JP2019166498A - 排ガス浄化触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディーゼルエンジン等の排ガスに含まれる粒子状物質を燃焼して、排ガスを浄化する排ガス浄化触媒に関して、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。【解決手段】セシウムとニオブとバナジウムの三金属複合酸化物または酸化物混合物からなり、元素比がセシウム:ニオブ:バナジウム=1:2−x:x(x<2、ただしxは正の実数)とすることにより、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することができる。【選択図】なし
Description
本発明は、ディーゼルエンジン等の排ガスに含まれる粒子状物質を燃焼して、排ガスを浄化する排ガス浄化触媒に関するものである。
ディーゼルエンジンは炭素等からなる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を排出することが課題であり、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)を排ガス経路に設置して、PMを捕集している。捕集されたPMは、定期的に排ガス温度を上昇させて燃焼除去する。PMを熱だけで燃焼するためには600℃以上の高温が必要になるので、より低温でPMを燃焼するために触媒作用を利用して燃焼を促進する。
現在、排ガス浄化触媒には白金、パラジウム等の白金族金属が広く使用されている。これは白金族金属の排ガス浄化触媒が、良好なPM燃焼性能と耐久性を持つためである。しかし、白金族金属は希少で、また高価であり、自動車排ガス浄化触媒においては白金族金属の省使用、白金族金属の代替材料に関する研究が世界中で行われている(非特許文献1を参照)。
白金族金属を不使用とした排ガス浄化触媒の一つに、アルカリ金属等からなる溶融塩型触媒(または溶融易動型触媒とも言う)がある。溶融塩型触媒はPMとの反応温度近傍で溶融し液相となるので、触媒とPMとの接触は飛躍的に増大し、性能が良化すると考えられている。溶融塩型触媒には、例えば、セシウム(Cs)とバナジウム(V)の複合酸化物(以下、CsV酸化物と記載)があり、いくつかあるCsV酸化物の中でも特にCs3VO4がPMに対して高活性であることが報告されている(非特許文献2を参照)。
本発明者らはこのCsV酸化物に着目し、ウンデカオキシド四バナジウム酸二セシウム(Cs2V4O11)が高活性かつ高耐久性であることを見出している。さらにアルカリ金属硫酸塩との共存、アルミナ系担体への担持により、高活性と高耐久性を両立した溶融塩型排ガス浄化触媒を提供できることを開示している(特許文献1を参照)。
羽田政明 他、「排出ガス浄化触媒の白金族金属使用量低減及び代替技術」、自動車技術 Vol.63、42−47頁、2009年
Debora Fino 他、「Cs−V catalysts for the combustion of diesel particulate」、Topics in Catalysis Vols.30/31、251−255頁、2004年
CsV酸化物等の溶融塩型触媒は液相となることで十分な性能を発揮し、融点が低いもの程、PMの燃焼温度も低くなる傾向がある。一方、液相であるために排ガスと接触して移動するという懸念や、揮発するという懸念がある。そして融点が低いもの程、これらの懸念は高まる。
本発明者らの提案するCs2V4O11を主活性種とする排ガス浄化触媒は、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA:United States Environmental Protection Agency)発行のバナジウム選択触媒還元(V−SCR:Vanadium−Selective Catalytic Reduction)型触媒の使用に関するガイドライン(Certification of Diesel Engines Equipped with Vanadium−based SCR Catalyst)に基づく試験を実施しても、バナジウムの揮発量は十分小さいことを確認している。しかしながら環境影響の観点で、バナジウムの揮発はより一層の低減が望まれる。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記で述べたCsV酸化物触媒の高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を実現するため、バナジウム(V)と同属で、類似の特性を持つニオブ(Nb)に着目し、セシウム(Cs)と、Nbと、Vとを、特定範囲の元素比で構成した排ガス浄化触媒が、高活性の確保とバナジウムの揮発のより一層の低減を両立させた。
