特許文献1で提案されている技術は、塗布装置を1つ繋ぐことを想定しており、複数の塗布装置を繋ぐことを念頭においていない。複数の塗布装置で同じ電池電極を製造する場合、それぞれの塗布装置に別のロットの電池電極スラリーを供給すると、塗布装置ごとの性能のばらつきに、電池電極スラリーのロットのばらつきも加わり、電池電極の品質に差異が生じてしまうこととなる。これは、電池電極に限らず、懸濁液を用いて目的物を製造する場合全般に起こりうることである。
また、同じロットの材料を各塗布装置に配管などで分配すると、材料を移送するためのポンプなどにかかる負荷が大きくなったり、分配の制御が難しくなったりするため、好ましくない。
また、電池電極スラリーといった懸濁液は、混練後に長時間放置しておくと、分離や再凝集が起こることがある。このため、塗布装置に懸濁液を供給する配管や機器内に、懸濁液を滞留させておくことも好ましくない。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電池電極スラリーといった懸濁液における分離や再凝集の発生を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
(1) 本発明は、電池電極作製のための金属板(例えば、後述の集電体に相当)に電池電極スラリーを塗布する複数の塗布手段(例えば、図3のコーター91、92に相当)に、電池電極スラリーを分配する電池電極スラリー分配装置(例えば、図1の電池電極スラリー分配装置1に相当)であって、前記複数の塗布手段のそれぞれに接続される複数の接続手段(例えば、図3の配管12、13に相当)と接続され、付勢された電池電極スラリーを循環させる循環手段(例えば、図3の循環配管14に相当)と、前記複数の塗布手段のそれぞれへの、前記循環手段を循環する電池電極スラリーの供給を制御する制御手段(例えば、図3の制御部70に相当)と、を備え、前記制御手段は、前記複数の塗布手段のうちのいずれか1つへの電池電極スラリーの供給を許可している期間では、当該複数の塗布手段のうち、電池電極スラリーの供給を許可している塗布手段を除くものへの電池電極スラリーの供給を禁止することを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
この発明によれば、循環手段により、電池電極スラリーを循環させることとした。このため、電池電極スラリーは循環手段を循環することになる。したがって、電池電極スラリーが滞留してしまう時間を短くすることができるので、電池電極スラリーにおいて分離や再凝集が発生してしまうのを抑制することができる。
また、この発明によれば、制御手段により、複数の塗布手段のうちのいずれか1つへの電池電極スラリーの供給を許可している期間では、これら複数の塗布手段のうち、電池電極スラリーの供給を許可している塗布手段を除くものへの電池電極スラリーの供給を禁止することとした。このため、複数の塗布手段のうち、循環手段から電池電極スラリーが同時に供給されるのは1つになる。したがって、付勢された電池電極スラリーは、複数の塗布手段に分散して供給されるのではなく、1つの塗布手段に集中して供給されることになる。つまり、複数の塗布手段に電池電極スラリーを同時に供給すると、循環手段を循環している電池電極スラリーの量の減り量によっては、電池電極スラリーの流速が大きく低下し、電池電極スラリーの滞留が生じてしまうおそれがある。これを防ぐためには、電池電極スラリーに対する付勢力を大きくすることが必要となる。しかしながら、上述のように1つの塗布手段に集中して電池電極スラリーを供給することで、循環手段を循環している電池電極スラリーの流速が大きく低下することがなくなるので、電池電極スラリーに対する付勢力を大きくする必要がなくなる。よって、同時に複数の塗布手段に電池電極スラリーを供給しようとした場合と比べて、電池電極スラリーに対する付勢力を大きくする必要がない。また、複数の塗布手段のそれぞれに対して、短時間で電池電極スラリーを供給することができる。
また、この発明によれば、循環手段に、複数の接続手段を介して複数の塗布手段を接続することとした。このため、同じ電池電極スラリーを用いた電池電極の製造を複数ラインで行うことができるので、電池電極の均質性を向上させることができる。また、複数の塗布手段のうち、いずれか1つの塗布手段を駆動させて電池電極の製造を継続しつつ、他の塗布手段を停止させて清掃やメンテナンスを行うことなども、容易に行うことができる。
(2) 本発明は、(1)の電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段は、多角形状の環状に形成され、前記循環手段の複数の屈曲部(例えば、図5の屈曲部141に相当)に、前記複数の接続手段のそれぞれが接続されることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
この発明によれば、(1)の電池電極スラリー分配装置において、循環手段を、多角形状の環状に形成し、循環手段の屈曲部に複数の接続手段を接続することとした。このため、屈曲部において、電池電極スラリーの流れる勢いが弱まるので、循環手段を流れる電池電極スラリーが接続手段に流れ込みやすくなる。したがって、複雑な制御を行うことなく、電池電極スラリーを、接続手段を介して塗布手段に供給することができる。
