最初に、図1を参照し、本発明の実施形態に係る建設機械の作業支援装置200を含む作業支援システムSYSについて説明する。図1は、作業支援システムSYSの構成例を示す図である。
作業支援システムSYSは、建設機械に関する作業を支援するシステムである。建設機械に関する作業は、建設機械の部品を交換する作業、建設機械の故障の原因を特定する作業、原因を特定した後の修理に関する作業等を含む。建設機械は、掘削機、リフティングマグネット機、クレーン等を含む。本実施形態では、作業支援システムSYSは、掘削機としてのショベル100に関する作業を支援するシステムであり、主に、ショベル100、作業支援装置200及び管理装置300で構成されている。作業支援システムSYSを構成するショベル100、作業支援装置200及び管理装置300はそれぞれ1台であってもよく複数台であってもよい。本実施形態では、作業支援システムSYSは、1台のショベル100と、1台の作業支援装置200と、1台の管理装置300とで構成されている。
ショベル100は、主に、下部走行体1及び上部旋回体3で構成されている。下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられ、ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。作業要素としてのブーム4、アーム5及びバケット6はアタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成する。ブーム4はブームシリンダ7によって駆動され、アーム5はアームシリンダ8によって駆動され、バケット6はバケットシリンダ9によって駆動される。上部旋回体3には運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3にはコントローラ30、測位装置P1及び通信装置T1が取り付けられている。
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM、NVRAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30は、様々な機能に対応するアプリケーションプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、対応する処理をCPUに実行させる。
測位装置P1は、上部旋回体3の位置及び向きを測定するように構成されている。測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網、インターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。また、通信装置T1は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等の近距離無線通信網を介した作業支援装置200との通信を制御してもよい。
作業支援装置200は、携帯端末装置であり、例えば、作業現場にいる作業者等が携帯するタブレットPC、スマートフォン、ウェアラブルPC、スマートグラス等である。
管理装置300は、管理サーバ等の固定端末装置であり、例えば、作業現場外の管理センタ等に設置されるコンピュータである。管理装置300は、例えば、ノートPC、タブレットPC、スマートフォン等の可搬性のコンピュータであってもよい。
次に、図2を参照し、作業支援装置200の構成例について説明する。図2は、作業支援装置200の構成例を示す図である。本実施形態では、作業支援装置200は、ヘッドマウントディスプレイ方式の拡張現実ウェアラブルコンピュータとしてのスマートグラスである。作業支援装置200は、スマートグラスとスマートフォンの組み合わせであってもよい。また、作業支援装置200は、スマートスピーカを構成していてもよい。
作業支援装置200は、例えば、制御装置20を有し、撮像装置21、音声入力装置22、測位装置23及び通信装置24等を通じて情報を取得し、且つ、音声出力装置25及び表示装置26等を通じて情報を出力するように構成されている。
制御装置20は、作業支援装置200を制御する装置である。本実施形態では、制御装置20は、CPU、RAM、NVRAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。そして、制御装置20は、様々な機能に対応するアプリケーションプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、対応する処理をCPUに実行させる。
撮像装置21は、画像を取得する装置である。本実施形態では、スマートグラスのフレームに取り付けられた、CCD、CMOS等の撮像素子を含むカメラであり、取得した画像を制御装置20に対して出力する。撮像装置21は、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ等であってもよい。
音声入力装置22は、音を電気信号に変換する装置である。本実施形態では、スマートグラスのフレームに取り付けられたマイクロフォンであり、変換後の電気信号を制御装置20に対して出力する。作業支援装置200の使用者は、音声入力装置22を通じて音声命令を作業支援装置200に与えることができる。
測位装置23は、作業支援装置200の位置を測定する装置である。本実施形態では、測位装置23は、スマートグラスのフレームに取り付けられたGNSSコンパスであり、作業支援装置200の位置及び向きを測定し、測定値を制御装置20に対して出力する。
通信装置24は、作業支援装置200の外部にある外部機器との通信を制御する装置である。本実施形態では、通信装置24は、衛星通信網、携帯電話通信網、インターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。また、通信装置24は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等の近距離無線通信網を介したショベル100との通信を制御してもよい。
