JP2019170328A - リールシートの係合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な外観体裁を得ることができるリールシートの係合構造を提供する。【解決手段】筒状のリールシート本体1と、該リールシート本体1の外側に装着され、リールシート本体1に対して中心線方向に沿って移動可能であって且つ相対回転不能な延長スリーブ4と、リールシート本体1の保持用雄ネジ部に螺合して延長スリーブ4を中心線方向に沿って移動させるための保持用ナット5とを備えている。保持用ナット5の前端部内面の係合凸部50が、延長スリーブ4の突片部40の係合溝41に係合する。係合溝41に傾斜面41dが形成され、係合凸部50に傾斜面50dが形成されている。係合溝41の傾斜面41dに、係合凸部50の傾斜面50dが当接する。【選択図】図4

Description

本発明は、釣竿にリールを固定するための筒状のリールシートにおける係合構造に関する。
リールシートは、筒状のリールシート本体と、該リールシート本体の外側に装着されて中心線方向に移動可能な筒状のフードと、該フードを移動させるためのナットとを備えている。ナットは、リールシート本体の雄ネジ部に螺合している。フードは、リールシート本体に対して中心線方向には移動可能であるものの相対回転はしない。ナットの端部とフードの端部とは互いに係合している。ナットを回転させることにより、フードをリールシート本体の中心線方向に移動させて、リールの脚部をリールシートに固定したり、あるいは、リールシートからリールの脚部を取り外したりすることができる。
下記特許文献1では、ナットの端部外周面に環状溝が形成され、フードの端部内周面にはフランジ部が形成されており、ナットの環状溝にフードのフランジ部が係合する。フードのフランジ部の突端面は、環状溝の底面に対して僅かに大きく形成されており、フランジ部の突端面と環状溝の底面との間には若干の隙間が存在している。そのため、ナットを締め付けたときに、ナットの中心線に対してフードの中心線が所定方向に位置ずれした状態となりやすい。即ち、フードの端部外周面がナットの外周面に対して偏心した状態となりやすい。
実開平6−41473号公報
それゆえに本発明は、良好な外観体裁を得ることができるリールシートの係合構造を提供することを課題とする。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るリールシートの係合構造は、釣竿用の筒状のリールシートにおける係合構造であって、釣竿の竿本体に装着され、雄ネジ部を有する筒状のリールシート本体と、該リールシート本体の外側に装着され、リールシート本体に対して中心線方向に沿って移動可能であって且つ相対回転不能な移動筒と、リールシート本体の雄ネジ部に螺合して移動筒を中心線方向に沿って移動させるためのナットとを備え、移動筒とナットのうち、一方の部材の端部内面には係合凸部が形成され、他方の部材の端部には、一方の部材に向けて中心線方向に突出した突片部が周方向に間隔をあけて複数形成され、該複数の突片部の外面には、係合凸部と係合し且つ周方向に延びる係合溝がそれぞれ形成されており、係合溝は、突片部の先端側に位置する第一の側面と、突片部の基端側に位置する第二の側面と、両側面同士をつなぐ底面とを有し、係合凸部は、他方の部材側に位置する第一の側面と、該第一の側面とは反対側に位置する第二の側面と、両側面同士をつなぐ突端面とを有し、係合溝における第二の側面と底面との境界部と、係合凸部における第一の側面と突端面との境界部には、それぞれ傾斜面が形成されていることを特徴とする。
該構成の係合構造にあっては、係合溝と係合凸部にそれぞれ傾斜面が形成されているので、ナットを締め込んでいったときに、係合溝の傾斜面と係合凸部の傾斜面とが互いに当接することができる。係合溝の傾斜面と係合凸部の傾斜面とが当接することにより、係合溝の傾斜面と係合凸部の傾斜面との間でセンタリング作用が働き、ナットの中心線と移動筒の中心線との間の位置ずれが抑制される。また、ナットを締め付けたときにナットが移動筒に対して径方向に位置ずれしにくいので、ナットの締め付け完了付近におけるナットの回転操作が安定して操作感に優れ、しかも、安定した締め付け力を得ることも可能となる。更に、複数の突片部の外面に係合溝がそれぞれ形成されていて、突片部同士は周方向に離間しているので、係合溝と係合凸部とが固着しにくく、ナットをスムーズに回転開始することができる。また、ナットの締め付け完了付近において複数の突片部が径方向内側に向けて僅かに撓むこともできるので、しっかりとした締め付け感覚が得られる。
