以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図2Aから図12では、説明の便宜上、互いに直交する三軸として、X軸、Y軸及びZ軸を図示しており、軸方向を図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」としている。X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。
(実施形態)
<ダイカットラベル用紙>
図1Aは、印刷対象となるダイカットラベル用紙を説明する平面図である。図1Bは、ダイカットラベル用紙を説明する部分断面図である。なお、図1Aでは、複数のラベルが形成されたダイカットラベル用紙Rと、長尺のラベルが形成されたダイカットラベル用紙Qとを図示している。シート状部材としてのダイカットラベル用紙R,Qについて、図1Aおよび図1Bを参照して説明する。
図1Aに示すように、ダイカットラベル用紙R,Qは、長尺帯状の台紙部1と、台紙部1の貼付面1aに貼付されたラベル部2,4とで構成されている。ダイカットラベル用紙Rには、複数のラベル部2が等間隔に貼付され、ダイカットラベル用紙Qには、長尺のラベル部4が貼付されている。ラベル部2,4は、ダイカット加工により型抜きされたものである。台紙部1の貼付面1aには、台紙部1の側端から所定の寸法(余地寸法D)離れた位置に、ダイカット加工による切込み痕3が形成される。なお、所定の余地寸法Dは、例えば数mm程度である。ダイカットラベル用紙R,Qは、切込み痕3が形成された位置において、貼付面1a側に凸となる図1Bに示す矢印方向に折れやすくなっている。
<印刷装置の構成>
図2Aは、実施形態に係る印刷装置の開閉蓋の閉塞状態における構成を示す斜視図である。図2Bは、印刷装置の開閉蓋の開放状態における構成を示す斜視図である。図3は印刷装置の構成を示す縦断面図である。印刷装置10の構成について図2A、図2Bおよび図3を参照して説明する。本実施形態の印刷装置10は、ダイカットラベル用紙R,Qなどの印刷媒体に対してインクジェット方式で印刷を行うものである。印刷装置10は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやLAN(Local Area Network)などを介して、パソコン、スマートフォンやタブレット端末などの情報処理端末に有線または無線で接続されており、情報処理端末から送信された印刷データに基づいて印刷を行う。
図2Aおよび図2Bに示すように、印刷装置10は、平面視にて長方形の略直方体状の装置ケース11を有している。なお、本実施形態では、装置ケース11の長手方向をY軸、重力に沿う方向をZ軸、Y軸およびZ軸の双方と交差する方向をX軸とする。また、装置ケース11のY軸方向の+側に位置する側面を「正面」とし、正面に向かって見た時のX軸方向に沿う方向の+側を「左」または「左方」、−側を「右」または「右方」ともいう。また、Z軸方向に沿う方向の+側を「上」または「上方」、−側を「下」または「下方」ともいう。
装置ケース11の正面には、左方(X軸方向+側)寄りの上(Z軸方向+側)半分に、操作ボタン等が配置された操作パネル12が設けられ、操作パネル12の下方(Z軸方向−側)に、引き出し式のインクカートリッジ交換口13が形成されている。また、装置ケース11の正面には、右方(X軸方向−側)寄りの略中央に、印刷されたダイカットラベル用紙Rが排出されるスリット状の用紙排出口14が形成されている。
装置ケース11の右側面(X軸方向−側の面)には、正面側寄りの下方に、廃インクタンク交換口15が設けられ、廃インクタンク交換口15の背面側(Y軸方向−側)に、ロール紙給紙口16が広く設けられている。ロール紙給紙口16の内部には、貼付面1aを外側にしてロール状に巻回されたダイカットラベル用紙Rが繰出し可能に装填されるロール紙装填部20(図3参照)が、設けられている。ユーザーは、ロール紙給紙口16から、巻回されたダイカットラベル用紙Rをロール紙装填部20に装填する。
さらに、装置ケース11には、ケース上面(Z軸方向+側の面)の略中央に設けられたヒンジを中心に、側方に開放する開閉蓋17が設けられている。開閉蓋17の内部には、搬送されるダイカットラベル用紙Rの斜行を防止するシートガイド装置としてのガイドユニット21が収容されている。
図3に示すように、印刷装置10は、ロール紙装填部20と、ロール紙装填部20の上方に設けられたガイドユニット21と、ロール紙装填部20から引き出されたダイカットラベル用紙Rを搬送方向(Y軸方向+側)に搬送する搬送部22と、印刷部23とを備えている。印刷部23は、ガイドユニット21よりも搬送方向の下流側に設けられ、ダイカットラベル用紙Rの各ラベル部2に対してインクジェットヘッド(図示せず)により印刷を行う。
図4は、搬送部の構成を示す斜視図である。搬送部22は、ガイドユニット21の下流側に設けられている。図4に示すように、搬送部22は、記録実行領域235の上流側に、駆動ローラーとしての搬送用駆動ローラー225と搬送用駆動ローラー225の回転に伴って従動回転する従動ローラーとしての搬送用従動ローラー227との一対のニップローラーによって構成された搬送用ローラー223を有している。搬送部22の搬送用ローラー223は、搬送用駆動ローラー225と搬送用従動ローラー227とに挟まれたダイカットラベル用紙Rを搬送方向に搬送する。
記録実行領域235には、上方にキャリッジ(図示せず)によって保持されているインクジェットヘッドが設けられており、下方にダイカットラベル用紙Rの下面を支持する用紙支持部材245が設けられている。インクジェットヘッドは、ダイカットラベル用紙Rの搬送方向と交差する主走査方向(X軸方向)に往復移動するキャリッジの下部に取り付けられており、インクジェットヘッドの下面には、各色のインクに対応した複数のノズル(図示せず)が搬送方向に沿って形成されている。
一方、用紙支持部材245は、矩形平板状の部材で、用紙支持部材245の上面には搬送方向に沿って延びる複数本の支持リブ247が設けられている。支持リブ247は、直接、ダイカットラベル用紙Rの下面に当接する部材で、インクジェットヘッドの下面とダイカットラベル用紙Rとの間のギャップを規定する役割を有している。
