JP2019174193A - グリスの劣化予測方法、グリス、及び、グリスの製造方法 - Google Patents

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義 佐々木
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尚樹 袴田
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Abstract

【課題】半導体素子を収容した半導体モジュールと冷却器の間に塗布されるグリスの劣化を予測する方法を提供する。【解決手段】グリスの劣化の予測方法は、半導体素子の予定される最高使用温度におけるグリスの貯蔵弾性率G1を損失弾性率G2で除した復元率G1/G2と、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2が同じ値となるときのグリスの歪みと、を用いる。復元率と、グリスの歪みをパラメータとすることにより、グリスの劣化を精度良く予測することができる。【選択図】図5

Description

本明細書が開示する技術は、グリスの劣化予測方法、グリス、グリスの製造方法に関する。
半導体素子を封止したパワーカード(半導体モジュール)とヒートスプレッダ(冷却器)との間にグリスが塗布された半導体装置が例えば特許文献1に開示されている。
パワーカードが温度上昇と温度低下(熱サイクル)を繰り返すと、ヒートスプレッダに対向しているパワーカードの表面が面外変形を繰り返す。パワーカードの表面が面外変形を繰り返すと、押し出されたグリスが元に戻りきれず、グリスの中に気泡が生じることがある。そのような現象は「グリス抜け」と呼ばれることがある。グリス抜けが生じると、パワーカードからヒートスプレッダへの熱伝達の効率が低下する。熱サイクルに対してグリス抜けが生じ難いグリスが求められている。例えば、特許文献2では、次の条件を満たすグリスが、濡れ性と拡がり性が良く、グリス抜けが生じ難いとされている。
その条件とは、以下の通りである。ずり弾性が測定可能な粘弾性測定装置を用い、25℃から125℃まで10℃/分、125℃から145℃まで2℃/分、145℃から150℃まで0.5℃/分で昇温した後、150℃で7,200秒維持しつつ、シリコーン組成物の貯蔵弾性率G1及び損失弾性率G2を測定した場合に、維持開始から3,000秒後の貯蔵弾性率G1が10,000Pa以下であり、維持開始から7,200秒後の貯蔵弾性率G1が100,000Pa以下であり、かつ貯蔵弾性率G1が損失弾性率G2を上回るのに維持開始から800秒以上を要する硬化物を与えるものであること。
特開2017−092374号公報 特開2015−059191号公報
特許文献2に開示された技術は、パワーカードとヒートスプレッダの間にグリスを挟んで圧力を加えた際に広がり性の良いグリスの条件を与える。グリス抜けを低減するのであれば、より直接的に、所定の熱サイクル後のグリスの性能劣化を見込んだグリスの初期条件が得られるとよい。性能劣化を見込んだグリスの初期条件が解れば、劣化評価試験を試行錯誤的に繰り返して劣化の少ないグリスを見つけるのではなく、劣化が少ないと見込めるグリスを評価試験前に選定することができる。
本明細書は、半導体素子を収容した半導体モジュールと冷却器の間に塗布されるグリスの性能劣化を予測する方法と、経時的な性能劣化が少ないことが見込めるグリスと、そのようなグリスの製造方法を開示する。
本明細書が開示するグリスの劣化の予測方法は、半導体素子の予定される最高使用温度におけるグリスの初期の貯蔵弾性率G1を初期の損失弾性率G2で除した復元率G1/G2と、初期の貯蔵弾性率G1と初期の損失弾性率G2が同じ値となるときのグリスの歪みdDと、を用いる。G1/G2というパラメータと、dDというパラメータを採用することにより、グリスの劣化を精度良く予測することができるようになる。G1/G2というパラメータと、dDというパラメータの技術的意味は実施例の項で説明する。
グリスの性能劣化を予測する一つの具体式は、次の数式1で与えられる。数式1によって、熱負荷(半導体素子の20℃から120℃への温度変化)を20万サイクル繰り返した後のグリスの熱抵抗の増分の予測値Aが得られる。なお、熱抵抗の単位は[℃/W]である。
A=0.001×(22.57-0.7504×dD+267.4312×(1-G1/G2)) (数式1)
