JP2019167283A - α−アルミナ及び結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法 - Google Patents

α−アルミナ及び結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶粒子の内部に複数の空孔を有し、真密度が既存のα−アルミナより低く、空孔が閉気孔であり、充填剤に好適なα−アルミナを提供し、また、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明のα−アルミナは、結晶粒子の内部に複数の空孔を有し、JIS Z 8807:2012に準拠して測定した真密度が3.45〜3.85g/cm3の範囲内であることを特徴とする。本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法は、予め1200℃〜1500℃に加熱した加熱装置内にベーマイトを入れ、30秒〜120秒間焼成することを特徴とする。本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法は、燃焼量が6.2〜16.3万kcal/hのガスバーナーの炎の中にベーマイトを0.01〜0.15秒間滞留させ焼成することを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、結晶粒子の内部に複数の空孔を有し、既存のα−アルミナに比べ真密度が低いα−アルミナ及び結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法に関する。
アルミナは、セラミックス材料として様々な用途で使用され、特にα−アルミナは最も安定したアルミナであり、耐摩耗性、耐熱性、絶縁性、耐食性などに優れるためこれらの特性を被充填物に付与する充填剤として、あるいは研磨材や耐火物などとして広く使用されている。
α-アルミナの製造は、ボーキサイトから水酸化アルミニウム又はγ−アルミナ、χ−アルミナ、 η−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナなどの遷移アルミナを製造し、これらを焼成する方法が知られている。また、板状のベーマイトを1200℃〜1500℃で焼成し、ベーマイトと同じ板状のα−アルミナを製造する方法がある(特許文献1参照)。
α−アルミナを充填剤として使用する場合、α−アルミナの真密度が低いほど充填される被充填物の重量が軽くなり、ひいては製品が軽量となるので望ましい。このような既存のα−アルミナより真密度の低いα−アルミナは、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナを製造することにより得ることができる。
従来、結晶粒子に空孔を有するアルミナの提案がある。例えば、細孔直径が50〜8000nmのマクロ孔の細孔容積Vが0.04〜0.50cm/gの範囲にあり、且つ、該粒子の断面について倍率1000倍で電子顕微鏡写真を撮影し、該電子顕微鏡写真を50μmの格子で分割したとき、該格子の60%以上に前記マクロ孔の分布が観察されるアルミナ粒子及び前記マクロ孔と細孔直径が4〜50nmのメソ孔の細孔容積Vが0.05〜0.80cm/gの範囲にあり、且つ、細孔直径が4〜8000nmの細孔のトータル細孔容積Vが0.10〜1.30cm/gの範囲にある多元細孔構造を有するアルミナ粒子の提案がある(特許文献2参照)。
特開2003−2641号公報 特開2016−50132号公報
しかしながら、特許文献2に記載の発明は、細孔調整剤の有機樹脂粒子を焼成により分解・除去してアルミナ粒子にマクロ孔やメソ孔を形成するものである。また、アルミナ粒子は、白金等の触媒活性成分を担持する触媒担体に使用されるものである。したがって、当該アルミナ粒子のマクロ孔とメソ孔は結晶粒子の外部表面に通じる開気孔であり、開気孔のため強度が低下し充填剤には不向きである。また、開気孔を有することで比表面積が高くなり、充填しづらくなるばかりか、樹脂組成物に充填する際には混合物の粘度が高くなってしまうことがあり充填剤には不向きである。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、結晶粒子の内部に複数の空孔を有し、真密度が既存のα−アルミナより低いので重量が軽く、また、空孔が結晶粒子の外部表面に通じることのない閉気孔であるので強度があり、充填剤に好適なα−アルミナ及び結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために本発明の発明者等は、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造について種々の検討を重ね、本発明を想到したものである。すなわち、本発明のα−アルミナは、結晶粒子の内部に複数の空孔を有し、JIS Z 8807:2012に準拠して測定した真密度が3.45〜3.85g/cmの範囲内であることを特徴とする。当該α−アルミナは充填剤として用いてもよい。
また、本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法は、予め1200℃〜1500℃に加熱した加熱装置内にベーマイトを入れ、30秒〜120秒間焼成することを特徴とする。当該製造方法において、α−アルミナは、JIS Z 8807:2012に準拠して測定した真密度が3.45〜3.85g/cmの範囲内でもよい。
