JP2019163855A - ころ軸受用保持器 - Google Patents
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Abstract
Description
このような円錐ころ軸受は、内輪の円錐外面状軌道面の軸方向両側部に大径側の大鍔及び小径側の小鍔を設け、内輪の円錐外面状軌道面及び外輪の円錐内面状軌道面間に複数の円錐ころを配置するとともに、これらの円錐ころを周方向等間隔に保持するための円錐ころ軸受用保持器を備える。
円錐ころ軸受用保持器として、冷間圧延鋼板又は熱間圧延鋼板等の鋼板製のプレス保持器が一般的に用いられる。
円筒ころ軸受用保持器として、円筒ころ(6,13)のピッチ円直径より大径の中央環状部(1a,14a)を含む柱部の両側に内径側に向けて円筒ころ(6,13)のピッチ円直径と概ね同径の側方環状部(1b,14b)を折曲成形してなる内輪案内方式の保持器がある(例えば、特許文献2参照)。
その上、特許文献2の円筒ころ軸受用保持器では、ピッチ円直径より大径の中央環状部まで段押し加工した柱部の中央にころ抜け止めを形成するので、対向するころ抜け止めの間隔のばらつきが大きくなる。それにより、内輪に組み付けた円筒ころに外接する円の直径のばらつきが大きくなる。よって、特許文献2の第4図及び第8図のような、内輪、円筒ころ及び保持器を一体にした円筒ころ軸受の中間組立品に対して、外輪を組み付け難いという問題点がある。
その上さらに、ころ軸受の内輪に転動体であるころを組み付けた状態では、ころを取り出すことが困難であるので、ころ軸受のメンテナンス性が悪いという問題点がある。
よって、調整に工数が掛かる上に保持器の精度、強度に悪影響を及ぼすおそれがある。
特に大型の円錐ころ軸受においては、底拡げや加締め加工の金型が大型化するとともに、加工に必要なプレス機械も大型のものが必要となるので、製造コストが増大する。
よって、円錐ころ軸受用保持器のポケット孔を打抜き加工により形成するのは困難であるので、製造コストが増大する。
よって、ころ軸受用保持器の柱部が細くなるので、強度面から問題になるおそれや成形不能となるおそれがある。
その上さらに、柱部の中央環状部に突設したころ抜け止めにより、ころの抜け止めを行う場合、段押し加工や打抜き加工時の変形によって、ころ抜け止め間の寸法がばらつき易く、特に大型のころ軸受においては、ポケット孔の径方向外方からのころの挿入が困難になるおそれがある。
軸方向に離間した一対のリング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
隣り合う前記ポケット孔の間に位置する前記柱部が、
前記ころのピッチ円直径よりも外径側で前記柱部の軸方向中央に位置し、前記ころを案内する中央案内部、
並びに、
前記中央案内部に繋がり、前記中央案内部よりもさらに外径側で前記リング部に繋がる、一対の端部からなり、
前記柱部の一対の端部に、
一つの前記ポケット孔において、その対角に、抜止め突部を一つずつ設けてなることを特徴とする(請求項1)。
前記ポケット孔の前記抜止め突部を設けない対角に周方向逃がし部を設けてなるのが好ましい実施態様である(請求項2)。
その上、内輪にころを組み付けた状態でも、外輪を外せば、対角に位置する抜止め突部を避けるようにころを傾けて取り出すことができるので、ころ軸受の分解及びメンテナンスが容易になる。
その上、柱部が、中央案内部、及び中央案内部よりもさらに外径側の一対の端部からなることから、このような柱部の段付き形状により、通常形状の保持器と比較してころとの接触面積が小さくなる。
よって、潤滑油が通りやすく潤滑性がアップするので、低トルク化を図ることができる。
その上、特に大型の円錐ころ軸受用の大型の保持器である場合に、底拡げや加締め加工用の大型の金型やプレス加工機械が不要になるので、製造コストをより一層低減できる。
