JP2019169076A - 入力装置、入力装置の制御方法、及びコンピュータに入力装置の制御方法を実行させるプログラム - Google Patents
入力装置、入力装置の制御方法、及びコンピュータに入力装置の制御方法を実行させるプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】符号化駆動において検出信号の和の信号レベルを抑制できるとともに、検出信号の和から元の検出信号を計算できる検出位置の数のバリエーションを増やすことができる入力装置を提供する。【解決手段】(N+1)本の駆動電極へ同時に(N+1)回印加される駆動信号の極性パターンを(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列で表わした場合に、信号再生部320が、極性パターン行列の逆行列と合成検出信号行列との積に相当する演算により、(N+1)行1列の再生信号レベル行列を再生する。極性パターン行列は、対角要素が「0」であり、対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持ったN行N列の所定の行列の一部を用いて作成された行列である。【選択図】図1
Description
本開示は、入力装置、入力装置の制御方法、及びコンピュータに入力装置の制御方法を実行させるプログラムに関するものである。
検出領域内の複数の検出位置において静電容量などの物理量を計測することにより、指などの操作体の近接状態を検出する入力装置がある。一例としての入力装置は、ある層に配設された平行な複数の駆動電極と、別の層に配設された平行な複数の検出電極とを備え、駆動電極と検出電極との交差位置を検出位置とする。
複数の検出位置の静電容量を取得するための駆動方法として符号化駆動がある。符号化駆動では、例えば、複数の駆動電極へ同時に正と負とのいずれかの極性の駆動信号が印加される。検出電極を介して出力される信号は、各検出位置における静電容量の検出信号の和(合成検出信号)となる。この合成検出信号が、駆動信号の極性のパターンを変えながら、検出位置の数(駆動電極の数)だけ繰り返し測定される。そして、得られた複数の合成検出信号と駆動信号の極性のパターンとを元に、各検出位置における静電容量が計算される。合成検出信号が複数の検出信号の和であるため、検出信号を1つずつ取得する一般的な駆動方法に比べて、検出信号に含まれるノイズの影響を低減できる。
符号化駆動では、複数回の測定で得られた合成検出信号の行列と、駆動信号の極性のパターンを表す駆動行列から導かれる逆行列との積を演算することで、個々の検出位置における静電容量が計算される。行列の積の演算は非常に負荷が大きいことから、駆動行列はなるべく演算が簡易となるように選択することが望ましい。そのため、上記の特許文献1〜4では、駆動行列としてアダマール行列やその変形の行列を用いる方法が検討されている。
また、符号化駆動では、1回の検出信号の測定において複数の駆動電極へ同時に印加される正の駆動信号の数と負の駆動信号の数とをなるべく近づけることが望ましい。これにより、合成検出信号(検出信号の和)のレベルが小さくなることから、合成検出信号を処理する回路において必要とされるダイナミックレンジが抑えられ、検出感度を高め易くなる。また、正の駆動信号の数と負の駆動信号の数とがバランスすることで、駆動信号による電界が相殺されて小さくなり、トータルの放射ノイズが低減する。そのため、駆動行列の選択にあたっては、複数の駆動電極へ同時に印加される正の駆動信号の数と負の駆動信号の数との差が小さくなるようにすることを考慮する必要がある。
更に、アダマール行列の生成法にはシルベスター法やペイリー法などの幾つかの方法が知られているが、それぞれの生成法には行列の次数の制限がある。例えば、4次以上のアダマール行列の次数は4の倍数に限られている。従って、1回の測定で同時に駆動信号が印加される駆動電極の数、すなわち、合成検出信号(検出信号の和)の元となる検出信号が得られる検出位置の数は、駆動行列の次数によって制約を受ける。この検出位置の数が少なすぎると、所望の分解能を得難くなり、逆に検出位置の数が多すぎると、無駄な駆動信号の印加に伴う消費電力や放射ノイズの増大を生じ易くなる。従って、符号化駆動では、合成検出信号(検出信号の和)から各検出信号の計算が可能な検出位置の数のバリエーションを増やすことが求められている。
そこで本開示は、物体の近接状態が検出される複数の検出位置における検出信号の和から元の検出信号を計算可能であり、検出信号の和の信号レベルを抑制できるとともに、検出信号の和から元の検出信号の計算が可能な検出位置の数のバリエーションを増やすことができる入力装置、入力装置の制御方法及びコンピュータに入力装置の制御方法を実行させるプログラムを開示することを目的とする。
本開示の第1の側面は、複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する入力装置に関する。この第1の側面に係る入力装置は、(N+1)個の前記検出位置における物体の近接状態をそれぞれ検出し、前記(N+1)個の検出位置について前記検出の結果として得られる(N+1)個の検出信号の和に応じた合成検出信号を生成し、前記(N+1)個の検出位置の各々において、前記近接状態に応じた信号レベルを持つ前記検出信号の正負の極性を制御可能なセンサ部と、前記(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の前記極性である極性パターンを互いに異ならせた(N+1)個の前記合成検出信号を生成するように前記センサ部を制御する制御部と、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生する信号再生部とを有する。前記検出信号に設定する正又は負の前記極性を「1」又は「−1」で表わし、前記合成検出信号に加算しない前記検出信号に対して設定する前記極性を「0」で表し、前記(N+1)個の検出信号に設定する前記極性パターンを、それぞれ「1」、「−1」又は「0」の値を持った(N+1)個の要素からなる1行(N+1)列の部分行列で表わし、かつ、前記(N+1)個の合成検出信号に対応する(N+1)個の前記極性パターンを、(N+1)個の前記部分行列からなる(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列で表わした場合に、前記信号再生部は、前記極性パターン行列に対する逆行列と、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号を要素とする(N+1)行1列の行列との乗算に相当する演算に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生する。前記極性パターン行列は、(N+1)行(N+1)列の拡張行列、若しくは、前記拡張行列に対して、少なくとも一部の行を交換する基本変形と少なくとも一部の列を交換する基本変形との少なくとも一方が施された行列である。前記拡張行列は、第3列目から第(N+1)列目まで、かつ、第3行目から第(N+1)行目までの範囲のブロック行列として(N−1)行(N−1)列の基本行列を含んでいる。前記基本行列は、N行N列の所定の行列における第2列目から第N列目まで、かつ、第2行目から第N行目までの範囲のブロック行列と同一である。前記所定の行列は、対角要素が「0」であり、前記対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った行列である。前記所定の行列の次数Nは偶数である。前記拡張行列の第1行目は、「1」と「−1」とが交互に並んでいる。前記拡張行列の第2行目は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第3行目以降の各行は、第1列目と第2列目の2つの要素の一方が「1」であるとともに他方が「−1」である。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい。
上記第1の側面に係る入力装置によれば、対角要素が「0」であり、前記対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った前記所定の行列として、カンファレンス行列を用いることが可能となる。カンファレンス行列の場合、第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差がN−1となる。前記拡張行列の場合、第1行目及び第2行目の各々において行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差は、カンファレンス行列の第1行目の(N−1)個よりも小さい。従って、前記極性パターン行列の極性パターンにより生成される(N+1)個の前記検出信号において、「1」の前記検出信号の数と「−1」の前記検出信号の数との差が小さくなる。これにより、前記検出信号の極性が「1」と「−1」との一方に偏る場合に比べて、(N+1)個の前記検出信号から合成される前記合成検出信号のダイナミックレンジが小さくなる。前記合成検出信号のダイナミックレンジが小さくなると、合成検出信号を生成する回路において増幅率を高めやすくなるため、各検出位置において検出される微小な検出信号を高い感度で再生することが可能となる。また、「1」の前記検出信号の数と「−1」の前記検出信号の数との差が小さくなることにより、前記検出信号に起因して生じる放射ノイズが小さくなる。
更に、カンファレンス行列の次数は、4の倍数に加えて、4の倍数に2を足した数の一部も含むことが知られている。そのため、前記極性パターン行列の次数は、アダマール行列の次数(4の倍数)に比べてバリエーションが多い。これにより、合成検出信号(検出信号の和)から元の検出信号の計算が可能な検出位置の数のバリエーションが増える。
更に、カンファレンス行列の次数は、4の倍数に加えて、4の倍数に2を足した数の一部も含むことが知られている。そのため、前記極性パターン行列の次数は、アダマール行列の次数(4の倍数)に比べてバリエーションが多い。これにより、合成検出信号(検出信号の和)から元の検出信号の計算が可能な検出位置の数のバリエーションが増える。
好適に、前記拡張行列の第2行目は、第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素がそれぞれ「0」であってよく、第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」であってよい。
好適に、前記拡張行列の第2行目は、第2列目から第(N+1)列目までのN個の要素がそれぞれ「1」又は「−1」であってよい。
好適に、前記拡張行列の第2行目は、第2列目の要素が「0」であってよく、第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」であってよく、第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素は、1以上の「1」と1以上の「−1」とが連なった要素群を少なくとも1つ含んでよい。前記要素群は、同じ数の「1」及び「−1」からなってよい。
好適に、前記基本行列は、各行の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであってよく、各列の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであってよく、任意の2つの行の内積が同一の値を持ってよく、任意の2つの列の内積が同一の値を持ってよい。
好適に、前記センサ部は、前記複数の検出位置に対応して設けられた複数の検出要素であって、物体の近接状態に応じた信号レベルを持ち、入力される駆動信号に応じて前記極性が「1」、「−1」又は「0」に設定される前記検出信号をそれぞれ発生する複数の検出要素と、前記制御部の制御に従って、前記複数の検出要素にそれぞれ前記駆動信号を供給する駆動部と、(N+1)個の前記検出要素が発生する前記(N+1)個の検出信号の和に応じた前記合成検出信号を生成する合成検出信号生成部とを含んでよい。
好適に、前記センサ部は、少なくとも1つの検出電極と、前記検出電極に交差する複数の駆動電極とを含んでよい。前記検出要素は、前記検出電極と前記駆動電極との交差部に形成され、物体の近接状態に応じて静電容量が変化するキャパシタであってよい。前記駆動部は、前記複数の駆動電極にそれぞれ前記駆動信号を供給してよい。1つの前記検出電極と(N+1)個の前記駆動電極との間には、前記(N+1)個の検出要素としての(N+1)個の前記キャパシタが形成されてよい。前記合成検出信号生成部は、前記(N+1)個の駆動電極に供給される(N+1)個の前記駆動信号に応じて前記検出電極に伝送される前記(N+1)個のキャパシタの電荷に基づいて、前記合成検出信号を生成してよい。
本開示の第2の側面に係る入力装置は、上記第1の側面に係る入力装置と同様に、前記センサ部と、前記制御部と、前記信号再生部とを有する。この第2の側面に係る入力装置において、前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第3行目以降の各行は、前記第1合計値がゼロである。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第3列目から第(N+1)列目までの(N−1)個の要素を加算した和である第2合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記第1合計値及び前記第2合計値の少なくとも一方が非ゼロである。前記拡張行列の第1列目及び第2列目の各々は、第3行目から第(N+1)行目までの(N−1)個の要素を加算した和である第3合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい。
上記第2の側面に係る入力装置においても、上記第1の側面に係る入力装置と同様に、前記極性パターン行列の極性パターンにより生成される(N+1)個の前記検出信号において、「1」の前記検出信号の数と「−1」の前記検出信号の数との差が小さくなる。