また、本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法は、燃焼量が6.2〜16.3万kcal/hのガスバーナーの炎の中にベーマイトを0.01〜0.15秒間滞留させ焼成することを特徴とする。当該製造方法において、α−アルミナは、JIS Z 8807:2012に準拠して測定した真密度が3.45〜3.85g/cmの範囲内でもよい。
本発明のα−アルミナによれば、結晶粒子の内部に複数の空孔を有し、既存のα−アルミナに比べて真密度が低いので重量が軽く、また、空孔が閉気孔で強度があるので、充填剤として例えば電子基板 (PC用、モバイル端末用、車載用)や自動車の樹脂製部品などの樹脂に充填した場合、既存のα−アルミナを用いた場合より電子基板や樹脂製部品の軽量化に資することができ、ひいては電子基板を用いた製品や自動車などの軽量化に資することができる。
本発明のα−アルミナによれば、結晶粒子の内部に複数の空孔を有し既存のα−アルミナほどは硬くないので、充填剤として樹脂組成物に充填する場合、2軸押出し成形機などの混練機の摩耗を抑制することができ、混練された樹脂組成物への金属摩耗粉の混入や着色を防ぐことができる。また、本発明のα−アルミナが充填された樹脂組成物をドリルなどで加工する場合、既存のα−アルミナを充填する場合に比べドリルなどの加工装置の摩耗を抑制することができ、加工装置の寿命を延ばすとともに、加工した樹脂組成物への金属摩耗粉の混入や着色を防ぐことができる。
また、近年では情報通信及び情報処理分野で信号処理の高速化が重要な課題になっている。配線の微細化、集積度の向上に伴う信号遅延が問題となり、これを抑制するために低誘電率化、低誘電正接化が求められている。本発明のα−アルミナによれば、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するため、誘電正接及び比誘電率が低く充填剤として電子基板に充填された際に信号処理に与える影響を抑えることができる。
本発明のα−アルミナは、既存のα−アルミナと熱伝導率を同体積で比較すると違いはみられないものの、密度が軽い分使用されるα−アルミナの重量が少なく、単位重量当たりの熱伝導率が高いことになる。つまり、少ない重量で高い熱伝導を与えることができる。そのため、本発明のα−アルミナによれば、電子基板などの被充填物の軽量化及び低コスト化に資することができる。
本発明のα−アルミナによれば、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するため既存のα−アルミナより弾性率が高く、充填剤として樹脂に練りこんだときに樹脂の弾性率が低下することを抑制することができる。
本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法によれば、焼成時間が極めて短時間であるので迅速に製造でき、また、エネルギーを節減でき経済性に優れる。また、本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法によれば、細孔調整剤が不要でかつ工程が少ないので製造が簡易である。
実施例1−1、実施例1−2及び実施例2−1のXRDパターンである。 実施例2−2、実施例2−3及び実施例2−4のXRDパターンである。 比較例1−1及び比較例1−2のXRDパターンである。 比較例1−3及び比較例2のXRDパターンである。 実施例1−1の結晶粒子の透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」ということがある。)画像及び結晶粒子の表面の走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ということがある。)画像並びに実施例1−2の結晶粒子のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像である。 実施例2−1の結晶粒子の断面のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像並びに実施例2−2の結晶粒子のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像である。 実施例2−4の結晶粒子の断面のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像並びに比較例1−1の結晶粒子のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像である。 比較例1−2の結晶粒子の断面のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像並びに比較例2の結晶粒子の断面のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像である。 実施例2−1及び実施例2−4の吸着等温線である。 参考文献の吸着等温線の分類である。 参考例1−1のXRDパターン、結晶粒子の断面のTEM画像及び結晶粒子の表面のSEM画像である。
