JP2019166499A - 晶析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品結晶の粒径の調整が容易である晶析装置の提供。【解決手段】分級部6の母液Sを抜き出して、抜き出した母液Sを分級脚7に供給する循環流路20を備えたDTB型晶析装置1であって、循環流路20は、分級部6から母液Sを抜き出す母液抜出部21を備えており、母液抜出部21は、その先端に母液Sを抜き出す母液抜出口21hが設けられており、母液抜出口21hの位置を分級部6の高さ方向に沿って移動可能に設けられたDTB型晶析装置1。分級部6の高さ方向に沿って母液抜出口21hの位置を変化させれば、排出する母液Sに含まれる結晶の状態が変化するので、装置から排出される製品結晶の粒度分布を変化させることができる。母液抜出口21hの位置を変化させるだけであるので、製品結晶の粒度分布を調整する作業が容易で、製品結晶の粒度分布の調整を短時間で実施することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、晶析装置に関する。さらに詳しくは、連続して結晶を製造する晶析装置に関する。
硫酸ニッケルや塩化ナトリウム等の塩の結晶を製造する場合、原料となるイオンを含有する母液から製造される。かかる結晶を連続してかつ粒径の大きいものを製造する装置が開発されており、ドラフトチューブ&バッフル型(DTB型)晶析装置が知られている(例えば文献1、2参照)。
DTB型晶析装置は、原液が貯留されるDTB槽を備えており、このDTB槽内に母液が循環する晶析部と、晶析部の外側に設けられ結晶を分級する分級部とを備えている。また、DTB槽の下部には、所定の粒径以上となった結晶を取り出す分級脚が設けられている。かかるDTB型晶析装置では、晶析部では母液を上下方向に対流させる間に結晶化が行われる。そして、晶析部で形成された結晶は分級部において沈降を利用して分級され、所定の粒径以上となった結晶(以下製品結晶という)は分級脚まで沈降して分級脚から母液とともに外部に取り出されるようになっている。そして、かかるDTB型晶析装置では、分級脚から抜き出された母液と同量の新しい母液をDTB槽に供給することによって連続晶析を実現している。
かかるDTB型晶析装置では、分級部では、分級部の上部から取り出した結晶を含む母液をDTB槽の底部に供給しDTB槽の底部と分級部との間に流れ(上昇流)を形成している。そして、この上昇流の流量(以下分級流量という)を調整して、分級脚から取り出される製品結晶の粒度分布を調整している(特許文献1、2参照)。
特許第4081820号公報 特開2000−334202号公報
しかるに、DTB型晶析装置において、分級流量を調整して製品結晶の粒度分布を調整した場合に、製品結晶の粒度分布の変動周期の位相と分級流量の調整周期の位相は一致しないことが知られている(特許文献2参照)。このため、製品結晶の粒度分布を適切に調整するには、製品結晶の粒度分布の変動を想定して分級流量を調整しなければならないので、製品結晶の粒度分布の調整が非常に煩雑になる。
しかも、分級流量を変化させた場合には、分級部内における母液の流動や結晶の濃度分布が変化して不安定な状態になってしまう。母液の流動や結晶の濃度分布がある程度安定しなければ製品結晶の粒度分布も安定しないので、製品結晶の粒度分布が適切に調整できたか否かを判断するまでに時間を要する。したがって、製品結晶の粒度分布を適切に調整するまでに時間が掛かってしまう。
本発明は上記事情に鑑み、製品結晶の粒度分布の調整が容易である晶析装置を提供することを目的とする。
第1発明の晶析装置は、分級部の母液を抜き出して、抜き出した母液を分級脚に供給する循環流路を備えたDTB型晶析装置であって、前記循環流路は、前記分級部から母液を抜き出す母液抜出部を備えており、該母液抜出部は、その先端に母液を抜き出す母液抜出口が設けられており、該母液抜出口の位置が前記分級部の高さ方向に沿って移動可能に設けられていることを特徴とする。
