JP2019171745A - 積層体およびその用途 - Google Patents

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義治 菊地
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Abstract

【課題】本発明の課題は、接着強度が良好な、EPDMなどの非極性の重合体とフッ素系ゴムなどの耐油性に優れる重合体との積層体を得ることにある。【解決手段】本発明は、下記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層、並びに下記層(3)および層(4)から選択される少なくとも1種の層を含む積層体であり、前記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層と層(3)および層(4)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層とが直接接しているか、または接着剤層を介して接してなることを特徴とする積層体に係る。層(1):エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部、オニウム塩0.05質量部以上、並びに、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物0.05質量部以上、7質量部以下を含有する共重合体組成物からなる層層(2):エチレン・カルボン酸共重合体からなる層層(3):アクリル系ゴムからなる層層(4):ハロゲン含有重合体からなる層【選択図】なし

Description

本発明は接着強度に優れる異種の重合体からなる層を有する積層体およびその用途に関する。
合成ゴムなどの重合体から形成される工業用ホースでは、強度、柔軟性、耐熱性、耐屈曲性、耐溶剤性など様々な物性が要求されるが、1種類のゴムですべての要求特性を満足させるのは困難である。このため、異なる性質を有する重合体(合成ゴム)を積層して用いることが一般に行われている。
異種合成ゴムを積層する場合、極性を有する合成ゴムの場合は他の合成ゴムに直接接着することもあるが、非極性のゴムの場合は接着剤層を介して接着する方法が一般的である。
自動車のエンジン回りのゴムホースでは、耐熱老化性、耐疲労性、耐油性などが高いレベルで要求される。そのため、高価なフッ素系ゴムとアクリルゴムを積層したホースが用いられてきた。フッ素系ゴムと、非極性ゴムとの接着では、接着剤層を介して接着するのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。接着剤層を介さないで接着する方法としては、フッ素ゴムおよび加硫剤を含む層と、非フッ素系ゴムおよび加硫剤を含む層とを、加硫接着により接着することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
自動車の省燃費化に向け、近年エンジンはダウンサイジング、ターボ化が進んでいる。ターボチャージャー付きエンジンは、コンプレッサーホイールによって圧縮された空気をチャージエアクーラーで冷却してエンジンに送り込む構造となっており、コンプレッサーホイールとチャージエアクーラー間はゴムホースで繋がれている。このターボチャージャーホースには、高圧・高温(180℃程度)の空気が通るため高い耐熱老化性が求められる。また、空気の通過により発生する絶え間ない圧力振動に耐えるため耐疲労性も求められる。現在このような用途においては、耐熱老化性の高いアクリルゴムやシリコーンエラストマーなどが採用されている。
特許文献3には、エチレン・アルキルアクリレート共重合体を含む組成物およびその硬化物が記載されており、加硫物である硬化物が、従来の加硫物よりも向上した耐衝撃疲労性および耐熱性を示すことが記載されている。
特許文献4には、優れた耐熱性および耐疲労性を有し、内層の亀裂の発生を防ぐものとして、フッ素系ゴムからなる最内層のゴム層と、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン・アクリルゴムなどによる外皮層とを有する、配管の締結構造が提案されている。
また、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)のような非極性ゴムと、他の材料との接着は一般に困難であった。EPDMは、非極性ゴムなので、積層する際に、接着剤層を介する方法が一般的であった(例えば、特許文献5参照)。
また、特許文献6には、EPDMに酸化マグネシウムなどの金属酸化物を配合して、フッ素系ゴムとの接着性を改良することが提案されている。
特表2005−523181号公報 国際公開第2003/039858号 特表2009−500473号公報 特開2013−221580号公報 特開2014−162823号公報 国際公開第2017/150612号
本発明の目的は、接着強度が良好な、EPDMなどの非極性の重合体とフッ素系ゴムなどの耐油性に優れる重合体との積層体を得ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下の積層体であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の積層体は、下記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層、並びに下記層(3)および層(4)から選択される少なくとも1種の層を含む積層体であり、
前記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層と層(3)および層(4)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層とが直接接しているか、または接着剤層を介して接してなることを特徴とする。
層(1):エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部、オニウム塩0.05質量部以上、並びに、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物0.05質量部以上、7質量部以下を含有する共重合体組成物からなる層
層(2):エチレン・カルボン酸共重合体からなる層
層(3):アクリル系ゴムからなる層
層(4):ハロゲン含有重合体からなる層
本発明の積層体は、層間の接着強度が良好であるので、種々の用途に用い得る。
《エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体》
本発明の積層体の層(1)を形成する重合体は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体である。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが好ましい。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。このようなα−オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った積層体を得ることができるため好ましい。これらのα−オレフィンは一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、少なくとも1種のα−オレフィンに由来する構成単位を含んでおり、2種以上のα−オレフィンに由来する構成単位を含んでいてもよい。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を構成する非共役ポリエンとしては、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。これら非共役ポリエンは一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、少なくとも1種の非共役ポリエンに由来する構成単位を含んでおり、2種以上の非共役ポリエンに由来する構成単位を含んでいてもよい。
これら非共役ポリエンとしては、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に有機過酸化物との反応性が良好で、積層体の耐熱性、耐疲労性に優れる観点からはVNBが好ましい。すなわち、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、VNB由来の構成単位を有することが好ましい。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の、VNB由来の構成単位が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量%中、0.07〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8.0質量%であることがより好ましく、0.5〜5.0質量%であることが最も好ましい。
また、非共役ポリエンとしては、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に硫黄や加硫促進剤との反応性が高く、架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすい観点からはENBが好ましい。すなわち、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、ENB由来の構成単位を有することが好ましい。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、下記要件(I)〜(III)の少なくとも一つの要件を満たすことが好ましく、下記要件(I)〜(III)の少なくとも二つの要件を満たすことがより好ましく、下記要件(I)〜(III)を満たすことが特に好ましい。
