JP2019175440A - 農作物用土壌環境予測システム、農作物用土壌環境予測装置、及び農作物用土壌環境予測方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、特許文献1は、植物を栽培するハウス内の環境を最適な状態に維持する時間を増大させ、新規参入の生産者であっても安定的に高品質な植物を生産することができる栽培環境管理装置を提案している。
そして、特許文献1では、気象予報データを取得して予測地温データを生成することが開示されている。
なお、土壌の積算温度(積算地温)の達成状況を予測することにより、土壌消毒にとどまらず、土壌の物理性、化学性、生物性の予測をも行え、太陽熱利用による土壌状態を予測した総合的な経営判断が行える。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記観測気象データ及び前記予想気象データを日最高気温データとしたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記観測気象データ及び前記予想気象データに日射量データを含むことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定用積算地温を、病原菌の死滅程度を推定する積算地温としたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定用積算地温を、窒素無機化量を推定する積算地温としたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定用積算地温を、土壌中の生物量を推定する積算地温としたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定用積算地温を、硝化能の抑制期間を推定する積算地温としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定用積算地温を、硝化菌の死滅程度を推定する積算地温としたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定用積算地温を、雑草種子の死滅程度を推定する積算地温としたことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定用積算地温を、植物残渣又は薬剤等有機化合物の分解程度を推定する積算地温としたことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記判定日が、前記予想気象データ取得ステップで取得できる前記予想気象データより先の日である場合に、前記予想気象データを取得できない前記判定日までの換算不可期間のみなし積算地温を、前記予想換算積算地温と前記予想換算積算地温の予測期間、前記計測積算地温と前記計測積算地温の計測期間、及び前記換算不可期間から算出するみなし積算地温算出ステップを更に有し、前記合計積算地温算出ステップでは、前記みなし積算地温を更に加算することを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システムにおいて、前記特定区画とは異なる第2区画について、前記土壌環境の変化を促す作業開始日と前記土壌環境を判定する第2判定日とを設定する第2判定日設定ステップと、前記土壌環境の変化を促す前記作業開始日以降の、前記第2区画を含む第2地域についての第2観測気象データを取得する第2観測気象データ取得ステップと、前記第2区画を含む前記第2地域についての第2予想気象データを取得する第2予想気象データ取得ステップと、前記第2観測気象データから関係式によって第2換算地温データを算出する第2換算地温算出ステップと、前記第2判定日までの前記第2予想気象データから前記関係式によって第2予想換算地温データを算出する第2予想換算地温算出ステップと、前記第2換算地温データを、前記補正値で補正し、補正した前記第2換算地温データを積算して第2換算積算地温を算出する第2換算積算地温算出ステップと前記第2予想換算地温データを、前記補正値で補正し、補正した前記第2予想換算地温データを積算して第2予想換算積算地温を算出する第2予想換算積算地温算出ステップと前記第2換算積算地温と、前記第2予想換算積算地温とを加算して第2合計積算地温を算出する第2合計積算地温算出ステップと、前記第2合計積算地温が、前記判定用積算地温を超えているか否かを判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップで判定された結果を出力する第2出力ステップとを有することを特徴とする。