(3) 本発明は、(1)または(2)の電池電極スラリー分配装置について、前記制御手段は、前記複数の接続手段のそれぞれにおける電池電極スラリーの流れを制御する開閉可能な弁(例えば、図3の二方弁71、72に相当)を備え、当該複数の弁を同時に2つ以上開かないことを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
この発明によれば、(1)または(2)の電池電極スラリー分配装置において、制御手段に弁を複数設け、これら複数の弁により、複数の接続手段のそれぞれにおける電池電極スラリーの流れを制御することとした。このため、それぞれの弁の開閉を制御することで、複数の塗布手段のそれぞれへの電池電極スラリーの供給量を独立して制御することができる。
また、この発明によれば、(1)または(2)の電池電極スラリー分配装置において、複数の弁を、同時に2つ以上開かないこととした。このため、複数の塗布手段のうち、循環手段から電池電極スラリーが同時に供給されるのは1つになるので、電池電極スラリーに対する付勢力を小さくすることができるとともに、複数の塗布手段のそれぞれに対して、短時間で電池電極スラリーを供給することができる。
(4) 本発明は、(1)から(3)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記複数の接続手段のそれぞれが、それぞれの底面に接続される複数の第1貯留手段(例えば、図5の収容タンク911に相当)を備え、前記複数の第1貯留手段のそれぞれは、前記複数の接続手段のそれぞれを流れた電池電極スラリーを貯留することを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
この発明によれば、(1)から(3)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、複数の第1貯留手段のそれぞれの底面に複数の接続手段のそれぞれを接続し、複数の第1貯留手段のそれぞれにより、複数の接続手段のそれぞれを流れた電池電極スラリーを貯留することとした。このため、第1貯留手段には、鉛直下方から湧き出るように電池電極スラリーが接続手段から供給されることになる。したがって、第1貯留手段の上方から電池電極スラリーを供給する場合と比べて、第1貯留手段の底面に電池電極スラリーが落下したり、第1貯留手段に既に収容されている電池電極スラリーの上に電池電極スラリーが落下したりすることがなくなる。よって、第1貯留手段の底面や電池電極スラリーに電池電極スラリーが勢いよく衝突することによって、電池電極スラリーに気泡が含まれてしまうのを、防止することができる。
(5) 本発明は、(1)から(4)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段を循環する電池電極スラリーに含まれる不純物を除去する除去手段(例えば、図3の脱泡部31やフィルタ41に相当)を備えることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
この発明によれば、(1)から(4)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、除去手段により、循環手段を循環する電池電極スラリーに含まれる不純物を除去することができ、電池電極スラリーの品質を向上させることができる。
(6) 本発明は、(1)から(5)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段を循環する電池電極スラリーを貯留するとともに、貯留している電池電極スラリーを前記循環手段に供給する第2貯留手段(例えば、図3のタンク21に相当)を備えることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
この発明によれば、(1)から(5)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、第2貯留手段により、循環手段を循環する電池電極スラリーを貯留するとともに、貯留している電池電極スラリーを循環手段に供給することとした。このため、第2貯留手段で電池電極スラリーが混ざり合うので、電池電極スラリーの品質のばらつきを小さくすることができ、電池電極スラリーの品質を均一にすることができる。
また、循環手段に供給される電池電極スラリーが増減しても、第2貯留手段により、安定した量の電池電極スラリーを塗布手段に供給し続けることができる。具体的には、循環手段に供給される電池電極スラリーの量が、複数の塗布手段のそれぞれが要求する電池電極スラリーの量の総和よりも少ない場合には、不足分を第2貯留手段に貯留されている電池電極スラリーで補うことができる。また、循環手段に供給される電池電極スラリーの量が、複数の塗布手段のそれぞれが要求する電池電極スラリーの量の総和よりも多い場合には、超過分を第2貯留手段に貯留させることができる。
(7) 本発明は、(1)から(6)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置について、前記循環手段を循環する電池電極スラリーの少なくとも一部を選択的に廃棄可能とする廃棄手段(例えば、図6の廃棄部81に相当)を備えることを特徴とする電池電極スラリー分配装置を提案している。
