起こり難く、素子性能に優れる傾向にある、さらに、化合物の精製が
容易である傾向にある。
本発明の電荷輸送材料は、発光層中に、好ましくは5重量%以上であり、より好ましく
は10重量%以上であり、さらに好ましくは20重量%以上含有することが好ましい。ま
た、好ましくは99重量%以下、より好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは70
重量%以下含有することが好ましい。
電荷輸送材料としては、下記式(1−B)で表される化合物、下記式(1−C)で表さ
れる化合物及び下記式(1−D)で表される化合物から選択されることが好ましく、より
好ましくはこれら化合物を2種類以上用いることである。これらの化合物を用いることに
より、発光層内のホールと電子がよりバランスよく輸送されて、より効率よく発光するこ
とが可能となる。
[式(1−B)で表される化合物]
式(1−B)で表される化合物は、分子中心のベンゼン環の1,3,5位に置換基を有
しても良いベンゼン環と結合することで、分子の全体の平面性を崩れ、結晶化を抑えられ
る傾向にある、また、少なくとも3ペアのビフェニルを介して共役しており、この様な分
子が正電荷および電子輸送性が共にあるバイポーラ特性を持つことで、発光層内のホール
と電子の再結合を促進すると考えられる。
[式(1−B)中、
Ph〜Phは、各々独立に、置換基を有していてもよい2価のベンゼン環であり、
Ar〜Arは、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数3以上30
以下の芳香環基であり、
〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1以上20以下のアルキ
ル基又は炭素数3以上30以下の芳香環基である。]
(Ph〜Ph
Ph〜Phは各々独立に、置換基を有していてもよい2価のベンゼン環を表す。連
結位置は特に限定されないが、溶解性の観点から、Ph〜Phの少なくとも1つは1
,3−フェニレンであることが好ましく、少なくとも2つが1,3−フェニレンであるこ
とがより好ましい。
有していてもよい置換基は特に限定されないが、前述した置換基群Zが挙げられる。
(Ar〜Ar
Ar〜Arは各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数3以上30
以下の芳香環基を表す。
置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基は、式(1−A)のR
びRの置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基と同義であり、好ま
しい範囲も同じである。
(R〜R
〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1以上20以下のアル
キル基又は炭素数3以上30以下の芳香環基を表す。
炭素数1から20までのアルキル基の炭素数は、好ましくは15以下であり、より好ま
しくは10以下である。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基などの直鎖、分
岐または環状のアルキル基が挙げられる。
炭素数3以上30以下の芳香環基は、式(1−A)のR及びRの置換基を有してい
てもよい炭素数3以上30以下の芳香環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
また、炭素数1から20までのアルキル基及び炭素数3以上30以下の芳香環基が有し
ていてもよい置換基は特に限定されないが、前述した置換基群Zが挙げられる。
(式(1−C)で表される化合物]
式(1−C)で表される化合物は窒素原子を中心に芳香環基が置換しており、該芳香環
基がアミンの正電荷の保持安定化を行っていると考えられる。従って、発光層内のキャリ
アバランスの調整や正電荷を安定させることをできる。
[式(1−C)中、
〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基
を表す。]
(R〜R
炭素数3以上30以下の芳香環基は、式(1−A)のR及びRの置換基を有してい
てもよい炭素数3以上30以下の芳香環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
また、有していてもよい置換基は特に限定されないが、前述した置換基群Zが挙げられ
る。
(式(1−D)で表される化合物]
式(1−D)で表される化合物は、ビスカルバゾール骨格を中心にすることにより分子
のLUMOはカルバゾールの9位の芳香族に集中し、HOMOはビスカルバゾールのN−
Nの間の芳香族に広がることにより、電子および電荷耐久性の安定が得られる。
[式(1−D)中、
10〜R13は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香
環基を表す。]
(R10〜R13
炭素数3以上30以下の芳香環基は、式(1−A)のR及びRの置換基を有してい
てもよい炭素数3以上30以下の芳香環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
また、有していてもよい置換基は特に限定されないが、前述した置換基群Zが挙げられ
る。
[式(1−B)、(1−C)及び(1−D)で表される化合物の分子量]
式(1−B)、(1−C)及び(1−D)で表される化合物の分子量は、本発明の効果
を著しく損なわない限り任意である。
好ましくは5000以下であり、より好ましくは3000以下であり、さらに好ましく
は2000以下である。また、好ましくは450以上であり、より好ましくは500以上
であり、さらに好ましくは600以上である。分子量が上記範囲内であると、ガラス転移
温度や融点、分解温度等が高く、発光材料及び形成された発光層の耐熱性が良好である。
また。再結晶化や分子のマイグレーションなどに起因する発光層の膜質の低下や、材料の
熱分解に伴う不純物濃度の上昇などが起こり難く、素子性能に優れる傾向にある、さらに
、化合物の精製が容易である傾向にある。
[式(1−B)、(1−C)及び(1−D)で表される化合物の含有量]
本発明の発光層中に含まれる式(1−B)、(1−C)及び(1−D)で表される化合
物の含有量は、それぞれ、好ましくは1.0重量%以上、さらに好ましくは2.0重量%
以上、特に好ましくは3.0重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、さらに好ま
しくは80重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
[式(1−B)、(1−C)及び(1−D)で表される化合物の具体例]
式(1−B)、(1−C)及び(1−D)で表される化合物の具体例は以下の通りであ
るが、これらに限定されるものではない。
(式(1−B)で表される化合物)
(式(1−C)で表される化合物)
(式(1−D)で表される化合物)
[燐光発光材料]
燐光発光材料としては、通常、有機電界発光素子の燐光発光材料として使用されている
任意の公知の燐光発光材料を適用することができる。
なお、湿式成膜法により発光層を形成する際に用いられる、発光層形成用組成物の調製
に用いる溶剤への燐光発光材料の溶解性を向上させる目的で、燐光発光材料の分子の対称
性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが
好ましい。
燐光発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び
比率で併用してもよい。
燐光発光材料の例としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り
「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ば
れる金属を中心金属として含むウェルナー型錯体又は有機金属錯体などが挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パ
ラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられ、中でもより
好ましくはイリジウム又は白金であり特に好ましくはイリジウムである。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラ
ゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンな
どが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位
子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表
す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリ
ス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、
ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリ
ス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル
白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポ
ルフィリン等が挙げられる。
特に、燐光発光材料の燐光性有機金属錯体としては、好ましくは下記式(III)又は
式(IV)で表される化合物が挙げられる。
ML(q−j)L’ (III)
[式(III)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、L及びL’は二
座配位子を表す。jは0、1又は2の数を表す。]
[式(IV)中、
は金属を表し、Tは炭素原子又は窒素原子を表す。R92〜R95は、各々独立に置
換基を表す。但し、Tが窒素原子の場合は、R94及びR95は無い。)
以下、まず、式(III)で表される化合物について説明する。
式(III)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表第7
〜11族から選ばれる金属として前述した金属などが挙げられる。
また、式(III)中、二座配位子Lは、以下の部分構造を有する配位子を示す。
上記Lの部分構造において、環A1は、置換基を有していてもよい、芳香環基を表す。
前述のごとく、本発明における芳香環基は、炭化水素芳香族環からなる基でも良いし、複
素芳香族環からなる基でも良い。
該炭化水素芳香族環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は
2〜5縮合環からなる基などが挙げられる。
該炭化水素芳香族環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナ
フタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環
、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環
、フルオレン環からなる基などが挙げられる。
該複素芳香族環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又は2〜
4縮合環からなる基などが挙げられる。
該複素芳香族環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラ
ン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環
、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロ
ピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロー
ル環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾー
ル環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、
トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナント
リジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズ
レン環からなる基などが挙げられる。
また、上記Lの部分構造において、環A2は、置換基を有していてもよい、含窒素複素
芳香族環からなる基を表す。
該含窒素複素芳香族環基としては、1個の遊離原子価を有する、5又は6員環の単環又
は2〜4縮合環などが挙げられる。
該含窒素複素芳香族環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、
ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、
ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フ
ロピロール環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、
ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリア
ジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイ
ミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環などが挙げられる。
環A1又は環A2がそれぞれ有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子;ア
ルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;
ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基
;シアノ基;炭化水素芳香族環基等が挙げられる。また、環A1が含窒素複素芳香族環基
である場合及び環A2は、炭化水素芳香族環基を置換基として有していてもよい。
また、式(III)中、二座配位子L’は、以下の部分構造を有する配位子を示す。但
し、以下の式において、「Ph」はフェニル基を表す。
中でも、L’としては、錯体の安定性の観点から、以下に挙げる配位子が好ましい。
式(III)で表される化合物として、更に好ましくは、下記式(IIIa)、(II
Ib)、(IIIc)で表される化合物が挙げられる。
[式(IIIa)中、Mは、Mと同様の金属を表し、wは、上記金属の価数を表し、環
A1は、置換基を有していてもよい炭化水素芳香族環基を表し、環A2は、置換基を有し
ていてもよい含窒素複素芳香族環基を表す。]
[式(IIIb)中、Mは、Mと同様の金属を表し、wは、上記金属の価数を表し、環
A1は、置換基を有していてもよい芳香環基を表し、環A2は、置換基を有していてもよ
い含窒素複素芳香族環基を表す。]
[式(IIIc)中、Mは、Mと同様の金属を表し、wは、上記金属の価数を表し、
jは、0、1又は2を表し、環A1及び環A1’は、各々独立に、置換基を有していても
よい芳香環基を表し、環A2及び環A2’は、各々独立に、置換基を有していてもよい含
窒素複素芳香族環基を表す。]
上記式(IIIa)〜(IIIc)において、環A1及び環A1’の芳香環基の好まし
い例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フ
リル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基
、カルバゾリル基等が挙げられる。
上記式(IIIa)〜(IIIc)において、環A2及び環A2’の含窒素複素芳香族
環基の好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基
、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イ
ソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、フェナントリジニル基等が挙げられる。
上記式(IIIa)〜(IIIc)における環A1及び環A1’の芳香環基、環A2及
び環A2’の含窒素複素芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子;
アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基
;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル
基;シアノ基等が挙げられる。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例には、環A1が有す
る置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、又は、環A1’が有する置換基と環A
2’が有する置換基とが結合することにより、一つの縮合環を形成してもよい。このよう
な縮合環としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1’、環A2及び環A2’の置換基として、より好ましくは、ア
ルキル基、アルコキシ基、炭化水素芳香族環基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル
基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基などが挙げられる。
また、式(IIIa)〜(IIIc)におけるM4〜M6の好ましい例としては、ルテ
ニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金な
どが挙げられる。
上記式(III)及び(IIIa)〜(IIIc)で示される有機金属錯体の具体例を
以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
上記式(III)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子L及び/又はL’と
して2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基
が結合したもの、及び、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
また、国際公開第2005/019373号に記載の化合物も、燐光発光材料として使
用することが可能である。
次に、式(IV)で表される化合物について説明する。
式(IV)中、Mは金属を表す。具体例としては、周期表第7〜11族から選ばれる
金属として前述した金属などが挙げられる。M7としては、中でも好ましくは、ルテニウ
ム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げ
られ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、式(IV)において、R92及びR93は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコ
キシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミ
ノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香環基を表す。
さらに、Tが炭素原子の場合、R94及びR95は、各々独立に、R92及びR93
して挙げたものと同様の置換基を表す。また、Tが窒素原子の場合は、R94及びR95
は無い。
また、R92〜R95は、更に置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、その
種類に特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。さらに、R92〜R95
のうち任意の2つ以上の基が互いに連結して環を形成してもよい。
式(IV)で表される有機金属錯体の具体例(T−1、T−10〜T−15)を以下に
示すが、下記の例示物に限定されるものではない。また、以下の化学式において、「Me
」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表す。
これらの燐光発光材料は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み
合わせ、及び比率で用いてもよい。
本発明における燐光発光材料の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意で
ある。本発明における燐光発光材料の分子量は、好ましくは10000以下、より好まし
くは5000以下、更に好ましくは4000以下、特に好ましくは3000以下である。
また、本発明における燐光発光材料の分子量は、通常100以上、好ましくは200以上
、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上である。
燐光発光材料の分子量は、ガラス転移温度や融点、分解温度等が高く、発光材料及び形
成された発光層の耐熱性に優れる点、及び、ガス発生、再結晶化及び分子のマイグレーシ
ョンなどに起因する膜質の低下や材料の熱分解に伴う不純物濃度の上昇などが起こり難い
点では大きいことが好ましい。一方、燐光発光材料の分子量は、有機化合物の精製が容易
で、溶剤に溶解させやすい点では小さいことが好ましい。
本発明に係る発光層に含まれる燐光発光材料の含有量は、通常0.01重量%以上、好
ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、通常50重量
%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。なお、2
種以上の燐光発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれる
ようにするのが好ましい。
<発光層の形成>
本発明に係る発光層は、材料の利用効率が高く、また、その陽極側に通常形成される正
孔輸送層と適度に混ざることにより正孔の注入性が良好となりやすいことから、湿式成膜
法で形成されるのが好ましい。
本発明において湿式成膜法とは、成膜方法、即ち、塗布方法として、例えば、スピンコ
ート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコ
ート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、ノズルプリンテ
ィング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等の湿式で成膜させる方
法を採用し、この塗布膜を乾燥させて膜形成を行う方法をいう。これらの成膜方法の中で
も、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法な
どが好ましい。
湿式成膜法により発光層を形成する場合は、通常、上述の燐光発光材料、電荷輸送材料
、及び必要に応じて用いられる後述のその他の材料を適切な溶剤に溶解させることにより
調製した発光層形成用組成物を用いて成膜することにより形成する。
発光層の湿式成膜法に用いる溶剤は、燐光発光材料及び電荷輸送材料などの発光層の形
成に用いる材料が良好に溶解又は分散する溶剤であれば特に限定されない。
溶剤の溶解性としては、25℃、1気圧下で、燐光発光材料及び電荷輸送材料を、各々
、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重
量%以上溶解することが好ましい。
以下に溶剤の具体例を挙げるが、本発明の効果を損なわない限り、溶剤は、これらに限
定されるものではない。
溶剤としては、例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリ
ン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシ
ルベンゼン、テトラメチルシクロヘキサノン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロ
ベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1
,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、
2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチ
ルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類
;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プ
ロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノ
ン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環
族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール
、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレ
ングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタ
ート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
溶剤は、中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化水素類である。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及
び比率で用いてもよい。
また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発する
ことが好ましい。このため、溶剤の沸点は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、
より好ましくは120℃以上であることが良い。また、溶剤の沸点は、通常300℃以下
、好ましくは270℃以下、より好ましくは沸点250℃以下であることが良い。
<発光層形成用組成物の組成>
本発明における発光層形成用組成物中には、燐光発光材料が通常0.01重量%以上、
好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上含有されていること
が好ましい。また、燐光発光材料が通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さ
らに好ましくは30重量%以下含有されていることが良い。なお、2種以上の燐光発光材
料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにするのが好ま
しい。
本発明における発光層形成用組成物は、電荷輸送材料を通常0.1重量%以上、好まし
くは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上含有しているのが良い。また、通
常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下含有する
ことが良い。発光層の形成に複数種の電荷輸送用材料を用いる場合、これらの合計の含有
量が上記範囲に含まれるようにするのが好ましい。
また、発光層形成用組成物中の燐光発光材料と電荷輸送材料との含有量の比(燐光発光
材料/電荷輸送材料の重量比)は、通常0.01以上、好ましくは0.03以上であるこ
とが良い。また、発光層形成用組成物中の燐光発光材料と電荷輸送材料との含有量の比(
燐光発光材料/電荷輸送材料の重量比)は、通常0.5以下、好ましくは0.4以下であ
ることが良い。
本発明に係る発光層形成用組成物における溶剤の含有量は、本発明の効果を著しく損な
わない限り任意である。発光層形成用組成物中の溶剤の含有量が多いと、粘性が低く、成
膜の作業性に優れる点で好ましい。一方、溶剤の含有量が少ないと、成膜後に溶剤を除去
して得られる膜の厚みを稼ぎやすく、成膜が容易である点で好ましい。具体的には、溶剤
の含有量は、発光層形成用組成物100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、よ
り好ましくは50重量部以上、特に好ましくは80重量部以上であることが良い。また、
溶剤の含有量は、好ましくは99.95重量部以下、より好ましくは99.9重量部以下
、特に好ましくは99.8重量部以下であることが良い。なお、発光層形成用組成物とし
て2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすよ
うにするのが好ましい。
本発明における発光層形成用組成物は、成膜性の向上を目的として、レベリング剤や消
泡剤等の各種添加剤を含有してもよい。
本発明における発光層形成用組成物中の燐光発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料等
の合計量である固形分濃度は、膜厚ムラが生じ難い点では少ないことが好ましいが、また
、一方で、膜に欠陥が生じ難い点では多いことが好ましい。具体的には、通常0.01重
量%以上、通常70重量%以下であることがよい。
発光層の形成は、通常、このような発光層形成用組成物を発光層の下層となる層(通常
は後述の正孔注入層又は正孔輸送層)上に湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除
去することにより形成される。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生じ難
い点では厚いことが好ましいが、また、一方で、駆動電圧が低くなりやすい点では薄いこ
とが好ましい。具体的には、発光層の膜厚は通常3nm以上、好ましくは5nm以上、ま
た、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
なお、有機電界発光素子には、発光層は2層以上設けてもかまわない。発光層が2層以
上の場合、各層の条件は上述の通りである。
発光層を2層以上設けた場合、いずれか一層の発光層において前述の規定を満たしてい
ればよいが、全ての発光層について前述の規定を満たしていることが好ましい。
<有機電界発光素子の層構成と形成方法>
以下に、本発明の有機電界発光素子の層構成及びその一般的形成方法等の実施の形態の
一例を、図1を参照して説明する。
図1は本発明の有機電界発光素子10の構造例を示す断面の模式図であり、図1におい
て、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止
層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
即ち、本発明の有機電界発光素子は、陽極、発光層及び陰極を必須の構成層とするが、
必要に応じて、図1に示すように陽極と発光層及び陰極との発光層との間に他の機能層を
有していてもよい。
[基板]
基板1は、有機電界発光素子の支持体となるものである。基板1としては、石英やガラ
スの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板
;ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成
樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合には、ガスバリア性に留意するのが好
ましい。基板のガスバリア性は、基板を通過した外気による有機電界発光素子の劣化が起
こり難いので、大きいことが好ましい。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密
なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[陽極]
陽極2は、発光層5側の層への正孔注入の役割を果たす電極である。この陽極2は、通
常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又
はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或い
は、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等に
より構成される。
陽極2の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の方法により行われることが
多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属
酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、これらの微粒
子などを適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより、陽極
2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1
上に薄膜を形成することもできる。また、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形
成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992
年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすること
も可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性などに応じて適宜選択すればよい。透明性が必要と
される場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが
好ましい。この場合、陽極2の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上である
。また、この場合、陽極2の厚みは、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下
程度である。不透明でよい場合は、陽極2の厚みは任意である。陽極2の機能を兼ね備え
た基板1を用いてもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層す
ることも可能である。
陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上
させることを目的に、陽極2表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、
アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[正孔注入層]
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層である。正孔注入層3は、本
発明の有機電界発光素子に必須の層ではないが、正孔注入層3を設ける場合は、正孔注入
層3は、通常、陽極2上に形成される。
本発明に係る正孔注入層3の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に
制限はない。正孔注入層3は、ダークスポット低減の観点から湿式成膜法により形成する
ことが好ましい。
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100
0nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
(湿式成膜法による正孔注入層の形成)
湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料
を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物
)を調製し、この正孔注入層3形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該
当する層(通常は、陽極2)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形
