JP2019168307A - 放射温度計の校正方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射温度計の設置状態にかかわらず、放射温度計を正確に校正することができる放射温度計の校正方法を提供する。【解決手段】ハロゲンランプによって予備加熱したシリコンの半導体ウェハーにフラッシュランプからフラッシュ光を照射する。フラッシュ光照射によって急激に加熱される半導体ウェハーの上面の温度を測定して温度プロファイルを取得し、その温度プロファイルの微分係数の時間変化を求める。温度プロファイルの微分係数が最高値から減少して一旦負の数となった後に増加に転じて再び正の数となった場合には、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーの上面が融解したと判定する。半導体ウェハーの上面が融解したと判定された場合には、そのときの放射温度計の出力をシリコンの融点とするように放射温度計を校正する。【選択図】図8

Description

本発明は、シリコン等の半導体基板の温度を測定する放射温度計の校正方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するフラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。
このようなフラッシュランプアニールは、極短時間の加熱が必要とされる処理、例えば典型的には半導体ウェハーに注入された不純物の活性化に利用される。イオン注入法によって不純物が注入された半導体ウェハーの表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射すれば、当該半導体ウェハーの表面を極短時間だけ活性化温度にまで昇温することができ、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
フラッシュ加熱に限らず熱処理では半導体ウェハーの温度を適切に管理することが重要であり、そのためには熱処理中の半導体ウェハーの温度を正確に測定する必要がある。典型的には、半導体ウェハーの熱処理では非接触の放射温度計によって温度測定が行われる。特許文献1には、処理対象となる半導体ウェハーの斜め上方に放射温度計を設けてフラッシュ加熱時における半導体ウェハーの表面温度を測定する技術が開示されている。温度測定の精度の観点からは、半導体ウェハーに対して垂直な方向に放射温度計を設けるのが最適なのであるが、特許文献1に開示の技術においては半導体ウェハーの斜め上方に傾斜して放射温度計を設けている。このようにしている理由は、半導体ウェハーの直上にはフラッシュランプが存在するため、半導体ウェハーに対して垂直な方向に放射温度計を設けることが困難なためである。
特開2017−9450号公報
しかしながら、半導体ウェハーに対して斜め方向に放射温度計を設置した場合、ウェハー上における放射温度計の視野が楕円状に広がるとともに、半導体ウェハーの見かけの放射率も変動することとなる。その結果、温度測定の誤差が生じやすくなる。このため、放射温度計の傾斜角度に応じて半導体ウェハーの放射率を補正して放射温度計に設定しているのであるが、温度測定の精度をより向上させるために、放射温度計を実際に使用する状態(実際にチャンバーに取り付けた状態)で校正することが強く望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放射温度計の設置状態にかかわらず、放射温度計を正確に校正することができる放射温度計の校正方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、半導体基板の温度を測定する放射温度計の校正方法において、半導体基板を加熱して昇温する加熱工程と、前記半導体基板が昇温して融点に到達したときに、前記半導体基板の温度を測定する放射温度計の出力を当該融点とするように前記放射温度計を校正する校正工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る放射温度計の校正方法において、前記加熱工程にて前記半導体基板を昇温しているときに前記放射温度計が前記半導体基板の温度を測定することによって取得された温度プロファイルの微分係数が一旦減少して負の数となった後に増加に転じて正の数となった場合に、前記半導体基板が融点に到達したと判定することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る放射温度計の校正方法において、前記加熱工程にて前記半導体基板を昇温したときに前記半導体基板の反射率が低下した場合に、前記半導体基板が融点に到達したと判定することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る放射温度計の校正方法において、前記半導体基板はシリコン基板であることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る放射温度計の校正方法において、前記加熱工程では、連続点灯ランプおよびフラッシュランプからの光照射によって前記半導体基板を加熱することを特徴とする。
請求項1から請求項5の発明によれば、半導体基板が昇温して融点に到達したときに、当該半導体基板の温度を測定する放射温度計の出力を当該融点とするため、絶対的に信頼できる物性値である融点を基準温度として校正することとなり、放射温度計の設置状態にかかわらず、放射温度計を正確に校正することができる。