音声出力装置25は、電気信号を音に変換する装置である。本実施形態では、スマートグラスのフレームに取り付けられたスピーカであり、制御装置20からの指令に応じて音声情報を出力する。音声出力装置25は、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレスヘッドホン等であってもよい。
表示装置26は、画像を表示する装置である。本実施形態では、スマートグラスのレンズを構成する透過型の有機ELディスプレイであり、制御装置20からの指令に応じて画像を表示する。表示装置26は、スマートグラスを着用する使用者の網膜に画像を投影する網膜投影型の装置であってもよい。
作業支援装置200は、入力装置を備えていてもよい。入力装置は、例えば、スマートグラスのフレームに取り付けられた押しボタンである。作業支援装置200の使用者は、この入力装置を通じて様々な命令を作業支援装置200に与えることができる。
次に、制御装置20が有する機能について説明する。本実施形態では、制御装置20は、画像認識部40、画像表示部41、部品交換サポート部42及びトラブルシューティング部43をアプリケーションプログラムとして有する。
画像認識部40は、撮像装置21が取得した画像における所定物の画像を認識するように構成されている。本実施形態では、画像認識部40は、既知の画像認識技術を用い、撮像装置21が取得した画像における所定物の画像を認識するように構成されている。所定物は、例えば、ハウスカバー3c(図1参照。)、サイドドア3d(図1参照。)、燃料プレフィルタケース52(図7参照。)等のショベル100を構成する部品である。
画像表示部41は、画像認識部40が認識した所定物に対応するようにその所定物に関する情報を拡張現実的に表示するように構成されている。「拡張現実的に表示する」は、拡張現実(Augmented Reality)技術を用いて表示することを意味する。本実施形態では、画像認識部40は、例えば、撮像装置21が取得した画像においてサイドドア3dの画像を認識した場合、スマートグラスのレンズを通じて視認できる現実のサイドドア3dの近くにサイドドア3dに関する情報が拡張現実的に表示されるようにする。
部品交換サポート部42は、ショベル100の部品を交換する作業(以下、「部品交換作業」とする。)を支援するように構成されている。本実施形態では、部品交換サポート部42は、入力認識部42A、シーケンス制御部42B及び記録部42Cを含む。
入力認識部42Aは、作業支援装置200の使用者による入力の内容を認識するように構成されている。例えば、入力認識部42Aは、音声入力装置22を通じて入力された音声の内容を認識するように構成されている。本実施形態では、入力認識部42Aは、音声入力装置22を通じて入力された音声に含まれている登録語を認識するように構成されている。入力認識部42Aは、音声入力装置22以外の他の入力装置を通じた使用者による入力の内容を認識するように構成されていてもよい。
シーケンス制御部42Bは、予め定められた順序にしたがって部品交換作業を進行させるように構成されている。本実施形態では、シーケンス制御部42Bは、画像認識部40による所定物の画像の認識、画像表示部41による所定物に関する情報の拡張現実的な表示、及び、入力認識部42Aによる入力内容の認識が所定の順序にしたがって実行されるように作業支援装置200を動作させる。
記録部42Cは、部品交換作業に関する情報を記録するように構成されている。本実施形態では、部品交換作業中に撮像装置21が取得する画像をRAM等に記録するように構成されている。撮像装置21が取得する画像は、通信装置24を通じて管理装置300に送られ且つ記録されてもよい。また、撮像装置21が取得する画像は、静止画像であってもよく動画像であってもよい。部品交換作業中に使用される工具等に取り付けられたセンサが出力する情報を記録するように構成されていてもよい。記録部42Cは、RAM等に記録した情報を、通信装置24を通じて外部に送信するように構成されていてもよい。この場合、管理センタ等にいる管理者又は管理装置300は、受信した情報に基づいて部品交換が適切に行われたか否かを確認できる。
トラブルシューティング部43は、ショベル100の不具合の原因を特定しその不具合を解消する作業(以下、「トラブルシューティング作業」とする。)を支援するように構成されている。本実施形態では、トラブルシューティング部43は、入力認識部43A、シーケンス制御部43B及び記録部43Cを含む。
入力認識部43Aは、入力認識部42Aと同様に、作業支援装置200の使用者による入力の内容を認識するように構成されている。例えば、入力認識部43Aは、音声入力装置22を通じて入力された音声の内容を認識するように構成されている。本実施形態では、入力認識部43Aは、音声入力装置22を通じて入力された音声に含まれている登録語を認識するように構成されている。入力認識部43Aは、音声入力装置22以外の他の入力装置を通じた使用者による入力の内容を認識するように構成されていてもよい。
シーケンス制御部43Bは、シーケンス制御部42Bと同様に、予め定められた順序にしたがってトラブルシューティング作業を進行させるように構成されている。本実施形態では、シーケンス制御部43Bは、画像認識部40による所定物の画像の認識、画像表示部41による所定物に関する情報の拡張現実的な表示、及び、入力認識部43Aによる入力内容の認識が所定の順序にしたがって実行されるように作業支援装置200を動作させる。
記録部43Cは、記録部42Cと同様に、トラブルシューティング作業に関する情報を記録するように構成されている。本実施形態では、トラブルシューティング作業中に撮像装置21が取得する画像をRAM等に記録するように構成されている。撮像装置21が取得する画像は、通信装置24を通じて管理装置300に送られ且つ記録されてもよい。また、撮像装置21が取得する画像は、静止画像であってもよく動画像であってもよい。トラブルシューティング作業中に使用される工具等に取り付けられたセンサが出力する情報を記録するように構成されていてもよい。記録部43Cは、RAM等に記録した情報を、通信装置24を通じて外部に送信するように構成されていてもよい。この場合、管理センタ等にいる管理者又は管理装置300は、受信した情報に基づいて不具合箇所を特定でき、或いは、不具合が適切に解決されたか否かを確認できる。
