次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態における部品装着装置1の全体構造を説明する。部品装着装置1は、部品保持用吸着ノズルによって部品を真空吸着により保持して基板に装着する機能を有する。図1において、基台1aの中央部には、X方向(基板搬送方向)に延びた一対の搬送コンベアを備えた基板搬送機構2が配設されている。基板搬送機構2は部品装着対象の基板3を上流側装置から受け取って搬送し、以下に説明する部品搭載機構による装着作業位置に位置決め保持する。
基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配設されている。部品供給部4は、フィーダテーブル4a上に複数のテープフィーダ5を並設して構成されている。テープフィーダ5は、基板3に装着される部品を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、装着対象の部品を部品搭載機構の装着ヘッド8による部品取出位置に供給する。
次に、部品搭載機構について説明する。基台1aのX方向の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム6が配設されており、Y軸ビーム6にはリニア駆動機構を備えたX軸ビーム7がY方向に移動自在に装着されている。X軸ビーム7にはプレート部材9がX方向に移動自在に装着されており、プレート部材9には装着ヘッド8が保持フレーム10を介して装着されている。
装着ヘッド8には、以下に説明するノズルユニット11が下端部に設けられた複数のノズルシャフトが配置されている。装着ヘッド8は、Y軸ビーム6、X軸ビーム7を駆動することによりX方向、Y方向へ水平移動する。装着ヘッド8を部品供給部4に移動させ、ここでノズルユニット11をテープフィーダ5の部品取出位置に対して昇降させることにより、装着ヘッド8はノズルユニット11によって部品を吸着保持する。そして装着ヘッド8を基板搬送機構2に位置決め保持された基板3に移動させて、装着ヘッド8に部品装着動作を行わせることにより、部品を基板3に装着する。
図2、図3、図4を参照して、本実施の形態における第1実施例のノズルユニット11の外形および概略構成について説明する。図2はノズルユニット11の正面図を示しており、図3、図4は図1におけるA矢視、B矢視をそれぞれ示している。図2、図3、図4の各図に示すように、ノズルユニット11は縦方向に細長く延びた外形を有している。ノズルユニット11は装着ヘッド8に組み込まれたノズル機構を構成する複数のノズルシャフトにおいて、負圧発生源22に通じる吸引経路21(図5参照)の終端部を構成する。
ノズルユニット11は、下方に開いた収納孔20が内部に形成された構造となっている。収納孔20は、負圧発生源22に通じる吸引経路21の一端を形成するシャフト12に設けられており、収納孔20には部品を吸着保持するための機能部分が収納される。これらの機能部分には、シャフト12の入り口部分からノズル部を突出させた形態で収納孔20内に着脱自在に収納される部品保持用吸着ノズル13および収納孔20の入口部分よりも奥に収納されるカートリッジ40(図5参照)が含まれている。
本実施の形態に示す部品装着装置1においては、部品保持用吸着ノズル13およびカートリッジ40の径寸法を極力コンパクトにするとともに、部品保持用吸着ノズル13およびカートリッジ40の収納孔20内における係合および係合解除を、1対のクランプレバー16の操作によって行うようにしている。
すなわち図3,図4に示すように、シャフト12の外側面に縦方向に設けられた1対のクランプレバー収納溝12cには、それぞれクランプレバー16が配置されている。シャフト12の外周面を周回して形成された環状溝12bには、クランプレバー16に外面側から当接する背当て部材14および背当て部材14を部品保持用吸着ノズル13、カートリッジ40に係合する方向に付勢する弾性部材15が配置されている。ここでは弾性部材15として引張りバネが用いられている。
さらにクランプレバー16は支点凸部16b(図5)を支点として縦回転方向に揺動自在となっている。クランプレバー16の操作部16aをシャフト12の側面において面カットした面取り部12aに押し当てる方向に押圧することにより、部品保持用吸着ノズル13、カートリッジ40の係合を解除することができるようになっている。