第2発明の晶析装置は、第1発明において、製品結晶を含む母液を排出する製品結晶回収部を備えており、該製品結晶回収部から排出される製品結晶の状態に基づいて、前記母液抜出部の母液抜出口の位置を変化させる制御部を備えていることを特徴とする。
第3発明の晶析装置は、第1または第2発明において、前記母液抜出部が、記母液抜出口が設けられた先端部と前記分級部の壁面に固定された基端部との間で伸縮可能な構造を有していることを特徴とする。
第4発明の晶析装置は、第1または第2発明において、前記母液抜出部は、前記分級部の壁面に連結された基端部を支点として、前記母液抜出口が設けられた先端部を上下に揺動可能な構造を有していることを特徴とする。
第1発明によれば、分級部の高さ方向に沿って母液抜出口の位置を変化させれば、分級部の長さを実質的に調整できるので、装置から排出される製品結晶の粒度分布を変化させることができる。すると、分級流量を変化させないで製品結晶の粒度分布を調整できるので、分級部内の母液の流動や結晶の濃度分布の変動を抑制することができる。つまり、分級部内の母液の状態が安定した状態で製品結晶の粒度分布を調整できるので、製品結晶の粒度分布の調整を短時間で実施することができる。しかも、母液抜出口の位置を変化させるだけであるので、製品結晶の粒度分布を調整する作業が容易になる。
第2発明によれば、製品結晶の粒度分布を安定した状態に維持しやすくなる。
第3および第4発明によれば、母液抜出口の位置を簡単に調整することができる。また、母液抜出口が設けられた先端部の位置を変化させる構成を母液抜出部に設けても、装置の構造が複雑にならない。
本実施形態の晶析装置1の概略説明図である。 図1のII−II線断面図である。 (A)は母液抜出部20の母液抜出部21が伸縮する場合の一例を示した図であり、(B)は母液抜出部20の母液抜出部21が揺動する場合の一例を示した図である。 母液抜出口が下段にある状態の数値シミュレーション結果を示した図であり、(A)は装置内の粒子の体積分率を状態を示した図であり、(B)は0.1mm、0.4mmおよび1mmの各粒径の体積分率と細粒割合である。 母液抜出口が上段にある状態の数値シミュレーション結果を示した図であり、(A)は装置内の粒子の体積分率を状態を示した図であり、(B)は0.1mm、0.4mmおよび1mmの各粒径の体積分率と細粒割合である。
本発明の晶析装置は、母液から結晶を製造する晶析装置であって、製品結晶の粒度分布の調整を容易にできるようにしたことに特徴を有している。
本発明の晶析装置が使用される用途はとくに限定されない。例えば、硫酸ニッケルや塩化ナトリウム等の塩の結晶を製造する晶析装置として本発明の晶析装置を使用することができる。なお、以下の説明で母液とは、硫酸ニッケルを製造する場合には硫酸ニッケル液が母液に相当し、塩化ナトリウム等の塩の結晶を製造する場合には塩水が母液に相当する。
(本実施形態の晶析装置1)
図1に示すように、本実施形態の晶析装置1は、一般的なDTB型晶析装置であって、循環流路20の母液抜出部21の母液抜出口21hの位置を調整できるようになっている点に特徴がある。
図1に示すように、本実施形態の晶析装置1は、結晶を形成する原料を含有する母液Sを収容するDTB槽2を備えている。このDTB槽2は密閉された容器であり、その上端部に内部の圧力を調整するための真空ポンプが連通されている。そして、DTB槽2の内部が所定の圧力以下となるように調整されている。具体的には、DTB槽2の液面より上方の空間の空気を真空ポンプによって適宜吸引することによって、DTB槽2の内部は所定の圧力以下となるように調整されている。
