JP2019172583A - ジェル状化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水変性ポリエーテルウレタンを含有するジェル状の化粧料であって、疎水変性ポリエーテルウレタン配合に伴うべたつき感がなく、さらに好ましいパック作用を有する化粧料を提供することを課題とする。【解決手段】次の(A)〜(D)を含有するジェル状化粧料。(A)疎水変性ポリエーテルウレタン(B)アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる1以上(C)球状ポリウレタン粉末(D)多糖類および/又は多糖類の誘導体【選択図】なし

Description

本発明はジェル状の化粧料に関する。
ジェル状やシートマスク状など複数種の形態のパック化粧料が提供されている。ジェル状のパック化粧料は、皮膚に塗布した後、暫時経過後、或いは、一夜放置し、その後ふき取り、又は洗浄する。なかでも疎水変性ポリエーテルウレタン(特許文献1)を配合したジェル状のパック化粧料は、好適なリフトアップ感を感じさせるジェルを調製することができ、保湿作用にも優れることが知られている。
また、近年では、このようなジェル状化粧料にあって、皮膚に保湿性を与えた後、自然に皮膚になじみ、ふき取る必要のない化粧料も提供されている。しかしこれらのジェル状のふき取り不要の化粧料に配合される疎水変性ポリエーテルウレタンは、塗布後のべたつき感が強く、好ましい使用感を得られない場合がある。この使用感を改善するため、さまざまな提案がなされている。
特許文献2には、この疎水変性ポリエーテルウレタン配合による特有のべたつきを軽減するため、寒天とリン脂質を組み合わせたゲル状組成物が提案されている。
特許文献3には、疎水変性ポリエーテルウレタンと、ゲル化能を有する親水性化合物からなるゲルの破砕により得られるミクロゲルと、N−ラウロイル−L−グルタミン酸エステルを特定量配合することによってべたつきを軽減したゲル状水中油型乳化皮膚化粧料が記載されている。
特許文献4には、疎水変性ポリエーテルウレタンを1.0〜2.0質量%と、ゲル化能を有する親水性化合物からなるゲルの破砕により得られるミクロゲルと、樹脂または無機材料からなる粉末を0.5〜2.0質量%含有するゲル状の乳化化粧料が記載されている。
特許文献5には、疎水性変性ポリエーテルウレタン、デンプン・アクリル酸ブロック重合体、水膨潤性粘土鉱物を含有したジェル状の化粧料が記載されている。
しかし、これらの先行技術に記載された疎水変性ポリエーテルウレタン配合のジェル状化粧料は、特有のべたつき感を必ずしも解消できていない。
特開2000−234085号公報 国際公開第2015/146948号 特開2013−193963号公報 特開2014−040385号公報 特開2015−030698号公報
本発明者は、保湿性の良いジェル状化粧料の開発を進める過程で、疎水変性ポリエーテルウレタンとヒアルロン酸や多糖類を併用すると、優れた保湿性のある化粧料を得られることに着目した。しかし、べたつき感を解消することが困難であった。この問題の解決のため、種々の試行錯誤を繰り返した結果、本発明をなした。
すなわち、本発明は、疎水変性ポリエーテルウレタンを含有するジェル状の化粧料であって、べたつき感がなく、さらに好ましいパック作用を有し、安定性に優れた化粧料を提供することを課題とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)次の(A)〜(D)を含有するジェル状化粧料。
(A)疎水変性ポリエーテルウレタン
(B)アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる1以上
(C)球状ポリウレタン粉末
(D)多糖類および/又は多糖類の誘導体
(2)(A)疎水変性ポリエーテルウレタンが、(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーである(1)に記載のジェル状化粧料
(3)(C)球状ポリウレタン粉末が、6〜7モルのヘキシルラクトンでエステル化したトリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートの反応で得られる架橋縮合重合体をシリカで被覆した球状粉末である(1)又は(2)に記載のジェル状化粧料。
