JP2019168216A - 地中熱ヒートポンプシステムおよび地中熱ヒートポンプシステムの運転方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記制御部は、地中熱ヒートポンプシステムの冷暖房運転に伴い地盤と採放熱を行う場合において、負荷変動により生じる地盤との採放熱量とその変動周期特性と地盤の熱特性により定まる地中熱交換器の採放熱能力に依って生じる地盤の温度変化に応じて、変化する地盤と熱交換する熱源水温度が、ヒートポンプが高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる冷房および暖房の上限出力を制御すべき出力としてもよい。言い換えると、前記制御部は、前記地中熱ヒートポンプシステムの冷暖房運転に伴い熱源水が地盤と採放熱を行う場合において、以下を実施する。まず、前記地中熱ヒートポンプが高い運転効率を維持できる上下限温度内に熱源水温度が納まる冷房および暖房の上限出力を、地中熱交換器の採放熱能力に依って生じる前記地盤の温度変化に応じて決定する。前記採放熱能力は、(1)負荷変動により生じる前記地盤との採放熱量とその変動周期特性と、(2)前記地盤の熱特性と、により定まる。そして制御部は、前記上限出力を考慮して前記制御すべき出力を決定する。
前記制御部は、出力に見合う流量で前記複数の熱源機それぞれの流量を制御してもよい。
前記制御部は、前記負荷対象の負荷が、前記地中熱ヒートポンプにおける任意の一定出力以下の出力により処理可能である第1の場合には、前記地中熱ヒートポンプのみを運転させ、前記負荷対象の負荷が、前記一定出力よりも大きい出力により処理する必要がある第2の場合には、前記地中熱ヒートポンプを前記一定出力させるために必要な条件で運転させつつ、前記補助熱源機に不足分を出力させてもよい。
地中熱ヒートポンプシステムの冷暖房運転に伴い地盤と採放熱を行う場合において、負荷変動により生じる地盤との採放熱量とその変動周期特性と地盤の熱特性により定まる地中熱交換器の採放熱能力に依って生じる地盤の温度変化に応じて、変化する地盤と熱交換する熱源水温度が、ヒートポンプが高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる冷房および暖房の上限出力を制御すべき出力としてもよい。
出力に見合う流量で前記複数の熱源機それぞれの流量を制御してもよい。
前記負荷対象の負荷が、前記地中熱ヒートポンプにおける任意の一定出力以下の出力により処理可能である場合には、前記地中熱ヒートポンプのみを運転させ、前記負荷対象の負荷が、前記一定出力よりも大きい出力により処理する必要がある場合には、前記地中熱ヒートポンプを前記一定出力させるために必要な条件で運転させつつ、前記補助熱源機に不足分を出力させてもよい。
図1に示すように、ハイブリッド地中熱ヒートポンプシステム(ハイブリッドGSHPシステム10)は、負荷対象の負荷(熱負荷)を賄う。ハイブリッドGSHPシステム10は、地中熱ヒートポンプ11(GSHP)と補助熱源機12(空気熱源ヒートポンプ、空気熱ヒートポンプ、ASHP)を含む複数の熱源機13と、複数の熱源機13それぞれからの冷温水を合流させ、冷温水を負荷対象に送り冷暖房を行う負荷処理機14と、複数の熱源機13と負荷処理機14との間における冷温水の循環量を制御する制御部15と、を備えている。図示の例では、GSHP11およびASHP12は1つずつであり、2つで負荷処理のための冷温水を製造している。また負荷処理機14は1つである。GSHP11は、地中熱交換器(GHEX16)との間で熱源水を循環させることで、地中との間で採放熱を行い熱源として利用する。
負荷処理機14が暖房運転する場合、負荷処理機14にて温水にて加熱することから、還りヘッダー18における温水温度が、往きヘッダー17における温水温度よりも低くなる。負荷処理機14が冷房運転する場合、負荷処理機14にて冷水にて冷却することから、還りヘッダー18における冷水温度が、往きヘッダー17における冷水温度よりも高くなる。