この発明によれば、(1)から(6)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置において、廃棄手段により、循環手段を循環する電池電極スラリーの少なくとも一部を選択的に廃棄可能とした。このため、例えば循環手段を長時間循環し続けたために品質劣化の可能性がある電池電極スラリーを、容易に廃棄することができる。
(8) 本発明は、(1)から(7)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置と、前記電池電極スラリー分配装置に接続され、当該電池電極スラリー分配装置に供給する電池電極スラリーを作製する電池電極スラリー作製装置(例えば、図1の電池電極スラリー作製装置100に相当)と、を備え、前記電池電極スラリー作製装置は、前記電池電極スラリー分配装置と比べて高い位置に配置されることを特徴とする電池電極スラリー処理装置を提案している。
この発明によれば、電池電極スラリー作製装置を、(1)から(7)のいずれか1つの電池電極スラリー分配装置と比べて高い位置に配置することとした。このため、電池電極スラリー作製装置から電池電極スラリー分配装置への電池電極スラリーの移送は、鉛直下方に向かって行われ、重力を利用することができる。したがって、電池電極スラリーの粘性が高くても、電池電極スラリー作製装置から電池電極スラリー分配装置に電池電極スラリーを供給しやすくすることができる。
(9) 本発明は、電池電極作製のための金属板(例えば、後述の集電体に相当)に電池電極スラリーを塗布する複数の塗布手段(例えば、図3のコーター91、92に相当)に電池電極スラリーを分配する電池電極スラリー分配装置(例えば、図1の電池電極スラリー分配装置1に相当)における電池電極スラリー分配方法であって、前記複数の塗布手段に接続された循環手段(例えば、図3の循環配管14に相当)において、付勢された電池電極スラリーを循環させる第1のステップと、前記複数の塗布手段のそれぞれへの、前記第1のステップにおいて循環させた電池電極スラリーの供給を制御する第2のステップと、を備え、前記第2のステップでは、前記複数の塗布手段のうちのいずれか1つへの電池電極スラリーの供給を許可している期間では、当該複数の塗布手段のうち、電池電極スラリーの供給を許可している塗布手段を除くものへの電池電極スラリーの供給を禁止することを特徴とする電池電極スラリー分配方法を提案している。
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
(10) 本発明は、懸濁液を用いて目的物を製造する複数の製造手段に、懸濁液を分配する懸濁液分配装置であって、前記複数の製造手段に接続され、付勢された懸濁液を循環させる循環手段と、前記複数の製造手段のそれぞれへの、前記循環手段を循環する懸濁液の供給を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記複数の製造手段のうちのいずれか1つへの懸濁液の供給を許可している期間では、当該複数の製造手段のうち、懸濁液の供給を許可している製造手段を除くものへの懸濁液の供給を禁止することを特徴とする懸濁液分配装置を提案している。
この発明によれば、循環手段により、懸濁液を循環させることとした。このため、懸濁液は循環手段を循環することになる。したがって、懸濁液が滞留してしまう時間を短くすることができるので、懸濁液において分離や再凝集が発生してしまうのを抑制することができる。
また、この発明によれば、制御手段により、複数の製造手段のうちのいずれか1つへの懸濁液の供給を許可している期間では、これら複数の製造手段のうち、懸濁液の供給を許可している製造手段を除くものへの懸濁液の供給を禁止することとした。このため、複数の製造手段のうち、循環手段から懸濁液が同時に供給されるのは1つになる。したがって、付勢された懸濁液は、複数の製造手段に分散して供給されるのではなく、1つの製造手段に集中して供給されることになる。つまり、複数の製造手段に懸濁液を同時に供給すると、循環手段を循環している懸濁液の量の減り量によっては、懸濁液の流速が大きく低下し、懸濁液の滞留が生じてしまうおそれがある。これを防ぐためには、懸濁液に対する付勢力を大きくすることが必要となる。しかしながら、上述のように1つの製造手段に集中して懸濁液を供給することで、循環手段を循環している懸濁液の流速が大きく低下することがなくなるので、懸濁液に対する付勢力を大きくする必要がなくなる。よって、同時に複数の製造手段に懸濁液を供給しようとした場合と比べて、懸濁液に対する付勢力を大きくする必要がない。また、複数の製造手段のそれぞれに対して、短時間で懸濁液を供給することができる。
また、この発明によれば、循環手段に複数の製造手段を接続することとした。このため、同じ懸濁液を用いた目的物の製造を複数ラインで行うことができるので、目的物の均質性を向上させることができる。また、複数の製造手段のうち、いずれか1つの製造手段を駆動させて目的物の製造を継続しつつ、他の製造手段を停止させて清掃やメンテナンスを行うことなども、容易に行うことができる。