(4)(D)多糖類がヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、ヒアルロン酸をビニルスルホン酸で架橋した重合体又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、シロキクラゲ多糖体、ソルビトール発酵多糖、キサンタンガム、サクシノグルカン、クインスシードエキス、ペクチン、マンナン、アルギン酸塩、ヒドロキシエチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はその塩から選ばれる1以上である(1)〜(3)のいずれかに記載のジェル状化粧料。
本発明のジェル状化粧料は、疎水変性ポリエーテルウレタン配合に伴うべたつき感がない化粧料となる。また皮膚に塗布すると、パック作用を発揮し、皮膚に好ましい保湿感を与える。また、肌に良くなじむため、長時間塗布した状態であっても全く違和感を与えない。このため就寝時に塗布すると、強い保湿効果を一夜維持し、さらに配合した薬効成分の浸透を促進して、皮膚の張りを改善する。
本願は、(A)疎水変性ポリエーテルウレタン、(B)アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる1以上、(C)球状ポリウレタン粉末、(D)多糖類および/又は多糖類の誘導体を含有するジェル状化粧料に係る発明である。
(A)成分
疎水変性ポリエーテルウレタンは、会合性の増粘機構を有する水溶性増粘剤として化粧料に一般的に使用されている(特許文献1参照)。本発明のジェル状化粧料は、疎水変性ポリエーテルウレタンを配合することで、ジェル状の形態とすることができる。
より具体的には、疎水変性ポリエーテルウレタンとして、(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーを好ましく使用することができる。市販品としてはADEKA社製「アデカノールGT−700」あるいは「アデカノールGT−730」を用いることができる。「アデカノールGT−730」は、(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマー30質量%、1,3−ブチレングリコール50質量%、水19.97質量%、トコフェロール0.03質量%から成る。
本発明のジェル状化粧料における(A)成分の疎水変性ポリエーテルウレタンの含有量は、好ましいジェル状を維持することが可能な量であれば、特に限定されないが、0.1〜3質量%、好ましくは0.3〜1.5質量%であり、より好ましくは0.7〜1.2質量%である。
(A)成分の疎水変性ポリエーテルウレタンの配合量が1.2質量%を超えると、べたつき感が生じる恐れがある。疎水変性ポリエーテルウレタン配合化粧料特有の使用感(肌のなめらかさやパック感)を発揮しつつ、べたつきをできる限り抑えたい場合には(A)成分の疎水変性ポリエーテルウレタンの含有量を、0.8〜1.15質量%の範囲とすることが最も好ましい。
(B)成分
本発明の(B)成分は、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーである。
アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体としては、例えば、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマーを例示できる。市販されているアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマーとしては、クラリアント社製「Aristoflex AVC」を例示できる。
カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、ルーブリゾール社製「カーボポール980」、和光純薬工業社製「ハイビスワコー105」および「ハイビスワコー103」などを例示できる。
また、アルキル変性カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、ルーブリゾール社製「カーボポール ETD2020」、「PEMULEN TR−1」、「PEMULEN TR−2」などを例示できる。
本発明の実施に当たっては、アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーの一種もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のジェル状化粧料において、(B)成分であるアクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーの1以上を、合計量で0.01〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%、より好ましくは0.2〜0.3質量%配合すると好ましい。
本発明においては、(B)成分は、主として後述する(C)球状ポリウレタン粉末の組成物中での安定化に寄与する。