特に、係合溝の傾斜面は、係合溝の第一の側面よりも大きく、係合凸部の傾斜面は、係合凸部の第二の側面よりも大きいことが好ましく、安定したセンタリング作用を得ることができる。
また、係合溝は突片部の基端部に形成されていて、係合溝の第二の側面は、他方の部材の端面の一部を構成していることが好ましく、係合溝を有する突片部の強度を確保しやすい。
また、リールシート本体の外周面には、中心線方向に延びるガイド溝が周方向に間隔をおいて複数形成され、移動筒の内周面には、ガイド溝に係合する移動用凸部が周方向に間隔をおいて複数形成されており、複数の移動用凸部がそれぞれ移動筒の端部から中心線方向に延長されて突片部が形成されていて、突片部は移動用凸部の一部を構成していることが好ましい。このように突片部と移動用凸部とが一体的に形成された構成の場合、突片部の厚さ即ち径方向の寸法を大きく確保することが容易となり、突片部の強度を確保しやすくなる。また、ナットを締め付けたときに移動筒の突片部が径方向内側に僅かに撓み、突片部の内面をガイド溝の底面に押し付けることも可能になる。突片部の内面がガイド溝の底面に押し付けられると、リールシート本体に対する移動筒の位置が安定し、移動筒をリールシート本体の所定の位置にしっかりと固定することができる。
特に、突片部とは反対側の移動用凸部の端部の幅方向中央部には肉抜き凹部が形成されていて、突片部とは反対側の移動用凸部の端部は二股状に形成されていることが好ましく、移動用凸部の幅を確保できると共に、合成樹脂から射出成形により形成する際には移動用凸部の形状が安定する。
以上のように、係合溝の傾斜面と係合凸部の傾斜面とによってセンタリング機能が発揮されるので、ナットの端部外周面と移動筒の端部外周面との間の同軸度が向上し、良好な外観体裁を得ることができる。また、複数の突片部に係合溝が形成されているので、係合溝が全周に亘って連続した環状の構成に比して、係合溝と係合凸部との間で固着が発生しにくく、ナットのスムーズな回転が得られる。また、突片部が僅かに内側に撓むこともできるので、安定した締め付け力が得られやすく、ナットの操作性にも優れている。
本発明の一実施形態におけるリールシートの斜視図。 同リールシートを中心線方向に切断した縦断面図。 図2の要部拡大図。 図3の要部拡大図。 同リールシートの延長スリーブ(移動筒)と保持用ナットとを示す斜視図。 同リールシートの延長スリーブ(移動筒)を示し、(a)は正面図、(b)は要部拡大図。 同リールシートのリールシート本体と延長スリーブ(移動筒)とを示す斜視図。 同リールシートから交換部材を取り外した状態の正面図。 本発明の他の実施形態におけるリールシートの要部拡大断面図。
以下、本発明の一実施形態に係るリールシートについて図1〜図8を参酌しつつ説明する。尚、リールシートの中心線方向(軸線方向)を前後方向とし、前側を竿先側、後側を竿尻側とする。図1及び図2に前側を矢印X1で示し、後側を矢印X2で示している。また、後述するリール脚載置部11を上側とし、それとは反対側を下側とする。図1及び図2に上側を矢印Y1で示し、下側を矢印Y2で示している。本実施形態におけるリールシートは、釣竿に図示しない両軸リールを取り付けるためのものであるが、スピニングリールを取り付ける構成であってもよい。両軸リールは、通常、使用状態において釣竿の上側に位置する。
リールシートは、竿本体100(ブランク)に外装着される筒状の構成であって、リールシート本体1と、フード用ナット2と、可動フード3(移動筒)と、延長スリーブ4(移動筒)と、保持用ナット5を備えている。リールシートの中心線は竿挿通孔10の中心線10aであって竿本体100の中心線と一致する。リールシートの軸線方向はリールシートの中心線の方向であり、竿本体100の軸線方向は竿本体100の中心線の方向である。リールシートの軸線方向と竿本体100の軸線方向は一致する。
リールシート本体1は、全体として筒状であって、その内側を竿本体100が挿通する。従って、リールシート本体1は、竿本体100が挿通する竿挿通孔10を有している。リールシート本体1は、竿本体100の所定位置に取り付けられる。リールシート本体1は竿本体100の外周面に直接接着固定されたり、竿本体100の外周面との間に筒状のスペーサ(図示省略)を介して接着固定されたりする。リールシート本体1は、種々の合成樹脂から射出成形により形成してよい。材質としては、特に繊維強化樹脂が好ましく、長さが1mm以下の短繊維を強化繊維とした繊維強化樹脂が好ましい。また、その繊維としてはカーボン繊維が好ましい。