成する。
(正孔輸送材料)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層3の構成材料として正孔輸送材料及び溶剤
を含有する。
正孔輸送材料は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層3に使用される、正孔輸送性を
有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合
物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送材料としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から4.5e
V〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送材料の例と
しては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオ
フェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級ア
ミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスフ
ァミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフ
ェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキ
ノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
なお、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳
香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体で
あっても、単量体であってもよい。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送材料は、このような化合物のうち何れか
1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送
材料を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1
種又は2種以上と、その他の正孔輸送材料1種又は2種以上とを併用することが好ましい
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好まし
く、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳
香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物
も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発
光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り
返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好
ましい例として、下記式(3−1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げ
られる。
[式(3−1)中、
Ar21〜Ar25は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香環基を表す。Zb
は、下記の連結基群Wの中から選ばれる連結基を表す。また、Ar21〜Ar25のうち
、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。]
[上記各式中、Ar26〜Ar36は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香環
基を表す。
15及びR16は、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。]
Ar21〜Ar36の芳香環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・
輸送性の点から、1個又は2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、フェ
ナントレン環、チオフェン環、ピリジン環が好ましく、1個又は2個の遊離原子価を有す
る、ベンゼン環、ナフタレン環がさらに好ましい。
Ar21〜Ar36の芳香環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量
としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキ
ル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香環基などが好ましい。
15及びR16が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケ
ニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香環基などが挙げられる。
式(3−1)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例
としては、国際公開第2005/089024号に記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送材料としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−ethylen
edioxythiophene(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポ
リスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好
ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであってもよ
い。
なお、正孔輸送材料は、下記(正孔輸送層)の項に記載の架橋性化合物であってもよい
。該架橋性化合物を用いた場合の成膜方法についても同様である。
正孔注入層形成用組成物中の正孔輸送材料の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない
限り任意である。正孔注入層形成用組成物中の正孔輸送材料の濃度は、膜厚の均一性の点
から、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5
重量%以上であり、また、一方、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さら
に好ましくは50重量%以下である。この濃度は、膜厚ムラが生じ難い点では小さいこと
が好ましい。また、この濃度は、成膜された正孔注入層に欠陥が生じ難い点では大きいこ
とが好ましい。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は、正孔注入層3の構成材料として、電子受容性化合物を含有
していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送材料から1電子受容する能力を
有する化合物が好ましい。具体的には、電子受容性化合物としては、電子親和力が4.0
eV以上である化合物が好ましく、5.0eV以上の化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン
化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリ
ールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げ
られる。さらに具体的には、電子受容性化合物としては、4−イソプロピル−4’−メチ
ルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフェニ
ルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開20
05/089024号);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペル
オキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ
化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)
等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、
アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン
等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送材料を酸化することにより正孔注入層3の導電
率を向上させることができる。
(その他の構成材料)
正孔注入層3の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送
材料や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正
孔注入層3の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミ
ド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレング
リコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート
(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシ
ベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、
4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の
芳香族エーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メ
チル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が
挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼ
ン、3−イソプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジ
イソプロピルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。
中でも好ましくは、芳香族エステル、芳香族エーテルである。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及
び比率で用いてもよい。
(真空蒸着法による正孔注入層3の形成)
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、例えば、以下のようにして正孔輸
送層3を形成することができる。正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送材料、電子受
容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の
材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4P
a程度まで排気する。この後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々の
るつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独
立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板1の陽極2上に正孔