好適に、上記第2の側面に係る入力装置では、前記拡張行列の第1行目及び第2行目の両方において前記第1合計値が非ゼロかつ前記第2合計値が非ゼロである場合、当該第1行目の第1合計値に対する当該第2行目の第1合計値の比と、当該第1行目の第2合計値に対する当該第2行目の前記第2合計値の比とが異なっていてよい。
本開示の第3の側面は、複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する入力装置の制御方法に関する。前記入力装置は、(N+1)個の前記検出位置における物体の近接状態をそれぞれ検出し、前記(N+1)個の検出位置について前記検出の結果として得られる(N+1)個の検出信号の和に応じた合成検出信号を生成し、前記(N+1)個の検出位置の各々において、前記近接状態に応じた信号レベルを持つ前記検出信号の正負の極性を制御可能なセンサ部を有する。前記制御方法は、前記(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の前記極性である極性パターンを互いに異ならせた(N+1)個の前記合成検出信号を生成するように前記センサ部を制御することと、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生することとを有する。前記検出信号に設定する正又は負の前記極性を「1」又は「−1」で表わし、前記合成検出信号に加算しない前記検出信号に対して設定する前記極性を「0」で表し、前記(N+1)個の検出信号に設定する前記極性パターンを、それぞれ「1」、「−1」又は「0」の値を持った(N+1)個の要素からなる1行(N+1)列の部分行列で表わし、かつ、前記(N+1)個の合成検出信号に対応する(N+1)個の前記極性パターンを、(N+1)個の前記部分行列からなる(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列で表わした場合に、前記信号レベルを再生することは、前記極性パターン行列に対する逆行列と、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号を要素とする(N+1)行1列の行列との乗算に相当する演算に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生することを含む。前記極性パターン行列は、(N+1)行(N+1)列の拡張行列、若しくは、前記拡張行列に対して、少なくとも一部の行を交換する基本変形と少なくとも一部の列を交換する基本変形との少なくとも一方が施された行列である。前記拡張行列は、第3列目から第(N+1)列目まで、かつ、第3行目から第(N+1)行目までの範囲のブロック行列として(N−1)行(N−1)列の基本行列を含んでいる。前記基本行列は、N行N列の所定の行列における第2列目から第N列目まで、かつ、第2行目から第N行目までの範囲のブロック行列と同一である。前記所定の行列は、対角要素が「0」であり、前記対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った行列である。前記所定の行列の次数Nは偶数である。前記拡張行列の第1行目は、「1」と「−1」とが交互に並んでいる。前記拡張行列の第2行目は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第3行目以降の各行は、第1列目と第2列目の2つの要素の一方が「1」であるとともに他方が「−1」である。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい。
本開示の第4の側面に係る入力装置の制御方法は、上記第3の側面に係る入力装置の制御方法と同様に、前記(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の前記極性である極性パターンを互いに異ならせた(N+1)個の前記合成検出信号を生成するように前記センサ部を制御することと、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生することとを有する。この第4の側面に係る入力装置の制御方法において、前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第3行目以降の各行は、前記第1合計値がゼロである。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第3列目から第(N+1)列目までの(N−1)個の要素を加算した和である第2合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記第1合計値及び前記第2合計値の少なくとも一方が非ゼロである。前記拡張行列の第1列目及び第2列目の各々は、第3行目から第(N+1)行目までの(N−1)個の要素を加算した和である第3合計値が非ゼロである。前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい。
好適に、上記第4の側面に係る入力装置の制御方法では、前記拡張行列の第1行目及び第2行目の両方において前記第1合計値が非ゼロかつ前記第2合計値が非ゼロである場合、当該第1行目の第1合計値に対する当該第2行目の第1合計値の比と、当該第1行目の第2合計値に対する当該第2行目の前記第2合計値の比とが異なっていてよい。
本開示の第5の側面は、上記第3の側面又は上記第4の側面に係る入力装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
本開示によれば、物体の近接状態が検出される複数の検出位置における検出信号の和から元の検出信号を計算可能であり、検出信号の和の信号レベルを抑制できるとともに、検出信号の和から元の検出信号の計算が可能な検出位置の数のバリエーションを増やすことができる。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る入力装置について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る入力装置は、複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する装置であり、例えばタッチパッドやタッチパネルなどの入力装置に適用される。なお、本明細書において「近接」とは、近くにあることを意味しており、接触の有無を限定しない。
以下、第1の実施形態に係る入力装置について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る入力装置は、複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する装置であり、例えばタッチパッドやタッチパネルなどの入力装置に適用される。なお、本明細書において「近接」とは、近くにあることを意味しており、接触の有無を限定しない。
(入力装置の構成)
図1は、本実施形態に係る入力装置100の構成の一例を示す図である。図1に示す入力装置100は、センサ部200と、処理部300と、記憶部400と、インターフェース部500を有する。
図1は、本実施形態に係る入力装置100の構成の一例を示す図である。図1に示す入力装置100は、センサ部200と、処理部300と、記憶部400と、インターフェース部500を有する。
センサ部200は、複数の検出位置230における物体(指など)の近接状態をそれぞれ検出する。複数の検出位置230の各々において物体の近接状態の検出結果として得られる検出信号は、物体の近接状態に応じた信号レベルを持つとともに、正負の極性を持つ。センサ部200は、処理部300の後述する制御部310から与えられる極性パターンの情報に従って、個々の検出位置230において得られる検出信号の極性(正又は負)を制御することができる。
センサ部200は、それぞれ(N+1)個(Nは4以上の偶数)の検出位置230を含んだL個の検出位置群235を持ち、全体として(N+1)×L個の検出位置230を持つ。L個の検出位置群235は、後述するL個の検出電極ES1〜ESLに対応する。センサ部200は、L個の検出位置群235の各々について1つの合成検出信号aを生成する。合成検出信号aは、1つの検出位置群235に含まれる(N+1)個の検出位置230について得られる(N+1)個の検出信号の和に応じた信号である。
以下では、検出信号に設定する正の極性を「1」で表し、検出信号に設定する負の極性を「−1」で表し、合成検出信号aに加算しない検出信号に対して設定する極性を「0」で表す。また、センサ部200が1つの合成検出信号aを生成する際に(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の極性を、「極性パターン」と呼ぶ。
図1の例において、センサ部200は、複数の検出位置230に対応して設けられた複数の検出要素240と、複数の検出要素240の各々に駆動信号vを供給する駆動部270と、検出位置群235ごとに合成検出信号aを生成する合成検出信号生成部250とを含む。
複数の検出要素240は、指などの物体の近接状態に応じた信号レベルを持ち、駆動部270から供給される駆動信号vに応じて極性が「1」、「−1」または「0」に設定される検出信号をそれぞれ発生する。
図1の例において、センサ部200は、複数の検出要素240が形成された電極部220を有する。電極部220は、L個の検出電極ES1〜ESL(以下、区別せずに検出電極ESと記す場合がある。)と(N+1)個の駆動電極ED1〜EDN+1(以下、区別せずに駆動電極EDと記す場合がある。)とを含む。個々の検出電極ESは、(N+1)個の駆動電極EDと交差する。L個の検出電極ESと(N+1)個の駆動電極EDとの各交差部には、物体の近接状態に応じて静電容量が変化するキャパシタが形成される。図1の例において、検出電極ESと駆動電極EDとの交差部の位置が検出位置230であり、この検出位置230において検出電極ESと駆動電極EDとの間に形成されるキャパシタが検出要素240である。図を簡潔にするため、図1では検出電極ES2と駆動電極ED2とが交差する位置にのみ、検出位置230及び検出要素240を示しているが、L個の検出電極ESと(N+1)個の駆動電極EDとが交差する全ての位置が検出位置230となり、各検出位置230にキャパシタとしての検出要素240が形成される。各検出要素240は、検出位置230の近傍における指などの物体との距離に応じて信号レベルが変化する検出信号を発生する。
検出要素240において発生する検出信号は、具体的には、検出要素240としてのキャパシタに蓄積される電荷である。1つの検出電極ESと1つの駆動電極EDとの間には、駆動部270によって所定の電圧振幅を持った駆動信号vが印加されるため、検出要素240としてのキャパシタにおいて駆動信号vに応じて充放電される電荷の量(検出信号の信号レベル)は、キャパシタの静電容量を表わす。また、検出要素240としてのキャパシタにおいて充放電される電荷の極性(検出信号の極性)は、駆動部270から駆動電極EDに供給される駆動信号vの電圧の極性に応じて制御される。
1つの検出電極ESと(N+1)個の駆動電極EDとの間に形成される(N+1)個の検出位置230のグループが、上述した検出位置群235である。図を簡潔にするため、図1では検出電極ES2の検出位置群235のみを点線で示しているが、他の検出電極ESにも同様な検出位置群235が形成される。
なお、図1に示す電極部220の構成(検出電極ES1〜ESL、駆動電極ED1〜EDN+1)は一例であり、検出電極ES及び駆動電極EDの数や、形状、配置などはこの例で示すものに限定されない。例えば、図1において電極部220はL個の検出電極ESを備えているが、検出電極ESは1つのみでもよい。また、各検出電極ESにおける検出位置230の数は全て同一でなくてもよい。
駆動部270は、処理部300の制御部310の制御に従って、駆動電極ED1〜EDN+1へ同時に駆動信号v1〜vN+1を供給する。なお、図1において「v」に付された数字は、その駆動信号vが供給される駆動電極EDの符号の添え字を示す。
駆動部270は、処理部300の制御部310から入力される極性パターンの情報に基づいて、(N+1)個の駆動信号v1〜vN+1の極性をそれぞれ設定する。駆動信号vj(jは1からN+1までの任意の整数を示す。)の極性は、具体的には、合成検出信号aを生成するタイミングにおいて、検出電極ESに対する駆動電極EDjの相対的な電圧が変化する方向によって規定される。例えば、駆動電極EDjと交差する検出位置230の検出信号の極性を「1」に設定する極性パターンの場合、駆動部270は、合成検出信号aを生成するタイミングにおいて、検出電極ESに対する駆動電極EDjの相対的な電圧を上昇させる駆動信号vjを供給する。逆に、当該検出信号の極性を「−1」に設定する極性パターンの場合、駆動部270は、合成検出信号aを生成するタイミングにおいて、検出電極ESに対する駆動電極EDjの相対的な電圧を低下させる駆動信号vjを供給する。これにより、当該検出信号の極性を「1」に設定する場合と「−1」に設定する場合とで、検出要素240(キャパシタ)へ蓄積される電荷の極性(すなわち検出信号の極性)が反転する。他方、当該検出信号の極性を「0」に設定する極性パターンの場合、駆動部270は、合成検出信号aを生成するタイミングにおいて、検出電極ESに対する駆動電極EDjの相対的な電圧を一定に保つ。これにより、合成検出信号aを生成するタイミングにおいて検出要素240(キャパシタ)へ蓄積される電荷がゼロとなる。
合成検出信号生成部250は、1つの検出位置群235に含まれる(N+1)個の検出要素240が発生する(N+1)個の検出信号の和に応じた信号を、1つの合成検出信号aとして生成する。図1の例において、合成検出信号生成部250は、それぞれ合成検出信号aを生成するL個の検出回路255−1〜255−L(以下、区別せずに検出回路255と記す場合がある。)を有する。L個の検出回路255−1〜255−Lは、L個の検出電極ES1〜ESLと一対一に接続される。検出回路255に付された1からLまでの数字は、接続される検出電極ESの符号の添え字を示す。
