JP2019169496A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボイドや剥がれなどの構造欠陥を十分に抑制することができ、信頼性の低下を招くことのない積層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。【解決手段】積層セラミックコンデンサの製造方法であり、本製造方法は、内部電極パターンが印刷されていない外層用の誘電体シートを所定枚数積層する工程と、外層用の誘電体シート上に所定の内部電極パターンが印刷された内層用の誘電体シートを順次積層する工程と、再度、外層用の誘電体シートを所定枚数積層する工程とをへて、積層シートを形成する工程と、積層シートを圧着手段により積層方向に圧着し、積層ブロックを形成する工程と、を備える。圧着により積層ブロックを形成する工程では、積層シートの上面と下面に微粒子を配置し、圧着を行う。【選択図】図5

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
近年、積層セラミックコンデンサは、小型化や静電容量の増加が求められており、内部電極層の積層枚数が増加してきている。内部電極層の積層数が増加することで、異なる電位に接続される内部電極層同士が対向する部分である内部電極層の対向電極部において、内部電極層同士が密集することとなる。つまり、内部電極層の対向電極部においては内部電極層の密度が大きくなる。
一方で、内部電極層の対向電極部に位置するそれぞれの内部電極層から、第1または第2の端面に延びる内部電極層の引出電極部においては、異なる電位に接続される内部電極層のうち、どちらか一方のみが積層方向に対向することとなる。そのため、対向電極部に比べて引出電極部の内部電極層の密度に大きな差異が生じる。
ここで、内部電極層の対向電極部と内部電極層の引出電極部における内部電極層の密度差が大きくなると、内部電極層の密度が小さい引出電極部においてプレスの圧力がかかりにくくなる。その結果、引出電極部における内部電極層と誘電体層との間において、ボイドや剥がれなどの構造欠陥が発生しやすくなる。
上記のような課題の対策として、たとえば、特許文献1には、セラミック積層物の上面および下面をラバーのような弾性または可塑性を有する部材を設けて静水圧プレスを行う方法が開示されている。
特開平2−161713号公報
しかしながら、特許文献1の静水圧プレスによると、引出電極部における内部電極層と誘電体層との間において、ボイドや剥がれなどの構造欠陥が発生しにくくなるものの、ラバーの流動量の低下が起こり、十分な圧力を均等にかけることができず、ボイドや剥がれなどの構造欠陥の抑制効果を十分に得られない場合があった。
さらに、ラバーのような弾性体または可塑性を有する部材を設けて静水圧プレスを行った場合、その部材の変形の影響で外層近傍且つサイドギャップ近傍の有効部の変形が大きく、セラミック素子厚みが不均一となるため、信頼性の低下を引き起こすことがあった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、ボイドや剥がれなどの構造欠陥を十分に抑制することができ、信頼性の低下を招くことのない積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することである。
この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、積層された複数の誘電体層を含む積層体と、積層体内に配置され、誘電体層と交互に積層された複数の内部電極層と、内部電極層に接続される外部電極と、を備える、積層セラミックコンデンサの製造方法であって、内部電極パターンが印刷されていない外層用の誘電体シートを所定枚数積層する工程と、外層用の誘電体シート上に所定の内部電極パターンが印刷された内層用の誘電体シートを順次積層する工程と、再度、外層用の誘電体シートを所定枚数積層する工程とをへて、積層シートを形成する工程と、積層シートを圧着手段により積層方向に圧着し、積層ブロックを形成する工程と、を備え、圧着により積層ブロックを形成する工程では、積層シートの上面と下面に微粒子を配置し、圧着を行う、積層セラミックコンデンサの製造方法である。
また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、圧着により積層ブロックを形成する工程において、積層シートの上面と下面とに微粒子を配置し、圧着することで、圧力印加時の微粒子の再配列によって、内部電極層の存在する部分と存在しない部分とを均一に加圧し、圧着することが好ましい。
さらに、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、微粒子が、ZrO2、Al23、SiCから選ばれることが好ましい。
また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、微粒子の直径が、0.08mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、圧着により積層ブロックを形成する工程において、積層シートの上面と下面に微粒子を配置し、圧着を行うことにより、昇圧時と圧力保持時に、その微粒子の再配列がおこり、微粒子が積層シートの上面および下面に圧力を伝えることで、積層ブロックに対して均一に加圧することができる。
また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法では、圧着により積層ブロックを形成する工程において、積層シートの上面と下面とに微粒子を配置し、圧着することで、圧力印加時の微粒子の再配列によって、内部電極層の存在する部分と存在しない部分とを均一に加圧し、圧着すると、さらに微粒子が積層シートにおける内部電極層の存在しない領域に向かって入り込むように侵入して積層シートにおける内部電極層の存在しない領域の上面および下面の周縁部に圧力を伝えることで、形成される積層ブロックに伝わる圧力の分布を内部電極層の対向電極部と引出電極部とに対して均一にすることができる。
さらに、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法では、微粒子が、ZrO2、Al23、SiCから選ばれると、上記効果をより一層確実なものにすることができる。