要件(I):エチレンに由来する構成単位と、α−オレフィンに由来する構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜99.9/0.1である。
要件(II):非共役ポリエンに由来する構成単位が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量%中、0.07〜10質量%である。
要件(III):135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gである。
[要件(I)]
要件(I)は、エチレンに由来する構成単位と、α−オレフィンに由来する構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜99.9/0.1であることを特定するものである。
エチレンに由来する構成単位と、α−オレフィンに由来する構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)は、55/45〜85/15であることがより好ましく、55/45〜78/22であることが特に好ましい。
前記エチレン/α−オレフィンが前記範囲内であると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を架橋することにより得られる、架橋体からなる層が優れたゴム弾性を示し、機械的強度および柔軟性に優れたものとなるため好ましい。また、前記範囲内では、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度ならびに柔軟性に優れるため好ましい。
なお、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体中のエチレンに由来する構成単位と、α−オレフィンに由来する構成単位とのモル比は、13C−NMRにより求めることができる。
[要件(II)]
要件(II)は、非共役ポリエンに由来する構成単位が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量%中、0.07〜10質量%であるであることを特定するものである。
非共役ポリエンに由来する構成単位の量は、0.1〜8.0質量%であることがより好ましく、0.5〜5.0質量%であることが特に好ましい。非共役ポリエンに由来する構成単位を前記範囲内で有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなるため好ましく、架橋密度が大きい架橋体を得ることができるため、架橋体からなる層の硬度を高めることができるため好ましい。
なお、非共役ポリエンに由来する構成単位の量は、13C−NMRにより求めることができる。
[要件(III)]
要件(III)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gであることを特定するものである。
極限粘度[η]は、1.5〜4.0dl/gであることがより好ましい。極限粘度が前記範囲内にあると物性と加工性のバランスが良好であるため好ましい。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の極限粘度[η]は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、下記要件(IV)を満たすことが好ましい。
[要件(IV)]
要件(IV)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、下記式(i)で表されるB値が、1.20以上であることを特定するものである。
B値=([EX]+2[Y])/〔2×[E]×([X]+[Y])〕・・(i)
[ここで[E]、[X]および[Y]は、それぞれ、エチレン、α−オレフィン、および非共役ポリエンのモル分率を示し、[EX]はエチレン−α−オレフィンダイアッド連鎖分率を示す。]
上記B値は、より好ましくは1.20〜1.40であり、特に好ましくは1.20〜1.25である。
B値が前記範囲内では、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、低温での圧縮永久歪が小さくなり、低温でのゴム弾性と常温での引張強度とのバランスに優れるため好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のB値が1.20以上であり、且つ非共役ポリエンがVNBであると、本発明の積層体は特に耐疲労性に優れる傾向があり、好ましい。
なお、B値は、共重合体中における共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示す指標であり、上記式(i)中の[E]、[X]、[Y]、[EX]は、13C−NMRスペクトルを測定し、J. C.Randall [Macromolecules, 15, 353 (1982)]、J. Ray [Macromolecules, 10, 773 (1977)]らの報告に基づいて求めることができる。
なお、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体中のα−オレフィン量(α−オレフィンに由来する構成単位の含量)、非共役ポリエン量(非共役ポリエンに由来する構成単位の含量)は、13C−NMRにより求めることができる。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、前述のようにエチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとに由来する構成単位を有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、他のモノマー(エチレン、α−オレフィン、および非共役ポリエン以外のモノマー)に由来する構成単位を有していてもよい。他のモノマーに由来する構成単位は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量%中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。他のモノマーとしてはスチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
また、本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、重量平均分子量(Mw)が好ましくは10,000〜600,000、より好ましくは30,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜400,000である。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.8〜30、より好ましくは1.8〜25.0、さらに好ましくは2.0〜20.0である。なお、MwおよびMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値として求めることができる。
また、本発明の層(1)を有する積層体を、自動車用ターボチャージャーホースなどの耐熱性ホースの用途に用いる場合には、比較的高分子量のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を好適に用いることができ、具体的には、重量平均分子量(Mw)が100,000〜600,000のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を好ましく用いることができる。
《エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造方法》
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとからなるモノマーを共重合してなる共重合体である。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、どのような製造方法で調製されてもよいが、メタロセン化合物の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることが好ましく、メタロセン化合物を含む触媒系の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることがより好ましい。
本発明に係わるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の好ましい製造方法は、具体的には、国際公開第2017/150612号に記載されている。
《エチレン・カルボン酸共重合体》
本発明の積層体の層(2)を形成する重合体は、エチレン・カルボン酸共重合体である。
本発明に係わるエチレン・カルボン酸共重合体としては、エチレン由来の構成単位およびカルボン酸由来の構成単位を有していればよく、特に限定は無い。エチレン・カルボン酸共重合体としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が好ましい。なお、本発明においてエチレン・カルボン酸共重合体には、エチレン・カルボン酸無水物共重合体を含む。この場合には、エチレン由来の構成単位およびカルボン酸無水物由来の構成単位を有していればよく、特に限定は無い。
本発明に係わるエチレン・カルボン酸共重合体のメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重、JIS K7210(1999))には特に制限はないが、0.01g/10分〜150g/10分であることが好ましく、0.1g/10分〜100g/10分であることがより好ましく、0.5〜50g/10分であることが特に好ましい。
〈エチレン・不飽和カルボン酸共重合体〉