すなわち、上記目的を達成するために、本発明の排ガス浄化触媒は、三金属複合酸化物または酸化物混合物からなり、前記三金属複合酸化物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物であり、前記酸化物混合物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物と、セシウムとニオブの複合酸化物と、セシウムとバナジウムの複合酸化物のうち少なくとも2つの混合物であり、元素比が、セシウム:ニオブ:バナジウム=1:2−x:x(x<2、ただしxは正の実数)であることを特徴としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、三金属複合酸化物または酸化物混合物からなり、前記三金属複合酸化物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物であり、前記酸化物混合物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物と、セシウムとニオブの複合酸化物と、セシウムとバナジウムの複合酸化物のうち少なくとも2つの混合物であり、元素比が、セシウム:ニオブ:バナジウム=1:2−x:x(x<2、ただしxは正の実数)であることを特徴としたことにより、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することができる。
本発明の請求項1に係る排ガス浄化触媒は、三金属複合酸化物または酸化物混合物からなり、前記三金属複合酸化物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物であり、前記酸化物混合物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物と、セシウムとニオブの複合酸化物と、セシウムとバナジウムの複合酸化物のうち少なくとも2つの混合物であり、元素比が、セシウム:ニオブ:バナジウム=1:2−x:x(x<2、ただしxは正の実数)であることを特徴とする。
これにより、Cs2Nb4O11における元素比Cs:Nb=1:2のうち、Nbの一部をVに置き換え、Cs:Nb:V=1:2−x:x(x<2、ただしxは正の実数、x=2のときCs2V4O11と同義になる)の組成が得られ、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することができる。
なお本明細書においては、次のように言葉を定義する。
複合酸化物とは、複数の異なる金属元素からなる金属酸化物である。
三金属複合酸化物とは、3つの異なる金属元素からなる複合酸化物である。
酸化物混合物とは、複数の異なる金属酸化物からなる混合物である。
また、本発明の請求項2に係る排ガス浄化触媒は、前記セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物が、Cs2Nb4O11のNbの一部をVに置換した構造であることを特徴とする。
これにより、排ガス浄化触媒は、Cs2Nb4O11の構造中Nbの一部をVに置換した構造となって、高活性の確保とバナジウム揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することができる。
また、本発明の請求項3に係る排ガス浄化触媒は、バナジウムの元素比を示す前記元素比xが、0.2〜0.6であることを特徴とする。
これにより、触媒活性とバナジウムの揮発量はトレードオフの関係にあるなかで、バナジウムの元素比x=0.2〜0.6のとき、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態の排ガス浄化触媒1は、三金属複合酸化物2または酸化物混合物3からなる。三金属複合酸化物2は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物である。また、前記酸化物混合物3は、前記三金属複合酸化物2であるセシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物と、セシウムとニオブの複合酸化物と、セシウムとバナジウムの複合酸化物のうち少なくとも2つの混合物である。
本実施の形態の排ガス浄化触媒1は、三金属複合酸化物2または酸化物混合物3からなる。三金属複合酸化物2は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物である。また、前記酸化物混合物3は、前記三金属複合酸化物2であるセシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物と、セシウムとニオブの複合酸化物と、セシウムとバナジウムの複合酸化物のうち少なくとも2つの混合物である。
排ガス浄化触媒1は、含有する元素の比がセシウム:ニオブ:バナジウム=1:2−x:x(x<2、ただしxは正の実数)である。
バナジウム族であるニオブ(Nb)はセシウム(Cs)との複合酸化物において、ウンデカオキシド四バナジウム酸二セシウムCs2V4O11と同様の結晶構造Cs2Nb4O11を形成する。このCs2Nb4O11はVを含まないので、バナジウムの揮発の懸念は当然ないが、PMに対する活性が低い。しかし、Cs2Nb4O11のNbの一部をVに置換した構造では、高活性の確保とバナジウムの揮発量の低減を両立することができる。
三金属複合酸化物2または酸化物混合物3は、バナジウムの元素比xの増加に伴い、触媒活性は向上し、x≧0.2でCs2V4O11と同程度にすることができる。一方、バナジウムの揮発量は、バナジウムの元素比xの増加に伴って増え、x>0.6で急激に増大する。実験結果から触媒活性とバナジウムの揮発量はトレードオフの関係にあること明らかになっている。すなわちバナジウムの元素比x=0.2〜0.6のとき、高活性の確保とバナジウムの揮発量の低減を両立することができる。また耐久試験の結果、より好ましくはx=0.4〜0.6である。