請求項13記載の本発明の農作物用土壌環境予測装置は、農作物を栽培する特定区画の土壌環境を判定する農作物用土壌環境予測装置であって、前記土壌環境を推定する判定用積算地温を記憶する判定用積算地温記憶手段と、前記特定区画の土壌の計測開始日、及び前記土壌環境を判定する判定日を設定する設定手段と、前記設定手段で設定される前記計測開始日から、計測される地温データを記憶する土壌計測地温記憶手段と、前記設定手段で設定される前記計測開始日以降の、前記特定区画を含む地域についての観測気象データ、及び予想気象データを取得する気象データ取得手段と、前記土壌環境の判定を行う処理手段と前記処理手段での判定結果を出力する出力手段と、を備え、前記処理手段が、前記計測開始日からの前記計測地温データを積算して計測積算地温を算出する土壌計測積算地温算出部と、前記観測気象データから関係式によって換算地温データを算出する換算地温算出部と、前記判定日までの前記予想気象データから前記関係式によって予想換算地温データを算出する予想換算地温算出部と、前記計測地温データと前記換算地温データとから補正値を算出する補正値算出部と、前記予想換算地温データを、前記補正値で補正し、補正した前記予想換算地温データを積算して予想換算積算地温を算出する予想換算積算地温算出部と前記予想換算積算地温と前記計測積算地温とを加算して合計積算地温を算出する合計積算地温算出部と、前記合計積算地温が、前記判定用積算地温を超えているか否かを判定する判定部と、を有することを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項13に記載の農作物用土壌環境予測装置において、前記判定日が、前記気象データ取得手段で取得できる前記予想気象データより先の日である場合に、前記予想気象データを取得できない前記判定日までの期間のみなし積算地温を、取得できる前記予想気象データから算出するみなし積算地温算出部を更に有し、前記合計積算地温算出部では、前記みなし積算地温を更に加算することを特徴とする。
請求項15記載の本発明の農作物用土壌環境予測方法は、農作物を栽培する特定区画の土壌環境を判定する農作物用土壌環境予測方法であって、処理手段が、前記特定区画について、前記土壌環境を判定する判定期間を設定する判定期間設定ステップと、前記判定期間の中で、計測された計測地温データが存在する第1判定期間では、前記第1判定期間の前記計測地温データを積算する第1積算ステップと、前記判定期間の中で、前記計測地温データが存在しない第2判定期間では、前記計測地温データと同期間における前記特定区画を含む地域についての観測気象データから関係式によって算出した換算地温データと前記計測地温データとから補正値を算出し、前記特定区画を含む前記地域についての予想気象データから前記関係式によって算出した予想換算地温データを前記補正値で補正し、補正した前記予想換算地温データを積算する第2積算ステップと、前記第1積算ステップで積算した計測積算地温と前記第2積算ステップで積算した予想換算積算地温とを加算して合計積算地温を算出する合計積算地温算出ステップと、前記合計積算地温が、前記土壌環境を推定する判定用積算地温を超えているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで判定された結果を出力する出力ステップとを有することを特徴とする。
請求項16記載の本発明の農作物用土壌環境予測方法は、農作物を栽培する特定区画で計測された計測地温データと、前記計測地温データと同期間における前記特定区画を含む地域についての観測気象データと、前記特定区画を含む前記地域についての予想気象データとを用いて、前記計測地温データが存在しない期間について予想換算地温データを算出し、算出した前記予想換算地温データを積算することで、農作物を栽培する特定区画の土壌環境を判定する農作物用土壌環境予測方法であって、処理手段が、前記土壌環境を判定する判定期間を設定する判定期間設定ステップと、前記土壌環境を推定する判定用積算地温を設定する積算地温設定ステップと、前記判定用積算地温で積算する地温閾値を設定する地温閾値設定ステップと、前記判定期間における、前記地温閾値以上の前記予想換算地温データを積算し、積算した合計積算地温が、設定した前記判定用積算地温を越えているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで判定された結果を出力する出力ステップとを有することを特徴とする。
請求項17記載の本発明は、請求項16に記載の農作物用土壌環境予測方法において、前記判定期間に、計測された前記計測地温データが存在する第1判定期間を含んでいる場合には、前記第1判定期間では、前記地温閾値以上の前記計測地温データを積算し、前記予想換算地温データの積算を、前記計測地温データが存在しない第2判定期間で行うことを特徴とする。
請求項18記載の本発明は、請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測方法において、前記判定期間設定ステップでは、前記判定期間の終了日である判定日、及び前記判定期間の開始日の少なくともいずれかによって前記判定期間を設定することを特徴とする。