その上さらに、底拡げによる窓長さの変化が無いので、軸方向隙間を詰めて適正な隙間にすることができる。
このような構成によれば、隣り合う柱部の中央案内部の間隔がころの対応する直径よりも大きいことから、ポケット孔の径方向外方からころを挿入する際に中央案内部により挿入抵抗が増大することがない。
よって、特に大型のころ軸受用の大型の保持器である場合であっても、ポケット孔の径方向外方からころを容易に挿入できる。
前記ポケット孔を打抜き加工したときに発生するせん断面である、前記ころの側面に接触する接触面、又は、
前記せん断面を押圧加工してなる、前記ころの側面に接触する接触面
を形成してなるのが一層好ましい実施態様である(請求項4)。
このような構成によれば、ころの側面に接触する、柱部の中央案内部の接触面が、平滑な面であるせん断面、又はせん断面のエッジ部で接触しないように押圧加工した押圧加工面であるので、ころの安定性を向上できる。
(1)対角に位置する抜止め突部を避けるようにころを傾けながらポケット孔の径方向外方から挿入して、内輪にころを容易に組み付けることができるので、ころ軸受の組立作業性を向上できる。
(2)内輪にころを組み付けた状態でも、外輪を外せば、対角に位置する抜止め突部を避けるようにころを傾けて取り出すことができるので、ころ軸受の分解及びメンテナンスが容易になる。
(3)柱部がころのピッチ円直径よりも外径側に位置することから、柱部が細くならないので、強度面から問題になるおそれや成形不能となるおそれがない。
(4)柱部が、中央案内部及び一対の端部からなる段付き形状であることから、通常形状の保持器と比較してころとの接触面積が小さくなり、潤滑油が通りやすく潤滑性がアップするので、低トルク化を図ることができる。
(5)円錐ころ軸受用保持器である場合に、底拡げ工程及び加締め工程が不要であるとともに調整に工数が掛からないので、製造コストを低減でき、保持器の精度を高くすることが容易であるとともに精度のばらつきを小さくできる。
(6)特に大型の円錐ころ軸受用の大型の保持器である場合に、底拡げや加締め加工用の大型の金型やプレス加工機械が不要になるので、製造コストをより一層低減できる。
(7)円錐ころ軸受用保持器である場合に、底拡げによる窓長さの変化が無いので、軸方向隙間を詰めて適正な隙間にすることができる。
以下の実施形態において、ころ軸受の軸方向、径方向、及び周方向を、「軸方向」、「径方向」、及び「周方向」という。
<円錐ころ軸受>
図1の斜視図に示す本発明の実施の形態1に係るころ軸受用保持器は、円錐ころ軸受用保持器1Aである。円錐ころ軸受用保持器1Aは、図6の要部拡大部分縦断面正面図に示す円錐ころ軸受10Aに用いる。
円錐ころ軸受10Aは、内輪11及び外輪12、並びに、転動体である複数の円錐ころ15A,15A,…を備える。
内輪11は、円錐外面状軌道面11Aを有し、大径側端部に大鍔13を有するとともに小径側端部に小鍔14を有する。
外輪12は、円錐内面状軌道面12Aを有する。
円錐ころ15A,15A,…は、円錐外面状軌道面11A及び円錐内面状軌道面12A間を転動する。
図1及び図2の斜視図に示すように、円錐ころ軸受用保持器1Aは、軸方向に離間した一対の大径リング部2及び小径リング部3を複数の柱部4,4,…により繋いだ形状を成し、円錐ころ15A,15A,…を収容する複数のポケット孔P,P,…が周方向に等間隔に形成される。
図1の斜視図、及び図5の要部拡大部分縦断面正面図に示すように、隣り合うポケット孔P,Pの間に位置する柱部4は、中央案内部5、並びに、リング部2,3に繋がる一対の端部である、大径側端部6、及び小径側端部7からなる。
中央案内部5は、柱部4の軸方向中央に位置して円錐ころ15Aを案内する。
大径側端部6は、傾斜部8により中央案内部5の上部に繋がり、中央案内部5よりも外径側で大径リング部2に繋がる。