検出回路255は、(N+1)個の駆動電極EDに供給される(N+1)個の駆動信号vに応じて検出電極ESに伝送される(N+1)個のキャパシタ(検出要素240)の電荷に基づいて、合成検出信号aを生成する。例えば、検出回路255は、検出電極ESを通じて各検出要素240(キャパシタ)から転送される電荷(検出信号)の和に応じた合成検出信号を出力するチャージアンプと、チャージアンプから出力される合成検出信号をデジタル信号に変換して処理部300に出力するAD変換器を含む。なお、AD変換器はチャージアンプ毎に設けてもよいし、複数のチャージアンプの出力信号を1つのAD変換器においてそれぞれデジタル信号に変換してもよい。また、検出回路255は、図1の例に示すように1つの検出電極ESと接続してもよいし、マルチプレクサによって複数の検出電極ESと選択的に接続してもよい。
処理部300は、入力装置100の全体的な動作を制御する回路であり、例えば、記憶部400に格納されるプログラム410の命令コードに従って処理を行うコンピュータや、特定の機能を実現するロジック回路を含んで構成される。処理部300の処理は、その全てをコンピュータにおいてプログラムに基づいて実現してもよいし、その一部若しくは全部を専用のハードウェア(ロジック回路)で実現してもよい。
図1の例において、処理部300は、制御部310と、信号再生部320と、位置算出部330とを有する。
制御部310は、各検出位置群235において(N+1)個の合成検出信号aを生成するように、センサ部200を制御する。すなわち、制御部310は、(N+1)個の検出信号の和である合成検出信号aを、検出信号と同じ数(N+1個)だけ生成する。制御部310は、(N+1)個の合成検出信号aを生成する場合、個々の合成検出信号aの極性パターンを互いに異ならせる。すなわち、(N+1)個の合成検出信号aの生成に用いる(N+1)個の極性パターンが全て異なる。後述するように、(N+1)個の合成検出信号aの生成に用いるN個の極性パターンは、「1」、「−1」、「0」を要素とする(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列Dで表される。例えば制御部310は、予め記憶部400に格納された極性パターン行列Dに基づいて、(N+1)個の合成検出信号aを生成するようにセンサ部200を制御する。
信号再生部320は、検出回路255が生成した(N+1)個の合成検出信号aに基づいて、合成検出信号の元となる(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生する。信号再生部320は、極性パターン行列Dを直接使用した処理によって、検出信号の信号レベルを再生してもよく、極性パターン行列Dを直接使用した処理から派生した別の処理によって、検出信号の信号レベルを再生してもよい。
位置算出部330は、信号再生部320によって再生された各検出位置230の検出信号に基づいて、物体(指など)が近接した操作面上の位置(座標)を計算する。例えば、位置算出部330は、各検出位置230の検出信号により表される二次元データを2値化して、物体が近接していることを示すデータが集合した領域を、個々の物体の近接領域として特定する。位置算出部330は、特定した物体の近接領域内における検出信号の分布から、操作面上において物体が近接した座標を計算する。
記憶部400は、処理部300に含まれるコンピュータにおいて実行されるプログラム410の命令コードや、処理部300の処理過程において一時的に記憶される変数データ(合成検出信号生成部250において生成される合成検出信号aなど)、処理部300の処理に使用される定数データ(駆動部270に供給する極性パターン、検出信号の再生に使用する後述の逆行列のデータなど)を記憶する。記憶部400は、例えばROMやRAM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリなどを含んで構成される。
インターフェース部500は、入力装置100と他の制御装置(入力装置100を搭載する電子機器のコントロール用ICなど)との間でデータをやり取りするための回路である。処理部300は、記憶部400に記憶される情報(物体が近接した座標情報、近接した物体の数など)をインターフェース部500から図示しない制御装置へ出力する。また、インターフェース部500は、処理部300のコンピュータにおいて実行されるプログラム410を、光ディスクやUSBメモリなどの非一時的記録媒体やネットワーク上のサーバなどから取得して、記憶部400にロードしてもよい。
(動作)
次に、本実施形態に係る入力装置100における合成検出信号aの生成と検出信号の再生に係る動作について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
次に、本実施形態に係る入力装置100における合成検出信号aの生成と検出信号の再生に係る動作について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
ここでは理解を容易にするため、(N+1)個の合成検出信号aと(N+1)個の検出信号と(N+1)個の検出パターンとの関係を、行列によって表現する。(N+1)個の検出位置230に対応する(N+1)個の検出信号の信号レベルは、式1のように、(N+1)行1列の信号レベル行列Cで表される。
信号レベル行列Cは、(N+1)個の検出信号の信号レベルc1〜cN+1を要素とする。信号レベル行列Cの各要素の添え字は、(N+1)個の検出位置230を識別するために割り当てられた1からN+1までの整数を示す。図1の例では、駆動電極EDjと検出電極ESとが交差した検出位置230において検出される検出信号の信号レベルが「cj」である。
(N+1)個の異なる極性パターンによって生成される(N+1)個の合成検出信号aは、式2のように、(N+1)行1列の合成検出信号行列Aで表される。
合成検出信号行列Aは、(N+1)個の合成検出信号a1〜aN+1を要素とする。合成検出信号行列Aの各要素の添え字は、(N+1)個の極性パターンを識別するために割り当てられた1からN+1までの整数を示す。一例において、(N+1)個の極性パターンに割り当てられた数字は、(N+1)個の合成検出信号a1〜aN+1を生成する順番と同じである。
合成検出信号行列Aの要素数は、信号レベル行列Cの要素数に等しい。すなわち、制御部310は、検出位置230と同数の異なる極性パターンを使用して、検出位置230と同数の合成検出信号aを生成するようにセンサ部200を制御する。
(N+1)個の異なる極性パターンを「D1」〜「DN+1」とし、1つの極性パターンDp(pは1からN+1までの任意の整数を示す。)に含まれる(N+1)個の極性(「1」,「−1」又は「0」)を「dp1」〜「dp(N+1)」とすると、(N+1)個の極性パターンD1〜DN+1を指定する極性パターン行列Dは、式3のように表される。
式3において、(N+1)個の極性パターンD1〜DN+1は、それぞれ「1」、「−1」又は「0」の値を持った(N+1)個の要素からなる1行(N+1)列の部分行列として表されている。また極性パターン行列Dは、(N+1)個の1行(N+1)列の部分行列(極性パターンD1〜DN+1)からなる(N+1)行(N+1)列の行列として表されている。
極性パターン行列Dにおける個々の行は、互いに異なる(N+1)個の極性パターンD1〜DN+1の1つを表す。1つの行に属する(N+1)個の極性は、1つの合成検出信号aを生成するために(N+1)個の検出位置230の検出信号に対して設定される極性の集まり、すなわち、1つの極性パターンを表す。
極性パターン行列Dにおける個々の列は、検出位置群235に含まれる(N+1)個の検出位置230の1つに対応しており、図1の例では、(N+1)個の駆動電極EDの1つに対応する。極性パターン行列Dの1つの列に属する要素は、当該1つの列に対応する1つの検出位置230の検出信号に対して設定される極性を表しており、図1の例では、当該1つの列に対応する1つの駆動電極EDの駆動信号vに対して設定される極性を表す。
この極性パターン行列Dは、後述するように、特定の性質を持ったN行N列の所定の正方行列に基づいて作成された行列である。極性パターン行列Dは、個々の行(すなわち個々の極性パターン)において「1」の要素の数と「−1」の要素の数との差が小さくなるように作成される。
この極性パターン行列Dを用いると、信号レベル行列Cと合成検出信号行列Aとの関係は式4のように表される。
式4を成分で表すと、式5のように表される。
式5において、第p行目の極性パターンDpに基づく極性が各検出信号に設定された場合の合成検出信号apは、「dp1・c1+…+dp(N+1)・cN+1」である。この多項式における個々の項は、各検出位置230において検出される検出信号を表す。極性dpjが「1」又は「−1」である場合、極性dpjの絶対値は1であるため、検出信号「dpj・cj」の絶対値は信号レベルcjと等しい。すなわち、検出信号は、物体の近接状態が一定である限り(信号レベルcjが一定である限り)、センサ部200の制御によって極性を反転させても(極性dpjを「1」と「−1」との間で変更しても)、絶対値が変化しない信号であると仮定されている。
他方、極性dpjが「0」に設定された場合、検出信号「dpj・cj」はゼロになる。すなわち、極性dpjが「0」に設定された検出信号は、この検出信号が検出される検出位置230において物体の近接状態がどのようであっても(信号レベルcjがどのような値でも)、合成検出信号apに加算されないと仮定されている。
極性パターン行列Dは、各極性パターンにおいて「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さくなるように作成されていることから、駆動部270から出力される駆動信号vの極性(検出電極ESに対する駆動電極EDの相対的な電圧の変化方向)の偏りが小さい。これにより、駆動信号vの供給に伴って(N+1)個の駆動電極EDから放射される輻射ノイズが抑制され易くなる。
また、極性パターンに含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さいことから、合成検出信号aの元となる(N+1)個の検出信号において極性の偏りが小さくなる。そのため、(N+1)個の検出信号に「1」の検出信号ばかりが含まれる場合や「−1」の検出信号ばかりが含まれる場合に比べて、合成検出信号aのダイナミックレンジが抑制され易くなる。従って、合成検出信号aが入力される合成検出信号生成部250の各検出回路255において感度(増幅率)を高め易くなり、各検出要素240において得られる微小な検出信号を高感度で再生し易くなる。
ここで図2のフローチャートを参照すると、制御部310は、ステップST100〜ST115において、異なる(N+1)個の極性パターンD1〜DN+1に対応した(N+1)個の合成検出信号a1〜aN+1を生成するように、極性パターン行列Dに基づいてセンサ部200を制御する。
まず、制御部310は、変数pに初期値として1を設定し(ST100)、極性パターン行列Dの第p行目の極性パターンDp(dp1〜dp(N+1))、すなわち極性パターンD1(d11〜d1(N+1))を選択する。制御部310は、選択した極性パターンDpにより極性が設定された駆動信号v1〜vN+1を駆動電極ED1〜EDN+1へ供給するように、駆動部270を制御する。また制御部310は、駆動信号v1〜vN+1の供給のタイミングに合わせて各検出電極ESの合成検出信号apを生成するように、合成検出信号生成部250の各検出回路255を制御する(ST105)。
次いで、制御部310は、変数pを1だけインクリメントし(ST110)、変数pがN+1以下であれば(ST115のNo)、ステップST105以降の処理を反復する。これにより、(N+1)個の合成検出信号a1〜aN+1を生成するまで、制御部310はステップST105の処理を繰り返す。
変数pがN+1より大きくなると(ST115のYes)、制御部310はステップST120へ移行する。制御部310は、各検出電極ESについて生成された(N+1)個の合成検出信号a1〜aN+1に基づいて、各検出電極ESの検出信号の信号レベルc1〜cN+1を再生する。
式4に示すように、合成検出信号行列Aは、極性パターン行列Dと信号レベル行列Cとの積で表される。そのため信号レベル行列Cは、次の式6−1に示すように、極性パターン行列Dの逆行列D−1と合成検出信号行列Aとの積で表される。
ただし、後述するカンファレンス行列を用いて作成される極性パターン行列Dの逆行列D−1は、整数でない要素を含む場合がある。その場合、制御部310は、式6−2において示すように、各要素を整数に直すための適当な係数αが乗ぜられた行列(α・D)−1と合成検出信号行列Aとの積を演算してもよい。一例において、係数αはN−1である。各要素が整数の行列(α・D)−1を用いることで、行列の掛け算の処理に伴う負担が軽減される。
式6−1や式6−2において示すように、極性パターン行列Dに要求される条件として、逆行列が存在する正則な正方行列であることが挙げられる。
(カンファレンス行列)
次に、極性パターン行列Dの導出に用いられる所定の行列の一例として、カンファレンス行列を説明する。
次に、極性パターン行列Dの導出に用いられる所定の行列の一例として、カンファレンス行列を説明する。
カンファレンス行列は、アダマール行列に比較的似た性質を持つ正方行列であり、以下の3つの条件を満たす。
1.)対角要素が0であること。
2.)対角要素以外の要素が1又は−1であること。
3.)次数がNの場合、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となること。
1.)対角要素が0であること。
2.)対角要素以外の要素が1又は−1であること。
3.)次数がNの場合、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となること。