次に、図3を参照し、作業支援装置200が部品交換作業を支援する処理(以下、「部品交換支援処理」とする。)の構成例について説明する。図3は、部品交換支援処理のフローチャートである。作業支援装置200は、例えば、「部品交換」といった所定の登録語である音声命令が音声入力装置22を通じて入力された場合にこの部品交換支援処理を実行する。
最初に、作業支援装置200は、交換可能な部品のリスト(交換部品リスト)を表示する(ステップST1)。本実施形態では、部品交換作業を実際に行う作業者は、作業支援装置200としてのスマートグラスを着用している。そして、作業支援装置200がショベル100の存在を認識した場合、すなわち、画像認識部40がショベル100の画像を認識した場合に、画像表示部41は、表示装置26を構成するスマートグラスのレンズの一部に交換部品リストを表示させる。図4は、ショベル100の右側方にいる作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部に交換部品リストG1が表示された状態を示す。図4に示すような交換部品リストG1を見ることで、作業者は、「燃料メインフィルタ」、「燃料プレフィルタ」及び「エアフィルタ」のうちの1つを交換すべき部品として選択できることが分かる。
作業支援装置200は、例えば、撮像装置21、音声入力装置22、測位装置23、通信装置24等を通じて取得したショベル100に関する情報に基づいて交換部品リストG1に表示すべき部品を決定してもよい。例えば、作業支援装置200は、撮像装置21が取得した画像に含まれるショベル100の銘板の画像からショベル100の機番を認識してショベル100を特定することで、ショベル100の累積稼動時間等の管理情報を管理装置300から取得できる。そして、その累積稼動時間から、交換時期に達している部品を、交換部品リストG1に表示すべき部品として決定してもよい。この場合、作業支援装置200は、例えば、累積稼動時間から算出される各フィルタの詰まり具合を百分率等で表示させてもよい。また、音声入力装置22を通じて「エアフィルタの交換」といった登録語が入力された場合、すなわち、交換すべき部品が特定された場合、作業支援装置200は、交換部品リストG1の表示を省略してもよい。
その後、作業支援装置200は、交換すべき部品が選択されたか否かを判定する(ステップST2)。本実施形態では、部品交換サポート部42は、入力認識部42Aが認識した入力の内容に基づき、交換すべき部品が選択されたか否か、及び、どの部品が選択されたかを認識できる。部品交換サポート部42は、例えば、音声入力装置22を通じて「2番」という音声が入力された場合、交換すべき部品として「燃料プレフィルタ」が選択されたと判定できる。
交換すべき部品が選択されていないと判定した場合(ステップST2のNO)、作業支援装置200は、交換すべき部品が選択されるまでステップST2の判定を繰り返す。
交換すべき部品が選択されたと判定した場合(ステップST2のYES)、作業支援装置200は、部品交換の際に必要な物品のリスト(物品リスト)を表示する(ステップST3)。部品交換の際に必要な物品は、例えば、交換部品、工具等を含む。図5は、ショベル100の右側方にいる作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部に物品リストG2が表示された状態を示す。図5に示すような物品リストG2を見ることで、作業者は、燃料プレフィルタを交換する際には、交換部品としてのフィルタエレメント、10mmのトルクレンチ及び廃油ケースが必要なことが分かる。
その後、作業支援装置200は、物品が揃っているか否かを判定する(ステップST4)。本実施形態では、部品交換サポート部42は、入力認識部42Aが認識した入力の内容に基づき、物品が揃っているか否かを判定する。部品交換サポート部42は、例えば、音声入力装置22を通じて「準備よし」という音声が入力された場合、物品が揃っていると判定でき、音声入力装置22を通じて「交換部品無し」という音声が入力された場合、物品が揃っていないと判定できる。
物品が揃っていないと判定した場合(ステップST4のNO)、作業支援装置200は、発注支援機能を実行する(ステップST5)。本実施形態では、画像表示部41は、表示装置26を構成するスマートグラスのレンズの一部に発注を支援する情報を表示させる。作業者は、表示された情報を利用して部品、工具等の発注を行うことができる。作業支援装置200は、作業者が携帯しているスマートフォンの表示装置に発注画面を表示させてもよい。
物品が揃っていると判定した場合(ステップST4のYES)、作業支援装置200は、作業対象がある場所まで作業者を誘導する(ステップST6)。本実施形態では、作業支援装置200は、画像認識部40の認識結果に基づいてショベル100と作業者の位置関係を把握する。そして、画像表示部41を通じ、所定物が配置されている場所である作業対象の場所に関する情報をスマートグラスのレンズの一部に表示させる。作業対象がある場所(所定物の設置箇所)に関する情報は、例えば、作業対象がある場所に至る経路を表す矢印、文字情報等を含む。作業支援装置200は、音声出力装置25を通じ、「ハウスカバーに近づいて下さい」、「右側のサイドドアを開けて下さい」といった作業対象がある場所に関する音声情報を出力させてもよい。
その後、作業支援装置200は、作業対象の画像を認識したか否かを判定する(ステップST7)。本実施形態では、作業支援装置200は、燃料プレフィルタを覆う右側のサイドドア3dの画像を認識したか否かを判定する。
作業対象の画像を認識していないと判定した場合(ステップST7のNO)、作業支援装置200は、作業対象の画像を認識したと判定するまで、ステップST6及びステップST7を繰り返し実行する。
