JP2019166716A - 良好な剥離性が得られるポリプロピレン系延伸フィルム - Google Patents

良好な剥離性が得られるポリプロピレン系延伸フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】同じフィルムのシール層同士を熱融着し、その融着部分を剥離する場合において、良好な剥離性ないし開放性が得られる新たなポリプロピレン系延伸フィルムを提供することを主な課題とする。【解決手段】本発明として、例えば、基材層およびシール層を有するポリプロピレン系延伸フィルムであって、防曇剤を含有し、かつ140℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着し、常温において、その融着部分をTD方向に200mm/分の速度で剥離される場合、最大ヒートシール強度に対して60%以上のヒートシール強度を保持しながら剥離されることを特徴とするポリプロピレン系延伸フィルムやそのポリプロピレン系延伸フィルムを用いて製造される包装用袋を挙げることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、合成樹脂からなる積層体フィルムの技術分野に属する。本発明は、ポリプロピレン系延伸フィルムに関するものであって、同じフィルムのシール層同士を熱融着し、その融着部分を剥離する場合において、良好な剥離性が得られるポリプロピレン系延伸フィルムと、該フィルムから製造される包装用袋に関するものである。
生野菜、果物、芋、キノコ等の青果物は、鮮度の保持や外部との接触による損傷から守るため袋状に加工された樹脂フィルムにより包装され、流通している。当該樹脂フィルムとしては、透明性、光沢性および剛性に優れることから、ポリプロピレン系延伸フィルムが一般に利用されている。
この樹脂フィルムを袋状に加工し、生野菜等の青果物を自動包装する装置として、縦ピロー機等の包装機が用いられている。縦ピロー機とは、まず樹脂フィルムを筒状にし、袋の底をシール後、袋上方より内容物を投入し、最後に袋上部をシールすることにより、内容物を袋状の樹脂フィルムで包装する装置である。
このような青果物を自動包装するためのフィルムに関して、剥離性の観点から、本出願人は、これまで、例えば、特許文献1〜3に記載の発明を出願し開示している。
特許文献1の発明は、ポリプロピレンを主成分とし少なくとも1軸延伸されたベース層(A)、シール破壊応力緩和層(B)、シール層(C)の少なくとも3層以上で構成されており、145℃、2kg・0.5秒の条件下におけるヒートシール強度が100〜1500g/cm、且つ、熱接着した部位を引張り剥がす際に、該ベース層(A)が裂けてフィルム全体が破断してしまう確率が10%以下であることを特徴とするピーラブル剥離性の熱接着性積層フィルムに関するものである。かかる積層フィルムは、熱接着した部位を引っ張り剥がしても、フィルム全体が破断してしまう確率が低いという剥離性に優れたものである。
特許文献2の発明は、ポリプロピレン基体層(A)の片面に、ポリオレフィン系樹脂による第一中間層(B)と第二中間層(C)とポリオレフィン系樹脂によるヒートシール層(D)とが順次積層されたポリオレフィン系多層フィルムであって、且つ該(A)、(B)、(C)、(D)の各層がビカット軟化温度で次の(1)、(2)に記載の関係をもってなることを特徴とする低温易剥離性ポリオレフィン系多層フィルムに関するものである。
(1)基体層(A)のビカット軟化温度>第一中間層(B)のビカット軟化温度>第二中間層(C)のビカット軟化温度、
(2)基体層(A)のビカット軟化温度>ヒートシール層(D)のビカット軟化温度>第二中間層(C)のビカット軟化温度。
上記ポリオレフィン系多層フィルムは、極低温であっても剥離性に優れる包装袋を製造できることから、冷凍食品用包装袋を製造するためのフィルムとして好ましいものである。
特許文献3の発明は、結晶性ポリプロピレンによる縦横延伸の基体層(D)の片面下から、下記するポリオレフィン系樹脂による層(C)、層(B)および層(A)が順次積層されていることを特徴とする包装用ポリオレフィン系積層フィルムに関するものである。
<層(C)用ポリオレフィン系樹脂>
プロピレンを主成分とするエチレンとC〜Cのオレフィンとの3元共重合樹脂
<層(B)用ポリオレフィン系樹脂>
エチレンとC〜Cのオレフィンとの2元共重合樹脂100質量部に対して、15〜40質量部の低密度ポリエチレンとのブレンド樹脂
<層(A)用ポリオレフィン系樹脂>
プロピレンとC〜Cのオレフィンとの非晶性2元共重合樹脂50〜75質量%とプロピレンとC〜Cのオレフィンとの結晶性2元共重合樹脂50〜25質量%とのブレンド樹脂
上記ポリオレフィン系積層フィルムは、層間剥離性(易開封性)等がより改良されているため、例えばピロータイプ包装袋に加工し、この中に、水分含有の食品を封入し、これを電子レンジで加熱調理しても、加熱中に内圧の上昇により破裂音をだして、急に基体層までも破ってしまうようなことがないものである。
特開2000−202958号公報 特開2003−191407号公報 特開2006−116891号公報
本発明の主な課題は、同じフィルムのシール層同士を熱融着し、その融着部分を剥離する場合において、良好な剥離性ないし開放性が得られる新たなポリプロピレン系延伸フィルムを提供することにある。また、かかるフィルムから製造される包装用袋を提供することも課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決しうる新たなポリプロピレン系延伸フィルムを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明としては、例えば、下記を挙げることができる。