本実施の形態によれば、判定日までの積算地温を、計測される地温データからの計測積算地温と、補正した予想換算地温データを積算した予想換算積算地温とを加算することで算出しているので、より正確に算出でき、この積算地温を用いて判定用積算地温を超えているか否かを判定することで、土壌消毒にとどまらず、土壌の物理性、化学性、生物性の予測をも行え、太陽熱利用による土壌状態を予測した総合的な経営判断が行える。
本実施の形態によれば、日最高気温データを用いることで、関係式を用いて換算地温データを算出することができる。
本実施の形態によれば、日最高気温データに加えて日射量データを含めて算出することで、関係式を用いて換算地温データを算出することができる。
本実施の形態によれば、病原菌の死滅程度を判定できる。例えば、トマト立枯病菌は、40℃で398時間以上、43℃で309時間以上の条件により死滅する。
本実施の形態によれば、窒素無機化量を判定できる。例えば、淡色黒ボク土の窒素無機化量は、265×(1−exp(-0.0040×2.4((地温)-30)/10×(時間)により推定できる。
本実施の形態によれば、地力窒素(可給態窒素)と高い相関を持つ土壌中の生物量を判定できる。例えば、淡色黒ボク土の太陽熱土壌消毒期間の生物量(ATPバイオマス)は、-0.012×(30℃以上の地温の積算値)+3.15により推定できる。
本実施の形態によれば、土壌中のアンモニア態窒素が硝化菌の働きにより硝酸態窒素に変化する能力である硝化能の抑制期間を判定できる。
本実施の形態によれば、硝化菌の死滅程度を判定できる。
本実施の形態によれば、雑草種子の死滅程度を判定できる。例えば、雑草種子は、55℃で6時間以上の条件で死滅する。
本実施の形態によれば、植物残渣又は薬剤等有機化合物の分解程度を判定できる。
合計積算地温算出ステップでは、みなし積算地温を更に加算するものである。
本実施の形態によれば、判定日までに予想気象データが取得できない期間が存在していても、判定日までの積算地温をより正確に算出できる。
本実施の形態によれば、土壌計測を行わない第2区画について、特定区画で計測される地温データを利用して、判定日までの積算地温をより正確に算出できる。
本実施の形態によれば、判定日までの積算地温を、計測される地温データからの計測積算地温と、補正した予想換算地温データを積算した予想換算積算地温とを加算することで算出しているので、より正確に算出でき、この積算地温を用いて判定用積算地温を超えているか否かを判定することで、土壌消毒にとどまらず、土壌の物理性、化学性、生物性の予測をも行え、太陽熱利用による土壌状態を予測した総合的な経営判断が行える。
本実施の形態によれば、判定日までに予想気象データが取得できない期間が存在していても、判定日までの積算地温をより正確に算出できる。
本実施の形態によれば、計測地温データが存在しない第2判定期間では、計測地温データと同期間における特定区画を含む地域についての観測気象データから関係式によって算出した換算地温データと計測地温データとから補正値を算出し、特定区画を含む地域についての予想気象データから関係式によって算出した予想換算地温データを補正値で補正し、補正した予想換算地温データを積算しているので、計測地温データが存在しない期間を含んでいても、判定期間における積算地温が判定用積算地温を超えているか否かを判定でき、土壌消毒にとどまらず、土壌の物理性、化学性、生物性の予測をも行え、太陽熱利用による土壌状態を予測した総合的な経営判断が行える。
本実施の形態によれば、計測地温データが存在しない期間について予想換算地温データを算出し、算出した予想換算地温データを積算することで、設定した判定期間、判定用積算地温、及び地温閾値での土壌環境を判定でき、土壌消毒にとどまらず、土壌の物理性、化学性、生物性の予測をも行え、太陽熱利用による土壌状態を予測した総合的な経営判断が行える。
本実施の形態によれば、計測された計測地温データが存在する期間については、計測地温データを積算することで、判定日までの積算地温をより正確に算出できる。
本実施の形態によれば、開始日と終了日とによって判定期間を設定する場合だけでなく、開始日又は終了日のいずれかだけによっても判定期間を設定できることで、利用者の操作性を高めることができる。
図1は本実施例による農作物用土壌環境予測システムを示すフローチャートである。
本実施例による農作物用土壌環境予測システムは、以下のステップで行われる。
まず、農作物を栽培する特定区画の土壌環境の判定ステップについて説明する。
なお、特定区画とは、地理的にまとまった圃場全体、農作物の種類や作付作業で区分される圃場の一部、農作物の種類や作付作業が同一の一群のハウス、又は構造的に独立した一つのハウスである。また、土壌環境とは、太陽熱によって土壌状態が変化する環境であり、土壌状態の変化には、物理性、化学性、又は生物性変化がある。
ここで判定用積算地温は、病原菌の死滅程度を推定する積算地温、窒素無機化量を推定する積算地温、土壌中の生物量を推定する積算地温、硝化能の抑制期間を推定する積算地温、硝化菌の死滅程度を推定する積算地温、雑草種子の死滅程度を推定する積算地温、及び植物残渣又は薬剤等有機化合物の分解程度を推定する積算地温の内のいずれか一つ、又は複数の積算地温である。