作業対象の画像を認識したと判定した場合(ステップST7のYES)、作業支援装置200は、作業の手順を表示する(ステップST8)。作業支援装置200は、所定物そのものを認識せずに、所定物が設置されている場所の周辺にある機器に関する情報(カバー形状等)を認識することで作業対象の領域であることを認識してもよい。このように、作業支援装置200は、撮像装置21が取得した画像における、所定物が配置される作業領域の画像を認識し、作業の手順等の作業領域に関する指示情報を拡張現実的に表示してもよい。本実施形態では、シーケンス制御部42Bは、適切なタイミングで適切な場所に適切な情報を拡張現実的に表示させる。具体的には、「右側のサイドドアを開けて下さい」といった文字情報を拡張現実的に表示させる。適切な情報は、例えば、作業安全上の注意点に関する情報を含んでいてもよい。
作業支援装置200は、作業の様子を記録してもよい。具体的には、記録部42Cは、撮像装置21が取得する画像をRAM等に記録してもよい。
その後、作業支援装置200は、作業が実際に行われたか否かを判定する(ステップST9)。本実施形態では、部品交換サポート部42は、入力認識部42Aが認識した入力の内容に基づき、所定の作業が実際に行われたか否かを判定する。具体的には、部品交換サポート部42は、所定の作業に関する登録語が作業者によって発話されたことを認識した場合に、所定の作業が実際に行われたと判定する。工具が発信する情報に基づいて所定の作業が実際に行われたか否かを判定してもよい。例えば、受信部としての通信装置24を通じて取得した工具からの情報に基づき、その工具を用いた所定の作業が実際に行われたか否かを判定してもよい。この場合、その工具は、締め付けトルク、緩めトルク等の作業に関する情報を、作業支援装置200又はショベル100に向けて発信する機能を有する。工具は、作業に関する情報と共に、工具ID等の工具識別情報を発信するように構成されていてもよい。作業者を特定できるようにするためである。
作業が実際に行われていないと判定した場合(ステップST9のNO)、作業支援装置200は、作業が実際に行われたと判定するまで、ステップST9の判定を繰り返す。作業支援装置200は、予め定められた手順とは異なる手順で作業が行われたと判定した場合に警告を出力してもよい。警告は、視覚的な警告であってもよく、聴覚的な警告であってもよい。
作業が実際に行われたと判定した場合(ステップST9のYES)、作業支援装置200は、全ての作業が完了したか否かを判定する(ステップST10)。
全ての作業が完了していないと判定した場合(ステップST10のNO)、作業支援装置200は、処理をステップST6に戻す。具体的には、作業支援装置200は、次の作業対象がある場所まで作業者を誘導する。
全ての作業が完了したと判定した場合(ステップST10のYES)、作業支援装置200は、今回の部品交換支援処理を終了させる。
次に、図6〜図9を参照し、スマートグラスを着用している作業者が部品交換支援処理の実行中に見る光景について説明する。図6〜図9はスマートグラスのレンズの一部に表示される情報の表示例を示す。
図6は、右側のサイドドア3dを開いた作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部に「燃料ラインのストップバルブを閉める」というガイダンス画像G3が表示された状態を示す。作業支援装置200は、燃料ライン50に取り付けられているストップバルブ51の画像を認識した場合に、ガイダンス画像G3を表示する。本実施形態では、ガイダンス画像G3は、吹き出し枠を含み、吹き出し枠のくちばしがストップバルブ51の位置を指すように表示されている。このように、ガイダンス画像G3は、典型的には、スマートグラスのレンズを通して所定物が視認される場合には、ガイダンス画像G3の一部(例えば吹き出し枠のくちばしの先端)が実際の所定物の位置に適合するように拡張現実的に表示される。なお、ストップバルブ51は、燃料ライン50における燃料の流れを遮断するための弁である。
図7は、ストップバルブ51を閉めた作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部に「エア抜きプラグを緩める(トルクレンチ10mm)」というガイダンス画像G4が表示された状態を示す。「トルクレンチ10mm」は、エア抜きプラグ53を緩めるために必要な工具を表している。作業支援装置200は、ストップバルブ51が閉められた場合で、且つ、燃料プレフィルタケース52の上部に設けられているエア抜きプラグ53の画像を認識した場合に、ガイダンス画像G4を表示する。作業支援装置200は、画像認識部40の認識結果に基づいてストップバルブ51が閉められたか否かを判定してもよく、入力認識部42Aの認識結果に基づいてストップバルブ51が閉められたか否かを判定してもよい。本実施形態では、作業支援装置200は、音声入力装置22を通じて入力された音声に含まれている「ストップバルブよし」等の所定の登録語を認識した場合に、ストップバルブ51が閉められたと判定する。そして、エア抜きプラグ53の画像を認識した場合にガイダンス画像G4を表示する。本実施形態では、ガイダンス画像G4は、吹き出し枠を含み、吹き出し枠のくちばしがエア抜きプラグ53の位置を指すように表示されている。
図8は、エア抜きプラグ53を緩めた作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部に「廃油ケース設置!!」という注意喚起画像G5が矢印画像G6と共に表示された状態を示す。矢印画像G6は、廃油ケースを設置すべき位置を示している。作業支援装置200は、エア抜きプラグ53が緩められた場合で、且つ、燃料プレフィルタケース52の下部から延びるドレインホース54の画像を認識した場合に、注意喚起画像G5及び矢印画像G6を表示する。作業支援装置200は、画像認識部40の認識結果に基づいてエア抜きプラグ53が緩められたか否かを判定してもよく、入力認識部42Aの認識結果に基づいてエア抜きプラグ53が緩められたか否かを判定してもよい。本実施形態では、作業支援装置200は、通信装置24を通じて取得したトルクレンチからの情報に基づいてエア抜きプラグ53が緩められたか否かを判定する。この場合、工具としてのトルクレンチは、エア抜きプラグ53を緩める際の緩めトルクに関する情報を、作業支援装置200又はショベル100に向けて発信する機能を有する。作業支援装置200は、トルクレンチから受信した情報から導き出される緩めトルクが所定値以上である場合に、エア抜きプラグ53が緩められたと判定する。この場合、作業支援装置200は、エア抜きプラグ53が適切に緩められたことをスマートグラスのレンズの一部に表示させてもよい。或いは、作業支援装置200は、音声入力装置22を通じて入力された音声に含まれている「エア抜きプラグよし」等の所定の登録語を認識した場合に、エア抜きプラグ53が緩められたと判定してもよい。そして、その後にドレインホース54の画像を認識した場合に注意喚起画像G5及び矢印画像G6を表示する。