注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼ
に入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されない。蒸着時の真空
度は、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、9.0×10
Torr(12.0×−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損な
わない限り限定されない。蒸着速度は、通常0.1Å/秒以上、5.0Å/秒以下である
。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されない。蒸着時の成
膜温度は、好ましくは10℃以上、50℃以下で行われる。
[正孔輸送層]
正孔輸送層4は、陽極2から発光層5へ輸送する層である。正孔輸送層4は、本発明の
有機電界発光素子に必須の層ではないが、正孔輸送層4を設ける場合は、通常、正孔輸送
層4は、正孔注入層3がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には
陽極2の上に形成することができる。
正孔輸送層4の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はない。
正孔輸送層4は、ダークスポット低減の観点から湿式成膜法により形成することが好まし
い。
正孔輸送層4を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効
率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、正孔輸送層4を形
成する材料は、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔
移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい
ことが好ましい。また、多くの場合、正孔輸送層4は、発光層5に接するため、発光層5
からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下さ
せたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層4の材料としては、従来、正孔輸送層4の構成材料として用いら
れている材料であればよい。正孔輸送層4の材料としては、例えばアリールアミン誘導体
、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘
導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体
、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導
体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニ
ルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフ
ェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビ
ニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビ
ニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重
合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部
が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、正孔輸送層4の材料としては、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘
導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−9
8619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、
正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送材料の他、溶剤を含有する。用いる溶剤
は、上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、乾燥条件
等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層4を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入
層3の形成の場合と同様である。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、発光層にある低分子の浸み込むや正
孔輸送材料の膨潤など要素を考慮し、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、
また通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。
[発光層]
発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9
から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層
5は、通常、正孔輸送層4がある場合には正孔輸送層4の上に、正孔輸送層4が無く、正
孔注入層3がある場合には正孔注入層3の上に、正孔輸送層4も正孔注入層3も無い場合
は、陽極2の上に形成することができる。
発光層5の構成材料及び形成方法等については、前述の通りである。
[正孔阻止層]
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6
は、電子輸送層のうち、更に陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止す
る役割をも担う層である。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面
に接するように積層される層である。本発明の有機電界発光素子においては、正孔阻止層
は必須の構成層ではない。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役
割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度
が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項
エネルギー準位(T1)が高いことなどが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止
層6の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)ア
ルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミ
ニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキ
ソ−ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、
ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、
3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1
,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソ
クプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げら
れる。更に、国際公開第2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換され
たピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はない。従って、正孔阻止層6は、湿式成膜法、蒸着法
や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。正孔阻止層
6の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以
下、好ましくは50nm以下である。
[電子輸送層]
電子輸送層7は、発光層5と陰極9の間に設けられた電子を輸送するための層である。
なお、本発明の有機電界発光素子においては、電子輸送層は必須の構成層ではない。
電子輸送層7の電子輸送材料としては、通常、陰極9又は陰極9側の隣接層からの電子
注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することが
できる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキ
シキノリンのアルミニウム錯体やリチウム錯体などの金属錯体(特開昭59−19439
3号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導
体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、
5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属
錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノ
キサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5
−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノ
ンジイミン、トリアジン化合物誘導体、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、
n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
また、該電子輸送層7に用いられる電子輸送材料としては、バソフェナントロリン等の
含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表
される電子輸送性有機化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウ
ム等のアルカリ金属をドープさせることにより(特開平10−270171号公報、特開
2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)、電子
注入輸送性と優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。また、上述の電子
輸送性有機化合物にフッ化リチウムや炭酸セシウムなどのような無機塩をドープすること
も有効である。
電子輸送層7の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法
で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm
以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の
範囲である。
[電子注入層]
陰極9から注入された電子を効率良く発光層5に注入するために、電子輸送層7と後述
の陰極9との間に電子注入層8を設けてもよい。電子注入層8は、無機塩などからなる。
なお、本発明の有機電界発光素子においては、電子注入層は必須の構成層ではない。
電子注入層8の材料としては、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム
(MgF)、酸化リチウム(LiO)、炭酸セシウム(II)(CsCO)等が挙げ
られる(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.
