JP2019163628A - ブレース - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレース全長の寸法調整と、設置後の張力導入が可能なピン接合形式の座屈拘束ブレースと、その基本構成である引張ブレースを提供する。【解決手段】ブレース7は、引張ブレース5に座屈拘束部材を付加して座屈拘束ブレースに転用したもので、2本の丸鋼21,21が、それぞれ座屈拘束部材としての円形鋼管8,8で包囲された構成である。両方の円形鋼管8,8は、接合部材3,4の円筒状雌ネジ部材3b, 4bと、中央に位置する筒状雌ネジ部材6に跨るように外嵌されている。円形鋼管8,8の内側では、一対の丸鋼21,21(ブレース芯材)に対して、鋼製材料からなる複数のリング状スペーサー9が挿通され、長手方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。これらのリング状スペーサー9は、円形鋼管8,8およびブレース芯材21,21に対してほぼ接する大きさに設定され、固定金具91で定着されている。【選択図】図3

Description

本発明は、鉄骨建造物の補強に使用する鋼製ブレースに係り、より詳しくは、基本構成の形態では引張ブレースとしての使用が可能であり、さらに座屈拘束部材を付加して座屈拘束ブレースとしたときには、圧縮力の負担に優れ、ブレース全長の寸法調整が容易で張力の導入も可能なブレースに関するものである。
従来、鉄骨建造物の補強に使用されるブレースの種類としては、引張ブレース、圧縮ブレースおよび座屈拘束ブレースがある。引張ブレースは、鋼材の長所を有効に活用したものであり、断面の小さい鋼材でも大きな抵抗力を有することから、中小規模の鉄骨建造物に多く使用されている。一方、圧縮ブレースは、ブレース芯材(鋼材)の座屈強度に基づいてその性能が決定されるものであるが、ブレース芯材の端部に接合された接合部材と鉄骨架構側のガセットプレートとの接合条件(ピン接合または固定接合)の違いにより座屈強度が異なる。
さらに、座屈拘束ブレースは、引張ブレースと圧縮ブレースの両方の特長を備えるもので、引張ブレース材(ブレース芯材)の座屈を防ぐ手段として座屈拘束鋼管と呼ばれる鋼管を用い、引張ブレース材の外周を覆うことで、ブレース芯材の座屈によるブレース耐力の低下を防ぐ構造になっている。
ところで、上記構成からなる座屈拘束ブレースでは、施工性、生産性、補強性能などの面で以下のような問題点が存在する。
(1)鉄骨建方作業において、ブレースの取付位置間での寸法精度にばらつきが大きいため、作業性があまりよくない。
(2)高力ボルトによる固定接合では、多数のボルト挿通孔を必要とすることから、接合部材やガセットプレートにおいて挿通孔間の寸法にばらつきが生じやすく、施工性の低下につながる。
(3)ブレース取付位置での原寸法を確認してからでないと、ブレースを製作することができないため、生産性が悪い。
(4)ブレースに加工する前の段階で鋼材自体に変形や撓みが生じているため、ブレースに加工された後においても撓みが解消されない。
(5)ブレースの取付後において、ブレース自身の重量で撓みが発生し、ブレースが撓んだ状態になり修正ができない。
(6)ブレース自体の製作誤差、ガセットプレートの製作誤差、溶接で発生する誤差などに対して対応しにくい構造である。
(7)圧縮力を受けるブレースは、ブレースの端部、特に下端部側に圧縮曲げ破壊や局部的座屈破壊、首折れ現象等が生じやすい。
上記問題点のうち特に(1)〜(3)に関しては、その解決手段として、ブレース全体の長さ調整を可能にした座屈拘束ブレースが提案されている(特許文献1)。
特許第5506744号公報(図1〜3、段落0032等参照)
上記従来例の座屈拘束ブレースは、棒状または管状からなる一対のブレース芯材の雌ネジ部に、ブレース芯材よりも断面積の小さい棒状鋼材の両端の雄ネジ部を螺合して直線状(同軸状)に連結し、中間に位置する棒状鋼材を回転させることにより、ブレース全体の長さ調整を行う構造である。しかしながら、これら一対のブレース芯材を連結する棒状鋼材は、ガセットプレートにブレースの両端部を接合した状態では座屈拘束管の内部に隠れるため、ブレースの設置後にあっては、そのターンバックル機能を利用して撓みの解消や張力の導入が困難である。このため、上記従来技術の座屈拘束ブレースでは、上記問題点(4)〜(6)に対しては有効でないという問題点があった。