また、搬送部22は、記録実行領域235の下流側に、排出用駆動ローラー251と排出用駆動ローラー251の回転に伴って従動回転する排出用従動ローラー253との一対のニップローラーによって構成された排出用ローラー249を有している。搬送部22の排出用ローラー249は、印刷が実行されたダイカットラベル用紙Rを用紙排出口14から外部に排出する。また、排出用従動ローラー253の上流側にも、複数の補助従動ローラー255が設けられており、排出用従動ローラー253と補助従動ローラー255は、印刷実行後のダイカットラベル用紙Rの被記録面に対するダメージを小さくするために一例として歯付きローラーによって構成されている。用紙排出口14から排出されたダイカットラベル用紙Rは、外部に設けられるピーラーによって台紙部1からラベル部2が一枚ずつ剥がされる。
<ガイドユニットの構成>
以下、ガイドユニット21の構成について説明する。
図5および図6は、ガイドユニットの構成を示す斜視図である。なお、図5は、可動側押えレバーおよび固定側押えレバーを離間位置に回動した状態を示し、図6は、可動側押えレバーおよび固定側押えレバーを押圧位置に回動した状態を示している。また、以下のガイドユニット21の説明では、ダイカットラベル用紙Rの搬送方向における上流側を「前」、下流側を「後」ともいう。また、上流側から下流側を見た時のX軸方向に沿う方向の+側を「右」、−側を「左」ともいう。
図5および図6に示すように、ガイドユニット21は、左右に設けられた支持フレーム24と、左右の支持フレーム24間に渡すように設けられた略矩形状の送りプレート25と、送りプレート25の左側辺部に設けられた可動ガイド部26と、送りプレート25の右側辺部に設けられた固定ガイド部27とを備えている。
支持フレーム24の前端部には、送られていくダイカットラベル用紙Rに適度なテンションを付与するテンションレバー28(図3参照)を、回動可能に支持するテンション軸29が固定されている。一方、送りプレート25の後端部上面には、ユーザーによりロール紙装填部20から引き出されたダイカットラベル用紙Rを、印刷部23に向けて送る搬送用ローラー223(図4参照)をカバーするローラーカバー31が支持されている。ユーザーは、ダイカットラベル用紙Rを送りプレート25上にセットする際、ロール紙装填部20から引き出したダイカットラベル用紙Rの先端を、搬送用ローラー223に突き当てるようにして、セットする。また、このとき、ダイカットラベル用紙Rは、貼付面1aが表面となるように、すなわち貼付面1aが上になるようにして、セットされる。
各支持フレーム24は、下方が台形状に広く切り欠かれた略矩形の板状に形成されている。各支持フレーム24の中央には、後述するガイド軸35が固定されている。また、各支持フレーム24の上端面には、送りプレート25の側辺部が支持されている。
送りプレート25は、略矩形の板状に形成されており、送りプレート25の上面(送り経路面)に沿ってダイカットラベル用紙Rが送られる。送りプレート25の中央には、左右に長い略矩形状のガイド開口32が形成されている。ガイド開口32には、後述するボックス部45が装置幅方向(左右方向)にスライド可能に設けられている。
また、送りプレート25のガイド開口32の前方および後方には、浅く且つ左右に長い略矩形状のガイド凹陥部33がそれぞれ形成されている。各ガイド凹陥部33には、後述する可動側押圧受け部43(図7参照)が装置幅方向にスライド可能に設けられている。さらに、送りプレート25の右側辺部には、浅く且つ前後に長い略矩形状の固定側凹陥部34が形成されている。固定側凹陥部34には、後述する固定側押圧受け部143が嵌め込まれている。
可動ガイド部26は、左右に延在するガイド軸35と、ガイド軸35にスライド可能に構成された可動ガイド36と、可動ガイド36をガイド軸35に対してロック・アンロックするロック機構37と、可動ガイド36に設けられ、ダイカットラベル用紙Rの左側辺部を押圧する可動側側辺部押圧機構38とを備えている。なお、ガイド軸35は、上記の支持フレーム24を介して接地されている。
<可動ガイド部>
図7は、ガイドユニットの可動ガイド部の構成を示す斜視図である。図8は、可動ガイド部の構成を示す平面図である。図9は、図8におけるA−A線での断面図である。なお、図7〜図9においては、説明の便宜上、可動側側辺部押圧機構38の図示を省略している。可動ガイド部26の構成について図7〜図9を参照して説明する。
図7〜図9に示すように、可動ガイド36は、ガイド軸35にスライド可能に取り付けられたベース部40と、ベース部40の前端部に設けられた側端押え部材42と、ベース部40の前端部と後端部との間に位置して、ダイカットラベル用紙Rに対して進退可能にベース部40に取り付けられた進退スライダー44とを備えている。
ベース部40は、前後に延在するように送りプレート25上に設けられたベース本体41と、ベース本体41の下端略中央から右方に延びる略直方体状のボックス部45と、ベース本体41の前後両端部に設けられた2つの可動側押圧受け部43と、ベース本体41の前端部および後端部にそれぞれ形成された2つの押えレバー軸支部46とを有している。なお、ベース本体41の上方には、前後略中間部に位置して、後述するロック解除レバー75の上方を左右に覆うように形成された解除レバーカバー部47が取り付けられている。解除レバーカバー部47は、ユーザーがロック解除レバー75を解除位置(後述する)に回動操作する際の手掛かりとなる。
ボックス部45は、下方が開放された略直方体状であり、装置幅方向にスライド可能にガイド軸35に支持されている。ボックス部45の右側面には、ガイド軸35が挿通したガイド軸孔48が形成されている。一方、ボックス部45の左側面には、短円筒状のガイド円筒状凸部49が突出形成され、ガイド円筒状凸部49にガイド軸35が挿通している。このガイド円筒状凸部49を介して、ガイド軸35にロック解除レバー75が前後に回動可能に支持されている。
ボックス部45の上面右後隅部には、略前後方向に僅かに長い無底溝状のロック長孔53が形成されている。このロック長孔53には、後述するロック軸71が嵌入されている。さらに、ボックス部45の後面左方寄りには、後述するロックバネ74の後端が係止されるロックバネ後係止部54が形成されている。