[1]基材層およびシール層を有するポリプロピレン系延伸フィルムであって、防曇剤を含有し、かつ140℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着し、常温において、その融着部分をTD方向に200mm/分の速度で剥離される場合、最大ヒートシール強度に対して60%以上のヒートシール強度を保持しながら剥離されることを特徴とする、ポリプロピレン系延伸フィルム。
[2]前記最大ヒートシール強度が、2.5〜4.5N/10mmの範囲内である、上記[1]に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
[3]125℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着し、常温において、その融着部分をTD方向に剥離される場合のヒートシール強度が、0.6〜3N/10mmの範囲内である、上記[1]または[2]に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
[4]基材層/接着層/中間層/シール層の順に積層されている、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
[5]前記中間層が、非結晶性または低結晶性のエチレン−αオレフィン共重合体を主成分樹脂として構成されている、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
[6]前記シール層が、プロピレン系ランダム共重合体を主成分樹脂として構成されている、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
[7]上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルムを用いて製造される包装用袋。
本発明によれば、例えば、シール層同士を熱融着して袋状に形成し、その融着部分を徐々に引き剥がしていっても、ヒートシール強度を一定以上に保持することができ、また基材層の裂けや破断を抑えられるポリプロピレン系延伸フィルムを提供することができる。
測定用試料の概略図を示す。 ヒートシール強度の変化を表す。縦軸は、ヒートシール強度(N/10mm)を、横軸は、チャックが移動した距離(mm)を、それぞれ示す。実線は実施例1のフィルム試料の結果を、破線は比較例1のフィルム試料の結果を、点線は比較例2のフィルム試料の結果を、それぞれ示す。 各シール温度におけるヒートシール強度を表す。縦軸は、ヒートシール強度(N/10mm)を、横軸は、ヒートシール温度(℃)を、それぞれ示す。実線四角は実施例1のフィルム試料の結果を、点線三角は比較例1のフィルム試料の結果を、破線丸は比較例2のフィルム試料の結果を、それぞれ示す。
1 本発明のポリプロピレン系延伸フィルムについて
本発明のポリプロピレン系延伸フィルム(以下、「本発明フィルム」という)は、基材層およびシール層を有するポリプロピレン系延伸フィルムであって、防曇剤を含有し、かつ140℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着し、常温において、その融着部分をTD方向に200mm/分の速度で剥離される場合、最大ヒートシール強度に対して60%以上のヒートシール強度を保持しながら剥離されることを特徴とする。
1.1 保持率およびヒートシール強度
本発明フィルムは、140℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着(ヒートシール)し、常温において、その融着部分をTD方向に200mm/分の速度で剥離される場合、最大ヒートシール強度に対して60%以上のヒートシール強度を保持しながら剥離される。好ましい本発明フィルムは、最大ヒートシール強度に対して65〜90%のヒートシール強度を保持しながら剥離されるものであり、より好ましい本発明フィルムは、最大ヒートシール強度に対して68〜80%のヒートシール強度を保持しながら剥離されるものである。
上記最大ヒートシール強度は、通常、2.5〜4.5N/10mmの範囲内である。
また、本発明フィルムの中、125℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着し、常温において、その融着部分をTD方向に剥離される場合のヒートシール強度が、0.6〜3N/10mmの範囲内であるものが好ましく、1.5〜2.5N/10mmの範囲内であるものがより好ましい。
ここで、上記最大ヒートシール強度に対する60%等の数値を「ヒートシール強度保持率」ともいう。
ヒートシール強度保持率は、常法により、用いる測定装置に従って求めることができる。例えば、TD方向50mm×MD方向10mmにカットしたサンプルフィルム2枚のシール層同士を合わせ、融着幅がTD方向10mm×MD方向10mmになるように、押圧0.26MPa、140℃で0.5秒間加熱して熱融着し、測定用試料とする(図1参照)。そして、例えば、VE1Dストログラフ(東洋精機製作所社製)を用いて測定する場合、得られた試料をチャックに固定し、常温で、TD方向に引張速度200mm/分で剥離を行い、剥離チャートを作成する。当該チャートから、最大ヒートシール強度とチャックが10mm移動した時点のヒートシール強度とを読み取り、下記式にて、ヒートシール強度保持率を求めることができる。
ヒートシール強度保持率(%)={(チャックが10mm移動した時点のヒートシール強度)/(最大ヒートシール強度)}×100
なお、MD方向およびTD方向は、当業者に周知の用語であるが、MD方向とは、フィルムの製膜進行方向をいい、TD方向とは、MD方向に対して垂直方向をいう。