リールシート本体1は、リール脚載置部11と、固定フード部12と、フード用雄ネジ部13と、保持用雄ネジ部14,15と、側方張り出し部16と、サポート壁部17と、グリップ部18とを備えている。リール脚載置部11は、両軸リールの図示しないリール脚を載置するための部分であって、リールシート本体1の上面に形成されている。該リール脚載置部11の後側に固定フード部12が位置している。固定フード部12は、リール脚の後端部を保持するための部分であって前側に開口しており、固定フード部12にはリール脚の後端部が前側から挿入される。
リールシート本体1の前部外周面にフード用雄ネジ部13が形成されている。該フード用雄ネジ部13にはフード用ナット2が螺合している。該フード用ナット2の後側に可動フード3が位置し、可動フード3はリールシート本体1に対して前後方向に移動可能であるが回転不能である。フード用雄ネジ部13には、その全周のうち所定箇所にネジ部が形成されていない部分(図示省略)が形成されていて、その部分は前後方向に沿って延びていてリールシート本体1の前端まで達している。その部分が可動フード3を中心線方向に案内するためのガイド溝である。ガイド溝は、周方向に間隔をあけて複数形成されていることが好ましい。可動フード3の内周面には、ガイド溝に案内される移動用凸部(図示省略)が突設されている。移動用凸部はガイド溝に係合し、可動フード3が前後方向に移動する際に、移動用凸部はガイド溝を摺動する。移動用凸部も周方向に間隔をあけて複数形成されていることが好ましい。
可動フード3は筒状であって、その全周のうちの上部に部分的に径方向外側に膨出したフード部が形成されている。可動フード3のフード部は、リール脚の前端部を保持する部分であって後側に開口しており、そのフード部にリール脚の前端部が相対的に後側から挿入される。フード用ナット2の後端部と可動フード3の前端部との間に係合構造を備えている。フード用ナット2の後端部は可動フード3の前端部に相対回転可能に係合していて、フード用ナット2が回転しながら前後に移動すると、それに合わせて可動フード3は前後に移動するものの回転はしない。フード用ナット2の後端部の内周面には係合凸部70が形成されていて、可動フード3の前端部の外周面には係合溝61が形成されている。フード用ナット2の係合凸部70が可動フード3の係合溝61に係合している。フード用ナット2を後側に移動させることで可動フード3を固定フード部12に接近させることができて可動フード3と固定フード部12でリール脚を前後に狭持して固定する。逆に、フード用ナット2を前側に移動させると、可動フード3は固定フード部12から前側に離れていき、両軸リールを釣竿から取り外すことができる。
リールシート本体1の後部は固定フード部12よりも後側に長く筒状に延びている。リールシート本体1は、固定フード部12よりも後側に延びる延長筒部19を備えている。該延長筒部19は、グリップ部18よりも後側に延びている。延長筒部19は、一部材としてリールシート本体1に一体的に形成されているが、リールシート本体1とは別体に形成されて接着等によりリールシート本体1に取り付けられていてもよい。延長筒部19の外周面には第一及び第二の保持用雄ネジ部14,15が形成されている。第一の保持用雄ネジ部14は延長筒部19の前端部近傍に形成されており、第二の保持用雄ネジ部15は第一の保持用雄ネジ部14から後側に所定長さ離間して形成されていて延長筒部19の後端部近傍に形成されている。第一及び第二の保持用雄ネジ部14,15の何れを使用する構成であってもよいが、本実施形態では第二の保持用雄ネジ部15を使用する構成とされていて第一の保持用雄ネジ部14は不使用の構成である。第二の保持用雄ネジ部15は延長筒部19の後端まで形成されている。
第二の保持用雄ネジ部15に保持用ナット5が螺合し、該保持用ナット5の前側に延長スリーブ4が位置している。該延長スリーブ4はリールシート本体1の延長筒部19の外側に隙間をあけつつ同軸上に位置している。延長スリーブ4はリールシート本体1の延長筒部19に対して前後方向に移動可能であるが回転不能である。第二の保持用雄ネジ部15には、その全周のうち所定箇所にネジ部が形成されていない部分が形成されていて、その部分は前後方向に沿って延びていてリールシート本体1の後端まで達している。その部分が延長スリーブ4を中心線方向に案内するためのガイド溝30である。ガイド溝30は、周方向に間隔をあけて複数形成されていることが好ましく、本実施形態では、上下左右に90度間隔毎に合計四箇所形成されている。