本発明に係わるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、少なくとも、エチレンと不飽和カルボン酸とを共重合させた共重合体を指す。即ち、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体とは、エチレンに由来する構成単位と、不飽和カルボン酸に由来する構成単位とを有する共重合体である。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンおよび不飽和カルボン酸以外のモノマーを用いてもよい。即ち、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンおよび不飽和カルボン酸以外のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。
本発明に係わるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン・不飽和カルボン酸2元共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル3元共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係わるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体中におけるエチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の全量に対し、60質量%〜98質量%が好ましく、70質量%〜98質量%がより好ましく、75質量%〜97質量%が特に好ましい。
エチレンと共重合される不飽和カルボン酸としては、α−β不飽和カルボン酸が挙げられ、より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等)等の炭素数4〜8の不飽和カルボン酸またはハーフエステルが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸は、不飽和カルボン酸の酸無水物であってもよい。不飽和カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水酢酸等が挙げられ、無水マレイン酸が好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体中における不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の全量に対し、2質量%〜25質量%が好ましく、2質量%〜20質量%がより好ましい。
エチレンと共重合される不飽和カルボン酸エステルとしては、α−β不飽和カルボン酸エステルが挙げられ、アルキル部分の炭素数が1〜8であるα−β不飽和カルボン酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸イソブチル、メタクリル酸ノルマルブチルがより好ましい。
本発明に係わるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体が不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位を有する場合には、不飽和カルボン酸エステルの含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の全量に対し、0質量%を超えて25質量%以下が好ましく、2質量%〜25質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体において、共重合し得るその他のモノマー(エチレン、不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸エステル以外のモノマー)としては、一酸化炭素、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
本発明に係わるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体が上記その他のモノマーに由来する構成単位を含む場合、上記その他のモノマーに由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の全量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
本発明に係わるエチレン・カルボン酸共重合体の具体例としては、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体が挙げられる。
本発明に係わるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、市販品をはじめ特に制限なく用いることができる。また、公知の方法を始め、その製法としても特に制限は無い。
《アクリル系ゴム》
本発明の積層体の層(3)を形成する重合体は、アクリル系ゴムである。
本発明に係わるアクリル系ゴムは、(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位を有する重合体から形成されるゴムまたは複合ゴムである。アクリル系ゴムは、(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位を、通常は50〜100質量%含有する重合体であり、0〜50質量%の範囲で、他のモノマー由来の構成単位を有する。
なお、本発明において(メタ)アクリル系モノマーとの用語は、メタクリル系モノマー、アクリル系モノマーを包含する意味で用いる。なお、メタクリル系モノマーとは、CH2=CH(CH3)−COO−構造を分子内に一つ有するモノマーであり、アクリル系モノマーとは、CH2=CH2−COO−構造を分子内に一つ有するモノマーである。
なお、複合ゴムとは、前記(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位を有する重合体が、二種以上のモノマーを用いて重合される重合体である場合に、単に重合するのではなく、段階的に重合することにより得られるゴムのことである。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に制限されないが、通常、(メタ)アクリレートが使用される。その具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
これら単量体のうち、ゴム弾性、モジュラス、機械的強度、耐油性の観点から、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等が好ましい。
本発明に係わるアクリル系ゴムは、(メタ)アクリル系モノマー以外の他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα‐オレフィン;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体等を用いることができる。また、他のモノマーは単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
アクリル系ゴムを製造する際には、架橋剤を用いてもよい。架橋剤としては、分子中に二個以上の不飽和結合を有するモノマーが通常は用いられる。分子中に二個以上の不飽和結合を有するモノマーを使用する場合には、使用するモノマーの質量を100質量%とすると、0.01〜2質量%の範囲で用いることが好ましく、0.05〜1.5質量%の範囲で用いることがより好ましい。
架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーンが挙げられる。架橋剤は単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
本発明に係わるアクリル系ゴムとしては、市販品をはじめ特に制限なく用いることができる。アクリル系ゴムの製造方法としては特に限定は無いが、例えば、乳化剤または分散安定剤として、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などの、各種の界面活性剤を用いて乳化重合、懸濁重合等に重合方法により製造することができる。
《ハロゲン含有重合体》
本発明の積層体の層(4)を形成するハロゲン含有重合体は、ハロゲン含有重合体である。
本発明に係わるハロゲン含有重合体は、分子中にハロゲン原子を含む重合体であり、好ましくは、ハロゲン含有モノマー由来の構成単位を有する重合体である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、ハロゲン含有重合体としては、好ましくはフッ素原子を含む重合体、すなわちフッ素原子含有重合体は好ましい。
ハロゲン含有重合体としては、ゴムであることが好ましく、フッ素原子含有重合体のゴム、すなわち、フッ素系ゴムがより好ましい。
〈フッ素系ゴム〉
本発明に係わるフッ素系ゴムとしては、たとえばビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VdF/テトラフルオロエチレン(TFE)/HFP共重合体、VdF/TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、VdF/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体などのVdF/パーハロオレフィン系エラストマー;TFE/プロピレン/VdF共重合体、HFP/エチレン/VdF共重合体などVdF/非パーハロオレフィン系エラストマー;TFE/PAVE共重合体などのパーフルオロエラストマー;TFE/プロピレン共重合体、HFP/エチレン共重合体などの非パーフルオロエラストマー;フルオロシリコーンゴムなどがあげられる。
前記フルオロ(アルキルビニルエーテル)は複数個のエーテル結合を含むものであってもよい。さらにフッ素系ゴムの分子量は数平均分子量で20,000〜300,000、好ましくは50,000〜200,000が好ましい。