以下、このような機能を実現するためにノズルユニット11が備えた詳細構成について、各図を参照して説明する。まずノズルユニット11の内部構造について、図5〜図9を参照して説明する。図5、図6、図7は、図4におけるE−E断面、図2におけるC−C団面および図2におけるD−D断面をそれぞれ示している。また図8(a)、(b)は、図2における正面およびその縦断面を示し、さらに図9は(a)、(b)は、図3における正面およびその縦断面をそれぞれ示している。
図5、図6に示すように、シャフト12に設けられた収納孔20の入口部分には、部品保持用吸着ノズル13が装着されている。部品保持用吸着ノズル13は、ノズル本体30、スリーブ33およびノズル本体付勢手段34より構成される。ここでは、ノズル本体付勢手段34として圧縮バネを用いている。ノズル本体30は、内部に吸引路32aが形成された筒状の挿入部32の下端部に、部品に当接して吸着するノズル先端部材31を装着した構成となっている。ノズル先端部材31および挿入部32の内部には、双方を挿通する吸引路32aが形成されている。
スリーブ33の頂部には、収納孔20の入口部分に挿入される頭部33aが設けられている。頭部33aの外面には、図6に示すように、位置係止用の係合溝33cが設けられている。スリーブ33の内部には挿入孔33bが形成されている。挿入孔33bには、吸引路32aの延びる方向に沿って挿入部32が挿入される。ノズル本体30およびスリーブ33の間には、ノズル本体付勢手段34が介設されており、ノズル本体付勢手段34はノズル本体30を下方に付勢する。
ここで図8,図9を参照して、シャフト12の外周面に形成された横穴、凹部などの加工部について説明する。図8,図9に示すように、シャフト12の頂部には、収納孔20を吸引経路21に接続するための開口部20aが設けられている。シャフト12の上部には略半分の高さ範囲に亘ってシャフト12の外側面を幅カットした面取り部12aが設けられている。このようにシャフト12の側面を幅カットすることにより、クランプレバー16の操作部16aを外側から挟み込んでシャフト12の外径よりも内側に押しつける操作が可能となっている。
図8(a)、図9(a)、に示すように、シャフト12の外周において支点凹部12fとクランプレバー16の第1の凸部16dに挟まれた高さ位置には、シャフト12の全周に亘って環状溝12bが形成されている。図7に示すように、環状溝12bは、背当て部材14および弾性部材15よりなるクランプレバー付勢手段24を収納する機能を有している。ここでは、クランプレバー付勢手段24がシャフト12の外表面から極力突出しないように、環状溝12bの深さ寸法が設定されている。
図9(b)に示すように、シャフト12の外側面には、一端が面取り部12aと連通し環状溝12bを横切って下方まで延びるクランプレバー収納溝12cが形成されている。クランプレバー収納溝12cは、図3,図4に示すように、クランプレバー16を収納する機能を有している。そしてクランプレバー収納溝12c内のシャフト12の側面には、図8(b)に示すように、面取り部12aの下方に位置して、クランプレバー16の支点凸部16bが嵌入する支点凹部12fが形成されている。
またクランプレバー収納溝12c内には、支点凹部12fの下方に位置して、第2の横穴12g、第1の横穴12hがシャフト12の側面を貫通して設けられている。さらにシャフト12の下端部において相対向する外周面には、図4に示すガイドピン17が嵌合するガイド溝12eおよび図5に示す結合部材18を着脱するための操作溝12dが形成されている。
次に、クランプレバー16の詳細を説明する。シャフト12の外周面には、クランプレバー収納溝12c内に位置して、1対のクランプレバー16が配置されている。なお、1対のクランプレバー16を備えることは必須ではなく、少なくとも1つのクランプレバー16を備えていればよい。クランプレバー16は、操作部16aの下方に内側に突出して設けられた支点凸部16bを、支点凹部12fに嵌合させて装着される。すなわち、それぞれのクランプレバー16は、シャフト12の外周面に位置する支点である支点凹部12f(図8(b)参照)を中心に、シャフト12の軸線AX(図8(b)参照)に沿った縦回転方向に揺動自在に設けられている。
クランプレバー16は、収納孔20に挿入された頭部33aに設けられた係合溝33cに係合可能な凸部である第1の凸部16dを有する。第1の凸部16dは、第1の横穴12hを介して収納孔20の内側に嵌入し、係合溝33cに係合する。すなわちシャフト12の外周面には、クランプレバー16を収納する少なくとも一つのクランプレバー収納溝12cと、第1の凸部16dに対応する位置に設けた第1の横穴12hとが形成されている。そしてクランプレバー収納溝12cに配置されたクランプレバー16の第1の凸部16dは、第1の横穴12hを挿通して頭部33aに係合可能となっている。
