JP2019173615A - 回転機械 - Google Patents
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しかしながら、このような方法では、上記の冷却ガスの場合と同様、シールガスの循環流量が循環ガスに加算されることでターボ圧縮機の処理流量が増加することから、ターボ圧縮機の消費電力が増大するという問題があった。
このように、タービンインペラの背面に突条部を設けることで、この突条部が高速回転することに伴う遠心力によって、タービンインペラと背面側固定壁との隙間における冷却ガスの圧力が上昇する。これにより、タービンインペラの外周側における低温ガスと、上記の隙間内の冷却ガスとの圧力差が小さくなるので、低温ガスがハウジングの回転機構収容部内に侵入するのを効果的に抑制できる。従って、モータや軸受等の構成部品の過冷却による結露や寸法変化又は損傷等が生じることがなく、また、冷却ガスの流量を増大させることなく、消費電力を低減しながら、優れた動作効率が得られる。
なお、上記の図2(a),(b)、図3(a),(b)、及び図4(a),(b)においては、図示の都合上、平面視で円形状とされたタービンインペラ5を半円領域のみで示すとともに、図2(a)、図3(a)、及び図4(a)については、図1中に示すタービンインペラ5及びその周辺部のみを示している。
また、図1の冷却ガス流路9を示す断面図は、説明及び図示の都合上、冷却ガス流路9(9a,9b,9c,9d)等の各配置位置や形状、寸法関係等を変更した模式図として示している。
まず、本実施形態の回転機械1の全体構成について説明する。
図1及び図2(a),(b)に示すように、本実施形態の回転機械1は、少なくとも、回転軸4と、ロータ部21及び該ロータ部21と対向して配置されるステータ部22からなるモータ2と、回転軸4の一方の端部であるタービン側端部4A側に取り付けられるタービンインペラ5と、タービンインペラ5の前面5a側と対向して配置されるシュラウド20aを有するシュラウドリング20と、タービンインペラ5の背面5b側と対向するように隙間C1を有して配置される背面側固定壁30と、上記の各構成部品を内部に収容するハウジング8と、ハウジング8内に形成され、上記の各構成部品を直接冷却するための冷却ガスG4が通過する冷却ガス流路9と、を備え、概略構成される。
そして、本実施形態の回転機械1は、タービンインペラ5が、背面5b側に、タービンインペラ5と背面側固定壁30との隙間C1に収容されるように、少なくとも1以上の突条部51が設けられて構成される。
ここで、本明細書においては、突条部51における、タービンインペラ5の外周側に配置された端部を先端51a、内周側、即ち回転軸4側に配置された端部を後端51bと称する。
また、図示例の回転機械1においては、さらに、アキシャル軸受6と、ラジアル軸受7と、回転軸4の他方の端部である端部4B側に取り付けられるコンプレッサインペラ50とを備えている。
ロータ部21の材質としては、特に限定されず、高速回転で用いられるモータにおいて一般的に用いられている永久磁石等の磁性材料を何ら制限無く用いることができる。
アキシャル軸受6としては、回転軸4を高速回転で支持可能なものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、非接触の磁気軸受や気体軸受等を用いることができる。図示例においては、アキシャル軸受6が、回転軸4と一体で形成されたスラスト板6aと一対の磁気コイル6bとからなる磁気軸受から構成され、一対の磁気コイル6bで発生する磁力でスラスト板6aが非接触で支持されている。
ラジアル軸受7も、アキシャル軸受6と同様、回転軸4を高速回転で支持可能なものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、非接触の磁気軸受や気体軸受等を用いることができる。
タービンインペラ5としては、従来からラジアルタービン(膨張機)の分野で用いられているものと同様の金属材料(例えば、アルミ合金やチタン合金等)からなるインペラを用いることができる。
また、図1に示す例においては、タービンインペラ5が、後述のハウジング8において一端側に配置されたタービンスクロール84内に収容されることで、ターボ膨張機3Aを構成する。
コンプレッサインペラ50も、タービンインペラ5の場合と同様、従来から遠心式ターボ圧縮機の分野で用いられているものと同様の金属材料(例えば、アルミ合金やチタン合金等)からなるインペラを用いることができる。
なお、シュラウドリング20の材質としては、特に限定されず、従来からこの分野で用いられている金属材料(例えば、熱伝導率が小さなステンレス鋼等)を何ら制限無く用いることが可能である。
背面側固定壁30には、回転軸4のタービン側端部4A側が挿通される貫通孔31が形成されている。また、貫通孔31の内壁には、この貫通孔31と回転軸4との間の隙間C3をシールするための、環状の凹凸部からなるラビリンスシール31aが形成されている。
以下、図1の断面図を用いて、冷却ガス流路9について説明する。