これらのうち、耐熱性、耐油性、耐薬品性の点から、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、TFE/プロピレン/VdF共重合体、HFP/エチレン/VdF共重合体、TFE/プロピレン共重合体、HFP/エチレン共重合体のエラストマーが好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体のエラストマーが特に好ましい。
フッ素系ゴムは、架橋性基含有単位として、ビニル基やアリル基を複数有する多官能モノマーやヨウ素や臭素含有モノマーを共重合してもよい。また、熱処理などを施すことにより脱フッ酸を促進して架橋点となる二重結合を分子中に生成させてもよい。特に架橋性単位として、ヨウ化オレフィン、臭化オレフィンを用い、ヨウ化オレフィン由来の構成単位あるいは臭化オレフィン由来の構成単位を有するフッ素系ゴムが好ましい。
またフッ素系ゴム中の架橋点含有量(例えば、架橋性単位として臭化オレフィンを用いた場合には臭化オレフィン由来の構成単位の含有量)は0.05〜5モル%であることが好ましく、さらに好ましくは0.15〜3モル%、特に好ましくは0.25〜2モル%である。架橋点がこれより少ないとシール性や接着強度が不充分となり、これより多いと伸びや柔軟性が低くなるなどゴム弾性が失われてしまう。
《層(1)》
本発明の層(1)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部、オニウム塩0.05質量部以上、並びに、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物0.05質量部以上、7質量部以下を含有する共重合体組成物からなる層である。
本発明に係わる共重合体組成物は、オニウム塩を、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上含む。オニウム塩の上限としては特に限定はされないが、通常は10質量部、好ましくは8質量部である。
また、本発明に係わる共重合体組成物は、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物(以下、「無機化合物(E)」と略称する場合がある。)を、好ましくは0.06〜7質量部、より好ましくは0.08〜7質量部含む。前記範囲内で、オニウム塩を含むと、接着性に優れるため好ましく、前記範囲で無機化合物(E)を含むと引張強度に優れるため好ましい。
本発明に係わる共重合体組成物が、オニウム塩および前記無機化合物(E)を上記量で含むことにより、当該層(1)と、下記層(3)または下記層(4)との接着強度が良好な積層体を得ることができる。
[オニウム塩]
オニウム塩としては、例えば、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、環状アミン、1官能性アミン化合物などがあげられ、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましい。
オニウム塩は、一種単独で用いられてもよく、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
前記第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、塩化ジアルキル(C14−18)ジメチルアンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム塩、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリドなどがあげられる。これらの中でも、塩化ジアルキル(C14−18)ジメチルアンモニウムが好ましい。
また、第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、たとえば、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどをあげることができ、これらの中でも、加硫性、加硫物の物性の点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(BTPPC)が好ましい。
また、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている化合物を用いることもできる。
また、アミン化合物としては、たとえば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4'−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどがあげられる。これらの中でも、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
オニウム塩としては、市販品を用いてもよく、例えば、「リポカード2HTフレーク」(ライオン・スペシャリティイ・ケミカルズ株式会社製、塩化ジアルキル(C14−18)ジメチルアンモニウム、本発明において「リポカード2HTF」とも記す)を用いることができる。
[2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物]
2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物(無機化合物(E))としては、特に制限は無いが、好ましい例としては、ハイドロタルサイトが挙げられる。
また、無機化合物(E)の別の例としては、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素の酸化物が挙げられる。該酸化物の具体例としては酸化マグネシウムなどが挙げられる。
2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素としては、例えばMg、Ca、Ba、およびAlから選択される少なくとも1種の元素が挙げられる。
無機化合物(E)としては、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、水酸基とを含有する無機化合物が好ましい。
2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、「DHT−4A」(協和化学工業株式会社製、ハイドロタルサイト:Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2O)を用いることができる。
〈その他添加剤〉
本発明に係わる共重合体組成物は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、オニウム塩および、無機化合物(E)に加え、例えば、有機過酸化物、カーボンブラック、老化防止剤、軟化剤、金属酸化物、架橋助剤などを添加(配合)してもよい。
また、本発明に係わる共重合体組成物は、充填剤、発泡剤、酸化防止剤、加工助剤、界面活性剤、耐候剤など、従来よりゴム組成物に添加される各種添加剤成分を含んでいてもよい。さらに、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体以外の樹脂成分を必要に応じて含有してもよい。
[有機過酸化物]
有機過酸化物としては、エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体の架橋剤として作用し得る有機過酸化物をいずれも好適に用いることができる。
有機過酸化物の具体例としては、ジクミルパーオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
有機過酸化物は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に係わる共重合体組成物が有機過酸化物含む場合は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜4質量部の範囲で用いられるのが望ましい。有機過酸化物の配合量が上記範囲内であると、架橋成形体の表面へのブルームが少なく、層(1)が優れた架橋特性を示すため好ましい。
[カーボンブラック]
カーボンブラックとしては、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等の各種カーボンブラック;これらのカーボンブラックをシランカップリング剤などで表面処理した表面処理カーボンブラックなどが挙げられる。
本発明に係わる共重合体組成物がカーボンブラックを含む場合は、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは10〜120質量部程度とすることができる。
本発明に係わる共重合体組成物が、前記範囲内でカーボンブラックを含有していれば、引張強度および耐摩耗性などの機械的性質が向上された積層体を得ることができ、積層体の他の物性を損なうことなくその硬度を高くすることができるため好ましい。
[老化防止剤]
共重合体組成物が、老化防止剤を含有すると、得られる積層体の製品寿命を長くすることが可能である。老化防止剤としては、従来公知の老化防止剤、例えばアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤等を用いることができる。
老化防止剤としては、具体的には、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(別称:4,4'−Dicumyl−diphenylamine)等の芳香族第2級アミン系老化防止剤、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体等のアミン系老化防止剤、ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤等が挙げられる。