延長スリーブ4の内周面には、ガイド溝30に案内される移動用凸部31が径方向内側に向けて突設されている。移動用凸部31は、延長スリーブ4の内周面の全長のうち後端部の内周面のみに局所的に形成されている。移動用凸部31はガイド溝30に係合し、延長スリーブ4が前後方向に移動する際に、移動用凸部31はガイド溝30を摺動する。移動用凸部31も周方向に間隔をあけて複数形成されていることが好ましく、本実施形態においては、ガイド溝30に対応して上下左右に90度間隔毎に合計四箇所形成されていて、四つのガイド溝30に四つの移動用凸部31が各々係合する。四つの移動用凸部31は全て同一形状である。
延長スリーブ4は、複数の突片部40を備えている。該突片部40は、延長スリーブ4の後端面4aから後側に向けて突設されている。複数の突片部40は互いに周方向に間隔をあけて形成されており、本実施形態では90度毎の等間隔で配置されている。突片部40は、上下左右に合計四箇所形成されており、移動用凸部31に対応した配置となっている。四つの移動用凸部31は全て同一形状である。四つの移動用凸部31はそれぞれ延長スリーブ4の後端面4aよりも後側に延長されており、その後方延在部から突片部40が形成されている。従って、移動用凸部31と突片部40は互いに一体の構成となっており、突片部40は移動用凸部31の後部を構成している。周方向の寸法を幅と称すると、突片部40の幅は、移動用凸部31の幅と略等しく、ガイド溝30の幅よりも若干狭い程度である。突片部40の後方への突出量は突片部40の幅と同じ程度かそれよりも小さい。
移動用凸部31の内面はガイド溝30の底面と摺動するので、周方向に沿って径方向外側に向けて湾曲している。突片部40の内面は移動用凸部31の内面の一部を構成しており、周方向に沿って径方向外側に向けて湾曲している。移動用凸部31の内面は、延長スリーブ4の後端部内面よりも一段径方向内側に突出している。そのため、延長スリーブ4の後端部の全周のうち、移動用凸部31が形成された四箇所の肉厚は局所的に増大している。延長スリーブ4は合成樹脂から射出成形により形成されることが好ましく、本実施形態では延長スリーブ4は射出成形品である。延長スリーブ4の後端部における偏肉を緩和するために、移動用凸部31の前端部には肉抜き凹部32が形成されている。肉抜き凹部32は延長スリーブ4の後端面4a近傍まで延びている。肉抜き凹部32は、突片部40を含めた移動用凸部31の全長のうち前部のみに形成されていて後部には形成されている。肉抜き凹部32の底面は延長スリーブ4の内周面と面一である。突片部40の外面は延長スリーブ4の後端部外周面に対して一段径方向内側に位置している。肉抜き凹部32によって移動用凸部31の前部は二股状に形成されている。
延長スリーブ4の後端部と保持用ナット5の前端部との間に係合構造を備えている。延長スリーブ4の後端部は保持用ナット5の前端部に相対回転可能に係合していて、保持用ナット5が回転しながら前後に移動すると、それに合わせて延長スリーブ4は前後に移動するものの回転はしない。突片部40の外面に係合溝41が形成されている。係合溝41は、突片部40の基端部に形成されている。係合溝41は周方向に沿って形成されていて突片部40の全幅に亘って形成されている。係合溝41は全ての突片部40にそれぞれ形成されており、それらの係合溝41は同一形状であって前後方向の位置も互いに同じである。係合溝41同士は周方向に離間しているが、一つの仮想的な環状溝の一部を構成しており、その仮想的な環状溝が周方向に分断されて四つの係合溝41が構成されている。
図4のように、係合溝41は、突片部40の先端側に位置する第一の側面41aと、突片部40の基端側に位置する第二の側面41bと、両側面41a,41b同士をつなぐ底面41cとを有している。第一の側面41aは、後側の側面であり、第二の側面41bは前側の側面である。第一の側面41aと第二の側面41bは互いに前後に対向していて、何れも、前後方向に対して略直角であって径方向に沿って延びている。第二の側面41bは、第一の側面41aよりも、径方向の寸法が大きい。第二の側面41bは、延長スリーブ4の後端面4aの一部を構成している。底面41cは、前後方向に沿って延びている。底面41cは、周方向に沿って径方向外側に向けて湾曲していて、延長スリーブ4の中心線を中心とした湾曲面である。第二の側面41bと底面41cとの境界部には傾斜面41dが形成されている。傾斜面41dは、第一の側面41aよりも大きい。傾斜面41dは、前後方向に対して略45度の傾斜角度を有している。