また、上記3.)から次の条件が導き出される。
3.1)各行が互いに直交関係にあること。
3.2)各列が互いに直交関係にあること。
3.1)各行が互いに直交関係にあること。
3.2)各列が互いに直交関係にあること。
N次のカンファレンス行列を「F」とし、その転置行列を「FT」とし、N次の単位行列を「IN」とすると、上記3.)の条件は式7で表される。
カンファレンス行列が存在する次数として、4の倍数が知られている。また、4の倍数に2を加えた数であって、かつ、2つの平方数の和に1を加えた数も、カンファレンス行列が存在する次数として知られている。具体的には、4、6、8、10、12、14、16、18、20、24、26、28などの次数においてカンファレンス行列が存在することが知られている。
4次以上のアダマール行列の次数が4の倍数に限られているのに対して、カンファレンス行列の次数は4の倍数以外の一部の偶数も含んでいる。そのため、カンファレンス行列から導出された極性パターン行列Dを用いて符号化駆動を行うことにより、アダマール行列やその拡張行列を用いる符号化駆動法に比べて、検出信号の和から元の検出信号の計算が可能な検出位置の数のバリエーションを増やすことが可能になる。
図3A〜図3D及び図4A〜図4Bは、カンファレンス行列の例を示す図である。図3Aは4次のカンファレンス行列を示し、図3Bは6次のカンファレンス行列を示し、図3Cは8次のカンファレンス行列を示し、図3Dは10次のカンファレンス行列を示し、図4Aは12次のカンファレンス行列を示し、図4Bは14次のカンファレンス行列を示す。
これらのカンファレンス行列の例から分かるように、カンファレンス行列は、対称行列若しくは反対称行列である。また、カンファレンス行列の第1行目では、1つの対角要素が「0」であり、他の要素が全て「1」である。そのため、仮にカンファレンス行列をそのまま極性パターン行列Dとした場合、第1行目の極性パターンD1において「1」の要素数と「−1」の要素数との差がN−1となり、極性の偏りが非常に大きくなる。そこで、カンファレンス行列から極性パターン行列Dを導出する場合、この極性の偏りが小さくなるようにカンファレンス行列の第1行目を修正することが課題となる。
これらのカンファレンス行列の例から分かるように、カンファレンス行列は、対称行列若しくは反対称行列である。また、カンファレンス行列の第1行目では、1つの対角要素が「0」であり、他の要素が全て「1」である。そのため、仮にカンファレンス行列をそのまま極性パターン行列Dとした場合、第1行目の極性パターンD1において「1」の要素数と「−1」の要素数との差がN−1となり、極性の偏りが非常に大きくなる。そこで、カンファレンス行列から極性パターン行列Dを導出する場合、この極性の偏りが小さくなるようにカンファレンス行列の第1行目を修正することが課題となる。
ここで、N次のカンファレンス行列Fにおけるi行k列の要素を「fik」とする。ただし、i、kは1からNまでの任意の整数をそれぞれ示す。この場合、カンファレンス行列Fは式8のように表される。
式8における「F11」、「F12」、「F21」及び「F22」は、カンファレンス行列Fを構成する4つのブロック行列を示す。ブロック行列F11、F12、F21及びF22は、それぞれ式9−1〜式9−4のように表される。
ブロック行列F11及びF12を合わせた行列が、カンファレンス行列Fの第1行目を構成する。また、ブロック行列F11及びF21を合わせた行列が、カンファレンス行列Fの第1列目を構成する。図3A〜図3D及び図4A〜図4Bに示すカンファレンス行列の例において、ブロック行列F12は、行内の全要素が「1」である。ブロック行列F21は、行内の全要素が「1」であるか、又は、行内の全要素が「−1」である。また、ブロック行列F11は、「0」の要素f11のみを含む。
他方、ブロック行列F22は、カンファレンス行列Fの第2列目から第N列目まで、かつ、第2行目から第N行目までの範囲のブロック行列であり、(N−1)行(N−1)列の正方行列である。図3A〜図3D及び図4A〜図4Bに示すカンファレンス行列の例において、ブロック行列F22は、各行における「1」の要素数と「−1」の要素数との差が全てゼロであるとともに、各列における「1」の要素数と「−1」の要素数との差も全てゼロである。言い換えると、各行の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであるとともに、各列の(N−1)個の要素を加算した和がゼロである。このことから、カンファレンス行列Fの2行目以降の各行において、「1」の要素数と「−1」の要素数との差は全て1となっている。すなわち、カンファレンス行列Fの2行目以降の各行は、第1行目に比べて極性の偏りが大幅に小さくなっている。
(拡張行列Gの条件)
N行N列のカンファレンス行列の一部を用いることにより極性パターン行列Dとして使用できるようした行列を、以下では拡張行列と呼ぶ。N+1次の拡張行列を「G」とし、拡張行列Gにおけるp行j列の要素を「gpj」とすると、拡張行列Gは式10のように表される。
N行N列のカンファレンス行列の一部を用いることにより極性パターン行列Dとして使用できるようした行列を、以下では拡張行列と呼ぶ。N+1次の拡張行列を「G」とし、拡張行列Gにおけるp行j列の要素を「gpj」とすると、拡張行列Gは式10のように表される。
式10における「G11」、「G12」、「G21」及び「G22」は、拡張行列Gを構成する4つのブロック行列を示す。ブロック行列G11、G12、G21及びG22は、それぞれ式11−1〜式11−4のように表される。
ブロック行列G11は、式11−1に示すように、拡張行列Gの第1行目から第2行目まで、かつ、第1列目から第2列目までの範囲の行列である。ブロック行列G12は、式11−2に示すように、拡張行列Gの第1行目から第2行目まで、かつ、第3列目から第(N+1)列目までの範囲の行列である。ブロック行列G21は、式11−3に示すように、拡張行列Gの第3行目から第(N+1)行目、かつ、第1列目から第2列目までの範囲の行列である。ブロック行列G22は、式11−4に示すように、拡張行列Gの第3行目から第(N+1)行目、かつ、第3列目から第(N+1)列目までの範囲の行列である。
ブロック行列G22は、(N−1)行(N−1)列の正方行列であり、式11−4において示すように、カンファレンス行列Fのブロック行列F22(式9−4)と同一である。以下では、ブロック行列G22を「基本行列G22」と呼ぶ場合がある。
基本行列G22はブロック行列G22と同一であるため、既に説明したように、各行の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであるとともに、各列の(N−1)個の要素を加算した和がゼロである。
また、基本行列G22は、その他の性質として、任意の2つの行の内積が同一の値(具体的には−1)を持つ。この行についての性質は、カンファレンス行列Fの各行が互いに直交関係にあること(任意の2つの行の内積がゼロであること)、及び、ブロック行列F21の要素が全て同一の値(「1」又は「−1」)を持つことより導かれる。
列についても同様であり、基本行列G22は、任意の2つの列の内積が同一の値(具体的には−1)を持つ。この列についての性質は、カンファレンス行列Fの各列が互いに直交関係にあること、及び、ブロック行列F12の要素が全て同一の値(「1」又は「−1」)を持つことより導かれる。
列についても同様であり、基本行列G22は、任意の2つの列の内積が同一の値(具体的には−1)を持つ。この列についての性質は、カンファレンス行列Fの各列が互いに直交関係にあること、及び、ブロック行列F12の要素が全て同一の値(「1」又は「−1」)を持つことより導かれる。
以上をまとめると、基本行列G22は次の4つの条件を満たしている。
A1.)各行の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであること。
A2.)各列の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであること。
A3.)任意の2つの行の内積が同一の値を持つこと。
A4.)任意の2つの列の内積が同一の値を持つこと。
A1.)各行の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであること。
A2.)各列の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであること。
A3.)任意の2つの行の内積が同一の値を持つこと。
A4.)任意の2つの列の内積が同一の値を持つこと。
更に第1の実施形態に係る入力装置において、拡張行列Gは、上述した基本行列G22の条件の他に、次の3つの条件を全て満たしている。
B1.)第1行目は、「1」と「−1」とが交互に並んでいること。
B2.)第2行目は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和が非ゼロであること。
B3.)第3行目以降の各行は、第1列目と第2列目の2つの要素の一方が「1」であるとともに他方が「−1」であること。
B1.)第1行目は、「1」と「−1」とが交互に並んでいること。
B2.)第2行目は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和が非ゼロであること。
B3.)第3行目以降の各行は、第1列目と第2列目の2つの要素の一方が「1」であるとともに他方が「−1」であること。
上記B1.)〜B3.)の条件は、拡張行列Gが正則であることに関連する条件である。拡張行列Gが正則であることに関連して、拡張行列Gは、更に次のC1.)〜C3.)の何れか1つを満たしていている。
C1.)第2行目の第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素がそれぞれ「0」であり、かつ、第2行目の第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」であること。
C2.)第2行目の第2列目から第(N+1)列目までのN個の要素がそれぞれ「1」又は「−1」であること。
C3.)第2行目の第2列目の要素が「0」であり、第2行目の第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、第2行目の第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素が少なくとも1つの要素群を含むこと。ただし、この要素群は、1以上の「1」と1以上の「−1」とが連なったものであり、同じ数の「1」及び「−1」からなる。
C1.)第2行目の第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素がそれぞれ「0」であり、かつ、第2行目の第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」であること。
C2.)第2行目の第2列目から第(N+1)列目までのN個の要素がそれぞれ「1」又は「−1」であること。
C3.)第2行目の第2列目の要素が「0」であり、第2行目の第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、第2行目の第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素が少なくとも1つの要素群を含むこと。ただし、この要素群は、1以上の「1」と1以上の「−1」とが連なったものであり、同じ数の「1」及び「−1」からなる。
また拡張行列Gは、これらの条件に加えて、N次のカンファレンス行列との比較に関連する次の条件も満たす。
D1.)第1行目及び第2行目の各々は、N次のカンファレンス行列Fの第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さいこと。
D1.)第1行目及び第2行目の各々は、N次のカンファレンス行列Fの第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さいこと。
N次のカンファレンス行列Fの第1行目において、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差はN−1である。従って上記D1.)の条件は、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の各々において行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差がN−1より小さいこと、と言い換えることができる。
本実施形態における極性パターン行列Dは、上述した条件を満たす拡張行列Gと同じものか、若しくは、拡張行列Gに対して行同士や列同士を交換する基本変形が1回以上施されたものである。すなわち、拡張行列Gに対して、少なくとも一部の行を交換する基本変形と、少なくとも一部の列を交換する基本変形との少なくとも一方が施された行列は、本実施形態における極性パターン行列Dに含まれる。例えば、拡張行列Gの各要素を行方向へ巡回的にシフトさせた行列や、拡張行列Gの各要素を列方向へ巡回的にシフトさせた行列も、極性パターン行列Dに含まれる。
(拡張行列Gの例)
ここで、本実施形態に係る入力装置における拡張行列Gの具体例について説明する。
ここで、本実施形態に係る入力装置における拡張行列Gの具体例について説明する。
図5A〜図5C及び図6A〜図6Cは、上記C1.)の条件を満たす9次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図における符号「b」、「e」、「u」、「r」、「s」、「t」は、ブロック行列G11〜G22を構成する個々の行ベクトルや個々の列ベクトルを示す。すなわち、「b」はブロック行列(基本行列)G22の行ベクトルを示し、「e」はブロック行列(基本行列)G22の列ベクトルを示し、「u」はブロック行列G11の行ベクトルを示し、「r」はブロック行列G12の行ベクトルを示し、「s」はブロック行列G21の列ベクトルを示し、「t」はブロック行列G21の行ベクトルを示す。他の図についても同様である。
