JP2019168580A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体および感光性樹脂印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【課題】低級アルコールを含む溶液を用いた現像が可能で耐摩耗性に優れかつパッド印刷機のブレードでスキージした際の版表面のインクの掻き取り性に優れた感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、および感光性樹脂印刷版原版を形成可能な感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミド、下記一般式(1)で表される骨格を有するポリアミドおよび炭素数8以上のメチレン鎖を有するポリアミドの中から選択される少なくとも1つ以上のポリアミド、(B)平均粒子径が0.5μm以上4μm以下であって、真球度が0.90以上である無機微粒子、(C)エチレン性二重結合を有する化合物、(D)光重合開始剤および(E)界面活性剤を有する感光性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体および感光性樹脂印刷版原版に関する。
感光性樹脂印刷版原版は、一般に可溶性ポリマー、光重合性不飽和基含有モノマー、光重合開始剤および溶媒を含む感光性樹脂組成物を支持体に塗工し、乾燥後、表面にカバーフィルムを圧着することで得る。感光性樹脂印刷版原版は、カバーフィルムを剥離後、ネガティブ、ポジティブの原画フィルムを介して紫外光を感光性樹脂層に照射し、感光性樹脂層中に溶剤に溶解する部分と溶解しない部分を形成することで、レリーフ像を形成し、印刷版として使用する。
凹版印刷版を用いるパッド印刷は、版面上にインクを載せ、金属製のドクター刃で掻き取ること、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取ることによって、凹版印刷版の凹部にインクを充填し、そのインクをシリコーンゴムなどの柔軟なパッド面に転写させ、該パッドのインク付着面を被印刷体に圧着することによって印刷するオフセット印刷の一種である。パッド印刷に用いられる凹版印刷版は、印刷の方式上、版面上のインクをドクター刃やインクカップといったブレードで掻き取るため、版面には耐摩耗性と平滑性が要求される。
このようにして形成されるそのような耐摩耗性が要求される印刷用途で用いられる感光性樹脂組成物には、特許文献1または2に示すように研磨性粒子である無機微粒子を配合した感光性樹脂組成物が提案されている。
ところで、無機微粒子を感光性樹脂組成物中に配合した場合、感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物の粘度が高くなる。そのため感光性樹脂組成物を支持体に塗工した際のレベリング性が悪化し、凹版印刷面の表面粗さが粗くなり、パッド印刷機のブレードで版面上のインクを掻き取ることができないことがあった。
上記課題を解決する本発明の感光性樹脂組成物は、(A)脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミド、一般式(1)で表される骨格を有するポリアミドおよび炭素数8以上のメチレン鎖を有するポリアミドの中から選択される少なくとも1つ以上のポリアミド、(B)平均粒子径が0.5μm以上4μm以下であって、真球度が0.90以上である無機微粒子、(C)エチレン性二重結合を有する化合物、(D)光重合開始剤および(E)界面活性剤を有する。
本発明は、パッド印刷機のブレードでスキージした際の版表面のインクの掻き取り性に優れた感光性樹脂印刷版原版を形成可能な感光性樹脂組成物を提供する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の感光性樹脂組成物を構成する、(A)脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミド、前記一般式(1)で表される骨格を有するポリアミドおよび炭素数8以上のメチレン鎖を有するポリアミドの中から選択される少なくとも1つ以上のポリアミド(以下、「ポリアミド(A)」という。)は、固体状態での形態を保持するための担体樹脂としての機能を有する。また、ポリアミド(A)は、感光性樹脂層へ低級アルコールを含む溶液による現像性を付与するために使用される。
ポリアミド(A)は水に不溶のため、ポリアミド(A)を含有する感光性樹脂組成物から得られた印刷版は、高湿度の環境下で使用しても水による影響を受けず、良好な耐摩耗性を有する。
ポリアミド(A)の数平均分子量は10,000〜1,000,000であることが好ましい。10,000以上であることで、感光性樹脂組成物を固体状態での形態を保持するための担体樹脂としての機能を有し、1,000,000以下であることで、感光性樹脂層を画像様に紫外光で露光し、選択的に硬化させて、未硬化部を現像で除去する際に、低級アルコールを含む現像液で速やかに除去することが可能となる。なお、低級アルコールとは分子内に炭素数が5つ以下であるアルコールを言う。ポリアミド(A)の数平均分子量は、より好ましくは2,000以上、さらに好ましくは30,000以上、またより好ましくは1,000,000以下、さらに好ましくは200,000以下であるとよい。本明細書において、ポリアミド(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量にすることができる。
ポリアミド(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分中の20〜80質量%含まれることが好ましい。20質量%以上含有することで、溶媒を除去した際の感光性樹脂組成物を固形状態にして形態を保持することが可能となる。また、80質量%以下含有することでレリーフ画像の形成が容易となる。ポリアミド(A)の含有量は、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であるとよい。またポリアミド(A)の含有量は、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下であるとよい。ここでいう固形分とは、(F)溶剤を含まない感光性樹脂組成物のことである。
ポリアミド(A)において、脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミドは、ポリアミドを重合する際に、脂肪族環を有するジアミンおよび/またはジカルボン酸ならびにその誘導体を共縮重合することによって得ることができる。脂肪族環として、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式化合物が挙げられる。ポリアミド(A)は、これら脂環式化合物の2価の残基を分子主鎖に有する。なかでもシクロヘキサンの残基が好ましく、例えば4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンアジペート骨格残基を有するポリアミド(A)が好ましい。
このようなポリアミドとしては、例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンアジピン酸塩を少なくとも含む重縮合物が知られている。また特許文献1に示すような4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンアジピン酸塩と、ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアンモニウムアジピン酸塩との共重縮合物が知られている。
これら脂肪族環を含有する単量体成分は、全ポリアミド構成成分、すなわちアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位およびジアミン単位の和100モル%に対して、10〜100モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましい。これら脂肪族環を含有する単量体成分の含有量が10モル%以上であると、感光性樹脂組成物を感光性樹脂層としたときの低級アルコールに対する溶解性が向上する。その結果、感光性樹脂層を画像様に紫外光で露光し、選択的に硬化させて、未硬化部を現像で除去する際に、低級アルコールを含む現像液で速やかに除去することが可能となる。80モル%以下であると、結晶性ポリマーとしての耐薬品性が良好に維持される。
またポリアミド(A)の別の例は、分子主鎖に脂肪族環を有しまたは有さずに、下記の一般式(1)で表される骨格を有する。
前記一般式(1)で表される骨格を有するポリアミド(A)は、ポリアミドのアミド結合の水素とホルムアルデヒドとメタノールを反応させ、アミド結合をN−メトキシメチル化することで得ることができる(たとえば特許文献2参照)。