また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法では、微粒子の直径が、0.08mm以上0.3mm以下であると、上記効果をより一層確実なものにすることができ、内部電極層と誘電体層との間における剥がれの発生を抑制することができる。
この発明によれば、ボイドや剥がれなどの構造欠陥を十分に抑制することができ、信頼性の低下を招くことのない積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。 この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される積層セラミックコンデンサを示す図1の線II−IIにおける断面図である。 この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される積層セラミックコンデンサを示す図1の線III−IIIにおける断面図である。 (a)は、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの内部電極層の対向電極部が2つに分割された構造を示す図1の線II−IIにおける断面図であり、(b)は、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの内部電極層の対向電極部が3つに分割された構造を示す図1の線II−IIにおける断面図であり、(c)は、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの内部電極層の対向電極部が4つに分割された構造を示す図1の線II−IIにおける断面図である。 (a)は、積層シートを圧着手段により圧着し積層ブロックを形成するための状態を示す概略図であり、(b)は、積層シートを圧着手段により圧着し積層ブロックを形成する工程において、積層シートを圧着している状態を示す概略図である。
1.積層セラミックコンデンサ
この発明の積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される積層セラミックコンデンサについて説明する。図1は、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。図2は、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される積層セラミックコンデンサを示す図1の線II−IIにおける断面図であり、図3は、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される積層セラミックコンデンサを示す図1の線III−IIIにおける断面図である。
図1ないし図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、直方体状の積層体12を含む。
積層体12は、積層された複数の誘電体層14と複数の内部電極層16とを有する。さらに、積層体12は、積層方向xに相対する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、積層方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、積層方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面12eおよび第2の端面12fとを有する。この積層体12には、角部および稜線部に丸みがつけられている。なお、角部とは、積層体の隣接する3面が交わる部分のことであり、稜線部とは、積層体の隣接する2面が交わる部分のことである。また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d、ならびに第1の端面12eおよび第2の端面12fの一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。さらに、積層体12の長さ方向zの寸法は、幅方向yの寸法よりも必ずしも長いとは限らない。
積層される誘電体層14の枚数は、特に限定されないが、300枚以上1200枚以下であることが好ましい。
積層体12は、複数枚の誘電体層14から構成される外層部14aと単数もしくは複数枚の誘電体層14とそれらの上に配置される複数枚の内部電極層16から構成される内層部14bとを含む。外層部14aは、積層体12の第1の主面12a側および第2の主面12b側に位置し、第1の主面12aと最も第1の主面12aに近い内部電極層16との間に位置する複数枚の誘電体層14、および第2の主面12bと最も第2の主面12bに近い内部電極層16との間に位置する複数枚の誘電体層14の集合体である。そして、両外層部14aに挟まれた領域が内層部14bである。なお、外層部14aの厚みは、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
積層体12の寸法は、特に限定されないが、長さ方向zの寸法は、0.9mm以上3.3mm以下、幅方向yの寸法は、0.4mm以上2.6mm以下、積層方向xの寸法は、0.4mm以上2.6mm以下であることが好ましい。
誘電体層14は、たとえば、誘電体材料により形成することができる。このような誘電体材料としては、たとえば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。上記の誘電体材料を主成分として含む場合、所望する積層体12の特性に応じて、たとえば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの主成分よりも含有量の少ない副成分を添加したものを用いてもよい。
焼成後の誘電体層14の厚みは、0.7μm以上4.0μm以下であることが好ましい。
積層体12は、複数の内部電極層16として、たとえば略矩形状の複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bを有する。複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bは、積層体12の積層方向xに沿って等間隔に交互に配置されるように埋設されている。
