JP2019140939A - リールシート及び釣竿 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量増加を抑制しつつ良好な握り心地を確保する。【解決手段】竿本体1に装着される筒状のリールシート本体を備えたリールシートであって、リールシート本体は複数に分割された本体構成部材7,80,90から構成されていて、該リールシート本体の表面には本体構成部材7,80,90同士の接合ライン42,43が形成されており、リールシート本体は接合ライン42,43とつながった内部空間30,31を有する中空状のパーミンググリップ部18を備え、該パーミンググリップ部18の後面18cに、内部空間30,31と外部とを連通する貫通孔22が形成されている。【選択図】図7

Description

本発明は、釣竿にリールを取り付けるためのリールシートと、該リールシートを備えた釣竿に関する。
釣竿にリールを取り付けるためのリールシートには、竿本体に装着される筒状のリールシート本体を備えたものがある。釣りにおいてリールシート本体を把持することも多いことから、リールシート本体の表面に起伏を設けて、手が滑りにくいようにしたり楽に把持することができるようにしたりすることもある。例えば下記特許文献1のようにリールシート本体の側面を側方に膨出させたり、リールシート本体の下面後部を下方に膨出させてトリガーを形成したりすることがある。しかしながらこのような膨出部をリールシート本体に設けると肉厚が増加することからリールシート本体の重量が増加し、その結果、釣竿全体の重量増加につながるという問題がある。
特開2009−33999号公報
それゆえに本発明は、重量増加を抑制しつつ良好な握り心地を確保することを課題としている。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るリールシートは、竿本体に装着される筒状のリールシート本体を備えたリールシートであって、リールシート本体は複数に分割された本体構成部材から構成されていて、該リールシート本体の表面には本体構成部材同士の接合ラインが形成されており、リールシート本体は接合ラインとつながった内部空間を有する中空状の膨出部を備え、該膨出部には、接合ラインとは異なる位置に、内部空間と外部とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。尚、竿先側を前側とし、竿尻側を後側とする。
該構成のリールシートのリールシート本体は一つの部材から一体的に形成されたものではなく、複数に分割された分割構成となっている。リールシート本体は、複数の本体構成部材から構成されていて、それらの本体構成部材が互いに接合されて一つのリールシート本体が構成されている。このようにリールシート本体を複数に分割した構成とすることで、膨出部を厚肉とすることなく薄肉とすることができて中空状の膨出部を容易に形成できる。特に、リールシート本体を樹脂成形品とする場合、即ち、射出成形により形成する場合には効果的であって、金型の抜きの制約が少なくなって膨出部の形状の自由度が高くなり、大きな膨出部や複雑な形状の膨出部を容易に形成できる。一方、リールシート本体の表面には本体構成部材同士を接合したことによる接合ラインが形成される。該接合ラインと中空状の膨出部の内部空間とはつながっているため釣行時に接合ラインから膨出部の内部空間に水が浸入する可能性がある。膨出部の内部空間に水が浸入した場合であっても、膨出部に貫通孔が形成されているため、その貫通孔から水をスムーズに外部に排出できる。
特に、貫通孔は、膨出部の後面に形成されていることが好ましい。釣りの最中に釣竿を立てておくことがある。そのように釣竿を立てた場合に、膨出部の後面は下を向くことになり、そこに形成されている貫通孔から水をスムーズに排出できる。例えば、船釣りにおいて次のポイントまで移動する間や帰港時に釣竿を立てておくことで、その間の移動時間を利用して膨出部の内部空間に溜まった水を排出しておくことができる。
更に、リールシートをその中心線が上下方向となるように縦向きとしたときに膨出部の後面において最も下側となる位置又はその近傍に、貫通孔が形成されていることが好ましく、釣竿を立てた状態において内部空間の水が貫通孔から外部により一層スムーズ且つ確実に排出される。
また、リールシート本体は、本体構成部材として固定部材と交換部材とを備えており、固定部材は竿本体に対して着脱不能に構成され、交換部材は竿本体に対して着脱自在に構成され、該交換部材に、貫通孔を有する中空状の膨出部が形成されていることが好ましい。該構成の場合には、釣り人自らがリールシート本体の交換部材を竿本体から取り外したり竿本体に取り付けたりすることができる。従って、他の仕様の交換部材を用意することで、釣り人自身が他の仕様の交換部材に簡単に交換することもできる。例えば、膨出部の形状が異なる他の交換部材に交換することもできる。そして、交換部材を取り外すことで、内部空間の水をより一層容易に排出することができ、取り外した交換部材を乾燥させた状態で保管できる。
また、本発明に係る釣竿は、上記リールシートを備えたものである。
以上のように、リールシート本体を複数に分割された構成とすることで薄肉の中空状の膨出部を容易に形成できて重量増加を抑制でき、膨出部によって良好な握り心地を確保できる。また、膨出部に貫通孔を形成することで膨出部の内部空間に浸入した水を外部に容易に排出できる。
本発明の一実施形態におけるリールシートの斜視図。 同リールシートの正面図。 同リールシートの背面図。 同リールシートの平面図。 同リールシートの底面図。 同リールシートを軸線方向の竿尻側から見た図。 同リールシートを軸線方向に切断した縦断面図。 同リールシートから交換部材を取り外した状態の正面図。 同リールシートの交換部材の背面図。 同リールシートの交換部材の平面図。 同リールシートの交換部材を軸線方向の竿尻側から見た図。 同リールシートの交換部材を軸線方向に沿って切断した縦断面図。 同交換部材を分解した状態を示す正面図。 同交換部材を分解した状態を示す縦断面図。 (a)は図13のA−A端面図、(b)は図13のB−B端面図、(c)は図13のC−C端面図、(d)は図13のD−D端面図。 図11のE−E断面図。 同リールシートを備えた釣竿に両軸リールを取り付けた状態を示す正面図。 同釣竿に両軸リールを取り付けた状態を示す背面図。 同釣竿に両軸リールを取り付けた状態を示す平面図。 同釣竿に大型の両軸リールを取り付けた状態を示す背面図。 同リールシートを把持した状態を示す底面図。