本発明のα−アルミナは、ベーマイトを所定の方法で焼成することにより製造できる。
原料となるベーマイトに特に限定がなく、製造方法が異なるベーマイト(例えば、水酸化アルミニウムから水熱合成したベーマイト、水酸化アルミニウムに添加剤を加えて水熱合成したベーマイト、アルミニウムドーソナイトから合成したベーマイト)や形状が異なるベーマイト(例えば、平板状のベーマイト、針状のベーマイト、鱗片状のベーマイト、立方体状のベーマイト、円盤状のベーマイト)などを限定なく使用することができる。
本発明のα−アルミナは、予め所定の温度に昇温した加熱装置内にベーマイトを入れ、所定時間加熱し焼成することにより製造できる。所定の温度は、1200℃〜1500℃が好ましく、1350℃〜1450℃がより好ましい。所定の温度が1200℃より低いとα−アルミナが生成しない。1500℃を超えると加熱装置に過負荷がかかったり多くのエネルギーを消費したりするので不経済になり、また、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナが得られない。所定の加熱時間は、30秒〜120秒が好ましく、45秒〜75秒がより好ましい。加熱時間が30秒より短いとα−アルミナが生成せず、120秒より長いと多くのエネルギーを消費し不経済になり、また、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナが得られない。加熱装置は、1500℃まで加熱できれば特に限定がなく、電気炉やシャトル炉などを挙げることができる。本発明のα−アルミナの製造には、結晶粒子の内部に細孔を形成させるために用いられる有機樹脂粒子のような細孔調整剤が必要ではなく、上記の焼成だけで結晶粒子の内部に複数の空孔を形成させることができる。また、この方法で製造される本発明のα−アルミナは、原料のベーマイトの形状を保持することができる。
また、本発明のα−アルミナは、所定の燃焼量を有するガスバーナーの炎の中にベーマイトを所定時間滞留させ焼成することにより製造できる。所定の燃焼量は、6.2万〜16.3万kcal/hが好ましく、11.2万〜13.8万がより好ましい。燃焼量が6.2万kcal/hより少ないとα−アルミナが生成せず、16.3万kcal/hより多いとガスバーナーに負担がかかり爆発などの危険が生じる可能性がある。ベーマイトの炎の中の滞留時間は、炎の断面積、燃料ガスと燃焼空気の量により作り出される炎の長さ、ベーマイトの粉の通過する経路及びベーマイトの粉の流速などにより決定される。したがって、下記の式(1)から算出されるベーマイトの炎の中の滞留時間は、0.01〜0.15秒が好ましく、0.05〜0.1秒がより好ましく、0.067秒前後が最も好ましい。
炎の長さ÷ベーマイトの粉の流速(=燃焼ガスの流速)・・・式(1)
滞留時間が0.01秒より短いとα-アルミナが生成せず、0.15秒より長いと製造コストが高く不経済になり、また、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナが得られない。本発明のα−アルミナの製造には、結晶粒子の内部に細孔を形成させるために用いる有機樹脂粒子のような細孔調整剤が必要ではなく、上記の焼成をするだけで結晶粒子の内部に複数の空孔を形成させることができる。また、この方法で製造された本発明のα−アルミナは、原料のベーマイトの形状を保持することができる。
本発明のα−アルミナは、JIS Z 8807:2012に準拠して測定した真密度が
3.45〜3.85g/cmが好ましいが、3.50〜3.80g/cmの範囲内でも、また、3.53〜3.76g/cmの範囲内でもよい。既存のα−アルミナの真密度の理論値が3.99g/cm以上であるので、本発明のα−アルミナは既存のα−アルミナに比べ十分に軽量である。
本発明のα−アルミナは、結晶粒子の内部に複数の空孔を有し既存のα−アルミナに比べ軽量であり、また、空孔が閉気孔で既存のα−アルミナに比べ十分な強度を保持している。さらに、本発明のα−アルミナは、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するので、既存のα−アルミナほどは硬くない。このような特性により、本発明のα−アルミナは、充填剤に好適に用いることができる。また、本発明のα−アルミナは、放熱シートなどに用いることもできる。
本発明のα−アルミナが充填剤として充填される被充填物が樹脂の場合、樹脂の種類は特に限定がなく、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、 アクリロニトリル−アクリルゴム・スチレン樹脂、アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの汎用樹脂を例示できる。
本発明のα−アルミナにおいて、結晶粒子の内部に複数の空孔が生じるメカニズムについて説明する。
特許文献1に記載のように、ベーマイトを原料として加熱装置内で徐々に昇温しながら1000℃を超える温度で数時間以上に亘り焼成する従来の製造方法でα−アルミナを製造する場合、以下のステップを経てα−アルミナが生成する。
(1)ベーマイトが加熱され脱水し、脱水による空孔を有するγ−アルミナが生成する。
(2)さらに加熱され、γ−アルミナが安定層のα−アルミナに相転移するための原子の移動(拡散)が起こる。