各ヒートシール温度におけるヒートシール強度についても、常法により、用いる測定装置に従って求めることができる。例えば、TD方向50mm×MD方向10mmにカットしたサンプルフィルム2枚のシール層同士を合わせ、融着幅がTD方向10mm×MD方向10mmになるように、押圧0.26MPa、所定温度で0.5秒間加熱して熱融着し、測定用試料とする(図1参照)。そして、例えば、剥離試験機(TRIBOGEAR TYPE:17、新東科学社製)を用いて測定する場合、測定用試料の融着しない一端を180度に広げ、常温で、TD方向に引張速度200mm/分にて剥離することにより測定することができる。
1.2 本発明に係るシール層
本発明に係るシール層は、例えば縦ピロー機で青果物等を包装する場合、最初に樹脂フィルムを筒状にするに際して、筒の内側になる層であり、シール部では、シール層同士が互いに熱融着する。
本発明に係るシール層は、基材層の片面に、接着層と中間層を介して積層されることが好ましい。当該シール層は、プロピレン系ランダム共重合体を主成分樹脂として構成することができる。
本明細書において、「主成分樹脂」とは、構成樹脂の含有比率が50重量%以上を意味し、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%を意味する。
上記プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレンとそれ以外のαオレフィンとの共重合体である。かかるプロピレン以外のαオレフィンとしては、例えば、炭素数2〜20のプロピレン以外のαオレフィンを挙げることができる。具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン等が挙げられる。この中、炭素数2〜4の、例えば、エチレン、1−ブテンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらプロピレン以外のα−オレフィンは、1種であっても、2種以上の併用であってもよい。1種であれば2元共重合体を形成する。2種であれば3元共重合体を形成する。
当該プロピレン系ランダム共重合体中のプロピレン以外のαオレフィンの含有割合は、14重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。後述の密度等に応じ適宜調整することができる。
当該プロピレン系ランダム共重合体としては、具体的には、例えば、プロピレン−エチレンの2元ランダム共重合体、プロピレン−ブテンの2元ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンの3元ランダム共重合体等を挙げることができる。この中、プロピレン−ブテンの2元ランダム共重合体、またはプロピレン−エチレン−ブテンの3元ランダム共重合体が好ましい。
当該プロピレン系ランダム共重合体は、通常、融点が60℃以上160以下の範囲内であり、70℃以上150℃以下の範囲内のものが好ましい。
当該プロピレン系ランダム共重合体の密度は、通常、0.85〜0.95g/cmであり、好ましくは0.86〜0.92g/cmである。密度が0.85g/cm未満のものは、フィルムを巻き取った際、ブロッキングするおそれがある。また、密度が0.95g/cmを超えるものは、十分なシール強度が得られないおそれがある。
本明細書において「密度」は、JIS K−7112(1999)に準拠し、測定する値である。
当該プロピレン系ランダム共重合体のメルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)値は、通常、0.5〜20g/10分であり、好ましくは1〜15g/10分である。MFRが0.5g/10分未満のものは、押出特性の悪化や、フィルムの生産性の悪化などの問題を生ずるおそれがある。20g/10分を超えるものは、耐衝撃性が悪化するおそれがある。
本明細書において「MFR」は、JIS K−7210(2014)に準拠し、測定する値である。
当該シール層には、エチレン−αオレフィン共重合体、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどで代表されるポリエチレン系樹脂、プロピレンと炭素数4〜12のαオレフィンとの二元ランダム共重合体樹脂、プロピレンとエチレンと炭素数4〜12のαオレフィンとの三元ランダム共重合体樹脂、ブテン系エラストマーを適当量含有することができる。この中、ブテン系エラストマーを適当量含有することが好ましい。
上記ブテン系エラストマーは、1−ブテンに由来する構造単位を含む共重合体であり、1−ブテンと1−ブテンとは異なる他のαオレフィンとの共重合体である。1−ブテンとは異なる他のαオレフィンとしては、例えば、エチレンおよび炭素数3〜20のαオレフィン、具体的には、エチレン、プロピレン(プロペン)、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンを挙げることができる。当該ブテン系エラストマーは、1−ブテンに由来する構造単位と共に、これらの他のαオレフィンに由来する1種または2種以上を構造単位として含んでいてもよい。ブテン系エラストマーは、1−ブテンと、エチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体であることが好ましい。ブテン系エラストマーとしては、ブテン系エラストマーの全構造単位に基づいて30〜90重量%の1−ブテン由来の構造単位を有するエラストマーが好ましい。このようなブテン系エラストマーは市販されており、具体的には、タフマーBL3450(三井化学社製)、タフマーBL3450M(三井化学社製)、タフマーXM7070(三井化学社製)を挙げることができる。