以下、本発明の一実施形態に係るリールシートとそれを備えた釣竿について図1〜図21を参酌しつつ説明する。尚、リールシートの軸線方向を前後方向とし、前側を竿先側、後側を竿尻側とする。図1及び図2に前側を矢印X1で示し、後側を矢印X2で示している。また、後述するリール脚載置部11を上側とし、それとは反対側を下側とする。図1及び図2に上側を矢印Y1で示し、下側を矢印Y2で示している。本実施形態におけるリールシートは、釣竿に両軸リール100を取り付けるためのものである。両軸リール100は、一般的に使用状態において釣竿の上側に位置する。両軸リール100は種々の形状であってよいが、その一例を図17〜図20に示している。両軸リール100は、リール本体と、リール脚101とを備えている。リール本体は、左右一対の側壁部102,103と、該左右の側壁部102,103間に位置し、左右の側壁部102,103に回転可能に支持されるスプール104と、該スプール104を回転させるためのハンドル105と、スプール104の回転とハンドル105の回転とを連結、解除するためのクラッチ106とを備えている。
左右一対の側壁部102,103は、互いに略同一形状であって、本実施形態では正面視の形状が円形であって、略円板状の形状となっているが、正面視の形状が前後方向に長い楕円形等であってもよい。左右一対の側壁部102,103は、平面視において左右平行に並んでいて、前後所定箇所において互いに連結されている。また、図19のような平面視において、左右の側壁部102,103は、竿本体1を中心として左右均等に配置される。平面視において、左側の側壁部103は、竿本体1よりも左側に突出、あるいは、はみ出すように位置し、右側の側壁部102は、竿本体1よりも右側に突出、あるいは、はみ出すように位置している。何れにしても、釣竿に両軸リール100を取り付けた状態では、左右の側壁部102,103は、それぞれ竿本体1に対して側方に向けて左右均等にはみ出した状態となる。スプール104は、左右方向の軸線回りに回転して釣り糸を巻き取る。
ハンドル105は、左右の側壁部102,103の何れかに回転可能に設けられ、本実施形態では右側の側壁部102に設けられていて右ハンドル仕様となっているが、左側の側壁部103に設けられた左ハンドル仕様であってもよい。ハンドル105は、スプール104と同様に、左右方向の軸線回りに回転する。ハンドル105とスプール104は同軸上にあってもよく、即ち、ハンドル105の回転中心線とスプール104の回転中心線が一直線状に位置していてもよいが、ハンドル105の回転中心線とスプール104の回転中心線が同一線上にはなくて平行関係にあってもよい。リール脚101は、両軸リール100をリールシートに取り付けるためのものである。リール脚101は、リール本体の下端部に設けられていて、前後方向に延びている。
リールシートは、竿本体1(ブランク)に外装着される筒状の構成であって、リールシート本体と、フード用ナット2と、可動フード3と、延長スリーブ4と、保持用ナット5を備えている。リールシートの中心線は竿挿通孔10の中心線10aであって竿本体1の中心線と一致する。リールシートの軸線方向はリールシートの中心線の方向であり、竿本体1の軸線方向は竿本体1の中心線の方向である。リールシートの軸線方向と竿本体1の軸線方向は一致する。
リールシート本体は、全体として筒状であって、その内側を竿本体1が挿通する。従って、リールシート本体は、竿本体1が挿通する竿挿通孔10を有している。リールシート本体は、竿本体1の所定位置に取り付けられる。リールシート本体は竿本体1の外周面に直接接着固定されたり、竿本体1の外周面との間に筒状のスペーサ(図示省略)を介して接着固定されたりする。リールシート本体は、種々の合成樹脂から射出成形により形成してよい。材質としては、特に繊維強化樹脂が好ましく、長さが1mm以下の短繊維を強化繊維とした繊維強化樹脂が好ましい。また、その繊維としてはカーボン繊維が好ましい。
リールシート本体は、リール脚載置部11と、固定フード部12と、フード用雄ネジ部13と、保持用雄ネジ部14,15と、側方張り出し部16と、サポート壁部17と、パーミンググリップ部18とを備えている。リール脚載置部11は、両軸リール100のリール脚101を載置するための部分であって、リールシート本体の上面に形成されている。該リール脚載置部11の後側に固定フード部12が位置している。固定フード部12は、リール脚101の後端部を保持するための部分であって前側に開口しており、固定フード部12にはリール脚101の後端部が前側から挿入される。
リールシート本体の前部外周面にフード用雄ネジ部13が形成されている。該フード用雄ネジ部13にはフード用ナット2が螺合する。該フード用ナット2の後側に可動フード3が位置し、可動フード3はリールシート本体に対して前後方向に移動可能であるが回転不能である。可動フード3は筒状であって、その全周のうちの上部に部分的に径方向外側に膨出したフード部が形成されている。可動フード3のフード部は、リール脚101の前端部を保持する部分であって後側に開口しており、そのフード部にリール脚101の前端部が相対的に後側から挿入される。フード用ナット2の後端部は可動フード3の前端部に相対回転可能に係止されていて、フード用ナット2が回転しながら前後に移動すると、それに合わせて可動フード3は前後に移動するものの回転はしない。フード用ナット2を後側に移動させることで可動フード3を固定フード部12に接近させることができて可動フード3と固定フード部12でリール脚101を前後に狭持して固定する。逆に、フード用ナット2を前側に移動させると、可動フード3は固定フード部12から前側に離れていき、両軸リール100を釣竿から取り外すことができる。
リールシート本体の後部は固定フード部12よりも後側に長く筒状に延びている。リールシート本体は、固定フード部12よりも後側に延びる延長筒部19を備えている。該延長筒部19は、パーミンググリップ部18よりも後側に延びている。延長筒部19の外周面には第一及び第二の保持用雄ネジ部14,15が形成されている。第一の保持用雄ネジ部14は延長筒部19の前端部近傍に形成されており、第二の保持用雄ネジ部15は第一の保持用雄ネジ部14から後側に所定長さ離間して形成されていて延長筒部19の後端部近傍に形成されている。第一及び第二の保持用雄ネジ部14,15の何れを使用する構成であってもよいが、本実施形態では第二の保持用雄ネジ部15を使用する構成とされていて第一の保持用雄ネジ部14は不使用の構成である。第二の保持用雄ネジ部15は延長筒部19の後端まで形成されている。