本発明に係る放射温度計の校正方法によって校正対象となる放射温度計を搭載した熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 サセプタの平面図である。 サセプタの断面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 第1実施形態における上部放射温度計の校正方法の手順を示すフローチャートである。 半導体ウェハーの上面温度の温度プロファイルの一例を示す図である。 図9の温度プロファイルの微分係数の時間変化を示す図である。 半導体ウェハーの上面温度の温度プロファイルの他の例を示す図である。 図11の温度プロファイルの微分係数の時間変化を示す図である。 第2実施形態における上部放射温度計の校正方法の手順を示すフローチャートである。 半導体ウェハーの上面の反射率の変化を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る放射温度計の校正方法によって校正対象となる放射温度計を搭載した熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。図1の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである(本実施形態ではφ300mm)。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
さらに、チャンバー側部61には、貫通孔61aおよび貫通孔61bが穿設されている。貫通孔61aは、後述するサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光を上部放射温度計25に導くための円筒状の孔である。一方、貫通孔61bは、半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を下部放射温度計20に導くための円筒状の孔である。貫通孔61aおよび貫通孔61bは、それらの貫通方向の軸がサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの主面と交わるように、水平方向に対して傾斜して設けられている。貫通孔61aの熱処理空間65に臨む側の端部には、上部放射温度計25が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化カルシウム材料からなる透明窓26が装着されている。上部放射温度計25は、半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光を透明窓26を介して受光し、その赤外光の強度から半導体ウェハーWの上面の温度を測定する。また、貫通孔61bの熱処理空間65に臨む側の端部には、下部放射温度計20が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化バリウム材料からなる透明窓21が装着されている。下部放射温度計20は、半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を透明窓21を介して受光し、その赤外光の強度から半導体ウェハーWの下面の温度を測定する。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、例えば窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガス、或いはそれらを混合した混合ガスを用いることができる(本実施形態では窒素ガス)。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。バルブ84を閉止して熱処理空間65に処理ガスを供給することなくバルブ89を開放して熱処理空間65からの排気のみを行うと、チャンバー6内の熱処理空間65が大気圧未満にまで減圧されることとなる。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、処理ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
サセプタ74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図3は、サセプタ74の平面図である。また、図4は、サセプタ74の断面図である。サセプタ74は、保持プレート75、ガイドリング76および複数の基板支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
保持プレート75の上面周縁部にガイドリング76が設置されている。ガイドリング76は、半導体ウェハーWの直径よりも大きな内径を有する円環形状の部材である。例えば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmの場合、ガイドリング76の内径はφ320mmである。ガイドリング76の内周は、保持プレート75から上方に向けて広くなるようなテーパ面とされている。ガイドリング76は、保持プレート75と同様の石英にて形成される。ガイドリング76は、保持プレート75の上面に溶着するようにしても良いし、別途加工したピンなどによって保持プレート75に固定するようにしても良い。或いは、保持プレート75とガイドリング76とを一体の部材として加工するようにしても良い。