ベース本体41の前後両端部に形成された各押えレバー軸支部46は、略逆「U」字状に突設した軸支凸部55と、2つの軸支凸部55の互いの対向面には、短円柱状の軸支ボス57がそれぞれ形成されている。さらに、2つの軸支凸部55の内側近傍には、後述するレバーバネ87の下端が係止されるレバーバネ下係止部59が形成されている。
側端押え部材42は、ベース本体41の右側面の前端部に取り付けられている。側端押え部材42は、矩形の板状部材を、下方寄りの箇所で右側に水平に折り曲げるようにして形成されており、折曲部よりも下方が、側端受部としての突当部42aとなっている。ダイカットラベル用紙Rが斜行した際、この突当部42aに、後述する押圧受け基端部62によって左側辺部が傾斜したダイカットラベル用紙Rの左側端が突き当たる。これにより、ダイカットラベル用紙Rの左側辺部が浮き上がりにくくなり、左側辺部の浮き上がりによる左側辺部の折れが防止されるようになっている。また、ダイカットラベル用紙Rが斜行した際、突当部42aは、送り経路面(送りプレート25の上面)に沿って送られるダイカットラベル用紙Rの側端からの押圧を受けることが可能に構成されている。
各可動側押圧受け部43は、ベース本体41の右側面の下端部から右側に向けて、略矩形状に突設されており、先端側の押圧受け先端部61と、基端側の押圧受け基端部62とを有している。
図10Aおよび図10Bは、図12におけるB−B線での断面図である。図11A〜図11Cは、ロック機構の状態を示す平面図である。図12は、可動部の構成を示す平面図である。なお、図10Aは、可動側押えレバー86を離間位置に回動した状態を示し、図10Bは、可動側押えレバー86を押圧位置に回動した状態を示している。また、図11Aは、ロックプレート72がロック位置に回動した状態を示し、図11Bは、ロックプレート72が中間位置に回動した状態を示し、図11Cは、ロックプレート72がアンロック位置に回動した状態を示している。
図10Aおよび図10Bに示すように、押圧受け先端部61は、可動側押えレバー86によるダイカットラベル用紙Rの左側辺部への押圧を受ける部位となる。押圧受け先端部61の上面(平坦面61a)は、送りプレート25の上面と略面一になっている。押圧受け基端部62は、平坦面61aに対して突出形成されている。すなわち、押圧受け基端部62の上面(傾斜面62a)は、平坦面61aから基端側に向かって先上がりとなる斜面状に形成されている。この傾斜面62aにより、ダイカットラベル用紙Rの左側辺部が、左側端に向けて先上がりとなるように傾斜する。これにより、ダイカットラベル用紙Rの左側辺部が貼付面側(表面側)に凸となるように折れることが防止される。
なお、各可動側押圧受け部43は、上記した前後の各ガイド凹陥部33内に埋め込まれるようにして設けられており、各可動側押圧受け部43は、各ガイド凹陥部33の前後壁により前後方向にガイドされながら、装置幅方向(左右方向)にスライドする。これにより、可動ガイド36が前後方向に対して斜めに傾くことなく、装置幅方向にスライド可能となっている。
図7〜図9に示すように、ガイドユニット21の進退スライダー44は、ダイカットラベル用紙Rの左側端が当接するガイド面を有する規制部としてのスライダーガイド部63と、スライダーガイド部63の上辺部から左方に延びるスライダー上壁部64と、を備え、断面略逆「L」字状に形成されている。スライダーガイド部63の下端中央には、右方に向けて延びるスライダー下片65が形成されている。さらに、進退スライダー44の前後両端部には、後述する可動側押えレバー86の押えレバー係合部96と係合するスライダー係合部66がそれぞれ形成されている。
可動側押えレバー86は、先端面(後述するシート押圧部99)がダイカットラベル用紙Rから離間した離間位置(図10A参照)と、先端面によりダイカットラベル用紙Rを平坦面61aに対して押圧する押圧位置(図10B参照)との間で、回動可能に構成されている。
進退スライダー44は、後述する可動側押えレバー86の回動操作に連動して、左右方向に前進する前進位置と、左右方向に後退する後退位置との間で、微小量(例えば0.5mm)進退する。すなわち、詳細は後述するが、可動側押えレバー86が離間位置に回動した際には、進退スライダー44が前進位置に前進し、可動側押えレバー86が押圧位置に回動した際には、進退スライダー44が後退位置に後退するようになっている。
進退スライダー44のスライダーガイド部63は、ダイカットラベル用紙Rを送り経路面(送りプレート25の上面)に載置(セット)する際に、ダイカットラベル用紙Rの少なくとも一方の側端の位置を規制するものである。本実施形態のスライダーガイド部63は、ダイカットラベル用紙Rの左側端の位置を規制する。スライダーガイド部63は、前後に長い略矩形状に形成され、送りプレート25の上面に対して垂直を為している。また、スライダーガイド部63には、押圧位置に回動した可動側押えレバー86のスライダー押圧部97(後述する)が当接するようになっている。また、スライダー上壁部64は、上記のベース本体41の上面に支持されている。
スライダー下片65は、上記のガイド開口32に嵌め込まれており、このスライダー下片65の上面が、送りプレート25の上面と略面一となっている。スライダー下片65は、ガイド開口32の前後縁部により前後方向にガイドされながら、ボックス部45の上面をスライドする。これにより、進退スライダー44が前後方向に対して斜めに傾くことなく、左右方向に進退可能となっている。
図10Aに示すように、可動側押えレバー86が押圧位置から離間位置に回動すると、進退スライダー44のスライダー係合部66が可動側押えレバー86の押えレバー係合部96と係合(当接)して右方向に押圧され、進退スライダー44が前進位置へ移動する。これにより、進退スライダー44のスライダーガイド部63は、側端押え部材42の突当部42aより右方向に前進(突出)する。
図10Bに示すように、可動側押えレバー86が離間位置から押圧位置に回動すると、進退スライダー44のスライダー係合部66は、可動側押えレバー86の押えレバー係合部96と係合離脱(離間)する。そして、進退スライダー44のスライダーガイド部63が可動側押えレバー86のスライダー押圧部97と当接して左方向に押圧され、進退スライダー44が後退位置へ移動する。これにより、進退スライダー44のスライダーガイド部63は、側端押え部材42の突当部42aより左方向に後退する。
<ロック機構の構成>