老化防止剤は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に係わる共重合体組成物が、が老化防止剤を含有する場合は、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、0.5〜5.0質量部、好ましくは0.5〜4.5質量部、より好ましくは0.5〜4.0質量部である。上記範囲内であると、得られる積層体が、耐熱老化性に優れるため好ましい。
[軟化剤]
軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤、加工助剤等として知られている成分を広く用いることができる。
具体的には、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等の石油系軟化剤;合成油系軟化剤;エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー;パラフィン・ワックス;流動パラフィン;ホワイト・オイル(白油);ペトロラタム;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、錦実油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、パーム油、大豆油、落花生油、木ろう、ロジン、パインオイル、ジペンテン、パインタール、トール油等の植物油系軟化剤;黒サブ、白サブ、飴サブ等のサブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル類;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;クマロン・インデン樹脂;フェノール・ホルムアルデヒド樹脂;テルペン・フェノール樹脂;ポリテルペン樹脂;合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂、水添変性脂環族系炭化水素樹脂、水添炭化水素樹脂、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、アタクチックポリプロピレン等の石油系炭化水素樹脂などが挙げられる。
これらの軟化剤の中では脂肪酸、石油系軟化剤、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂が好ましく、脂肪酸、石油系軟化剤、石油系炭化水素樹脂がさらに好ましく、脂肪酸、石油系軟化剤が特に好ましい。
石油系軟化剤の中では、石油系プロセスオイルが好ましく、この中でもパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等がさらに好ましく、パラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。また石油系炭化水素樹脂の中では、脂肪族系環状炭化水素樹脂が好ましい。これら軟化剤の中でもパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。
これらの軟化剤は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に係わる共重合体組成物が、が軟化剤を含む場合はその配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、通常200質量部未満の量であり、好ましくは0〜100質量部、より好ましくは0〜80質量部、さらに好ましくは0〜70質量部、特に好ましくは0〜60質量部である。
[金属酸化物]
金属酸化物としては、積層体の用途により適宜選択でき、単独でも2種類以上混合して用いることができる。金属酸化物の具体例としては亜鉛華(例えばMETA−Z102)(商品名:井上石灰工業株式会社製などの酸化亜鉛)などが挙げられる。
本発明に係わる共重合体組成物が、金属酸化物を含む場合は、その配合量は通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、通常0.5〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
[架橋助剤]
架橋助剤としては、イオウ;p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;多官能性モノマー、たとえばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。架橋助剤は、一種単独で用いられてもよく、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
本発明に係わる共重合体組成物が架橋助剤を含む場合は、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、通常0〜4.0質量部、好ましくは0〜3.5質量部、より好ましくは0〜3.0質量部、さらに好ましくは0.1〜3.0質量部である。
また、架橋助剤の配合量は、有機過酸化物1モルに対して好ましくは0.5〜2モル、より好ましくはほぼ等モルの量であることも望ましい。
[充填剤]
充填剤としては、シリカ、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、微粉タルク、タルク、微粉ケイ酸、クレー等の無機充填剤などが挙げられる。これらの充填剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して0〜300質量部、好ましくは0〜200質量部程度とすることができる。充填剤用いることにより、引張強度、引裂強度および耐摩耗性などの機械的性質が向上された積層体を得ることができ、得られる積層体の他の物性を損なうことなくその硬度を高くすることができる。
[酸化防止剤]
本発明に係わる共重合体組成物は、その材料寿命を長くできる点から、酸化防止剤を含有していることも好ましい。
酸化防止剤としては、フェニルナフチルアミン、4,4'-(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤;2-メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定剤などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に係わる共重合体組成物が、酸化防止剤を含む場合は、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、たとえば5質量部以下、好ましくは3質量部以下の量で用いることができる。
本発明に係わる共重合体組成物には界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤としては、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン、トリエタノールアミン、「アクチングB(吉富製薬株式会社製)、「アクチングSL(吉富製薬株式会社製)等のアミン類、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリテート、脂肪族および芳香族カルボン酸の亜鉛化合物(例;「Struktol activator 73」、「Struktol IB 531」、「Struktol FA541」 Schill&Seilacher社製)、「ZEONET ZP」(日本ゼオン株式会社製)、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物(例;「リポカード2HTF」(ライオン・スペシャリティイ・ケミカルズ株式会社製、塩化ジアルキル(C14−18)ジメチルアンモニウム)等が挙げられる。界面活性剤としては、リポカード2HTFが最も好ましい。
本発明に係わる共重合体組成物が界面活性剤を含む場合は、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、たとえば0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜8質量部、さらに好ましくは0.3〜7質量部、特に好ましくは0.5〜7質量部、最も好ましくは1〜6質量部である。界面活性剤は、その用途により適宜選択でき、単独でも2種類以上混合して用いることができる。
また、本発明に係わる共重合体組成物には、擬似ゲル防止剤を配合してもよい。擬似ゲル防止剤としては、たとえば、「NHM−007」(三井化学社製)が挙げられる。
本発明に係わる共重合体組成物が擬似ゲル防止剤を含む場合は、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、通常は0.1〜15質量部、好ましくは0.5〜12質量部、さらに好ましくは1.0〜10質量部である。
本発明に係わる共重合体組成物には、必要に応じてさらにその他の添加剤が配合されてもよい。その他の添加剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤等が挙げられる。
本発明に係わる共重合体組成物には、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体以外のその他の樹脂成分を必要に応じて配合してもよい。その他の樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に、ポリオレフィン樹脂を配合すると、製品硬度を調整できるとともに、加工温度でのコンパウンド粘度を下げることができるため、加工性をより向上させることができる。また熱可塑性エラストマーとして取り扱いができ、ハンドリング性、混練手法の幅が広がるため好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、通常、GPCで測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量が10,000以上のポリオレフィン樹脂が好適に用いられる。