小径側端部7は、傾斜部9により中央案内部5の下部に繋がり、中央案内部5よりも外径側で小径リング部3に繋がる。
また、ポケット孔Pを、後述するように、ポケット孔Pの径方向外方から円錐ころ15Aを挿入して内輪11に組み付ける際に、対角に位置する一対の抜止め突部6A,7Aを避けるように円錐ころ15Aを傾けながら挿入できる形状とする。
すなわち、図7A及び図7Bの要部拡大正面図に示すように、例えば、ポケット孔Pの抜止め突部6A,7Aを設けた対角に軸方向逃がし部6B,7Bを設けるとともに、ポケット孔Pの抜止め突部6A,7Aを設けない対角に周方向逃がし部6C,7Cを設けている。
そして、図7Bの要部拡大部分縦断面正面図に示すポケット孔Pへの円錐ころ15Aの挿入が完了した状態(図6の要部拡大部分縦断面正面図のように内輪11に円錐ころ15Aを組み付けた状態)では、内輪11の円錐外面状軌道面11Aに円錐ころ15Aの側面が当接し、抜止め突部6A,7Aを避けるように傾けながら挿入した円錐ころ15Aの傾きが修正され、抜止め突部6A,7Aにより円錐ころ15Aが抜け止めされる。
ここで、抜け止め部6A,7Aは、保持器1Aの半径方向の動きを制御する機能も有する。
(2)ころ案内部の窓幅は、対応する円錐ころ15Aの半径よりも0.5〜3.5%大きく設定する。例えば、ポケット孔Pの高さ方向中央の窓幅Wは、(R1+R2)/2よりも0.5〜3.5%大きく設定する。
(3)軸方向逃がし量L1、L2は、内輪11の溝長さとの関係で円錐ころ15Aの長さRLの1〜5%に設定する。
(4)大径側ころ抜止め部長さL3、及び小径側ころ抜止め部長さL4は、円錐ころ15Aが抜けないように、円錐ころ15Aの長さRLの5%以上とする。
(5)大径側ころ抜止め部窓幅は、対応する円錐ころ15Aの半径よりも2〜10%小さくなるように設定する。例えば、窓高さLの上端に対応する位置におけるポケット孔Pの窓幅W1は、円錐ころ15Aの大径側半径R1よりも2〜10%小さくなるように設定する。
(6)小径側ころ抜止め部窓幅は、対応する円錐ころ15Aの半径よりも2〜10%小さくなるように設定する。例えば、窓高さLの下端に対応する位置におけるポケット孔Pの窓幅W2は、円錐ころ15Aの小径側半径R2よりも2〜10%小さくなるように設定する。
(7)大径側ころ非抜止め部窓幅W3は、ポケット孔Pに円錐ころ15Aを挿入する工程で抜止め突部6Aとの間で締め代を持たないように設定する。
(8)小径側ころ非抜止め部窓幅W4は、ポケット孔Pに円錐ころ15Aを挿入する工程で抜止め突部7Aとの間で締め代を持たないように設定する。
以上のように円錐ころ軸受用保持器1Aのポケット孔Pまわりの寸法を設定することにより、円錐ころ軸受用保持器1Aの強度を確保でき、円錐ころ15Aの傾きを最小限にできるとともに、円錐ころ15A挿入時の応力を降伏応力以下にすることができる。
次に、円錐ころ軸受用保持器のポケット孔に円錐ころを挿入する際に、前記保持器の降伏応力以内で挿入可能であることを確認するために行った挿入解析について説明する。
(1)円錐ころ軸受用保持器
3D要素でモデリングした。
(2)円錐ころ
剛体として定義した。
(3)円錐ころの寸法
長さをRL、大径側半径をR1、小径側半径をR2とした。
(4)ポケット孔の寸法(図8の諸元)
・窓高さL=RL×1.02
・ころ案内部の窓幅は、対応する円錐ころの半径よりも0.9%大きい。例えば、ポケット孔Pの高さ方向中央の窓幅W=(R1+R2)/2×(1+0.009)
・軸方向逃がし量L1,L2=RL×0.025
・大径側ころ抜止め部長さL3=RL×0.125
・小径側ころ抜止め部長さL4=RL×0.125
・大径側ころ抜止め部窓幅W1=R1×(1−0.04)
・小径側ころ抜止め部窓幅W2=R2×(1−0.04)
・大径側ころ非抜止め部窓幅W3=cos(α)×(2×R1)−W1
・小径側ころ非抜止め部窓幅W4=cos(α)×(2×R2)−W2