配管20としては、各熱源機13と往きヘッダー17とを接続する複数の第1配管21と、往きヘッダー17と負荷処理機14を接続する第2配管22と、負荷処理機14と還りヘッダー18とを接続する第3配管23と、還りヘッダー18と各熱源機13とを接続する第4配管24と、GSHP11とGHEX16とを接続する第5配管25および第6配管26と、を備えている。
本実施形態に示すハイブリッドGSHPシステム10のように、複数の熱源機13を有するシステムにおいては、一般的には高効率の熱源機13(GSHP11)を優先的に運転させ、優先的に運転した熱源機13の出力が負荷に対して不足する場合に、もう一方の熱源機13が稼働することとなる。2種類の熱源機13が同時に運転する場合、高効率の熱源機13を出力上限まで運転し、不足分の熱量のみをもう一方の熱源機13によって対応することが、効率の観点から最も良いと考えられる。
以下では、図2、図3を用いて従来の熱源システムにおける運転方法の一例について説明する。図2、図3では、図1の熱源システムを前提としており、ここではGSHP11とASHP12の定格出力は等しい。
図3に一般的なヒートポンプの温水(冷水)の出入口の温度差およびそれに対する圧縮機の回転数の一例を示す。この回転数はヒートポンプの出力に比例する。
しかしながら、図2の9時から16時においては負荷が増大し、GSHP出力140%相当の負荷となっている。2種類目のヒートポンプ13の稼働が必要な範囲となると、(b)の従来制御では2台のヒートポンプとも一定流量(定格流量)であるため、2台のヒートポンプ13の稼働に伴い全体の循環流量が200%に増大するため、温度差が70%に減少し、圧縮機の回転数が減少する。そのまま1台のヒートポンプ13の定格出力を少し超えた140%程度の負荷が持続し、2台のヒートポンプ13が同出力で稼働し続けると、結果としてGSHPも温度差に比例して70%の低出力のまま運転を継続し、GSHPが100%運転している場合に比べると総合的な効率は低下する。
本実施形態においては、ヒートポンプ13毎の流量を定格出力に合わせた一定流量ではなく、各ヒートポンプ13を変流量制御とし、逆に温水(もしくは冷水)の出入口の温度差は一定になるように制御する。さらに各ヒートポンプ13の流量は、負荷配分したい流量に分配制御すれば、ヒートポンプ13毎に任意の負荷配分することが可能となる。
言い換えると、制御部15は、負荷対象の負荷が、GSHP11における定格出力以下の出力により処理可能である第1の場合には、GSHP11のみを運転させる。負荷対象の負荷を、GSHP11における定格出力よりも大きい出力により処理する必要がある第2の場合には、制御部15は、GSHP11を定格出力させるために必要な条件(冷温水の流量)で運転させつつ、ASHP12に不足分を出力させる。制御部15は、前記第2の場合には、ASHP12における冷温水の流量を調整することで、不足分を出力させる。言い換えると、制御部15は、各ヒートポンプ13における流量を制御することで、各ヒートポンプ13の出力を制御する。すなわち、制御部15は、出力に見合う流量で複数のヒートポンプ13それぞれの流量を制御する。このとき制御部15は、GSHP11およびASHP12におけるそれぞれの流量を、例えばポンプ33を制御すること等により制御する。
なお、GSHP11を定格出力させるために必要な条件で運転させる場合であっても、例えば、外部環境の影響などにより、定格出力よりも低い出力でしかGSHP11が運転されない場合がある。
なお、制御フローにおけるQg2maxをGSHPシステム10におけるGSHP11の暖房負荷分配値Qg2hd、GSHP11の冷房負荷分配値Qg2cdに置き換えれば、GSHP11における適正な地中採放熱量に調整する出力制御も可能となる。
<構成要件>
本実施形態に係るハイブリッドGSHPシステム10は、建築物等で発生する暖冷房負荷に対して、2種類以上の熱源機13を有するシステムにおいて、各々の熱源機13の冷温水側の循環流量を調整することにより、片方の熱源機13の出力を一定に保ち、効率の高い熱源機13を運転可能な範囲で優先的に運転させることができる、熱源機13の暖冷房出力制御に関する。