(11) 本発明は、懸濁液を用いて目的物を製造する複数の製造手段に懸濁液を分配する懸濁液分配装置における懸濁液分配方法であって、前記複数の製造手段に接続された循環手段において、付勢された懸濁液を循環させる第1のステップと、前記複数の製造手段のそれぞれへの、前記第1のステップにおいて循環させた懸濁液の供給を制御する第2のステップと、を備え、前記第2のステップでは、前記複数の製造手段のうちのいずれか1つへの懸濁液の供給を許可している期間では、当該複数の製造手段のうち、懸濁液の供給を許可している製造手段を除くものへの懸濁液の供給を禁止することを特徴とする懸濁液分配方法を提案している。
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
本発明によれば、電池電極スラリーといった懸濁液における分離や再凝集の発生を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー処理装置AAの概略を示す構成図である。電池電極スラリー処理装置AAは、電池電極スラリー作製装置100、配管11、および電池電極スラリー分配装置1を備える。
電池電極スラリー作製装置100は、電池電極スラリー分配装置1と比べて高い位置に配置され、電池電極スラリーを作製する。この電池電極スラリー作製装置100は、配管11を介して電池電極スラリー分配装置1に接続され、電池電極スラリー作製装置100で作製された電池電極スラリーは、配管11を介して電池電極スラリー分配装置1に供給される。電池電極スラリー分配装置1は、配管11を介して供給された電池電極スラリーを分配する。
図2は、電池電極スラリー作製装置100の概略を示す構成図である。電池電極スラリー作製装置100は、電池電極スラリーとして正極スラリーを作製する装置であり、バインダー供給部111、正極材供給部112、導電助剤供給部113、予備混練部114、本混練部115、および配管121、122、123、124を備える。
バインダー供給部111は、配管121を介して予備混練部114に接続され、予備混練部114にバインダーを供給する。正極材供給部112は、配管122を介して予備混練部114に接続され、予備混練部114に正極活物質を供給する。導電助剤供給部113は、配管123を介して予備混練部114に接続され、予備混練部114に導電助剤(導電助材)を供給する。
予備混練部114は、供給されたバインダー、正極活物質、および導電助剤を粗混練して、予備混練スラリーとして配管124に排出する。配管124には、本混練部115が接続されており、予備混練部114から排出された予備混練スラリーは、配管124を介して本混練部115に供給される。
本混練部115は、供給された予備混練スラリーを本混練して、正極スラリーとして配管11に供給する。
図3は、電池電極スラリー分配装置1の概略を示す構成図である。電池電極スラリー分配装置1は、配管12、13、循環配管14、タンク21、脱泡部31、フィルタ41、モーノポンプ51、52、制御部70、およびコーター91、92を備える。
配管11には、タンク21が接続される。この配管11は、電池電極スラリー作製装置100から供給された正極スラリーを、タンク21に供給する。
タンク21には、循環配管14も接続される。循環配管14は、環状に形成されており、電池電極スラリー作製装置100およびモーノポンプ51、52から正極スラリーへの付勢力により、正極スラリーを循環させる。
タンク21は、配管11を介して電池電極スラリー作製装置100から供給された正極スラリーと、循環配管14を循環する正極スラリーと、を貯留するとともに、貯留している正極スラリーを循環配管14に連続的に供給する。このタンク21の構成の一例を、図4を用いて以下に説明する。
図4は、タンク21の概略を示す断面図である。タンク21は、モーター211、攪拌部212、およびケース213を備える。攪拌部212は、いわゆるアンカー型攪拌翼であり、回転軸2121および攪拌翼2122を備える。回転軸2121は、回転軸2121の長手方向の中心線を回転軸として、モーター211により回転駆動され、回転軸2121が回転すると、攪拌翼2122も回転する。タンク21は、モーター211を駆動して攪拌翼2122を回転させることで、貯留している正極スラリーを攪拌する。なお、正極スラリーは、タンク21の側面に設けられた搬入口(図示省略)からタンク21の内壁をつたってタンク21内に入る。これは、タンク21の上方から入ることによって、正極スラリーに気泡が含まれてしまうのを避けるためである。また、タンク21に貯留されている正極スラリーは、タンク21の底面に設けられた排出口(図示省略)から排出される。なお、タンク21内は、不活性ガスで満たされていることが好ましく、タンク21内の圧力は、貯留されている正極スラリーの量に応じて適宜制御されている。
図3に戻って、循環配管14には、脱泡部31、フィルタ41、およびモーノポンプ51、52が設けられる。
モーノポンプ51は、タンク21から循環配管14に供給された正極スラリーを、図3の矢印の向きに付勢する。
脱泡部31は、循環配管14を循環する正極スラリーを脱泡して、循環配管14を循環する正極スラリーに含まれる気泡を除去する。
モーノポンプ52は、脱泡部31で脱泡された正極スラリーを、図3の矢印の向きに付勢する。