第1の内部電極層16aは、第2の内部電極層16bと対向する第1の対向電極部18aと、第1の内部電極層16aの一端側に位置し、第1の対向電極部18aから積層体12の第1の端面12eまでの第1の引出電極部20aを有する。第1の引出電極部20aは、その端部が第1の端面12eに引き出され、露出している。
第2の内部電極層16bは、第1の内部電極層16aと対向する第2の対向電極部18bと、第2の内部電極層16bの一端側に位置し、第2の対向電極部18bから積層体12の第2の端面12fまでの第2の引出電極部20bを有する。第2の引出電極部20bは、その端部が第2の端面12fに引き出され、露出している。
第1の内部電極層16aの第1の対向電極部18aと第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、コーナー部が丸められていたり、コーナー部が斜めに(テーパー状)形成されていたりしてもよい。
第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aと第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、コーナー部が丸められていたり、コーナー部が斜めに(テーパー状)形成されていたりしてもよい。
第1の内部電極層16aの第1の対向電極部18aの幅と第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aの幅とは、同じ幅に形成されていてもよく、どちらか一方が狭く形成されてもよい。同様に、第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bの幅と第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bの幅とは、同じ幅に形成されていてもよく、どちらか一方が狭く形成されてもよい。
積層体12は、第1の対向電極部18aおよび第2の対向電極部18bの幅方向yの一端と第1の側面12cとの間および第1の対向電極部18aおよび第2の対向電極部18bの幅方向yの他端と第2の側面12dとの間に形成される積層体12の側部(Wギャップ)22aを含む。さらに、積層体12は、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aとは反対側の端部と第2の端面12fとの間および第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bとは反対側の端部と第1の端面12eとの間に形成される積層体12の端部(Lギャップ)22bを含む。
内部電極層16は、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の一種を含む、たとえば、Ag−Pd合金などの、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料を含有している。内部電極層16を形成するための内部電極用導電性ペーストに使用する樹脂成分は、エチルセルロースやポリビニルブチラール樹脂が用いられることが好ましい。
内部電極層16の厚みは、0.2μm以上2.0μm以下であることが好ましい。また、内部電極層16の枚数は、15枚以上1500以下であることが好ましい。
積層体12の第1の端面12e側および第2の端面12f側には、外部電極24が配置される。外部電極24は、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bを有する。
第1の外部電極24aは、積層体12の第1の端面12eの表面に配置され、第1の端面12eから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部分を覆うように形成される。この場合、第1の外部電極24aは、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aと電気的に接続される。なお、第1の外部電極24aは、積層体12の第1の端面12eのみに形成されていてもよい。
第2の外部電極24bは、積層体12の第2の端面12fの表面に配置され、第2の端面12fから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部分を覆うように形成される。この場合、第2の外部電極24bは、第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bと電気的に接続される。なお、第2の外部電極24bは、積層体12の第2の端面12fのみに形成されていてもよい。
積層体12内においては、第1の内部電極層16aの第1の対向電極部18aと第2の内部電極層16bの第2の対向電極部18bとが誘電体層14を介して対向することにより、静電容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層16aが接続された第1の外部電極24aと第2の内部電極層16bが接続された第2の外部電極24bとの間に、静電容量を得ることができ、コンデンサの特性が発現する。
なお、図4に示すように、内部電極層16として、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bに加えて、第1の端面12eおよび第2の端面12fのどちらにも引き出されない浮き内部電極層16cが設けられ、浮き内部電極層16cによって、対向電極部18cが複数に分割された構造としてもよい。たとえば、図4(a)に示すような2連、図4(b)に示すような3連、図4(c)に示すような4連構造であり、4連以上の構造でもよいことは言うまでもない。このように、対向電極部18cを複数個に分割した構造とすることによって、対向する内部電極層16a、16b、16c間において複数のコンデンサ成分が形成され、これらのコンデンサ成分が直列に接続された構成となる。そのため、それぞれのコンデンサ成分に印加される電圧が低くなり、積層セラミックコンデンサの高耐圧化を図ることができる。