本実施形態に係るハイブリッドGSHPシステム10は、建築物等で発生する暖冷房負荷に対して、1種類以上の熱源機13を併用するハイブリッドGSHPシステム10において、各々の熱源機13の冷温水側の循環流量を調整することにより、他の熱源と比較して効率の高いGSHP11の出力を一定に保つことにより、適正な採放熱量に調整することを可能とする。その結果、長期的に運転可能で、かつ省エネルギー効果を最大限に得られる条件で運転することができる。
なお、本実施形態ではハイブリッドGSHPシステム10の代表的な用途として空調における暖房・冷房を取り上げ、熱負荷を暖冷房負荷と称している。しかしながら、暖房以外の給湯、蒸気、生産用途向け等の加熱負荷、冷房以外の冷蔵、生産用途向け等の冷却負荷も同様に対象となる。
前記実施形態では、補助熱源機12としてASHPを例示しているが、本発明はこれに限られない。補助熱源機12として、ヒートポンプ、チラー、ターボ冷凍機、主に化石燃料を駆動源とするボイラ、吸収式冷凍機等を採用することも可能である。
(1)2種類以上の熱源機を有するシステムにおいて、最も効率の高い熱源機に運転制約がない場合は、最も効率の高い熱源機の「定格出力」を「任意の一定出力」とする。
(2)1種類以上の補助熱源機を併用するハイブリッドGSHPシステムにおいては、他の熱源機に比べ効率の高いGSHPが「熱源水温度が高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる上下限出力」を「任意の一定出力」とする。すなわち、GSHPは高効率でも運転制約があるので、一定出力は「定格出力」とは限らない。
(3)部分負荷効率が高い熱源機の場合は、「最も高い負荷効率の出力比率範囲の出力」を「任意の一定出力」とする。
上記(1)の例を以下に示す。本例に係るヒートポンプは、定格出力100kWのヒートポンプで以下の表1に示すような特性を示す。
具体的には、以下の表2に示す出力制御となる。
上記(3)の例1を以下に示す。本例に係るヒートポンプは、定格出力100kWのヒートポンプで以下の表3に示すような特性を示す。
上記(3)の例2を以下に示す。本例に係るヒートポンプは、定格出力100kWのヒートポンプで以下の表6に示すような特性を示す。
このヒートポンプ100kWを2台と他熱源機100kW(COP=3.0)2台を組み合わせて使う場合、ヒートポンプのCOPは他熱源機のCOPより常に高く、かつ、出力40%運転時のCOPが最も高いので、「高効率なヒートポンプの部分負荷効率と他熱源の部分負荷効率(本例では一律3.0)を計算し、もっとも効率の良い分配負荷の組み合わせを決定」すると以下の例示のようになる。すなわち、本例では負荷が40〜100kWでは1台目を40kWで出力一定に固定し、2台目の出力を変動させるのが良いが、110kW以上では2台目の効率がかなり落ちるため、下記の表7に示すように、2台の出力を同等にして変動させた方が効率が良くなる。
第1事例のヒートポンプおよび補助熱源機を使用している場合で、他の熱源機に比べ効率の高いGSHPにおいて「熱源水温度が高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる上限出力」が120kWの場合、以下の表8に示すような運転制御となる。
すなわち、地中熱ヒートポンプシステムの冷暖房運転に伴い地盤と採放熱を行う場合において、地中熱交換器の採放熱能力は、負荷変動により生じる地盤との採放熱量とその変動周期特性と、地盤の熱特性と、により定まる。
一例をあげると、自然地中温度が18℃(関東レベル)、地盤の有効熱伝導率λeが1.6程度で、半年24時間連続で冷房放熱、同じく半年24時間連続で暖房採熱する場合、冷房期においてはヒートポンプ入口の熱源水の冷房時上限温度が30℃ならば、地中熱交換器の放熱能力は26W/m程度となる。この場合、長さ100m地中熱交換器を56本施工可能ならば、26W/m×5600m≒145kWの合計放熱量が可能である。