判定用積算地温を、病原菌の死滅程度を推定する積算地温としたときは、病原菌の死滅程度を判定でき、判定用積算地温を、窒素無機化量を推定する積算地温としたときは、窒素無機化量を判定でき、判定用積算地温を、土壌中の生物量を推定する積算地温としたときは、地力窒素(可給態窒素)と高い相関を持つ土壌中の生物量を判定でき、判定用積算地温を、硝化能の抑制期間を推定する積算地温としたときには、土壌中のアンモニア態窒素が硝化菌の働きにより硝酸態窒素に変化する能力である硝化能の抑制期間を判定でき、判定用積算地温を、硝化菌の死滅程度を推定する積算地温としたときには、硝化菌の死滅程度を判定でき、判定用積算地温を、雑草種子の死滅程度を推定する積算地温としたときには、雑草種子の死滅程度を判定でき、判定用積算地温を、植物残渣又は薬剤等有機化合物の分解程度を推定する積算地温としたときには、植物残渣又は薬剤等有機化合物の分解程度を判定できる。
土壌計測地温記憶ステップS3では、計測開始設定ステップS2で設定される計測開始日から、計測される地温データを記憶する。
土壌計測積算地温算出ステップS5では、計測開始日からの地温データを積算して計測積算地温を算出する。土壌計測積算地温算出ステップS5は、土壌計測地温記憶ステップS3で地温データを記憶する際に、新たな地温データの記憶とともに地温データを積算してもよいが、判定日設定ステップS4で判定日が設定された際に地温データを積算することが好ましい。
観測気象データは、例えば気象庁が提供するデータを用いることができるが、出願人が提供する農研機構メッシュ農業気象データや、その他の機関が提供する気象データでもよい。なお、観測気象データには、公に提供されている気象データだけでなく、特定区画の屋外やハウス内で個別の計測機器によって計測される観測気象データを含む。
観測気象データは、有線回線や無線回線を介して通信データとして取得できる他、計測機器から入力されることで取得できる。
予想気象データは、気象衛星やアメダスを用いて気象庁が提供する予想気象データの他に、気象庁や米国海洋大気局等の気象予測モデルをスーパーコンピュータで計算した予測値(GPV)を提供するGPV気象予報データや、天気予報サイト「SCW」で提供している気象データを用いることができる。
予想換算地温算出ステップS9では、判定日までの予想気象データから関係式によって予想換算地温データを算出する。
観測気象データ及び予想気象データとして、日最高気温データ又は日最高気温データと日射量データとを用いることができる。例えば、日最高気温データと日射量データとを用いる場合には、露地の場合には、日最高地温=1.3×(日最高気温)+1.2×(日照時間)−9.3で表される関係式、ハウスの場合には、日最高地温=10.6×(1.3×(日最高気温)+1.2×(日照時間)−9.3)0.40で表される関係式によって日最高地温に換算することができる。
予想換算積算地温算出ステップS11では、予想換算地温算出ステップS9で算出された予想換算地温データを、補正値算出ステップS10で算出した補正値で補正し、補正した予想換算地温データを積算して予想換算積算地温を算出する。
みなし積算地温算出ステップS14においてみなし積算地温を算出する場合には、合計積算地温算出ステップS13では、予想換算積算地温と計測積算地温とに、みなし積算地温を更に加算する。
また、本実施例によれば、判定日までに予想気象データが取得できない期間が存在していても、判定日までの積算地温をより正確に算出できる。
第2区画についても、特定区画と同様に、地理的にまとまった圃場全体、農作物の種類や作付作業で区分される圃場の一部、農作物の種類や作付作業が同一の一群のハウス、又は構造的に独立した一つのハウスである。また、土壌環境とは、太陽熱によって土壌状態が変化する環境であり、土壌状態の変化には、物理性、化学性、又は生物性変化がある。
特定区画は、地温データの計測装置を備えており、計測される地温データを記憶する土壌計測地温記憶ステップS3を行えることを想定しており、第2区画は、特定区画のように地温データの計測装置を備えていないが、特定区画における計測地温データを利用することが有効な場合を想定している。
観測気象データは、例えば気象庁が提供するデータを用いることができるが、出願人が提供する農研機構メッシュ農業気象データや、その他の機関が提供する気象データでもよい。なお、観測気象データには、公に提供されている気象データだけでなく、特定区画の屋外やハウス内で個別の計測機器によって計測される観測気象データを含む。
観測気象データは、有線回線や無線回線を介して通信データとして取得できる他、計測機器から入力されることで取得できる。
予想気象データは、気象衛星やアメダスを用いて気象庁が提供する予想気象データの他に、気象庁や米国海洋大気局等の気象予測モデルをスーパーコンピュータで計算した予測値(GPV)を提供するGPV気象予報データや、天気予報サイト「SCW」で提供している気象データを用いることができる。