フィルタ41は、循環配管14を循環する正極スラリーに含まれる不純物を除去する。フィルタ41により除去される不純物としては、例えば未分散の凝集塊がある。
循環配管14には、コーター91に接続された配管12と、コーター92に接続された配管13と、が接続される。コーター91、92は、それぞれ、脱泡部31により脱泡されるとともにフィルタ41により不純物の除去された正極スラリーを、集電体に塗布する。集電体としては、金属箔のように電気伝導性を有するものであれば使用することができ、材質や形状や大きさには特に制限がない。好ましくは、アルミニウム箔または銅箔を使用することが望ましい。
制御部70は、二方弁71、72、73、および二方弁制御部74を備える。二方弁71は、配管12のうち、配管12と循環配管14との接続部の近傍に設けられ、二方弁71を開くと、循環配管14からコーター91に正極スラリーが供給され、二方弁71を閉じると、循環配管14からコーター91への正極スラリーの供給が停止される。二方弁72は、配管13のうち、配管13と循環配管14との接続部の近傍に設けられ、二方弁72を開くと、循環配管14からコーター92に正極スラリーが供給され、二方弁72を閉じると、循環配管14からコーター92への正極スラリーの供給が停止される。二方弁73は、循環配管14のうち、循環配管14を循環する正極スラリーが供給されるタンク21の搬入口の近傍に設けられ、二方弁73を開くと、循環配管14からタンク21に正極スラリーが供給され、二方弁73を閉じると、循環配管14からタンク21への正極スラリーの供給が停止される。
二方弁制御部74は、二方弁71、72、73のそれぞれの開閉を制御して、二方弁71、72のうち2つ以上を同時に開かないようにする。二方弁制御部74の制御について、以下に詳述する。
コーター91、92のいずれにも正極スラリーを供給しない場合には、二方弁制御部74は、二方弁71、72を閉じるとともに、二方弁73を開く。これによれば、フィルタ41を通った正極スラリーは、コーター91、92には流れ込まず、タンク21に流れ込み、配管11を介して電池電極スラリー作製装置100から供給された正極スラリーとタンク21で混ぜ合わされて、循環配管14を循環することになる。
一方、コーター91に正極スラリーを供給する場合には、二方弁制御部74は、二方弁71を開くとともに、二方弁72、73を閉じる。これによれば、フィルタ41を通った正極スラリーは、コーター92およびタンク21には流れ込まず、コーター91に流れ込むことになる。
また、コーター92に正極スラリーを供給する場合には、二方弁制御部74は、二方弁72を開くとともに、二方弁71、73を閉じる。これによれば、フィルタ41を通った正極スラリーは、コーター91およびタンク21には流れ込まず、コーター92に流れ込むことになる。
以上によれば、コーター91、92のうち、正極スラリーの供給が許可されているコーターを除くものへの正極スラリーの供給が禁止されることになる。
図5は、循環配管14と配管12とコーター91との接続関係を示す斜視図である。図5において、矢印は、正極スラリーの流れる向きを示している。
循環配管14は、多角形状(本実施形態では、四角形)の環状に形成されており、循環配管14の折れ曲がっている部分である屈曲部141に、配管12の一端が接続される。このため、循環配管14を流れる正極スラリーは、屈曲部141において循環配管14の内壁に衝突することになる。これによれば、屈曲部141において、正極スラリーの流れる勢いが弱まるので、二方弁71が開いている期間において、循環配管14を流れる正極スラリーが配管12に流れ込みやすくなる。したがって、二方弁71が開いている期間において、循環配管14から配管12への正極スラリーの供給が促進される。
また、配管12の一端は、屈曲部141の下部に接続されており、配管12は、屈曲部141の下部から鉛直下方に延伸している。このため、二方弁71が開いている期間において、循環配管14を流れる正極スラリーが、配管12に、重力によりさらに流れ込みやすくなる。したがって、二方弁71が開いている期間において、循環配管14から配管12への正極スラリーの供給がさらに促進される。
配管12の他端は、コーター91が備える収容タンク911に接続されており、配管12に流れ込んだ正極スラリーは、収容タンク911に貯留される。コーター91は、収容タンク911に貯留されている正極スラリーを、上述のように集電体に塗布する。なお、収容タンク911内は、不活性ガスで満たされていることが好ましく、収容タンク911内の圧力は、貯留されている正極スラリーの量に応じて適宜制御されている。
ここで、配管12の他端は、収容タンク911の底面に形成された貫通孔912を介して、収容タンク911の底面に接続される。このため、収容タンク911には、鉛直下方から湧き出るように正極スラリーが配管12から供給されることになる。したがって、収容タンク911の上方から正極スラリーを供給する場合と比べて、収容タンク911の底面に正極スラリーが落下したり、収容タンク911に既に収容されている正極スラリーの上に正極スラリーが落下したりすることがなくなる。よって、収容タンク911の底面や正極スラリーに、配管12から供給される正極スラリーが勢いよく衝突することによって、正極スラリーに気泡が含まれてしまうのが、防止される。