このような地中熱交換器能力において、第1事例のヒートポンプおよび補助熱源機を使用する場合、他の熱源機に比べ効率の高いGSHPを優先的に使用するが、第1事例のようなCOP=5足らずの場合、145kWの放熱可能量にて運転可能な冷房出力は120kW程度となる。したがって、「熱源水温度が高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる上限出力」は120kWとなり、以下の表8に示すような運転制御となる。
第3事例のヒートポンプおよび補助熱源機を使用している場合で、他の熱源機に比べ効率の高いGSHPにおいて「熱源水温度が高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる上限出力」が120kWの場合、以下の表9に示すような運転制御となる。
すなわち、上記第4事例と同様の地中熱交換器能力において、第3事例のヒートポンプおよび補助熱源機を使用する場合、他の熱源機に比べ効率の高いGSHPを優先的に使用するが、第3事例のようなCOP=5足らずの場合、145kWの放熱可能量にて運転可能な冷房出力は120kW程度となる。したがって、「熱源水温度が高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる上限出力」は120kWとなり、以下の表9に示すような運転制御となる。
11 地中熱ヒートポンプ
12 補助熱源機
13 熱源機
14 負荷処理機
15 制御部
Claims (6)
- 地中熱ヒートポンプと補助熱源機を含む複数の熱源機と、
前記複数の熱源機それぞれからの冷温水を合流させ、前記冷温水を負荷対象に送り冷暖房を行う負荷処理機と、
前記複数の熱源機と前記負荷処理機との間における前記冷温水の循環量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、負荷変動に対し、任意の分配負荷に応答する高効率な前記地中熱ヒートポンプの部分負荷効率と前記補助熱源機の部分負荷効率を計算し、もっとも効率の良い分配負荷の組み合わせにより制御すべき出力を決定して制御する地中熱ヒートポンプシステム。 - 前記制御部は、地中熱ヒートポンプシステムの冷暖房運転に伴い地盤と採放熱を行う場合において、負荷変動により生じる地盤との採放熱量とその変動周期特性と地盤の熱特性により定まる地中熱交換器の採放熱能力に依って生じる地盤の温度変化に応じて、変化する地盤と熱交換する熱源水温度が、ヒートポンプが高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる冷房および暖房の上限出力を制御すべき出力として請求項1に記載の地中熱ヒートポンプシステム。
- 前記制御部は、出力に見合う流量で前記複数の熱源機それぞれの流量を制御する請求項1または2に記載の地中熱ヒートポンプシステム。
- 地中熱ヒートポンプと補助熱源機を含む複数の熱源機と、
前記複数の熱源機それぞれからの冷温水を合流させ、前記冷温水を負荷対象に送り冷暖房を行う負荷処理機と、を備える地中熱ヒートポンプシステムを運転する方法であって、
負荷変動に対し、任意の分配負荷に応答する高効率な前記地中熱ヒートポンプの部分負荷効率と前記補助熱源機の部分負荷効率を計算し、もっとも効率の良い分配負荷の組み合わせにより制御すべき出力を決定して制御する地中熱ヒートポンプシステムの運転方法。 - 地中熱ヒートポンプシステムの冷暖房運転に伴い地盤と採放熱を行う場合において、負荷変動により生じる地盤との採放熱量とその変動周期特性と地盤の熱特性により定まる地中熱交換器の採放熱能力に依って生じる地盤の温度変化に応じて、変化する地盤と熱交換する熱源水温度が、ヒートポンプが高い運転効率を維持できる上下限温度内に納まる冷房および暖房の上限出力を制御すべき出力として請求項4に記載の地中熱ヒートポンプシステムの運転方法。
- 出力に見合う流量で前記複数の熱源機それぞれの流量を制御する請求項4または5に記載の地中熱ヒートポンプシステムの運転方法。
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