70、 pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transacti
ons on Electron Devices, 1997年,Vol.44, p
p.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
電子注入層8は、電荷輸送性を伴わない場合が多いため、電子注入を効率よく行なうに
は、極薄膜として用いることが好ましく、その膜厚は、通常0.1nm以上、好ましくは
5nm以下である。
[陰極]
陰極9は、発光層5側の層に電子を注入する役割を果たす電極である。
陰極9の材料としては、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等
の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金
属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリア
ニリン等の導電性高分子等が挙げられる。これらのうち、効率よく電子注入を行なうには
、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウ
ム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例として
は、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合
金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
なお、陰極9の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比
率で併用してもよい。
陰極9の膜厚は、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視
光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合
、陰極9の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000
nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陰極9の厚みは任
意であり、陰極は基板と同一でもよい。また、さらには、上記の陰極9の上に異なる導電
材料を積層することも可能である。
さらに、例えば、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウム等の
アルカリ土類金属等からなる低仕事関数の金属からなる陰極を保護する目的で、この上に
更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので
好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、
白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を
任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[その他の層]
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有
していてもよい。具体的には、例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との
間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、上記説明にある層の
うち必須でない層が省略されていてもよい。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可
能である。例えば、図1の層構成であれば、基板1上に他の構成要素を陰極9、電子注入
層8、電子輸送層7、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の
順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積
層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数
積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の
界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バ
ナジウム(V2O5)等からなる電荷発生層(Carrier Generation
Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点
からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成しても
よく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰
極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した
以外の成分が含まれていてもよい。
<有機電界発光デバイス>
本発明の有機電界発光デバイスは、互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ
以上有する有機電界発光デバイスであって、そのうちの少なくとも1つが本発明の有機電
界発光素子であることを特徴とするものである。また、この有機電界発光デバイスにおい
て、すべての有機電界発光素子が本発明の有機電界発光素子であることが好ましい。その
理由は有機電界発光デバイスの駆動電圧が下がり、省電力化になることによる。本発明の
有機電界発光デバイスとしては、有機EL表示装置及び有機EL照明などが挙げられる。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いた表示装置であ
る。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電
界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士
、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置
を形成することができる。
<有機EL照明>
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いた照明である。本発
明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を
用いて常法に従って組み立てることができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、
以下の実施例の記載に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の条件
や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味
をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または
実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
<化合物(1−A−1)の合成例>
(化合物2の合成)
反応容器に窒素気流下、トリアジン体の化合物1、2.0g、2,5−ジフルオロフェ
ニルボロン酸、0.67g、2Mの炭酸カリウム水溶液6mL、トルエン15mLおよびエ
タノール 6mLを加え、窒素を30分バブリングした。その後撹拌しながらさらにPd
(PPh、0.093gを加え、80℃で2時間撹拌還流した。その後室温まで冷
却し、水を加え分液洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶媒を減圧下
除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/へキ
サン=3/7)にて精製することにより、化合物2を2.1gの無色固体として得た。
(化合物(1−A−1)の合成)
窒素気流中、水素化ナトリウム(60%,0.46g)の無水N,N−ジメチルホルム
アミド(15ml)懸濁液に15mlの無水N,N−ジメチルホルムアミドのカルバゾー
ル(1.74g)溶液を滴下し、80℃で60分撹拌した後、この反応液を70mlの無
水N,N−ジメチルホルムアミドの化合物2(1.99g)に滴下し、153℃で8時間
撹拌した。これを氷温まで冷却後、水50mlを加えてから沈殿を濾別し、メタノール洗
浄した。得られた固形分を、塩化メチレンで溶解してメタノール中再沈した。沈殿を濾別
し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物である化合物(1−A
−1)(2.3g)を得た。
<化合物(1−A−2)の合成例>
(化合物4の合成)
反応容器に窒素気流下、トリアジン体の化合物3、1.6g、2,5−ジフルオロフェ