注意喚起画像G5は、作業者の注意を喚起できるようにガイダンス画像G3及びG4とは異なる態様で表示されてもよい。本実施形態では、注意喚起画像G5は、目立つように黄色の背景を有するように表示されている。点滅するように表示されてもよい。
図9は、ドレインホース54の出口に廃油ケース(図示せず。)を設置した作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部に「キャップを緩めて燃料を排出」というガイダンス画像G7が表示された状態を示す。作業支援装置200は、廃油ケースが設置された場合で、且つ、燃料プレフィルタケース52の下部に設けられているキャップ55の画像を認識した場合に、ガイダンス画像G7を表示する。作業支援装置200は、画像認識部40の認識結果に基づいて廃油ケースが設置されたか否かを判定してもよく、入力認識部42Aの認識結果に基づいて廃油ケースが設置されたか否かを判定してもよい。本実施形態では、作業支援装置200は、音声入力装置22を通じて入力された音声に含まれている「廃油ケースよし」等の所定の登録語を認識した場合に、廃油ケースが設置されたと判定する。そして、キャップ55の画像を認識した場合にガイダンス画像G7を表示する。本実施形態では、ガイダンス画像G7は、吹き出し枠を含み、吹き出し枠のくちばしがキャップ55の位置を指すように表示されている。
キャップ55を緩めた後、作業者は、燃料プレフィルタケース52に入っている燃料の排出が完了したときに「燃料排出よし」といった登録語を発話する。作業支援装置200は、登録語「燃料排出よし」を認識した場合に、燃料の排出が完了したと判定する。
その後、作業支援装置200は、燃料プレフィルタケース52の画像を認識した場合に「燃料プレフィルタケースを取り外す」といったガイダンス画像を表示し、使用中のフィルタエレメントの画像を認識した場合に「フィルタエレメントを取り出す」といったガイダンス画像を表示する等、上述と同様の一連の処理を順番に実行する。未使用のフィルタエレメントの取り付け、燃料プレフィルタケース52の取り付け、キャップ55の締め付け、エア抜きプラグ53の締め付け、ストップバルブ51の開放等についても同様である。
そして、作業支援装置200は、例えば、ストップバルブ51が開けられたと判定した場合に、燃料プレフィルタに関するフィルタエレメントの交換が完了したと判定し、部品交換支援処理を終了させる。
作業支援装置200は、予め定められた手順とは異なる手順で作業が行われたと判定した場合に警告を出力してもよい。例えば、画像認識部40の認識結果に基づき、廃油ケースが設置される前にキャップ55が緩められようとしていると判定した場合に警告を出力してもよい。警告は、視覚的な警告であってもよく、聴覚的な警告であってもよい。
次に、図10を参照し、作業支援装置200がトラブルシューティング作業を支援する処理(以下、「トラブルシューティング支援処理」とする。)の構成例について説明する。図10は、トラブルシューティング支援処理のフローチャートである。作業支援装置200は、例えば、「トラブルシューティング」といった所定の登録語である音声命令が音声入力装置22を通じて入力された場合にこのトラブルシューティング支援処理を実行する。
最初に、作業支援装置200は、異常内容を表示させる(ステップST11)。本実施形態では、トラブルシューティング作業を実際に行う作業者は、作業支援装置200としてのスマートグラスを着用している。そして、作業支援装置200がショベル100の存在を認識した場合、すなわち、画像認識部40がショベル100の画像を認識した場合に、画像表示部41は、表示装置26を構成するスマートグラスのレンズの一部に異常内容を表示させる。図11は、ショベル100の左側方にいる作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部に異常内容通知画像G8が表示された状態を示す。図11に示すような異常内容通知画像G8を見ることで、作業者は、「エンジン水温高温異常」が報告されていることが分かる。
作業支援装置200は、例えば、撮像装置21、音声入力装置22、測位装置23、通信装置24等を通じて取得したショベル100に関する情報に基づいて異常内容通知画像G8に表示すべき内容を決定してもよい。例えば、ショベル100の操作者等が、電話等を通じ、ショベル100で異常が発生したことを管理センタに報告している場合、作業支援装置200は、通信装置24を通じてショベル100の異常に関する情報を管理装置300から取得できる。この場合、作業支援装置200は、例えば、撮像装置21が取得した画像に含まれるショベル100の銘板の画像からショベル100の機番を認識してショベル100を特定することで、ショベル100の異常に関する情報を管理装置300から取得できる。そして、取得した情報に基づいて異常内容通知画像G8に表示すべき内容を決定できる。ショベル100で異常が発生したことが管理装置300に報告されていない場合、作業支援装置200は、例えば、「異常は報告されていません」といった内容を異常内容通知画像G8として表示させてもよい。