上述のように、部品保持用吸着ノズル13をシャフト12に着脱自在に保持させるクランプレバー16をクランプレバー収納溝12c内に収納し、さらにクランプレバー16を内側へ押さえ込むクランプレバー付勢手段24をシャフト12の外表面に形成された環状溝12b内に収納する構成とすることにより、以下のような効果を得る。すなわち従来技術においては、シャフトから張り出した形態で配置されたクランプレバーを外側から円環状のコイルバネ部材によって押さえ込む構成が一般的であった。このため、ノズルユニットの全体形状における外径サイズの増大が避けられなかった。
これに対し、本実施の形態においては、クランプレバー16およびクランプレバー付勢手段24がシャフト12の外表面からの張り出し寸法を極力小さくする構成となっており、ノズルユニット11の外径サイズの小型化が可能となっている。これにより、複数のノズルユニットが配置された装着ヘッドにおいてノズルピッチを縮小することができ、装着ヘッドのコンパクト化を図ることができる。
ここで、図10〜図13を参照して、部品保持用吸着ノズル13の詳細構成および機能を説明する。図10は、部品保持用吸着ノズル13の外形を示している。図10(a)、図11(a)に示すように、部品保持用吸着ノズル13は、装着対象の部品(図示省略)に当接して保持するノズル先端部材31が固定装着された挿入部32をスリーブ33によって上下にスライド可能に保持し、挿入部32をノズル本体付勢手段34によって下方に付勢する構成となっている。
すなわち図11(a)において、ノズル先端部材31が装着された筒状の挿入部32の内部には、ノズル先端部材31の下端部に開口する吸引路32aが形成されている。ノズル先端部材31および吸引路32aが形成された挿入部32は、部品保持用吸着ノズル13のノズル本体30を構成する。挿入部32は、スリーブ33に吸引路32aの延びる方向に沿って形成された挿入孔33bに挿入される。
スリーブ33はフランジ部33fが延出した円筒体の頂部に頭部33aを設けた形状となっている。スリーブ33とノズル本体30を構成するノズル先端部材31との間には、圧縮バネよりなるノズル本体付勢手段34が装着されている。ノズル本体付勢手段34は、ノズル本体30を挿入孔33bから抜ける方向へ付勢し、ノズルユニット11を下降させてノズル先端部材31を部品に当接させる際の衝撃を緩衝する機能を有する。ここでは、ノズル本体付勢手段34を部品保持用吸着ノズル13に設けた構成例を示している。
図11(a)に示すように、挿入孔33bに挿入された挿入部32の外周面には、吸引路32aの延びる方向に縦長の溝である溝部32bが形成されている。 溝部32bには、図11(b)に示すように、スリーブ33の側面から挿入孔33bの中心に向かって貫通する結合部材挿入孔33eを通じて、ピン形状の結合部材18が挿入されている。すなわち結合部材18は、結合部材挿入孔33eに埋設される形態となっている。
この構成において、結合部材18が溝部32b内にて縦方向に移動することにより、挿入部32のスリーブ33に対する相対移動が許容される。すなわちノズル本体30は、溝部32bが形成された範囲において、スリーブ33に対して吸引路32aの延びる方向に移動可能となっている。
結合部材18は、溝部32bから抜けないように拘束部材19によって拘束されている。拘束部材19は金属細線を略半円形状に曲げ加工して設けられたC字形状のクリップであり、弾性変形することによりスリーブ33に着脱可能となっている。すなわち図12、図13に示すように、拘束部材19の一方端は内周側にV字状に屈曲して設けられた屈曲部19aであり、他方端は内周側にL字状に折り曲げられた折曲部19bとなっている。
スリーブ33の外周には、拘束部材19における屈曲部19a、折曲部19bの位置に対応して、係合凹部33g、33hが設けられている。さらに結合部材挿入孔33eを通じて溝部32bに挿入される結合部材18の外面には、拘束部材19が嵌合する嵌合溝18bが設けられている。
スリーブ33に挿入部32を結合する際には、図12に示すように、結合部材挿入孔33eに溝部32bを位置合わせした状態で、結合部材18を結合部材挿入孔33eを貫通させて溝部32bに挿入する。結合部材18には操作用の貫通部18aが形成されており、溝部32bへの挿入操作は、貫通部18a内に作業ツールを挿入して結合部材18を操作する。結合部材18を溝部32bへ挿入した状態では、結合部材18の外面に形成された嵌合溝18bがスリーブ33の外周面に位置する。