図5A〜図5C及び図6A〜図6Cに示す拡張行列Gは、何れも、8次のカンファレンス行列(図3C)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。
また図5A〜図5C及び図6A〜図6Cに示す拡張行列Gは、何れも、上記B1.)〜B3.)の条件を全て満たしている。例えば図5Aに示す拡張行列Gを参照すると、第1行目は「1」、「−1」、「1」、…の順番で「1」と「−1」とが交互に並んでいるため、図5Aに示す拡張行列GはB1.)の条件を満たしている。図5Aに示す拡張行列Gの第2行目における第1列目の要素(「−1」)と第2列目の要素(「0」)とを加算すると、その和は−1であるため、図5Aに示す拡張行列GはB2.)の条件を満たしている。図5Aに示す拡張行列Gの第3行目以降の各行は、第1列目の要素が「1」であり、第2列目が「−1」であるため、図5Aに示す拡張行列GはB3.)の条件を満たしている。
更に図5A〜図5C及び図6A〜図6Cに示す拡張行列Gは、何れも、上記C1.)の条件を満たしている。例えば図5Aに示す拡張行列Gを参照すると、第2行目の第3列目から第8列目までの6個の要素がそれぞれ「0」であり、かつ、第2行目の第9列目の要素が「1」であるため、図5Aに示す拡張行列Gは上記C1.)の条件を満たしている。
また図5A〜図5C及び図6A〜図6Cに示す拡張行列Gは、何れも、上記D1.)の条件を満たしている。例えば図5Aに示す拡張行列Gを参照すると、第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が1であり、第2行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が0である。8次のカンファレンス行列Fの第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差は、図3Cに示すように7である。従って、図5Aに示す拡張行列GはD1.)の条件を満たしている。
図7A〜図7C及び図8A〜図8Cは、上記C1.)の条件を満たす11次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、10次のカンファレンス行列(図3D)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記B1.)〜B3.)、上記C1.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
例えば図7Aに示す拡張行列Gを参照すると、第2行目の第3列目から第10列目までの8個の要素がそれぞれ「0」であり、かつ、第2行目の第11列目の要素が「1」であるため、図7Aに示す拡張行列GはC1.)の条件を満たしている。
図9A〜図9C、図10A〜図10C及び図11A〜図11Cは、上記C2.)の条件を満たす9次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、8次のカンファレンス行列(図3C)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記B1.)〜B3.)、上記C2.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
例えば図9Aに示す拡張行列Gを参照すると、第2行目の第2列目から第9列目までの8個の要素がそれぞれ「1」又は「−1」であるため、図9Aに示す拡張行列Gは上記C2.)の条件を満たしている。
図12A〜図12C、図13A〜図13C及び図14A〜図14Cは、上記C2.)の条件を満たす11次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、10次のカンファレンス行列(図3D)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記B1.)〜B3.)、上記C2.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
例えば図12Aに示す拡張行列Gを参照すると、第2行目の第2列目から第11列目までの10個の要素がそれぞれ「1」又は「−1」であるため、図12Aに示す拡張行列Gは上記C2.)の条件を満たしている。
図15A〜図15C、図16A〜図16C、図17A〜図17C、図18A〜図18C、図19A〜図19C及び図20A〜図20Cは、上記C3.)の条件を満たす9次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、8次のカンファレンス行列(図3C)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記B1.)〜B3.)、上記C3.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
例えば図15Aや図15Bに示す拡張行列Gの場合、第2行目の第3列目から第8列目までの範囲において1つの「−1」と1つの「1」とが連なった部分{「−1」、「1」}が、上記C3.)の要素群に相当する。また、図17Cや図18Aに示す拡張行列Gの場合、第2行目の第3列目から第8列目までの範囲において1つの「1」と1つの「−1」とが連なった部分{「1」、「−1」}が要素群に相当し、全体で2つの要素群が含まれている。
図21A〜図21C、図22A〜図22C、図23A〜図23C、図24A〜図24C、図25A〜図25C、図26A〜図26C及び図27A〜図27Cは、上記C3.)の条件を満たす11次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、10次のカンファレンス行列(図3D)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記B1.)〜B3.)、上記C3.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
例えば図23Aや図23Bに示す拡張行列Gの場合、第2行目の第3列目から第10列目までの範囲において2つの「−1」と2つの「1」とが連なった部分{「−1」、「1」、「−1」、「1」}が、上記C3.)の要素群に相当する。また、図27Cに示す拡張行列Gの場合、第2行目の第3列目から第10列目までの範囲において、1つの「1」と1つの「−1」とが連なった部分{「−1」、「1」}、並びに、2つの「1」と2つの「−1」とが連なった部分{「1」、「1」、「−1」、「−1」}がそれぞれ要素群に相当する。
以上説明したように、本実施形態によれば、対角要素が「0」であり、対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った所定の行列として、例えばカンファレンス行列を用いることが可能となる。N次のカンファレンス行列では、第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差がN−1となる。拡張行列Gの場合、第1行目及び第2行目の各々において行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が、カンファレンス行列の第1行目の(N−1)個よりも小さい。従って、極性パターン行列Dの各行の極性パターンにより生成される(N+1)個の検出信号において、「1」の検出信号の数と「−1」の検出信号の数との差が小さくなる。これにより、検出信号の極性が「1」と「−1」との一方に偏る場合に比べて、個々の検出信号のダイナミックレンジを同一に保ちつつ、(N+1)個の検出信号から合成される合成検出信号a(検出信号の和)のダイナミックレンジが小さくなる。合成検出信号aのダイナミックレンジが小さくなると、合成検出信号aを生成する合成検出信号生成部250の検出回路255において増幅率を高めやすくなるため、各検出位置230において検出される微小な検出信号を高い感度で再生することが可能となる。また、「1」の検出信号の数と「−1」の検出信号の数との差が小さくなることにより、検出信号に起因して生じる放射ノイズを小さくすることができる。
しかも、図5Aから図27Cまでの拡張行列Gの例を見ると分かるように、拡張行列Gの第3行目以降の各行では、行内に含まれる「1」の検出信号の数と「−1」の検出信号の数との差がゼロになっている。カンファレンス行列Fの場合、図3Aから図4Bまでの例から分かるように、第2行目以降の各行では、行内に含まれる「1」の検出信号の数と「−1」の検出信号の数との差が1になっている。従って、本実施形態によれば、カンファレンス行列Fをそのまま極性パターンとして用いる場合に比べて、検出信号に起因した放射ノイズのレベルも減少させることができる。
更に、カンファレンス行列の次数は、4の倍数に加えて、4の倍数に2を足した数の一部も含むことが知られている。そのため、極性パターン行列Dの次数は、アダマール行列の次数(4の倍数)に比べてバリエーションが多い。これにより、合成検出信号aから元の検出信号の計算が可能な検出位置の数のバリエーションを増やすことができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る入力装置について説明する。第2の実施形態に係る入力装置は、第1の実施形態に係る入力装置に比べて拡張行列Gの条件を一般化したものであり、装置の構成(図1)や動作(図2)は概ね第1の実施形態に係る入力装置と同じである。
次に、第2の実施形態に係る入力装置について説明する。第2の実施形態に係る入力装置は、第1の実施形態に係る入力装置に比べて拡張行列Gの条件を一般化したものであり、装置の構成(図1)や動作(図2)は概ね第1の実施形態に係る入力装置と同じである。
(拡張行列Gの条件)
本実施形態に係る入力装置における拡張行列Gは、正則性に関連する条件として、上述したB1.)〜B3.)の条件の代わりに、次の5つの条件を全て満たしている。
E1.)第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和(以下、「第1合計値」と呼ぶ場合がある。)が非ゼロであること。
E2.)第3行目以降の各行は、第1合計値がゼロであること。
E3.)第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第3列目から第(N+1)列目までの(N−1)個の要素を加算した和(以下、「第2合計値」と呼ぶ場合がある。)が非ゼロであること。
E4.)第1行目及び第2行目の各々は、第1合計値及び第2合計値の少なくとも一方が非ゼロであること。
E5.)第1列目及び第2列目の各々は、第3行目から第(N+1)行目までの(N−1)個の要素を加算した和(以下、「第3合計値」と呼ぶ場合がある。)が非ゼロであること。
本実施形態に係る入力装置における拡張行列Gは、正則性に関連する条件として、上述したB1.)〜B3.)の条件の代わりに、次の5つの条件を全て満たしている。
E1.)第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和(以下、「第1合計値」と呼ぶ場合がある。)が非ゼロであること。
E2.)第3行目以降の各行は、第1合計値がゼロであること。
E3.)第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第3列目から第(N+1)列目までの(N−1)個の要素を加算した和(以下、「第2合計値」と呼ぶ場合がある。)が非ゼロであること。
E4.)第1行目及び第2行目の各々は、第1合計値及び第2合計値の少なくとも一方が非ゼロであること。
E5.)第1列目及び第2列目の各々は、第3行目から第(N+1)行目までの(N−1)個の要素を加算した和(以下、「第3合計値」と呼ぶ場合がある。)が非ゼロであること。
また、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の両方において、第1合計値(第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和)が非ゼロ、かつ、第2合計値(第3列目から第(N+1)列目までの要素を加算した和)が非ゼロである場合、更に次の条件が追加される。
E6.)第1行目の第1合計値に対する第2行目の第1合計値の比と、第1行目の第2合計値に対する第2行目の第2合計値の比とが異なっていること。
E6.)第1行目の第1合計値に対する第2行目の第1合計値の比と、第1行目の第2合計値に対する第2行目の第2合計値の比とが異なっていること。
なお、拡張行列Gがブロック行列として基本行列G22を含むことや、カンファレンス行列との比較に関連する上記D1.)の条件を満たすことについては、既に説明した第1の実施形態と同様である。
第1の実施形態において説明したB1.)〜B3.)の条件を満たす場合、上記E1.)〜E5.)の条件も満たす。逆に、上記E1.)〜E5.)の条件を満たしたとしても、B1.)〜B3.)の条件を満たさない場合がある。
正則な拡張行列Gが上記E1.)〜E5.)の条件を満たす理由について説明する。
一般に正方行列は、任意の基本変形を施されても正則性の有無が変化しない。すなわち、1つの行に係数を乗じたものを他の1つの行に加算する行基本変形や、1つの列に係数を乗じたもの他の1つの列に加算する列基本変形を施されても、正方行列の正則性の有無は変化しない。また、正則でないN次の正方行列は、ランクがNより小さいため、適当な基本変形を施されることにより、全ての要素がゼロになる行や列が生じる。そこで、拡張行列Gに対して基本変形が施されることにより、全ての要素がゼロになる行や列が発生するか否かを考える。