その後、作業支援装置200は、チェック対象の画像を認識したか否かを判定する(ステップST12)。本実施形態では、作業支援装置200は、エンジン水温高温異常の原因として、防塵ネットの汚れ、ラジエータの汚れ、オイルクーラの汚れ、ファンの動作不良、サーモスタットの動作不良、リザーブタンク内の冷却水の不足、ラジエータの動作不良等を想定している。そのため、作業支援装置200は、これらの原因を所定の順番で作業者にチェックさせるため、最初に、チェック対象としての防塵ネットの画像を認識したか否かを判定する。
チェック対象の画像を認識していないと判定した場合(ステップST12のNO)、作業支援装置200は、チェック対象の画像を認識したと判定するまで、ステップST12の判定を繰り返す。この場合、画像表示部41は、画像認識部40の認識結果を利用し、チェック対象のところまで作業者を誘導するための情報をスマートグラスのレンズの一部に表示させてもよい。
図12は、ショベル100の右側方にいる作業者が見る光景を示す。具体的には、スマートグラスのレンズの一部にガイダンス画像G9、矢印画像G10及びチェック対象画像G11が表示された状態を示す。ガイダンス画像G9は、次のチェック対象に関する情報を表す。矢印画像G10は、作業者が移動すべき方向を表す。チェック対象画像G11は、次のチェック対象の大まかな位置を表す。ガイダンス画像G9を見ることで、作業者は、次のチェック対象が「防塵ネット」であることが分かる。また、矢印画像G10及びチェック対象画像G11を見ることで、作業者は、進むべき方向が分かり、且つ、防塵ネットを覆う左側のサイドドア3dを開く必要があることが分かる。
チェック対象の画像を認識したと判定した場合(ステップST12のYES)、作業支援装置200は、チェック手順を表示する(ステップST13)。本実施形態では、シーケンス制御部43Bは、適切なタイミングで適切な場所に適切な情報を拡張現実的に表示させる。具体的には、シーケンス制御部43Bは、例えば、作業者が左側のサイドドア3dを開けてスマートグラスのレンズ越しに防塵ネットを見たとき、すなわち、撮像装置21が防塵ネットの画像を取得したときに、防塵ネットの汚れのチェック手順に関する情報を拡張現実的に表示させる。例えば、防塵ネットのどの部分をチェックすべきか等を表示させる。
作業支援装置200は、チェックの様子を記録してもよい。具体的には、記録部43Cは、撮像装置21が取得する画像をRAM等に記録してもよい。
その後、作業支援装置200は、チェックが実際に行われたか否かを判定する(ステップST14)。本実施形態では、トラブルシューティング部43は、入力認識部43Aが認識した入力の内容に基づき、所定のチェックが実際に行われたか否かを判定する。具体的には、トラブルシューティング部43は、「防塵ネットよし」といった登録語が作業者によって発話されたことを認識した場合に、防塵ネットのチェックが実際に行われたと判定してもよい。
チェックが実際に行われていないと判定した場合(ステップST14のNO)、作業支援装置200は、チェックが実際に行われたと判定するまで、ステップST14の判定を繰り返す。
そして、チェックが実際に行われたと判定した場合(ステップST14のYES)、作業支援装置200は、全てのチェックが完了したか否かを判定する(ステップST15)。
全てのチェックが完了していないと判定した場合(ステップST10のNO)、作業支援装置200は、処理をステップST12に戻す。具体的には、作業支援装置200は、次のチェック対象がある場所まで作業者を誘導する。本実施形態では、トラブルシューティング部43は、防塵ネットの次のチェック対象であるラジエータがある場所まで作業者を誘導する。そして、撮像装置21がラジエータの画像を取得したときに、ラジエータの汚れのチェック手順に関する情報を拡張現実的に表示させる。オイルクーラの汚れ、ファンの動作不良、サーモスタットの動作不良、リザーブタンク内の冷却水の不足、ラジエータの動作不良等のその後のチェック対象についても同様である。
そして、全てのチェックが完了したと判定した場合(ステップST15のYES)、作業支援装置200は、今回のトラブルシューティング支援処理を終了させる。この際、作業支援装置200は、チェックの際に記録部43CがRAM等に記憶した情報を、管理装置300又はショベル100に向けて送信してもよい。
上述の手順により、作業支援装置200は、トラブルシューティング作業におけるチェック漏れ等の発生を防止できる。
このように、建設機械の作業支援装置200は、経験が浅い作業者が、効率、質等において、ベテランの作業者と同程度のレベルで部品交換、トラブルシューティング等の作業を行うことができるように、その作業者を支援できる。また、作業支援装置200は、作業者が作業手順書を都度確認する手間を省くことができるように構成されているため、作業効率を向上させることができる。また、作業支援装置200は、作業者が作業手順を現場で確認したり、部品の有無を現場で確認したりする手間を省くことができるように構成されているため、手順誤り、作業漏れ等の発生を防止できる。
また、作業支援装置200は、音声入力装置22を通じて作業者の入力を受けるように構成されていてもよい。この場合、作業者は、作業中に汚れた手で作業支援装置200に触れることなく、所定の手順にしたがって作業支援装置200を動作させることができる。
また、作業支援装置200は、作業安全上の注意点を作業者に知らせることができるため、作業者の安全性を高めることができる。
また、作業支援装置200は、作業者が実際に作業を行う状況を動画等で記録できる。そのため、管理者は、作業に不備があった否かを事後的に確認できる。また、管理者は、記録した内容を、別の作業者のための教材として利用できる。
次に、図13〜図16を参照し、部品交換又はトラブルシューティングの対象となっているショベル100の場所まで作業支援装置200が作業者を誘導する処理(以下、「誘導処理」とする。)について説明する。図13〜図16に示す例では、作業支援装置200は、スマートフォン60を含む。図13〜図15は、作業支援装置200を構成するスマートフォン60に搭載されている表示装置に表示される画面の表示例を示す。図16は、スマートフォン60と連携して作業者を誘導するショベル100の構成例を示す。