第1の外部電極24aは、第1の下地電極層26aと、第1の下地電極層26aの表面に配置された第1のめっき層28aとを含む。同様に、第2の外部電極24bは、第2の下地電極層26bと、第2の下地電極層26bの表面に配置された第2のめっき層28bとを含む。
第1の下地電極層26aは、積層体12の第1の端面12eの表面に配置され、第1の端面12eから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部分を覆うように形成される。
第2の下地電極層26bは、積層体12の第2の端面12fの表面に配置され、第2の端面12fから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部分を覆うように形成される。
なお、第1の下地電極層26aは、積層体12の第1の端面12eの表面のみに配置されてもよいし、第2の下地電極層26bは、積層体12の第2の端面12fの表面にのみ配置されてもよい。
第1の下地電極層26aおよび第2の下地電極層26b(以下、単に下地電極層ともいう)は、それぞれ、焼付け層、導電性樹脂層、薄膜層などから選ばれる少なくとも1つを含む。
まず、下地電極層が、焼付け層で形成された第1の下地電極層26aおよび第2の下地電極層26bについて説明する。
焼付け層は、ガラスと金属とを含む。焼付け層の金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。また、焼付け層のガラスとしては、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層は、複数層であってもよい。焼付け層は、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体12に塗布して焼き付けたものであり、誘電体層14および内部電極層16と同時に焼成したものでもよく、誘電体層14および内部電極層16を焼成した後に焼き付けたものでもよい。
第1の端面12eに位置する第1の下地電極層26aおよび第2の端面12fに位置する第2の下地電極層26bの高さ方向中央部におけるそれぞれの焼付け層の厚みは、15μm以上160μm以下であることが好ましい。
また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に下地電極層を設ける場合には、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に位置する第1の下地電極層26aおよび第2の下地電極層26bである長さ方向の中央部におけるそれぞれの焼付け層の厚みは、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
次に、下地電極層が、導電性樹脂層で形成された第1の下地電極層26aおよび第2の下地電極層26bについて説明する。
導電性樹脂層は、焼付け層の表面に焼付け層を覆うように配置されるか、積層体12の表面に直接配置されてもよい。
導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂および金属を含む。導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むため、たとえば、めっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサに物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層が緩衝層として機能し、積層セラミックコンデンサへのクラックを防止することができる。
導電性樹脂層に含まれる金属としては、Ag、Cu、またはそれらの合金を使用することができる。また、金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用することができる。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には金属粉としてCuやNiを用いることが好ましい。また、Cuに酸化防止処理を施したものを使用することもできる。特に、導電性樹脂層に含まれる金属としてAgの導電性金属粉を用いることは、Agは金属の中でもっとも比抵抗が低いため電極材料に適しており、Agは貴金属であるため酸化せず耐候性が高いため、好ましい。なお、導電性樹脂層に含まれる金属としてAgコーティングされた金属を用いることは、上記のAgの特性を保ちつつ、母材の金属を安価なものにすることが可能になるため、好ましい。
導電性樹脂層に含まれる金属は、導電性樹脂全体の体積に対して、35vol%以上75vol%以下で含まれていることが好ましい。
導電性樹脂層に含まれる金属(導電性フィラー)の形状は、特に限定されない。導電性フィラーは、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いるのが好ましい。
導電性樹脂層に含まれる金属(導電性フィラー)の平均粒径は、特に限定されない。導電性フィラーの平均粒径は、たとえば、0.3μm以上10μm以下程度であってもよい。
導電性樹脂層に含まれる金属(導電性フィラー)は、主に導電性樹脂層の通電性を担う。具体的には、導電性フィラーどうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
導電性樹脂層の樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂を使用することができる。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は、最も適切な樹脂の一つである。
導電性樹脂層に含まれる樹脂は、導電性樹脂全体の体積に対して、25vol%以上55vol%以下で含まれていることが好ましい。
また、導電性樹脂層には、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール樹脂、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系など公知の種々の化合物を使用することができる。
第1の端面12eに位置する第1の下地電極層26aおよび第2の端面12fに位置する第2の下地電極層26bの高さ方向中央部におけるそれぞれの導電性樹脂層の厚みは、たとえば、10μm以上120μm以下程度であることが好ましい。