保持プレート75の上面のうちガイドリング76よりも内側の領域が半導体ウェハーWを保持する平面状の保持面75aとされる。保持プレート75の保持面75aには、複数の基板支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、保持面75aの外周円(ガイドリング76の内周円)と同心円の周上に沿って30°毎に計12個の基板支持ピン77が立設されている。12個の基板支持ピン77を配置した円の径(対向する基板支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、半導体ウェハーWの径がφ300mmであればφ270mm〜φ280mm(本実施形態ではφ270mm)である。それぞれの基板支持ピン77は石英にて形成されている。複数の基板支持ピン77は、保持プレート75の上面に溶接によって設けるようにしても良いし、保持プレート75と一体に加工するようにしても良い。
図2に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢にて載置されて支持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の基板支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーWを支持する。12個の基板支持ピン77の高さ(基板支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の基板支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。
また、半導体ウェハーWは複数の基板支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。基板支持ピン77の高さよりもガイドリング76の厚さの方が大きい。従って、複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドリング76によって防止される。
また、図2および図3に示すように、サセプタ74の保持プレート75には、上下に貫通して開口部78が形成されている。開口部78は、下部放射温度計20が半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、下部放射温度計20が開口部78およびチャンバー側部61の貫通孔61bに装着された透明窓21を介して半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光して当該半導体ウェハーWの温度を測定する。さらに、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。移載アーム11およびリフトピン12は石英にて形成されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する光照射部である。
図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
また、図1に示すように熱処理装置1は、上部放射温度計25および下部放射温度計20を備える。上部放射温度計25は、応答時間の極めて短いInSb(インジウムアンチモン)の光学素子を備えており、フラッシュランプFLからフラッシュ光が照射された瞬間の半導体ウェハーWの上面の急激な温度変化を測定するための高速放射温度計である。上部放射温度計25は、その光軸が貫通孔61aの貫通方向の軸と一致するように、チャンバー側部61の外壁面に斜めに傾斜して装着されている。すなわち、上部放射温度計25は、保持部7に保持された半導体ウェハーWの斜め上方に設けられることとなる。上部放射温度計25は、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光をフッ化カルシウムの透明窓26を介して受光する。InSbの光学素子を備えた上部放射温度計25の測定波長域は5μm〜6.5μmである。フッ化カルシウムの透明窓26は上部放射温度計25の測定波長域の赤外光を選択的に透過する。
一方、下部放射温度計20は、後述する予備加熱時に半導体ウェハーWの温度を制御するための温度計である。下部放射温度計20は応答時間の極めて短い高速放射温度計でなくても良い。下部放射温度計20は、その光軸が貫通孔61bの貫通方向の軸と一致するように、チャンバー側部61の外壁面に斜めに傾斜して装着されている。すなわち、下部放射温度計20は、保持部7に保持された半導体ウェハーWの斜め下方に設けられることとなる。下部放射温度計20は、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光をフッ化バリウムの透明窓21を介して受光する。