ここで、αは、挿入時に円錐ころが許容される、ポケット孔Pを正面から見たときの法線まわりの傾きの角度(図7A参照)である。
大径側角度:atan(L1/W1)と小径側角度:atan(L2/W2)を比較して、角度が小さい方をαとする。
SPCC材とし、塑性域までを考慮した。
(1)円錐ころは1個ずつ挿入するものとしてモデル化した。
(2)円錐ころの解析開始位置(挿入前)は、ポケット孔に、円錐ころが挿入された状態(円錐ころ軸受が完成した状態)の姿勢のままポケット孔を正面から見たときの法線方向に沿って外径側に保持器と干渉しないように移動させた位置とする。
(3)挿入前の状態から前記法線に沿って円錐ころをポケット孔に向かって移動させながらポケット孔に挿入する。
(4)このとき円錐ころは前記法線に対して回転自由である(傾けながら挿入できる)。
図9の応力コンター図に示すように、円錐ころ軸受用保持器のポケット孔に円錐ころを挿入した際に前記保持器に発生する最大応力は、ポケット孔の隅R部CRに発生し、その値は降伏応力の約50%であり弾性範囲内であった。
前記挿入解析と同じ寸法で試験用に製作した円錐ころ軸受用保持器において、ポケット孔の径方向外方から円錐ころを挿入して円錐ころ軸受の内輪に取り付ける作業を実際に行った。
その結果、前記挿入解析と同様に、前記円錐ころ軸受用保持器は塑性変形していなかった。
図2の斜視図に示すように内輪11に円錐ころ15A,15A,…を組み付ける際には、図3の斜視図、及び図3において内輪11を省略して保持器1A及び円錐ころ15A,…のみを表示した図4の斜視図に示すように、周方向に離間した適宜箇所、例えば周方向等分の3箇所の円錐ころ15A,…を保持器1AのポケットPの径方向外方から挿入して内輪11に取り付ける。それにより、保持器1Aの位置を内輪11に対して定めることができる。
その状態で、図3に示す円錐ころ15A,15Aの間のポケットP,P,…に対して円錐ころ15A,15A,…を径方向外方から挿入することにより、図2のように内輪11に対して全ての円錐ころ15A,15A,…を組み付けることができる。
よって、底拡げ工程及び加締め工程が不要であるとともに調整に工数が掛からないので、製造コストを低減でき、保持器1Aの精度を高くすることが容易であるとともに精度のばらつきを小さくできる。
また、保持器1Aが、特に大型の円錐ころ軸受用で大型である場合に、底拡げや加締め加工用の大型の金型やプレス加工機械が不要になるので、製造コストをより一層低減できる。
さらに、底拡げによる窓長さの変化が無いので、軸方向隙間を詰めて適正な隙間にすることができる。
よって、柱部4の幅(周方向長さ)を比較的大きく確保できることから、柱部4が細くならないので、強度面から問題になるおそれや成形不能となるおそれがない。
また、柱部4が、中央案内部5、並びに中央案内部5よりもさらに外径側の大径側端部6及び小径側端部7からなることから、このような柱部4の段付き形状により、通常形状の保持器と比較して円錐ころ15Aとの接触面積が小さくなる。
よって、潤滑油が通りやすく潤滑性がアップするので、低トルク化を図ることができる。
さらに、内輪11に円錐ころ15A,15A,…を組み付けた状態でも、外輪12を外せば、対角に位置する抜止め突部6A,7Aを避けるように円錐ころ15A,15A,…を傾けて取り出すことができるので、円錐ころ軸受10Aの分解及びメンテナンスが容易になる。
例えば、図10の斜視図に示すように、図2の状態から1個の円錐ころ15Aを取り出した状態で、円錐ころ15Aを取り出したポケット孔Pから内輪11の軌道面11A(図5参照)を目視確認できる。
次に、円錐ころ軸受用保持器1Aの形状と円錐ころ15Aとの関係について説明する。