第2予想換算地温算出ステップS25では、第2判定日までの第2予想気象データから関係式によって第2予想換算地温データを算出する。
第2観測気象データ及び第2予想気象データとして、日最高気温データ又は日最高気温データと日射量データとを用いることができる。例えば、日最高気温データと日射量データとを用いる場合には、露地の場合には、日最高地温=1.3×(日最高気温)+1.2×(日照時間)−9.3で表される関係式、ハウスの場合には、日最高地温=10.6×(1.3×(日最高気温)+1.2×(日照時間)−9.3)0.40で表される関係式によって日最高地温に換算することができる。
第2予想換算積算地温算出ステップS27では、第2予想換算地温算出ステップS25で算出された第2予想換算地温データを、補正値算出ステップS10で算出した補正値で補正し、補正した第2予想換算地温データを積算して第2予想換算積算地温を算出する。
第2みなし積算地温算出ステップS30において第2みなし積算地温を算出する場合には、合計積算地温算出ステップS29では、第2換算積算地温と第2予想換算積算地温とに、第2みなし積算地温を更に加算する。
このように、本実施例によれば、土壌計測を行わない第2区画について、特定区画で計測される地温データを利用して、判定日までの積算地温をより正確に算出できる。
本実施例による農作物用土壌環境予測システムは、図2に示す農作物用土壌環境予測装置で実現でき、本実施例による農作物用土壌環境予測装置は、設定手段51と、気象データ取得手段52と、計測手段53と、記憶手段60と、処理手段70と、出力手段80とを備えている。
気象データ取得手段52は、設定手段51で設定される計測開始日以降の、特定区画を含む地域についての観測気象データ、及び予想気象データを取得する。
計測手段53は、特定区画の地温を計測する。
記憶手段60には、土壌環境を推定する判定用積算地温を記憶する判定用積算地温記憶手段61と、設定手段51で設定される計測開始日から、計測手段53で計測される地温データを記憶する土壌計測温度記憶手段62とを有している。
換算地温算出部72では、観測気象データから関係式によって換算地温データを算出する。
予想換算地温算出部73では、判定日までの予想気象データから関係式によって予想換算地温データを算出する。
補正値算出部74では、計測地温データと換算地温データとから補正値を算出する。
予想換算積算地温算出部75では、予想換算地温データを、補正値で補正し、補正した予想換算地温データを積算して予想換算積算地温を算出する。
みなし積算地温算出部76では、判定日が、気象データ取得手段52で取得できる予想気象データより先の日である場合に、予想気象データを取得できない判定日までの期間のみなし積算地温を、取得できる予想気象データから算出する。
合計積算地温算出部77では、予想換算積算地温と計測積算地温とを加算し、又はみなし積算地温を更に加算して合計積算地温を算出する。
判定部78では、合計積算地温が、判定用積算地温を超えているか否かを判定する。
出力手段80では、処理手段70での判定結果を出力する。
本実施例による農作物用土壌環境予測方法を行う上では、図1に示す土壌計測地温記憶ステップS3によって計測される地温データを所定期間既に記憶している。
図2に示す設定手段51によって、特定区画についての土壌環境を判定する判定期間が入力されると、処理手段70では、特定区画について、土壌環境を判定する判定期間を設定する(S41)。
S41における判定期間設定ステップでは、開始日と終了日とが入力されることで判定期間が設定される。なお、開始日又は終了日のいずれかだけの入力により、処理手段70が判定期間を設定してもよく、判定期間の終了日である判定日、及び判定期間の開始日の少なくともいずれかによって判定期間を設定することで、利用者の操作性を高めることができる。
S41における判定期間設定ステップで判定期間が設定されると、処理手段70では計測地温データが存在する期間か否かを判断する(S42)。
S44では、S43で取得した第1判定期間における計測地温データを積算する(第1積算ステップ)。
S42において、判定期間の中で、計測された計測地温データが存在しない期間を第2判定期間として(S42においてNo)、計測地温データが存在しない第2判定期間について、予想気象データベースから特定区画を含む地域についての予想気象データを取得する(S45)。
S46では、S45で取得した第2判定期間における予想気象データを関係式によって予想換算地温データを算出する。
S47では、計測地温データベースから農作物を栽培する特定区画で計測された計測地温データを取得し、S48では、S47で取得した計測地温データと同期間における特定区画を含む地域についての観測気象データを観測気象データベースから取得する。
S49では、S48で取得した観測気象データを関係式によって換算地温データを算出する。
S50では、S47で取得した計測地温データと、S49で算出した換算地温データから補正値を算出する。