図11A〜図11Cは、ロック機構の状態を示す平面図である。図11Aは、ロックプレートがロック位置に回動した状態を示し、図11Bは、ロックプレートが中間位置に回動した状態を示し、図11Cは、ロックプレートがアンロック位置に回動した状態を示している。
図7〜図9、図11A〜図11Cに示すように、ロック機構37は、上記のボックス部45のロック長孔53に挿入したロック軸71が立設されたロックプレート72と、ボックス部45との間にロックプレート72を回動可能に支持する支持プレート73と、ロックプレート72を回動付勢するロックバネ74と、ロックバネ74に抗してロックプレート72を回動操作するためのロック解除レバー75とを有している。
ロックプレート72は、スチール板などの金属製の板材で構成されており、左右に長い略横「L」字状に形成されている。ロックプレート72の後辺部やや右方寄りには、ロック突片76が上向きに形成されている。ロック突片76には、例えばゴムで構成された誘電性の摩擦部材77が取り付けられている。
ロック軸71と摩擦部材77とは、ガイド軸35を前後に挟むようにして設けられている。そして、ロックプレート72は、ロック軸71および摩擦部材77がガイド軸35に当接したロック位置(図11A参照)と、ロック軸71および摩擦部材77がガイド軸35から離間したアンロック位置(図11C参照)との間で、回動可能に構成されている。
ロック軸71は、円柱状に形成された金属製のものであり、ロックプレート72の右後端部にかしめ固定されている。ロック軸71は、上記のロック長孔53の幅と略同寸法の径を有しており、ロック長孔53に嵌入している。これにより、ロック長孔53が形成されたボックス部45(可動ガイド36)が、ロックプレート72に対して装置幅方向に位置決めされる。そして、ロック軸71は、ロックプレート72の回動によりロック長孔53に沿って移動する。このとき、ロック軸71が円柱状であるため、ロックプレート72の回動によりロック軸71がロック長孔53に沿って移動した場合にも、ロック軸71に対してロック長孔53(ボックス部45)がガタつくことがない。このため、ロックプレート72がロック位置に回動した際に、可動ガイド36がガタつくことなく、ガイド軸35に対してロックすることができる。
また、ロックプレート72の後辺部の左端には、解除レバー受け片78が下向きに形成されている。解除レバー受け片78には、ロック解除レバー75の下端部(解除レバー作動部85)が当接する。さらに、ロックプレート72の前辺部やや左方寄りには、左方に屈曲して延びるロックバネ前係止部79が形成されている。ロックバネ前係止部79の先端に、ロックバネ74の前端が係止されている。なお、ロック軸71の近傍には、後述する固定ネジ80が貫通すると共にロックプレート72の回動を許容する大きさの貫通孔81(バカ孔)が形成されている。
支持プレート73は、ロックプレート72を間に挟んでボックス部45の下方を覆うように設けられており、先端がボックス部45の上壁部に螺合する固定ネジ80により、ボックス部45に固定されている。これにより、ロックプレート72が、支持プレート73上に回動可能に支持される。
なお、支持プレート73には、可動ガイド36のスライド位置(ダイカットラベル用紙Rの幅寸法)を検出するボリューム抵抗器の検出レバー(図示省略)と係合する抵抗器ガイド部82が、形成されている。
ロックバネ74は、引張コイルバネで構成されており、前端がロックプレート72のロックバネ前係止部79に係止され、後端がボックス部45のロックバネ後係止部54に係止されている。ロックバネ74は、ロックプレート72をロック位置に向けて(上面視時計回りに)回動付勢している。
ロック解除レバー75は、縦断面略逆「P」字状に形成され、ボックス部45のガイド円筒状凸部49を介して、ガイド軸35に回動可能に支持されている。ロック解除レバー75は、ボックス部45の下方寄りに形成された解除レバー軸挿通部83と、上端部に形成された解除レバー摘み部84と、下端部に形成された解除レバー作動部85とを有している。解除レバー作動部85は、ロックプレート72の解除レバー受け片78と係合している。
ロック解除レバー75は、解除レバー摘み部84が上記の解除レバーカバー部47から前方に露出した非解除位置と、解除レバー摘み部84が解除レバーカバー部47内に入った解除位置と、の間で回動する。すなわち、ロック解除レバー75は、ロックプレート72を介してロックバネ74により非解除位置に付勢されている。ユーザーが、解除レバー摘み部84を摘まんで、ロックバネ74に抗してロック解除レバー75を解除位置に回動させると、ロックプレート72がロック位置からアンロック位置へと回動する。
図11A〜図11Cに示すように、このように構成されたロック機構37では、ロックプレート72の摩擦部材77およびロック軸71が、ガイド軸35を前後に挟むようにして設けられている。これにより、ロックプレート72がロック位置に回動した状態(図11A参照)では、ロックバネ74により摩擦部材77がロック軸71を支点としてガイド軸35に対して回動付勢されると共に、ロックバネ74によりロック軸71が摩擦部材77を支点としてガイド軸35に対して回動付勢される。すなわち、ロックプレート72がロック位置に回動した状態では、摩擦部材77からガイド軸35に対しては、ガイド軸35に当接したロック軸71を支点とし、ロックバネ74が係止したロックバネ前係止部79の先端を力点とした力が作用する。また、ロック軸71からガイド軸35に対しては、ガイド軸35に当接した摩擦部材77を支点とし、ロックバネ前係止部79の先端を力点とした力が作用する。
ユーザーが、ロックバネ74に抗してロック解除レバー75を解除位置に回動操作すると、ロックプレート72は、ガイド軸35に当接した摩擦部材77を支点として、ロック軸71がロック長孔53の後端縁に当接する位置(中間位置(図11B参照))まで、上面視反時計回りに回動する。さらに、ロックプレート72は、ロック長孔53の後端縁に当接したロック軸71を支点として、中間位置から、摩擦部材77がガイド軸35から離間したアンロック位置(図11C参照)に回動する。この状態で、ユーザーは、可動ガイド部26をスライド操作する。