当該シール層におけるプロピレン系ランダム共重合体とブテン系エラストマーの割合は、プロピレン系ランダム共重合体の上限が90重量%、下限が55重量%であり、ブテン系エラストマーの上限が45重量%、下限が10重量%である。プロピレン系ランダム共重合体とブテン系エラストマーの割合がこの範囲であると、実用上十分なシール強度が得られるため好ましい。プロピレン系ランダム共重合体の好ましい上限は80重量、好ましい下限は60重量%である。ブテン系エラストマーの好ましい上限は40重量%であり、好ましい下限は20重量%である。
1.3 本発明に係る中間層
本発明に係る中間層は、非結晶性または低結晶性のエチレン−αオレフィン共重合体を主成分樹脂として構成することができる。
上記エチレン−αオレフィン共重合体は、エチレンを主体とするエチレンとαオレフィンとのエラストマー系ランダム共重合体である。エチレンと共重合されるαオレフィンとしては、炭素数3〜10のαオレフィンが挙げられ、その具体例としては、プロピレン(プロペン)、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。この中、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。プロピレンがさらに好ましい。これらαオレフィンは1種であっても、また2種以上の併用であってもよい。
当該エチレン−αオレフィン共重合体中のエチレンの含有割合は、通常、50重量%以上であり、60〜99.9重量%の範囲内が好ましく、70〜99.5重量%の範囲内がより好ましく、80〜99重量%の範囲内が特に好ましい。エチレンの含有割合が50重量%未満のものは耐衝撃性に劣るおそれがある。当該αオレフィンの含有割合は、後述の密度等に応じ適宜調整することができる。
当該エチレン−αオレフィン共重合体の密度は、通常、0.86〜0.90g/cmであり、好ましくは0.86〜0.89g/cmである。密度がこの範囲にあると、良好なヒートシール強度保持率が得られ好ましい。
当該エチレン−αオレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)値は、通常、0.5〜10g/10分であり、好ましくは1〜10g/10分である。MFRが0.5g/10分未満のものは、押出特性の悪化や、フィルムの生産性の悪化などの問題を生ずるおそれがある。10g/10分を超えるものは、耐衝撃性が悪化するおそれがある。
当該エチレン−αオレフィン共重合体は市販されており、三井化学社製のタフマー(登録商標、以下同じ。)PシリーズやタフマーAシリーズ、JSR社製のEPシリーズやEBMシリーズを例示することができる。
当該中間層には、必要に応じて、低密度ポリエチレン(LDPE)を含有することができる。当該低密度ポリエチレンは、通常、融点が105〜115℃の範囲内であり、MFR(190℃、21.18N荷重)が1〜5g/10分の範囲内であり、密度が0.90〜0.95g/cmの範囲内である。この低密度ポリエチレンを含有することにより、層間密着力を高めることが期待でき、含有することが好ましい。
当該中間層におけるエチレン−αオレフィン共重合体と低密度ポリエチレンの割合は、エチレン−αオレフィン共重合体の上限が95重量%、下限が70重量%であり、低密度ポリエチレンの上限が30重量%、下限が5重量%である。エチレン−αオレフィン共重合体と低密度ポリエチレンの割合がこの範囲であると、ヒートシール強度の保持率が60%以上となり好ましい。エチレン−αオレフィン共重合体の好ましい上限は90重量%、好ましい下限は75重量%であり、低密度ポリエチレンの好ましい上限は25重量%、好ましい下限は10重量%である。
当該低密度ポリエチレン(LDPE)は、例えば、ペトロセン(登録商標、東ソー社製)、ノバテック(登録商標、三菱ケミカル社製)などとして市販されている。
1.4 本発明に係る接着層
本発明に係る接着層は、プロピレン系ランダム共重合体を主成分樹脂として構成することができる。
上記プロピレン系ランダム共重合体は、プロピレンとそれ以外のαオレフィンとの共重合体である。かかるプロピレン以外のαオレフィンとしては、例えば、炭素数2〜20のプロピレン以外のαオレフィンを挙げることができる。具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン等が挙げられる。この中、炭素数2〜4の、例えば、エチレン、1−ブテンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらプロピレン以外のα−オレフィンは、1種であっても、2種以上の併用であってもよい。1種であれば2元共重合体を形成する。2種であれば3元共重合体を形成する。
当該プロピレン系ランダム共重合体中のプロピレン以外のαオレフィンの含有割合は、14重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。後述の密度等に応じ適宜調整することができる。
当該プロピレン系ランダム共重合体としては、具体的には、例えば、プロピレン−エチレンの2元ランダム共重合体、プロピレン−ブテンの2元ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンの3元ランダム共重合体等を挙げることができる。この中、プロピレン−ブテンの2元ランダム共重合体、またはプロピレン−エチレン−ブテンの3元ランダム共重合体が好ましい。
当該プロピレン系ランダム共重合体は、通常、融点が60℃以上160以下の範囲内であり、70℃以上150℃以下の範囲内のものが好ましい。