(数式1)は、劣化の予測値が、グリスの初期のパラメータ(G1/G2及びdD)で与えられることを意味する。従って、(数式1)は、経時劣化を考慮した、グリスの望ましい初期条件としても利用することができる。発明者らの検討によると、所定の条件の半導体装置において、次の(数式2)を満足するパラメータG1/G2とパタメータdDを有するグリスが、20万サイクル繰り返し後にも半導体素子の温度を耐熱温度以下に抑えることができることが判明した。即ち、(数式1)の左辺Aが0.02以下のグリスが半導体モジュールと冷却器の間に塗布するグリスとして好適である。
0.02≧0.001×(22.57-0.7504×dD+267.4312×(1-G1/G2)) (数式2)
(数式1)の左辺Aの値が0.02以下となるグリスを実現する技術として、グリスにフィラーとしてシリカを含有させるとよい。また、数式1の左辺Aの値が0.02以下となるグリスを製造するには、架橋オイルの架橋数を調整する調整工程を含んでいるとよい。また、上記したグリスの性能劣化を予測する方法を使うことによっても、良好なグリスを製造する方法が導ける。その製造方法は、上記した劣化予測方法を用いて劣化予測を行う工程と、劣化予測の結果に基づいてグリスに含有させるフィラーの含有量を調整するフィラー調整工程を備えているとよい。あるいは、フィラー調整工程に代えて、劣化予測の結果に基づいて架橋オイルの架橋数を調整する架橋数調整工程を備えていてもよい。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
半導体モジュールと冷却器が積層された半導体装置の断面図である。 図1の破線矩形IIの範囲の拡大図である。 グリスの物理モデルである。 グリスの物理特性を計測する実験の模式図である。 貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2を説明する図である。 歪み耐力を説明する図である。 半導体素子から冷媒までの伝熱経路の熱力学的モデルである。 20万サイクル後のグリスの熱抵抗の実測値と予測値を比較したグラフである。 グリスの製造方法のフローチャートである。 グリスの別の製造方法のフローチャートである。
まず、対象となる半導体装置について説明する。図1に半導体装置2の断面図を示す。半導体装置2は、半導体素子3を有するパワーモジュール10(半導体モジュール)と、一対の冷却器6a、6bを備えている。半導体素子3は、電力変換用のパワートランジスタである。半導体素子3は、具体的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)あるいはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
パワーモジュール10の本体は樹脂製のパッケージ8である。パッケージ8の中に、半導体素子3とスペーサ5が封止されている。スペーサ5は、高い導電性と高い熱伝導率を有する銅で作られている。パッケージ8の一方の面に放熱板4aが露出しており、他方の面に放熱板4bが露出している。放熱板4aは、パッケージ8の内部で半導体素子3の一方の面に接合されている。半導体素子3の一方の面には、コレクタ電極が露出しており、放熱板4aは、コレクタ電極に接合されている。放熱板4bは、パッケージ8の内部でスペーサ5に接合されており、スペーサ5の反対側は半導体素子3の他方の面に接合されている。半導体素子3の他方の面には、エミッタ電極が露出しており、放熱板4bは、スペーサ5を介してエミッタ電極と導通している。放熱板4a、4bは、半導体素子3と熱的に接続している。
パワーモジュール10の放熱板4aが露出している面に冷却器6aが対向しており、放熱板4bが露出している面に冷却器6bが対向している。冷却器6a、6bは、アルミニウムで作られた流路であり、内部を液体の冷媒が流れる。パワーモジュール10の放熱板4aと冷却器6aの間にグリス7が塗布されており、放熱板4bと冷却器6bの間にもグリス7が塗布されている。
図示を省略しているが、半導体装置2は、冷却器6a、6bとパワーモジュール10の積層方向に加圧されており、その加圧力によってグリス7は薄く延ばされている。
図2に、図1の破線矩形IIの範囲の拡大図を示す。図2の符号7aが示す箇所は、半導体素子3が常温のときのグリス7の端を示している。半導体素子3の温度が上昇すると放熱板4a、4bが面外変形を生じ、グリス7が外側へ押し出される。図2の符号7bが示す箇所が、グリス7が押し出されることにより図中の右側へ移動したグリス端部を示している。半導体素子3が冷えて放熱板4a、4bの面外変形が元に戻るとグリス7が内側(半導体素子3の近く)へ戻る。すなわち、図2の符号7aが示す箇所へ戻る。グリス7の元へ戻り易さは、グリス7の粘弾性特性に依存する。グリス7が元に戻り難いと、グリス7の中に気泡が生じ、半導体素子3から冷却器4a、4bの冷媒への熱伝達効率が下がる。