そしてこの状態で、拘束部材19を弾性変形させてスリーブ33に装着して、結合部材18が溝部32bから抜け落ちないようにする。すなわち、図11(b)に示すように、拘束部材19の屈曲部19a、折曲部19bをそれぞれ係合凹部33g、33hに係合させるとともに、拘束部材19の中間部分を結合部材18の外面の嵌合溝18bに嵌合させる。
また挿入部32をスリーブ33から分離させるために結合部材18を抜き取る際には、単に拘束部材19を弾性変形させてスリーブ33の外周から取り外すのみでよい。そしてこの状態で、結合部材18の貫通部18aに作業ツールを挿入して、結合部材18の抜き取り操作を行う。すなわち本実施の形態においては、結合部材18の抜け落ちを防止する拘束部材19として、両端部がスリーブ33の外周に形成された係合凹部33g、33hに係合し、中間部が結合部材18の外面に形成された嵌合溝18bにはまり込むC字形状のクリップを用いている。
ノズル本体30のスリーブ33に対する相対回転位置をガイドしながら、スリーブ33に対して上下スライド自在にノズル本体30を装着する機構を上述のように構成することにより、従来技術と比較して以下のような効果を得る。すなわち従来装置においては、ノズル軸と直交する方向から挿入されたガイドピンによってノズル軸をガイドするガイドピン方式が一般に用いられていた。
このガイドピン方式においてノズル本体30を脱着する際には、ガイドピン自体の脱着が行われる。この作業にはガイドピンの圧入および抜去のための専用工具が必要とされるため、生産ラインの作業現場において行うことが難しく、一旦ノズルユニット11を取り外して専用のメンテナンスエリアに持ち込む必要があった。
これに対し、本実施の形態に示すノズルユニット11のように、結合部材18の抜け落ちを拘束部材19によって防止する構成では、専用工具を用いることなく、拘束部材19を弾性変形させる単純な操作で結合部材18を抜き取ることが可能となっている。したがってノズル本体30の脱着作業を作業現場において簡便な作業で容易に実行することができる。
さらにノズル軸と直交する方向からガイドピンを挿入する構成においては、挿入されたガイドピンが吸引路を横切って挿通することとなるため、吸引路の有効断面積が減じられる。この結果、部品を真空吸着により保持する保持力の低下が避けられず、部品保持ノズルとしての性能が低下することとなっていた。これに対し、本実施の形態に示すノズルユニット11では、吸引路32aを遮る構成要素が存在せず、高い部品保持能力を確保することができる。
図11(a)、(b)に示すように、スリーブ33において環状面33dとフランジ部33fのフランジ部との間には、結合部材18と相反する位置にガイドピン17が植設されている。ガイドピン17は図4に示すガイド溝12eに嵌合する位置にあり、部品保持用吸着ノズル13のシャフト12に対する軸周りの位置を規定する回り止めとしての機能を有している。
頭部33aには、第1の凸部16dが係合する係合溝33cと、係合溝33cよりも下方であって第1の横穴12hよりも下方の収納孔20の内面に当接する環状面33d(図11(a)参照)とが形成されている。この構成により、クランプレバー16によって部品保持用吸着ノズル13を係止した状態において、部品保持用吸着ノズル13は係合溝33cおよび環状面33dの2位置において保持された状態となり、安定した保持状態が実現される。
クランプレバー16が環状溝12bと重なる位置には、クランプレバー16の外面に当接する形で背当て部材14が配置されている。図7に示すように、背当て部材14は、クランプレバー16からはみ出した両端部が環状溝12b側に屈曲した形態となっている。背当て部材14の両端部には、環状溝12b内を周回する形で配置された弾性部材15が連結されている。弾性部材15は引張りバネであり、背当て部材14に張力を作用させることにより背当て部材14をクランプレバー16の外面に押し当てる。これにより、クランプレバー16の第1の凸部16dは、スリーブ33の頭部33aに設けられた係合溝33cに押し当てられ、クランプレバー16によるスリーブ33の係止が行われる。
すなわち弾性部材15は、背当て部材14をクランプレバー16の外面に押し当てることにより第1の凸部16dを頭部33aへ押付ける機能を有している。なお、ここでは背当て部材14の両側に弾性部材15を接続しているが、背当て部材14の片側のみに、すなわち背当て部材14に少なくとも一つの弾性部材15を接続して、背当て部材14に張力を作用させる構成であってもよい。