保持用ナット5の前端部の内周面には、環状の係合凸部50が径方向内側に向けて突設されている。係合凸部50が延長スリーブ4の係合溝41に係合する。係合凸部50の前後方向の寸法は係合溝41の前後方向の寸法に比して若干小さい。係合凸部50は、前側に位置する環状の第一の側面50aと、後側に位置する環状の第二の側面50bと、第一の側面50aと第二の側面50bとをつなぐ環状の突端面50cとを有している。第一の側面50aは、保持用ナット5の前端面5aの一部を構成している。第一の側面50aと第二の側面50bは互いに前後に対向していて、何れも前後方向に対して略直角であって径方向に沿って延びている。第一の側面50aは、第二の側面50bよりも、径方向の寸法が大きい。突端面50cは保持用ナット5の中心線を中心とした周面であって内端面である。突端面50cは、前後方向に沿って延びている。第一の側面50aと突端面50cとの境界部には傾斜面50dが形成されている。傾斜面50dは、第二の側面50bよりも大きい。傾斜面50dは、前後方向に対して略45度の傾斜角度を有している。係合凸部50の傾斜面50dの傾斜角度は、係合溝41の傾斜面41dの傾斜角度と略等しく、係合凸部50の傾斜面50dと係合溝41の傾斜面41dは互いに平行関係にある。係合凸部50の傾斜面50dの前後方向の寸法は、係合溝41の傾斜面41dの前後方向の寸法よりも若干小さい。係合凸部50の突端面50cは、係合溝41の底面41cよりも若干大径である。
図4のように保持用ナット5の係合凸部50は延長スリーブ4の係合溝41に径方向外側から係合する。係合凸部50の第一の側面50aは係合溝41の第二の側面41bと対向する。保持用ナット5の前端面5aは延長スリーブ4の後端面4aと対向する。係合凸部50の傾斜面50dは、係合溝41の傾斜面41dと対向する。係合凸部50の突端面50cは、係合溝41の底面41cと対向する。係合凸部50の第二の側面50bは、係合溝41の第一の側面41aと対向する。
図4は、保持用ナット5が延長スリーブ4を前側に押している状態を示している。保持用ナット5が延長スリーブ4を前側に押すとき、保持用ナット5の前端面5aは延長スリーブ4の後端面4aに当接し、係合凸部50の第一の側面50aは係合溝41の第二の側面41bに当接し、係合凸部50の傾斜面50dは係合溝41の傾斜面41dに当接する。また、係合凸部50の突端面50cは、係合溝41の底面41cに対して径方向外側に若干の隙間をあけて離間し、係合凸部50の第二の側面50bは、係合溝41の第一の側面41aに対して前側に若干の隙間をあけて離間している。尚、保持用ナット5が後側に移動する際には、保持用ナット5の前端面5aは延長スリーブ4の後端面4aから後側に離間し、係合凸部50の第一の側面50aも係合溝41の第二の側面41bから後側に離間し、係合凸部50の傾斜面50dも係合溝41の傾斜面41dから離間する。一方、係合凸部50の第二の側面50bは、係合溝41の第一の側面41aに当接し、これにより保持用ナット5は延長スリーブ4を後側に引いていく。
延長スリーブ4の前端開口部には開口リング6が装着されている。従って、延長スリーブ4の前端面は開口リング6により構成されている。保持用ナット5を締め付け方向に回転させて延長スリーブ4を前側に移動させると、延長スリーブ4の前端部に位置する開口リング6で後述の交換部材8を前側に押圧して交換部材8を取付状態に保持することができる。保持用ナット5を緩め方向に回転させて延長スリーブ4を後側に移動させると、交換部材8を取り外すことができる。このように保持用ナット5の前側に延長スリーブ4を備えることにより、保持用ナット5を固定フード部12やグリップ部18から後側に離して位置させることができる。従って、釣りを行う際に、両軸リールを把持する手が保持用ナット5に触れにくくなり、保持用ナット5が緩みにくくなるという利点がある。
<側方張り出し部16>
リールシート本体1は、左右非対称の形状となっている。リールシート本体1は、左右両側面のうち何れか一方の側面のみに左右方向の外方に向けて張り出した側方張り出し部16を備えている。本実施形態におけるリールシートは、右側にハンドルを備えた両軸リールを取り付けるためのもの、即ち、右ハンドル仕様のものである。そのため、側方張り出し部16は、リールシート本体1の左右両側面のうち左側の側面のみに形成されており、左側の側面は右側の側面よりも外側に膨出するように張り出している。