ユーザーによる可動ガイド部26のスライド操作後、ロック解除レバー75から手を離すと、ロックプレート72は、ロックバネ74の付勢力により、ロック長孔53の後端縁に突き当たったロック軸71を支点として、アンロック位置から、摩擦部材77がガイド軸35に当接した中間位置へ、上面視時計回りに回動する。さらに、ロックプレート72は、ガイド軸35に当接した摩擦部材77を支点として、中間位置からロック位置へ、上面視時計回りに回動する。このように、ロックプレート72がアンロック位置からロック位置に回動する際、まず、摩擦部材77がガイド軸35に当接する中間位置まで回動した後、さらに、摩擦部材77を支点としてロック軸71がガイド軸35に当接するロック位置まで回動する。このため、ロックプレート72に厳密な寸法精度を要することなく、摩擦部材77およびロック軸71の双方を軸部材に確実に当接させることができる。
なお、本実施形態では、ロック軸71は、摩擦部材77と共にガイド軸35に当接して摩擦を生じさせる(ロック)ほか、上記のように、可動ガイド36をロックプレート72に対して位置決めしているが、ロック用の部位と、位置決め用の部位とを、別々に設けてもよい。
図5、図6、図10A、図10Bおよび図12に示すように、可動側側辺部押圧機構38は、上記した2つの押えレバー軸支部46に回動可能に支持された上面視略「コ」字状の可動側押えレバー86と、各押えレバー軸支部46に設けられた2つのレバーバネ87とを備えている。
押圧位置に位置する可動側押えレバー86は、ダイカットラベル用紙Rの送りを許容しつつ、ダイカットラベル用紙Rの左側辺部を、上記の押圧受け先端部61の平坦面61aに対して押圧する。これにより、ダイカットラベル用紙Rの左側辺部が押圧受け先端部61の平坦面61aから浮き上がりにくくなるため、左側辺部の浮き上がりによる左側辺部の折れが防止されるようになっている。
ユーザーは、送りプレート25上にダイカットラベル用紙Rをセットする際に、可動側押えレバー86を離間位置に回動操作する。これにより、ユーザーは、送りプレート25上にダイカットラベル用紙Rをセットする作業を容易に行うことができる。また、ユーザーは、ダイカットラベル用紙Rのセットが終了し、ダイカットラベル用紙Rを印刷部23に送る際に、可動側押えレバー86を離間位置から押圧位置に回動操作する。これにより、ダイカットラベル用紙Rは、可動側押えレバー86により左側辺部が押圧された状態で送られる。
可動側押えレバー86は、押えレバーケース88と、押えレバーケース88内に収容された前後2つのシート押圧アーム89とを有している。押えレバーケース88は、前後両端部にそれぞれ形成された略矩形状の押えレバー端部90と、2つの押えレバー端部90同士を接続する押えレバー接続部91とを有している。
各押えレバー端部90は、回動基端側(押圧状態において左側)に突出形成された押えレバー外側凸部92および押えレバー内側凸部93と、回動先端側(押圧状態において右側)に形成された押えレバー摘み部94とを有している。2つの押えレバー内側凸部93を前後に挟むようにして、2つの押えレバー外側凸部92が設けられている。
各押えレバー外側凸部92には、上記の軸支ボス57(図7参照)が前後外側から係合する、押えレバー軸孔(図示省略)が形成されている。各押えレバー外側凸部92は、押圧状態において、上面から左側面にかけて、円弧面状に形成されると共に、左側面から下面にかけて段部を介して、円弧面状に形成されている。
各押えレバー内側凸部93の前後外側の面(隣接する押えレバー外側凸部92との対向面)には、レバーバネ87の上端が係止されるレバーバネ上係止部95が突設されている。各押えレバー内側軸部は、押えレバー外側凸部92と同様に、上面から左側面にかけて、円弧面状に形成されると共に、左側面から下面にかけて、段部を介して、円弧面状に形成されている。この段部が、進退スライダー44のスライダー係合部66と係合する押えレバー係合部96となっている。すなわち、可動側押えレバー86が離間位置に回動した状態では、押えレバー係合部96がスライダー係合部66と係合し(図10A参照)、可動側押えレバー86が押圧位置に回動した状態では、押えレバー係合部96がスライダー係合部66から係合離脱する(図10B参照)。
押えレバー接続部91は、送り方向から見て、押えレバー端部90に対して略90°を為すように形成されている。押えレバー接続部91の左側面、すなわち、押圧位置において進退スライダー44のスライダーガイド部63と対向する面には、スライダー押圧部97が前後2箇所に突設されている。可動側押えレバー86の押圧位置への回動により、2つのスライダー押圧部97がスライダーガイド部63を押圧することで、進退スライダー44が後退位置へ後退する(図10B参照)。また、可動側押えレバー86の離間位置への回動により、2つのスライダー押圧部97はスライダーガイド部63から離間する(図10A)。
押えレバー接続部91の先端面(下面)の前後両端部には、シート押圧アーム89のシート押圧部99(後述する)をケース内部から突出させるアーム開口98がそれぞれ形成されている。
各シート押圧アーム89は、前後内側の端部で押えレバー接続部91内に回動可能に支持されると共に、前後外側の端部にシート押圧部99が形成されている。シート押圧部99は、下面が緩やかな円弧面状に形成されている。さらに、押えレバー接続部91内には、シート押圧部99がアーム開口98から突出する方向に各シート押圧部99を付勢するアームバネ100(圧縮コイルバネ)が内蔵されている。これにより、各シート押圧アーム89は、アーム開口98から突出したシート押圧部99の下面がダイカットラベル用紙Pの左側辺部に当接し、ダイカットラベル用紙Pの左側辺部を弾性的に押圧する。したがって、前後のシート押圧部99間で、ダイカットラベル用紙Pの左側辺部をバランス良く押圧することができる。
<固定ガイド部>
図5および図6に示すように、固定ガイド部27は、送りプレート25の右側辺部に固定された固定ガイド136と、固定ガイド136に設けられ、ダイカットラベル用紙Rの右側辺部を押圧する固定側側辺部押圧機構138とを備えている。
固定ガイド136は、ダイカットラベル用紙Rの右側端が当接するガイド面が形成されたブロック部141と、ブロック部141のガイド面の下端部から、左方に延設された固定側押圧受け部143とを有している。さらに、ブロック部141の前端部には、可動ガイド36と同様に側端押え部材42が取り付けられている。