まず上記E2.)の条件を前提とした場合、拡張行列Gの第1列目及び第2列目の一方を他方に加算する列基本変形によって、当該他方の列の第3行目以降では、全ての要素がゼロになる。拡張行列Gが正則であるためには、第1列目及び第2列目の一方を他方に加算する列基本変形によって、当該他方の列の第1行目及び第2行目が両方ゼロにならないようにする必要がある。従って、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第1合計値(第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和)が非ゼロである必要があり、上記E1.)の条件が導かれる。
また、基本行列G22が上記A2.)の条件を満たすことから、もし拡張行列Gの第1行目及び第2行目の両方で第2合計値(第3列目から第(N+1)列目までの要素を加算した和)がゼロになっているとすると、拡張行列Gは非正則な行列となる。すなわち、拡張行列Gの第3列目から第(N+1)列目までの(N−1)列分の範囲において、1つの列に他の全ての列を加算する列基本変形が施された場合、上記A2.)の条件によって、当該1つの列における第3行目から第(N+1)行目までの要素が全てゼロになる。もし拡張行列Gの第1行目及び第2行目の両方で第2合計値がゼロになっていると、列基本変形によって、当該1つの列における第1行目及び第2行目の要素が両方ゼロになり、結果として、当該1つの列において全要素がゼロになる。従って、拡張行列Gが正則であるためには、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の少なくとも一方で第2合計値が非ゼロとなっている必要があり、上記E3.)の条件が導かれる。
同様に、基本行列G22が上記A1.)の条件を満たすことから、もし拡張行列Gの第1列目及び第2列目の両方で第3合計値(第3行目から第(N+1)行目までの要素を加算した和)がゼロになっているとすると、拡張行列Gは非正則な行列となる。よって、拡張行列Gの第1列目及び第2列目の少なくとも一方は、第3合計値が非ゼロとなっている必要がある。上記E2.)の条件により、拡張行列Gの第1列目及び第2列目の一方で第3合計値が非ゼロの場合、第1列目及び第2列目の他方でも第3合計値は非ゼロになる。従って、拡張行列Gが正則であるためには、第1列目及び第2列目の各々で第3合計値が非ゼロとなっている必要があり、上記E5.)の条件が導かれる。
更に、基本行列G22は、上記A1.)や上記A2.)の条件から、非正則な行列である。すなわち、基本行列G22の1つの行に他の全ての行を加算する基本変形が施された場合、上記A2.)の条件から、当該1つの行において全要素がゼロになる。列についても同様であり、基本行列G22の1つの列に他の全ての列を加算する基本変形が施された場合、上記A1.)の条件から、当該1つの列において全要素がゼロになる。
仮に、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の一方において第1合計値(第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和)と第2合計値(第3列目から第(N+1)列目までの要素を加算した和)とが共にゼロになっているものとする。この場合、当該一方の行を使った行基本変形(行と行との加算や減算、行同士の交換)によって、変形後のブロック行列G22(式11−4)を非正則に保ちつつ、ブロック行列G21(式11−3)の全要素をゼロにすることが可能である。すなわち、当該一方の行における第2合計値はゼロであるため、当該一方の行を用いたどのような行基本変形を行っても、ブロック行列G22において上記A1.)の条件が保たれる。ブロック行列G22が非正則に保たれることから、ブロック行列G22に対して更に適当な行基本変形が施されることにより、ブロック行列G22の1以上の行において全要素がゼロになる。このとき、ブロック行列G21の全要素は既にゼロであるため、どのような行基本変形が施されても、ブロック行列G21の全要素はゼロのまま変わらない。結果として、拡張行列Gに行基本変形が施されたことによって1つの行の全要素がゼロになるため、拡張行列Gは非正則な行列ということになる。従って、拡張行列Gが正則であるためには、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の各々において第1合計値及び第2合計値の少なくとも一方が非ゼロとなっている必要があり、上記E4.)の条件が導かれる。
なお、上記E1.)及びE3.)の条件の下では、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の両方において、第1合計値(第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和)が非ゼロ、かつ、第2合計値(第3列目から第(N+1)列目までの要素を加算した和)が非ゼロとなる場合がある。この場合、第1行目及び第2行目の一方に係数を乗じたものを他方に加算する行基本変形によって、当該他方の行の第1合計値及び第2合計値が両方ともゼロになる可能性がある。仮に、第1行目の第1合計値に対して第2行目の第1合計値がα倍であり、第1行目の第2合計値に対して第2行目の第2合計値もα倍であるとすると、第1行目に−αを乗じたものを第2行目に加算する行基本変形が施された場合、第2行目の第1合計値及び第2合計値が両方ともゼロになる。そうすると、行基本変形が施された拡張行列Gは上記E4.)の条件を満たさないため、非正則な行列ということになる。従って、拡張行列Gが正則であるためには、第1行目の第1合計値に対する第2行目の第1合計値の比と、第1行目の第2合計値に対する第2行目の第2合計値の比とが異なっている必要があり、上記E6.)の条件が導かれる。
(行基本変形)
ここで、上記E1.)〜E6.)の条件を満たす拡張行列Gにおいて、行基本変形により1以上の行の全要素がゼロになる場合があるかを考える。
ここで、上記E1.)〜E6.)の条件を満たす拡張行列Gにおいて、行基本変形により1以上の行の全要素がゼロになる場合があるかを考える。
まず、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の一方に係数を乗じたものを他方に加算する行基本変形について考える。この行基本変形が施されても、上記E1.)、E3.)、E4.)又はE6.)の条件により、当該他方の行の第1合計値及び第2合計値が両方ともゼロになることはない。従って、この行基本変形では、拡張行列Gの1以上の行において全要素がゼロになることはない。
次に、拡張行列Gの第3行目〜第(N+1)行目の範囲に含まれる1以上の行を選択して適当な係数を乗じたものを、拡張行列Gの第1行目又は第2行目に加算する行基本変形について考える。上記E4.)の条件により、拡張行列Gの第1行目及び第2行目の各々は、第1合計値及び第2合計値の少なくとも一方が非ゼロであるのに対して、拡張行列Gの第3行目〜第(N+1)行目の範囲に含まれる各行は、第1合計値及び第2合計値が共にゼロである。従って、この行基本変形では、拡張行列Gの1以上の行において全要素がゼロになることはない。
次に、拡張行列Gの第3行目〜第(N+1)行目の範囲における一部の行のみを用いた行基本変形について考える。基本行列G22に含まれる(N−1)個の行ベクトルをそれぞれ「b1」、「b2」、…、「bN−1」とする。ただし「b」の添え字は行ベクトル同士を区別するための符号であり、行番号とは無関係である。基本行列G22の上記A2.)の条件から、次の式が導かれる。
仮に、基本行列G22に含まれる(N−2)個の行ベクトルにそれぞれ適当な係数(K1〜KN−2)を乗じて加算した結果、全ての要素がゼロになるものとする。この場合、次の式が成立する。
式13の両辺について行ベクトルbN−1との内積を計算すると、上記A3.)の条件から、次の式が成立する。
他方、式13の両辺について行ベクトルb1との内積を計算すると、上記A3.)の条件から、次の式が成立する。
式14及び式15から、係数K1の値はゼロである。係数K2〜KN−2についても、同様な計算により、全てゼロであることが分かる。すなわち、(式13)は、全ての係数(K1〜KN−2)がゼロでなければ成立しない。そのため、拡張行列Gの第3行目〜第(N+1)行目の範囲における一部の行のみを用いたどのような行基本変形(1つの行に係数を乗じたものを他の行に加算する操作)が施されても、第3行目から第(N+1)行目までの範囲の全要素がゼロになることはない。従って、この行基本変形では、拡張行列Gの1以上の行において全要素がゼロになることはない。
(列基本変形)
上記E1.)〜E6.)の条件を満たす拡張行列Gにおいて、列基本変形により1以上の列の全要素がゼロになる場合があるか否かについても、上述した行基本変形の場合と同様に考えることができる。
上記E1.)〜E6.)の条件を満たす拡張行列Gにおいて、列基本変形により1以上の列の全要素がゼロになる場合があるか否かについても、上述した行基本変形の場合と同様に考えることができる。
まず、拡張行列Gの第1列目及び第2列目の一方に係数を乗じたものを他方に加算する列基本変形について考える。第1列目及び第2列目の一方を他方に加算した場合、E2.)の条件により、当該他方の行列の第3行目から第(N+1)行目までの全要素はゼロになるが、E1.)の条件により、第1行目及び第2行目の少なくとも一方の要素は非ゼロになる。また、第1列目及び第2列目の一方に1以外の係数を乗じたものを他方に加算した場合、E2.)の条件により、当該他方の行列の第3行目から第(N+1)行目までの全要素は非ゼロになる。従って、この列基本変形では、拡張行列Gの1以上の列において全要素がゼロになることはない。
次に、拡張行列Gの第3列目〜第(N+1)列目の範囲に含まれる1以上の列を選択して適当な係数を乗じたものを、拡張行列Gの第1列目又は第2列目に加算する列基本変形について考える。上記E5.)の条件により、拡張行列Gの第1列目及び第2列目の各々は、第3合計値が非ゼロであるのに対して、拡張行列Gの第3列目〜第(N+1)列目の範囲に含まれる各列は、基本行列G22の上記A2.)の条件から、第3合計値がゼロである。そのため、この列基本変形を行った場合、変形後の列の第3合計値は必ず非ゼロとなる。従って、この列基本変形では、拡張行列Gの1以上の列において全要素がゼロになることはない。
次に、拡張行列Gの第3列目〜第(N+1)列目の範囲における一部の列のみを用いた列基本変形について考える。基本行列G22に含まれる(N−1)個の列ベクトルをそれぞれ「e1」、「e2」、…、「eN−1」とする。ただし「e」の添え字は列ベクトル同士を区別するための符号であり、列番号とは無関係である。基本行列G22の上記A1.)の条件から、次の式が導かれる。
仮に、基本行列G22に含まれる(N−2)個の列ベクトルにそれぞれ適当な係数(L1〜LN−2)を乗じて加算した結果、全ての要素がゼロになるものとする。この場合、次の式が成立する。
式17の両辺について列ベクトルeN−1との内積を計算すると、上記A4.)の条件から、次の式が成立する。
他方、式17の両辺について列ベクトルe1との内積を計算すると、上記A4.)の条件から、次の式が成立する。
式18及び式19から、係数L1の値はゼロである。係数L2〜LN−2についても、同様な計算により、全てゼロであることが分かる。すなわち、(式17)は、全ての係数(L1〜LN−2)がゼロでなければ成立しない。そのため、拡張行列Gの第3列目〜第(N+1)列目の範囲における一部の列のみを用いたどのような行基本変形(1つの列に係数を乗じたものを他の列に加算する操作)が施されても、第3列目から第(N+1)列目までの範囲の全要素がゼロになることはない。従って、この行基本変形では、拡張行列Gの1以上の列において全要素がゼロになることはない。
(拡張行列Gの例)
ここで、第2の実施形態に係る入力装置における拡張行列Gの具体例について説明する。
ここで、第2の実施形態に係る入力装置における拡張行列Gの具体例について説明する。
図28A〜図28Cは、第2行目の第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)がゼロの場合における9次の拡張行列Gの一例を示す図である。
図28A〜図28Cに示す拡張行列Gは、何れも、8次のカンファレンス行列(図3C)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。
また図28A〜図28Cに示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E5.)の条件を全て満たしている。例えば図28Aに示す拡張行列Gを参照すると、第2行目において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)が1であるため、拡張行列Gは上記E1.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第3行目以降の各行において第1合計値(行ベクトルtの要素の合計値)がゼロであるため、拡張行列Gは上記E2.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第1行目において第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)が1であるため、拡張行列Gは上記E3.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第1行目において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)が−1であり、かつ、拡張行列Gの第2行目において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)が1であるため、拡張行列Gは上記E4.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第1列目において第3合計値(列ベクトルsの要素の合計値)が1であり、拡張行列Gの第2列目において第3合計値(列ベクトルsの要素の合計値)が−1であるため、拡張行列Gは上記E5.)の条件を満たしている。