また、分子中のアミド結合の水素は10〜50%をメトキシメチル化することが好ましい。メトキシメチル化を10%以上とすることで、低級アルコールによる溶解性が高くなるため、感光性樹脂層を画像様に紫外光で露光し、選択的に硬化させて、未硬化部を現像で除去する際に、低級アルコールを含む現像液で速やかに除去することができる。また、メトキシメチル化を50%以下とすることで、ポリマーの耐摩耗性を保持できる。アミド結合の水素のメトキシメチル化は、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上であるとよい。またメトキシメチル化は、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下であるとよい。なお、アミド結合の水素のメトキシメチル化率は、ホルムアミドとメタノールの添加量、反応温度、反応時間により制御することが可能である。
このようなポリアミドとしては、たとえば、6−ナイロンのアミド結合の30%が前記一般式(1)で表される骨格に変性された、数平均分子量が40,000である“トレジン”(登録商標) MF−30(ナガセケムテックス株式会社製)が挙げられる。
またポリアミド(A)として、脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミドと前記一般式(1)で表される骨格を有するポリアミドを混合して使用することも可能である。
さらに、ポリアミド(A)の別の例は、炭素数8以上のメチレン鎖を有するポリアミドを挙げることができる。例えばナイロン6、ナイロン66にナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等の炭素数8以上のメチレン鎖を有するモノマーを共重合させたいわゆる共重合体ナイロンを用いることも可能である。炭素数8以上のメチレン鎖を有するモノマーをポリアミド中のモノマーの重量比率で15〜60重量%含むことで低級アルコールに溶解可能となる。また、メチレン鎖の炭素数が8以上のとき低級アルコールに溶解可能となるため好ましく、炭素数が12以下のとき経済的に有利であるため好ましい。このような炭素数8以上のメチレン鎖を有するポリアミドとしては、例えば、ナイロン6/66/610/12を共重合した“アミラン”(登録商標)CM8000(東レ株式会社製)が挙げられる。
また、ポリアミド(A)として、炭素数8以上のメチレン鎖を有するポリアミドに、脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミドおよび/または一般式(1)で表せる骨格を有するポリアミドを混合して使用することも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)成分として平均粒子径が0.5μm以上4μm以下であって、真球度が0.90以上である無機微粒子を含有する(以下、「無機微粒子(B)」という)。このような無機微粒子(B)を用いることで、耐摩耗性に優れかつパッド印刷機のブレードでスキージした際の版表面のインクの掻き取り性に優れた感光性樹脂組成物を提供できる。
無機微粒子(B)は、平均粒子径が0.5μm以上であることで、パッド印刷機のブレードした際の耐摩耗性を確保でき、4μm以下であることで、パッド印刷機のブレードで版表面のインクを掻き取ることができる。無機微粒子(B)の平均粒子径は、好ましくは0.8μm以上、より好ましくは1.0μm以上であるとよい。また平均粒子径は、好ましくは4.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下であるとよい。さらに、無機微粒子(B)の真球度が0.90以上、好ましくは0.90〜1.0であることで、印刷版の表面粗さが小さくなるため、さらに良好なインクの掻き取り性を達成できる。なお、本発明において、無機微粒子(B)の平均粒子径とは、レーザー回折散乱法で測定したメジアン径である。また真球度とは、走査型電子顕微鏡により、無機微粒子(B)50個の形状観察を行い、個々の無機微粒子の最短径/最長径の比率を求め、50個の相加平均値としたものである。
このような無機微粒子(B)としては、金属単体無機微粒子、無機酸化物粒子、無機塩無機微粒子、有機成分および無機成分で構成される無機微粒子などが挙げられる。このうち、感光性樹脂組成物に光を照射し、光硬化させる際の紫外光の散乱を抑制する観点から、感光性樹脂組成物に含まれる有機成分である(A)ポリアミド、(C)エチレン性二重結合を有する化合物、(D)光重合開始剤および(E)界面活性剤との屈折率が比較的近いシリカ粒子が好ましい。さらに、安全に取り扱うことという観点から非晶質シリカがより好ましい。一方、ブレードで版面を掻き取る際の耐摩耗性を向上させるためには、シリカ粒子よりもビッカース硬度の大きいアルミナを用いることでき、シリカ粒子とアルミナを混合して使用することも可能である。
このような真球度が0.90以上の非晶質シリカおよびアルミナの製造方法としては、特に限定されるものではないが、特開昭58−145613号公報および特開2006−36915号公報に示すように、シリカ粒子またはアルミナ粒子を火炎中で溶融する方法、特開2006−36915号公報に示すように、VMC(Vaperized Metal Combustion)法により、シリコン粉末または金属アルミニウムを燃焼して製造する方法などが知られている。
無機微粒子(B)は比表面積が10m2/g以下であることが好ましい。10m2/g以下であると、感光性樹脂組成物のレベリング性が良好で、平坦な版面の形成が容易となる。無機微粒子(B)の比表面積は、より好ましくは9m2/g以下、さらに好ましくは8m2/g以下であるとよい。本明細書において、無機微粒子(B)の比表面積は、JIS Z8830:2013に記載された方法に基づき測定することができる。
一方、無機微粒子(B)は最大粒子径が好ましくは20.0μm以下である。最大粒子径が20.0μm以下である場合は、パッド印刷機のブレードでスキージした際のインク残りが低減される。無機微粒子(B)の最大粒子径はより好ましくは、10.0μm以下である。なお、最大粒子径は無機微粒子を該当する大きさの篩を通過させることで設定した。
さらに、無機微粒子(B)は抽出水のpHが5.5〜8.5の範囲に含まれることが好ましい。この範囲であることで、本発明で用いるその他の成分への分散性が良好で、無機微粒子の凝集が抑制される。抽出水のpHは6.0〜8.0の範囲に含まれることがより好ましい。また、本発明の凹版印刷版原版またはパッド印刷版原版に用いられる感光性樹脂組成物を作製する際に、保管中に無機微粒子(B)が沈降し、凝集しても、静電引力が小さいために攪拌などで再分散が容易であり、取り扱い性に優れる。無機微粒子(B)の抽出水のpHは、無機微粒子の粉末を蒸留水に10質量%混合し、30分間攪拌した後の上澄み水をpHメーターで測定することができる。なお、無機微粒子のpHは活性抑制剤を無機微粒子が有する活性な水酸基に作用させることで調整することができる。活性抑制剤の例としては、有機フォスフィン化合物、スルフィド化合物、メルカプタン化合物、ケトン化合物、およびアミド化合物から選ばれる一種以上を用いればよいがこの限りではない。なお、これら活性抑制剤は無機微粒子(B)と混合し、90〜180℃の温度で、4〜24時間加熱して用いることができる。
このような無機微粒子(B)を用いると、本発明におけるポリアミド(A)、(C)エチレン性二重結合を有する化合物と配合した際に、無機微粒子(B)の凝集、再凝集が抑制され、パッド印刷機のブレードで版表面のインクを良好に掻き取れる。
無機微粒子(B)は、耐摩耗性を付与するために、感光性樹脂組成物の固形分中に3質量%以上含まれることが好ましく、溶媒を除去した際の感光性樹脂層の形成を可能とするため70質量%以下とすることが好ましい。無機微粒子(B)の含有量は、より好ましくは8質量%以上であるとよく、60質量%以下であるとよい。
無機微粒子(B)の表面に、表面修飾剤を用いてエチレン性二重結合を導入することも可能である。このような修飾剤としては、例えば、(3−アクロイルプロピル)トリメトキシシラン、メタクロイルプロピルトリメトキシシラン、メタクロイルプロピルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシメチルトリメトキシシランなどが挙げられるが、この限りではない。無機微粒子(B)にエチレン性二重結合を表面修飾することにより、ポリアミド(A)、(C)エチレン性二重結合を有する化合物に混合するとき分散性が良好となり凝集、再凝集を抑制することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)エチレン性二重結合を有する化合物を含有する。