さらに、熱処理装置1は、チャンバー6に反射率測定部95を備える。反射率測定部95は、反射率測定のためにフラッシュランプFLが弱い強度にて発光したときに、フラッシュランプFLから放射されて保持部7に保持された半導体ウェハーWの上面で反射された反射光を受光し、その受光した光の強度から半導体ウェハーWの上面の反射率を測定する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、熱処理装置1における処理動作について説明する。まず、処理対象となる半導体ウェハーWに対する典型的な熱処理手順について説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する半導体ウェハーWの処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。このときには、半導体ウェハーWの搬入にともなって装置外部の雰囲気を巻き込むおそれがあるが、チャンバー6には窒素ガスが供給され続けているため、搬送開口部66から窒素ガスが流出して、そのような外部雰囲気の巻き込みを最小限に抑制することができる。
搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプタ74の保持プレート75の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は基板支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面として保持部7に保持される。複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが石英にて形成された保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプタ74を透過して半導体ウェハーWの下面に照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が下部放射温度計20によって測定されている。すなわち、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から開口部78を介して放射された赤外光を透明窓21を通して下部放射温度計20が受光して昇温中のウェハー温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、下部放射温度計20による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、下部放射温度計20によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLがサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。フラッシュ加熱時における半導体ウェハーWの表面温度を上部放射温度計25によって測定するようにしても良い。上部放射温度計25は、応答時間の極めて短い高速放射温度計であるため、フラッシュ光照射時に急激に変化する半導体ウェハーWの表面温度に追随することができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は下部放射温度計20によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、下部放射温度計20の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプタ74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
次に、熱処理装置1において上部放射温度計25を校正する方法について説明する。上部放射温度計25は、保持部7に保持された半導体ウェハーWの斜め上方に設けられている。温度測定の精度を高める観点からは、半導体ウェハーWの直上に上部放射温度計25を設けるのが最適なのではあるが、半導体ウェハーWの直上には複数のフラッシュランプFLが配列されているため、半導体ウェハーWの斜め上方に上部放射温度計25を設置しているのである。ところが、既述したように、上部放射温度計25を半導体ウェハーWの斜め上方に設けると、温度測定の誤差が生じやすくなる。そこで、第1実施形態では、以下のようにして半導体ウェハーWの斜め上方に設置された上部放射温度計25を校正している。
図8は、第1実施形態における上部放射温度計25の校正方法の手順を示すフローチャートである。上部放射温度計25の校正にはシリコン(Si)の半導体ウェハーWを用いる。校正に用いる半導体ウェハーWとしては、パターン形成や成膜のなされていない、単結晶のシリコンインゴットから切り出したままのシリコン基板(いわゆるベアウェハー)が好ましい。そのような超高純度シリコンの半導体ウェハーWを熱処理装置1のチャンバー6内に搬入する。このときの搬入動作は、上述した処理対象となる半導体ウェハーWの搬入と同じである。
シリコンの半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入された後、ハロゲンランプHLによる予備加熱を行う(ステップS11)。この予備加熱も、上述した処理対象となる半導体ウェハーWに対する予備加熱とほぼ同じであり、40本のハロゲンランプHLから出射された光がサセプタ74に保持されたシリコンの半導体ウェハーWの下面に照射され、当該半導体ウェハーWが昇温する。但し、上部放射温度計25の校正時には、ハロゲンランプHLの予備加熱によって半導体ウェハーWを約900℃の比較的高温に昇温して暫時維持する。