(C)成分
本発明に用いる(C)成分の球状ポリウレタン粉末は、固形粉末化粧料に配合することで、当該化粧料に特徴的なやわらかい感触をもたらすため、しばしばファンデーションやアイシャドウなどの固形状メイクアップ化粧料に汎用されている(例えば特開2010−47528参照)。
本発明にあっては、ジェル状化粧料に球状ポリウレタン粉末を配合することで、疎水性ポリエーテルウレタンに由来するべたつき感を顕著に改善する。本発明に使用する球状ポリウレタン粉末は、ポリウレタンからなる球状を呈する粒子から構成された粉体である。本発明においては、球状ポリウレタン粒子の表面をシリカで被覆したものが好ましく使用できる。
本発明に使用可能なシリカで被覆された球状ポリウレタン粉末の市販品としては、アイカ工業社製の「ガンツパールGU−1500」(平均粒子径15μm)、大日精化工業社製の「ダイミックビーズCM−1077」(平均粒子径7μm)、「ダイミックビーズCM−1157」(平均粒子径15μm)、コニシ社製の「ウレパールUS−01」(平均粒子径10μm)等を例示できる。
商品名「ガンツパールGU−1500」、「ダイミックスビーズCM−1077」及び「ダイミックビーズCM−1157」は、6〜7モルのヘキシルラクトンでエステル化したトリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートの反応で得られる架橋縮合重合体[表示名称:(HDI/トリメチルヘキシルラクトン)クロスポリマー]をシリカで被覆した球状粉末である。商品名「ウレパールUS−01」は、ポリ(1,4−ブタンジオール)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の反応生成物をビスアミノプロピルアミンで架橋した重合体[表示名称:(IPDI/ポリ(1,4−ブタンジオール)−14)クロスポリマー]をシリカで被覆した球状粉末である。より好ましいのは、6〜7モルのヘキシルラクトンでエステル化したトリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートの反応で得られる架橋縮合重合体[表示名称:(HDI/トリメチルヘキシルラクトン)クロスポリマー]をシリカで被覆した球状粉末である。
本発明に用いる(C)球状ポリウレタン粉末の平均粒径は1〜50μmであり、好ましくは2〜40μmであり、より好ましくは4〜20μmである。
本発明のジェル状化粧料には、これらの球状ポリウレタン粉末を0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%配合すると好ましい。べたつきのなさを特に重要視する場合には、2〜3質量%配合するとより一層好ましい。
球状ポリウレタン粉末を配合することで、疎水性ポリエーテルウレタンに由来する化粧料の塗布後のべたつき感が顕著に改善する。
(D)成分
本発明に用いる(D)成分の多糖類および/又は多糖類の誘導体は、(A)成分である疎水変性ポリエーテルウレタンと併用することでジェル状化粧料の保湿性能を向上させる。また、皮膚に特徴的な使用感を与える。
(D)成分の多糖類および/又は多糖類の誘導体の具体例としては、ヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、ヒアルロン酸をビニルスルホン酸で架橋した重合体又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、シロキクラゲ多糖体、ソルビトール発酵多糖、キサンタンガム、サクシノグルカン、クインスシードエキス、ペクチン、マンナン、アルギン酸塩、ヒドロキシエチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はその塩等が挙げられる。これらの多糖類および/又は多糖類誘導体の中でも、ヒアルロン酸又はその塩、ヒアルロン酸をビニルスルホン酸で架橋した重合体又はその塩、シロキクラゲ多糖体、ソルビトール発酵多糖が好ましい。ヒアルロン酸又はその塩、シロキクラゲ多糖体が特に好ましい。本発明の化粧料に配合する場合、これらの多糖類および/又は多糖類誘導体の一種以上を組み合わせて配合しても良い。
本発明のジェル状化粧料には、(D)の多糖類および/又はその誘導体を合計量で、0.001〜1質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%配合すると好ましい。翌朝の保湿感を特に重要視する場合には、0.03〜0.06質量%配合するとより一層好ましい。
(E)成分(任意成分)