図3にグリスの物理モデルを示す。グリス17は、弾性要素17aと粘性要素17bの直列接続でモデル化することができる。符号13は、不動点であり、図1においてはグリス7の中央に相当する。粘弾性体の物理特性は、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2で表されることが知られている。グリスの貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2について説明する。
図4は、グリスの物理特性を計測する実験の模式図である。グリス7を2枚の平板21a、21bで挟み、一方の平板21bを固定し、他方の平板21aをずらす。平板21aが図4の破線の位置に移動すると、グリス7は符号7cが示すように変形する。グリス7の厚みを記号L2で示し、グリス7の端の移動量を記号L1で示す。そうすると、グリス7の歪みyは、y=L1/L2で定義される。このとき、グリス7の内部には応力sが発生する。
図4のモデルで平板21aを周期的に振動させると、歪みy(t)と応力s(t)の間には位相差dltが生じる。図5に、周期的に変化する歪みy(t)と応力s(t)のグラフを示す。記号「w」は平板21aの振動の角周波数を表す。記号「i」は、虚数を表す。図5にも示してあるように、周期的な歪みy(t)と応力s(t)は、次の数式3で表すことができる。なお、「dlt」は歪みy(t)と応力s(t)の間に生じる遅れ(位相差)である。
y(t)=y0・exp(i・w・t) (数式3)
s(t)=s0・exp(i・(w・t+dlt))
図5にも示されているように、複素弾性率Gは、次の(数式4)で表される。
=(s0/y0)・cos(dlt)+i・(s0/y0)・sin(dlt)
(数式4)
数式4の右辺第1項が貯蔵弾性率G1に相当し、右辺第2項が損失弾性率G2に相当する。数式5に、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2を示す。
G1=(s0/y0)×cos(dlt) (数式5)
G2=(s0/y0)×sin(dlt)
貯蔵弾性率G1が図3の弾性要素17aに相当し、損失弾性率G2が粘性要素17bに相当する。貯蔵弾性率G1を損失弾性率G2で除した変数(G1/G2)は弾性要素と粘性要素のいずれの影響が強いかを示す指標となる。ここでは、変数G1/G2を「復元率」と称する。
図4の実験モデルにおいて、平板21aを一方向にずらしていくと、歪みy=L1/L2が徐々に大きくなる。歪みyを大きくしていくと、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2が変化する。図6に、歪みyに対するG1とG2の変化を示す。歪みyに対するG1とG2の変化率が相違し、所定の歪みdDで貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2が一致する。このときの歪みdDを「歪み耐力」と称する。歪み耐力dDが大きいということは、大きな歪みに対しても、復元力が良く働くことを意味する。歪み耐力は、半導体素子3の予定される最高使用温度(本実施例では120[℃])において、G1/G2=1となる値が採用される。なお、半導体素子3の予定される最高使用温度における値を用いるのは、予想される最高使用温度のときが、使用条件が最も厳しくなるからである。具体的には、予想される最高使用温度のとき、グリスの変形量が最も大きくなる。本実施例では、そのときの貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2を用いてグリスの劣化を予測する。
グリス抜け(半導体素子の熱サイクル(放熱板4a、4bの面外変形サイクル)による気泡発生)を生じ難くするには、グリスは、大きな歪みでも良く復元する特性を持てばよい。すなわち、歪み耐力dDが大きく、かつ、復元率G1/G2が大きければよい。気泡発生は、放熱板4a(4b)から冷却器6a(6b)への熱伝達効率の低下、即ち、グリスの性能劣化を意味する。グリスの性能劣化は、グリスの熱抵抗の増分として現れる。
以上の考察から、所定の熱サイクル後のグリスの劣化は、半導体素子3の予定される最高使用温度におけるグリスの初期の貯蔵弾性率G1を初期の損失弾性率G2で除した変数G1/G2(復元率)と、初期の貯蔵弾性率G1と初期の損失弾性率G2が一致するときのグリスの歪みdD(歪み耐力)を用いて予測することができる。
気泡発生は、半導体素子3から冷却器6a、6b(冷媒)への伝熱効率の低下となって現れる。そして、半導体素子3から冷却器6a、6b(冷媒)への伝熱効率は、熱抵抗で定量的に評価することができる。発明者らは、鋭意検討した結果、歪み耐力dDと復元率G1/G2を用いると、グリスの劣化は、次の数式6で予測できることを発見した。数式6の左辺Aは、半導体素子3が20℃から120℃への温度変化を20万サイクル繰り返した後のグリス7の熱抵抗の増分の予測値(単位は℃/W)を示す。