また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に下地電極層を設ける場合には、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12dの表面に位置する第1の下地電極層26aおよび第2の下地電極層26bである長さ方向の中央部におけるそれぞれの導電性樹脂層の厚みは、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
また、下地電極層が薄膜層の場合、薄膜層は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
第1のめっき層28aは、第1の下地電極層26aを覆うように配置される。具体的には、第1のめっき層28aは、第1の下地電極層26aの表面の第1の端面12eに配置され、第1の下地電極層26aの表面の第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第1のめっき層28aは、第1の端面12eに配置される第1の下地電極層26aの表面のみに配置されてもよい。
第2のめっき層28bは、第2の下地電極層26bを覆うように配置される。具体的には、第2のめっき層28bは、第2の下地電極層26bの表面の第2の端面12fに配置され、第2の下地電極層26bの表面の第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dにも至るように設けられていることが好ましい。なお、第2のめっき層28bは、第2の端面12fに配置される第2の下地電極層26bの表面のみに配置されてもよい。
また、第1のめっき層28aおよび第2のめっき層28b(以下、単にめっき層ともいう)としては、たとえば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。
めっき層は、複数層によって形成されてもよい。この場合、めっき層は、Niめっき層とSnめっき層の2層構造であることが好ましい。Niめっき層が、下地電極層の表面を覆うように設けられることで、積層セラミックコンデンサ10を実装する際に、実装に用いられる半田によって下地電極層が侵食されることを防止することができる。また、Niめっき層の表面に、Snめっき層を設けることにより、積層セラミックコンデンサ10を実装する際に、実装に用いられる半田の濡れ性を向上させ、容易に実装することができる。
めっき層一層あたりの厚みは、2μm以上15μm以下であることが好ましい。
なお、下地電極層を設けずに、めっき層だけで外部電極24を形成してもよい。以下、下地電極層を設けずに、めっき層を設ける構造について説明する。
第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bのそれぞれは、下地電極層が設けられず、めっき層が積層体12の表面に直接形成されていてもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサ10は、第1の内部電極層16aまたは第2の内部電極層16bに電気的に接続されるめっき層を含む構造であってもよい。このような場合、前処理として積層体12の表面に触媒を配設した後で、めっき層が形成されてもよい。
めっき層は、積層体12の表面に形成される下層めっき電極と、下層めっき電極の表面に形成される上層めっき電極とを含むことが好ましい。
下層めっき電極および上層めっき電極はそれぞれ、たとえば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、BiまたはZnなどから選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金を含むことが好ましい。
下層めっき電極は、はんだバリア性能を有するNiを用いて形成されることが好ましく、上層めっき電極は、はんだ濡れ性が良好なSnやAuを用いて形成されることが好ましい。また、たとえば、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bがNiを用いて形成される場合、下層めっき電極は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、上層めっき電極は、必要に応じて形成されればよく、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bはそれぞれ、下層めっき電極のみで構成されてもよい。
めっき層は、上層めっき電極を最外層としてもよいし、上層めっき電極の表面にさらに他のめっき電極を形成してもよい。
下地電極層を設けずに配置するめっき層の1層あたりの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。めっき層は、ガラスを含まないことが好ましい。めっき層の単位体積あたりの金属割合は、99vol%以上であることが好ましい。
積層体12、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bを含む積層セラミックコンデンサ10の長さ方向zの寸法をL寸法とし、積層体12、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bを含む積層セラミックコンデンサ10の積層方向xの寸法をT寸法とし、積層体12、第1の外部電極24aおよび第2の外部電極24bを含む積層セラミックコンデンサ10の幅方向yの寸法をW寸法とする。
積層セラミックコンデンサ10の寸法は、長さ方向zのL寸法が1mm以上3.5mm以下、幅方向yのW寸法が0.5mm以上2.6mm以下、積層方向xのT寸法が0.5mm以上2.6mm以下であることが好ましい。
2.積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
(1)誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストを準備する工程