以下、排ガス浄化触媒の実施例について説明する。
図1に実施例1〜3、比較例1〜5の元素比x、原料のモル比、および後述の評価結果の一覧を示す。
本発明の排ガス浄化触媒を合成するためには、原料としてセシウム硫酸塩、酸化ニオブ(V)およびバナジウム硫酸塩を混合し、加熱処理する必要がある。
なお、使用するバナジウム硫酸塩としては、硫酸バナジウム(II)VSO4、硫酸バナジウム(III)V2(SO4)3、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4およびこれらの水和物がある。このうち酸化硫酸バナジウム(IV)n水和物VOSO4・nH2O(n=1〜6.5)、特にn=3または5の水和物は室温、空気中で安定であり、取り扱いが容易なため、本発明の原料として好適である。
また、セシウム硫酸塩としては、硫酸セシウムCs2SO4、硫酸水素セシウムCsHSO4および他の金属との複塩がある。また硫酸塩以外では、炭酸セシウムCs2CO3等を用いても構わない。このうち硫酸セシウムCs2SO4は室温、空気中で安定であり、取り扱いが容易である。さらに、硫酸セシウムは水に溶けて他の金属硫酸塩と複塩を形成することができ、本実施の形態において硫酸セシウムと酸化硫酸バナジウム(IV)を溶解した水溶液では、水中で複合硫酸塩CsV(SO4)2・12H2O等が形成すると推定され、安定な水溶液を得ることができるため、本発明の原料として好適である。
また、本実施の形態では均一な前躯体粉末を得るため水溶液を介したが、各原料粉末を乳鉢等で粉砕混合して、前躯体粉末としても構わない。この場合、各原料が偏在しないように十分注意が必要である。
具体的には、次の手順で合成する。
(実施例1)
実施例1は、x=0.2の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
実施例1は、x=0.2の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
硫酸セシウムCs2SO4と、酸化ニオブ(V)Nb2O5と、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4とを、モル比1:1.8:0.4でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:Nb:V=1:1.8:0.2であり、バナジウムの元素比を示す前記元素比x=0.2である。
まず硫酸セシウムと酸化硫酸バナジウム(IV)を水に溶解させ、青色透明の水溶液を得る。次に、前記水溶液を撹拌しながら酸化ニオブ(V)粉末を加え、さらに撹拌しながら加熱して水を蒸発させることで、各原料が均一に混合した前躯体粉末を得る。最後に、前記前躯体粉末を酸化雰囲気下900℃で加熱処理して合成した。
(実施例2)
実施例2は、x=0.4の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
実施例2は、x=0.4の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
硫酸セシウムCs2SO4と、酸化ニオブ(V)Nb2O5と、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4とを、モル比1:1.6:0.8でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:Nb:V=1:1.6:0.4であり、バナジウムの元素比を示す前記元素比x=0.4である。
各原料を実施例1と同じ手順で処理して、本発明の実施例2の排ガス浄化触媒を合成した。
このときX線回折測定による構造解析から、実施例2の結晶構造が主としてCs4Nb11O30と、CsVO3と、Cs2V4O11との酸化物混合物であることを確認した。
(実施例3)
実施例3は、x=0.6の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
実施例3は、x=0.6の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
硫酸セシウムCs2SO4と、酸化ニオブ(V)Nb2O5と、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4とを、モル比1:1.4:1.2でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:Nb:V=1:1.4:0.6であり、バナジウムの元素比を示す前記元素比x=0.6である。
各原料を実施例1と同じ手順で処理して、本発明の実施例3の排ガス浄化触媒を合成した。
(比較例1)
比較例1は、x=0、すなわちバナジウムを含まない場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
比較例1は、x=0、すなわちバナジウムを含まない場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
炭酸セシウムCs2CO3と、酸化ニオブ(V)Nb2O5を、モル比1:2でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:Nb=1:2であり、バナジウムは含まない。すなわち前記元素比x=0である。