図5に示すように、クランプレバー16の外面において環状溝12bと重なる位置(図2、図3参照)には、背当て部材14を収容することが可能な幅と深さの溝16eが形成されている。環状溝12bに配置された状態において、背当て部材14は溝16eに当接する。この状態において、背当て部材14はクランプレバー16の外面よりも突出することなくクランプレバー16を内側に押圧する。
上記構成において、背当て部材14および弾性部材15は、第1の凸部16dと第2の凸部16cをカートリッジ40側に付勢するクランプレバー付勢手段となっている。そして背当て部材14および弾性部材15よりなるクランプレバー付勢手段24とクランプレバー16とは、頭部33aを収納孔20の入口部分に収納した状態で、部品保持用吸着ノズル13をシャフト12に装着するノズルホルダであるノズル保持部25を構成する。本実施の形態においては、前述のようにクランプレバー付勢手段24とクランプレバー16とをシャフト12の外面から極力張り出さないようにしており、ノズルホルダの小型化が実現されている。
次に図5、図6、図14、図15、図16を参照して、部品装着装置1のノズルユニット11において収納孔20の入り口部分よりも奥の部品保持用吸着ノズル13の上側に収納されるカートリッジ40の構成、ノズルユニット11におけるカートリッジ40の係合および係合解除について説明する。図5において、収納孔20の天上面に装着されたストッパ23には、カートリッジ40を構成する円筒体41およびエアフィルタ42の上端部が当接している。カートリッジ40は、部品装着装置1において装着ヘッド8に装着されたノズルユニット11の部品保持用吸着ノズル13から吸引されたエアに含まれる異物を除去するエアフィルタが装着された部品装着装置用のカートリッジである。
図5、図16に示すように、カートリッジ40は、円筒体41、通気穴41a、エアフィルタ42、カートリッジ内エア流路43、ガイド体44、ジョイント45、およびパッド46より構成される。カートリッジ40は、収納孔20の内壁に接触するガイド部を有するガイド体44によって収納孔20内に保持される。これにより、カートリッジ40をがたつきや振動の発生を防止して安定して保持することができる。
円筒体41はガイド体44に装着され、円筒形状で半径方向に通気性を有する中空部材である。本実施の形態では、複数の通気穴41aを設けることにより通気性を確保するようにしている。収納孔20の内部空間は、円筒体41により外側空間20bと内側空間20cとに分けられる。なお、円筒体41をガイド体44と一体成形するようにしてもよい。
円筒体41の外周面には、多孔質素材や不織布よりなるエアフィルタ42が装着されている。このように、エアフィルタ42を円筒体41の外周面に配置する構成とすることにより、以下に述べるような効果を得る。まず、エアフィルタ42は脆弱な素材より成り破損しやすいという特性を有しているが、円筒体41の外周面に装着して保持することにより安定して保持して破損を防止することができる。またエアフィルタ42は円筒体41の外周面に装着されることから、装着や取り外し作業を容易に行うことができ、高頻度で行われるフィルタ交換作業を効率化することができる。
さらに、カートリッジ40は収納孔20内においてノズルホルダ部分よりも奥に配置されることから、クランプレバー16に由来する径寸法の制約が無い。これにより、エアフィルタ42および円筒体41の径サイズを極力大きく設定することが可能となっている。またエアフィルタ42を円筒体41において径サイズが大きく表面積の大きい外周面に装着する構成であるため、エアフィルタ42の濾過面積を極力大きく設定することができる。
したがってエアフィルタ42の異物捕集能力を増大させて、エアフィルタ42の交換寿命を極力長くする長寿命化が可能となり、メンテナンスコストやランニングコストの低減化を促進することができる。なおこの観点から、エアフィルタ42を円筒体41およびエアフィルタ42の長さサイズを極力大きく設定することが望ましい。
ガイド体44の内部には、吸引路32aから吸引されたエアを外側空間20bへ導くカートリッジ内エア流路43が形成されている。カートリッジ内エア流路43は、ガイド体44を横方向に貫く第1流路43aと第1流路43aから下方に延びた第2流路43bよりなる。第2流路43bは、ガイド体44から下方に延出して設けられたジョイント45に連通している。