また、突条部51は、タービンインペラの背面5において、2〜10箇所の2の倍数(又は偶数)で等間隔で配置されていることが好ましい。ここで、図3においては、上述したように、突条部51を3箇所のみ表示しているが、実際には、突条部51が6箇所に設けられ、それぞれ周方向において等間隔で配置されている。
突条部51の先端51aの位置が、タービンインペラ5の半径に対して50%以上であれば、上記のように、突条部51の高速回転による遠心力をより効果的に発生させ、低温ガスG3が回転軸4と貫通穴31とのラビリンスシール31aを通過してハウジング8の回転機構収容部81B内に侵入するのを抑制できる効果がより顕著に得られる。
また、突条部51の先端51aの位置が、タービンインペラ5の半径に対して95%以下であれば、タービンインペラ5の外周縁において、低温ガスG3の流通に影響が及ぶのを抑制できる。
また、上記の観点からは、突条部51の先端51aの位置は、タービンインペラ5の半径に対して50〜95%の範囲の位置であることがより好ましく、80〜90%の範囲の位置であることがさらに好ましい。
突条部51の高さが0.5mm以上であることで、上記のような、突条部51の高速回転による遠心力を効果的に発生させ、低温ガスG3がハウジング8の回転機構収容部81B内に侵入するのを抑制できる効果が安定的に得られる。
また、突条部51の高さが3mm以下であれば、タービンインペラ5の背面5bと背面側固定壁30との隙間C1を小さなサイズで設計できるので、回転軸4と貫通穴31とのラビリンスシール31aを通過してハウジング8の回転機構収容部81B内に低温ガスG3が侵入するのをより効果的に抑制できる。
以下に、本実施形態の回転装置1を駆動した場合に冷却動作について、図1〜3を参照しながら詳述する。
この際、まず、ターボ圧縮機3B側において、コンプレッサインペラ50の高速回転に伴い、流体入口85aから導入される、例えば、常温のヘリウムガスやネオンガス等の流体(例えば303K:常温)からなる流体G0を断熱圧縮(昇圧)させ、高圧(例えば0.5〜3MPa)、且つ、高温(例えば360K)とされた流体G1を流体出口85bから排出する。
一方、ターボ膨張機3A側においては、まず、ターボ圧縮機3B側の流体出口85bから排出された高圧・高温の冷媒ガスである流体G1が、図示略の熱交換器等により、例えば73K程度まで降温されることで高圧・低温の低温ガスG2とされた後、入口84aから導入される。そして、低温ガスG2は、タービンインペラ5の高速回転に伴って断熱膨張され、低圧(例えば0.25〜1MPa)、且つ、低温(例えば66K等の40〜77Kの範囲)とされた低圧・低温の低温ガスG3を出口84bから排出する。
そして、この低圧・低温の低温ガスG3により、真空容器100内又は真空容器100外に設置された図示略の各種超電導装置、例えば、超電導電力ケーブルや超電導変圧器、超電導モータ等の電力機器を冷却する。
そこで、本実施形態の回転機械1においては、まず、上記の冷却ガス流路9aに冷却ガスG4を供給することにより、モータ2及び回転軸4における昇温を抑制し、また、冷却ガス流路9bに冷却ガスG4を供給することにより、アキシャル軸受6における昇温を抑制する。さらに、回転機械1では、上記の冷却ガス流路9c,9dに冷却ガスG4を供給することにより、ラジアル軸受7A,7B及び回転軸4における昇温を抑制する。
これにより、構成部品の過冷却による結露や損傷等が生じることなく、また、冷却ガスの流量を増大させることなく、消費電力を低減することができるので、動作効率に優れた回転機械1が実現できるものである。
以上説明したように、本実施形態の回転機械1によれば、少なくとも、回転軸4、モータ2、タービンインペラ5、シュラウドリング20、及び背面側固定壁30を収容し、これら各構成部品を冷却するための冷却ガスG4が通過する冷却ガス流路9が内部に形成されたハウジング8を備え、さらに、タービンインペラ5の背面5b側に、タービンインペラ5と背面側固定壁30との隙間C1に収容されるように、少なくとも2以上の突条部51が設けられた構成を採用している。
上記のように、タービンインペラ5の背面5bに突条部51を設けることで、この突条部51が高速回転することに伴う遠心力によって、タービンインペラ5と背面側固定壁30との隙間C1における冷却ガスG4の圧力が上昇する。これにより、タービンインペラ5の外周側における低温ガスG3と、隙間C1内の冷却ガスG4との圧力差が小さくなるので、低温ガスG3がハウジング8の回転機構収容部81B内に侵入するのを効果的に抑制できる。従って、モータ2やアキシャル軸受6、ラジアル軸受7等の各構成部品の過冷却による結露や寸法変化又は損傷等が生じることがなく、また、冷却ガスG4の流量を増大させることなく、消費電力を低減しながら、優れた動作効率が得られる。
2…モータ
21…ロータ部
22…ステータ部
22a…固定部材
22b…界磁コイル
3A…ターボ膨張機
3B…ターボ圧縮機
4…回転軸
4A…タービン側端部(一方の端部)
4B…圧縮機側端部(他方の端部)
5…タービンインペラ
5a…前面
5b…背面
51…突条部
52…インペラ段差部
6…アキシャル軸受
6a…スラスト板
6b…磁気コイル(一対の磁気コイル)