当該プロピレン系ランダム共重合体の密度は、通常、0.85〜0.95g/cmであり、好ましくは0.86〜0.92g/cmである。密度が0.85g/cm未満のものは、基材層と中間層の層間強度が低下するおそれがある。また、密度が0.95g/cmを超えるものは、十分な層間強度が得られないおそれがある。
当該プロピレン系ランダム共重合体のメルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)値は、通常、0.5〜20g/10分であり、好ましくは1〜15g/10分である。MFRが0.5g/10分未満のものは、押出特性の悪化や、フィルムの生産性の悪化などの問題を生ずるおそれがある。20g/10分を超えるものは、耐衝撃性が悪化するおそれがある。
1.5 本発明に係る基材層
本発明に係る基材層は、内容物に接しない面にあり、商品名などの印刷面側に存在する層である。かかる基材層は、構成樹脂としてプロピレン単独重合体から実質的になる。
当該プロピレン単独重合体は、通常、結晶性であり、融点が150℃〜170℃の範囲内のものである。
当該プロピレン単独重合体の密度は、通常、0.85〜0.95g/cmであり、好ましくは0.86〜0.92g/cmである。密度がこの範囲にあると、機械特性に優れた本発明フィルムを得ることができる。
当該プロピレン単独重合体のメルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)値は、通常、0.5〜20g/10分であり、好ましくは1〜4g/10分である。MFRが0.5g/10分未満のものは、押出特性の悪化や、フィルムの生産性の悪化などの問題を生ずるおそれがある。20g/10分を超えるものは、耐衝撃性が悪化するおそれがある。
当該プロピレン単独重合体は、基材層中に50重量%以上含有され、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上含有される。
本発明フィルムは、防曇剤を含有するが、通常、この基材層に防曇剤が添加される。基剤層に添加された防曇剤は、本発明フィルム成膜後、シール層や中間層に拡散していくため、水分の多い内容物を包装する用途に使用された場合、良好な防曇性を発現する。当該防曇剤としては、その目的に適うものであれば特に制限されず、従来、防曇性フィルムに用いられている防曇剤をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの3系が挙げられる。
アルキルジエタノールアミンにおけるアルキル基は、通常、炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜18のものである。具体的なアルキルジエタノールアミンとしては、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン等を挙げることができる。
アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルにおける脂肪酸エステル基は、通常、炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜22の飽和または不飽和の脂肪酸エステルであり、好ましくは後者の不飽和の脂肪酸エステルである。具体的なアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルとしては、ラウリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ミリスチルジエタノールアミンモノオレイン酸エステル、ラウリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、パルミチルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ステアリルジエタノールアミンモノパルミチル酸エステル、ステアリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、オレイルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル等を挙げることができる。
グリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸エステル基は、上記のアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルにおける脂肪酸エステル基と同様のものを挙げることができる。また、グリセリンの−OHに結合する脂肪酸エステル基数は1または2個が好ましく、より好ましいのは1個の脂肪酸エステルモノグリセライドである。
以上の各防曇剤は、上記同系の中で1種または2〜3種の混合で、異系の中で2〜3種の混合の形で使用されるが、中でも異系の中での3種混合の形での使用、つまりアルキルジエタノールアミンとアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルおよび脂肪酸エステルモノグリセライドの3成分混合で、かつアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを主成分として組成するのがより好ましい。
当該防曇剤の添加量としては、防曇剤の種類等により適宜調整すれば良いが、5000〜15000ppmが適当であり、4000〜10000ppmが好ましい。防曇剤の添加量が5000ppm未満であると充分な防曇効果が得られない場合があり、15000ppmを超えると必要以上に表面へのブリードアウトが起こり、透明性が劣化する場合がある。
1.6 その他