ブロック部141の前端部および後端部には、可動ガイド36の押えレバー軸支部46と同様に構成された、押えレバー軸支部146がそれぞれ形成されている。押えレバー軸支部146には、可動側側辺部押圧機構38の可動側押えレバー86と同様に構成された、固定側側辺部押圧機構138の固定側押えレバー186が回動可能に支持されている。固定側押えレバー186は、可動側押えレバー86と同様に、レバーバネ187により、押圧位置と離間位置とにそれぞれ付勢されている。
固定側押圧受け部143は、前後に長い略矩形の板状に形成されている。固定側押圧受け部143は、可動側押圧受け部43と同様に、送りプレート25の上面と略面一の上面(平坦面161a)を有する先端側の押圧受け先端部161と、平坦面161aから基端側に向かって先上がりとなる傾斜面162aを有する基端側の押圧受け基端部162とで構成されている。
図13Aは、搬送用ローラーと側面押え部材の突当部との位置関係を示す平面図である。図13Bは、搬送用ローラーと側面押え部材の突当部との位置関係を示す側面図である。図14は、突当部がダイカットラベル用紙の端面から受ける端面荷重を示す図である。搬送用ローラー223から突当部42aまでの距離Lと、突当部42aが受ける端面荷重Fについて図13A、図13Bおよび図14を参照して説明する。
図13Aおよび図13Bに示すように、突当部42aは、ダイカットラベル用紙Rの搬送方向において搬送用駆動ローラー225よりも上流側に位置している。搬送用駆動ローラー225と搬送用従動ローラー227とに挟まれて搬送されるダイカットラベル用紙Rが斜行する際に、ダイカットラベル用紙Rは搬送用駆動ローラー225の左右方向におけるある一点を中心に回転する。この時、突当部42aは、ダイカットラベル用紙Rの端面から押圧(端面荷重F)を受ける。逆に、ダイカットラベル用紙Rの端面は、突当部42aから端面荷重Fに相当する反力を受ける。
図14は、搬送用駆動ローラー225と搬送用従動ローラー227とに所定の荷重で挟まれて搬送されるダイカットラベル用紙Rが回転した時に、突当部42aが受ける端面荷重Fを示している。図14の縦軸は端面荷重Fを、横軸は搬送方向における搬送用駆動ローラー225の軸線から突当部42aまでの距離Lを表している。図14に示すように、搬送用駆動ローラー225の左右方向におけるある一点を中心に回転するダイカットラベル用紙Rのトルクが突当部42aに与える端面荷重Fは、距離Lに反比例する。すなわち、突当部42aを設ける位置を、搬送用駆動ローラー225から遠ざけることにより、突当部42aに加わる端面荷重F、およびダイカットラベル用紙Rが突当部42aから受ける反力を小さくすることができる。
本願の発明者らは、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に生じる折れに関して、搬送用従動ローラー227におけるダイカットラベル用紙Rに加える単位長さ当たりの荷重Pと、搬送方向における突当部42aの設置位置とに関連があることを実験によって見出した。
図15は、ダイカットラベル用紙の押え荷重と突当部の位置とダイカットラベル用紙の折れの有無との関係を示す表である。図15の表中の「単位長荷重」は、搬送用駆動ローラー225と搬送用従動ローラー227との間に位置するダイカットラベル用紙Rに対して加えられる押え荷重をダイカットラベル用紙Rの幅で除した単位長さ当たりの荷重をPとして示している。「距離」は、搬送用駆動ローラー225から突当部42aまでの距離をLとして示している。「比」は、単位長さ当たりの荷重Pを距離Lで除した比をP/Lで示している。「結果」は、単位長さ当たりの荷重Pと距離Lとをパラメーターとしてダイカットラベル用紙Rの搬送実験を行った際に、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に折れが生じなかった場合を「OK」、折れが生じた場合を「NG」で示している。
図16は、ダイカットラベル用紙の押え荷重と突当部の位置とダイカットラベル用紙の折れの有無との関係を示すグラフである。図15および図16に示すように、ダイカットラベル用紙Rの側辺部の折れは、P/L=0.8のラインを境界として、P/L>0.8の領域で発生することがわかった。そこで、ガイドユニット21の可動ガイド部26および固定ガイド部27に備えられる突当部42aは、P/L<0.8を満たす位置に設置されている。これにより、ラベルを剥離するピーラーを備えるなどで、搬送用駆動ローラー225におけるダイカットラベル用紙Rの押え荷重(単位長さ当たりの荷重P)を大きくする必要がある場合でも、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に発生する折れを抑制することができる。
また、ガイドユニット21の突当部42aは、P/L>0.5を満たす位置に設置されることが好ましい。単位長さ当たりの荷重Pが同じ場合、距離Lを長くする程、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に発生する折れを抑制する効果が高くなるが、搬送方向におけるガイドユニット21の長さも長くなる。ガイドユニット21の突当部42aを、0.8>P/L>0.5を満たす位置に設けることにより、ガイドユニット21の装置サイズの増長を抑えつつ、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に発生する折れを抑制することができる。
図17Aは、ダイカットラベル用紙を送りプレートにセットする際の各部の位置関係を示す図である。図17Bは、ダイカットラベル用紙のセット後の各部の位置関係を示す図である。次に、ユーザーが、ガイドユニット21の送りプレート25上にダイカットラベル用紙Rをセットする工程を説明する。
図17Aは、ダイカットラベル用紙Rをセットする際の規制部としてのスライダーガイド部63と、側端受部としての突当部42aと、ダイカットラベル用紙Rの側端との左右方向(以下、用紙幅方向ともいう)における位置関係を表している。ユーザーは、ダイカットラベル用紙Rを送りプレート25上にセットする際、開閉蓋17を開放し、送りプレート25の左側側辺部に設けられた可動ガイド部26の可動側押えレバー86と、送りプレート25の右側側辺部に設けられた固定ガイド部27の固定側押えレバー186を押圧位置から離間位置に回動する。これにより、可動ガイド部26の進退スライダー44が後退位置から前進位置に移動し、スライダーガイド部63が側端押え部材42の突当部42aより右方向に突出する。