第二の保持用雄ネジ部15に保持用ナット5が螺合し、該保持用ナット5の前側に延長スリーブ4が位置している。該延長スリーブ4はリールシート本体の延長筒部19の外側に隙間をあけつつ同軸上に位置している。延長スリーブ4はリールシート本体の延長筒部19に対して前後方向に移動可能であるが回転不能である。延長スリーブ4の後端部と保持用ナット5の前端部は互いに相対回転可能に係止されていて、保持用ナット5が回転しながら前後に移動すると、それに合わせて延長スリーブ4は前後に移動するものの回転はしない。延長スリーブ4の前端開口部には開口リング6が装着されている。従って、延長スリーブ4の前端面は開口リング6により構成されている。保持用ナット5を締め付け方向に回転させて延長スリーブ4を前側に移動させると、延長スリーブ4の前端部に位置する開口リング6で後述の交換部材8を前側に押圧して交換部材8を取付状態に保持することができる。保持用ナット5を緩め方向に回転させて延長スリーブ4を後側に移動させると、交換部材8を取り外すことができる。このように保持用ナット5の前側に延長スリーブ4を備えることにより、保持用ナット5を固定フード部12やパーミンググリップ部18から後側に離して位置させることができる。従って、釣りを行う際に、両軸リール100を把持する手が保持用ナット5に触れにくくなり、保持用ナット5が緩みにくくなるという利点がある。
<側方張り出し部16>
リールシート本体は、左右非対称の形状となっている。リールシート本体は、左右両側面のうち何れか一方の側面のみに左右方向の外方に向けて張り出した側方張り出し部16を備えている。本実施形態におけるリールシートは、右側にハンドル105を備えた両軸リール100を取り付けるためのもの、即ち、右ハンドル仕様のものである。そのため、側方張り出し部16は、リールシート本体の左右両側面のうち左側の側面のみに形成されており、左側の側面は右側の側面よりも外側に膨出するように張り出している。側方張り出し部16は前部よりも後部の方が張り出し量が大きく、側方張り出し部16のうち最も張り出し量が大きい箇所である張り出し最大部16aは側方張り出し部16の後部に位置している。張り出し最大部16aは固定フード部12の前後方向の位置に対応してその左側又はその近傍に位置している。図4のような平面視において、あるいは、図5のような底面視において、リールシート本体の左側の側面は側方張り出し部16の存在によって前後方向に沿って外側凸に湾曲している。一方、リールシート本体の右側の側面は、リールシート本体の左側面の湾曲形状に対応して、前後方向に沿って内側凸に湾曲しており、リールシート本体の左側の側面の凸型の湾曲形状とリールシート本体の右側の側面の凹型の湾曲形状は互いに対応している。
側方張り出し部16は、パーミング時に、手の平がリールシート本体に当接する部分を増加させる機能を有する。パーミング時には、両軸リール100とリールシートを左手の全体で包み込むように把持する。具体的には、左手の親指を両軸リール100の左側の側壁部の上面に載せ、左手の他の四本の指はリールシートの下面に位置させる。このような把持の仕方を一般的にパーミングと称する。パーミング時に側方張り出し部16は、特に手の平のうち人差し指から小指までの四本の指の付け根の関節部分(MP関節)、ないしは、触球部に当接してそれを支持する。側方張り出し部16の前端部は、最も後側まで移動した状態の可動フード3の後端部の近傍に位置する。側方張り出し部16の後端部は、延長スリーブ4の前端部の近傍あるいは前後方向中間部の近傍に位置する。
側方張り出し部16は、その下端から上端に向けて徐々に側方への張り出し量が大きくなる形状となっている。側方張り出し部16の外面は、リールシート本体の下面から滑らかに連続しており、上方に向けて徐々に外方に傾斜しつつ延びている。リール脚載置部11及び固定フード部12の側方であって左側には上側に開口した肉抜き凹部20が形成されている。該肉抜き凹部20は側方張り出し部16の形状に対応した形状となっていて、肉抜き凹部20は前後方向に沿って長く延びていて側方張り出し部16の前後方向の略全長に形成されている。この肉抜き凹部20が形成されることにより側方張り出し部16は薄肉であって板状となっている。側方張り出し部16の上端部は、その前側の大部分においてリール脚載置部11よりも下側に位置しており、その後部においてはリール脚載置部11よりも高くなっている。側方張り出し部16の上端部は、前端部から後側に向けて一旦徐々に下降した後、そこから後側に向けて徐々に上昇して後述のサポート壁部17の最上部17aにおいて最も高くなり、そのサポート壁部17の最上部17aから後側に向けて急激に降下している。
<サポート壁部17>
側方張り出し部16の後部には、サポート壁部17が上方に向けて突設されている。サポート壁部17は、パーミング時に手の平に当接してその手の平を内側から支えるためのものである。サポート壁部17は、固定フード部12の側方やや後方に離間して位置していて上方に向けて起立している。サポート壁部17は側方張り出し部16の後部を構成している。サポート壁部17は薄肉状であって板状であり、板状の側方張り出し部16と同じ厚さで連続して形成されている。
サポート壁部17の形状は任意であるが、本実施形態では最上部17aを頂部とする正面視三角形状に形成されている。サポート壁部17は、固定フード部12の頂部よりも上方に突出しており、従って、サポート壁部17の最上部17aは固定フード部12よりも上方に位置している。サポート壁部17の最上部17aは、固定フード部12よりも後側に位置している。また、サポート壁部17の最上部17aは、張り出し最大部16aよりも後側に位置している。
サポート壁部17の外面の下部からパーミンググリップ部18の外面にかけての所定領域にグリップ模様部21が形成されている。グリップ模様部21の領域やその形状、個数等は任意であって種々の模様とすることもできるが、本実施形態では、多数の円形の凹部が規則的に配列された模様となっている。このようにグリップ模様部21を形成することで手の平が当接したときに滑りにくくなって密着力が向上する。