図5並びに図7A及び図7Bのように保持器1のポケットPの径方向外方から円錐ころ15Aを挿入して内輪11に組み付けた状態で、内輪11を省略したものを、図11の要部拡大斜視図、図12の要部拡大正面図、図13の要部拡大部分縦断面正面図、並びに、図14(a)及び図14(b)の要部拡大横断面平面図に示す。
また、隣り合う柱部4,4の中央案内部5,5の間隔が円錐ころ15Aの対応する直径よりも大きいことから、ポケット孔Pの径方向外方から円錐ころ15Aを挿入する際に中央案内部5,5により挿入抵抗が増大することがない。
よって、保持器1Aが、特に大型の円錐ころ軸受用である場合であっても、ポケット孔P,P,…の径方向外方から円錐ころ15A,15A,…を容易に挿入できる。
また、図6及び図14(b)に示すように、柱部4の中央案内部5は、円錐ころ15Aのピッチ円直径PCDよりも外径側に位置する。
よって、図11に示すように、柱部4の大径側端部6及び小径側端部7は、前記位置の中央案内部5よりもさらに外径側に位置する。
よって、前記のように保持器1の形状を設定することにより、ポケット孔Pの形成を打抜き加工により容易に行うことができるので、製造コストを低減できる。
<円筒ころ軸受>
図17の斜視図に示す本発明の実施の形態2に係るころ軸受用保持器は、円筒ころ軸受用保持器1Bである。円筒ころ軸受用保持器1Bは、図20の要部拡大部分縦断面正面図に示す円筒ころ軸受10Bに用いる。
円筒ころ軸受10Bは、内輪11及び外輪12、並びに、転動体である複数の円筒ころ15B,15B,…を備える。
内輪11は、円筒外面状軌道面11Aを有し、軸方向の端部に鍔13,14を有する。
外輪12は、円筒内面状軌道面12Aを有する。
円筒ころ15B,15B,…は、円筒外面状軌道面11A及び円筒内面状軌道面12A間を転動する。
図17及び図18の斜視図に示すように、円筒ころ軸受用保持器1Bは、軸方向に離間した一対のリング部2,3を複数の柱部4,4,…により繋いだ形状を成し、円筒ころ15B,15B,…を収容する複数のポケット孔P,P,…が周方向に等間隔に形成される。
図17の斜視図、及び図19の要部拡大部分縦断面正面図に示すように、隣り合うポケット孔P,Pの間に位置する柱部4は、中央案内部5、並びに、リング部2,3に繋がる一対の端部6,7からなる。
中央案内部5は、柱部4の軸方向中央に位置して円筒ころ15Bを案内する。
端部6は、傾斜部8により中央案内部5の上部に繋がり、中央案内部5よりも外径側でリング部2に繋がる。
端部7は、傾斜部9により中央案内部5の下部に繋がり、中央案内部5よりも外径側でリング部3に繋がる。
また、ポケット孔Pを、後述するように、ポケット孔Pの径方向外方から円筒ころ15Bを挿入して内輪11に組み付ける際に、対角に位置する一対の抜止め突部6A,7Aを避けるように円筒ころ15Bを傾けながら挿入できる形状とする。
すなわち、図21A及び図21Bの要部拡大正面図に示すように、例えば、ポケット孔Pの抜止め突部6A,7Aを設けた対角に軸方向逃がし部6B,7Bを設けるとともに、ポケット孔Pの抜止め突部6A,7Aを設けない対角に周方向逃がし部6C,7Cを設けている。
そして、図21Bの要部拡大部分縦断面正面図に示すポケット孔Pへの円筒ころ15Bの挿入が完了した状態(図20の要部拡大部分縦断面正面図のように内輪11に円筒ころ15Bを組み付けた状態)では、内輪11の円筒外面状軌道面11Aに円筒ころ15Bの側面が当接し、抜止め突部6A,7Aを避けるように傾けながら挿入した円筒ころ15Bの傾きが修正され、抜止め突部6A,7Aにより円筒ころ15Bが抜け止めされる。
ここで、抜け止め部6A,7Aは、保持器1Bの半径方向の動きを制御する機能も有する。
(2)ころ案内部の窓幅は、対応する円筒ころ15Bの半径よりも0.5〜3.5%大きく設定する。例えば、ポケット孔Pの高さ方向中央の窓幅Wは、R1よりも0.5〜3.5%大きく設定する。
(3)軸方向逃がし量L1は、内輪11の溝長さとの関係で円筒ころ15Bの長さRLの1〜5%に設定する。