側方張り出し部16は、パーミング時に、手の平がリールシート本体1に当接する部分を増加させる機能を有する。パーミング時には、両軸リールとリールシートを左手の全体で包み込むように把持する。具体的には、左手の親指を両軸リールの左側の側壁部の上面に載せ、左手の他の四本の指はリールシートの下面に位置させる。このような把持の仕方を一般的にパーミングと称する。パーミング時に側方張り出し部16は、特に手の平のうち人差し指から小指までの四本の指の付け根の関節部分(MP関節)、ないしは、触球部に当接してそれを支持する。
<サポート壁部17>
側方張り出し部16の後部には、サポート壁部17が上方に向けて突設されている。サポート壁部17は、パーミング時に手の平に当接してその手の平を内側から支えるためのものである。サポート壁部17は、固定フード部12の側方やや後方に離間して位置していて上方に向けて起立している。サポート壁部17は側方張り出し部16の後部を構成している。
<グリップ部18>
リールシート本体1の下部の後側寄りの位置にグリップ部18が形成されている。該グリップ部18は、リールシート本体1の下面の後部に下側に向けて大きく膨出している。グリップ部18は中空状である。グリップ部18は、パーミング時に人差し指から小指の手の平側の面である裏面に当接してそれを支持する。グリップ部18には人差し指から小指までの四本の指が当接してもよいし、その四本のうちの複数の指が当接してもよい。グリップ部18は、リールシート本体1の下面のうち固定フード部12の下側に対応した位置から後側にかけて形成されていて、延長筒部19の前部の下側位置まで延びている。
<リールシート本体1の部材構成>
次に、本実施形態におけるリールシート本体1の部材構成について説明する。本実施形態では、リールシート本体1は、互いに別体に形成された固定部材7と交換部材8とから構成される。固定部材7は、竿本体100に接着固定される。固定部材7は、リールシート本体1の主要部を構成していて、全体として筒状であって、その内側に竿挿通孔10を備えており、リール脚載置部11、固定フード部12、フード用雄ネジ部13、及び延長筒部19を有している。
交換部材8は、固定部材7に対して着脱自在である。交換部材8は、リールシート本体1の前後方向中央部近傍であって下側部分を構成していて、固定部材7に対して下側に向けて分離可能であり、下側から上側に向けて固定部材7に取り付けられる。交換部材8は、側方張り出し部16とサポート壁部17とグリップ部18を有している。交換部材8は、固定部材7の前後方向中央部近傍の下側略半分の部分を下側且つ外側から覆う。固定部材7に下側から交換部材8が取り付けられて、固定部材7の下側部分の外面の径方向外側に交換部材8が重なり合う。固定部材7は左右対称形状であり、交換部材8は左右非対称形状である。従って、固定部材7に交換部材8を装着することにより、リールシート本体1は左右非対称の形状となる。固定部材7から交換部材8を取り外すことにより、側方張り出し部16とサポート壁部17とグリップ部18は、固定部材7から一括して外れる。尚、交換部材8がトリガを備える構成であってもよい。
<交換部材8の取付、取り外し>
図8のように保持用ナット5を緩めて後側に後退させた状態で交換部材8を固定部材7に対して着脱できる。交換部材8の取付、取り外し作業は、釣竿にリールシートが取り付けられた状態のままで行うことができる。竿本体100に固定部材7が取り付けられた状態で、交換部材8を取り付けたり、取り外したりすることができる。従って、他の種類の交換部材8を準備しておけば、釣竿にリールシートが取り付けられている状態のまま交換部材8のみを交換することができる。例えば、左側にサポート壁部17が形成された交換部材8から、右側にサポート壁部17が形成された交換部材8に交換することもできる。従って、交換部材8のみを交換することで、右側のハンドル105を備えた両軸リールから左側にハンドルを備えた両軸リールに付け替えることができる。また、サポート壁部17の形状や大きさ、側方張り出し部16の張り出し量、グリップ部18の位置や大きさやその有無等、種々の仕様の交換部材8に容易に取り替えて楽しむことができる。また、交換部材8の材質や色、デザイン等が異なる他の交換部材8に容易に交換することもできる。そのため、釣り人の好みや両軸リールの種類、対象魚や状況等に応じて、釣り人が自由にリールシートをカスタマイズして楽しむことができる。