まず炭酸セシウムを水に溶解させ、無色透明の水溶液を得る。次に、前記水溶液を撹拌しながら酸化ニオブ(V)粉末を加え、さらに撹拌しながら加熱して水を蒸発させることで、各原料が均一に混合した前躯体粉末を得る。最後に、前記前躯体粉末を酸化雰囲気下900℃で加熱処理することで、比較例1の排ガス浄化触媒を合成した。
このときX線回折測定による構造解析から、比較例1の結晶構造がCs2Nb4O11であることを確認した。
(比較例2)
比較例2は、x=0.1の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
比較例2は、x=0.1の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
硫酸セシウムCs2SO4と、酸化ニオブ(V)Nb2O5と、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4とを、モル比1:1.9:0.2でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:Nb:V=1:1.9:0.1であり、バナジウムの元素比を示す前記元素比x=0.1である。
各原料を実施例1と同じ手順で処理して、比較例3の排ガス浄化触媒を合成した。
(比較例3)
比較例3は、x=0.8の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
比較例3は、x=0.8の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
硫酸セシウムCs2SO4と、酸化ニオブ(V)Nb2O5と、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4とを、モル比1:1.2:1.6でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:Nb:V=1:1.2:0.8であり、バナジウムの元素比を示す前記元素比x=0.8である。
各原料を実施例1と同じ手順で処理して、比較例3の排ガス浄化触媒を合成した。
(比較例4)
比較例4は、x=1の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
比較例4は、x=1の場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
硫酸セシウムCs2SO4と、酸化ニオブ(V)Nb2O5と、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4とを、モル比1:1:2でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:Nb:V=1:1:1であり、バナジウムの元素比を示す前記元素比x=1である。
各原料を実施例1と同じ手順で処理して、比較例4の排ガス浄化触媒を合成した。
(比較例5)
比較例5は、x=2、すなわちニオブを含まない場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
比較例5は、x=2、すなわちニオブを含まない場合の排ガス浄化触媒の合成例である。
硫酸セシウムCs2SO4と、酸化硫酸バナジウム(IV)VOSO4とを、モル比1:4でそれぞれ秤量する。このとき各元素比は、Cs:V=1:2であり、ニオブは含まない。バナジウムの元素比を示す前記元素比x=2である。
まず硫酸セシウムと酸化硫酸バナジウム(IV)を水に溶解させ、青色透明の水溶液を得る。次に、前記水溶液を撹拌しながら加熱して水を蒸発させることで、各原料が均一に混合した前躯体粉末を得る。最後に、前記前躯体粉末を酸化雰囲気下900℃で加熱処理することで、比較例5の排ガス浄化触媒を合成した。
このときX線回折測定による構造解析から、比較例5の結晶構造がCs2V4O11であることを確認した。
<評価例1>
上記実施例1〜3、比較例1〜5を用いて、触媒の耐久性に関係するバナジウムの揮発量を評価した。
上記実施例1〜3、比較例1〜5を用いて、触媒の耐久性に関係するバナジウムの揮発量を評価した。
実施例1〜3、比較例1〜5の排ガス浄化触媒を、φ14mmの穴の開いた金型に入れ、油圧プレス機でプレスして、タブレット状の触媒を得た。これを乳鉢で粗粉砕し、ふるいを通過させて、大きさが1.2〜1.7mmの触媒ペレットを得た。
なお比較例3〜5は融点が低く、そのままでは後述の評価条件で溶融してしまうので、適切に評価できない。そのため比較例3〜5を、触媒を保持する目的でγ−アルミナと混合して、タブレット状に成型した。
また揮発したバナジウムを吸着するために、1.2〜1.7mmのγ−アルミナペレット6を作製した。
図2に評価装置の模式図、図3に写真を示す。
石英管4に、試験ガス流れ方向の上流側に触媒ペレット5、下流側にγ−アルミナペレット6を配置し、それぞれを石英ウール7で仕切って保持した。石英管4を管状電気炉8に設置し、触媒ペレット5近傍温度を熱電対9で計測しながら、上流側から700℃、水5%(残りは空気)の試験ガスを流量1L/minで、20時間で流通させた。試験中、高温水蒸気の試験ガスに暴露された触媒ペレット5からバナジウムが揮発し、下流側のγ−アルミナペレット6に吸着される。試験後のγ−アルミナペレット6を酸分解し、ICP−OES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いてバナジウムの定量分析を行い、吸着量を測定した。この吸着量(単位:μg)を試験に供したサンプル量(単位:g)と流通ガス量(単位:m3)で除して、単位触媒当たり・単位流量当たりのバナジウム揮発量(単位:μg/m3/g)を算出した。