ニルボロン酸、0.51g、2Mの炭酸ナトリウム水溶液5mL、トルエン50mLおよび
エタノール 20mLを加え、窒素を30分バブリングした。その後撹拌しながらさらに
Pd(PPh、0.075gを加え、80℃で2.5時間撹拌還流した。その後室
温まで冷却し、水を加え分液洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶媒
を減圧下除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタ
ン/へキサン=3/7)にて精製することにより、化合物4を1.3gの無色固体として
得た。
(化合物(1−A−2)の合成)
窒素気流中、水素化ナトリウム(60%,0.3g)の無水N,N−ジメチルホルムア
ミド(10ml)懸濁液に10mlの無水N,N−ジメチルホルムアミドのカルバゾール
(1.14g)溶液を滴下し、80℃で60分撹拌した後、この反応液を80mlの無水
N,N−ジメチルホルムアミドの化合物4(1.3g)に滴下し、155℃で4時間撹拌
した。これを氷温まで冷却後、水50mlを加えてから沈殿を濾別し、メタノール洗浄し
た。得られた固形分を、塩化メチレンで溶解してメタノール中再沈した。沈殿を濾別し、
さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(1−A−2)(1.45
g)を得た。
<本発明化合物(1−A−3)の合成例>
(化合物5の合成)
反応容器にマグネシウム 0.77gを入れ、窒素置換し、2−ブロモナフタレン6.
0gの脱水THF溶液(40mL)を撹拌しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、室温
で15分撹拌し、グリニヤール試薬を調製した。
反応容器にシアヌル酸クロリド10.7gを入れ、窒素置換した後、脱水THF60m
Lを加えた。反応容器内温が−30℃になるように冷却した後、調製したグリニヤール試
薬を内温が−30℃前後を保つようにゆっくりと添加した。室温まで徐々に昇温させた後
、蒸留水1mLを加えた。溶媒を減圧下除去して濃縮した後、メタノール150mLを加
えてから沈殿を濾別し、メタノール洗浄した。得られた固形分を、塩化メチレンで溶解し
て活性白土を加えて室温で15分間撹拌した。吸引濾過後、溶液を減圧下濃縮して、ヘキ
サン250mLを少しずつ加えた。生じた沈殿を濾別し、乾燥することで、化合物5を4
.3gの白色固体として得た。
(化合物6の合成)
反応容器に窒素気流下、化合物5を4.2g、2,5−ジフルオロフェニルボロン酸を
2.0g、2Mのリン酸カリウム水溶液19mL、THF90mLを加え、窒素を30分バ
ブリングした。その後撹拌しながらさらにPd(PPh0.44gを加え、50℃
で6時間撹拌した。その後室温まで冷却し、塩化メチレン700mLと水400mLを加
え分液洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶媒を減圧下除去した。得
られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/へキサン=35/
65)にて精製することにより、化合物6を1.0gの淡黄色固体として得た。
(化合物8の合成)
反応容器に窒素気流下、化合物6を1.0g、化合物7を1.34g、2Mのリン酸カ
リウム水溶液3.5mL、トルエン50mLおよびエタノール20mLを加え、窒素を3
0分バブリングした。その後撹拌しながらさらにPd(PPh0.081gを加え
、100℃で2時間撹拌還流した。その後室温まで冷却し、塩化メチレン250mLと水
100mLを加え分液洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶媒を減圧
下除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/へ
キサン=4/6)にて精製することにより、化合物8を1.12gの淡黄色固体として得
た。
(1−A−3の合成)
窒素気流中、水素化ナトリウム(60%,1.1g)の無水N,N−ジメチルホルムア
ミド(5ml)懸濁液に10mlの無水N,N−ジメチルホルムアミドの3,3‘−ジフ
ェニルカルバゾール(1.7g)溶液を滴下し、80℃で30分撹拌した後、この反応液
を40mlの無水N,N−ジメチルホルムアミドの化合物8(1.1g)に滴下し、15
0℃で7時間撹拌した。これを室温まで冷却後、水300mlと塩化メチレン500mL
を加え分液洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶媒を減圧下除去した
。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/へキサン=3
5/65)にて精製し、さらに酢酸エチルとメタノールで懸濁洗浄することにより、目的
物(1−A−3)(1.28g)を得た。
<化合物(1−B−1)の合成例>
(化合物6の合成)
反応容器に窒素気流下、1,3−ジブロモ−5−トリメチルシリルベンゼンを25.0
g、化合物5を46.7g、2Mの炭酸カリウム水溶液203mL、トルエン400mLお
よびエタノール200mLを加え、窒素を30分バブリングした。その後撹拌しながらさ
らにPd(PPh、2.8gを加え、85℃で7.0時間撹拌還流した。その後室
温まで冷却し、水を加え分液洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶媒
を減圧下除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタ
ン/へキサン=150/850)にて精製することにより、化合物6を46.8gのガラ
ス状粘体として得た。
(化合物7の合成)
200ml脱水塩化メチレンに化合物6を23.0gを溶解し、−75℃でこの反応溶
液に1mol/lの三臭化ホウ素59mlを150ml脱水塩化メチレンで希釈し、1時間で滴
下した。この温度下12時間反応後、200mlの純水を滴下して30分撹拌した。分液洗
浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶媒を減圧下除去した。得られた残
渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/へキサン=400/600
)にて精製することにより、化合物7を17.5gの固体として得た。
(1−B−1の合成)
反応容器に窒素気流下、化合物7を6.7g、化合物8を4.3g、2Mの炭酸カリウ
ム水溶液13mL、トルエン50mLおよびエタノール25mLを加え、窒素を30分バブ
リングした。その後撹拌しながらさらにPd(PPh、0.37gを加え、85℃
で3.5時間撹拌還流した。その後室温まで冷却し、水を加え分液洗浄後、有機層を硫酸
マグネシウムで乾燥した。その後溶媒を減圧下除去した。得られた残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/へキサン=250/750)にて精製すること
により、化合物1−B−1を8.2gのガラス状粘体として得た。
[TADF性能の確認]
上記化合物1−A−1及び1−A−2について、以下測定を行った。
<イオン化ポテンシャルの測定方法>
光電子収量分光法(PYS)によりイオン化ポテンシャル(IP)の測定を行う。該
測定は、Optel社製PCR−101を用いて行うことが好ましいが、同等の測定を行
えるものであれば限定されるものではない。
具体的には、ホスト材料を適当な溶剤に溶解してサンプル用塗布液を調製する。溶剤
は限定されるものではなく、上記発光層形成用組成物に用いる溶剤として例示したものが
使用できるが、好ましくは、実際に発光層を形成する際に用いる溶剤である。
サンプル用塗布液の濃度は、特に限定されるものではないが、成膜および乾燥後、50
nmの膜厚が形成される濃度であればよい。
調製されたサンプル用塗布液を、石英基板上に成膜する。成膜は、発光層の成膜工程に
記載した方法と同様に行うことが好ましい。
成膜後、乾燥させることにより、50nmの膜厚の測定用サンプルを得る。乾燥もまた
、発光層の乾燥工程に記載した方法と同様に行うことが好ましい。
この測定用サンプルを測定装置(Optel社製PCR−101)の測定室内の基板ホ
ルダーにセットし、測定室の扉を閉じる。ターボ分子ポンプによって測定室を10−1P
a以下まで排気する。サンプルには、−50Vの電圧を与え、重水素ランプからの励起光
を単色化してサンプルへ入射し、微少電流計によって励起によってサンプルから放出され
る光電子を検出する。単色化された励起光のエネルギーと光電子の検出量のプロットから
イオン化ポテンシャルを決定する。
エネルギーギャップ(Eg)については、上記した<イオン化ポテンシャルの測定方法
>のように、作成された試料を使用して紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する
。その薄膜の短波長側の立ち上がりの所に接線を引き、求まった交点の波長(λ)nmを
次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEg(eV)になる。