このような交換部材8の交換は、釣竿にリールシートが取り付けられた状態のままで行うことができるため、釣り人自らが容易に交換することができる。例えば、釣りの現場においても交換部材8を容易に交換でき、また、両軸リールを釣竿に取り付けた状態のままでも交換部材8を交換することができる。特に、保持用ナット5の締め付け操作と緩め操作によって交換することができるので、交換作業は極めて簡単であって素早く交換することができる。尚、交換部材8を取り外しても、リールシートにはリール脚載置部11や固定フード部12、可動フード3、フード用ナット2がそのまま残っているため、交換部材8を取り外したリールシートに両軸リールを装着して釣りを行うことも可能である。
以上のように構成されたリールシートにあっては、保持用ナット5を前側に締め込んでいったときに、係合溝41の傾斜面41dに係合凸部50の傾斜面50dが当接し、係合溝41の傾斜面41dと係合凸部50の傾斜面50dとの間でセンタリング作用が働く。即ち、保持用ナット5の中心線と延長スリーブ4の中心線との間の位置ずれが抑制される。そのため、保持用ナット5の前端部外周面の全周のうち所定箇所のみが、延長スリーブ4の後端部外周面から径方向外側に局所的に位置ずれして突出したり、あるいは逆に、延長スリーブ4の後端部外周面に対して径方向内側に局所的に位置ずれして凹んだりすることが防止され、保持用ナット5の前端部外周面と延長スリーブ4の後端部外周面とが全周に亘って径方向に均一に揃った状態が保たれる。従って、良好な外観体裁を得ることができる。保持用ナット5は釣り人が操作する部材であるため、目立ちやすい。そのため、保持用ナット5の前端部外周面と延長スリーブ4の後端部外周面との間の同軸度が向上することによる効果は大きい。特に、本実施形態では、保持用ナット5の前端部外周面と延長スリーブ4の後端部外周面とが略同一径となっていて略面一の構成であるため、保持用ナット5の前端部外周面が延長スリーブ4の後端部外周面に対して径方向に位置ずれすると目立ちやすく、センタリング作用による効果は大きい。
また、保持用ナット5を締め付け完了付近において保持用ナット5が延長スリーブ4に対して径方向に位置ずれしにくいので、保持用ナット5の締め付け完了付近における保持用ナット5の回転操作が安定し、操作感に優れる。しかも、安定した締め付け力を得ることもできる。更には、係合溝41は環状ではなく複数の突片部40の外面にそれぞれ形成されているので、係合溝41と係合凸部50とが固着しにくい。特に、海釣りにおいては塩がみの発生を抑制できる。そのため、保持用ナット5の回転操作を開始する際に保持用ナット5がスムーズに回転し始める。また、保持用ナット5の締め付け完了付近において複数の突片部40が径方向内側に向けて僅かに撓むので、しっかりとした締め付け感が得られる。そして、各突片部40の内面がそれぞれリールシート本体1のガイド溝30の底面41cに押し付けられるので、リールシート本体1に対する延長スリーブ4の位置も安定し、延長スリーブ4を所定位置にしっかりと固定することができ、交換部材8の取付状態も安定する。また、係合溝41の傾斜面41dは係合溝41の第一の側面41aよりも大きく、係合凸部50の傾斜面50dは係合凸部50の第二の側面50bよりも大きいので、安定したセンタリング作用が得られ、安定した締め付け力も得られる。
係合溝41は突片部40の基端部に形成されていて、係合溝41の第二の側面41bは、延長スリーブ4の後端面4aの一部を構成しているので、突片部40の強度を確保しやすく、突片部40の破損を防止できる。また、突片部40と移動用凸部31とが一体的に形成されているので、突片部40の厚さを容易に確保することができ、突片部40の強度を確保しやすい。更には、突片部40が移動用凸部31の後部を構成しているので、移動用凸部31の前後方向の長さが延長され、長い全長を確保できる。そのため、移動用凸部31がガイド溝30に沿って前後に摺動する際にスムーズに摺動でき、延長スリーブ4の前後の移動が滑らかになる。一方、移動用凸部31の前部には肉抜き凹部32が形成されていて、移動用凸部31の前部が二股状となっているので、移動用凸部31の幅を確保しつつ、延長スリーブ4の後端部における過度の偏肉を抑制でき、移動用凸部31の形状が安定する。