次に、フラッシュランプFLからフラッシュ光を照射し、900℃に予備加熱された半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱を行う(ステップS12)。フラッシュ加熱を行うときには、半導体ウェハーWの上面温度を上部放射温度計25によって測定する。応答時間の極めて短い上部放射温度計25は、顕著に短いサンプリング間隔(例えば、約40マイクロセカンド)で半導体ウェハーWの上面温度を測定する。このため、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWの上面温度が急激に変化しても、その変化を上部放射温度計25は的確に捉えることができる。
上部放射温度計25が一定のサンプリング間隔で測定した半導体ウェハーWの上面温度を例えば制御部3の記憶部に順次に蓄積することによって、半導体ウェハーWの上面温度の時間変化を示す温度プロファイルが取得される(ステップS13)。図9は、半導体ウェハーWの上面温度の温度プロファイルの一例を示す図である。図9に示す例では、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWの上面が到達する最高温度がシリコンの融点(1414℃)Tmには到達していない。従って、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWが融解することはない。フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWが融解しない場合、上面温度の温度プロファイルは図9に示すように、予備加熱温度から単純に増加して最高温度に到達した後、単純に減少するという比較的単調なものとなる。
次に、取得された温度プロファイルの微分係数を制御部3が算定する(ステップS14)。図10は、図9の温度プロファイルの微分係数の時間変化を示す図である。予備加熱段階で半導体ウェハーWが一定の予備加熱温度に維持されている間は微分係数は0である。その後、フラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの上面温度が急激に上昇して微分係数も0から上昇し、上面温度が温度プロファイルの温度上昇時における変曲点に到達した時点で微分係数が最高値に到達する。その後、温度プロファイルの微分係数は減少に転じ、半導体ウェハーWの上面温度が最高温度に到達した時点で微分係数は0に戻る。続いて、半導体ウェハーWの上面温度が最高温度から降温するときには微分係数が0からさらに減少して負の数となる。フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWが融解せず、温度プロファイルが図9に示すような比較的単調な場合は、一旦負の数となった微分係数が再び正の数まで増加することはない。
制御部3は、温度プロファイルの微分係数から半導体ウェハーWの融解判定を行う(ステップS15)。具体的には、制御部3は、温度プロファイルの微分係数が最高値から減少して一旦負の数となった後に再び正の数にまで増加するか否かによって半導体ウェハーWの融解の有無を判定している。図10に示すように、温度プロファイルの微分係数が最高値から減少して一旦負の数となった後に再び正の数にまで増加しない場合には、制御部3はフラッシュ加熱時に半導体ウェハーWが融解していないと判定する。
半導体ウェハーWが融解していないと判定された場合には、ステップS16からステップS17に進み、フラッシュランプFLに電力供給するためのコンデンサーの充電電圧を上昇させる。そして、当該コンデンサーへの充電が完了した後、再びステップS12に戻って半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱を行う。このときには、前回のフラッシュ光照射時よりも高い放電電圧にてフラッシュランプFLが発光する。ステップS17における充電電圧の上昇分は適宜の値とすることができる(例えば、100V)。なお、コンデンサーを再充電して再びフラッシュ光照射を行えるようになるまでに約1分を要する。また、フラッシュ加熱の前後もハロゲンランプHLからの光照射は継続されており、コンデンサーを再充電している間に、半導体ウェハーWの上面温度は予備加熱温度にまで降温して戻っている。
ステップS12からステップS17までのループを繰り返し、コンデンサーの充電電圧(つまり、フラッシュランプFLの放電電圧)を段階的に上昇させていくと、やがてフラッシュ光照射時に半導体ウェハーWの上面が到達する最高温度がシリコンの融点Tmに到達する。図11は、半導体ウェハーWの上面温度の温度プロファイルの他の例を示す図である。図11に示す例では、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWの上面が到達する最高温度がシリコンの融点Tmに到達している。半導体ウェハーWの上面温度がシリコンの融点Tmに到達すると、その半導体ウェハーWの上面が融解する。なお、極めて照射時間の短いフラッシュ光照射の場合、シリコンの融点Tmに到達するのは半導体ウェハーWの上面近傍に限られており、半導体ウェハーWの全体が融解するようなことはない。
フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面が融解すると、上面温度の温度プロファイルは図11に示すように波形が崩れて単調なものではなくなる。図12は、図11の温度プロファイルの微分係数の時間変化を示す図である。図10と同じく、予備加熱段階で半導体ウェハーWが一定の予備加熱温度に維持されている間は微分係数は0である。その後、フラッシュ光照射によって半導体ウェハーWの上面温度が急激に上昇して微分係数も0から上昇し、上面温度が温度プロファイルの温度上昇時における変曲点に到達した時点で微分係数が最高値に到達する。その後、温度プロファイルの微分係数は減少に転じ、半導体ウェハーWの上面温度が最初のピーク温度に到達した時点で微分係数は0に戻る。続いて、半導体ウェハーWの上面温度が最初のピーク温度から降温するときには微分係数が0からさらに減少して負の数となる。そして、図11に示すような温度プロファイルの場合、一旦負の数となった微分係数が増加に転じ、半導体ウェハーWの上面温度が再上昇したときには微分係数が正の数をとるようになる。その後、温度プロファイルの微分係数は再び減少に転じ、半導体ウェハーWの上面温度が二回目のピーク温度に到達した時点で微分係数は0に戻る。続いて、半導体ウェハーWの上面温度が二回目のピーク温度から降温するときには微分係数が0からさらに減少して負の数となる。
図12に示すように、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面が融解した場合には、温度プロファイルの微分係数が最高値から減少して一旦負の数となった後に増加に転じて再び正の数をとることとなる。制御部3は、温度プロファイルの微分係数がこのような挙動を示した場合には、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面が融解したと判定する。
半導体ウェハーWの上面が融解したと判定された場合には、ステップS16からステップS18に進み、シリコンの融点Tmでもって上部放射温度計25の校正を行う。具体的には、半導体ウェハーWの上面が融解したと判定されたときの上部放射温度計25の出力をシリコンの融点Tmとするように上部放射温度計25を校正する。半導体ウェハーWを構成するシリコンの純度は極めて高く、半導体ウェハーWの融点は純シリコンの融点(1414℃)Tmとみなせる。絶対的に信頼できる物性値であるシリコンの融点Tmを基準温度として上部放射温度計25の校正を行うことにより、半導体ウェハーWの斜め上方に設置された上部放射温度計25を正確に校正することができる。
第1実施形態においては、半導体ウェハーWの上面が昇温してシリコンの融点Tmに到達したときの上部放射温度計25の出力をシリコンの融点Tmとするように上部放射温度計25を校正している。絶対的に信頼できるシリコンの融点Tmを基準温度として上部放射温度計25の校正を行っているため、上部放射温度計25の設置状態にかかわらず、上部放射温度計25を正確に校正することができる。その結果、上部放射温度計25によってより正確な温度測定を行うことができる。
また、第1実施形態においては、半導体ウェハーWの上面の温度プロファイルの微分係数が最高値から減少して一旦負の数となった後に増加に転じて再び正の数となった場合に、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面が融解したと判定している。これにより、半導体ウェハーWの上面がシリコンの融点Tmに到達したことを正確に検知することができる。なお、第1実施形態では、校正の対象となる上部放射温度計25でもって融解判定のための温度測定を行っていることになるが、半導体ウェハーWの正確な温度が測定できてなくても、微分係数の増減を認識するための半導体ウェハーWの昇降温が測定できれば足りるため、校正前の上部放射温度計25であっても十分である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の熱処理装置1の構成は第1実施形態と全く同じである。また、第2実施形態の熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と概ね同様である。第2実施形態が第1実施形態と相違するのは、半導体ウェハーWの融解判定方法である。
図13は、第2実施形態における上部放射温度計25の校正方法の手順を示すフローチャートである。第1実施形態と同様に、上部放射温度計25の校正にはシリコンの半導体ウェハー(ベアウェハー)Wを用いる。そのようなシリコンの半導体ウェハーWを熱処理装置1のチャンバー6内に搬入する。
第1実施形態と同じく、シリコンの半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入された後、ハロゲンランプHLによる予備加熱を行う(ステップS21)。次に、フラッシュランプFLからフラッシュ光を照射し、900℃に予備加熱された半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱を行う(ステップS22)。そして、第2実施形態においては、フラッシュ加熱後に半導体ウェハーWの上面の反射率を反射率測定部95によって測定する(ステップS23)。