A=0.001×(22.57-0.7504×dD+267.4312×(1-G1/G2)) (数式6)
なお、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2は、グリスの初期における値を用いる。また、歪み耐力dDも、グリスの初期の貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2に基づいて計測される。また、ここでは、半導体素子3の予定されている最高使用温度は120℃である。なお、図6に示すように、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2は、歪みとともに変化する。一方、図1、2のケースの場合、歪みは、概ね10[%]程度である。そこで、歪みが10[%]のときの貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2を、(数式6)で用いる。また、(数式5)の定義から、G1/G2は、tan(dlt)に等価である。
半導体装置2(図1)において、半導体素子3から冷却器6a、6bの冷媒までの熱力学モデルを図7に示す。素子モデル23から冷媒モデル29の間に、グリスモデル27と、他の熱抵抗モデル24が介在する。他の熱抵抗モデル24には、放熱板4a、4b、スペーサ5、冷却器6a、6bの筐体などが含まれる。素子モデル23の温度を記号Tj(素子温度Tj)で表し、冷媒モデル29の温度を記号Tcc(冷媒温度Tcc)で表す。また、グリスモデル27の熱抵抗を記号Rで表し、他の熱抵抗モデル24の熱抵抗を記号RHSで表す。そうすると、次の数式7が成立する。
(Tj−Tcc)/Q=RHS+R (数式7)
数式7で、記号Qは、素子モデル23が発する熱量である。(数式7)を変形すると、次の(数式8)が得られる。
=(Tj−Tcc)/Q−RHS (数式8)
一例では、冷媒の温度Tccは65℃であり、他の熱抵抗モデル24の熱抵抗RHSは0.14[℃/W]である。素子モデル23が発する熱量Qが531[W]である。素子温度Tjが耐熱温度150[℃]を超えないためには、グリスの熱抵抗RHSは0.02[℃/W]以下であればよいことがわかる。別言すれば、数式6の左辺Aが0.02以下となる復元率G1/G2と歪み耐力dDを有するグリスを選定すれば、半導体素子3が上記した熱サイクル(20℃から120℃の温度変化、20万サイクル)を経た後も、半導体素子3は、その耐熱温度(150℃)を超えない可能性が極めて高い。
図8に、温度20℃から120℃への温度変化を20万サイクル繰り返した後のグリス7の熱抵抗の実測値と予測値を比較したグラフを示す。図8に示す通り、数式6による予測値は、実測値とよく一致することがわかる。
発明者らの検討によると、数式6の左辺Aが0.02を下回るようにするには、グリスにフィラーとして、表面積の大きいシリカを混在させるとよいことが判明した。また、グリス製造の際に、架橋オイルの架橋数を調整する(増やす)ことによっても、数式6の左辺Aが0.02を下回るグリスを得られることが判明した。
図9に、上記した劣化予測方法を使ったグリス製造方法のフローチャートを示す。まず、所定の初期量のフィラーを混在させたグリスを試作する(ステップS2)。次に、試作したグリスの初期の貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2と歪み耐力dDを計測する(ステップS3)。そして、計測した値から数式6の値A(劣化予測値A)を算出する(ステップS4)。求めた劣化予測値Aが0.02以下でない場合、フィラーの量(又は表面積)を変更したグリスを試作する(ステップS5:NO、S6)。そして、再び、試作したグリスの初期の貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2と歪み耐力dDを計測する(ステップS3)。計測した値から数式6の値A(劣化予測値A)を求める(ステップS4)。求めた劣化予測値Aが0.02以下でない場合、ステップS6、S3、S4の処理を繰り返す。求めた劣化予測値Aが0.02以下となった場合、そのときのフィラーの含有量(及び表面積)を量産用の設計値として決定する(ステップS7)。決定した設計値でグリスを量産する(ステップS8)。こうして、伝熱効率の劣化が少ないグリスを量産することができる。伝熱効率の劣化が少ないとは、所定の熱サイクル後にも半導体素子が耐熱温度を超えないように、熱抵抗の増加が少ないグリスを意味する。