<パーミンググリップ部18>
リールシート本体の下部の後側寄りの位置にパーミンググリップ部18が形成されている。該パーミンググリップ部18は、リールシート本体の下面の後部に下側に向けて大きく膨出している膨出部である。パーミンググリップ部18は中空状に形成されている。従って、パーミンググリップ部18の内側には内部空間30,31が形成されている。内部空間30,31は外壁によってパーミンググリップ部18の外部と区画されている。パーミンググリップ部18の外壁は薄肉の板状に形成されている。パーミンググリップ部18の外壁には内部空間30,31と外部とを連通する水抜き用の貫通孔22が形成されており、内部空間30,31に水が溜まった場合にはその水を貫通孔22から外部に排出することができる。該貫通孔22の位置、大きさ、個数等は任意であるが、本実施形態ではパーミンググリップ部18の後面の上端部に横長の貫通孔22が左右一対形成されている。
パーミンググリップ部18は、パーミング時に人差し指から小指の手の平側の面である裏面に当接してそれを支持する。パーミンググリップ部18には人差し指から小指までの四本の指が当接してもよいし、その四本のうちの複数の指が当接してもよい。パーミンググリップ部18は、リールシート本体の下面のうち固定フード部12の下側に対応した位置から後側にかけて形成されていて、延長筒部19の前部の下側位置まで延びている。パーミンググリップ部18は、その径方向内側の端部である基端部から径方向外側の端部である先端部18aにかけて徐々に尖っていく形状であって、前後方向の寸法及び左右方向の寸法は、何れも基端部から先端部18aにかけて徐々に小さくなっている。即ち、パーミンググリップ部18は全体として下向きの山形状ないし円錐形状となっている。
図16のようにパーミンググリップ部18の前面18bは前側が凸となるように左右方向に沿って湾曲した湾曲面となっており、パーミンググリップ部18の前面18bは左右両側面と滑らかに連続している。パーミンググリップ部18の前面18bはパーミンググリップ部18の基端部から先端部18aにかけて徐々に後側に傾斜しつつ下降している。パーミンググリップ部18の前面18aの基端部の位置は固定フード部12の下側に対応した位置となっている。パーミンググリップ部18の先端部18aはサポート壁部17の最上部17aよりも後側に位置している。パーミンググリップ部18の後面18cは、後側が凸となるように左右方向に沿って湾曲した湾曲面となっており、パーミンググリップ部18の後面18cは、後述の接合ライン50,51の箇所を除いて、左右両側面と滑らかに連続している。
パーミンググリップ部18の後面18cは左右方向に沿って後側凸に湾曲しているがその湾曲形状のピーク部分18eは、竿挿通孔10の中心線10aよりも右側に位置している。従って、パーミンググリップ部18の後面18cは右側に偏心した状態で左右方向に沿って湾曲している。パーミンググリップ部18の後面18cはパーミンググリップ部18の先端部18aから基端部まで後側に傾斜しつつ上昇している。パーミンググリップ部18の前面18bの水平方向に対しする傾斜角度は相対的に小さく、パーミンググリップ部18の後面18cの水平方向に対する傾斜角度は相対的に大きい。
パーミンググリップ部18の後面18cの基端部がリールシート本体の後端部となっている。パーミンググリップ部18の後部は延長スリーブ4の前部の下側に位置していて、パーミンググリップ部18の後部と延長スリーブ4との間には隙間が形成されている。パーミンググリップ部18の後部上面18dは竿挿通孔10の中心線10aを中心とした円弧状の凹面となっている。
<リールシート本体の下面>
リールシート本体の下面の高さは、リールシート本体の前端部から途中の位置まで後側に向けて徐々に緩やかに上昇していて、その後、後側に向けて後側凸に湾曲しつつ下降してパーミンググリップ部18の先端部18aにおいて最も低くなっている。リールシート本体の交換部材8を竿挿通孔10の中心線10aと直交する方向に切断したときの断面形状を図15(a)〜(d)に示している。図15(a)〜(d)はそれぞれ図13のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線に対応した断面図(端面図)である。このような横断面視において、リールシート本体の下面の周方向の最も下側に位置する点である最下点を図15(a)〜(d)にそれぞれ符号P1〜P4で示している。このように横断面視におけるリールシート本体の下面の周方向の最下点P1〜P4は竿挿通孔10の中心線10aよりも左側にオフセットしている。最下点P1〜P4の竿挿通孔10の中心線10aからのオフセット量F1〜F4は一定ではなく変化しており、本実施形態では、F1<F2<F3であって、F3>F4であり、この四つの断面図の中では図15(c)のオフセット量F3が最も大きい。このような各横断面図におけるリールシート本体の下面の周方向の最下点を前後に連続的に繋ぐと一つの線となる。この線を下面ピークライン23と称することとする。下面ピークライン23を図5に示している。尚、図5には、リールシート本体の下面のうちパーミンググリップ部18の先端部18aよりも前側の領域について下面ピークライン23を描いている。
下面ピークライン23の全長のうちパーミンググリップ部18の先端部18aよりも前側の領域のうち前半部分は、竿挿通孔10の中心線10aに対して左側にオフセットしている。この下面ピークライン23のオフセット部分23aは、左側に突出するように湾曲した形状となっている。下面ピークライン23の後半部分はオフセットしておらず竿挿通孔10の中心線10aと略一致している。下面ピークライン23のオフセット部分23aのうちオフセット量が最大となるオフセット最大部を図5に符号PFで示している。該オフセット最大部PFは、固定フード部12よりも前側に位置していて、両軸リール100を取り付けた状態では両軸リール100の直下に位置する。オフセット最大部PFは上述の張り出し最大部16aよりも前側に位置している。
尚、リールシート本体を合成樹脂からなる射出成形品とする場合であって、左右両側に金型を配置する場合においては、左右の金型同士が接合することによって形成される金型のパーティングラインが下面ピークライン23となる。本実施形態ではリールシート本体を構成する本体構成部材の一つであるグリップ本体80における下面ピークライン23が上述のように左側に部分的に湾曲し、蛇行している。後述のグリップ本体80を射出成形品として金型を左右に分割する構成では、グリップ本体80の下面におけるパーティングラインが下面ピークライン23となる。