なお、DTB槽2の内部を所定の圧力以下とするのは、減圧することで加熱された母液Sを霧状として、母液S中の溶媒の大部分を蒸発させるためである。溶媒の大部分を蒸発させれば結晶が晶析部5において形成されるようになる。
また、DTB槽2は、内部の母液Sの温度が所定の温度で維持されるように熱交換器(一般的には、蒸気式)によって加熱されている。例えば、硫酸ニッケルや塩化ナトリウム等の塩の結晶を製造する場合であれば、母液Sの温度が40〜60℃程度となるように加熱されている。
このDTB槽2内には、DTB槽2の中央部を囲むようにバッフル4が設けられている。具体的には、バッフル4は略筒状に形成されており、その上端部がDTB槽2の天井に連結される一方、その下端部がDTB槽2の底部から離間した状態となるように配設されている。つまり、バッフル4によってDTB槽2内は、バッフル4に囲まれた晶析部5と、バッフル4とDTB槽2の側壁との間に形成される分級部6とに分離されている。一方、バッフル4の下端がDTB槽2の底部から離間しているので、DTB槽2の下部では、晶析部5と分級部6とは連通されている。つまり、DTB槽2の下部の領域を介して、晶析部5と分級部6と間で母液Sは流動できるようになっている。
図1に示すように、晶析部5の内部にはドラフトチューブ3が設けられている。このドラフトチューブ3は、略筒状の部材でありバッフル4の中心軸(つまりDTB槽2の中心軸)とほぼ同軸となるように配設されている。
このドラフトチューブ3の内部には、攪拌装置10が設けられている。この攪拌装置10は、ドラフトチューブ3の中心軸(つまりDTB槽2の中心軸)とほぼ同軸となるように配設された回転軸11を備えている。この回転軸11は、その上端部がDTB槽2の外方に突出しモータ等の駆動源13に接続されている。一方、回転軸11の下端部には攪拌翼12が設けられている。この攪拌翼12は、ドラフトチューブ3内またはドラフトチューブ3の下端よりも下方に設けられている。そして、攪拌翼12は、駆動源13によって回転軸11を回転させると、ドラフトチューブ3内を上昇する上昇流が形成されるような構造を有している。ドラフトチューブ3内を上昇する上昇流は、液面まで到達するとドラフトチューブ3外に排出されるので、ドラフトチューブ3の外面を下降する下降流となる。つまり、攪拌装置10を駆動すると、晶析部5の内部に、ドラフトチューブ3の壁面を旋回するように上下方向に沿った母液Sの旋回流が母液S中に形成されるようになっている。
また、DTB槽2の下端には、DTB槽2の底部と連通された分級脚7が設けられている。この分級脚7は、DTB槽2のほぼ中心部に設けらており、その上端開口がDTB槽2の内部と連通されている。この分級脚7には、製品結晶回収部8が設けられている。この製品結晶回収部8は分級脚7内部の母液Sを次工程の分級サイクロン、篩等に排出するものである。
DTB槽2の底部は、上述した分級脚7の開口に向かって傾斜している。この傾斜面には母液供給部9が設けられている。母液供給部9は、母液槽(図示せず)から概ね30〜40℃の状態に調整された新規な母液SをDTB槽2に供給するものである。
そして、製品結晶回収部8から製品結晶を含んだ母液Sを抜き出す量(抜出流量)と、母液供給部9から母液Sを供給する量(供給流量)は同じ流量になるように調整されている。
図1に示すように、晶析装置1は、分級部6とDTB槽2の分級脚7との間を連通する循環流路20を備えている。この循環流路20は、DTB槽2の側壁と分級脚7の側壁との間を繋ぐ連結配管22を備えている。この連結配管22には、DTB槽2の側壁から底部に向かう母液Sの流れを形成するポンプ等の流動発生部23が設けられている。
なお、連結配管22の流れに起因して、DTB槽2の内部には、DTB槽2の側壁内面に沿って分級部6に向かう母液Sの流れが形成される。晶析装置1では、通常、この流れの流速が晶析部5内に生じる旋回流よりも速くなるように流動発生部23が制御されている。