また図28A〜図28Cに示す拡張行列Gは、何れも、上記D1.)の条件を満たしている。例えば図28Aに示す拡張行列Gを参照すると、第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差がゼロであり、第2行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が1である。8次のカンファレンス行列Fの第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差は、図3Cに示すように7である。従って、図28Aに示す拡張行列GはD1.)の条件を満たしている。
図29A〜図29Cは、第1行目の第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)がゼロの場合における9次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、8次のカンファレンス行列(図3C)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E5.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
図30A〜図30Cは、第1行目及び第2行目の各々において第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)が非ゼロの場合における9次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、8次のカンファレンス行列(図3C)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E5.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
図31A〜図31Cは、第1行目及び第2行目の各々において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)及び第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)が両方とも非ゼロの場合における9次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、8次のカンファレンス行列(図3C)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E6.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
例えば、図31Aに示す拡張行列Gを参照すると、第1行目の第1合計値に対して第2行目の第1合計値が−1倍である一方、第1行目の第2合計値に対して第2行目の第2合計値が−1/2倍であるため、拡張行列Gは上記E6.)の条件を満たしている。
図32A〜図32Cは、第2行目の第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)がゼロの場合における11次の拡張行列Gの一例を示す図である。
図32A〜図32Cに示す拡張行列Gは、何れも、10次のカンファレンス行列(図3D)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。
また図32A〜図32Cに示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E5.)の条件を全て満たしている。例えば図32Aに示す拡張行列Gを参照すると、第2行目において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)が−1であるため、拡張行列Gは上記E1.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第3行目以降の各行において第1合計値(行ベクトルtの要素の合計値)がゼロであるため、拡張行列Gは上記E2.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第1行目において第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)が−1であるため、拡張行列Gは上記E3.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第1行目において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)が1であり、かつ、拡張行列Gの第2行目において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)が−1であるため、拡張行列Gは上記E4.)の条件を満たしている。拡張行列Gの第1列目において第3合計値(列ベクトルsの要素の合計値)が−2であり、拡張行列Gの第2列目において第3合計値(列ベクトルsの要素の合計値)が2であるため、拡張行列Gは上記E5.)の条件を満たしている。
また図32A〜図32Cに示す拡張行列Gは、何れも、上記D1.)の条件を満たしている。例えば図32Aに示す拡張行列Gを参照すると、第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差がゼロであり、第2行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が1である。10次のカンファレンス行列Fの第1行目に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差は、図3Dに示すように9である。従って、図32Aに示す拡張行列GはD1.)の条件を満たしている。
図33A〜図33Cは、第1行目の第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)がゼロの場合における11次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、10次のカンファレンス行列(図3D)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E5.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
図34A〜図34Cは、第1行目及び第2行目の各々において第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)が非ゼロの場合における11次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、10次のカンファレンス行列(図3D)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E5.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
図35A〜図35Cは、第1行目及び第2行目の各々において第1合計値(行ベクトルuの要素の合計値)及び第2合計値(行ベクトルrの要素の合計値)が両方とも非ゼロの場合における11次の拡張行列Gの一例を示す図である。これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、10次のカンファレンス行列(図3D)におけるブロック行列F22と同一の基本行列G22を含んでいる。また、これらの図に示す拡張行列Gは、何れも、上記E1.)〜E6.)、及び、上記D1.)の条件を満たしている。
例えば、図35Aに示す拡張行列Gを参照すると、第1行目の第1合計値に対して第2行目の第1合計値が−1倍である一方、第1行目の第2合計値に対して第2行目の第2合計値が−1/2倍であるため、拡張行列Gは上記E6.)の条件を満たしている。
以上説明したように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様な(N+1)行(N+1)列の拡張行列Gが用いられるため、極性パターンにおける「1」の極性の数と「−1」の極性の数との差が小さくなる。従って、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、第1の実施形態に比べて拡張行列Gの条件が緩和されているため、極性パターン行列Dにおける極性パターンのバリエーションを増やすことができる。
本発明は上述した実施形態には限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
例えば、上述した実施形態では、物体の近接状態に応じて静電容量が変化する検出要素240(キャパシタ)の電荷を合成し、合成検出信号aとして出力する静電容量方式のセンサ部200が用いられているが、本発明はこの例に限定されない。すなわち、本発明は、物体の近接状態に応じて物理量が変化する様々な方式の検出要素を備えた入力装置に適用可能である。
100…入力装置、200…センサ部、220…電極部、230…検出位置、235…検出位置群、240…検出要素、250…合成検出信号生成部、255…検出回路、270…駆動部、ES…検出電極、ED…駆動電極、300…処理部、310…制御部、320…信号再生部、330…位置算出部、400…記憶部、410…プログラム、500…インターフェース部、F…カンファレンス行列、D…極性パターン行列、G…拡張行列、G22…基本行列
Claims (13)
- 複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する入力装置であって、
(N+1)個の前記検出位置における物体の近接状態をそれぞれ検出し、前記(N+1)個の検出位置について前記検出の結果として得られる(N+1)個の検出信号の和に応じた合成検出信号を生成し、前記(N+1)個の検出位置の各々において、前記近接状態に応じた信号レベルを持つ前記検出信号の正負の極性を制御可能なセンサ部と、
前記(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の前記極性である極性パターンを互いに異ならせた(N+1)個の前記合成検出信号を生成するように前記センサ部を制御する制御部と、
前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生する信号再生部とを有し、
前記検出信号に設定する正又は負の前記極性を「1」又は「−1」で表わし、
前記合成検出信号に加算しない前記検出信号に対して設定する前記極性を「0」で表し、
前記(N+1)個の検出信号に設定する前記極性パターンを、それぞれ「1」、「−1」又は「0」の値を持った(N+1)個の要素からなる1行(N+1)列の部分行列で表わし、かつ、
前記(N+1)個の合成検出信号に対応する(N+1)個の前記極性パターンを、(N+1)個の前記部分行列からなる(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列で表わした場合に、
前記信号再生部は、前記極性パターン行列に対する逆行列と、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号を要素とする(N+1)行1列の行列との乗算に相当する演算に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生し、
前記極性パターン行列は、(N+1)行(N+1)列の拡張行列、若しくは、前記拡張行列に対して、少なくとも一部の行を交換する基本変形と少なくとも一部の列を交換する基本変形との少なくとも一方が施された行列であり、
前記拡張行列は、第3列目から第(N+1)列目まで、かつ、第3行目から第(N+1)行目までの範囲のブロック行列として(N−1)行(N−1)列の基本行列を含んでおり、
前記基本行列は、N行N列の所定の行列における第2列目から第N列目まで、かつ、第2行目から第N行目までの範囲のブロック行列と同一であり、
前記所定の行列は、対角要素が「0」であり、前記対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った行列であり、
前記所定の行列の次数Nは偶数であり、
前記拡張行列の第1行目は、「1」と「−1」とが交互に並んでおり、
前記拡張行列の第2行目は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第3行目以降の各行は、第1列目と第2列目の2つの要素の一方が「1」であるとともに他方が「−1」であり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい、
入力装置。 - 前記拡張行列の第2行目は、
第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素がそれぞれ「0」であり、
第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」である、
請求項1に記載の入力装置。 - 前記拡張行列の第2行目は、第2列目から第(N+1)列目までのN個の要素がそれぞれ「1」又は「−1」である、
請求項1に記載の入力装置。 - 前記拡張行列の第2行目は、
第2列目の要素が「0」であり、
第(N+1)列目の要素が「1」又は「−1」であり、
第3列目から第N列目までの(N−2)個の要素は、1以上の「1」と1以上の「−1」とが連なった要素群を少なくとも1つ含み、
前記要素群は、同じ数の「1」及び「−1」からなる、
請求項1に記載の入力装置。 - 複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する入力装置であって、
(N+1)個の前記検出位置における物体の近接状態をそれぞれ検出し、前記(N+1)個の検出位置について前記検出の結果として得られる(N+1)個の検出信号の和に応じた合成検出信号を生成し、前記(N+1)個の検出位置の各々において、前記近接状態に応じた信号レベルを持つ前記検出信号の正負の極性を制御可能なセンサ部と、