<リールシート本体の部材構成>
次に、本実施形態におけるリールシート本体の部材構成について説明する。リールシート本体は、複数の本体構成部材から構成されている。本体構成部材の個数は任意であるが、本実施形態では、大きく二つに分割されていて、更にその一つが二つに分割された構成となっている。詳細には、リールシート本体は、互いに別体に形成された固定部材7と交換部材8とから構成される。固定部材7と交換部材8は本体構成部材である。固定部材7は、竿本体1に接着固定されている。固定部材7は、リールシート本体の主要部を構成していて、全体として筒状であって、その内側に竿挿通孔10を備えており、リール脚載置部11、固定フード部12、フード用雄ネジ部13、及び延長筒部19を有している。
交換部材8は、固定部材7に対して着脱自在である。交換部材8は、リールシート本体の前後方向中央部近傍であって下側部分を構成していて、固定部材7に対して下側に向けて分離可能であり、下側から上側に向けて固定部材7に取り付けられる。交換部材8は、側方張り出し部16とサポート壁部17とパーミンググリップ部18を有している。交換部材8は、固定部材7の前後方向中央部近傍の下側略半分の部分を下側且つ外側から覆う。固定部材7に下側から交換部材8が取り付けられて、固定部材7の下側部分の外面の径方向外側に交換部材8が重なり合う。固定部材7の重ね合わせ部には左右一対の係止凸部70が形成されており、交換部材8の重ね合わせ部には、固定部材7の係止凸部70と凹凸係合する係止凹部81が左右一対形成されている。固定部材7は左右対称形状であり、交換部材8は左右非対称形状である。従って、固定部材7に交換部材8を装着することにより、リールシート本体は左右非対称の形状となる。固定部材7から交換部材8を取り外すことにより、側方張り出し部16とサポート壁部17とパーミンググリップ部18は、固定部材7から一括して外れることになる。
交換部材8の後部には、前後方向に対して直交する面である被押圧面82と、該被押圧面82の径方向内側の端部から後方に突出する突片部83とが形成されている。図11のように交換部材8を後方から見たとき、交換部材8の後部は上方に開口したU字状ないしC字状となっており、被押圧面82もU字状ないしC字状となっている。そして、その被押圧面82の周方向の全長のうち所定長さ領域に突片部83が形成されている。該突片部83は、後方から見たとき、被押圧面82に対応してU字状ないしC字状であって、下側の半周分を越えて上方に所定長さ延びた形状となっている。但し、突片部83は被押圧面82の周方向の全長に亘って形成されてはおらず、被押圧面82の周方向の両端部82aには形成されていない。従って、被押圧面82の周方向の両端部82aは突片部83の周方向の両端部83aよりも上側に延びている。突片部83は薄肉に形成されていて被押圧面82から後側に所定長さ延設されている。被押圧面82は延長スリーブ4の前端面を構成している開口リング6によって前側に押圧され、この押圧力によって交換部材8は固定部材7と延長スリーブ4とによって前後に狭持されて取付状態が維持される。また、突片部83の外側に、延長スリーブ4の前端開口部を構成している開口リング6が被さり、交換部材8の下側への抜け落ちを延長スリーブ4の開口縁部が防止する。
<交換部材8の部材構成>
交換部材8は、各々別々に形成された二つの部材から構成されている。交換部材8は、互いに別体であるグリップ本体80と蓋90とから構成されている。グリップ本体80と蓋90は本体構成部材である。グリップ本体80は交換部材8の大部分を占めており、パーミンググリップ部18の外壁の後部を除いて交換部材8の他の部分の全体を構成している。パーミンググリップ部18の前面18bと左右両側面のうちの前側部分はグリップ本体80によって構成されている。蓋90は、パーミンググリップ部18の外壁の後部を構成している。パーミンググリップ部18の後面18cと左右両側面のうちの後側部分と後部上面18dは蓋90によって構成されている。交換部材8の被押圧面82は三つの領域に区画されていて、周方向の中央領域82bは蓋90に形成され、周方向の両端部近傍領域82cはグリップ本体80に形成されている。突片部83はグリップ本体80に形成されている。
グリップ本体80の内面であってパーミンググリップ部18の前後方向中央部近傍の位置には、上側に向けて区画壁84が突設されている。該区画壁84の上端部に突片部83が後側に向けて延設されている。蓋90は、区画壁84の後面にネジ止めされている。蓋90をグリップ本体80に取り付けるための図示しないネジは、前側から区画壁84を挿通して蓋90のネジボス94にねじ込まれている。図示しないネジは、蓋90を区画壁84の後面に引き寄せるようにして蓋90を区画壁84に締結している。
区画壁84によって内部空間30,31は前後二つの部屋に仕切られる。前側の部屋30は、交換部材8の単体の状態ではグリップ本体80のみで区画されていて上方に開口している。交換部材8が固定部材7に取り付けられた状態においては、前側の部屋30は、固定部材7によって上方開口部が閉塞されて交換部材8と固定部材7によって区画される。尚、固定部材7の下部に貫通した孔を形成してもよく、その場合にはその孔から露出する竿本体1によって上方開口部が閉塞されることになり、竿本体1とグリップ本体80によって前側の部屋30が区画されることになる。
後側の部屋31は、グリップ本体80と蓋90によって区画されている。このように区画壁84によって内部空間30,31が前後二つの部屋に仕切られていることから、区画壁84には前後の部屋を連通するための連通孔85が形成されている。該連通孔85の形状、大きさ、位置等は種々であってよいが、本実施形態では区画壁84の下端部近傍に一つ形成されていて横長の形状とされている。尚、区画壁84を設けずに突片部83のみを形成するようにしてもよく、内部空間30,31が一つの部屋から構成されていてもよい。