具体的には、図13は、ショベル100の位置に関する情報を作業者が検索する際に表示される画面の表示例を示す。作業者は、登録語「ショベル検索」を発話したり、スマートフォン60の表示装置に表示されている所定のアイコンをタッチ操作したりする等の所定の入力操作を行うことで、図13に示すような画面を表示させることができる。
図13の画面は、4つの検索機能のうちの1つを選択するための検索メニューと、この画面を消去するためのソフトウェアボタンである終了ボタンGR5を含む。検索メニューは、4つの検索機能のそれぞれを開始させるためのソフトウェアボタンである、周辺機番検索ボタンGR1、機番検索ボタンGR2、機種検索ボタンGR3及び住所検索ボタンGR4を含む。
周辺機番検索ボタンGR1は、スマートフォン60の周辺に存在するショベル100を検索するためのソフトウェアボタンである。
機番検索ボタンGR2は、特定の機番を有するショベル100を検索するためのソフトウェアボタンである。スマートフォン60は、例えば、機番検索ボタンGR2が押されたときに、機番を入力させるための画面を表示する。そして、機番が入力されたときに、その機番を有するショベル100を表す図形を地図画像上に表示する。
機種検索ボタンGR3は、特定の機種に属するショベル100を検索するためのソフトウェアボタンである。スマートフォン60は、例えば、機種検索ボタンGR3が押されたときに、機種を選択させるための画面を表示する。そして、機種が選択されたときに、その機種に属するショベル100を表す図形を地図画像上に表示する。
住所検索ボタンGR4は、住所を用いてショベル100を検索するためのソフトウェアボタンである。スマートフォン60は、例えば、住所検索ボタンGR4が押されたときに、住所を入力させるための画面を表示する。そして、住所が入力されたときに、その住所で特定される場所の周辺に存在するショベル100を表す図形を地図画像上に表示する。
図14は、図13における周辺機番検索ボタンGR1が押されたときに表示される画面の表示例を示す。図14の画面は、地図画像GR6、現在位置アイコンGR7、範囲図形GR8、ショベル図形GR9、ショベル図形GR10、検索結果表GR11及び情報更新ボタンGR12を含む。
地図画像GR6は、作業者(スマートフォン60)がいる位置の周辺の地図を表す画像である。現在位置アイコンGR7は、作業者(スマートフォン60)の現在位置を表すアイコンである。現在位置は、例えば、測位装置23が出力する情報に基づく。範囲図形GR8は、作業者(スマートフォン60)から所定距離の範囲を表す円である。ショベル図形GR9及びショベル図形GR10は、作業者(スマートフォン60)から所定距離の範囲内に存在するショベル100の位置を表す図形である。また、矩形枠で囲まれたショベル図形GR9は、修理、部品交換等の要請を受けているショベル100であることを表す。但し、矩形枠の表示は省略されてもよい。
検索結果表GR11は、作業者(スマートフォン60)の周辺に存在するショベル100の検索結果を表す表である。検索結果表GR11は、付箋カラム、機番カラム、住所カラム及び距離カラムを含む。
付箋カラムは、修理、部品交換等の要請を受けているショベル100であるか否を表す。「●」は、修理、部品交換等の要請を受けているショベル100であることを表し、空欄は、修理、部品交換等の要請を受けていないショベル100であることを表す。「●」は、例えば、顧客からの電話を管理センタで受けた者により、管理装置300を通じて設定される。
機番カラムは、ショベル100の機番を表す。住所カラムは、ショベル100が存在する住所を表す。距離カラムは、作業者(スマートフォン60)からショベル100までの距離を表す。
情報更新ボタンGR12は、ショベル100の位置に関する情報を更新するためのボタンである。本実施形態では、ショベル100の位置に関する情報は、所定時間(例えば1時間)毎に更新されている。そのため、地図画像GR6上に表示されているショベル図形GR9の位置は、作業者が探しているショベル100(修理、部品交換等の要請を受けているショベル100)の現在位置とは異なる位置を表している場合がある。作業者が探しているショベル100が移動してしまっている場合があるためである。そこで、スマートフォン60は、作業者が情報更新ボタンGR12を押すことで、修理、部品交換等の要請を受けているショベル100の位置に関する情報を更新できるように構成されている。具体的には、スマートフォン60は、情報更新ボタンGR12が押されたときに、通信装置24を通じ、付箋カラムに「●」が付されているショベル100に対して情報発信指令を送信する。スマートフォン60は、情報更新ボタンGR12が押されたときに、作業者(スマートフォン60)から所定の距離範囲内に存在する全てのショベルに対して情報発信指令を送信してもよい。情報発信指令を受けたショベル100は、現在位置に関する情報をスマートフォン60に向けて発信する。現在位置に関する情報は、例えば、測位装置P1の出力に基づく。その後、ショベル100の現在位置に関する情報を受信したスマートフォン60は、その現在位置に対応する地図画像GR6上の位置にショベル図形GR9を移動させる。このとき、スマートフォン60は、ショベル図形GR9までの経路を表示してもよく、ショベル図形GR9に対応するショベル100に関する稼動情報等を表示してもよい。ショベル100に関する稼動情報は、例えば、ショベル100が稼動しているか否かといった情報を含む。
スマートフォン60は、付箋カラムにおける「●」の部分又はそれに対応する機番、住所若しくは距離の部分がタッチ操作されたときに、関連するショベル100に対して情報発信指令を送信してもよい。