前記(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の前記極性である極性パターンを互いに異ならせた(N+1)個の前記合成検出信号を生成するように前記センサ部を制御する制御部と、
前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生する信号再生部とを有し、
前記検出信号に設定する正又は負の前記極性を「1」又は「−1」で表わし、
前記合成検出信号に加算しない前記検出信号に対して設定する前記極性を「0」で表し、
前記(N+1)個の検出信号に設定する前記極性パターンを、それぞれ「1」、「−1」又は「0」の値を持った(N+1)個の要素からなる1行(N+1)列の部分行列で表わし、かつ、
前記(N+1)個の合成検出信号に対応する(N+1)個の前記極性パターンを、(N+1)個の前記部分行列からなる(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列で表わした場合に、
前記信号再生部は、前記極性パターン行列に対する逆行列と、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号を要素とする(N+1)行1列の行列との乗算に相当する演算に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生し、
前記極性パターン行列は、(N+1)行(N+1)列の拡張行列、若しくは、前記拡張行列に対して、少なくとも一部の行を交換する基本変形と少なくとも一部の列を交換する基本変形との少なくとも一方が施された行列であり、
前記拡張行列は、第3列目から第(N+1)列目まで、かつ、第3行目から第(N+1)行目までの範囲のブロック行列として(N−1)行(N−1)列の基本行列を含んでおり、
前記基本行列は、N行N列の所定の行列における第2列目から第N列目まで、かつ、第2行目から第N行目までの範囲のブロック行列と同一であり、
前記所定の行列は、対角要素が「0」であり、前記対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った行列であり、
前記所定の行列の次数Nは偶数であり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第3行目以降の各行は、前記第1合計値がゼロであり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第3列目から第(N+1)列目までの(N−1)個の要素を加算した和である第2合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記第1合計値及び前記第2合計値の少なくとも一方が非ゼロであり、
前記拡張行列の第1列目及び第2列目の各々は、第3行目から第(N+1)行目までの(N−1)個の要素を加算した和である第3合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい、
入力装置。 - 前記拡張行列の第1行目及び第2行目の両方において前記第1合計値が非ゼロかつ前記第2合計値が非ゼロである場合、当該第1行目の第1合計値に対する当該第2行目の第1合計値の比と、当該第1行目の第2合計値に対する当該第2行目の前記第2合計値の比とが異なっている、
請求項5に記載の入力装置。 - 前記基本行列は、
各行の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであり、
各列の(N−1)個の要素を加算した和がゼロであり、
任意の2つの行の内積が同一の値を持ち、
任意の2つの列の内積が同一の値を持つ、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の入力装置 - 前記センサ部は、
前記複数の検出位置に対応して設けられた複数の検出要素であって、物体の近接状態に応じた信号レベルを持ち、入力される駆動信号に応じて前記極性が「1」、「−1」又は「0」に設定される前記検出信号をそれぞれ発生する複数の検出要素と、
前記制御部の制御に従って、前記複数の検出要素にそれぞれ前記駆動信号を供給する駆動部と、
(N+1)個の前記検出要素が発生する前記(N+1)個の検出信号の和に応じた前記合成検出信号を生成する合成検出信号生成部とを含む、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の入力装置。 - 前記センサ部は、
少なくとも1つの検出電極と、
前記検出電極に交差する複数の駆動電極とを含み、
前記検出要素は、前記検出電極と前記駆動電極との交差部に形成され、物体の近接状態に応じて静電容量が変化するキャパシタであり、
前記駆動部は、前記複数の駆動電極にそれぞれ前記駆動信号を供給し、
1つの前記検出電極と(N+1)個の前記駆動電極との間には、前記(N+1)個の検出要素としての(N+1)個の前記キャパシタが形成されており、
前記合成検出信号生成部は、前記(N+1)個の駆動電極に供給される(N+1)個の前記駆動信号に応じて前記検出電極に伝送される前記(N+1)個のキャパシタの電荷に基づいて、前記合成検出信号を生成する、
請求項8に記載の入力装置。 - 複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する入力装置の制御方法であって、
前記入力装置が、(N+1)個の前記検出位置における物体の近接状態をそれぞれ検出し、前記(N+1)個の検出位置について前記検出の結果として得られる(N+1)個の検出信号の和に応じた合成検出信号を生成し、前記(N+1)個の検出位置の各々において、前記近接状態に応じた信号レベルを持つ前記検出信号の正負の極性を制御可能なセンサ部を有し、
前記制御方法が、
前記(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の前記極性である極性パターンを互いに異ならせた(N+1)個の前記合成検出信号を生成するように前記センサ部を制御することと、
前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生することとを有し、
前記検出信号に設定する正又は負の前記極性を「1」又は「−1」で表わし、
前記合成検出信号に加算しない前記検出信号に対して設定する前記極性を「0」で表し、
前記(N+1)個の検出信号に設定する前記極性パターンを、それぞれ「1」、「−1」又は「0」の値を持った(N+1)個の要素からなる1行(N+1)列の部分行列で表わし、かつ、
前記(N+1)個の合成検出信号に対応する(N+1)個の前記極性パターンを、(N+1)個の前記部分行列からなる(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列で表わした場合に、
前記信号レベルを再生することは、前記極性パターン行列に対する逆行列と、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号を要素とする(N+1)行1列の行列との乗算に相当する演算に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生することを含み、
前記極性パターン行列は、(N+1)行(N+1)列の拡張行列、若しくは、前記拡張行列に対して、少なくとも一部の行を交換する基本変形と少なくとも一部の列を交換する基本変形との少なくとも一方が施された行列であり、
前記拡張行列は、第3列目から第(N+1)列目まで、かつ、第3行目から第(N+1)行目までの範囲のブロック行列として(N−1)行(N−1)列の基本行列を含んでおり、
前記基本行列は、N行N列の所定の行列における第2列目から第N列目まで、かつ、第2行目から第N行目までの範囲のブロック行列と同一であり、
前記所定の行列は、対角要素が「0」であり、前記対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った行列であり、
前記所定の行列の次数Nは偶数であり、
前記拡張行列の第1行目は、「1」と「−1」とが交互に並んでおり、
前記拡張行列の第2行目は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第3行目以降の各行は、第1列目と第2列目の2つの要素の一方が「1」であるとともに他方が「−1」であり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい、
入力装置の制御方法。 - 複数の検出位置における物体の近接状態に応じた情報を入力する入力装置の制御方法であって、
前記入力装置が、(N+1)個の前記検出位置における物体の近接状態をそれぞれ検出し、前記(N+1)個の検出位置について前記検出の結果として得られる(N+1)個の検出信号の和に応じた合成検出信号を生成し、前記(N+1)個の検出位置の各々において、前記近接状態に応じた信号レベルを持つ前記検出信号の正負の極性を制御可能なセンサ部を有し、
前記制御方法が、
前記(N+1)個の検出信号に設定する(N+1)個の前記極性である極性パターンを互いに異ならせた(N+1)個の前記合成検出信号を生成するように前記センサ部を制御することと、
前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生することとを有し、
前記検出信号に設定する正又は負の前記極性を「1」又は「−1」で表わし、
前記合成検出信号に加算しない前記検出信号に対して設定する前記極性を「0」で表し、
前記(N+1)個の検出信号に設定する前記極性パターンを、それぞれ「1」、「−1」又は「0」の値を持った(N+1)個の要素からなる1行(N+1)列の部分行列で表わし、かつ、
前記(N+1)個の合成検出信号に対応する(N+1)個の前記極性パターンを、(N+1)個の前記部分行列からなる(N+1)行(N+1)列の極性パターン行列で表わした場合に、
前記信号レベルを再生することは、前記極性パターン行列に対する逆行列と、前記センサ部が生成した前記(N+1)個の合成検出信号を要素とする(N+1)行1列の行列との乗算に相当する演算に基づいて、前記(N+1)個の検出信号の信号レベルを再生することを含み、
前記極性パターン行列は、(N+1)行(N+1)列の拡張行列、若しくは、前記拡張行列に対して、少なくとも一部の行を交換する基本変形と少なくとも一部の列を交換する基本変形との少なくとも一方が施された行列であり、
前記拡張行列は、第3列目から第(N+1)列目まで、かつ、第3行目から第(N+1)行目までの範囲のブロック行列として(N−1)行(N−1)列の基本行列を含んでおり、
前記基本行列は、N行N列の所定の行列における第2列目から第N列目まで、かつ、第2行目から第N行目までの範囲のブロック行列と同一であり、
前記所定の行列は、対角要素が「0」であり、前記対角要素以外の要素が「1」又は「−1」であり、かつ、自身の転置行列との積が単位行列の(N−1)倍の行列となる特性を持った行列であり、
前記所定の行列の次数Nは偶数であり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第1列目の要素と第2列目の要素とを加算した和である第1合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第3行目以降の各行は、前記第1合計値がゼロであり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の少なくとも一方は、第3列目から第(N+1)列目までの(N−1)個の要素を加算した和である第2合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記第1合計値及び前記第2合計値の少なくとも一方が非ゼロであり、
前記拡張行列の第1列目及び第2列目の各々は、第3行目から第(N+1)行目までの(N−1)個の要素を加算した和である第3合計値が非ゼロであり、
前記拡張行列の第1行目及び第2行目の各々は、前記所定の行列の第1行目に比べて、行内に含まれる「1」の要素数と「−1」の要素数との差が小さい、
入力装置の制御方法。 - 前記拡張行列の第1行目及び第2行目の両方において前記第1合計値が非ゼロかつ前記第2合計値が非ゼロである場合、当該第1行目の第1合計値に対する当該第2行目の第1合計値の比と、当該第1行目の第2合計値に対する当該第2行目の前記第2合計値の比とが異なっている、
請求項11に記載の入力装置の制御方法。 - 請求項10乃至12の何れか一項に記載の入力装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111176483A (zh) * | 2019-12-19 | 2020-05-19 | 江苏触宇光电有限公司 | 一种带有卷积效果的触摸屏激励信号矩阵构造方法 |
US11604533B2 (en) | 2020-01-08 | 2023-03-14 | Alps Alpine Co., Ltd. | Input device, control method for controlling input device, and recording medium in which program for causing computer to perform control method for controlling input device |
-
2018
- 2018-03-26 JP JP2018058262A patent/JP2019169076A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111176483A (zh) * | 2019-12-19 | 2020-05-19 | 江苏触宇光电有限公司 | 一种带有卷积效果的触摸屏激励信号矩阵构造方法 |
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