循環配管14と配管13とコーター92とについても、上述の循環配管14と配管121とコーター91との場合と同様に接続されている。このため、上述の循環配管14と配管12とコーター91との場合と同様に、二方弁72が開いている期間において、正極スラリーが循環配管14から配管13を介してコーター92に供給される。
以上の構成を備える電池電極スラリー分配装置1は、以下の効果を奏することができる。
電池電極スラリー分配装置1は、循環配管14により、正極スラリーを循環させる。このため、正極スラリーは循環配管14を循環することになる。したがって、正極スラリーが滞留してしまう時間を短くすることができるので、正極スラリーにおいて分離や再凝集が発生してしまうのを抑制することができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、二方弁71、72を同時に2つ以上開かないようにして、コーター91、92のうちのいずれか1つへの正極スラリーの供給を許可している期間では、これらコーター91、92のうち、正極スラリーの供給を許可しているコーターを除くものへの正極スラリーの供給を禁止する。このため、コーター91、92のうち、循環配管14から正極スラリーが同時に供給されるのは1つになる。したがって、電池電極スラリー作製装置100およびモーノポンプ51、52により付勢された正極スラリーは、コーター91、92に分散して供給されるのではなく、コーター91、92のいずれか1つに集中して供給されることになる。
ここで、例えば10台のコーターが循環配管14に接続されており、これら10台のコーターに正極スラリーを同時に供給する場合について、以下に検討する。正極スラリーは、10台のコーターのうち前段に設けられているものから順番に、循環配管14から供給されることになる。このため、後段に設けられているコーターに近くなるに従って、循環配管14の内部を流通する正極スラリーの瞬時流量が減少する。したがって、循環配管14の内部を流通する正極スラリーの流速が低下し、場合によっては正極スラリーの停滞が生じてしまうおそれがある。これを防ぐためには、正極スラリーに対する付勢力を大きくするように、電池電極スラリー作製装置100やモーノポンプ51やモーノポンプ52を制御することが必要となる。しかしながら、上述のようにコーター91、92のいずれか1つに集中して正極スラリーを供給するので、循環配管14の内部を流通する正極スラリーの流速が大きく低下することがなくなり、その結果、正極スラリーに対する付勢力を大きくするように電池電極スラリー作製装置100やモーノポンプ51やモーノポンプ52を制御する必要がなくなる。よって、コーター91、92の両方に同時に正極スラリーを供給しようとした場合と比べて、正極スラリーに対する付勢力を大きくする必要がないので、電池電極スラリー分配装置1の構成や制御を簡略化することができる。また、コーター91、92のそれぞれに対して、短時間で正極スラリーを供給することができる。
なお、コーター91に正極スラリーを供給する場合と、コーター92に正極スラリーを供給する場合とでは、二方弁73を閉じるため、正極スラリーは循環配管14を循環しないことになる。しかし、上述のように、コーター91、92のそれぞれに対して、短時間で正極スラリーを供給することができる。このため、正極スラリーが循環配管14を循環していない時間は、極めて短くなる。したがって、コーター91またはコーター92に正極スラリーを供給している期間に、正極スラリーが配管内を滞留したとしても、正極スラリーにおいて分離や再凝集が発生してしまうことはない。
また、電池電極スラリー分配装置1は、電池電極スラリー作製装置100やモーノポンプ51やモーノポンプ52から正極スラリーへの付勢力により、配管11から供給された正極スラリーを循環配管14で循環させる。このため、単純な構成で確実に、正極スラリーを循環させることができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、循環配管14に、配管12、13を介してコーター91、92の2つのコーターを接続している。このため、電池電極スラリー作製装置100で作製された同じ正極スラリーを用いて、電池電極の製造を複数ラインで行うことができるので、電池電極の均質性を向上させることができる。また、コーター91、92のうち、一方を駆動させて電池電極の製造を継続しつつ、他方を停止させて清掃やメンテナンスを行うことなども、容易に行うことができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、循環配管14を四角形状の環状に形成し、循環配管14の屈曲部にコーター91、92を接続している。このため、屈曲部において、正極スラリーの流れる勢いが弱まるので、循環配管14を流れる電池電極スラリーが配管12、13に流れ込みやすくなる。したがって、複雑な制御を行うことなく、正極スラリーをコーター91、92に供給することができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、循環配管14の屈曲部の下部に接続されて鉛直下方に延伸する配管12、13のそれぞれを介して、循環配管14にコーター91、92を接続している。