好ましく使用される(C)エチレン性二重結合含有化合物として具体的な例としては、次のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコール−(メタ)アクリル酸−安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、スチレン及びその誘導体、ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、N−フェニルマレイミド及びその誘導体、N−(メタ)アクリルオキシコハク酸イミド、(メタ)アクリル酸−2−ナフチル、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾル、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、(2−メチル−エチルジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、イミドアクリレート、(2−オキシ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(オキシジイミダゾリジン−1−イル)エチル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性二重結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性二重結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性二重結合を有する化合物、などが挙げられる。
これらの(C)エチレン性二重結合含有化合物のうち、1つ以上の水酸基を有するものが好ましい。そのような化合物は、ポリアミド(A)との相溶性がよく、また、抽出水のpHが5.5〜8.5の範囲の無機微粒子(B)の分散性も良好となり感光性樹脂組成物に配合した際に、均一な組成物の作製が可能である。このような(C)エチレン性二重結合含有化合物としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の水酸基を有する(C)エチレン性二重結合含有化合物がより好ましい。そのような化合物は、水酸基の水素結合により、パッド印刷に用いられるインクの有機溶剤による凹版印刷版の膨潤を抑制できる。このような化合物としては、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
これら(C)エチレン性二重結合含有化合物の含有量はポリアミド(A)100質量部に対して、5〜200質量部であることが好ましい。5質量部以上であると、インクを用いて印刷する際に、印刷版が膨潤することなく使用することができ、200質量部以下であると感光性樹脂組成物の成形が容易となるため好ましい。(C)エチレン性二重結合含有化合物は、ポリアミド(A)100質量部に対しより好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上含有するとよい。また(C)エチレン性二重結合含有化合物の含有量は、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下であるとよい。
(C)エチレン性二重結合含有化合物は、アクリロイル基とメタアクリロイル基の両方を含む場合が好ましく、(C)エチレン性二重結合含有化合物におけるメタアクリロイル基の数がアクリロイル基の数よりも多いことが好ましい。一般に、メタアクリロイル基は、アクリロイル基よりも反応速度が遅い。そのため、ポジフィルムを介して紫外線照射した場合、メタアクリロイル基の数が多いと、レリーフの凹部が深くなるため、300線90%などの網点スクリーンフィルムを密着させ、紫外線照射し、形成したスクリーン目により、凹部の深度調整が容易となる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)光重合開始剤を含有する。(D)光重合開始剤としては、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば全て使用できる。なかでも、光吸収によって、自己分解や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。(D)光重合開始剤として例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などがある。
(D)光重合開始剤の配合量としては、ポリアミド(A)100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲が好ましい。0.1質量部以上であればレリーフ画像の形成性が向上し、20質量部以下であれば光重合開始剤の析出を抑制することが可能となる。(D)光重合開始剤の配合量は、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であるとよい。また(D)光重合開始剤の配合量は、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下であるとよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(E)界面活性剤を含有する。(E)界面活性剤を含有することで、感光性樹脂組成物のレベリング性が向上し、感光性樹脂層を形成する際に、層表面の平坦性を向上させることができる。これにより印刷版とした際に、良好なインク掻き取り性を得ることができる。
界面活性剤としては、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(共栄社化学株式会社製)、“フタージェント”(登録商標)251、208M、212M、215M、250(株式会社ネオス製)、“Disperbyk”(登録商標)161、162、163、164、166、170、180、181(ビックケミー・ジャパン株式会社製)をあげることができる。
前記(E)界面活性剤でもフッ素基および/またはシリコーン基を有する化合物であることが好ましい。フッ素基および/またはシリコーン基を有することで、感光性樹脂層を形成する際に界面活性剤が層表面近傍に多く存在しやすくなるため、感光性樹脂組成物のレベリング性をより向上させる。ここでいうフッ素基を有する界面活性剤とは炭素水素化合物の水素基の一部もしくは全部をフッ素で置換した化合物をいう。また、ここでいうシリコーン基を有する界面活性剤とはアルキル基を有するアルキルシロキサンを有する化合物をいう。
フッ素基および/またはシリコーン基を有する界面活性剤としては、ポリフローKL−401、ポリフローKL−402、ポリフローKL−403、ポリフローKL−403(共栄社化学株式会社製)、“BYK”(登録商標)300、306、310、320、330、331、333、342、344、346、3440(ビックケミー・ジャパン株式会社製)KP−323、KP−341、KP−104、KP−110(信越化学工業株式会社製)、“サーフロン”(登録商標)S−211、S−221、S−231、S−241、S−242、S−232(AGCセイミケミカル株式会社製)、“フタージェント”(登録商標)730FL、610FM、683(株式会社ネオス製)、EF−PP31N04、EF−PP31N09、EF−PP31N15、EF−PP31N22、EF−PP33G1、EF−PP32C1(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、“メガファック”(登録商標)F−114、F−281、F−410、F−553、F−554、F−556、F−559、F−569、F−574(DIC株式会社製)をあげることができる。
(E)界面活性剤は、感光性樹脂組成物の固形分中に0.2質量%以上4.0質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上2.0質量%以下である。0.2質量部以上とすることで、感光性樹脂組成物を塗工した際のレベリング性を向上させることができる。4.0質量部以下にすることで、感光性樹脂組成物から溶媒を除去して形成した感光性樹脂層から、析出することを抑制することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(F)溶媒を含有することができる。(F)溶媒を含有することで、感光性樹脂組成物の粘度を調整することが可能となるため、感光性樹脂層表面の平坦性を向上させることができる。これにより印刷版とした際に、良好なインク掻き取り性を得ることができる。
溶媒(F)は、ポリアミド(A)、(C)エチレン性二重結合含有化合物、(D)光重合開始剤および(E)界面活性剤を溶解することができる溶媒であれば、特に限定されない。また、単独ではポリアミド(A)、(C)エチレン性二重結合含有化合物、(D)光重合開始剤および(E)界面活性剤を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって溶解できるのであれば、そのような混合溶媒を溶媒(F)として用いることが可能である。