図14は、半導体ウェハーWの上面の反射率の変化を示す図である。フラッシュ光照射前のシリコンの半導体ウェハーWの上面はほぼ鏡面であり、その反射率は比較的高い。図14には、フラッシュ光照射前の半導体ウェハーWの上面の反射率に対する相対反射率を示している。フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面が到達する最高温度がシリコンの融点Tmに到達せず、当該上面が融解しなかった場合には、半導体ウェハーWの上面の状態もほとんど変化しない。このため、半導体ウェハーWの上面の反射率も低下せず、その相対反射率は100%を維持する。一方、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面がシリコンの融点Tmに到達して融解した場合には、フラッシュ加熱後に融解部分が凝固して半導体ウェハーWの上面が白濁する。その結果、半導体ウェハーWの上面の反射率が大きく低下することとなる。
第2実施形態においては、制御部3は、半導体ウェハーWの上面の反射率に基づいて半導体ウェハーWの融解判定を行う(ステップS24)。具体的には、制御部3は、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの上面の反射率が所定の閾値以下となっているか否かによって半導体ウェハーWの融解の有無を判定している。フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの上面の反射率が低下することなく所定の閾値より大きい場合には、制御部3はフラッシュ加熱時に半導体ウェハーWが融解していないと判定する。この場合、ステップS25からステップS26に進み、フラッシュランプFLに電力供給するためのコンデンサーの充電電圧を上昇させる。そして、当該コンデンサーへの充電が完了した後、再びステップS22に戻って半導体ウェハーWに対するフラッシュ加熱を行う。
ステップS22からステップS26までのループを繰り返し、コンデンサーの充電電圧を段階的に上昇させていくと、やがてフラッシュ光照射時に半導体ウェハーWの上面が到達する最高温度がシリコンの融点Tmに到達して当該上面が融解する。その結果、半導体ウェハーWの上面が白濁して反射率が低下する。制御部3は、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの上面の反射率が低下して所定の閾値以下となっている場合には、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面が融解したと判定する。
半導体ウェハーWの上面が融解したと判定された場合には、ステップS25からステップS27に進み、シリコンの融点Tmでもって上部放射温度計25の校正を行う。具体的には、半導体ウェハーWの上面が融解したと判定されたときの上部放射温度計25の出力をシリコンの融点Tmとするように上部放射温度計25を校正する。
第2実施形態においても、半導体ウェハーWの上面が昇温してシリコンの融点Tmに到達したときの上部放射温度計25の出力をシリコンの融点Tmとするように上部放射温度計25を校正している。絶対的に信頼できるシリコンの融点Tmを基準温度として上部放射温度計25の校正を行っているため、上部放射温度計25の設置状態にかかわらず、上部放射温度計25を正確に校正することができる。
また、第2実施形態においては、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの上面の反射率が所定の閾値以下となっている場合に、フラッシュ加熱時に半導体ウェハーWの上面が融解したと判定している。これにより、半導体ウェハーWの上面がシリコンの融点Tmに到達したことを正確に検知することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、シリコンの半導体ウェハーWを用いて上部放射温度計25の校正を行っていたが、これに限定されるものではなく、他の素材の半導体ウェハーWを用いて上部放射温度計25の校正を行うようにしても良い。例えば、ゲルマニウム(Ge)の半導体ウェハーWを用いて上部放射温度計25の校正を行うようにしても良い。上部放射温度計25の校正方法は第1実施形態または第2実施形態と同様である。ゲルマニウムの半導体ウェハーWを用いた場合、ゲルマニウムの融点(938℃)でもって上部放射温度計25の校正を行うこととなる。すなわち、ゲルマニウムの半導体ウェハーWの上面が融解したと判定されたときの上部放射温度計25の出力をゲルマニウムの融点とするように上部放射温度計25を校正する。このようにしても、絶対的に信頼できるゲルマニウムの融点を基準温度として上部放射温度計25の校正を行っているため、上部放射温度計25の設置状態にかかわらず、上部放射温度計25を正確に校正することができる。ゲルマニウムの半導体ウェハーWは、シリコンの基材上にゲルマニウムの層を堆積させたものであっても良い。
また、例えば、シリコンにゲルマニウムを添加したシリコンゲルマニウム(SiGe)の半導体ウェハーWを用いて上部放射温度計25の校正を行うようにしても良い。この場合、ゲルマニウムの混合比率に応じたシリコンゲルマニウムの融点を基準温度として上部放射温度計25の校正を行うこととなる。異なる複数の融点を基準温度として上部放射温度計25の校正を行うようにすれば、校正の信頼性をより高めることが可能となる。
要するに、融点が明確に判明している半導体ウェハーWを用いて上部放射温度計25の校正を行うようにすれば、上記実施形態と同様に、上部放射温度計25の設置状態にかかわらず、上部放射温度計25を正確に校正することができるのである。