本発明フィルムの各層には、上記した防曇剤以外にも、樹脂フィルムの表面を平滑する目的で、また樹脂フィルム同士の密着を防ぐ目的で、ヒートシール強度や透明性などを損なわない範囲で、アンチブロッキング剤または滑剤を含むことができる。かかるアンチブロッキング剤としては、一般的に用いられている無機系のシリカやカオリン、ゼオライト等、または有機系の架橋アクリルビーズ等が挙げられる。また、滑剤としては、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。アンチブロッキング剤および滑剤は、いずれも1種のみでもよく、また2種以上を併用してもよい。
上記アンチブロッキング剤または滑剤の添加量は、樹脂の種類等により適宜調整することができるが、各層を構成する樹脂100重量部に対して、0.05〜30重量部の範囲内が適当であり、好ましくは0.5〜20重量部の範囲内である。
本発明フィルム中には、その他にも種々の添加剤を適量更に混合することができる。かかる添加剤としては、造核剤、酸化防止剤、難燃剤、静電気防止剤、充填剤、顔料等を挙げることができる。
1.7 厚み
本発明フィルムの総厚みとしては、通常、10〜70μmの範囲内であり、好ましくは15〜60μmの範囲内であり、より好ましくは20〜50μmの範囲内である。
本発明に係るシール層の厚みは、通常、1〜10μmの範囲内であり、好ましくは2〜8μmの範囲内であり、より好ましくは3〜7μmの範囲内である。1μmより薄いと、良好なヒートシール強度が得られないおそれがあり、10μmより厚いと、適度な透明性(ヘイズ値)や剛性などが得られないおそれがある。シール層における各層の厚みは、上記範囲内で適宜調整される。
本発明に係る中間層の厚みは、通常、0.5〜10μmの範囲内であり、好ましくは1〜7μmの範囲内であり、より好ましくは1〜5μmの範囲内である。0.5μmより薄いと、良好なヒートシール強度の保持率が得られないおそれがあり、10μmより厚いと、適度な透明性(ヘイズ値)や剛性などが得られないおそれがある。
本発明に係る接着層の厚みは、通常、0.5〜5μmの範囲内であり、好ましくは1〜5μmの範囲内であり、より好ましくは1〜3μmの範囲内である。0.5μmより薄いと、良好な層間強度が得られないおそれがあり、5μmより厚いと、適度な透明性(ヘイズ値)や剛性などが得られないおそれがある。
本発明に係る基材層の厚みは、通常、7〜50μmの範囲内であり、好ましくは10〜45μmの範囲内であり、より好ましくは15〜40μmの範囲内である。7μmより薄いと、または50μmより厚いと、良好な透明性(ヘイズ値)や適度な剛性などが得られないおそれがある。
2 本発明フィルムの製造方法
本発明フィルムの製造方法は、特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、生産性や出来上がったフィルムの物性等を考慮すると、フラット状シートを押出成形により製膜し、次いで逐次二軸延伸して本発明フィルムを製造するのが好ましい。
より具体的には、適正な温度に設定された4台の押出機に、シール層を構成する樹脂、中間層を構成する樹脂、接着層を構成する樹脂および基材層を構成する樹脂をそれぞれ投入し、押出機内で樹脂を溶融・混練した後、200℃〜250℃のTダイスよりシート状に押出す。この場合、多層構成を形成するのに、フィードブロック方式を用いても、マルチマニホールド方式を用いてもよい。押出されたシートは25℃の冷却ロールにて冷却固化され、縦延伸工程へと送られる。縦延伸は140℃〜150℃に設定された加熱ロールにより構成されており、ロール間の速度差によって縦方向(MD方向)に延伸される。この加熱ロールの本数には特に制限はないが、少なくとも低速側と高速側の2本は必要である。縦延伸の延伸倍率は4〜6倍、好ましくは4.5〜5.5倍である。次にテンターによる横延伸工程に送られ、横方向(TD方向)に延伸される。テンター内は予熱、延伸、アニールゾーンに分かれており、予熱ゾーンは170℃〜180℃に、延伸ゾーンは165℃〜170℃に、そしてアニールゾーンは165℃〜170℃に設定されている。延伸ゾーンでの延伸倍率は6〜10倍程度が好ましい。延伸されたのち、アニールゾーンで冷却、固定されたのち、巻き取り機にて巻き取ってフィルムロールとなる。
本発明フィルムの製造においては、テンターのアニールゾーンを出た後、巻き取り機で巻き取る前に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等公知の表面処理を施すことが好ましく、簡便性の点から特に、コロナ放電処理を行うことが好ましい。当該表面処理を施すことにより、フィルムの表面にぬれ張力を持たせ、防曇効果を高めることができるだけでなく、フィルム表面に印刷をする場合の印刷インキとの密着性を高めることもできる。このコロナ放電処理は表面層面、シール層面の両面を処理しても良いし、表面層面またはシール層面のどちらか一方の面を処理しても良い。
3 本発明の包装用袋について
次に、本発明フィルムから製造される包装用袋(以下、「本発明包装用袋」という)について詳述する。
本発明包装用袋は、本発明フィルムを用いて、自動包装機等により成形し得ることができる。
本発明フィルムは、内容物充填時のホットタック性に優れるため、縦ピロー包装機で包装用袋を成形する際に特に好適に用いられるが、横ピロー包装機等その他包装機で成形する際にも用いることができる。
本発明包装用袋で包装される内容物としては、包装され得るものであれば特に制限されないが、例えば、青果物(例:生野菜、果物、芋、キノコ)等の農産物を挙げることができ、農産物が好ましい。かかる農産物としては、例えば、ネギ、もやし、ホウレン草、ブロッコリー、ピーマン等の野菜類;キャベツ、レタス、ニンジン等のカット野菜類;またはいちご、バナナ、レモン等の果物類;またはえのき茸、まいたけ、しめじ茸、しいたけ等のキノコ類を挙げることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1〜3]本発明フィルムの作製