判定ステップS53では、合計積算地温算出ステップS52で算出した合計積算地温が、土壌環境を推定する判定用積算地温を超えているか否かを判定する。
出力ステップS54では、判定ステップS53で判定された結果を出力する。判定結果の出力は、判定日が判定用積算地温を満たしているか否かを出力するが、判定日が判定用積算地温を満たしていない場合には、判定日以降に、判定用積算地温を満たすために必要な日数又は年月日を出力することが好ましい。判定用積算地温を満たすために必要な日数は、判定日以降の予想気象データが存在する場合には、予想換算積算地温算出ステップS46における算出方法により算出し、判定日以降の予想気象データが存在しない場合には、図1で説明したみなし積算地温算出ステップS14における算出方法により算出する。
図4(a)に示すように、農作物用土壌環境予測装置は、土壌環境を判定する判定期間91と、土壌環境を推定する判定用積算地温(目標値)92と、判定用積算地温で積算する地温閾値93とを設定することができる。
判定期間91は、既に記憶された地温データが存在する過去の期間と地温データが存在しない将来の期間とを含んで入力されるが、過去の期間だけ、又は将来の期間だけを判定期間91としてもよい。
地温閾値93は、病原菌の死滅程度を推定できる最低地温、窒素無機化量を推定できる最低地温、土壌中の生物量を推定できる最低地温、硝化能の抑制期間を推定できる最低地温、硝化菌の死滅程度を推定できる最低地温、雑草種子の死滅程度を推定できる最低地温、及び植物残渣又は薬剤等有機化合物の分解程度を推定する最低地温の内のいずれか一つ、又は複数の最低地温である。
例えば、トマト立枯病菌の死滅条件では、地温閾値93は40℃で判定用積算地温92は398時間以上、又は地温閾値93は43℃で判定用積算地温92は309時間以上、雑草種子の死滅条件では、地温閾値93は55℃で判定用積算地温6時間以上となる。
処理手段70は、判定期間91における、地温閾値93以上の予想換算地温データを積算し、積算した合計積算地温が、設定した判定用積算地温92を越えているか否かを判定し(判定ステップ)、判定された結果を出力する。
図4(b)では、判定された結果が目標値92を達成していることを示しており、目標達成日が2018年9月8日であり、終了日である2018年12月31日では目標値92に対して166.86%であることを示している。
図4(c)では、判定された結果が目標値92を達成していないことを示しており、終了日である2018年12月31日では目標値92に対して60.12%であることを示している。
図4(d)では、複数の判定対象に対する目標達成状況を表示していることを示している。
パラメータ決定用データ期間95において開始日と終了日とを入力し、パラメータ決定キー96が操作されることで、処理手段70では、パラメータ決定用データ期間95における計測地温データと、パラメータ決定用データ期間95における観測気象データから関係式によって算出した換算地温データとから補正値を算出し、算出されたパラメータ97を表示する。
なお、表示されたパラメータ97の補正値は変更することができ、又はパラメータ決定用データ期間95を入力することなくパラメータ97に補正値を入力してパラメータ決定キー96の操作によって補正値を確定させてもよい。
図5(b)では、農作物を栽培する特定区画の地域設定を示している。
地域設定は、位置情報98を入力して特定できる他、位置取得キー99を操作することで、例えばGPSを利用して緯度及び経度を取得することができる。
52 気象データ取得手段
53 計測手段
60 記憶手段
61 判定用積算地温記憶手段
62 土壌計測温度記憶手段
70 処理手段
71 土壌計測積算地温算出部
72 換算地温算出部
73 予想換算地温算出部
74 補正値算出部
75 予想換算積算地温算出部
76 みなし積算地温算出部
77 合計積算地温算出部
78 判定部
80 出力手段
91 判定期間
92 判定用積算地温(目標値)
93 地温閾値
94 実行キー
95 パラメータ決定用データ期間
96 パラメータ決定キー
97 パラメータ
98 位置情報
99 位置取得キー
Claims (18)
- 農作物を栽培する特定区画の土壌環境を判定する農作物用土壌環境予測システムであって、
前記土壌環境を推定する判定用積算地温を記憶する判定用積算地温記憶ステップと、
前記特定区画の土壌の計測開始日を設定する計測開始設定ステップと、
前記計測開始日から、計測される計測地温データを記憶する土壌計測地温記憶ステップと、
前記特定区画について、前記土壌環境を判定する判定日を設定する判定日設定ステップと、
前記計測開始日からの前記計測地温データを積算して計測積算地温を算出する土壌計測積算地温算出ステップと、
前記計測開始日以降の、前記特定区画を含む地域についての観測気象データを取得する観測気象データ取得ステップと、
前記特定区画を含む前記地域についての予想気象データを取得する予想気象データ取得ステップと、
前記観測気象データから関係式によって換算地温データを算出する換算地温算出ステップと、