本発明のジェル状化粧料には、化粧料に常用される各種成分を、本発明の効果を損なわない範囲で任意に配合することができる。例えば、前記のA、B、D以外の増粘剤、油分、アルコール、天然高分子、合成高分子、糖類、各種抽出液、乳化剤、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、色素、香料、pH調整剤等を適宜配合することができる。
本発明のジェル状化粧料の粘度は、B型粘度計(25℃、4号ローター、12回転、30秒)で測定したときの粘度が10000〜60000mPa・sであると好ましい。
以下のとおり実施例及び比較例のジェル状化粧料を調製し、これを用いた評価試験を行った。
1.ジェル状化粧料の調製
表1に示す組成の実施例1〜9、および表2に示す組成の比較例1〜11のジェル状化粧料を、常法により調製した。得られた化粧料はいずれもB型粘度計(25℃、4号ローター、12回転、30秒)で測定したときの粘度が10000〜40000mPa・sの好ましいジェル状を示した。
2.ジェル状化粧料の評価
調製した各ジェル状化粧料を、官能評価員が夜就寝前に0.8gとって顔に塗布し、手全体で被塗布部に試料を塗り広げてなじませた。以下の4つの評価項目について、官能評価により、下記基準で評価した。評価は官能評価員10名で行い、その平均点を求めた。
(評価項目)
1.塗布後のべたつきのなさ:試料の肌へのなじみ際からなじんだ直後にかけてのべた
つきのなさ
2.塗布後の保湿感の良さ :試料を肌へ塗布してなじませた直後のしっとりとした感
触の良さ
3.翌朝の保湿感の良さ :試料を塗布して就寝した後、翌朝の肌のしっとりとした
感触の良さ
4.翌朝のなめらかさ :試料を塗布して就寝した後、翌朝の肌のつるつるとした
パック効果感の良さ
(評価基準)
5点:非常に良い
4点:良い
3点:やや良い
2点:悪い
1点:非常に悪い
(判定基準)
10名の評価者の評点の平均点から次の3段階で判定した。
○:平均点が4点以上
△:平均点が3点以上4点未満
×:平均点が3点未満
また各試料をスクリューキャップ付ガラス瓶に100mL充填し、50℃で1ヶ月間保管した後の外観を目視観察して、ジェル状化粧料の安定性を評価した。
(判定基準)
○:分離や配合した粉末(C成分)の凝集がなく均一な状態を保っている
×:分離や配合した粉末(C成分)の凝集を生じて不均一である
3.評価結果
下記表1、表2の下段に示した。
本発明による実施例1〜9の組成のジェル状化粧料は、いずれも疎水変性ポリエーテルウレタンによるべたつき感を抑制し、肌に好ましい保湿感とパック効果感を与えた。詳細には塗布後、すばやく肌になじみ翌朝までその保湿感(しっとりとした感触のよさ)が持続した。また翌朝の肌は、なめらかで、つるつるとしたパック効果感を実感させるものであった。すなわち、本発明の化粧料は、肌に塗布した直後だけでなく、一夜経過後の翌朝まで、好ましいしっとり感が持続し、パック効果感を使用者に実感させるものであった。
比較例1は成分(D)の多糖類および/又は多糖類の誘導体を配合しない組成である。
比較例2〜8は成分(C)の球状ポリウレタン粉末を配合しない組成である。
比較例9と10は成分(B)のアクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーのいずれも配合しない組成である。なお(C)球状ポリウレタン粉末の組成物中での安定化を目的として比較例9と10では他の成分の増量や代替成分の追加を行った。すなわち比較例9では(B)成分を含まない代わりに、組成物を増粘させる効果もある成分(A)を2.8質量%から3.8質量%に増量させ、比較例10では(B)成分を含まない代わりに、組成物を増粘させる効果を有する、任意成分のポリアクリル酸ナトリウムを配合した。
比較例11は成分(A)の疎水変性ポリエーテルウレタンを配合しない組成である。
比較例11は、塗布後の保湿感の良さ(×)、翌朝の保湿感の良さ(×)、翌朝のなめらかさ(つるつるとしたパック効果感)(×)の評価であった。つまり、(A)成分の疎水変性ポリエーテルウレタンが、本発明の化粧料にあっては保湿感と翌朝の肌の状態(パック効果感)に大きく寄与していることがわかった。
比較例9は、塗布後のべたつきのなさ(×)、製剤の安定性(×)の評価であった。(A)成分を増量させても(C)球状ポリウレタン粉末は凝集してしまい、組成物中での安定化は図れなかった。
比較例10は、(B)成分に代えて、類似した特性を有すると考えられているポリアクリル酸ナトリウムを配合した組成としたが、塗布後の保湿感の良さ(×)、翌朝の保湿感の良さ(×)の評価、製剤の安定性(×)となった。つまり(B)成分のかわりに組成物を増粘させる他の任意成分を添加しても(C)球状ポリウレタン粉末は凝集してしまい、組成物中での安定化は図れなかった。本発明において、使用感に悪影響を及ぼさずに(C)球状ポリウレタン粉末の組成物中での安定化を図るためには(B)成分の選択が大切であることが分かった。