なお、フィラーの量を調整することと、1個のフィラーの表面積を調整することは、同じ効果をもたらす。なぜならば、いずれも、全フィラーの表面積を調整することと等価だからである。ステップS3及びS4が、劣化予測方法を用いて劣化予測を行う工程に相当する。ステップS5及びS6が、劣化予測の結果に基づいてグリスに含有させるフィラーの含有量を調整するフィラー調整工程に相当する。
図10に、上記した劣化予測方法を使ったグリスの別の製造方法のフローチャートを示す。まず、所定の架橋数のオイルを使ったグリスを試作する(ステップS12)。次に、試作したグリスの初期の貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2と歪み耐力dDを計測する(ステップS13)。そして、計測した値から数式6の値A(劣化予測値A)を算出する(ステップS14)。求めた劣化予測値Aが0.02以下でない場合、架橋数を増やした(あるいは減らした)オイルを使ってグリスを試作する(ステップS15:NO、S16)。そして、再び、試作したグリスの初期の貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2と歪み耐力dDを計測する(ステップS13)。計測した値から数式6の値A(劣化予測値A)を求める(ステップS14)。求めた劣化予測値Aが0.02以下でない場合、ステップS16、S13、S14の処理を繰り返す。求めた劣化予測値Aが0.02以下となった場合、そのときの架橋数を量産用の設計値として決定する(ステップS17)。決定した設計値でグリスを量産する(ステップS18)。こうして、伝熱効率の劣化が少ないグリスを量産することができる。伝熱効率の劣化が少ないとは、所定の熱サイクル後にも半導体素子が耐熱温度を超えないように、熱抵抗の増加が少ないグリスを意味する。
ステップS13及びS14が、劣化予測方法を用いて劣化予測を行う工程に相当する。ステップS15及びS16が、劣化予測の結果に基づいてグリスに含有させるフィラーの含有量を調整するフィラー調整工程に相当する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:半導体装置
3:半導体素子
4a、4b:放熱板
5:スペーサ
6a、6b:冷却器
7:グリス
8:パッケージ
10:パワーモジュール
17:グリス
17a:弾性要素
17b:粘性要素
21a、21b:平板
23:素子モデル
24:熱抵抗モデル
27:グリスモデル
29:冷媒モデル
G1:貯蔵弾性率
G2:損失弾性率
dD:歪み耐力

Claims (7)

  1. 半導体素子を収容した半導体モジュールと冷却器の間に塗布されるグリスの劣化予測方法であり、
    前記半導体素子の予定される最高使用温度における前記グリスの初期の貯蔵弾性率G1を初期の損失弾性率G2で除した変数G1/G2と、
    前記初期の貯蔵弾性率G1と前記初期の損失弾性率G2が同じ値となるときの前記グリスの歪みdDと、を用いて所定熱サイクル後の前記グリスの劣化予測方法。
  2. 数式1によって、前記半導体素子が20℃から120℃への温度変化を20万サイクル繰り返した後の前記グリスの熱抵抗の増分の予測値Aを得る、請求項1に記載の劣化予測方法。
    A=0.001×(22.57-0.7504×dD+267.4312×(1-G1/G2)) (数式1)
  3. 請求項1または請求項2の劣化予測方法を用いて劣化予測を行う工程と、
    前記劣化予測の結果に基づいて前記グリスに含有させるフィラーの含有量を調整するフィラー調整工程と、
    を備えている、グリスの製造方法。
  4. 請求項1または請求項2の劣化予測方法を用いて劣化予測を行う工程と、
    前記劣化予測の結果に基づいて架橋オイルの架橋数を調整する架橋数調整工程と、
    を備えている、グリスの製造方法。
  5. 半導体素子を収容した半導体モジュールと冷却器の間に塗布されるグリスであり、
    前記半導体素子の予定される最高使用温度における前記グリスの初期の貯蔵弾性率G1を初期の損失弾性率G2で除した変数G1/G2と、
    前記初期の貯蔵弾性率G1と前記初期の損失弾性率G2が同じ値となるときの前記グリスの歪みdDが、数式2を満足するグリス。
    0.02≧0.001×(22.57-0.7504×dD+267.4312×(1-G1/G2)) (数式2)
  6. フィラーとしてシリカを含有している請求項5に記載のグリス。
  7. 請求項5又は6に記載されたグリスの製造方法であり、
    架橋オイルの架橋数を調整する調整工程を含んでいる、グリスの製造方法。
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