また、分級部6内には、連結配管22におけるDTB槽2の側壁側の開口と連通された母液抜出部21が設けられている。この母液抜出部21は、その先端に母液Sが流入する母液抜出口21hが設けられている。そして、母液抜出部21は、その先端の母液抜出口21hの位置、具体的には、母液抜出口21hの高さを変更できるようになっている。例えば、母液抜出部21は、図1に示すように、その先端が基端よりも上方に位置するように設けられており、しかも、その軸方向に伸縮可能な構造を有している。つまり、母液抜出部21が伸縮すると、母液抜出口21hの高さが上下するようになっている。
本実施形態の晶析装置1が以上のごとき構成を有するので、以下のように作動させれば、分級脚7から取り出される母液S中の製品結晶の粒度分布を調整することができる。
まず、攪拌装置10を作動させれば、母液S中にDTB槽2のドラフトチューブ3を旋回する上下方向の旋回流が形成される。つまり、晶析部5内に旋回流が形成される。すると、晶析部5内の液面では母液Sが蒸発し濃縮されるので、母液S中には結晶が形成される。そして、形成された結晶はある程度の大きさまでは攪拌装置10が形成する晶析部5内の旋回流の流れにのって旋回する。
旋回流中の結晶は、旋回流の流れにのって旋回している間に成長し、その粒径が一定以上になると旋回流に追従できなくなりDTB槽2の底部に沈降する。
一方、DTB槽2の内部には、DTB槽2の側壁内面に沿って分級部6に向う母液Sの流れが形成されている。この流れによって晶析部5内で生成した結晶は分級部6に向かって流れる。
分級部6では下方から上方に向かう流れが生じているので、分級部6に流入した結晶は分級部6内において徐々に成長し、粒径の大きな結晶が下部に位置し、粒径の小さい結晶は上部に位置することになる。具体的には、分級部6に向かう母液Sの流れから結晶に加わる浮力と、結晶に加わる重力とが釣り合う位置に結晶が位置するように結晶の濃度勾配が分級部6内に形成される。
そして、所定の粒径になった結晶(製品結晶)はDTB槽2の底部に沈降し、DTB槽2の底部から分級脚7に流入する。この製品結晶は製品結晶回収部8から母液Sとともに外部に排出される。
ところで、分級部6内における結晶の成長状況は、分級部6の長さに依存している。具体的には、分級流量が同じであっても、分級部6の長さが長くなると、清澄度の高い(微粒を含まない)液が循環流路20に供給され、分級部6の長さが短くなると清澄度の低い(微粒を含む)液が循環流路20に供給されようになる。つまり、製品結晶回収部8から母液Sとともに流出する製品結晶の粒度分布は分級部6の長さが長くなると微粒を含みにくくなり、分級部6の長さが短くなるとより多くの微粒を含むようになる。
ここで、循環流路20の母液抜出部21を通して分級部6から母液Sが排出されているので、分級部6の長さは、循環流路20の母液抜出部21の母液抜出口21hの高さによって変化する。本実施形態の晶析装置1は、循環流路20の母液抜出部21の母液抜出口21hの高さを変えることができるので、実質的に分級部6の長さを変化させることができる。上述したように分級部6の長さを変化させれば、製品結晶の粒度分布が変化する。つまり、母液抜出部21の母液抜出口21hの高さを変化させるだけで、製品結晶回収部8から母液Sとともに流出する製品結晶の粒度分布を変化させることができる。
すると、分級流量を変化させないで製品結晶の粒度分布を調整できるので、製品結晶の粒度分布を調整する際に、分級部6内の母液Sの流動や結晶の濃度分布の変動を抑制することができる。つまり、分級部6内の母液Sの状態が安定した状態で製品結晶の粒度分布を調整できるので、製品結晶の粒度分布の調整を短時間で実施することができる。