まず、誘電体シート、内部電極用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートや内部電極用の導電性ペーストには、バインダおよび溶剤が含まれるが、公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。
(2)誘電体シート上に内部電極用導電性ペーストを印刷する工程
そして、誘電体シートの表面に、たとえば、所定のパターンで内部電極用の導電性ペーストを印刷し、誘電体シートには、内部電極パターンが形成される。なお、内部電極用の導電性ペーストは、スクリーン印刷やグラビア印刷などの公知の方法により印刷することができる。
(3)積層シートを形成する工程
次に、内部電極パターンが印刷されていない外層用誘電体シートが所定枚数積層され、その上に、内部電極パターンが印刷された誘電体シートが順次積層され、その上に、外層用誘電体シートが所定枚数積層され積層シートが作製される。この時、内部電極パターンが印刷されている誘電体シートは、内部電極パターンの引き出し部が互い違いになるように複数枚積層される。
(4)積層シートを圧着手段により圧着し積層ブロックを形成する工程
続いて、積層シートが圧着手段により積層方向に圧着され、積層ブロックが形成される。
この際、圧着手段としては、剛体プレスや静水圧プレスなどを用いることができる。なお、静水圧プレスの条件は、プレス時温度が70℃以上80℃以下、プレス圧力が103MPa以上122MPa以下、プレス時間が400秒以上600秒以下で制御することが好ましい。これらの静水圧プレスの条件と以下に記載の微粒子によるプレスとを組み合わせることで、本発明の効果を確実なものにすることができる。
圧着手段により圧着し積層ブロックを形成する工程では、積層シートの上面と下面に微粒子を配置し、圧着が行われる。すなわち、図5(a)に示すように、圧着手段30は、たとえば、積層シート40の上面側に第1の剛体板32が配置され、そして、その下面側に第2の剛体板34が配置される。第1の剛体板32の積層シート40の上面に対向する面には、微粒子36が配置され、第2の剛体板34の積層シート40の下面に対向する面には、微粒子36が配置される。なお、図5(a)に示すように、積層シート40の内部には、互いに対向して配置されるように内部電極パターン50の印刷された複数の誘電体シートにより内層部となる領域42が複数含まれる。
そして、図5(b)に示すように、積層シート40の上面側より第1の剛体板32により圧着され、積層シート40の下面側より第2の剛体板34により圧着される。これにより、昇圧時と圧力保持時に、微粒子36の再配列が起こり、微粒子36が積層シート40の上面および下面に圧力を伝え、さらに微粒子36が矢印Aで示す方向に積層シート40における複数の内層部となる領域42の間に向かって入り込むように侵入してそれらの上面および下面の周縁部44に圧力を伝えることで、形成される積層ブロックに矢印Bで示す方向に伝わる圧力の分布を内部電極層の対向電極部と引出電極部とに対して均一にすることができる。換言すると、積層シート40の上面と下面に微粒子36を配置し、圧着を行うことで、圧力印加時における微粒子36の再配列によって、内部電極層の存在する部分と存在しない部分とを均一に加圧し、圧着することができる。
圧着手段30により圧着し積層ブロックを形成する工程において使用する微粒子36は、セラミック粒子を用いることができ、たとえば、ZrO2、Al23、SiCなどを用いることができる。微粒子36の形状は、球形状であることが好ましい。微粒子36の直径は、0.08mm以上0.3mm以下であることが好ましい。微粒子36の量は、積層シート40の上面と下面において、内部電極層の厚みと積層枚数の積の1.5倍以上の厚みとなるように配置するのが望ましい。
(5)積層体チップを得る工程
その後、静水圧によりプレスされた積層体ブロックがギロチンあるいはダイシングの方法により所定の形状寸法に切断し、個片化され、所定サイズの積層体チップが得られる。なお、このとき、焼成後に発生するチッピングを抑制するために、バレル研磨などにより積層体チップの角部や稜線部に丸みがつけられてもよい。
続いて、未焼成の積層体チップを焼成し積層体12が作製される。焼成温度は、誘電体層や内部電極層の材料にもよるが、900℃以上1300℃以下であることが好ましい。
(6)外部電極を形成する工程
外部電極24の焼付け層を形成するために、たとえば、積層体12の表面に第1の端面12eから露出している第1の内部電極層16aの第1の引出電極部20aの露出部分にガラス成分と金属とを含む外部電極用導電性ペーストがディッピングなどの方法により塗布されて焼き付けられ、第1の下地電極層26aが形成される。また、同様に、外部電極24の焼付け層を形成するために、たとえば、積層体12の第2の端面12fから露出している第2の内部電極層16bの第2の引出電極部20bの露出部分にガラス成分と金属とを含む外部電極用導電性ペーストがディッピングなどの方法により外部電極用導電性ペーストが塗布されて焼き付けられ、第2の下地電極層26bが形成される。このとき、焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
なお、下地電極層を導電性樹脂層で形成する場合は、以下の方法で導電性樹脂層を形成することができる。なお、導電性樹脂層は、焼付け層の表面に形成されてもよく、焼付け層を形成せずに、導電性樹脂層を単体で積層体12の表面に直接形成してもよい。
導電性樹脂層の形成方法としては、熱硬化性樹脂および金属成分を含む導電性ペーストを焼付け層もしくは積層体12の表面に塗布し、250℃以上550℃以下の温度で熱処理を行い、樹脂を熱硬化させ、導電性樹脂層が形成される。このときの熱処理時の雰囲気は、N2雰囲気であることが好ましい。また、樹脂の飛散を防ぎ、かつ、各種金属成分の酸化を防ぐため、酸素濃度は、100ppm以下に抑えることが好ましい。
また、下地電極層を薄膜層で形成する場合は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により下地電極層を形成することができる。薄膜層で形成された下地電極層は金属粒子が堆積された1μm以下の層とされる。
さらに、下地電極層を設けずに、積層体12の内部電極層16の露出部にめっき層を設けてもよい。その場合は、以下の方法でめっき層が形成される。