ジョイント45の下端部、すなわちガイド体44の部品保持用吸着ノズル13側には、カートリッジ内エア流路43と吸引路32aとを接続するパッド46が装着されている。パッド46は、シリコンゴムなどの弾力性を有する樹脂をパッド形状に成形した樹脂部材である。部品保持用吸着ノズル13を装着した状態では、スリーブ33の頭部33aがパッド46に押し付けられ、これにより吸引路32aとパッド46とは連通状態となる。
吸引路32aから吸引されたエアは、パッド46、ジョイント45、カートリッジ内エア流路43を介して外側空間20bに流入し、さらにエアフィルタ42および通気穴41aを通過して内側空間20cに流入する。このエアの流動過程においてエアに含有された異物はエアフィルタ42に捕捉され、これにより吸引経路21に吸引されるエアから異物が除去される。
図5において、クランプレバー16には、頭部33aに係合可能な第1の凸部16dと、カートリッジ40に係合可能な第2の凸部16cとが、支点凸部16bよりも下方に設けられている。クランプレバー付勢手段24によって、第1の凸部16dと第2の凸部16cとを、頭部33aとカートリッジ40側に付勢した状態では、第1の凸部16dは第1の横穴12hを挿通して頭部33aに係合する。これとともに、第2の凸部16cは、第2の横穴12gを挿通してカートリッジ40のガイド体44のガイド端部44aに係合する。すなわちクランプレバー16は、第2の凸部16cがガイド体44に係合可能となるように構成されている。
上述のクランプレバー16による部品保持用吸着ノズル13およびカートリッジ40の係合解除について、図14、図15を参照して説明する。本実施の形態に示すノズルユニット11では、クランプレバー16には支点凸部16bから上方に延出した操作部16aが設けられている。そして操作部16aをシャフト12側に押圧することにより、第1の凸部16dと第2の凸部16cとは、それぞれ頭部33aとカートリッジ40との係合を解除する方向へ移動するようになっている。
図14は、収納孔20内にカートリッジ40および部品保持用吸着ノズル13を収納して、クランプレバー16をこれらに係合させた状態から、部品保持用吸着ノズル13のみについて係合を解除した状態を示している。すなわちクランプレバー16において、まず操作部16aをシャフト12側へ所定量だけ押圧すると(矢印a)、クランプレバー16はクランプレバー付勢手段24に抗して揺動し、クランプレバー16の下端部の第1の凸部16dは第1の横穴12hから離脱する方向(矢印b)へ移動する。
この第1の凸部16dの移動により、第1の凸部16dによる頭部33aの係合が解除され、部品保持用吸着ノズル13の収納孔20の入口部分からの取り出し(矢印c)が可能となる。このとき、第1の凸部16dから頭部33aが外れる際に、クランプレバー16が前述のクランプレバー付勢手段24に抗して揺動した場合においても、第2の凸部16cはカートリッジ40のガイド体44のガイド端部44aに係合した状態を維持するようになっている。したがって、収納孔20にいずれも着脱自在に装着されるカートリッジ40および部品保持用吸着ノズル13を対象とするメンテナンスや交換作業において、カートリッジ40を落下させること無く、部品保持用吸着ノズル13のみを選択的に取り出すことが可能となっている。
部品保持用吸着ノズル13の自動交換の際も、収納孔20から強制的に引き抜かれる頭部33aによって第1の凸部16dが矢印b方向に押されてクランプレバー16が揺動するが、この場合も第2の凸部16cはカートリッジ40のガイド体44のガイド端部44aに係合した状態を維持する。従って部品保持用吸着ノズル13を自動交換する際もカートリッジ40は収納孔20から外れて落下することがない。
図15は、カートリッジ40を収納孔20から取り外す際のクランプレバー16の操作状態を示している。クランプレバー16の操作部16aをシャフト12側へ押圧して面取り部12aに当接させると(矢印d)、クランプレバー16はクランプレバー付勢手段24に抗してさらに揺動し、クランプレバー16の中間部の第2の凸部16cは第2の横穴12gから離脱する方向(矢印e)へ移動する。これにより、第2の凸部16cによるガイド端部44aの係合が解除され、収納孔20の奥側に収納されたカートリッジ40の取出し(矢印f)が可能となる。
上述の部品保持用吸着ノズル13およびカートリッジ40の取り出し作業においては、特に専用工具は必要とされず、単にクランプレバー16の操作部16aを押圧操作することのみによって、これらを取り出すことができる。したがって高頻度で行う必要があるエアフィルタ42の交換などのメンテナンス作業を、低コストで効率よく実行することができる。