しかも、製品結晶の粒度分布を調整する際に、母液抜出口21hの位置を変化させるだけであるので、製品結晶の粒度分布を調整する作業が容易になる。
(排出される母液Sに基づく制御)
また、本実施形態の晶析装置1に、製品結晶回収部8から排出される母液Sの状態、つまり、母液S中の製品結晶の粒度分布を測定し、その結果に基づいて母液抜出部21の母液抜出口21hの高さを調整する機構を設けてもよい。この場合、製品結晶の粒度分布の変動に伴って、母液抜出部21の母液抜出口21hの高さを連続的に制御できるので、製品結晶の粒度分布を安定した状態に維持しやすくなる。例えば、製品結晶の粒度分布の測定結果を分析する制御部を設ける。そして、制御部に、分析結果に基づいて母液抜出部21の動作(上記例では母液抜出部21の伸縮)を制御する機能を設ける。すると、製品結晶の粒度分布の測定結果に基づいて、制御部が母液抜出部21の作動を制御して、母液抜出口21hの高さを調整することができる。すると、分級部6の実質的な長さを調整できるので、製品結晶の粒度分布を調整することができる。
なお、母液S中の製品結晶の粒度分布を測定する方法はとくに限定されず、種々の方法を採用することができる。例えば篩やレーザー回折・散乱法等、簡易的には濁度計等を使用して製品結晶の粒度分布を測定することができる。また、分級脚のサイトグラス(図示せず)などの動画像処理などを使用して粒度分布を判定してもよい。
また、上述した制御部が、母液S中の製品結晶の粒度分布を測定結果に基づいて母液抜出部21の母液抜出口21hの高さを調整する方法もとくに限定されない。予め得られている実験結果や数値シミュレーションの結果などを利用して、製品結晶の粒度分布の測定結果に合わせて、母液抜出部21の母液抜出口21hの高さを調整してもよい。
(母液抜出部21)
母液抜出部21の構造もとくに限定されず、母液抜出口21hの高さを調整できるのであればどのような方法や機構を採用してもよい
上述したように、母液抜出部21に伸縮する構造を採用し、この母液抜出部21を伸縮して母液抜出口21hの高さを調整するようにしてもよい(図3(A)参照)。例えば、母液抜出部21を、蛇腹管(伸縮式蛇腹チューブ)と蛇腹管を伸縮させる機能を有する伸縮部(例えばジャッキ機構やシリンダ機構、ネジナット機構等を有する伸縮部)で形成する。そして、母液抜出部21を、その伸縮方向が鉛直方向に対して斜めになるように設置する。この場合、伸縮部を作動すれば、母液抜出部21の母液抜出口21hは伸縮部の伸縮方向に沿って移動する。伸縮部の伸縮方向が鉛直方向に対して斜めになっているので、伸縮部が伸縮すると母液抜出口21hの高さを変化させることができる。なお、この機構を採用した場合には、制御部によって母液抜出部21の作動を制御する場合には、制御部は伸縮部の作動を制御することになる。また、母液抜出部21を伸縮させる構造としては、モーター駆動のヘリコイド等の方法も採用することができる。
また、図3(B)に示すように、母液抜出部21を管状の部材で構成し、その基端をDTB槽2の側壁に揺動装置を介して連結してもよい。この場合には、揺動装置を作動させれば母液抜出部21の先端(つまり母液抜出口21h)を上下方向に移動させることができるので、母液抜出口21hの高さを変化させることができる。なお、この機構を採用した場合には、制御部によって母液抜出部21の作動を制御する場合には、制御部は揺動装置の作動を制御することになる。
本発明の晶析装置によって製品結晶の粒度分布を調整できること確認した。実験では、図1に示すような構造を有するDTB型晶析装置のモデルを用いて、製品結晶の粒度分布および分級部内の結晶濃度を数値シミュレーションにより確認した。
数値シミュレーションでは、ANSYS社の汎用熱流体解析ソフトCFXを用いて、母液抜出部の母液抜出口の位置を、上段(分級部上端部から下方に100mmの位置)、下段(分級部上端部から下方に600mmの位置)と変化させて、母液抜出口の位置が製品結晶の粒度分布および分級部内の結晶濃度に与える影響を確認した。