溶媒(F)の具体例としては、次のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテルおよび3−メトキシブタノールが挙げられる。溶媒(F)は、単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、感光性樹脂組成物の経時安定性の観点から、炭素数1〜4のアルコールを少なくとも1種以上有するアルコールおよび水を含む溶媒であることが好ましい。炭素数1〜4のアルコールを少なくとも1種以上有するアルコールおよび水を含む溶媒とすることで、炭素数1〜4のアルコールは感光性樹脂組成物中のポリアミド(A)と相溶性がよく、また水を有することでポリアミド(A)と水との間で水素結合を形成しポリアミドの会合を阻害できると考えられるため、感光性樹脂組成物の経時増粘を抑制することができる。
溶媒(F)は、感光性樹脂組成物の固形分が、好ましくは15〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%となる量で用いることが望ましい。15重量%以上とすることで乾燥ムラなく、均一な感光性樹脂層を形成することができる。70重量%以下とすることで感光性樹脂組成物の経時増粘を抑制することができる。感光性樹脂組成物の粘度は、印刷方法によって適宜調節することが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は紫外線吸収剤を配合してもよい。好ましい紫外吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系の化合物が挙げられ、これらを1種類以上使用することが可能である。なお、紫外線吸収剤の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して、0.001〜5質量%の範囲で使用することが好ましい。紫外線吸収材剤を含有することで、感光性樹脂組成物を用いた樹脂印刷版原版より形成される凹版印刷版において、光散乱を抑制し、形状が良好な凹部を得ることができる。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は熱安定性を高くするために、従来公知の重合禁止剤を添加することができる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類、N−ニトロソアミン誘導体などが挙げられる。これらの配合量は、全樹脂組成物100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲で使用することが好ましい。
このほか、本発明の感光性樹脂組成物は染料、顔料、消泡剤、香料、相溶助剤などを添加することができる。
次に感光性樹脂組成物と感光性樹脂積層体について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物および感光性樹脂積層体は、少なくとも支持体(G)上に、接着層(H)、本発明の感光性樹脂組成物より形成された層、および保護層がこの順に積層されている。そして、本発明の感光性樹脂印刷版原版は、当該感光性樹脂積層体を用いて形成される。すなわち、本発明の感光性樹脂印刷版原版は、少なくとも支持体上(G)に、接着層(H)、本発明の感光性樹脂組成物より形成される感光性樹脂層(I)、保護層が順次積層されてなる。
支持体(G)としては、ポリエステルなどのプラスチックシートやスチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴムシート、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属板を使用することができるが、パッド印刷では特に、版面上にインクを載せ、金属製のドクター刃で掻き取るため、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取るため、掻き取る際の力で支持体が変形しないよう金属板を用いることが好ましい。
支持体の形状は板、ロールなどを使用することができるが、印刷方法によって適宜選択することが好ましい。
支持体の厚さは特に限定されないが、取扱性の観点から100〜500μmの範囲が好ましい。100μm以上であれば支持体が変形することが抑制され、500μm以下であれば取り扱い性が向上する。
支持体(G)は、感光性樹脂層(I)との接着性を向上させる目的で、易接着処理されていることが好ましい。易接着処理の方法としては、サンドブラストなどの機械的処理、コロナ放電などの物理的処理、コーティングなどによる化学的処理などが例示できるが、コーティングにより接着層(H)を設けることが接着性の観点から好ましい。
接着層(H)は、支持体(G)および感光性樹脂層(I)の接着性を向上させるものであれば特に制限されない。接着層(H)は、好ましくは感光性樹脂層(I)に含まれる構成単位のうち少なくとも一部分を含有することにより、さらに接着性が向上する。このような共通する構成単位として、低級アルコールを含む溶液に可溶性を有する高分子化合物が例示される。また可溶性高分子化合物として、ε−カプロラクタムの単位を含むポリアミド樹脂を好ましく挙げることができる。
感光性樹脂層(I)は、本発明の感光性樹脂組成物より形成される。感光性樹脂層(I)の厚さは、十分なレリーフ深度を有し印刷適性を向上させる観点から、0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましい。一方、感光性樹脂層(F)の厚さはコスト、省資源の観点から1mm以下が好ましく、0.7mm以下がより好ましい。
本発明の感光性樹脂印刷版原版は、表面保護、異物等の付着防止の観点から、感光性樹脂層(I)上に保護層としてカバーフィルム(J)を有することが好ましい。感光性樹脂層(I)はカバーフィルム(J)と直接接していてもよいし、感光性樹脂層(I)とカバーフィルム(J)の間に1層または複数の層を有していてもよい。感光性樹脂層(I)とカバーフィルム(J)の間の層としては、例えば、感光性樹脂層表面の粘着を防止する目的で設けられる剥離補助層(K)などが挙げられる。
カバーフィルム(J)の材質は特に限定されないが、ポリエステル、ポリエチレンなどのプラスチックシートが好ましく使用される。カバーフィルム(J)の厚さは特に限定されないが、10〜150μmの範囲が取扱性、コストの観点から好ましい。またカバーフィルム表面は、原画フィルムの密着性向上を目的として粗面化されていてもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物およびそれを用いた感光性樹脂印刷原版の製造方法について説明する。
例えば、(A)ポリアミドを、(F)溶媒に加熱溶解した後、(C)エチレン性二重結合含有化合物、(D)光重合開始剤、(E)界面活性剤および必要に応じて可塑剤その他の添加剤等を添加し、撹拌して十分に混合する。次いで、無機微粒子(B)を添加し、混合・分散することで感光性樹脂組成物を得る。
無機微粒子を分散する方法としては、例えば、機械撹拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法などを挙げることができる。これらの中でも無機微粒子を高度に分散させることが可能なメディア分散法が好ましい。
感光性樹脂層(I)は、上述の方法によって得られた感光性樹脂組成物を、支持体(G)、好ましくは接着層(H)を有する支持体(G)、に塗布し、次に溶媒を除去することで得ることができる。塗布方法としては、一般的に知られている塗布方法、例えば、スピンコート、ディップコート、スリットコート法、アプリケーター法、反転印刷法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。溶媒の除去方法としては、例えば熱風乾燥、遠赤外線乾燥、自然乾燥などを挙げることができる。その後、任意に剥離補助層(K)を塗布したカバーフィルム(J)を感光性樹脂層(I)に密着させることで、感光性樹脂印刷版原版を得ることができる。また、乾燥製膜により感光性樹脂シートを作製し、支持体(G)とカバーフィルム(J)で感光性樹脂シートを挟み込むようにラミネートすることでも感光性樹脂印刷版原版を得ることができる。さらに、無機微粒子(B)を含まない感光性樹脂組成物を、接着層(H)と感光性樹脂層(I)の間に設けることも可能である。
感光性樹脂印刷版原版が剥離補助層(K)を有する場合、剥離補助層(K)の形成方法は特に限定されないが、薄膜形成の簡便さから、剥離補助層(K)成分を溶媒に溶解した溶液をカバーフィルム(J)上に塗布し、溶媒を除去する方法が特に好ましく行われる。溶媒の除去方法としては、例えば熱風乾燥、遠赤外線乾燥、自然乾燥などを挙げることができる。剥離補助層(K)成分を溶解する溶媒は特に限定されないが、水、アルコール、またはそれらの混合物が好ましく使用される。