パーミンググリップ部18はグリップ本体80と蓋90によって前後二分割の構成とされていて、グリップ本体80と蓋90が前後に接合されることで、パーミンググリップ部18の内部空間30,31である後側の部屋31が画成される。図16のようにグリップ本体80の後側の開口縁部80a,80bの内側に蓋90の前側の開口縁部90aが重なり合うようにしてグリップ本体80と蓋90とが接合される。グリップ本体80がパーミンググリップ部18の外壁のうちの前側部分を構成し、蓋90がパーミンググリップ部18の外壁のうちの後側部分を構成している。
蓋90は、上下方向に延びる縦壁部91と、該縦壁部91の上端部から前側に向けて延設された横壁部92とを備えている。縦壁部91は平面であってもよいが、本実施形態では後側凸となるように左右方向に沿って湾曲した湾曲面となっている。但し、上述のようにパーミンググリップ部18の後面18cは右側に偏心した状態で左右方向に沿って湾曲しており、縦壁部91は右側に偏心した状態で左右方向に沿って湾曲している。縦壁部91の上端部の内面に前側に向けてネジボス94が突設されている。
横壁部92は、パーミンググリップ部18の基端部近傍に位置する。横壁部92の少なくとも前側の部分はグリップ本体80の内側に後側から入り込む。後側の部屋31は横壁部92の下側に形成され、従って、横壁部92は後側の部屋31の天井部となっている。本実施形態では横壁部92の前端部は区画壁84まで達して、区画壁84と共に後側の部屋31を画成する。横壁部92は、延長スリーブ4の径方向外側であって下側に位置し、延長スリーブ4に対して隙間をあけて対峙する。横壁部92の上面は、パーミンググリップ部18の後部上面18dを構成していて、左右方向に沿って下側凸に湾曲した湾曲面となっている。横壁部92の前端部には上側に向けてフランジ部93が突設されており、該フランジ部93の後面が被押圧面82の周方向の中央領域82bを構成している。ネジボス94は横壁部92の下面と一体化している。
蓋90に上述の水抜き用の貫通孔22が形成されている。貫通孔22は縦壁部91の上端部に左右一対形成されている。左右の貫通孔22のうち後側から見て右側に位置する貫通孔22は、リールシートないし釣竿をその中心線が上下方向となるように縦向きとしたときに蓋90において最も下側となる位置に形成されている。
このようにリールシート本体が互いに別体構成の固定部材7と交換部材8とから構成されることにより、固定部材7に交換部材8が取り付けられた状態、即ち、通常使用状態では、リールシート本体の表面には固定部材7と交換部材8との接合による接合ライン40,41,42,43が形成される。接合ライン40,41,42,43は、前後方向に沿って延びる左右一対の接合ライン40,41と、該左右一対の接合ライン40,41の前端部同士及び後端部同士をそれぞれ下面回りで連結する周方向に沿って延びる前後一対の接合ライン42,43とから構成される。
更に、交換部材8がグリップ本体80と蓋90とから構成されることにより、パーミンググリップ部18の表面にはグリップ本体80と蓋90との接合による接合ライン50,51が形成される。接合ライン50,51は、パーミンググリップ部18の基端部から先端部18aに向けて延びていて左右一対形成されている。左右一対の接合ライン50,51は、パーミンググリップ部18の先端部18aにおいて互いに連結されていて、後側から見ると全体としてV字状となっている。グリップ本体80の後方開口部に面した上下方向に延びる左右の開口縁部80a,80bは、左側の開口縁部80aに比して右側の開口縁部80bの方が後側に延びている。従って、左側の接合ライン50に比して右側の接合ライン51の方が後側に位置する。そのため、パーミンググリップ部18を左手で把持した際に、左手の指先、特に薬指や小指の指先が右側の接合ライン51に接触しにくくなる。このようにリールシート本体の表面には複数の接合ライン40,41,42,43,50,51が形成されており、パーミンググリップ部18の内部空間30,31はそれらの接合ライン40,41,42,43,50,51とつながっている。接合ライン40,41,42,43,50,51は接着によって密封されているのではなく、接合ライン40,41,42,43,50,51には隙間が存在している。内部空間30,31は、接合ライン40,41,42,43,50,51を介して外部と連通している。
<両軸リール100の取付状態>
図17〜図19に、竿本体1に装着したリールシートに両軸リール100を取り付けた状態を示している。両軸リール100が釣竿の上側に位置する状態を通常の状態とする。両軸リール100のハンドル105は右側に位置し、側方張り出し部16とサポート壁部17はハンドル105とは反対側である左側に位置する。図19のように、側方張り出し部16は、平面視において、両軸リール100の左側の側壁部103よりも外側には突出せず、内側、即ち、竿本体1の中心線側に位置する。図17のように、側方張り出し部16の上端部は、両軸リール100の左側の側壁部103の下側に所定の隙間を空けつつ対峙する。サポート壁部17は、両軸リール100の左側の側壁部103の直後に位置する。図19のように、サポート壁部17は、平面視において、両軸リール100の左側の側壁部103よりも外方には突出せず、それよりも内側に位置するようにしてよい。
<パーミング時>
図18及び図19にパーミング時における左手を二点鎖線で示している。パーミング時には、左手で両軸リール100とリールシートを包み込むようにして把持する。具体的には、左手の親指の腹の部分を両軸リール100の左側の側壁部103の上面に当てる。人差し指から小指までの四本の指は、リールシート本体の下面のうち前端部からパーミンググリップ部18の先端部18aまでの領域に位置させる。パーミング時に、人差し指から小指までの四本の指でパーミンググリップ部18を把持することができ、サポート壁部17に手の平の母指球を当接させることができる。また、パーミング時にリールシートを斜め方向に把持することができる。更に、側方張り出し部16の外面に人差し指から小指の付け根に位置する触球部を当接させることができる。このようにリールシート本体の左側部に側方張り出し部16及びサポート壁部17が形成されているので、パーミング時の密着感、フィット感が向上し、また、良好なフィット感が得られる。従って、釣り人の手の負担が軽減され、長時間楽に釣りを行うことができる。
<交換部材8の取付、取り外し>