(3)原子の移動に伴い、空孔は表面自由エネルギーを低下させる方向、つまり空孔が集まり、空孔は大きくなっていく。
(4)さらに加熱を進めると、空孔は結晶外部へ押し出され、結晶は緻密化する。
(1)〜(4)の過程で、アルミナはγ→δ→θ→αへと転移する。
このように、焼成時間が長いと原子の拡散が十分に起こり、結晶内部に複数の空孔を有するα−アルミナは生成しない。
一方、原料にベーマイトを使用し、短時間に瞬間的に焼成を行う本発明の製造方法によれば、原子の移動が制限され、脱水による空孔が結晶外部に押し出されることなく、結晶内部に複数の空孔を有するα−アルミナが生成するものと推測される。
また、本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法によれば、原料のベーマイトや製造条件を種々変更することにより結晶内部に複数の空孔を有するθ−アルミナを主とする遷移アルミナを製造することもできる。
次いで、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1−1、1−2〕
実施例1−1:予め1400℃に昇温した電気炉((株)モトヤマ)内にキューブ状ベーマイト(BMB-05、河合石灰工業(株))を入れた白金パンを投入し、ベーマイトを60秒間焼成した。
実施例1−2:鱗片状ベーマイト(BMF-510、河合石灰工業(株))を用い、上記と同様に焼成した。
実施例1−1、1−2で得られた焼成物を測定試料として分析に供した。
〔実施例2−1〜2−4〕
実施例2−1:燃焼量が12万kcal/hのガスバーナーを用い、燃焼ガスとともにキューブ状ベーマイト(BMB-05、河合石灰工業(株))をガスバーナーの炎の中に投入し、ガスバーナーの炎の中に滞留させ焼成した。
実施例2−2:キューブ状ベーマイト(BMB-2、河合石灰工業(株))を用い、上記と同様に焼成した。
実施例2−3:鱗片状ベーマイト(BMF-240、河合石灰工業(株))を用い、上記と同様に焼成した。
実施例2−4:鱗片状ベーマイト(BMF-510、河合石灰工業(株))を用い、上記と同様に焼成した。
実施例2−1〜2−4の上記の式(1)から算出される炎の中の滞留時間は0.07秒であった。
実施例2−1〜2−4で得られた焼成物を測定試料として分析に供した。
〔比較例1−1〜1−3〕
比較例1−1:キューブ状ベーマイト(BMB-05、河合石灰工業(株))を入れたアルミナ匣鉢を電気炉に投入し室温から1300℃まで6時間かけて昇温し、さらに4時間保持し焼成した。この製造方法は、従来のα−アルミナの製造方法である。
比較例1−2:鱗片状ベーマイト(BMF-240、河合石灰工業(株))を用い、上記と同様に焼成した。
比較例1−3:鱗片状ベーマイト(BMF-510、河合石灰工業(株))を用い、上記と同様に焼成した。
比較例1−1〜1−3で得られた焼成物を測定試料として分析に供した。
〔比較例2〕
市販のα−アルミナ(LS-711C、日本軽金属(株))をそのまま測定試料として分析に供した。
〔分析方法〕
(1)結晶粒子の透過像の観察
結晶粒子の透過像は、上記の各測定試料を透過型電子顕微鏡 (日本電子(株)、JEM-2100)(TEM)を用いて観察した。また、結晶粒子の断面の透過像は、上記の各測定試料をエポキシ樹脂に内包させて、イオンスライサ (日本電子(株)、EM-09100IS)を用いて切断し断面観察用の試料を作製した。その断面観察用の試料をTEMを用いて観察した。
(2)結晶粒子の表面の観察
結晶粒子の表面は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7001F)(SEM)にて観察した。
(3)真密度
JIS Z 8807:2012の「固体の密度及び比重の測定方法」に準拠し、50mLのワードン比重瓶(東京硝子機械(株))を用い、真密度を求めた。標準物質は蒸留水を用い、室温の24℃で測定した。24℃における蒸留水の密度は、0.997g/cm3で空気の密度は0.001g/cm3であった。
(4)細孔容積
吸着測定用前処理装置(マイクロトラック・ベル(株)、BELPREP II)にて150℃で3時間以上前処理をし、その後、自動比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)、BELSORP(登録商標)mini)にて吸着等温線を測定し、BET法による解析にて細孔容積を求めた。
(5)試料の同定 (アルミナの確認)
粉末X線回折測定装置(BRUKER AXS、D2 PHASER)(XRD)を用いてX線回折パターン(XRDパターン)を得ることにより同定した。
(6)比表面積
自動比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)、BELSORP(登録商標)mini)を用いて測定し、BET法による解析にて求めた。前処理は、上記の(4)の細孔容積を求めた場合と同様に行った。
上記の分析の結果を表1及び図1〜図8に示した。
Figure 2019167283