ポリオレフィン樹脂としては、α‐オレフィン単独重合体、α‐オレフィン共重合体が挙げられる。α‐オレフィン単独重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、α‐オレフィン共重合体としては、エチレン・炭素原子数3〜20のα‐オレフィン共重合体が挙げられる。エチレン・炭素原子数3〜20のα‐オレフィン共重合体としては、エチレン・プロピレンラバー(EPR)、プロピレン・エチレンラバー(PER)、エチレン・ブテンラバー(EBR)、エチレン・オクテンラバー(EOR)などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、これらの中でも、ポリエチレン、エチレン・α‐オレフィン共重合体、ポリプロピレンが好ましい。
なお、ポリオレフィン樹脂は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に係わる共重合体組成物が、ポリオレフィン樹脂を含む場合は、その配合量は、エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、たとえば1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜50質量部程度である。
前記範囲内では、得られる積層体の硬度を調整できるとともに、加工温度でのコンパウンド粘度を下げることができるため、加工性をより向上させることができる。また熱可塑性エラストマーとして取り扱いができ、ハンドリング性、混練手法の幅が広がるため好ましい。
《層(2)》
本発明の積層体の層(2)は、前述のエチレン・カルボン酸共重合体を用いて作製された層である。
本発明に係わる層(2)は、少なくともエチレン・カルボン酸共重合体を用いて作製されていればよいが、通常はエチレン・カルボン酸共重合体だけでなく、それ以外の成分を原料として用いて、作製される層である。
本発明に係わる層(2)は、通常はエチレン・カルボン酸共重合体を用い、架橋することにより作製される層である。エチレン・カルボン酸共重合体以外の成分としては、例えば、前記層(1)についての説明で記載した、オニウム塩、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物(E)、有機過酸化物、カーボンブラック、老化防止剤、軟化剤、金属酸化物、架橋助剤、その他の成分が挙げられる。
なお、層(2)における上記添加剤の配合量としては、前記層(1)と同様に、該エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を、エチレン・カルボン酸共重合体に置き換えた量で用いることが挙げられる。
《層(3)》
本発明の積層体の層(3)は、前述のアクリル系ゴムを用いて作製された層である。
本発明に係わる層(3)は、少なくともアクリル系ゴムを用いて作製されていればよいが、通常はアクリル系ゴムだけでなく、それ以外の成分を原料として用いて、作製される層である。
本発明に係わる層(3)は、通常はアクリル系ゴムを用い、架橋することにより作製される層である。アクリル系ゴム以外の成分としては、例えば、前記層(1)についての説明で記載したオニウム塩、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物(E)、有機過酸化物、カーボンブラック、老化防止剤、軟化剤、金属酸化物、架橋助剤、その他の成分が挙げられる。
なお、層(3)における上記添加剤の配合量としては、前記層(1)と同様に、該エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を、アクリル系ゴムに置き換えた量で用いることが挙げられる。
《層(4)》
本発明の積層体の層(4)は、前述のハロゲン含有重合体を用いて作製された層である。
本発明に係わる層(4)は、少なくともハロゲン含有重合体を用いて作製されていればよいが、通常はハロゲン含有重合体だけでなく、それ以外の成分を原料として用いて、作製される層である。
本発明の積層体の層(4)は、好ましくはフッ素系重合体である。
本発明に係わる層(4)は、通常はハロゲン含有重合体を用い、架橋することにより作製される層である。ハロゲン含有重合体以外の成分としては、例えば、前記層(1)についての説明で記載したオニウム塩、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物(E)、有機過酸化物、カーボンブラック、老化防止剤、軟化剤、金属酸化物、架橋助剤、その他の成分が挙げられる。
なお、層(4)における上記添加剤の配合量としては、前記層(1)と同様に、該エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を、ハロゲン含有重合体に置き換えた量で用いることが挙げられる。
フッ素系重合体等のハロゲン含有重合体の架橋方法としては、一般に、ポリオール架橋、過酸化物架橋、アミン架橋が知られている。このなかで、アミン架橋は材料保管が難しいことなどから現在では用いられることは少ない。
フッ素重合体等のハロゲン含有重合体の過酸化物架橋を行う際には、前記有機過酸化物を用いて行うことができる。
フッ素系重合体ム等のハロゲン含有重合体のポリオール架橋を行う際には、ポリオール系架橋剤を用いて行うことができる。
ポリオール系架橋剤としては、ビスフェノール類が好ましい。具体的には、例えば、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン[ビスフェノール AF]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン[ビスフェノール S]、ビスフェノールA ビス(ジフェニル ホスフェート)、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノール B]等のポリヒドロキシ芳香族化合物が挙げられる。
ポリオール系架橋剤としては、好ましくはビスフェノール A、ビスフェノール AFが用いられる。また、ポリオール系架橋剤としては、前記ポリヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩を用いることもできる。
また、ポリオール系架橋剤として、ハロゲン含有重合体とポリオール系架橋剤とを含む市販のマスターバッチを用いてもよい。市販のマスターバッチとしては、例えばキュラティブ VC#30(デュポン・ダウ・エラストマ一社製:架橋剤〔ビスフェノール AF〕50wt%含有)等が挙げられる。
架橋剤は1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明に係わる層(4)は、充填剤として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム、珪酸アルミニウムなどの珪酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;湿式シリカ、乾式シリカ、石英微粉末、ガラス繊維などの酸化ケイ素類;珪藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、などの無機充填剤のほか、有機補強剤、有機充填剤などを含有してもよい。
また、ハロゲン含有重合体には、受酸剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤などを任意に配合できる。
本発明に係わる層(4)は、ハロゲン含有重合体であるフッ素系重合体と、架橋剤とを含む市販の組成物を用いて形成されていてもよい。
フッ素系重合体と、架橋剤とを含む市販の組成物としては、例えば、ダイエル DC−2270F、ダイエル DC−4070(共にダイキン工業製)が挙げられる。ダイエル DC−2270Fは、フッ素重合体以外にもポリオール系架橋剤、充填剤、受酸剤を含む組成物であり、ダイエル DC−4070は、フッ素系重合体以外に、有機過酸化物、充填剤を含む組成物である。
<積層体>
本発明の積層体は、前記層(1)および前記層(2)から選択される少なくとも1種の層を含み、かつ前記層(3)および前記層(4)から選択される少なくとも1種の層を含む積層体であり、前記層(1)および前記層(2)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層が、前記層(3)および前記層(4)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層と、直接接しているか、または接着剤層を介して接している積層体である。
より具体的には、前記層(1)と前記層(3)とからなる積層体、前記層(1)と前記層(4)からなる積層体、前記層(2)と前記層(3)とからなる積層体、および前記層(2)と前記層(4)からなる積層体である。
前記層(1)と前記層(3)とからなる積層体の例としては、層(1)/層(3)の積層体、層(1)/層(3)/層(1)の積層体、層(3)/層(1)/層(3)の積層体、層(1)/層(3)/層(1)/層(3)の積層体、層(1)/層(3)/接着剤層/層(2)の積層体等が挙げられる。
また、前記層(1)と前記層(4)からなる積層体の例としては、層(1)/層(4)の積層体、層(1)/層(4)/層(1)の積層体、層(4)/層(1)/層(4)の積層体、層(1)/層(4)/層(1)/層(4)の積層体、層(1)/層(4)/接着剤層/層(2)などを例示できる。
本発明の積層体を構成する各層の厚さとしては、特に限定は無いが、層(1)は、通常、0.1〜30mmであり、好ましくは1〜10mmであり、層(2)は、通常、0.1〜30mmであり、好ましくは1〜5mmであり、層(3)は、通常、0.1〜30mmであり、好ましくは1〜5mmであり、層(4)は、通常、0.1〜30mmであり、好ましくは1〜5mmである。また、積層体全体の厚さとしては、特に限定は無いが、通常、5〜31mmであり、好ましくは5〜20mmである。また、接着剤層を有する場合の厚さとしては、特に限定は無いが、通常は0.1〜10μmであり、好ましくは0.1〜5mmである。