次に、本発明の感光性樹脂印刷版原版を用いて形成される印刷版について説明する。本発明の印刷版は、前述の本発明の感光性樹脂印刷版原版を露光および現像することにより得られる。
感光性樹脂印刷版原版がカバーフィルム(J)を具備する場合はこれを剥離し、感光性樹脂層(I)上にポジティブの原画フィルムを密着させ、紫外線照射することによって、感光性樹脂層(I)を光硬化させる。紫外線照射は、通常300〜400nmの波長を照射できる高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯などを用いて行うことができる。
次に、300線90%の網点スクリーンフィルムを密着させ、紫外線照射することによって、凹部にスクリーン目を形成して凹部の深さが適切になるように調整する。
次に、感光性樹脂印刷版原版を現像液に浸漬し、未硬化部分をブラシで擦りだして除去するブラシ式現像装置により基板上にレリーフ像を形成する。また、ブラシ式現像装置の他にスプレー式現像装置を使用することも可能である。現像液は低級アルコールを含む溶液またはさらに界面活性剤を含むものを用いることができる。
なお、現像時の液温は15〜40℃が好ましい。レリーフ像形成後、50〜70℃において10分間程度乾燥し、必要に応じてさらに大気中ないし真空中で活性光線処理して凹版印刷版を得ることができる。
なお、本発明の感光性樹脂組成物は、凹版印刷用またはパッド印刷用の感光性樹脂印刷版原版に用いることが最も適しているが、平版印刷用、凸版印刷用、孔版印刷用、フォトレジストとして使用することも可能である。
なお、支持体がプラスチックフィルムである凹版印刷版は、金属を支持体とする凹版印刷版よりも軽量であり取り扱いが容易である。このような支持体がプラスチックフィルムである凹版印刷版をパッド印刷機に固定する方法としては、凹版印刷版の支持体に両面テープを貼り付け、両面テープの片側をパッド印刷機の版台に固定する方法があるが、支持体が金属、特に鉄板からなる凹版印刷版を磁石で版台に固定するのに比べて、支持体に強密着するため、凹版印刷版の装脱着に時間がかかり、貼り直し作業(交換作業)(リワーク性)の観点から使用しにくいことがある。
また、パッド印刷においては、ブレードによって印刷版表面のインクが掻き取られるが、支持体がプラスチックフィルムである凹版印刷版が用いられると、ブレードによるインクの掻き取り時に、支持体が変形し、良好なパッド印刷を行えないことがある。
したがって、パッド印刷において、支持体がプラスチックフィルムである凹版印刷版が用いられる場合は、交換しやすく(リワーク性に優れ)、加えて、ブレードによるインクの掻き取り時においても支持体が変形しづらくするための部材(プレートや構成体)が用いられることが好ましい。
かかるプレートは、基材の少なくとも片側に粘着層を有するものであることが好ましい。粘着層は最外層に位置することが好ましい。
基材としては、金属およびプラスチック、木材、ガラス、セラミックスなどいずれも採用できる。金属としては鉄またはアルミニウムが好ましく、プラスチックとしてはポリエステルなどが好ましい。このうち、鉄は、パッド印刷機の版台に磁石が用いられている場合は、版台への固定が容易であり、特に好適に用いられる。
基材の厚みとしては、200μm以上1cm以下であることが好ましい。200μm以上であることで機械的強度があり、版面上にインクを載せ、金属製のドクター刃で掻き取ること、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取ることが良好にできる。すなわち、ブレードによるインクの掻き取り時における、支持体の変形を抑制することができる。また基材は、1cm以下であることで印刷機への取り付けおよびコストの観点から好ましい。
粘着層は自己粘着性を有する層であり、例えば日本国特開2014−122285号公報に記載の粘着層などを用いることが可能であるが、この限りではない。
粘着層の厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましい。1μm以上とすることにより被着体に対し十分な粘着力を確保でき、100μm以下とすることにより、粘着層の形成時の加工が容易となる。
かかるプレートは、プレートの接着層を介して、凹版印刷版の支持体に固定化せしめられる。粘着層の被着体である凹版印刷版の支持体との密着力は、0.015N〜0.1N/25mmの範囲であることが好ましい。0.015N/25mm以上であることで、凹版印刷版の版面上にインクを載せ、金属製のドクター刃で掻き取ること、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取ることが良好にできる。すなわち、ブレードによるインクの掻き取り時における、支持体の変形を抑制することができる。また、貼り直し作業(リワーク性)の観点から、0.1N/25mm以下であることが好ましい。
次に、基材上への粘着層の形成方法であるが、第1の例としては、基材上に粘着層の成分を塗布する方法、第2の例としては、粘着層が形成されたフィルムを用意し、当該フィルムの粘着層が形成された側の面とは反対側の面に接着剤と塗布し、当該接着剤を介して基材と貼り合わせる方法、第3の例は、フィルムの片面に粘着層、もう一方の面に基材と接着できる接着層が形成されたフィルムを用い、当該フィルムを、接着層を介して基材に貼り合わせる方法などが挙げられるが、この限りではない。
また、かかるプレートの大きさは印刷機の版台に取り付けできる大きさであることが好ましい。
かかるプレートを用いることにより、支持体がプラスチックフィルムである凹版印刷版が用いられても、交換しやすく(リワーク性に優れ)、加えて、ブレードによるインクの掻き取り時における、支持体の変形を抑制することができる。
かかるプレートは、パッド印刷による印刷物の製造する際に用いられる。かかるプレートを用いた、パッド印刷による印刷物の製造方法は、以下の工程をその順に含むことが好ましい。
工程1)凹版印刷版の支持体を、プレートの接着層を介して、プレートに固定化せしめ、構成体を得る工程。
工程2)当該構成体をパッド印刷機に装着する工程。
工程1)凹版印刷版の支持体を、プレートの接着層を介して、プレートに固定化せしめ、構成体を得る工程。
工程2)当該構成体をパッド印刷機に装着する工程。
上記の方法を用いることにより、支持体がプラスチックフィルムである凹版印刷版が用いられても、交換しやすく(リワーク性に優れ)、加えて、ブレードによるインクの掻き取り時における、支持体の変形を抑制することができる。その結果、パッド印刷の印刷性を高めることができる。
また、本発明では、凹版印刷版の支持体を、プレートの接着層を介して、プレートに固定化(一体化)せしめた、構成体が用いられても良い。
すなわち、当該構成体とは、凹部を有する樹脂層、支持体、粘着層、および基材をその順に有する構成体である。
かかる構成体は、パッド印刷による印刷物の製造する際に用いることができる。かかる構成体を用いた、パッド印刷による印刷物の製造方法は、当該構成体をパッド印刷機に装着する工程を含むことが好ましい。
かかる構成体や方法を用いることにより、支持体がプラスチックフィルムである凹版印刷版が用いられても、交換しやすく(リワーク性に優れ)、加えて、ブレードによるインクの掻き取り時における、支持体の変形を抑制することができる。その結果、パッド印刷の印刷性を高めることができる。
なお、プレート、構成体、およびそれらを用いた方法に関しては、日本国特許出願の特願2017−120049の明細書に記載の技術を適用することができる。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。実施例で使用した材料を以下に示す。
ポリアミド(A):
脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミド:
ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアンモニウムアジピン酸塩および4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンアジピン酸塩がほぼ同量重縮合された、数平均分子量が85,000であるポリアミド1(東レ(株)製)を用いた。
ポリアミド(A):
脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミド:
ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアンモニウムアジピン酸塩および4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンアジピン酸塩がほぼ同量重縮合された、数平均分子量が85,000であるポリアミド1(東レ(株)製)を用いた。
前記一般式(1)で表される骨格を有するポリアミド:
6−ナイロンのアミド結合の30モル%が前記一般式(1)で表される骨格に変性された、数平均分子量が40,000である“トレジン”(登録商標) MF−30(ナガセケムテックス(株)製)を用いた。
6−ナイロンのアミド結合の30モル%が前記一般式(1)で表される骨格に変性された、数平均分子量が40,000である“トレジン”(登録商標) MF−30(ナガセケムテックス(株)製)を用いた。
炭素数8以上のメチレン鎖を有するポリアミド:
ナイロン6/66/610/12を共重合した“アミラン”(登録商標)CM8000(東レ(株)製)を用いた。
ナイロン6/66/610/12を共重合した“アミラン”(登録商標)CM8000(東レ(株)製)を用いた。
無機微粒子(B):
表1に記載の無機微粒子の粉末を使用した。このうち番号1〜6の無機微粒子は非晶質シリカである。平均粒子径の測定は(株)堀場製作所製LA−500を用い、分散媒に水、屈折率を1.1に設定して測定した。最大粒子径は20.0μmメッシュの篩を通過させることにより、20.0μmに設定した。比表面積は(株)島津製作所製Tristar3000を使用し、JIS Z8830:2013に記載された方法に基づき、BET法にて測定した。真球度は(株)キーエンス製VE8800で撮影した無機微粒子の画像から50個の粒子の最短径および最長径を測定し、最短径/最長径を算出し、50個の相加平均を求めた。
表1に記載の無機微粒子の粉末を使用した。このうち番号1〜6の無機微粒子は非晶質シリカである。平均粒子径の測定は(株)堀場製作所製LA−500を用い、分散媒に水、屈折率を1.1に設定して測定した。最大粒子径は20.0μmメッシュの篩を通過させることにより、20.0μmに設定した。比表面積は(株)島津製作所製Tristar3000を使用し、JIS Z8830:2013に記載された方法に基づき、BET法にて測定した。真球度は(株)キーエンス製VE8800で撮影した無機微粒子の画像から50個の粒子の最短径および最長径を測定し、最短径/最長径を算出し、50個の相加平均を求めた。
無機微粒子(B)の抽出水のpHは、無機微粒子の粉末50gを蒸留水500gに混合し、30分間攪拌した後の上澄み水を(株)堀場製作所製D−71LABで測定した。
(C)エチレン性二重結合含有化合物(表2,3中、「(C)成分」と記載する。)
水酸基を1個有するエチレン性二重結合を有する化合物
・グリセロールジメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルG101P)
・2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルHOP)
水酸基を2個有するエチレン性二重結合を有する化合物
・グリセロールモノメタクリレート(日油(株)製ブレンマーGLM)
水酸基を有しないエチレン性二重結合を有する化合物
・イソブチルメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルIB)
・トリエチレングルコールジメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステル3EG)。
水酸基を1個有するエチレン性二重結合を有する化合物
・グリセロールジメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルG101P)
・2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルHOP)
水酸基を2個有するエチレン性二重結合を有する化合物
・グリセロールモノメタクリレート(日油(株)製ブレンマーGLM)
水酸基を有しないエチレン性二重結合を有する化合物
・イソブチルメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステルIB)
・トリエチレングルコールジメタクリレート(共栄社化学(株)製ライトエステル3EG)。
(D)光重合開始剤(表2,3中、「(D)成分」と記載する。)
・2,2−ジメトキシ−1,1−ジフェニルエタン−1−オン (BASF社製IRGACURE651)。
・2,2−ジメトキシ−1,1−ジフェニルエタン−1−オン (BASF社製IRGACURE651)。
(E)界面活性剤(表2,3中、「(E)成分」と記載する。)
シリコーン基を有する界面活性剤
・ポリフローKL−401(共栄社化学(株)製)
フッ素基を有する界面活性剤
・“メガファック”(登録商標)F−553(DIC(株)製)
シリコーン基およびフッ素基を有しない界面活性剤
・“フタージェント”(登録商標)215M((株)ネオス製)。
シリコーン基を有する界面活性剤
・ポリフローKL−401(共栄社化学(株)製)
フッ素基を有する界面活性剤
・“メガファック”(登録商標)F−553(DIC(株)製)
シリコーン基およびフッ素基を有しない界面活性剤
・“フタージェント”(登録商標)215M((株)ネオス製)。
(F)溶媒(表2,3中、「(F)成分」と記載する。)
・エタノール
・1−プロパノール
・2−ペンタノール
・水。
・エタノール
・1−プロパノール
・2−ペンタノール
・水。
その他の成分
・重合禁止剤:N−(アンモニウムオキシ)−N−ニトロソフェニルアミン(関東化学(株)製クペロン)
・紫外線吸収剤:2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール(BASF社製TINUVIN326)。
・重合禁止剤:N−(アンモニウムオキシ)−N−ニトロソフェニルアミン(関東化学(株)製クペロン)
・紫外線吸収剤:2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール(BASF社製TINUVIN326)。
<接着層(H1)を有する支持体(G1)の作製>
“ビニトール”(登録商標)#284(名古屋油化(株)製)66質量部およびヘキサメチレンテトラミン(関東化学(株)製)2質量部をジメチルホルムアミド16質量部とキシレン16質量部の溶媒に混合した溶液に、ビスフェノールA“jER”(登録商標)834(三菱化学(株)製)90質量部をジメチルホルムアミド30質量部とキシレン30質量部の溶媒に混合した溶液を添加し、接着層(H1)用塗工液1を得た。
“ビニトール”(登録商標)#284(名古屋油化(株)製)66質量部およびヘキサメチレンテトラミン(関東化学(株)製)2質量部をジメチルホルムアミド16質量部とキシレン16質量部の溶媒に混合した溶液に、ビスフェノールA“jER”(登録商標)834(三菱化学(株)製)90質量部をジメチルホルムアミド30質量部とキシレン30質量部の溶媒に混合した溶液を添加し、接着層(H1)用塗工液1を得た。
“アミラン”(登録商標)CM833(東レ(株)製)20質量部、“CJPARL”(オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社製)10質量部をエタノール50質量部、水10質量部、ジメチルホルムアミド10質量部、およびベンジルアルコール50質量部の混合溶媒中70℃で2時間混合し、溶解した。その後、25℃でビスフェノールA“jER”(登録商標)834(三菱化学(株)製)5質量部、ジシアノジアミド(関東化学(株)製)0.3質量部を添加し、接着層(H1)用塗工液2を得た。
支持体(G1)である厚さ250μmの鉄板(新日鐵住金(株)製)上に接着層(H1)用塗工液1を乾燥後膜厚が10μmになるようにバーコーターで塗布し、180℃のオーブンで3分間加熱して溶媒を除去した後、その上に接着層(H1)用塗工液2を乾燥膜厚が10μmとなるようにバーコーターで塗布し、160℃のオーブンで3分間加熱して、接着層(H1)を有する支持体(G1)を得た。
<接着層(H2)を有する支持体(G2)の作製>
“バイロン”(登録商標)31SS(不飽和ポリエステル樹脂のトルエン溶液、東洋紡績(株)製)260質量部およびベンゾインエチルエーテル(和光純薬工業(株)製)2質量部の混合物を70℃で2時間加熱後30℃に冷却し、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート7質量部を加えて2時間混合した。さらに、“コロネート”(商標登録)3015E(多価イソシアネート樹脂の酢酸エチル溶液、東ソー株式会社製)25質量部および“3MTM”(登録商標)EC−1368(工業用接着剤、住友スリーエム(株)製)14質量部を添加し、接着層(H2)用塗工液1を得た。
“バイロン”(登録商標)31SS(不飽和ポリエステル樹脂のトルエン溶液、東洋紡績(株)製)260質量部およびベンゾインエチルエーテル(和光純薬工業(株)製)2質量部の混合物を70℃で2時間加熱後30℃に冷却し、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート7質量部を加えて2時間混合した。さらに、“コロネート”(商標登録)3015E(多価イソシアネート樹脂の酢酸エチル溶液、東ソー株式会社製)25質量部および“3MTM”(登録商標)EC−1368(工業用接着剤、住友スリーエム(株)製)14質量部を添加し、接着層(H2)用塗工液1を得た。