図15は、作業者が情報更新ボタンGR12を押したときに表示される画面の表示例を示す。図15では、図14の場合に比べ、現在位置アイコンGR7の位置がショベル図形GR10の近くに移動している。スマートフォン60を携帯する作業者が移動したためである。また、範囲図形GR8で示す範囲内に別のショベル図形GR13が表示されている。作業者(スマートフォン60)から所定の距離範囲内に3台目のショベル100が入ったためである。そのため、検索結果表GR11にも3台目のショベル100に関する情報が追加されている。更に、ショベル図形GR9の位置が変化している。作業者が探しているショベル100の現在位置が更新されたためである。更に、図15では、地図画像GR6の下に機体特定ボタンGR14が表示されている。本実施形態では、機体特定ボタンGR14は、ショベル図形GR9に対応するショベル100に向けて報知指令を出力するためのボタンである。報知指令を受けたショベル100は、自身の存在を作業者に知らせるために音、光等を出力する。機体特定ボタンGR14は、ショベル図形GR9に対応するショベル100と作業者(スマートフォン60)との距離が所定値を下回った場合に表示されるように構成されていてもよい。すなわち、その距離が所定値を下回るまでは表示されないように構成されていてもよい。
作業者は、図15の画面を見ることで、所定の距離範囲内に3台のショベル100が存在し、そのうちの1台が、修理、部品交換等の要請を受けているショベル100であることを認識できる。また、図15の画面を見ることで、作業者は、修理、部品交換等の要請を受けているショベル100がすぐ近くに存在することを認識できる。このように、作業者は、機番を入力したり、機種を選択したり、或いは、住所を入力したりすることなく、探しているショベル100を見つけ出すことができる。
修理、部品交換等の要請を受けているショベル100は、スマートフォン60を携帯している作業者が所定の距離範囲内に進入したと判断した場合に、自身の位置を作業者に報知する報知機能を有するように構成されていてよい。
図16は、報知機能を有するショベル100の構成例を示す。図16の例では、ショベル100は、報知装置D1を有する点で図1のショベル100と異なるが、その他の点で図1のショベル100と共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳細に説明する。
報知装置D1は、ショベル100の周囲に存在する人にショベル100の存在を報知するように構成されている。報知装置D1は、例えば、コントローラ30からの指令に応じ、ショベル100の周囲に存在する人にショベル100の存在を視覚的又は聴覚的に報知するように構成されていてもよい。この場合、報知装置D1は、例えば、ライト、ホーン、ブザー等である。或いは、報知装置D1は、コントローラ30からの指令に応じ、ショベル100の周囲に存在する作業者が携帯しているスマートフォン60に向けて電波信号を送信するビーコンであってもよい。この場合、電波信号を受信したスマートフォン60は、ショベル100が存在する方向を画面上に表示してもよい。或いは、報知装置D1は、コントローラ30からの指令に応じ、ショベル100のエンジンを始動させるように構成されていてもよい。
本実施形態では、報知装置D1は、キャビン10の上部に設置されたライトである。スマートフォン60は、例えば、機体特定ボタンGR14が押されたときに、ショベル100に向けて報知指令を出力する。スマートフォン60は、ショベル図形GR9に関するショベル100とスマートフォン60との距離が第1所定値を下回った場合に自動的にショベル100に向けて報知指令を出力してもよい。この処理は、管理センタに設置されている管理装置300で実行されてもよく、ショベル100のコントローラ30で実行されてもよい。報知指令を受けた報知装置D1は、ショベル100の周囲を照らすように発光する。スマートフォン60を携帯する作業者の方向を照らすように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、自身の存在を作業者に知らせることができ、作業者がショベル100を探す手間を軽減させることができる。すなわち、作業者は、広い作業現場であっても、探しているショベル100を確実に且つ容易に見つけ出すことができる。
報知装置D1は、ショベル図形GR9に関するショベル100と作業者(スマートフォン60)との距離が第1所定値より小さい第2所定値を下回った場合に、報知を停止させてもよい。
上述の通り、本発明の実施形態に係る作業支援装置200は、建設機械としてのショベル100に関する作業を支援する。具体的には、作業支援装置200は、撮像装置21と、表示装置26と、制御装置20と、を備えている。制御装置20は、撮像装置21が取得した画像における、燃料ライン50、ストップバルブ51、燃料プレフィルタケース52、エア抜きプラグ53、ドレインホース54、キャップ55等の所定物の画像を認識し、所定物に対応するように所定物に関する情報を拡張現実的に表示するように構成されている。この構成により、作業支援装置200は、ショベル100に関する作業をより効率的に支援できる。
建設機械としてのショベル100に関する作業は、例えば、ショベル100の故障の原因を特定する作業、又は、原因を特定した後の修理に関する作業を含む。この場合、所定物は、ショベル100の故障に関する部品であってもよい。そして、制御装置20は、所定の手順にしたがって、複数の部品に関する情報を順に表示するように構成されていてもよい。
作業支援装置200は、音声入力装置22を備えていてもよい。そして、制御装置20は、音声入力装置22を通じて入力される音声に応じて表示装置26に表示される情報を変化させるように構成されていてもよい。
制御装置20は、ショベル100に関する作業を支援する際に、撮像装置21が取得した画像を記録するように構成されていてもよく、撮像装置21が取得した画像を管理装置300に送信するように構成されていてもよい。
作業支援装置200は、測位装置23と、通信装置24と、を備えていてもよい。そして、制御装置20は、測位装置23及び通信装置24を利用し、周囲に存在するショベル100に関する情報を取得して表示装置26に表示するように構成されていてもよい。
制御装置20は、ショベル100に対して指令を送信し、ショベル100に備えられた報知装置D1を動作させるように構成されていてもよい。
制御装置20は、ショベル100との距離が所定値となったときにショベル100に対して指令を送信し、報知装置D1の動作を停止させるように構成されていてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。