上記説明したように、本実施の形態に示す部品装着装置では、装着ヘッド8に配置されるノズルユニット11において、シャフト12の外周面に対向して形成された1対のクランプレバー収納溝12cにそれぞれクランプレバー16を配置し、シャフト12を周回して形成された環状溝12b内に配置された背当て部材14、弾性部材15より成るクランプレバー付勢手段24によってクランプレバー16を内側に押し付けることにより、クランプレバー16に設けられた凸部を部品保持用吸着ノズル13に設けられた係合部に係合させ、部品保持用吸着ノズル13をシャフト12に設けられた収納孔に保持させる構成としている。これにより、部品保持用吸着ノズル13をノズルユニット11に着脱自在に保持させる装着ヘッド8を備えた構成において、ノズルユニット11の外径サイズを小型化して、装着ヘッド8におけるノズルピッチの縮小を実現することができる。
また本実施の形態に示す部品装着装置では、装着ヘッド8に配置されるノズルユニット11において、背当て部材14、弾性部材15より成るクランプレバー付勢手段24によって内側に押し付けられてノズルホルダとして機能し、シャフト12の外周面に位置する支点凸部16bを中心に縦回転方向に揺動自在なクランプレバー16に、収納孔20に挿入された部品保持用吸着ノズル13の頭部33aに係合可能な第1の凸部16dとエアフィルタ42を備えたカートリッジ40に係合可能な第2の凸部16cとを設け、クランプレバー16によって部品保持用吸着ノズル13とカートリッジ40とを保持するようにしている。これにより、部品保持用吸着ノズル13から吸い込んだ空気を濾過するエアフィルタ42を備えた構成において、ノズルホルダの小型化とともにエアフィルタ42の長寿命化を達成し、さらにはエアフィルタ42の交換作業を容易にすることができる。
また本実施の形態に示す部品装着装置では、装着ヘッド8に配置されるノズルユニット11において、シャフト12の収納孔20の入口部分に頭部33aを収納した状態で部品保持用吸着ノズル13をノズルホルダとしてのノズル保持部25によって保持し、収納孔20の入口部分よりも奥にカートリッジ40を収納し、カートリッジ40は、収納孔20の内部空間を外側空間20bと内側空間20cとに分ける円筒体41と、円筒体41の外周面に装着されたエアフィルタ42と、吸引されたエアを外側空間20bへ導くカートリッジ内エア流路43と、収納孔20の内壁に接触するガイド部を有するガイド体44とを有する構成とする。これにより、部品保持用吸着ノズル13から吸い込んだ空気を濾過するエアフィルタ42を備えた構成において、ノズルホルダの小型化とともにエアフィルタ42の長寿命化を達成し、さらにはエアフィルタの交換作業を容易にすることができる。
また本実施の形態に示す部品装着装置用のカートリッジでは、頭部33aと吸引路32aとを有する部品保持用吸着ノズル13と、頭部33aを収納孔20の入口部分に収納した状態で部品保持用吸着ノズル13をシャフト12に装着するノズルホルダとしてのノズル保持部25とを備えた部品装着装置において、収納孔20の奥に収納される部品装着装置用のカートリッジ40を、収納孔20の内部空間を外側空間20bと内側空間20cとに分ける円筒体41と、円筒体41の外周面に装着されたエアフィルタ42と、吸引されたエアを外側空間20bへ導くカートリッジ内エア流路43と、収納孔20の内壁に接触するガイド部を有するガイド体44とを有する構成とする。これにより、部品保持用吸着ノズルから吸い込んだ空気を濾過するエアフィルタを備えたカートリッジにおいて、ノズルホルダの小型化とともにエアフィルタの長寿命化を達成し、さらにはエアフィルタの交換作業を容易にすることができる。
また本実施の形態に示す部品保持用吸着ノズルでは、装着ヘッド8に配置されるノズルユニット11において、シャフト12の収納孔20の入口部分に頭部33aを収納した状態で装着される部品保持用吸着ノズル13を、内部に吸引路32aが形成された筒状の挿入部32を有するノズル本体30と、吸引路32aの延びる方向に沿って挿入部32が挿入される挿入孔33bを有するスリーブ33と、挿入孔33bに挿入された挿入部32の外周面に形成されている溝部32bに、スリーブ33の側面から挿入孔33bの中心に向かって貫通する結合部材挿入孔33eを通じて挿入される結合部材18と、結合部材18を溝部32bから抜けないように拘束する拘束部材19とを備えた構成としている。これにより、分解および組立てが容易で部品を保持する能力の高い部品保持用吸着ノズルを提供することができる。