数値シミュレーションは、以下の条件で実施した。
(DTB型晶析装置)
本実施例に用いたDTB型晶析装置の形状は、分級部の内径φ4200mm、晶析部の内径φ2850mm、ドラフトチューブの内径φ1950mm、長さ3600mmとし、撹拌翼の回転数を38rpm、全体の循環(加熱用流体の循環、配管を図示せず)の流量を8333[L/min]とし、ポンプ(図1における流動発生部23)を用いて循環流量を150[L/min]とした。。実際のDTB型晶析装置では、図1に示すように、母液を母液供給部から流入させ製品結晶回収部から晶析後のスラリーを取り出すが、計算では、母液供給部を製品結晶回収部と接続し、330[L/min]の流量で循環させるモデルにて計算した。
(母液の性状)
実際のDTB型晶析装置では、母液は殆ど結晶を含まないが、計算では、分級性能を比較するため、上述したように、結晶を含む製品結晶回収部から排出される液を母液として用いた。具体的には、装置全体の各液の初期条件として、母液中の結晶の体積分率を4.0[%]均一とし、粒子を3つの粒径で代表させて計算した。代表粒径は、0.1mm、0.4mm、1mmとし、細粒である粒径が0.1mmの粒子の割合を50.63[%]、粒径が0.4mmの粒子の割合を5.0[%]、粒径が1mmの割合を44.37[%]とした。細粒割合は、計算では、母液抜出部の母液抜出口から排出される液に含まれる全粒子の体積中の0.1mmと0.4mmの粒径の粒子の体積分率にて評価した。
母液抜出口の位置を下段にした結果を図4に上段にした結果を図5に示す。
図4(B)および図5(B)に示すように、母液抜出口を下段にした結果と比較して、母液抜出口を上段にした結果のほうが細粒割合が減少していることが確認できた。
以上のように、母液抜出部の母液抜出口の位置を変化させることによって、その他の条件は同じでも、分級脚から排出される母液に含まれる製品結晶の粒度分布および分級部内の結晶濃度が変化することが確認された。
本発明の晶析装置は、硫酸ニッケルや塩化ナトリウム等の塩の結晶を製造する装置に適している。
1 晶析装置
2 DTB槽
3 ドラフトチューブ
4 バッフル
5 晶析部
6 分級部
7 分級脚
8 製品結晶回収部
9 母液供給部
10 攪拌装置
11 回転軸
12 攪拌翼
20 循環流路
21 母液抜出部
21h 母液抜出口
S 母液

Claims (4)

  1. 分級部の母液を抜き出して、抜き出した母液を分級脚に供給する循環流路を備えたDTB型晶析装置であって、
    前記循環流路は、
    前記分級部から母液を抜き出す母液抜出部を備えており、
    該母液抜出部は、
    その先端に母液を抜き出す母液抜出口が設けられており、
    該母液抜出口の位置が前記分級部の高さ方向に沿って移動可能に設けられている
    ことを特徴とする晶析装置。
  2. 製品結晶を含む母液を排出する製品結晶回収部を備えており、
    該製品結晶回収部から排出される製品結晶の状態に基づいて、前記母液抜出部の母液抜出口の位置を変化させる制御部を備えている
    ことを特徴とする請求項1記載の晶析装置。
  3. 前記母液抜出部が、
    前記母液抜出口が設けられた先端部と前記分級部の壁面に固定された基端部との間で伸縮可能な構造を有している
    ことを特徴とする請求項1または2記載の晶析装置。
  4. 前記母液抜出部は、
    前記分級部の壁面に連結された基端部を支点として、前記母液抜出口が設けられた先端部を上下に揺動可能な構造を有している
    ことを特徴とする請求項1または2記載の晶析装置。

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