Eg=1240/λ
例えば接線を引いて求めた値が450nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240/450=2.76(eV)
と言うことになる。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
HOMOのエネルギー準位の絶対値は電子軌道分子から外部(真空中)電子を取り出す
ためのエネルギーをイオン化ポテンシャルに相当し、LUMOのエネルギー準位の絶対値
は電子親和力に相当するので、1−A−1及び1−A−2のHOMO及びLUMOを表1
に示す。
<最低励起一重項エネルギー準位および三重項エネルギー準位の決定>
[最低励起一重項エネルギー準位S
上記したエネルギーギャップ(Eg)を求めた際に、試料の吸収スペクトル(縦軸:吸
光度、横軸:波長とする)を測定した。この吸収スペクトルの長波長側の立ち上がりに対
して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、次の式に代入し目的の値
を求める。それによって得た値がSになる。
=1240/λ
ただし、共役系化合物の分子自体の凝集性が比較的高い場合、薄膜の測定においては凝
集による誤差を生じる可能性がある。本発明における最低励起一重項エネルギー準位S
は、室温(25℃)における化合物の溶液状態の最大発光波長のピーク値を近似値として
用いた。
この吸収スペクトルを測定に使用する溶媒は、化合物の凝集状態の影響が小さい溶媒、
例えばシクロヘキシルベンゼンやトルエン等の非極性溶媒等を用いることができる。
[最低励起三重項エネルギー準位T
本発明の化合物の最低励起三重項エネルギー準位(T)については、溶液のフォトル
ミネッセンス(PL)特性により算出する。上記したSと同じように試料を作製した後
に、ストリークカメラを用い、77Kの温度環境で過渡PL特性を測定することで最低励
起三重項エネルギー準位を求めることができる。この様に1−A−1及び1−A−2のS
及びTを求め、結果は表1に示す。
<減衰時間の測定>
上記した<イオン化ポテンシャルの測定方法>のように、作成された試料を使用して減
衰時間を測定する。室温で波長355nmのレーザーパルスにより、試料を励起する。T
ADF特性を持つ化合物の即発蛍光の原因で、フォトルミネッセンスは最初から急落を示
す。その後ゆっくりとした落下、遅延蛍光が観察される(H. Uoyama et al., Nature, vo
l. 492, no. 7428, pp. 234-238, 2012 を参照する)。
表1に示す結果より、1−A−1及び1−A−2分子の最低励起一重項エネルギーと最
低励起三重項エネルギーとのエネルギー差の絶対値(ΔEst)が小さくなり、まだ本願
の1−A−1及び1−A−2化合物の減衰時間を測定したところ、数百μ秒オーダーの長
い減衰成分を検出されたことよりこれら化合物のTADF特性が強く示されたことを分かった
[参考例1]
褐色サンプル瓶に、化合物1−A−1を15mg量りとり、フェニルシクロヘキサンを
加えて235mgとした後、室温にて1分間ふりまぜたところ、化合物1−A−1は完全
に溶解した。この操作により、化合物1−A−1(固形分濃度:6.0質量%)組成物を
調製した。二ヶ月、室温にて組成物を保管しても、析出物は見られなかった。
[実施例1]
褐色サンプル瓶に、1−A−1、1−A−2、1−B−1、1−C−1および国際公開
2013/105615号公報に記載の方法にて合成したイリジウム錯体化合物D−1を
フェニルシクロヘキサンに以下の重量比率で発光層用組成物E−1を調製した。二ヶ月、
室温にて組成物を保管しても、析出物は見られなかった。
<発光層用組成物E−1>
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
組成物濃度 (1−A−1):0.675重量%
(1−A−2):0.675重量%
(1−B−1):1.65重量%
(1−C−1):1.65重量%
(D−1):0.6重量%
[比較例1及び2]
実施例1の発光層用組成物E−1を比較例1として発光層用組成物Fに、比較例2とし
て発光層用組成物Hに変更したほかは、実施例1と同様にして組成物の調製を行った。い
ずれも室温にて一ヶ月で析出物が見られた。
<組成物F>
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
組成物濃度 (GH−1):1.35重量%
(1−C−1):1.65重量%
(D−1):0.6重量%
<組成物H>
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
組成物濃度 (GH−2):1.35重量%
(1−C−1):1.65重量%
(D−1):0.6重量%
(有機電界発光素子の作成)
ガラス基板上に陽極ITO、正孔注入層、正孔輸送層を形成する。
正孔注入層、正孔輸送層は、架橋アリールアミンポリマーであることが好ましく、常法
により湿式塗布成膜し、加熱架橋して不溶化させる。
正孔輸送層上に、上記組成物E-1を湿式成膜し、発光層を形成する。
発光層上に常法の真空蒸着法により、電子輸送層、陰極をこの順に形成する。
この様にして、有機電界発光素子を得ることができる。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子

Claims (7)

  1. 両電極の間に少なくとも一層の発光層を含む有機電界発光素子において、前記発光層は
    熱活性化遅延蛍光(TADF)特性を示す有機材料、電荷輸送材料及び燐光発光材料を含
    み、
    該有機材料は、下記式(1−A)で表される化合物である、有機電界発光素子。
    [式(1−A)中、
    及びRは各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環
    基を表し、
    Gは、下記式(1−a)で表される置換基を表し、少なくとも2つのGが互いにパラ位に
    なる位置に置換し、nは2〜5の整数を表す。]
    [式(1−a)中、
    Xは、Rで置換されていてもよい炭素原子基又は窒素原子を表し、複数存在するXは同
    一であっても異なっていてもよい。
    は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−CN
    基、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基を表し、複数存在するR
    は、同一であっても異なっていてもよい。]
  2. 前記燐光発光材料がイリジウム錯体である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記電荷輸送材料が式(1−B)で表される化合物、式(1−C)で表される化合物及
    び式(1−D)で表される化合物からなる群の少なくとも1つを含むものである、請求項
    1又は2に記載の有機電界発光素子。
    [式(1−B)中、
    Ph〜Phは、各々独立に、置換基を有していてもよい2価のベンゼン環であり、
    Ar〜Arは、各々独立に、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数3以上30
    以下の芳香環基であり、
    〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1以上20以下のアルキ
    ル基又は炭素数3以上30以下の芳香環基である。]
    [式(1−C)中、
    〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香環基
    を表す。]
    [式(1−D)中、
    10〜R13は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香
    環基を表す。]
  4. 互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ以上有する有機電界発光デバイスに
    おいて、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を1つ以上有するもの
    である、有機電界発光デバイス。
  5. 互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ以上有する有機電界発光デバイスに
    おいて、該2つ以上の有機電界発光素子が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機電
    界発光素子のみから構成されるものである、有機電界発光デバイス。
  6. 請求項4又は5に記載の有機電界発光デバイスを含むものである、有機EL表示装置。
  7. 請求項4又は5に記載の有機電界発光デバイスを含むものである、有機EL照明。
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