比較例2は、(C)成分を配合しない組成である。比較例3〜6は、各種の粉末(多孔性シリカ、ポリメタクリル酸メチル、アルキル変性シリコーン複合粉体、ナイロン−12)を(C)成分;球状ポリウレタン粉末に代えて配合した組成である。比較例2は、塗布後のべたつきのなさ(×)、翌朝の滑らかさ(×)の評価であった。一方(C)成分を多孔性シリカに置換した比較例3と、ポリメタクリル酸メチルに置換した比較例4は、塗布後のべたつきのなさは(〇)の評価であったが、塗布後の保湿感の良さ(×)、翌朝の保湿感の良さ(×)、翌朝のなめらかさ(×)の評価となった。また(C)成分をアルキル変性シリコーン複合体粉体に置換した比較例5とナイロン−12に置換した比較例6は、各粉末が凝集してしまい、明らかに保存安定性が低下した。また比較例5のアルキル変性シリコーン複合体粉体の配合量を0.5質量%に減少させた比較例7は塗布後のべたつきを改善できず(×)評価であった。またアルキル変性シリコーン複合体粉体の配合量を2.5質量%に増量させたうえで界面活性剤も増量して粉体の安定性を向上させた比較例8の組成は、塗布後のべたつきのなさが(×)の評価であった。比較例8のべたつきは界面活性剤によるべたつきも加わった可能性がある。すなわち、(C)成分;球状ポリウレタン粉末を添加しない場合、及び他の粉末に置換した場合は、どのようにしても使用感や安定性に悪影響が出現することが判明した。
比較例1は、(D)成分を配合しない組成である。この組成にあっては、翌朝の保湿感の良さが(×)の評価となった。すなわち(D)成分の配合は、塗布直後の保湿感だけではなく、皮膚に塗布後一夜経過したときの肌の保湿感に大きく寄与することが明らかとなった。
また実施例4の組成のように(D)成分の配合量を0.01質量%に減少させても翌朝の保湿感の良さは(〇)の評価となった。これは(A)成分との組み合わせによるものと考えられた。さらに、実施例1の組成について多糖類としてヒアルロン酸ナトリウムをシロキクラゲ多糖体に置換した実施例5の組成の場合も、実施例1と同様の効果を得ることができた。
以上、表1、表2の評価結果から、本発明の構成である(A)疎水変性ポリエーテルウレタン、(B)アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる1以上、(C)球状ポリウレタン粉末、(D)多糖類および/又は多糖類の誘導体を含有するジェル状化粧料は、好ましい使用感(べたつかない)、持続する保湿効果(しっとりした感触)を有することが明らかとなった。本発明のジェル状化粧料は、特に肌に塗布した後一夜経過後の翌朝に、好ましいパック効果感を使用者に実感させるものであった。

Claims (4)

  1. 次の(A)〜(D)を含有するジェル状化粧料。
    (A)疎水変性ポリエーテルウレタン
    (B)アクリロイルメチルタウレート・ビニルピロリドン共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる1以上
    (C)球状ポリウレタン粉末
    (D)多糖類および/又は多糖類の誘導体
  2. (A)疎水変性ポリエーテルウレタンが、(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーである請求項1に記載のジェル状化粧料。
  3. (C)球状ポリウレタン粉末が、6〜7モルのヘキシルラクトンでエステル化したトリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートの反応で得られる架橋縮合重合体をシリカで被覆した球状粉末である請求項1又は2に記載のジェル状化粧料。
  4. (D)多糖類および/又は多糖類の誘導体がヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、ヒアルロン酸をビニルスルホン酸で架橋した重合体又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、シロキクラゲ多糖体、ソルビトール発酵多糖、キサンタンガム、サクシノグルカン、クインスシードエキス、ペクチン、マンナン、アルギン酸塩、ヒドロキシエチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はその塩から選ばれる1以上である請求項1〜3のいずれかに記載のジェル状化粧料。
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