図8のように保持用ナット5を緩めて後側に後退させた状態で交換部材8を固定部材7に対して着脱できる。交換部材8の取付、取り外し作業は、釣竿にリールシートが取り付けられた状態のままで行うことができる。竿本体1に固定部材7が取り付けられた状態で、交換部材8を取り付けたり、取り外したりすることができる。従って、他の種類の交換部材8を準備しておけば、釣竿にリールシートが取り付けられている状態のまま交換部材8のみを交換することができる。例えば、左側にサポート壁部17が形成された交換部材8から、右側にサポート壁部17が形成された交換部材8に交換することもできる。従って、交換部材8のみを交換することで、右側のハンドル105を備えた両軸リール100から左側にハンドル105を備えた両軸リール100に付け替えることができる。また、サポート壁部17の形状や大きさ、側方張り出し部16の張り出し量、パーミンググリップ部18の位置や大きさやその有無等、種々の仕様の交換部材8に容易に取り替えて楽しむことができる。また、交換部材8の材質や色、デザイン等が異なる他の交換部材8に容易に交換することもできる。そのため、釣り人の好みや両軸リール100の種類、対象魚や状況等に応じて、釣り人が自由にリールシートをカスタマイズして楽しむことができる。
このような交換部材8の交換は、釣竿にリールシートが取り付けられた状態のままで行うことができるため、釣り人自らが容易に交換することができる。例えば、釣りの現場においても交換部材8を容易に交換でき、また、両軸リール100を釣竿に取り付けた状態のままでも交換部材8を交換することができる。特に、保持用ナット5の締め付け操作と緩め操作によって交換することができるので、交換作業は極めて簡単であって素早く交換することができる。尚、交換部材8を取り外しても、リールシートにはリール脚載置部11や固定フード部12、可動フード3、フード用ナット2がそのまま残っているため、交換部材8を取り外したリールシートに両軸リール100を装着して釣りを行うことも可能である。
以上のように、本実施形態におけるリールシートは、リールシート本体が固定部材7と交換部材8から構成されているので、交換部材8に中空状のパーミンググリップ部18を容易に形成でき、リールシート本体を軽量化できる。更に、交換部材8がグリップ本体80と蓋90という二つの部材から構成されているので、パーミンググリップ部18の形状の自由度が大きく、グリップ感に優れたパーミンググリップ部18を形成できる。しかも、パーミンググリップ部18の外壁のうちの後部がグリップ本体80とは別体の蓋90として構成されているので、パーミンググリップ部18の外壁の全体を一つの部材から構成する場合に比して中空状のパーミンググリップ部18を容易に形成することができる。従って、パーミンググリップ部18の形状に関する制約が少なくなり、握り心地の良いパーミンググリップ部18を形成できる。特に、リールシート本体を合成樹脂から射出成形により形成する場合には、金型の抜きの制約が少なくなるため、パーミンググリップ部18を任意の形状に容易に形成できる。
また、パーミンググリップ部18の前面18bが左右方向に沿って前側凸に湾曲しているので、パーミンググリップ部18を把持した際の手の当たり具合が柔らかく、しかも高い密着性が得られる。また、パーミンググリップ部18の後面18cも左右方向に沿って後側凸に湾曲しているため、パーミンググリップ部18の後面18cに手が当たっても痛くなく、良好な手触りが得られる。そして、パーミンググリップ部18を前後二分割としてその後面18cをグリップ本体80とは別体の蓋90から構成しているので、パーミンググリップ部18の後面18cを容易に後側に膨出した膨出形状とすることができる。また、蓋90の開口縁部90aがグリップ本体80の開口縁部80a,80bの内側に重ね合わせられているので、パーミンググリップ部18を把持した際に、把持する手の指先が蓋90の開口縁部90aに当たりくく、手触りが良い。
一方、リールシート本体の表面には、接着によって密封されていない接合ライン40,41,42,43,50,51が存在しているため、その接合ライン40,41,42,43,50,51から内部に水が浸入する可能性があり、パーミンググリップ部18の内部空間30,31に水が溜まる可能性がある。特に、交換部材8が固定部材7に対して着脱自在な構成となっているため、固定部材7と交換部材8との間の接合ライン40,41,42,43から水が浸入する可能性がある。内部空間30,31に溜まった水はそれらの40,41,42,43,50,51から外部に滲み出していくことになり、特に下側に位置するパーミンググリップ部18における接合ライン50,51から水が外部に滲み出していくことになる。その一方で、接合ライン40,41,42,43,50,51とは別に貫通孔22が形成されているので、その貫通孔22から水を外部に素早く排出することができる。また、貫通孔22はパーミンググリップ部18の後面18cに位置しているので、釣竿を立てておくことで容易に水を外部に排出できる。例えば、船釣りにおいて次のポイントまで移動する間や帰港時に釣竿を立てておくと、その間の移動時間を利用してパーミンググリップ部18の内部空間30,31に溜まった水を排出することができる。しかも、貫通孔22は、釣竿を立てた際にパーミンググリップ部18の後面18cにおいて最も下側となる部分に位置しているので、より一層確実に水を排出することができる。尚、交換部材8が着脱自在であるため、その交換部材8を固定部材7から取り外すことによって、内部空間30,31の水を完全に排出することができ、交換部材8を洗ったり、乾燥したりすることもでき、清潔な状態で保管することができる。
リールシートには種々の大きさの両軸リール100を取り付けることができる。図20に、図18に示したものに比して大型の両軸リール100をリールシートに取り付けた状態を示している。このように大型の両軸リール100を取り付けると、パーミング時に親指と他の四本の指との間の上下の間隔が広がるため、図18の状態に比してリールシート本体の下面に対する四本の指の掛かり具合や接触面積が小さくなる。しかしながら、リールシート本体の下面ピークライン23が固定フード部12よりも前側において左側にオフセットされているので、下面ピークライン23のオフセット部分23aが四本の指に近くなっている。そのため、下面ピークライン23のオフセット部分23aに指が引っ掛かりやすく、指とリールシート本体の下面との接触面積が広がって密着度が高くなる。このときの状態を図21に概略的に示しており、四本の指を二点鎖線で示している。このように下面ピークライン23の前部が竿挿通孔10の中心線10aよりも左側にオフセットしているので、大型の両軸リール100をリールシートに取り付けた場合であっても四本の指をリールシート本体の下面にしっかりと当接させて把持することができる。尚、手の小さい釣り人が把持する場合も同様であって、しっかりと把持することができる。