また、上記実施形態においては、上部放射温度計25の校正を行っていたが、これに代えて下部放射温度計20の校正を行うようにしても良い。下部放射温度計20も半導体ウェハーWの直下ではなく斜め下方に設けられているため、温度測定の誤差が生じやすい。このため、第1実施形態または第2実施形態と同様にして下部放射温度計20を校正することにより、下部放射温度計20の設置状態にかかわらず、下部放射温度計20を正確に校正することができる。
また、上記実施形態においては、半導体ウェハーWの上面が融解していなかったときに、フラッシュランプFLの放電電圧(つまり、フラッシュ光の照射エネルギー)を上昇させるようにしていたが、これに代えて、フラッシュ光の照射エネルギーを一定としつつ、ハロゲンランプHLによる予備加熱温度を上昇させることによって、半導体ウェハーWの上面到達温度を昇温させるようにしても良い。
また、第2実施形態においては、熱処理装置1のチャンバー6に反射率測定部95を設けていたが、これに代えて、チャンバー6とは異なる別途の処理部に反射率測定部を設け、それによってフラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの上面の反射率を測定するようにしても良い。例えば、チャンバー6に半導体ウェハーWを搬入する前に当該半導体ウェハーWの向きを調整するアライメントチャンバーに反射率測定機構を設け、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWをそのアライメントチャンバーに搬送して上面の反射率を測定するようにしても良い。もっとも、第2実施形態のように、チャンバー6に反射率測定部95を設け、チャンバー6内にてフラッシュ加熱後の半導体ウェハーWの上面の反射率を測定するようにした方が放射温度計の校正に要する時間を短くすることができる。
また、チャンバー6に反射率測定用の専用光源を設け、その光源から出射されて半導体ウェハーWの上面で反射された反射光の強度を測定することによって半導体ウェハーWの上面の反射率を測定するようにしても良い。
また、第1および第2実施形態において、フラッシュ光照射後に半導体ウェハーWが融解していなかった場合には、その都度新しい半導体ウェハーWをチャンバー6内に搬入して加熱処理を行うようにしても良い。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、上記実施形態においては、1秒以上連続して発光する連続点灯ランプとしてフィラメント方式のハロゲンランプHLを用いて半導体ウェハーWの予備加熱を行っていたが、これに限定されるものではなく、ハロゲンランプHLに代えて放電型のアークランプ(例えば、キセノンアークランプ)を連続点灯ランプとして用いて予備加熱を行うようにしても良い。この場合、放射温度計の校正時にもアークランプを点灯して半導体ウェハーWを予備加熱する。
また、熱処理装置1によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。また、熱処理装置1による加熱処理は、高誘電率ゲート絶縁膜(High-k膜)の熱処理、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化に適用するようにしても良い。
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
20 下部放射温度計
25 上部放射温度計
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
74 サセプタ
75 保持プレート
77 基板支持ピン
95 反射率測定部
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (5)

  1. 半導体基板の温度を測定する放射温度計の校正方法であって、
    半導体基板を加熱して昇温する加熱工程と、
    前記半導体基板が昇温して融点に到達したときに、前記半導体基板の温度を測定する放射温度計の出力を当該融点とするように前記放射温度計を校正する校正工程と、
    を備えることを特徴とする放射温度計の校正方法。
  2. 請求項1記載の放射温度計の校正方法において、
    前記加熱工程にて前記半導体基板を昇温しているときに前記放射温度計が前記半導体基板の温度を測定することによって取得された温度プロファイルの微分係数が一旦減少して負の数となった後に増加に転じて正の数となった場合に、前記半導体基板が融点に到達したと判定することを特徴とする放射温度計の校正方法。
  3. 請求項1記載の放射温度計の校正方法において、
    前記加熱工程にて前記半導体基板を昇温したときに前記半導体基板の反射率が低下した場合に、前記半導体基板が融点に到達したと判定することを特徴とする放射温度計の校正方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の放射温度計の校正方法において、
    前記半導体基板はシリコン基板であることを特徴とする放射温度計の校正方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の放射温度計の校正方法において、
    前記加熱工程では、連続点灯ランプおよびフラッシュランプからの光照射によって前記半導体基板を加熱することを特徴とする放射温度計の校正方法。
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