縦軸を単位触媒当たり・単位流量当たりのバナジウム揮発量、横軸を元素比xとして、評価結果を図4に示す。バナジウム揮発量は元素比xの増加に伴って増えるが、0<x≦0.6の範囲で一定となり、その後、x>0.6で急激に増大することがわかった。
<評価例2>
上記実施例1〜3、比較例1〜5を用いて、触媒活性を評価した。
上記実施例1〜3、比較例1〜5を用いて、触媒活性を評価した。
実施例1〜3、比較例1〜5の排ガス浄化触媒を、模擬PMとしてのカーボンブラック(CB)と混合し、熱重量/示差熱分析装置を用いて、大気雰囲気下で加熱昇温し燃焼温度を調べた。温度の上昇に伴ってCBは燃焼して重量が減少するが、共存する排ガス浄化触媒の触媒作用によって燃焼する温度が異なる。ここではCBの時間当たりの重量減少が最大となる温度をPM燃焼温度と定義し、この温度が低いもの程、PM燃焼活性が高いと考えた。
縦軸をPM燃焼温度、横軸を元素比xとして、評価結果を図4に重ねて示す。
バナジウム元素比xの増加に伴い、PM燃焼温度は低下し、x≧0.2でCs2V4O11(x=2)と同程度になった。すなわち、触媒活性は、x≧0.2で、Cs2V4O11(x=2)と同様の高活性を確保することができた。
バナジウム元素比xの増加に伴い、PM燃焼温度は低下し、x≧0.2でCs2V4O11(x=2)と同程度になった。すなわち、触媒活性は、x≧0.2で、Cs2V4O11(x=2)と同様の高活性を確保することができた。
<評価のまとめ>
評価例1、2の結果から触媒活性とバナジウム揮発量はトレードオフの関係にあることがわかったが、バナジウムの元素比x=0.2〜0.6のとき、高活性とバナジウム揮発の低減を両立できることを見出した。
評価例1、2の結果から触媒活性とバナジウム揮発量はトレードオフの関係にあることがわかったが、バナジウムの元素比x=0.2〜0.6のとき、高活性とバナジウム揮発の低減を両立できることを見出した。
これにより、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することができる。
また、評価例1の試験後のサンプルについて上記と同様にして触媒活性を評価した。評価例1の試験前のPM燃焼温度を初期、試験後を耐久後と定義し、縦軸をPM燃焼温度、横軸を元素比xとして、評価結果を図5に示す。
元素比x≦0.2の範囲では、初期に比べて耐久後にPM燃焼温度が高温化し、触媒劣化が観察された。元素比x≧0.4では、初期と耐久後のPM燃焼温度は概ね一致し、高い耐久性が確認された。
以上の結果から、バナジウムの元素比x=0.2〜0.6のとき、高活性の確保とバナジウムの揮発量の低減を両立できることを確認した。また耐久性を考慮した場合、より好ましくはx=0.4〜0.6であると結論付けた。
これにより、高活性の確保とバナジウムの揮発量のより一層の低減を両立させた排ガス浄化触媒を提供することができる。
本発明にかかる排ガス浄化触媒は、従来のCsV酸化物触媒に比べて、高活性を維持したままバナジウム揮発量のより一層の低減を実現したものであるので、ディーゼルエンジンからの排ガスを浄化する触媒等として有用である。
1 排ガス浄化触媒
2 三金属複合酸化物
3 酸化物混合物
4 石英管
5 触媒ペレット
6 γ−アルミナペレット
7 石英ウール
8 管状電気炉
9 熱電対
2 三金属複合酸化物
3 酸化物混合物
4 石英管
5 触媒ペレット
6 γ−アルミナペレット
7 石英ウール
8 管状電気炉
9 熱電対
Claims (3)
- 三金属複合酸化物または酸化物混合物からなり、
前記三金属複合酸化物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物であり、
前記酸化物混合物は、セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物と、セシウムとニオブの複合酸化物と、セシウムとバナジウムの複合酸化物のうち少なくとも2つの混合物であり、
元素比が、セシウム:ニオブ:バナジウム=1:2−x:x(x<2、ただしxは正の実数)であることを特徴とする排ガス浄化触媒。 - 前記セシウムとニオブとバナジウムの複合酸化物が、Cs2Nb4O11のNbの一部をVに置換した構造であることを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化触媒。
- バナジウムの元素比を示す前記元素比xが、0.2〜0.6であることを特徴とする請求項1または2記載の排ガス浄化触媒。
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CN113769730A (zh) * | 2021-09-30 | 2021-12-10 | 苏州松之源环保科技有限公司 | 一种铯钒掺杂镧系金属的复合氧化物催化剂的制备方法 |
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