更に、下面ピークライン23のオフセット最大部PFが前側に位置し、側方張り出し部16の張り出し最大部16aがオフセット最大部PFよりも後側に位置しているので、パーミング時に、四本の指をやや前側に位置させて親指をやや後側に位置させた状態で両軸リール100とリールシートを斜め方向に把持しやすい。そして、両軸リール100とリールシートを斜め方向に把持した際に、人差し指や中指等の指が下面ピークライン23のオフセット最大部PF近傍に掛かりやすくなると共に、手の平の母指球が側方張り出し部16の張り出し最大部16a近傍に当接しやすくなる。そのため、大型の両軸リール100を取り付けた場合や釣り人の手が小さい場合であっても、パーミング時に手の平との密着度合いが高まり、楽に把持することができる。
尚、膨出部として下面にパーミンググリップ部18が形成されている構成について説明したが、膨出部はトリガーであってもよい。また、下面ではなく側面に膨出部が形成された構成であってもよい。また、両軸リール100用のリールシートについて説明したが、スピニングリール用のリールシートであってもよい。
また、固定部材7に対して交換部材8が着脱自在な構成であったが、交換部材8が接着により固定部材7に着脱不能に固定された構成であってもよい。また固定部材7と交換部材8とが一体的に形成されて一つの部材として構成されていてもよく、例えばパーミンググリップ部18における蓋90のみが別体となった構成であってもよい。パーミンググリップ部18の後面18cが後側に膨出せずに平坦面となっていてもよい。
蓋90がグリップ本体80に着脱自在であってもよい。蓋90をグリップ本体80から取り外して他の形態の蓋90に交換可能に構成してもよく、蓋90を釣り人の好みに応じて適宜交換することによってリールシートをカスタマイズしてもよい。例えば、図2に二点鎖線で示しているような別の蓋90に交換することにより、パーミンググリップ部18の下方への膨出量を大きくすることができ、基端部から先端部18aまでの長さを長くすることができる。また、蓋90を交換することで、パーミンググリップ部18の後面18cの形状、特に後面18cの後側への膨らみ具合を好みのものに変更することもできる。尚、蓋90を交換可能な構成とする場合には、蓋90を例えば後側からグリップ本体80にネジ止めすることができる。その場合、グリップ本体80にネジボスを設ける。グリップ本体80にネジボスを設ける場合、例えば区画壁84に後側に向けてネジボスを突設することができる。尚、蓋がパーミンググリップ部18の後部ではなく前部に設けられた構成であってもよく、その場合、蓋はパーミンググリップ部18の前面18bを構成することになる。パーミンググリップ部18の前部に蓋が設けられた構成であってその蓋を交換可能としてもよい。また、蓋がパーミンググリップ部18の側面に設けられた構成であってもよく、パーミンググリップ部18の外壁の一部の領域を蓋によって構成していてよい。
1 竿本体
2 フード用ナット
3 可動フード
4 延長スリーブ
5 保持用ナット
6 開口リング
7 固定部材(本体構成部材)
8 交換部材(本体構成部材)
10 竿挿通孔
10a 中心線
11 リール脚載置部
12 固定フード部
13 フード用雄ネジ部
14 第一の保持用雄ネジ部
15 第二の保持用雄ネジ部
16 側方張り出し部
16a 張り出し最大部
17 サポート壁部
17a 最上部
18 パーミンググリップ部(膨出部)
18a 先端部
18b 前面
18c 後面
18d 後部上面
18e ピーク部分
19 延長筒部
20 肉抜き凹部
21 グリップ模様部
22 貫通孔
23 下面ピークライン
23a オフセット部分
PF オフセット最大部
30 前側の部屋(内部空間)
31 後側の部屋(内部空間)
40 接合ライン
41 接合ライン
42 接合ライン
43 接合ライン
50 左側の接合ライン
51 右側の接合ライン
70 係止凸部
80 グリップ本体(本体構成部材)
80a 左側の開口縁部
80b 右側の開口縁部
81 係止凹部
82 被押圧面
82a 両端部
82b 中央領域
82c 両端部近傍領域
83 突片部
83a 両端部
84 区画壁
85 連通孔
90 蓋(本体構成部材)
90a 開口縁部
91 縦壁部
92 横壁部
93 フランジ部
94 ネジボス
100 両軸リール
101 リール脚
102 右側の側壁部
103 左側の側壁部
104 スプール
105 ハンドル
106 クラッチ

Claims (5)

  1. 竿本体に装着される筒状のリールシート本体を備えたリールシートであって、
    リールシート本体は複数に分割された本体構成部材から構成されていて、該リールシート本体の表面には本体構成部材同士の接合ラインが形成されており、
    リールシート本体は接合ラインとつながった内部空間を有する中空状の膨出部を備え、該膨出部には、接合ラインとは異なる位置に、内部空間と外部とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とするリールシート。
  2. 貫通孔は、膨出部の後面に形成されている請求項1記載のリールシート。
  3. リールシートをその中心線が上下方向となるように縦向きとしたときに膨出部の後面において最も下側となる位置又はその近傍に、貫通孔が形成されている請求項2記載のリールシート。
  4. リールシート本体は、本体構成部材として固定部材と交換部材とを備えており、固定部材は竿本体に対して着脱不能に構成され、交換部材は竿本体に対して着脱自在に構成され、該交換部材に、貫通孔を有する中空状の膨出部が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載のリールシート。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のリールシートを備えた釣竿。
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