このため、重力を利用して、循環配管14からコーター91、92に正極スラリーを供給することができる。したがって、正極スラリーを、コーター91、92にさらに供給しやすくすることができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、コーター91、92のいずれかに正極スラリーを供給する場合に、二方弁73を閉じる。このため、フィルタ41を通った正極スラリーは、タンク21には流れ込まなくなるので、正極スラリーを、コーター91、92にさらに供給しやすくすることができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、配管12、13のそれぞれに、二方弁71、72のそれぞれを備える。このため、二方弁71、72のそれぞれの開閉を制御することで、コーター91、92のそれぞれへの正極スラリーの供給量を独立して制御することができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、コーター91が備える収容タンク911の底面から正極スラリーを供給する。このため、収容タンク911には、鉛直下方から湧き出るように正極スラリーが供給されることになる。したがって、収容タンク911の上方から正極スラリーを供給する場合と比べて、収容タンク911の底面に正極スラリーが落下したり、収容タンク911に既に収容されている正極スラリーの上に正極スラリーが落下したりすることがなくなる。よって、収容タンク911の底面や正極スラリーに正極スラリーが勢いよく衝突することによって、正極スラリーに気泡が含まれてしまうのを、防止することができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、脱泡部31により、循環配管14を循環する正極スラリーを脱泡するとともに、フィルタ41により、循環配管14を循環する正極スラリーに含まれる不純物を除去するので、正極スラリーの品質を向上させることができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、タンク21により、配管11を介して電池電極スラリー作製装置100から供給された正極スラリーと、循環配管14を循環する正極スラリーと、を貯留するとともに、貯留している正極スラリーを循環配管14に連続的に供給する。このため、タンク21で正極スラリーが混ざり合うので、正極スラリーの品質のばらつきを小さくすることができ、正極スラリーの品質を均一にすることができる。
また、電池電極スラリー分配装置1は、循環配管14に供給される正極スラリー、すなわち配管11を介して電池電極スラリー作製装置100から供給される正極スラリーが増減しても、タンク21により、安定した量の正極スラリーをコーター91、92に供給し続けることができる。具体的には、循環配管14に供給される正極スラリーの量が、コーター91、92のそれぞれが要求する正極スラリーの量の総和よりも少ない場合には、不足分をタンク21に貯留されている正極スラリーで補うことができる。また、循環配管14に供給される正極スラリーの量が、コーター91、92のそれぞれが要求する正極スラリーの量の総和よりも多い場合には、超過分をタンク21に貯留させることができる。
また、以上の電池電極スラリー分配装置1を備える電池電極スラリー処理装置AAは、電池電極スラリー分配装置1と比べて高い位置に電池電極スラリー作製装置100を配置する。例えば、製造工場において、電池電極スラリー作製装置100を上層階に配置し、電池電極スラリー作製装置100を配置した階よりも下層階に電池電極スラリー分配装置1を配置する。これによれば、電池電極スラリー作製装置100から電池電極スラリー分配装置1への正極スラリーの移送は、鉛直下方に向かって行われ、重力を利用することができる。このため、正極スラリーの粘性が高くても、電池電極スラリー作製装置100から電池電極スラリー分配装置1に正極スラリーを供給しやすくすることができる。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る電池電極スラリー分配装置1Aの概略を示す構成図である。電池電極スラリー分配装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー分配装置1の代わりに、電池電極スラリー処理装置AAに設けることができる。この電池電極スラリー分配装置1Aは、電池電極スラリー分配装置1とは、質量流量計53および廃棄部81を備える点が異なる。なお、電池電極スラリー分配装置1Aにおいて、電池電極スラリー分配装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
質量流量計53および廃棄部81は、循環配管14に設けられる。
質量流量計53は、循環配管14の内部を流通した正極スラリーの質量流量を計測して、循環配管14の内部を流通した正極スラリーの瞬時流量を測定し、測定結果をタンク21およびモーノポンプ51に送信するとともに、瞬時流量の変動の有無の確認と、積算流量の管理と、を行う。タンク21は、質量流量計53から送信された測定結果に基づいて排出量を決定し、決定した排出量で、貯留している正極スラリーを循環配管14に連続的に供給する。モーノポンプ51は、質量流量計53から送信された測定結果に基づいて付勢量を決定し、決定した付勢量で、循環配管14の内部を流通する正極スラリーを図6の矢印の向きに付勢する。