積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fにめっき処理を施し、内部電極層16の露出部上に下地めっき電極を形成する。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよいが、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。また、必要に応じて、下層めっき電極の表面に上層めっき電極を同様に形成してもよい。
その後、下地電極層の表面、導電性樹脂層の表面もしくは下地めっき層の表面、上層めっき層の表面に、めっき層が形成され、外部電極24が形成される。図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、焼付け層上にめっき層として、Niめっき層およびSnめっき層が形成される。Niめっき層およびSnめっき層は、たとえば、バレルめっき法により、順次形成される。
上述のようにして、図1に示す積層セラミックコンデンサ10が製造される。
この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、圧着により積層ブロックを形成する工程では、積層シート40の上面と下面に微粒子36を配置し、圧着を行うことにより、昇圧時と圧力保持時に、その微粒子36の再配列がおこり、微粒子36が積層シート40の上面および下面に圧力を伝えることで、積層ブロックに対して均一に加圧することができる。
また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、圧着により積層ブロックを形成する工程において、積層シート40の上面と下面とに微粒子36を配置し、圧着することで、圧力印加時の微粒子36の再配列によって、内部電極層の存在する部分と存在しない部分とを均一に加圧し、圧着するので、さらに微粒子36が積層シート40における複数の内層部となる領域42の間に向かって入り込むように侵入してそれらの上面および下面の周縁部44に圧力を伝えることで、形成される積層ブロックに伝わる圧力の分布を内部電極層の対向電極部と引出電極部とに対して均一にすることができる。
さらに、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、微粒子36が、ZrO2、Al23、SiCから選ばれると、上記効果をより一層確実なものにすることができる。
また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、微粒子36の直径が、0.08mm以上0.3mm以下である場合にも、上記効果をより一層確実なものにすることができ、内部電極層と誘電体層との間における剥がれの発生を抑制することができる。
3.実験例
次に、上述した本発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法の効果を確認するために、本発明の製造方法に基づき積層セラミックコンデンサを製造し、製造途中における個片化された焼結前の積層体チップにおいて、誘電体層間の剥がれの発生率、積層シートのプレス前後における引出電極部の総面積の変化率および外層近傍の対向電極部のはみ出し量を確認した。
(1)実験例における試料の作製条件
まず、上述の製造方法を使用して、以下の条件に基づいて実験例にかかる試料である積層セラミックコンデンサが作製された。
実験例において、積層シートを圧着手段により圧着し積層ブロックを形成する工程では、静水圧プレスにより行った。
実験例に用いた試料である積層セラミックコンデンサの仕様は、以下のとおりである。
・積層セラミックコンデンサのサイズ(設計値):長さ×幅×高さ=3.2mm×2.5mm×2.5mm
・容量:100μF
・定格電圧:16V
・誘電体層の材料:BaTiO3
・誘電体層の厚さ:1.7μm
・外層部の厚さ:130μm
・内部電極層の材料:Ni
・内部電極層塗膜厚み:1.25μm
・内部電極層数:1000枚
・外部電極の構造
下地電極層の素材:Cuとガラスを含む焼付け層
めっき層:NiめっきとSnめっきの2層構造
実施例における静水圧プレスの条件は、以下の通りとした。
・積層ブロックのプレス時温度:80℃
・積層ブロックのプレス圧力:122MPa
・積層ブロックのプレス時間:600秒
・積層ブロックと剛体板との間に挿入する緩衝材:ZrO2を主成分とする球形状のセラミック粒子(微粒子)とした。
表1に示すように、
実施例1のセラミック粒子の直径は、0.05mmとし、
実施例2のセラミック粒子の直径は、0.08mmとし、
実施例3のセラミック粒子の直径は、0.1mmとし、
実施例4のセラミック粒子の直径は、0.3mmとし、
実施例5のセラミック粒子の直径は、0.5mm、
とした。
比較例として、静水圧プレスに用いる緩衝材として、以下に示す物を用いて静水圧プレスを行った。その他の条件は、実施例と同様とした。
・比較例1:PETフィルム(厚み50μm)
・比較例2:ラバーフィルム(厚み300μm/硬度20度)
・比較例3:ラバーフィルム(厚み300μm/硬度55度)
・比較例4:ラバーフィルム(厚み300μm/硬度80度)
なお、硬度は、ビッカース硬さであり、ビッカース硬度計により計測したものである。
(2)特性評価の方法
(a)剥がれの確認方法
プレス後の積層ブロックをチップ状にカットし積層体チップを作製し、内部電極層の引出電極部が露出するWT面を50倍の倍率で実体顕微鏡を用いて剥がれの有無を確認した。試料数は、セラミック粒子の各直径の大きさに対して1000個ずつとした。
(b)引出電極部の総面積の変化率の測定方法
プレス後の積層ブロックをチップ状にカットし積層体チップを作製し、内部電極層の引出電極部が露出するWT面において、内部電極層の引出電極部の最上層から最下層までの内部電極層の総面積を計測し、プレス前の総面積を初期値とする面積の変化率を算出し、加圧度合いの指標とした。なお、変化率が22%以上を良好とした。
(c)外層近傍の対向電極部のはみ出し量の測定方法