7…ラジアル軸受
8…ハウジング
81B…回転機構収容部
81C…冷却ジャケット
81D…内部流路
81E…導入部
81F…排出部
82…フランジ
84…タービンスクロール
84a…入口(低温ガス)
84b…出口(低温ガス)
85…コンプレッサスクロール
85a…流体入口
85b…流体出口
9,9a,9b,9c,9d…冷却ガス流路
20…シュラウドリング
20a…シュラウド
30…背面側固定壁
31…貫通孔
32…固定壁段差部(環状の固定壁段差部)
31a,41a…ラビリンスシール(隙間)
100…真空容器
C1,C2,C3…隙間
G0,G1…流体
G2,G3…低温ガス
G4,G5…冷却ガス
Claims (10)
- 少なくとも、
回転軸と、
前記回転軸に一体に設けられたロータ部と、該ロータ部と対向して配置されるステータ部とからなり、前記回転軸を回転させるモータと、
前記回転軸の一方の端部側に取り付けられるタービンインペラと、
前記タービンインペラの前面側と対向するように隙間を有して配置されるシュラウドを有するシュラウドリングと、
前記タービンインペラの背面側と対向するように隙間を有して配置される背面側固定壁と、
少なくとも、前記回転軸、前記モータ、前記タービンインペラ、前記シュラウドリング、及び前記背面側固定壁を収容するハウジングと、
前記ハウジング内に形成され、少なくとも、前記回転軸、及び前記モータを直接冷却するための冷却ガスが通過する冷却ガス流路と、
を備え、
前記タービンインペラは、前記背面側に、前記タービンインペラと前記背面側固定壁との隙間に収容されるように、少なくとも2以上の突条部が設けられていることを特徴とする回転機械。 - 前記突条部は、前記背面において、複数で所定の間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
- 前記突条部は、前記背面において、4〜10箇所で等間隔で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の回転機械。
- 前記突条部は、前記背面において、前記回転軸の中心側から外周側に向けて放射状に延設されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の回転機械。
- 前記突条部は、前記背面において、前記回転軸の中心側から前記外周側に向けて延設された先端の位置が、前記タービンインペラの半径に対して50〜95%の範囲の位置であることを特徴とする請求項4に記載の回転機械。
- 前記突条部は、前記背面において、前記回転軸の中心側に配置された後端の位置が、前記タービンインペラの半径に対して20〜50%の範囲の位置であることを特徴とする請求項4に記載の回転機械。
- 前記突条部は、前記背面からの高さが0.5〜3mmであることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の回転機械。
- さらに、前記背面側固定壁の表面に、前記タービンインペラに設けられた前記突条部を前記外周側から囲むように、環状の固定壁段差部が少なくとも1箇所以上で設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の回転機械。
- さらに、前記タービンインペラの前記背面に、前記突条部を前記外周側から囲むように、環状のインペラ段差部が少なくとも1箇所以上で設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の回転機械。
- さらに、前記背面側固定壁の表面に、前記タービンインペラに設けられた前記突条部を前記外周側から囲むように、環状の固定壁段差部が少なくとも1箇所以上で設けられているとともに、前記タービンインペラの前記背面に、前記突条部を前記外周側から囲むように、環状のインペラ段差部が少なくとも1箇所以上で設けられており、前記固定壁段差部と前記インペラ段差部とが、それぞれ対向して同心円状に配置され、且つ、前記タービンインペラと前記背面側固定壁との隙間において交互に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の回転機械。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024075438A1 (ja) * | 2022-10-07 | 2024-04-11 | 三菱重工業株式会社 | 冷凍システム |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55163433U (ja) * | 1979-05-15 | 1980-11-25 | ||
JP2016075183A (ja) * | 2014-10-03 | 2016-05-12 | 三菱重工業株式会社 | 過給機 |
JP2017219246A (ja) * | 2016-06-07 | 2017-12-14 | 株式会社Ihi | 回転機械 |
-
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