廃棄部81は、循環配管14を循環する正極スラリーの少なくとも一部を選択的に廃棄可能に構成される。
以上の構成を備える電池電極スラリー分配装置1Aは、電池電極スラリー分配装置1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
電池電極スラリー分配装置1Aは、廃棄部81により、循環配管14を循環する正極スラリーの少なくとも一部を選択的に廃棄可能である。このため、例えば循環配管14を長時間循環し続けたために品質劣化の可能性がある正極スラリーを、容易に廃棄することができる。
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
例えば、上述の第1実施形態において、図3で、循環配管14は四角形状の環状に形成されているように示した。しかしこれに限らず、循環配管14が複数の屈曲部を有する形状で環状に形成されていればよい。なお、屈曲部において循環配管14が折れ曲がる角度は、90度くらいであることが好ましい。
また、上述の第1実施形態において、図3で、循環配管14は四角形状の環状に形成され、4つの屈曲部のうち2つに、コーター91とコーター92とがそれぞれ接続されるものとした。しかしこれに限らず、屈曲部の全てにコーターが接続されるものとしてもよいし、屈曲部の一部にのみコーターが接続されるものとしてもよい。
また、上述の第2実施形態では、流量計として、質量流量計53のように質量流量計を用いたが、これに限らず、例えば体積流量計を用いることもできる。体積流量計としては、例えば、渦式、タービン式、電磁式、面積式、超音波式、差圧式などの体積流量計を用いることができる。
また、上述の各実施形態では、循環配管14にコーター91、92の2つのコーターが接続されるものとしたが、これに限らず、例えば3つのコーターや、4つのコーターが接続されるものとしてもよい。なお、例えば3つのコーターを接続した場合には、二方弁73の他に二方弁を3つ設け、二方弁73を除く3つの二方弁のうちいずれか1つを開いている期間では、これら3つの二方弁のうち開いている二方弁を除くものを閉じることとする。
また、上述の各実施形態では、循環配管14で正極スラリーを循環させるために、モーノポンプ51、52を用いた。しかしこれに限らず、例えば、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、デラスコポンプ、ギヤーポンプ、ベーンポンプなどを用いることもできる。
また、上述の各実施形態では、配管11に供給されるのは、正極スラリーであるものとしたが、これに限らず、負極スラリーや、電池電極スラリー以外の懸濁液であってもよい。なお、電池電極スラリー以外の懸濁液が供給される場合には、循環配管14に接続されるのはコーターである必要はなく、その用途に応じた他の装置などを適宜接続することができるとともに、フィルタ41は必ずしも必要ではなく、その用途に応じて、適宜、フィルタ41を設けるか否かを決めればよい。
また、上述の各実施形態では、二方弁73を、循環配管14のうち、循環配管14を循環する正極スラリーが供給されるタンク21の搬入口の近傍に設けることとした。しかし、これに限らず、配管12、13および二方弁71、72よりも高い位置に循環配管14を設けた場合には、循環配管14からコーター91、92への正極スラリーの供給に重力を用いることができるので、二方弁73を設けないこととしてもよい。
また、上述の各実施形態では、二方弁71から73を設けることとしたが、これに限らず、二方弁71から73の代わりに、三方弁を2つ設けることとしてもよい。この場合、2つの三方弁のうち一方を、循環配管14と配管12との接続部に設け、2つの三方弁のうち他方を、循環配管14と配管13との接続部に設ければよい。これによれば、コーター91に正極スラリーを供給する場合には、一方の三方弁の3つのポートのうち、循環配管14に接続されるフィルタ41側のポートと、配管12に接続されるポートと、を連通させるとともに、他方の三方弁の3つのポートのうち、循環配管14に接続されるフィルタ41側のポートと、循環配管14に接続されるタンク21側のポートと、を連通させることになる。また、コーター92に正極スラリーを供給する場合には、他方の三方弁の3つのポートのうち、循環配管14に接続されるフィルタ41側のポートと、配管13に接続されるポートと、を連通させることになる。
また、上述の第1実施形態では、図3を用いて上述したように、タンク21、脱泡部31、フィルタ41、およびモーノポンプ51、52は、電池電極スラリー分配装置1に設けられるものとしたが、これに限らず、電池電極スラリー作製装置100や、電池電極スラリー作製装置100と電池電極スラリー分配装置1との間に設けられるものとしてもよい。
また、上述の第2実施形態では、図6を用いて上述したように、タンク21、脱泡部31、フィルタ41、モーノポンプ51、52、および質量流量計53は、電池電極スラリー分配装置1Aに設けられるものとしたが、これに限らず、電池電極スラリー作製装置100や、電池電極スラリー作製装置100と電池電極スラリー分配装置1Aとの間に設けられるものとしてもよい。