本発明の積層体の好ましい態様としては、前記層(1)と層(4)とが、直接接着している積層体、前記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層と、前記層(3)とが接着剤層を介して接着している積層体が挙げられる。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法としては、特に限定は無いが、例えば以下の方法(a)〜(e)によって積層体を得る方法が挙げられる。なお、方法(a)〜(e)によって、積層体を得た後に、架橋工程を行ってもよく、または1次加硫後にオーブンなどで2次加硫工程を行い、架橋された重合体、あるいはゴムを含む層を有する積層体を得てもよい。なお、層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層を、層Aとも記し、層(3)および層(4)から選択される少なくとも1種の層を、層Bとも記す。
(a)層Aを構成する材料および層Bを構成する材料をそれぞれ、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により同時に押出すことにより層Aと層Bとが、直接接している積層体を得る方法。
(b)層Aを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により押出すことにより層Aを形成し、層Bを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により層A上に押し出すことにより層Aと層Bとが、直接接している積層体を得る方法。
(c)層Bを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により押出すことにより層Bを形成し、層Aを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により層B上に押し出すことにより層Aと層Bとが、直接接している積層体を得る方法。
(d)層Aを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により押出すことにより層Aを形成し、層Bを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により押出すことにより層Bを形成し、層Aと層Bとを、直接接着することにより、層Aと層Bとが、接着剤層を介して接している積層体を得る方法。
(e)層Aを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により押出すことにより層Aを形成し、層Bを構成する材料を、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混合機で混練し、押出機により押出すことにより層Bを形成し、層Aと層Bとを、接着剤を用いて接着することにより、層Aと層Bとが、接着剤層を介して接している積層体を得る方法。
なお、積層体の製造の際には、層A、層Bとが、直接あるいは接着剤層を介して接している積層体を、プレス成形することが層Aと層Bとの剥離強度を高める観点から好ましい。
[架橋工程、1次加硫]
架橋工程あるいは1次加硫としては、前記層A、層Bを構成する材料に予め架橋剤等の架橋に必要な成分を配合しておき、加熱(例えば150〜240℃)によって架橋を行う工程、電子線(例えば0.1〜10MeVのエネルギーを有する電子線)を、積層体に照射することにより架橋を行う工程が挙げられる。なお、前記電子線の照射は、積層体の吸収線量が、通常は0.5〜36Mrad、好ましくは0.5〜20Mrad、より好ましくは1〜10Mradになるように行われる。
なお、前記架橋工程あるいは1次加硫では、加熱によって架橋を行う際には、プレス成形を行いながら加熱を行うことが、層Aと層Bとの剥離強度を高める観点から好ましい。
[2次加硫]
2次加硫は、前記1次加硫の後に行われる工程であり、加熱(例えば150〜200℃)を行うことにより、加硫(架橋)を充分に促進させる工程である。
<用途>
本発明の積層体は、その層構成によって様々な要求特性を満足することができるため、様々な用途に用いることができる。
本発明の積層体は、様々な用途に用いることができる。本発明の積層体は、例えば自動車用、モーターバイク用、工業機械用、建設機械用または農業機械用の部材として用いることができる。該部材の具体例としては、工業用ロール、パッキン(例えばコンデンサーパッキン)、ガスケット、ベルト(例えば、断熱ベルト、複写機ベルト、搬送ベルト)、自動車用ホースなどのホース類(例えば、ターボチャージャーホース、ウォーターホース、ブレーキリザーバーホース、ラジエターホース、エアーホース)、防振ゴム、防振材あるいは制振材(例えば、エンジンマウント、モーターマウント)、マフラーハンガー、ケーブル(イグニッションケーブル、キャブタイヤケーブル、ハイテンションケーブル)、電線被覆材(高圧電線被覆材、低電圧電線被覆材、舶用電線被覆材)、グラスランチャネル、カラー表皮材、給紙ロール、ルーフィングシート等が挙げられる。
また、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、成形性および架橋特性に優れ、耐熱安定性に優れた架橋体を得ることができるため、層(1)を有することにより、積層体は高温下での長期使用が見込まれる用途にも好適に使用することができる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、エチレン・α−オレフィン・VNB共重合体であると、特に耐疲労性にも優れるため、長期間にわたって、過酷な条件下での使用にも耐えうるため好ましい。
これらのうちでも、本発明の積層体は、自動車用内外装部品や耐熱性を求められる用途に好適に用いられる。積層体の用途としては、例えば、本発明の積層体を、少なくとも一部として有するホースが挙げられる。ホースとしては、その用途を限定するものではないが、自動車用、モーターバイク用、工業機械用、建設機械用または農業機械用のいずれかの用途に用いることが好ましい。より具体的には、ターボチャージャーホース、ブレーキリザーバーホース、ラジエターホースなどが挙げられ、自動車用ターボチャージホースに用いられることが特に好ましい。
本発明のホースは、本発明の積層体を、少なくとも一部として有していればよく、本発明の積層体のみから形成されるホースであってもよい。
本発明のターボチャージャーホースは、高温、高圧となる厳しい使用条件に耐えるため、好ましくはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む組成物の架橋体から形成される層を有するとともに、他の素材からなる層を有する、多層構造となっている。
本発明のホースは、1層のみが架橋体であってもよく、2層以上が架橋体から形成されていてもよい。
本発明のターボチャージャーホースの製造方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、押出成型、共押出成型、シート状物の巻き付けあるいはこれらの組み合わせによって、層状構造を有する未硬化のターボチャージャーホース(積層体)を成形し、スチーム等を用いて加熱することによって、ターボチャージャーホース(積層体)を得る方法が挙げられる。未硬化のターボチャージャーホースは、収縮や変形をおこさず、形状を保持する能力が高いことが好ましい。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
また、実施例および比較例で用いた共重合体、共重合体組成物、ハロゲン含有重合体などの物性は、下記方法で測定した。
(測定・評価方法)
(エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の組成、およびB値)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、各構成単位の質量分率(質量%)およびB値は、13C−NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C−NMRのスペクトルを測定して得た。
(極限粘度[η])
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の極限粘度[η](dl/g)は、(株)離合社製 全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn))
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値である。測定装置および条件は、以下のとおりである。また、分子量は、市販の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作製し、換算法に基づいて算出した。
装置:ゲル透過クロマトグラフ Alliance GP2000型(Waters社製)、
解析装置:Empower2(Waters社製)、
カラム:TSKgel GMH6−HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2(7.5mmI.D.×30cm、東ソー社製)、
カラム温度:140℃、
移動相:o−ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)、
検出器:示差屈折計(RI)、流速:1.0mL/min、
注入量:400μL、
サンプリング時間間隔:1s、
カラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)、
分子量換算:旧法EPR換算/粘度を考慮した較正法。
(接着強度)
積層体の接着強度(剥離強度)は、以下の方法で測定した。