(4)ころ抜止め部長さL3は、円筒ころ15Bが抜けないように、円筒ころ15Bの長さRLの5%以上とする。
(5)ころ抜止め部窓幅W1は、円筒ころ15Bの半径R1よりも2〜10%小さくなるように設定する。
(6)ころ非抜止め部窓幅W3は、ポケット孔Pに円筒ころ15Bを挿入する工程で抜止め突部6A,7Aとの間で締め代を持たないように設定する。
以上のように円筒ころ軸受用保持器1Bのポケット孔Pまわりの寸法を設定することにより、円筒ころ軸受用保持器1Bの強度を確保でき、円筒ころ15Bの傾きを最小限にできるとともに、円筒ころ15B挿入時の応力を降伏応力以下にすることができる。
その上、内輪11に円筒ころ15B,15B,…を組み付けた状態でも、外輪12を外せば、対角に位置する抜止め突部6A,7Aを避けるように円筒ころ15B,15B,…を傾けて取り出すことができるので、円筒ころ軸受10Bの分解及びメンテナンスが容易になる。
その上、柱部4が、中央案内部5、及び中央案内部5よりもさらに外径側の一対の端部6,7からなることから、このような柱部4の段付き形状により、通常形状の保持器と比較して円筒ころ15Bとの接触面積が小さくなる。
よって、潤滑油が通りやすく潤滑性がアップするので、低トルク化を図ることができる。
よって、内輪に組み付けた円筒ころに外接する円の直径のばらつきが小さくなるので、内輪、円筒ころ及び保持器を一体にした円筒ころ軸受の中間組立品に対して、外輪を組み付け易くなる。
1B 円筒ころ軸受用保持器
2 大径リング部、リング部
3 小径リング部、リング部
4 柱部
5 中央案内部
5A 接触面
6 大径側端部、端部
6A 抜止め突部
6B 軸方向逃がし部
6C 周方向逃がし部
7 小径側端部、端部
7A 抜止め突部
7B 軸方向逃がし部
7C 周方向逃がし部
8,9 傾斜部
10A 円錐ころ軸受
10B 円筒ころ軸受
11 内輪
11A 円錐外面状軌道面、円筒外面状軌道面
12 外輪
12A 円錐内面状軌道面、円筒外面状軌道面
13 大鍔、鍔
14 小鍔、鍔
15A 円錐ころ
15B 円筒ころ
A 破断面
B せん断面
C 押圧加工面
CR 隅R部
P ポケット孔
PCD ピッチ円直径
R 円錐ころの中心を通る径方向
Claims (4)
- ころ軸受の転動体であるころを所定間隔に案内して回転自在に保持する、前記ころを収容する複数のポケット孔が周方向に等間隔に形成されたころ軸受用保持器であって、
軸方向に離間した一対のリング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
隣り合う前記ポケット孔の間に位置する前記柱部が、
前記ころのピッチ円直径よりも外径側で前記柱部の軸方向中央に位置し、前記ころを案内する中央案内部、
並びに、
前記中央案内部に繋がり、前記中央案内部よりもさらに外径側で前記リング部に繋がる、一対の端部からなり、
前記柱部の一対の端部に、
一つの前記ポケット孔において、その対角に、抜止め突部を一つずつ設けてなることを特徴とする、
ころ軸受用保持器。 - 前記ポケット孔の前記抜止め突部を設けた対角に軸方向逃がし部を設けるとともに、
前記ポケット孔の前記抜止め突部を設けない対角に周方向逃がし部を設けてなる、
請求項1に記載のころ軸受用保持器。 - 隣り合う前記柱部の前記中央案内部の間隔を前記ころの対応する直径よりも大きく設定してなる、
請求項1又は2に記載のころ軸受用保持器。 - 前記柱部の前記中央案内部に、
前記ポケット孔を打抜き加工したときに発生するせん断面である、前記ころの側面に接触する接触面、又は、
前記せん断面を押圧加工してなる、前記ころの側面に接触する接触面
を形成してなる、
請求項1〜3の何れか1項に記載のころ軸受用保持器。
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