図1〜図4のXRDパターンは、いずれもα−アルミナのピークのみが観察され、実施例及び比較例のすべてがα−アルミナのXRDパターンと一致した。これにより、本発明の製造方法で得られた実施例は、α−アルミナであることが分かる。また、図5〜図7の結晶粒子の透過像又は結晶粒子の断面の透過像であるTEM画像から分かるように、実施例のα−アルミナは、結晶粒子の内部に複数の空孔が認められた。一方、図7及び図8の結晶粒子の透過像又は結晶粒子の断面の透過像であるTEM画像から分かるように、従来の製造方法で得られた比較例のα−アルミナは、結晶粒子の内部に空孔が認められなかった。
また、図5〜図7のSEM画像から分かるように、実施例のα−アルミナに係る結晶粒子の表面には開気孔が認められなかった。図5の実施例1−2及び図7の実施例2−4の各SEM画像における結晶粒子の表面の凹みは単なる凹みで開気孔ではなかった。また、図7及び図8のSEM画像から分かるように、比較例のα−アルミナに係る結晶粒子の表面には開気孔が認められなかった。
また、表1に示すように、比較例のα−アルミナの真密度は、3.92〜3.93g/cmであるのに対し、実施例のα−アルミナの真密度は3.53〜3.76g/cmと低く、本発明のα−アルミナは既存のα−アルミナに比べ十分に軽量であることが分かる。さらに、表1に示すように、実施例のα−アルミナの形状は、原料のベーマイトの形状を保持するものであった。
また、図9に示すように、実施例2−1と実施例2−4の吸着等温線は、ヒステリシスがないか、あるいは僅かにヒステリシスを示す程度である。これらの吸着等温線は、参考文献の「F. Rouquerol, J. Rouquero and K. Sing"Adsorption by Powder & Porous Solid" Academic Press, London(1999)」から引用した図10の吸着等温線と比較すれば、II型もしくはIII型に該当し、上記実施例の結晶粒子の表面を示すSEM画像と相まって、本発明のα−アルミナに係る結晶粒子の内部の空孔が閉気孔であることを示唆している。
〔参考例1−1〜1−3〕
参考例1−1:燃焼量が10万kcal/hのガスバーナーを用い、燃焼ガスとともに鱗片状ベーマイト(BMF-520、河合石灰工業(株))をガスバーナーの炎の中に投入し0.05秒滞留させ焼成した。
参考例1−2:燃焼量が13万kcal/hのガスバーナーを用い、燃焼ガスとともに鱗片状ベーマイト(BMF-510、河合石灰工業(株))をガスバーナーの炎の中に投入し0.02秒滞留させ焼成した。
参考例1−3:燃焼量が13万kcal/hのガスバーナーを用い、燃焼ガスとともに鱗片状ベーマイト(BMF-920、河合石灰工業(株))をガスバーナーの炎の中に投入し0.02秒滞留させ焼成した。
参考例1−1〜1−3で得られた焼成物を測定試料として分析に供した。
上記の分析の結果を表2及び図11に示した。
Figure 2019167283
図11で示す参考例1−1のXRDパターンは、θ−アルミナのXRDパターンが主として認められ、その他の遷移アルミナのXRDパターンも若干認められた。また、図11のTEM画像及びSEM画像に示すように、参考例1−1は結晶内部に複数の空孔が認められ、結晶粒子の表面には空孔が認められなかった。したがって、参考例1−1〜1−3は、結晶粒子の内部に複数の空孔を有する主としてθ−アルミナを結晶相とする遷移アルミナであると判断された。
本発明のα−アルミナは、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するため既存のα−アルミナに比べ重量が軽く特に充填剤として好適に用いることができ、産業上有用である。また、本発明の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法は、結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナを迅速かつ経済的に製造できるばかりか簡易に製造でき、産業上有用である。

Claims (6)

  1. 結晶粒子の内部に複数の空孔を有し、JIS Z 8807:2012に準拠して測定した真密度が3.45〜3.85g/cmの範囲内であることを特徴とするα−アルミナ。
  2. 充填剤として用いられることを特徴とする請求項1に記載のα−アルミナ。
  3. 予め1200℃〜1500℃に加熱した加熱装置内にベーマイトを入れ、30秒〜120秒間焼成することを特徴とする結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法。
  4. JIS Z 8807:2012に準拠して測定したα−アルミナの真密度が3.45〜3.85g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法。
  5. 燃焼量が6.2〜16.3万kcal/hのガスバーナーの炎の中にベーマイトを0.01〜0.15秒間滞留させ焼成することを特徴とする結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法。
  6. JIS Z 8807:2012に準拠して測定したα−アルミナの真密度が3.45〜3.85g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の結晶粒子の内部に複数の空孔を有するα−アルミナの製造方法。
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