ポリアミド1(東レ(株)製)35質量部をメタノール70質量部、水10質量部の混合溶媒中70℃で2時間混合し、溶解した。その後、ベンゾインエチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)2質量部、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート25質量部を加えて30分混合し、室温に冷却して、接着層(H2)用塗工液2を得た。
支持体(G2)である厚さ250μmの“ルミラー”(登録商標)T60(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)上に接着層(H2)用塗工液1を乾燥後膜厚が10μmになるようにバーコーターで塗布し、180℃のオーブンで3分間加熱して溶媒を除去した後、その上に接着層(H2)用塗工液2を乾燥膜厚が10μmとなるようにバーコーターで塗布し、160℃のオーブンで3分間加熱して、接着層(H2)を有する支持体(G2)を得た。
<カバーフィルム(J)>
厚さ100μmの“ルミラー”(登録商標)S10(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)をカバーフィルム(J)として使用した。
厚さ100μmの“ルミラー”(登録商標)S10(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)をカバーフィルム(J)として使用した。
[評価方法]
各実施例および比較例における評価は、次の方法で行った。
各実施例および比較例における評価は、次の方法で行った。
・感光性樹脂組成物の評価方法
(1)粘度経時変化
粘度測定において粘度計はB型粘度計(ビスコテック(株)製、モデルVISCO STAR+H)を用い、スピンドルはTR10、測定温度は40℃、回転数は60rpmで測定を開始してから粘度値を読みとるまでの時間を3分とした。感光性樹脂組成物を作製1時間後と40℃1日保管後の粘度を測定し、以下の式から粘度増加率を計算した。
(1)粘度経時変化
粘度測定において粘度計はB型粘度計(ビスコテック(株)製、モデルVISCO STAR+H)を用い、スピンドルはTR10、測定温度は40℃、回転数は60rpmで測定を開始してから粘度値を読みとるまでの時間を3分とした。感光性樹脂組成物を作製1時間後と40℃1日保管後の粘度を測定し、以下の式から粘度増加率を計算した。
粘度増加率(%)=(40℃1日保管後粘度/作製1時間後粘度)×100
粘度増加率が30%未満は非常に良好、30%以上50%未満は良好、50%以上100%未満は許容、100%以上を不良と評価した。
粘度増加率が30%未満は非常に良好、30%以上50%未満は良好、50%以上100%未満は許容、100%以上を不良と評価した。
・印刷版の評価方法
(2)耐摩耗性
7cm×14cmの感光性樹脂印刷版原版からカバーフィルム(J)のポリエステルフィルムのみを剥離し(剥離後の感光性樹脂印刷版原版の最表面は乾燥膜厚1μmの剥離補助層)、ポジフィルムを真空密着させ、ケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)でグレースケール感度13±1段となる条件で露光し(主露光)、7cm×14cmの感光性樹脂層の全面を光硬化した。その後、液温25℃のエタノール水溶液(エタノール/水=80/20)でブラシ式現像装置により1分間現像し、60℃で10分間乾燥した後、さらにケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)で主露光と同条件で後露光し、耐摩耗性評価用印刷版を得た。
(2)耐摩耗性
7cm×14cmの感光性樹脂印刷版原版からカバーフィルム(J)のポリエステルフィルムのみを剥離し(剥離後の感光性樹脂印刷版原版の最表面は乾燥膜厚1μmの剥離補助層)、ポジフィルムを真空密着させ、ケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)でグレースケール感度13±1段となる条件で露光し(主露光)、7cm×14cmの感光性樹脂層の全面を光硬化した。その後、液温25℃のエタノール水溶液(エタノール/水=80/20)でブラシ式現像装置により1分間現像し、60℃で10分間乾燥した後、さらにケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)で主露光と同条件で後露光し、耐摩耗性評価用印刷版を得た。
こうして得られた印刷版を、hermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着し、インクにPAD−PLV−1インキ白(ナビタス社製)を用いて、5万回スキージし、印刷版の摩耗された深さを測定した。摩耗された深さが10μm以上である場合は、印刷中にインクを充填する凹部が浅くなるため印刷不具合が発生する。摩耗された深さが10μm未満であれば好ましく、8μm以内であればより好ましく、6μm以内であればさらに好ましい。
(3)ブレードによるインクの掻き取り性
7cm×14cmの感光性樹脂印刷版原版からカバーフィルム(J)を剥離し、ポジフィルムを真空密着させ、ケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)でグレースケール感度13±1段となる条件で露光し(主露光)、7cm×14cmの感光性樹脂層の全面を光硬化した。その後、液温25℃のエタノール水溶液(エタノール/水=80/20)でブラシ式現像装置により1分間現像し、60℃で10分間乾燥した後、さらにケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)で主露光と同条件で後露光し、インクの掻き取り性評価用印刷版を得た。
7cm×14cmの感光性樹脂印刷版原版からカバーフィルム(J)を剥離し、ポジフィルムを真空密着させ、ケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)でグレースケール感度13±1段となる条件で露光し(主露光)、7cm×14cmの感光性樹脂層の全面を光硬化した。その後、液温25℃のエタノール水溶液(エタノール/水=80/20)でブラシ式現像装置により1分間現像し、60℃で10分間乾燥した後、さらにケミカル灯FL20SBL−360 20ワット(三菱電機オスラム(株)製)で主露光と同条件で後露光し、インクの掻き取り性評価用印刷版を得た。
こうして得られた印刷版を、hermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着し、インクにPAD−PLV−1インキ白(ナビタス(株)製)を用いて、1回スキージし、印刷版の表面に残っているインクの厚みを10点測定し、その平均値を求めた。インク残りがスキージ部全面で0.5μm以上である場合は、印刷画像部以外にインクが転写するため印刷不具合が発生するのでC(不良)、インク残りが部分的に0.5μm以上発生する場合はB(許容)、0.5μm以上の場所がない場合はA(良好)とした。
<感光性樹脂組成物1の調製>
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、表2の実施例1の欄に示すポリアミド(A)、溶媒として(F)成分を混合した後、撹拌しながら80℃で2時間加熱し、ポリアミド(A)を溶解させた。40℃に冷却した後、表2の実施例1の欄のその他の成分を添加し、混合、さらに連続型メディア分散機(NANO GRAIN MILL、浅田鉄工(株)製)を用いて分散し、感光性樹脂組成物1を得た。得られた感光性樹脂組成物1を用いて、前記感光性樹脂組成物の評価方法により粘度経時変化を評価した結果を表2に示す。
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、表2の実施例1の欄に示すポリアミド(A)、溶媒として(F)成分を混合した後、撹拌しながら80℃で2時間加熱し、ポリアミド(A)を溶解させた。40℃に冷却した後、表2の実施例1の欄のその他の成分を添加し、混合、さらに連続型メディア分散機(NANO GRAIN MILL、浅田鉄工(株)製)を用いて分散し、感光性樹脂組成物1を得た。得られた感光性樹脂組成物1を用いて、前記感光性樹脂組成物の評価方法により粘度経時変化を評価した結果を表2に示す。
<感光性樹脂印刷版原版1の製造>