シール層:プロピレン−ブテンランダム共重合体(MFR:10.5g/10分、融点:145℃、密度:0.9g/cm)67重量%、ブテン系エラストマー(プロピレン−ブテン共重合体 ブテン含有量:32重量%、MFR:7g/10分、融点:75℃、密度:0.89g/cm)27重量%、およびメタクリル酸メチル微粒子(平均粒子径:2μm)を含むアンチブロッキング剤マスターバッチ(微粒子濃度:10重量%、ベース樹脂:プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR:5g/10分、融点:132℃、密度:0.931g/cm)6重量%を含有。
中間層:エチレン−プロピレン共重合体(MFR:8.1g/10分、密度:0.869g/cm)82重量%、および低密度ポリエチレン(MFR:3g/10分、融点:111℃、密度:0.924g/cm)18重量%を含有。
接着層:プロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:7g/10分、融点:140℃、密度:0.903g/cm)100重量%を含有。
基材層:プロピレン単独重合体(MFR:3.0〜3.2g/10分、融点:159℃、密度:0.91g/cm)98.25重量%、防曇剤(脂肪酸グリセライド:0.2重量%、脂肪酸ジエタノールアミン:0.2重量%、脂肪酸エタノールアミンモノエステル:0.6重量%)0.95重量%、およびシリカ(平均粒子径:2μm)を含むアンチブロッキング剤マスターバッチ(シリカ濃度:7重量%、ベース樹脂:プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR:10g/10分、融点:138℃、密度:1.06g/cm)0.8重量%を含有。
上記各層を構成する樹脂等を4台の押出機にそれぞれ投入し、基材層/接着層/中間層/シール層の順に積層されるようにして、温度230℃の4層Tダイスから共押出し、30℃の冷却ロールで冷却、固化して原反シールを得た。次いで当該シールを140℃に加熱し、MD方向に4.6倍ロール延伸した後、テンターにて設定温度180℃で予熱し、設定温度170℃でTD方向に10倍延伸した後、設定温度170℃でアニールし、テンターを出た後、基材層側を6.6×10J/mで、第1シール層側を4.8×10J/mでコロナ放電処理を施した後、巻き取り機で巻き取って、本発明フィルムを得た。得られた本発明フィルムの総厚みは30μmであり、各層の厚みは基材層/接着層/中間層/シール層=24μm/1.3μm/1.6μm/3.1μmであった。
また、同様にして、総厚みが40μmであり、各層の厚みが基材層/接着層/中間層/シール層=33μm/1.5μm/1.7μm/3.8μmの本発明フィルム(実施例2)を、総厚みが50μmであり、各層の厚みが基材層/接着層/中間層/シール層=43μm/1.5μm/1.7μm/3.8μmの本発明フィルム(実施例3)を作製した。
[比較例1]比較用フィルム1の作製
シール層:プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(MFR:5g/10分、融点:125℃、密度:0.89g/cm)70重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(MFR:3g/10分、融点:75℃、密度:0.875g/cm)24重量%、およびメタクリル酸メチル微粒子(平均粒子径:2μm)を含むアンチブロッキング剤マスターバッチ(アンチブロッキング剤濃度:10重量%、ベース樹脂:プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR:5g/10分、融点:132℃、密度:0.931g/cm)6重量%を含有。
中間層:プロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:5g/10分、融点:132℃、密度:0.903g/cm)100重量%を含有。
接着層:プロピレン−ブテンランダム共重合体(MFR:12g/10分、融点:145℃、密度:0.903g/cm)100重量%を含有。
基材層:プロピレン単独重合体(MFR:3.0〜3.2g/10分、融点:159℃、密度:0.91g/cm)99.2重量%、およびシリカ(平均粒子径:2μm)を含むアンチブロッキング剤マスターバッチ(シリカ濃度:7重量%、ベース樹脂:プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR:10g/10分、融点:138℃、密度:1.06g/cm)0.8重量%を含有。
実施例1と同様にして、比較用フィルム1を得た。得られた比較用フィルム2の総厚みは30μmであり、各層の厚みは基材層/接着層/中間層/シール層=26μm/1.0μm/1.5μm/1.5μmであった。
[比較例2]比較用フィルム2の作製
シールA層:プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(MFR:5g/10分、融点:125℃、密度:0.89g/cm)74重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(MFR:3g/10分、融点:75℃、密度:0.875g/cm)9重量%、およびシリカ(平均粒子径:6.4μm)を含むアンチブロッキング剤マスターバッチ(シリカ濃度:1.5重量%、ベース樹脂:プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、MFR:5g/10分、融点:125℃、密度:0.885g/cm)17重量%を含有。