実施例、比較例で得られた積層体を、測定温度:23.0℃、試験速度:200.0mm/min、試験片幅:25.0mmでT型剥離試験を実施し、剥離強度(単位記入 N/cm)を測定した。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造
[製造例1]
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、プロピレン、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)の重合反応を87℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:32.6L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が3.6kg/h、プロピレン量が6.1kg/h、VNBフィード量が290g/hおよび水素フィード量が6.3NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
重合圧力を1.6MPaG、重合温度を87℃に保ちながら、主触媒としてジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いて、フィード量0.0015mmol/hとなるよう、重合器に連続的に供給した。また、共触媒として(C65)3CB(C65)4(CB−3)をフィード量0.0075mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量20mmol/hとなるように、それぞれ重合器に連続的に供給した。
このようにして、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体を15.2質量%含む溶液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・プロピレン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(A−1)が、毎時4.7kgの速度で得られた。
得られた共重合体(A−1)の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2019171745
[実施例1]
第一段階として、BB−2型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(A−1)100質量部を30秒間素練りし、次いでこれに、ステアリン酸1質量部、カーボンブラック(旭#60G、旭カーボン(株)社製)30質量部、カーボンブラック(旭#50G、旭カーボン(株)社製)45質量部、カーボンブラック(旭#15HS、旭カーボン(株)社製)40質量部、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスPS−430、出光興産(株)製)47質量部、および老化防止剤(ノクラックCD、大内新興化学(株)製)4質量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第一段階の配合物を得た。
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、8インチロ−ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、リポカード2HTフレーク(塩化ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)3質量部、DHT−4A(ハイドロタルサイト、協和化学工業株式会社)0.1質量部、ジアルキルパーオキサイド(パーヘキサ25B−40、日油株式会社製)3質量部、架橋助剤(Trimethylolpropane−trimethacrylate)(ハイクロスM、精工化学株式会社製)3質量部を加え10分間混練して未架橋の共重合体組成物を得た。
《層(4)を形成するフッ素系重合体組成物の調整》
(フッ素系重合体組成物)
フッ素系重合体組成物として、ダイエル DC−2270F(ダイキン工業製:ポリオール架橋型フッ素ゴムコンパウンド)を用いた。
ダイエル DC−2270Fはフッ素系重合体以外にもポリオール系架橋剤(ビスフェノール AF)、架橋促進剤(4級オニウム塩)、充填剤、受酸剤を含む組成物である。
《積層体の成形および接着強度の評価》
(T型剥離試験用の積層体の調製)
上記共重合体組成物および上記フッ素系重合体組成物を、それぞれシート状に分出した。次に分出した未架橋シート(共重合体組成物およびフッ素系重合体組成物)50gを、それぞれ個別にルミラー(商品名)(延伸ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム)で上下にサンドし、120℃で2分間、50トンプレスで予備成形し、t(厚さ)=1mm、20cm四方の未架橋シートを作製した。
次に、前記プレスが行われた後の、共重合体組成物から得られた未架橋シート〔層(1)〕およびフッ素系重合体組成物から得られた未架橋シート〔層(4)〕を、それぞれ後述の本プレス寸法(15cm×15cm×t=1mm)に裁断した。裁断した後に上下のルミラーフィルムを剥がし、次にそれぞれの未架橋シートを重ね合わせた。重ね合わせる際には、未架橋シートの一部(幅3cm、長さ15cm:剥離試験時の掴みしろ)にルミラーフィルム(t=0.2mm)をはさみ込んだ状態で、前記未架橋シートを重ね合わせた。
前記一部にルミラーフィルムが挟み込まれた、重ね合わせられた未架橋シートを、100トンプレス成型機を用いて180℃で10分間プレス(本プレス)し、厚み2mmの架橋シート(積層体)を成形した。
架橋シート(積層体)からルミラーフィルムを取り除き、架橋シート(積層体)について前記記載の方法で、T型剥離試験を行い、接着強度を測定した。
結果を表2に示す。
[実施例2〜5]
実施例1で用いた層(1)を形成する共重合体組成物に替えて、表1に記載した配合量で各種配合剤を加えて得た共重合体組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行い積層体を作製し、実施例1に記載の方法で、T型剥離試験を行い、接着強度を測定した。
結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた層(1)を形成する共重合体組成物に替えて、表2に記載した配合量〔無機化合物(E)を配合しない〕で用いる以外は、実施例1と同様に行い積層体を作製し、実施例1に記載の方法で、T型剥離試験を行い、接着強度を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2019171745

Claims (9)

  1. 下記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層、並びに下記層(3)および層(4)から選択される少なくとも1種の層を含む積層体であり、
    前記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層と層(3)および層(4)から選択される少なくとも1種の層の少なくとも一つの層とが直接接しているか、または接着剤層を介して接してなることを特徴とする積層体。
    層(1):エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部、オニウム塩0.05質量部以上、並びに、2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物0.05質量部以上、7質量部以下を含有する共重合体組成物からなる層
    層(2):エチレン・カルボン酸共重合体からなる層
    層(3):アクリル系ゴムからなる層
    層(4):ハロゲン含有重合体からなる層
  2. 前記2族元素および13族元素から選択される少なくとも1種の元素と、酸素とを含有する無機化合物が、ハイドロタルサイトである請求項1に記載の積層体。
  3. 前記層(1)と層(4)とが、直接接着している請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記層(1)および層(2)から選択される少なくとも1種の層と、前記層(3)とが接着剤層を介して接着している請求項1または2に記載の積層体。
  5. 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、下記要件(I)〜(III)を満たす請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
    要件(I):エチレンに由来する構成単位と、α−オレフィンに由来する構成単位とのモル比(エチレン/α−オレフィン)が40/60〜99.9/0.1である。
    要件(II):非共役ポリエンに由来する構成単位が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量%中、0.07〜10質量%である。
    要件(III):135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gである。
  6. 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、5‐ビニル‐2‐ノルボルネン(VNB)由来の構成単位を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体を、少なくとも一部として有するホース。
  8. 自動車用、モーターバイク用、工業機械用、建設機械用または農業機械用のいずれかの用途に用いられる、請求項7に記載のホース。
  9. 自動車用ターボチャージャーホースに用いられる、請求項7に記載のホース。
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