ユーザーは、ロック解除レバー75を非解除位置から解除位置に回動し、可動ガイド部26を左右方向にスライド可能にする。そして、ユーザーは、送りプレート25上にダイカットラベル用紙Rを置き、ダイカットラベル用紙Rの右側端が固定ガイド部27の突当部42aに突き当たり、左側端が可動ガイド部26のスライダーガイド部63に突き当たるまで、可動ガイド部26を右方向にスライドさせ、ダイカットラベル用紙Rの幅方向の位置決めを行う。
そして、ユーザーは、ロック解除レバー75を解除位置に位置させ、可動側押えレバー86、および固定側押えレバー186を離間位置から押圧位置に回動する。ダイカットラベル用紙Rの左側辺部が押圧位置に回動した可動側押えレバー86によって押圧され、ダイカットラベル用紙Rの右側辺部が押圧位置に回動した固定側押えレバー186によって押圧され、ダイカットラベル用紙Rの送りプレート25上へのセットが完了する。この時、可動ガイド部26のスライダーガイド部63は、ダイカットラベル用紙Rの左側端から離間する。ダイカットラベル用紙Rの紙幅は、公差を有し、所定の公差内で紙幅が変動する。ガイドユニット21は、ダイカットラベル用紙Rの紙幅が可動ガイド部26の突当部42aと固定ガイド部27の突当部42aとの間隔より広くなった場合にダイカットラベル用紙Rの側辺部に生じる折れを抑制することができる。また、ガイドユニット21は、ダイカットラベル用紙Rに過度な送り抵抗が加わることなく、ダイカットラベル用紙Rを好適に送ることができる。
なお、本実施形態では、送りプレート25の左側側辺部に可動ガイド部26を、右側側辺部に固定ガイド部27を備えたガイドユニット21を例示したが、左側側辺部に固定ガイド部27を、右側側辺部に可動ガイド部26を備えたガイドユニットであってもよい。
以上述べたように、本実施形態に係るシートガイド装置としてのガイドユニット21および印刷装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
ガイドユニット21は、搬送用駆動ローラー225と搬送用従動ローラー227とを有する搬送部22によって、送りプレート25の上面に沿って送られるダイカットラベル用紙Rの側端から押圧を受けることが可能な突当部42aを備えている。突当部42aは、搬送用駆動ローラー225よりも上流側に位置している。
本願の発明者らは、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に生じる折れに関して、搬送用駆動ローラー225におけるダイカットラベル用紙Rに加える荷重と、搬送方向における突当部42aの設置位置とに関連があることを実験によって見出した。
実験の結果、搬送用駆動ローラー225と搬送用従動ローラー227との間に位置するダイカットラベル用紙Rに対して加える単位長さ当たりの荷重をP、搬送用駆動ローラー225から突当部42aまでの距離をLとしたとき、本実施形態の突当部42aは、P/L<0.8を満たす位置に設置される。これにより、ラベルを剥離するピーラーを備えるなどで、搬送用駆動ローラー225におけるダイカットラベル用紙Rの押え荷重(単位長さ当たりの荷重P)を大きくする必要がある場合でも、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に発生する折れを抑制することができる。したがって、ダイカットラベル用紙Rの折れを抑制したガイドユニット21を提供することができる。
ガイドユニット21の突当部42aは、P/L>0.5を満たす位置に設置される。ガイドユニット21の突当部42aを、0.8>P/L>0.5を満たす位置に設けることにより、ガイドユニット21の増長を抑えつつ、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に発生する折れを抑制することができる。
ガイドユニット21は、ダイカットラベル用紙Rの少なくとも一方の側端位置(本実施形態では左側端位置)を規制する規制部としてのスライダーガイド部63を備えている。スライダーガイド部63は、ダイカットラベル用紙Rのセット後に、ダイカットラベル用紙Rの左側端から離間する。これにより、ダイカットラベル用紙Rの幅が、所定の公差内で増幅した場合に、ダイカットラベル用紙Rの側端とスライダーガイド部63とが干渉することにより生じるダイカットラベル用紙Rの側辺部の折れを抑制することができる。
印刷装置10は、搬送用駆動ローラー225におけるダイカットラベル用紙Rへの単位長さ当たりの押え荷重Pを大きくした場合でも、ダイカットラベル用紙Rの側辺部に発生する折れを抑制するガイドユニット21を備えている。したがって、ダイカットラベル用紙Rの折れを抑制した印刷装置10を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例)
図18Aは、変形例に係るガイドユニットにおいて、ダイカットラベル用紙を送りプレートにセットする際の各部の位置関係を示す図である。図18Bは、ダイカットラベル用紙のセット後の各部の位置関係を示す図である。次に、ユーザーが、ガイドユニット121の送りプレート25上にダイカットラベル用紙Rをセットする工程を説明する。なお、本変形例のガイドユニット121は、送りプレート25の左側側辺部と右側側辺部とに可動ガイド部26を備えている。また、実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
図18Aは、ダイカットラベル用紙Rをセットする際の規制部としてのスライダーガイド部63と、側端受部としての突当部42aと、ダイカットラベル用紙Rの側端との左右方向(以下、用紙幅方向ともいう)における位置関係を表している。ユーザーは、ダイカットラベル用紙Rを送りプレート25上にセットする際、開閉蓋17を開放し、送りプレート25の左側側辺部に設けられた可動ガイド部26(以下、左側可動ガイド部26ともいう)、および右側側辺部に設けられた可動ガイド部26(以下、右側可動ガイド部26ともいう)の可動側押えレバー86を押圧位置から離間位置に回動する。これにより、可動ガイド部26の進退スライダー44が後退位置から前進位置に移動し、左側可動ガイド部26のスライダーガイド部63が側端押え部材42の突当部42aより右方向に突出し、右側可動ガイド部26のスライダーガイド部63が側端押え部材42の突当部42aより左方向に突出する。