シールB層:プロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:7g/10分、融点:140℃、密度:0.903g/cm)99重量%、およびメタクリル酸メチル微粒子(平均粒子径:2μm)を含むアンチブロッキング剤マスターバッチ(微粒子濃度:10重量%、ベース樹脂:プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR:5g/10分、融点:132℃、密度:0.931g/cm)1重量%を含有。
基材層:プロピレン単独重合体(MFR:3.1〜3.3g/10分、融点:163℃、密度:0.903g/cm)69.5重量%、プロピレン単独重合体(MFR:2.3g/10分、融点:155℃、密度:0.903g/cm)30.5重量%を含有。
実施例1と同様にして、シールA層/基材層/シールB層の順に積層された比較用フィルム2を得た。得られた比較用フィルム2の総厚みは30μmであり、各層の厚みはシールA層/基材層/シールB層=2.4μm/26.3μm/1.3μmであった。
[試験例1]ヒートシール強度保持率の測定
実施例1、比較例1、および比較例2の各ポリプロピレン系延伸フィルムについて、TD方向50mm×MD方向10mmにカットしたサンプルフィルム2枚のシール層同士(比較例2についてはシールA層同士)を合わせ、融着幅がTD方向10mm×MD方向10mmになるように、ヒートシール機(HG−100−2、東洋精機製作所社製)を用いて、押圧0.26MPa、140℃で0.5秒間加熱して熱融着し、測定用試料とした(図1参照)。そして、測定用試料をチャックに固定し、VE1Dストログラフ(東洋精機製作所社製)を用いて、常温で、TD方向に引張速度200mm/分で剥離を行い、剥離チャートを作成した。当該チャートから、最大ヒートシール強度とチャックが10mm移動した時点のヒートシール強度とを読み取り、下記式にて、ヒートシール強度保持率を求めた。実験は、各々5つの測定用試料(n=5)について行い、その平均値を求めた。その結果を表1および図2に示す。
ヒートシール強度保持率(%)={(チャックが10mm移動した時点のヒートシール強度)/(最大ヒートシール強度)}×100
[試験例2]各温度におけるヒートシール強度の測定
実施例1、比較例1、および比較例2の各ポリプロピレン系延伸フィルムについて、TD方向50mm×MD方向10mmにカットしたサンプルフィルム2枚のシール層同士(比較例2についてはシールA層同士)を合わせ、融着幅がTD方向10mm×MD方向10mmになるように、ヒートシール機(HG−100−2、東洋精機製作所社製)を用いて、90℃〜180℃の間を5℃間隔で、それぞれ押圧0.26MPa、0.5秒間加熱して熱融着し、測定用試料とした(図1参照)。そして、測定用試料の融着しない一端を180度に広げ、剥離試験機(TRIBOGEAR TYPE:17、新東科学社製)を用いて、常温で、TD方向に引張速度200mm/分にて剥離することにより、ヒートシール強度を測定した。実験は、各々5つの測定用試料(n=5)について行い、その平均値を求めた。その結果を図3に示す。
[結果]
表1および図2に示す通り、本発明フィルム(実施例1)のシール層同士を熱融着した場合は、その融着部分を剥離していっても60%以上のヒートシール強度保持率を有し、また基材層が途中で裂けたり破断することはなかった。一方、比較用フィルム1および2(比較例1、2)の各シール層同士を熱融着した場合は、その融着部分を剥離していっても60%以上のヒートシール強度保持率を有することができず、また、基材層が途中で裂けたり破断したりした。
本発明フィルムは、シール層同士を熱融着して袋状に形成し、その融着部分を徐々に引き剥がしていっても、そのヒートシール強度保持率を十分に維持することができ、また基材層の裂けや破断を抑えられることから、包装用ポリプロピレン系延伸フィルムとして有用である。

Claims (7)

  1. 基材層およびシール層を有するポリプロピレン系延伸フィルムであって、防曇剤を含有し、かつ140℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着し、常温において、その融着部分をTD方向に200mm/分の速度で剥離される場合、最大ヒートシール強度に対して60%以上のヒートシール強度を保持しながら剥離されることを特徴とする、ポリプロピレン系延伸フィルム。
  2. 前記最大ヒートシール強度が、2.5〜4.5N/10mmの範囲内である、請求項1に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
  3. 125℃の温度で当該シール層同士を10mm幅で熱融着し、常温において、その融着部分をTD方向に剥離される場合のヒートシール強度が、0.6〜3N/10mmの範囲内である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
  4. 基材層/接着層/中間層/シール層の順に積層されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
  5. 前記中間層が、非結晶性または低結晶性のエチレン−αオレフィン共重合体を主成分樹脂として構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
  6. 前記シール層が、プロピレン系ランダム共重合体を主成分樹脂として構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリプロピレン系延伸フィルムを用いて製造される包装用袋。
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