プレス後の積層ブロックをチップ状にカットし積層体チップを作製し、内部電極層の引出電極部が露出するWT面において、まず、内部電極層の引出電極部の最上層と最下層に位置する内部電極層の長さを測定し、その平均値を算出した。次に、内部電極層の引出電極部が露出するWT面の1/2Tの高さに位置する内部電極層の長さを測定した。最後に、最初に算出した内部電極層の引出電極部の最上層と最下層の平均長さと内部電極層の引出電極部が露出するWT面の1/2Tの高さに位置する内部電極層の長さの差の値を外層近傍の対向電極部のはみ出し量とした。なお、はみ出し量は、5μmより小さい値を良好とした。
実施例および比較例に対する、誘電体層間の剥がれの発生率、積層シートのプレス前後における引出電極部の総面積の変化率および外層近傍の対向電極部のはみ出し量のそれぞれの実験結果を表1に示す。
Figure 2019169496
(3)実験結果
実施例の実験結果についてみると、表1に示すように、剥がれの発生数について、実施例1では1000個中15個であり、実施例2では1000個中0個であり、実施例3では1000個中0個であり、実施例4では1000個中0個であり、実施例5では1000個中19個と剥がれの発生数は比較的少数であるかあるいは0個であり、いずれも良好な結果が得られた。
引出電極部の総面積の変化率について、実施例1では18%あり、実施例2では22%であり、実施例3では25%であり、実施例4では23%であり、実施例5では19%であり、実施例2ないし実施例4はいずれも22%以上であり良好な結果が得られた。
外層近傍の対向電極部のはみ出し量については、実施例1では2μmであり、実施例2では2μmであり、実施例3では2μmであり、実施例4では3μmであり、実施例5では3μmであり、いずれのはみ出し量も5μmより小さい値であり、いずれも良好な結果が得られた。
以上より、剥がれの発生数について、実施例1では15個発生し、実施例5では19個発生し、そして、引出電極部の総面積の変化率について、実施例1では18%であり、実施例5では19%であったものの、いずれも比較的良好な結果が得られた。特に、実施例2ないし実施例4は、セラミック粒子の直径が、0.05mm以上0.3mm以下であるので、剥がれの発生数、引出電極部の総面積の変化率および外層近傍の対向電極部のはみ出し量のいずれの評価方法でも良好な結果が得られた。
一方、比較例の実験結果についてみると、表1に示すように、剥がれの発生数について、比較例1では1000個中731個であり、比較例2では1000個中113個であり、比較例3では1000個中159個であり、比較例4では1000個中278個あり、実施例の結果と比べて、比較的剥がれが多く発生した。
引出電極部の総面積の変化率について、比較例1では8%であり、比較例2では15%であり、比較例3では13%であり、比較例4では11%であり、いずれも22%より小さく、不良であった。
外層近傍の対向電極部のはみ出し量は、比較例1では5μmであり、比較例2では18μmであり、比較利3では15μmであり、比較例4では13μmであり、いずれも5μm以上であることから、不良であった。
以上の結果から、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、圧着により積層ブロックを形成する工程で、積層シートの上面と下面に微粒子(セラミック粒子)を配置した状態で圧着を行うことにより、昇圧時と圧力保持時に、微粒子の再配列が起こり、ブロックに伝わる圧力の分布を対向電極部で均一にすることができる。その結果、積層体に対する構造欠陥が抑制され、かつ、外層およびサイドギャップ近傍の対向電極部の変形(はみ出し)も抑制しうることが確認された。
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
10 積層セラミックコンデンサ
12 積層体
12a 第1の主面
12b 第2の主面
12c 第1の側面
12d 第2の側面
12e 第1の端面
12f 第2の端面
14 誘電体層
14a 外層部
14b 内層部
16 内部電極層
16a 第1の内部電極層
16b 第2の内部電極層
16c 浮き内部電極層
18a 第1の対向電極部
18b 第2の対向電極部
18c 対向電極部
20a 第1の引出電極部
20b 第2の引出電極部
22a 側部(Wギャップ)
22b 端部(Lギャップ)
24 外部電極
24a 第1の外部電極
24b 第2の外部電極
26a 第1の下地電極層
26b 第2の下地電極層
28a 第1のめっき層
28b 第2のめっき層
30 圧着手段
32 第1の剛体板
34 第2の剛体板
36 微粒子
40 積層シート
42 内層部となる領域
44 周縁部
50 内部電極パターン
x 積層方向
y 幅方向
z 長さ方向

Claims (4)

  1. 積層された複数の誘電体層を含む積層体と、
    前記積層体内に配置され、前記誘電体層と交互に積層された複数の内部電極層と、
    前記内部電極層に接続される外部電極と、
    を備える、積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
    内部電極パターンが印刷されていない外層用の誘電体シートを所定枚数積層する工程と、外層用の誘電体シート上に所定の内部電極パターンが印刷された内層用の誘電体シートを順次積層する工程と、再度、外層用の誘電体シートを所定枚数積層する工程とをへて、積層シートを形成する工程と、
    前記積層シートを圧着手段により積層方向に圧着し、積層ブロックを形成する工程と、
    を備え、
    前記圧着により積層ブロックを形成する工程では、前記積層シートの上面と下面に微粒子を配置し、圧着を行う、積層セラミックコンデンサの製造方法。
  2. 前記圧着により積層ブロックを形成する工程では、前記積層シートの上面と下面とに微粒子を配置し、圧着することで、圧力印加時の微粒子の再配列によって、内部電極層の存在する部分と存在しない部分とを均一に加圧し、圧着する、積層セラミックコンデンサの製造方法。
  3. 前記微粒子は、ZrO2、Al23、SiCから選ばれる、請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  4. 前記微粒子の直径は、0.08mm以上0.3mm以下である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
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