前記判定日までの前記予想気象データから前記関係式によって予想換算地温データを算出する予想換算地温算出ステップと、
前記計測地温データと前記換算地温データとから補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記予想換算地温データを、前記補正値で補正し、補正した前記予想換算地温データを積算して予想換算積算地温を算出する予想換算積算地温算出ステップと
前記予想換算積算地温と前記計測積算地温とを加算して合計積算地温を算出する合計積算地温算出ステップと、
前記合計積算地温が、前記判定用積算地温を超えているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定された結果を出力する出力ステップと
を有する
ことを特徴とする農作物用土壌環境予測システム。 - 前記観測気象データ及び前記予想気象データを日最高気温データとした
ことを特徴とする請求項1に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記観測気象データ及び前記予想気象データに日射量データを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定用積算地温を、病原菌の死滅程度を推定する積算地温とした
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定用積算地温を、窒素無機化量を推定する積算地温とした
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定用積算地温を、土壌中の生物量を推定する積算地温とした
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定用積算地温を、硝化能の抑制期間を推定する積算地温とした
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定用積算地温を、硝化菌の死滅程度を推定する積算地温とした
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定用積算地温を、雑草種子の死滅程度を推定する積算地温とした
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定用積算地温を、植物残渣又は薬剤等有機化合物の分解程度を推定する積算地温とした
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記判定日が、前記予想気象データ取得ステップで取得できる前記予想気象データより先の日である場合に、前記予想気象データを取得できない前記判定日までの換算不可期間のみなし積算地温を、前記予想換算積算地温と前記予想換算積算地温の予測期間、前記計測積算地温と前記計測積算地温の計測期間、及び前記換算不可期間から算出するみなし積算地温算出ステップを更に有し、
前記合計積算地温算出ステップでは、前記みなし積算地温を更に加算する
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 前記特定区画とは異なる第2区画について、前記土壌環境の変化を促す作業開始日と前記土壌環境を判定する第2判定日とを設定する第2判定日設定ステップと、
前記土壌環境の変化を促す前記作業開始日以降の、前記第2区画を含む第2地域についての第2観測気象データを取得する第2観測気象データ取得ステップと、
前記第2区画を含む前記第2地域についての第2予想気象データを取得する第2予想気象データ取得ステップと、
前記第2観測気象データから関係式によって第2換算地温データを算出する第2換算地温算出ステップと、
前記第2判定日までの前記第2予想気象データから前記関係式によって第2予想換算地温データを算出する第2予想換算地温算出ステップと、
前記第2換算地温データを、前記補正値で補正し、補正した前記第2換算地温データを積算して第2換算積算地温を算出する第2換算積算地温算出ステップと
前記第2予想換算地温データを、前記補正値で補正し、補正した前記第2予想換算地温データを積算して第2予想換算積算地温を算出する第2予想換算積算地温算出ステップと
前記第2換算積算地温と、前記第2予想換算積算地温とを加算して第2合計積算地温を算出する第2合計積算地温算出ステップと、
前記第2合計積算地温が、前記判定用積算地温を超えているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップで判定された結果を出力する第2出力ステップと
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測システム。 - 農作物を栽培する特定区画の土壌環境を判定する農作物用土壌環境予測装置であって、
前記土壌環境を推定する判定用積算地温を記憶する判定用積算地温記憶手段と、