ユーザーは、ロック解除レバー75を非解除位置から解除位置に回動し、左側可動ガイド部26、および右側可動ガイド部26を左右方向にスライド可能にする。そして、ユーザーは、送りプレート25上にダイカットラベル用紙Rを置き、ダイカットラベル用紙Rの右側端が右側可動ガイド部26のスライダーガイド部63に突き当たり、左側端が左側可動ガイド部26のスライダーガイド部63に突き当たるまで、左側可動ガイド部26を右方向に、右側可動ガイド部26を左方向にスライドさせ、ダイカットラベル用紙Rの幅方向の位置決めを行う。なお、左側可動ガイド部26、および右側可動ガイド部26は、ガイドユニット121の装置幅方向の中心を基準として、互いに左右逆方向にスライドするように構成されている。これにより、ダイカットラベル用紙Rの幅方向の中心は、常にガイドユニット121の装置幅方向の中心にセンタリングされる。
そして、ユーザーは、ロック解除レバー75を解除位置に位置させ、左側および右側可動ガイド部26の可動側押えレバー86を離間位置から押圧位置に回動する。ダイカットラベル用紙Rの左側辺部および右側辺部が押圧位置に回動した可動側押えレバー86によって押圧され、ダイカットラベル用紙Rの送りプレート25上へのセットが完了する。この時、左側可動ガイド部26および右側可動ガイド部26のスライダーガイド部63は、ダイカットラベル用紙Rの左右側端から離間する。これにより、ダイカットラベル用紙Rの幅が、所定の公差で増幅した場合でも、ダイカットラベル用紙Rの幅方向の中心はずれないので印刷の位置精度が向上する。また、ダイカットラベル用紙Rの側端とスライダーガイド部63とが干渉することにより生じるダイカットラベル用紙Rの側辺部の折れを抑制することができる。また、ダイカットラベル用紙Rに過度な送り抵抗が加わることなく、ダイカットラベル用紙Rを好適に送ることができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
本願のシートガイド装置は、駆動ローラーと前記駆動ローラーの回転に伴って従動回転する従動ローラーとを有し、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに挟まれたシート状部材を搬送方向に搬送する搬送部によって、送り経路面に沿って送られる前記シート状部材の側端からの押圧を受けることが可能な側端受部を備え、前記側端受部は、前記搬送方向において前記駆動ローラーよりも上流側に位置しており、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとの間に位置する前記シート状部材に対して加えられる単位長さ当たりの荷重をP、前記搬送方向における前記側端受部の前記駆動ローラーからの距離をLとしたときに、P/L<0.8を満たすことを特徴とする。
この構成によれば、シートガイド装置は、駆動ローラーと従動ローラーとを有する搬送部によって、送り経路面に沿って送られるシート状部材の側端からの押圧を受けることが可能な側端受部を備えている。側端受部は、駆動ローラーよりも上流側に位置している。
本願の発明者らは、シート状部材の側辺部に生じる折れに関して、駆動ローラーにおけるシート状部材に加える荷重と、搬送方向における側端受部の設置位置とに関連があることを、実験によって見出した。駆動ローラーと従動ローラーとの間に位置するシート状部材に対して加える単位長さ当たりの荷重をP、搬送方向における側端受部の駆動ローラーからの距離をLとしたとき、側端受部は、P/L<0.8を満たす位置に設置される。これにより、駆動ローラーにおけるシート状部材への押え荷重を大きくした場合でも、シート状部材の側辺部に発生する折れが抑制される。したがって、シート状部材の側辺部の折れを抑制したシートガイド装置を提供することができる。
上記のシートガイド装置は、前記荷重をP、前記距離をLとしたときに、P/L>0.5を満たすことが好ましい。
この構成によれば、シートガイド装置の側端受部は、P/L>0.5を満たす位置に設置される。駆動ローラーにおけるシート状部材への押え荷重が同じ場合、Lを大きくする程、シート状部材の側辺部に発生する折れを抑制する効果が高くなるが、シートガイド装置の搬送方向に沿う長さも長くなる。シートガイド装置の側端受部を、0.8>P/L>0.5を満たす位置に設けることにより、シートガイド装置の増長を抑えつつ、シート状部材の側辺部に発生する折れを抑制することができる。
上記のシートガイド装置は、前記シート状部材を前記送り経路面に載置する際に、前記シート状部材の少なくとも一方の前記側端の位置を規制する規制部を備え、前記規制部は、前記シート状部材の載置後に、前記シート状部材の前記側端から離間することが好ましい。
この構成によれば、シートガイド装置は、シート状部材の少なくとも一方の側端位置を規制する規制部を備えている。規制部は、シート状部材を送り経路面に載置する際に、シート状部材の側端の位置を決めるものである。シート状部材の幅は、所定の公差を有しており、公差の範囲で増幅する。規制部は、シート状部材の載置後には側端から離間するので、シート状部材が増幅した場合にシート状部材の側端が規制部と干渉することにより、シート状部材の側辺部に発生する折れを抑制することができる。
本願の印刷装置は、上記のシートガイド装置と、駆動ローラーと前記駆動ローラーの回転に伴って従動回転する従動ローラーとを有し、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとに挟まれたシート状部材を搬送方向に搬送する搬送部と、前記シートガイド装置よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、前記シート状部材に対して印刷を行う印刷部と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、印刷装置は、駆動ローラーにおけるシート状部材への押え荷重を大きくした場合でも、シート状部材の側辺部に発生する折れを抑制するシートガイド装置を備えている。これにより、シート状部材の折れを抑制した印刷装置を提供することができる。