尚、同様のセンタリング機構を、フード用ナット2と可動フード3との間の係合構造に採用してもよい。図9に、フード用ナット2の後端部と可動フード3の前端部との間の係合構造を拡大して示している。可動フード3の前端部に複数の突片部60を備える。係合溝61は、突片部60の外面に形成されている。係合溝61は、突片部60の先端側であって前側に位置する第一の側面61aと、突片部60の基端側であって後側に位置する第二の側面61bと、両側面61a,61b同士をつなぐ底面61cとを有し、第二の側面61bと底面61cとの境界部に傾斜面61dが形成されている。フード用ナット2の係合凸部70は環状であって、後側に位置する環状の第一の側面70aと、前側に位置する環状の第二の側面70bと、第一の側面70aと第二の側面70bとをつなぐ環状の突端面50cとを有し、第一の側面70aと突端面70cとの境界部には傾斜面70dが形成されている。そして、フード用ナット2を後側に移動させて可動フード3を後側に押すとき、フード用ナット2の係合凸部70の傾斜面70dが可動フード3の係合溝61の傾斜面61dに当接する。フード用ナット2の中心線が可動フード3の中心線と略一致し、フード用ナット2がセンタリングされる。
尚、保持用ナット5に突片部及び係合溝を設けて、延長スリーブ4に係合凸部を設けてもよい。同様に、フード用ナット2に突片部及び係合溝を設けて、可動フード3に係合凸部を設けてもよい。
1 リールシート本体
2 フード用ナット
3 可動フード(移動筒)
4 延長スリーブ(移動筒)
4a 後端面
5 保持用ナット
5a 前端面
6 開口リング
7 固定部材
8 交換部材
10 竿挿通孔
10a 中心線
11 リール脚載置部
12 固定フード部
13 フード用雄ネジ部
14 第一の保持用雄ネジ部
15 第二の保持用雄ネジ部
16 側方張り出し部
17 サポート壁部
18 グリップ部
19 延長筒部
30 ガイド溝
31 移動用凸部
32 肉抜き凹部
40 延長スリーブの突片部
41 延長スリーブの係合溝
41a 第一の側面
41b 第二の側面
41c 底面
41d 傾斜面
50 保持用ナットの係合凸部
50a 第一の側面
50b 第二の側面
50c 突端面
50d 傾斜面
60 可動フードの突片部
61 可動フードの係合溝
61a 第一の側面
61b 第二の側面
61c 底面
61d 傾斜面
70 フード用ナットの係合凸部
70a 第一の側面
70b 第二の側面
70c 突端面
70d 傾斜面
100 竿本体

Claims (5)

  1. 釣竿用の筒状のリールシートにおける係合構造であって、
    釣竿の竿本体に装着され、雄ネジ部を有する筒状のリールシート本体と、
    該リールシート本体の外側に装着され、リールシート本体に対して中心線方向に沿って移動可能であって且つ相対回転不能な移動筒と、リールシート本体の雄ネジ部に螺合して移動筒を中心線方向に沿って移動させるためのナットとを備え、
    移動筒とナットのうち、一方の部材の端部内面には係合凸部が形成され、他方の部材の端部には、一方の部材に向けて中心線方向に突出した突片部が周方向に間隔をあけて複数形成され、該複数の突片部の外面には、係合凸部と係合し且つ周方向に延びる係合溝がそれぞれ形成されており、
    係合溝は、突片部の先端側に位置する第一の側面と、突片部の基端側に位置する第二の側面と、両側面同士をつなぐ底面とを有し、
    係合凸部は、他方の部材側に位置する第一の側面と、該第一の側面とは反対側に位置する第二の側面と、両側面同士をつなぐ突端面とを有し、
    係合溝における第二の側面と底面との境界部と、係合凸部における第一の側面と突端面との境界部には、それぞれ傾斜面が形成されていることを特徴とするリールシートの係合構造。
  2. 係合溝の傾斜面は、係合溝の第一の側面よりも大きく、係合凸部の傾斜面は、係合凸部の第二の側面よりも大きい請求項1記載のリールシートの係合構造。
  3. 係合溝は突片部の基端部に形成されていて、係合溝の第二の側面は、他方の部材の端面の一部を構成している請求項1又は2記載のリールシートの係合構造。
  4. リールシート本体の外周面には、中心線方向に延びるガイド溝が周方向に間隔をおいて複数形成され、移動筒の内周面には、ガイド溝に係合する移動用凸部が周方向に間隔をおいて複数形成されており、複数の移動用凸部がそれぞれ移動筒の端部から中心線方向に延長されて突片部が形成されていて、突片部は移動用凸部の一部を構成している請求項1乃至3の何れかに記載のリールシートの係合構造。
  5. 突片部とは反対側の移動用凸部の端部の幅方向中央部には肉抜き凹部が形成されていて、突片部とは反対側の移動用凸部の端部は二股状に形成されている請求項4記載のリールシートの係合構造。
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