前記特定区画の土壌の計測開始日、及び前記土壌環境を判定する判定日を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定される前記計測開始日から、計測される地温データを記憶する土壌計測地温記憶手段と、
前記設定手段で設定される前記計測開始日以降の、前記特定区画を含む地域についての観測気象データ、及び予想気象データを取得する気象データ取得手段と、
前記土壌環境の判定を行う処理手段と
前記処理手段での判定結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記処理手段が、
前記計測開始日からの前記計測地温データを積算して計測積算地温を算出する土壌計測積算地温算出部と、
前記観測気象データから関係式によって換算地温データを算出する換算地温算出部と、
前記判定日までの前記予想気象データから前記関係式によって予想換算地温データを算出する予想換算地温算出部と、
前記計測地温データと前記換算地温データとから補正値を算出する補正値算出部と、
前記予想換算地温データを、前記補正値で補正し、補正した前記予想換算地温データを積算して予想換算積算地温を算出する予想換算積算地温算出部と
前記予想換算積算地温と前記計測積算地温とを加算して合計積算地温を算出する合計積算地温算出部と、
前記合計積算地温が、前記判定用積算地温を超えているか否かを判定する判定部と、
を有する
ことを特徴とする農作物用土壌環境予測装置。 - 前記判定日が、前記気象データ取得手段で取得できる前記予想気象データより先の日である場合に、前記予想気象データを取得できない前記判定日までの期間のみなし積算地温を、取得できる前記予想気象データから算出するみなし積算地温算出部を更に有し、
前記合計積算地温算出部では、前記みなし積算地温を更に加算する
ことを特徴とする請求項13に記載の農作物用土壌環境予測装置。 - 農作物を栽培する特定区画の土壌環境を判定する農作物用土壌環境予測方法であって、
処理手段が、
前記特定区画について、前記土壌環境を判定する判定期間を設定する判定期間設定ステップと、
前記判定期間の中で、計測された計測地温データが存在する第1判定期間では、前記第1判定期間の前記計測地温データを積算する第1積算ステップと、
前記判定期間の中で、前記計測地温データが存在しない第2判定期間では、前記計測地温データと同期間における前記特定区画を含む地域についての観測気象データから関係式によって算出した換算地温データと前記計測地温データとから補正値を算出し、
前記特定区画を含む前記地域についての予想気象データから前記関係式によって算出した予想換算地温データを前記補正値で補正し、補正した前記予想換算地温データを積算する第2積算ステップと、
前記第1積算ステップで積算した計測積算地温と前記第2積算ステップで積算した予想換算積算地温とを加算して合計積算地温を算出する合計積算地温算出ステップと、
前記合計積算地温が、前記土壌環境を推定する判定用積算地温を超えているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定された結果を出力する出力ステップと
を有する
ことを特徴とする農作物用土壌環境予測方法。 - 農作物を栽培する特定区画で計測された計測地温データと、前記計測地温データと同期間における前記特定区画を含む地域についての観測気象データと、前記特定区画を含む前記地域についての予想気象データとを用いて、前記計測地温データが存在しない期間について予想換算地温データを算出し、算出した前記予想換算地温データを積算することで、農作物を栽培する特定区画の土壌環境を判定する農作物用土壌環境予測方法であって、
処理手段が、
前記土壌環境を判定する判定期間を設定する判定期間設定ステップと、
前記土壌環境を推定する判定用積算地温を設定する積算地温設定ステップと、
前記判定用積算地温で積算する地温閾値を設定する地温閾値設定ステップと、
前記判定期間における、前記地温閾値以上の前記予想換算地温データを積算し、積算した合計積算地温が、設定した前記判定用積算地温を越えているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定された結果を出力する出力ステップと
を有する
ことを特徴とする農作物用土壌環境予測方法。 - 前記判定期間に、計測された前記計測地温データが存在する第1判定期間を含んでいる場合には、前記第1判定期間では、前記地温閾値以上の前記計測地温データを積算し、前記予想換算地温データの積算を、前記計測地温データが存在しない第2判定期間で行う
ことを特徴とする請求項16に記載の農作物用土壌環境予測方法。 - 前記判定期間設定ステップでは、前記判定期間の終了日である判定日、及び前記判定期間の開始日の少なくともいずれかによって前記判定期間を設定する
ことを特徴とする請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の農作物用土壌環境予測方法。
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