得られた感光性樹脂組成物1を、前記接着層(H1)を有する支持体(G1)にバーコーターで塗布し、60℃で2.5時間乾燥した。このとき乾燥後の版厚(鉄板+感光性樹脂層)が0.5mmとなるよう調節した。このようにして得られた感光性樹脂層(I)上に、水/エタノール=10/90(重量比)の混合溶剤を塗布し、表面にカバーフィルム(J)を圧着し、感光性樹脂印刷版原版1を得た。得られた感光性樹脂印刷版原版1を用いて、前記方法により印刷版の特性を評価した結果を表2に示す。
得られた感光性樹脂組成物1を、前記接着層(H1)を有する支持体(G1)にバーコーターで塗布し、60℃で2.5時間乾燥した。このとき乾燥後の版厚(鉄板+感光性樹脂層)が0.5mmとなるよう調節した。このようにして得られた感光性樹脂層(I)上に、水/エタノール=10/90(重量比)の混合溶剤を塗布し、表面にカバーフィルム(J)を圧着し、感光性樹脂印刷版原版1を得た。得られた感光性樹脂印刷版原版1を用いて、前記方法により印刷版の特性を評価した結果を表2に示す。
実施例2〜21
感光性樹脂組成物の組成を表2、3の実施例2〜21のとおり変更した以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物および感光性印刷原版を作製した。評価結果を表2および3に示す。
感光性樹脂組成物の組成を表2、3の実施例2〜21のとおり変更した以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物および感光性印刷原版を作製した。評価結果を表2および3に示す。
実施例22
<感光性樹脂印刷版原版22の製造>
実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物22を調製した。得られた感光性樹脂組成物22を、前記接着層(H2)を有する支持体(G2)に流延し、60℃で2.5時間乾燥した。このとき乾燥後の版厚(鉄板+感光性樹脂層)が0.3mmとなるよう調節した。このようにして得られた感光性樹脂層(I)上に、水/エタノール=10/90(重量比)の混合溶剤を塗布し、表面にカバーフィルム(J)を圧着し、感光性樹脂印刷版原版22を得た。得られた感光性樹脂印刷版原版22を用いて、前記方法により印刷版の特性を評価した結果を表3に示す。なお、感光性樹脂印刷版原版22は以下の方法で作製した金属プレートに下記の方法で密着させ、パッド印刷機に装着し、評価した。
<感光性樹脂印刷版原版22の製造>
実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物22を調製した。得られた感光性樹脂組成物22を、前記接着層(H2)を有する支持体(G2)に流延し、60℃で2.5時間乾燥した。このとき乾燥後の版厚(鉄板+感光性樹脂層)が0.3mmとなるよう調節した。このようにして得られた感光性樹脂層(I)上に、水/エタノール=10/90(重量比)の混合溶剤を塗布し、表面にカバーフィルム(J)を圧着し、感光性樹脂印刷版原版22を得た。得られた感光性樹脂印刷版原版22を用いて、前記方法により印刷版の特性を評価した結果を表3に示す。なお、感光性樹脂印刷版原版22は以下の方法で作製した金属プレートに下記の方法で密着させ、パッド印刷機に装着し、評価した。
<金属プレートの作製方法>
・基材:厚み300μmのキャンスーパー(新日鐵住金(株)製の鋼板)
・粘着層を有するフィルム:GPH25F01J02/LS25A(パナック(株)製):フィルム上の片面に粘着層、もう一方の面に接着層が形成されたフィルム
GPH25F01J02/LS25Aの接着層を介して、基材とGPH25F01J02/LS25Aを接着せしめ、基材上に粘着層を有する金属プレートを作製した。
・基材:厚み300μmのキャンスーパー(新日鐵住金(株)製の鋼板)
・粘着層を有するフィルム:GPH25F01J02/LS25A(パナック(株)製):フィルム上の片面に粘着層、もう一方の面に接着層が形成されたフィルム
GPH25F01J02/LS25Aの接着層を介して、基材とGPH25F01J02/LS25Aを接着せしめ、基材上に粘着層を有する金属プレートを作製した。
<パッド印刷版機への装着方法>
金属プレートを70×140mmに断裁した。断裁された金属プレートの粘着層上に、感光性樹脂印刷版原版22のポリエステルフィルムの支持体側を3kgローラーで圧着し、構成体1を作製した。
金属プレートを70×140mmに断裁した。断裁された金属プレートの粘着層上に、感光性樹脂印刷版原版22のポリエステルフィルムの支持体側を3kgローラーで圧着し、構成体1を作製した。
こうして得られた金属プレートと感光性樹脂印刷版原版22からなる構成体1を、パッド印刷機のhermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)の版台に装着し、印刷機に取り付けた。その後、版台から構成体1を取り外して、構成体1と同じ方法で構成体2を作製し、当該構成体2を版台に装着するまでの時間を計測したところ1分であった。また、ブレードによってインクを掻き取っても、支持体の変形は認められなかった。
実施例23
実施例22と同じ方法で感光性樹脂印刷版原版23を製造した。得られた感光性樹脂印刷版原版23のポリエステルフィルムの支持体側(表面)に、両面テープPGD−75(3M製)を貼り付け、版台に凹版印刷版を固定し、パッド印刷機のhermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着した。その後、版台から凹版印刷版を剥がして、別の凹版印刷版(別に準備しておいた感光性樹脂印刷版原版23)を、両面テープを用いて、版台に装着するまでの時間を計測したところ10分であり時間を要した。
実施例22と同じ方法で感光性樹脂印刷版原版23を製造した。得られた感光性樹脂印刷版原版23のポリエステルフィルムの支持体側(表面)に、両面テープPGD−75(3M製)を貼り付け、版台に凹版印刷版を固定し、パッド印刷機のhermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着した。その後、版台から凹版印刷版を剥がして、別の凹版印刷版(別に準備しておいた感光性樹脂印刷版原版23)を、両面テープを用いて、版台に装着するまでの時間を計測したところ10分であり時間を要した。
比較例1〜4
感光性樹脂組成物の組成を表3の比較例1〜4のとおり変更した以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物および感光性樹脂印刷版原版を作製した。評価結果を表3に示す。
感光性樹脂組成物の組成を表3の比較例1〜4のとおり変更した以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物および感光性樹脂印刷版原版を作製した。評価結果を表3に示す。
Claims (10)
- 前記(E)界面活性剤が、フッ素基および/またはシリコーン基を有する化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- (F)溶媒を含有する請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(F)の溶媒が炭素数1〜4のアルコールを少なくとも1種以上有するアルコールおよび水を含む溶媒である請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(A)の脂肪族環を分子主鎖に有するポリアミドが4,4’−ジアミノシクロメタンアジペート骨格残基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(B)の無機微粒子の抽出水のpHが5.5〜8.5である請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(C)エチレン性二重結合を有する化合物が分子内に1つ以上の水酸基を有する請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(C)エチレン性二重結合を有する化合物が分子内に2つ以上の水酸基を有する請求項1〜7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 少なくとも支持体上に、接着層、請求項1〜8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物より形成された層および保護層が順次積層された感光性樹脂積層体。
- 請求項9に記載の感光性樹脂積層体を含む凹版印刷またはパッド印刷用感光性樹脂印刷版原版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018055841A JP2019168580A (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体および感光性樹脂印刷版原版 |
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