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するために創出されたもので、ブレース全体の長さ調整を容易に行うことができ、しかも設置後においても張力の導入が可能な座屈拘束ブレースと、座屈拘束部材のない基本構成の状態では引張ブレースとしての使用も可能な利便性の高いブレースの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の主たる構成に係るブレースは、端部が右ネジと左ネジに形成された丸鋼からなるブレース芯材と、このブレース芯材の各端部に一端側の雌ネジ部で螺合し、他端側のプレート部で鉄骨架構の矩形状架構面に取り付けた一対のガセットプレートにそれぞれピン接合される一対の接合部材を備えるという技術手段を採用したことに特徴がある(請求項1)。
上記構成によれば、ブレース芯材に用いる丸鋼の大きな抵抗力により引張ブレースとして使用することができる。さらに、ブレース芯材を筒状雌ネジ部材で連結された一対の丸鋼とした場合(請求項2)には、中央の筒状雌ネジ部材を回転することにより、ブレースの全長寸法の調整が可能となり、また、ブレース芯材に引張力を導入でき、鋼材の加工前から存在する元歪や、自重によるブレース自身の撓みも解消される。
また、本発明の他の構成は、ブレース芯材が、複数のリング状スペーサーを長手方向に所定の間隔で挿着し、このリング状スペーサーの外径に近い内径の円形鋼管でその全長を包囲したことである(請求項3)。
上記他の構成において、リング状スペーサーで区画された部分に、円形鋼管の内径よりも小さい外径の円形鋼管を挿通することも可能である(請求項4)。また、小径の円形鋼管に代えて、円形鋼管の内径よりも小さいコイル外径のコイル状棒鋼を挿通してもよい(請求項5)。これら円形鋼管でブレース芯材の全体を包囲した構成では、円形鋼管が内側のブレース芯材の座屈を防止するため、座屈拘束ブレースとして有効に使用することができる。なお、ブレース芯材を複数のリング状スペーサーで区画することなく、円形鋼管の内径よりもコイル外径が小さい1本のコイル状棒鋼をブレース芯材の全長に渡るように挿通してもよい(請求項6)。
さらに、主たる構成の接合部材について、プレート部が、ガセットプレートを対向面間に受け入れた状態でピンボルトが挿通される2枚1組のプレートとすることができる(請求項7)。このような構成によれば、ガセットプレートのピン孔と2枚1組のプレートのピン孔とを一致させた状態でピンボルトを挿入することにより、簡単かつ確実にブレースをピン接合することができる。
本発明に係るブレースでは、上記構成を採用することにより、以下のような効果が得られる。
(1)本発明に係るブレースは、円形鋼管(座屈拘束部材)でブレース芯材を包囲しない場合には、引張ブレースとして使用することができ、また円形鋼管でブレース芯材を包囲した場合には、座屈拘束ブレースとしての使用が可能であることから、その選択によって種々の使用条件に対応しやすく、使い勝手の良好なブレースとなる。
(2)ブレース芯材を筒状雌ネジ部材で連結された一対の丸鋼とした場合には、中間に位置する筒状雌ネジ部材の回転により、一対の丸鋼が互いに近接または離反する方向に変位するので、ブレース全体の長さ寸法の調整を広い範囲で簡単に行うことができる。
(3)さらに、一対の丸鋼を螺合連結する筒状雌ネジ部材が外部に露出しているため、ブレースがガセットプレートに取り付けられた状態であっても、筒状雌ネジ部材を適宜の方向に回転することでブレース本体に対して確実に張力を導入することが可能になる。
(a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第1実施形態(引張ブレース)に係る正面図および側面図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第2実施形態(引張ブレース)に係る正面図および側面図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第3実施形態(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 (a),(b)は、図3の第3実施形態で使用するリング状スペーサーの正面図および縦断面図である。 図4のリング状スペーサーの取付方法を示した説明図である。 図4のリング状スペーサーの定着に使用する固定金具の正面図である。 (a),(b)は、図3の第3実施形態に係る座屈拘束ブレースの耐荷モデルとその座屈形状を示した説明図である。 (a),(b)は、図7に対応する比較例として、図7と同じブレース長でブレース芯材を1本とした場合の座屈拘束ブレースの耐荷モデルとその座屈形状を示した説明図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第4実施形態(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 (a),(b)は、従来技術による座屈拘束ブレースにおいて、ブレース芯材の座屈に至る挙動を模式的に示した説明図と実際の変形状態を示した説明図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第5実施形態(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第6実施形態(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 第3実施形態ないし第6実施形態の座屈拘束ブレースの施工において、ガセットプレートとの結合方法を示した正面図である。 図13の次の工程として、座屈拘束ブレースに張力を導入する方法を示した正面図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係るブレースの実施形態について説明する。なお、各実施形態で同一部分に関しては同一符号で示し、重複する説明を省略することもある。
図1(a),(b)は、本発明によるブレースの第1実施形態に係る正面図および側面図である。図示のブレース1は、ブレース芯材2と、その両端側に配置される一対の接合部材3,4で構成され、引張ブレースとして使用されるものである。ブレース芯材2は丸鋼からなり、その両端部には右ネジ2aと左ネジ2bが形成されている。接合部材3,4は、中間に位置する鍔板3a,4aの一方の面に円筒状雌ネジ部材3b(右ネジ), 4b(左ネジ)が溶接され、これら円筒状雌ネジ部材3b, 4bを介してブレース芯材2とネジ結合している。また、鍔板3a,4aの他方の面には、2枚1組のプレート材3c,4cが溶接されている。2枚1組のプレート材3c,4cは、挿通孔を有するガセットプレート(図示せず)が対向面間に挿入可能な間隔で並設され、それぞれのプレート材3c,4cにピンボルトの挿通孔3d,4dが互いの軸心を合わせて形成されている。これらの接合部材3, 4は、一般的にクレビス式と称されている二股状の継手金物が使用される。
図2は、本発明のブレースの第2実施形態に係り、第1実施形態と同様に引張ブレースに適用した事例である。図示のブレース5は、ブレース芯材2が1本の丸鋼ではなく、筒状雌ネジ部材6で連結された一対の丸鋼21,21からなる点で第1実施形態とは異なる。この場合、一対の丸鋼21,21は、それぞれ両端部が右ネジ21aと左ネジ21bに形成され、筒状雌ネジ部材6の内部は、これに対応すべく中央を境にして右ネジと左ネジに区分されている。連結状態での2本の丸鋼21,21における各雄ネジ部の方向は、図面上では、下端部から上端部に向けて右ネジ、左ネジ、右ネジ、左ネジと交互に配置されている。
図3(a),(b)は、本発明によるブレースの第3実施形態に係る正面図および部分断面図である。図示のブレース7は、第2実施形態に係る引張ブレース5に座屈拘束部材を付加して座屈拘束ブレースに転用したものである。すなわち、2本の丸鋼21,21は、それぞれ座屈拘束部材としての円形鋼管8,8で包囲された構成である。両方の円形鋼管8,8は、接合部材3,4の円筒状雌ネジ部材3b, 4bと、中央に位置する筒状雌ネジ部材6に跨るように外嵌されている。また、円形鋼管8,8の内側では、一対の丸鋼21,21(ブレース芯材)に対して、鋼製材料からなる複数のリング状スペーサー9が挿通され、長手方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。これらのリング状スペーサー9は、円形鋼管8,8およびブレース芯材21,21に対してほぼ接する大きさに設定され、固定金具91(図6参照)で定着されている。なお、リング状スペーサー9の配置間隔は、ブレース芯材21の軸径d1の6〜8倍程度が好適である。この実施形態では、ブレース全体で6個のリング状スペーサー9が使用されているが、リング状スペーサー9の数量を増加することにより、ブレース芯材21を長くして、ブレース7の全長を長くする仕様も可能で、また圧縮曲げ限界荷重をより高めることもできる。
次に、リング状スペーサー9の取付方法について、図4〜6を参照しながら説明する。図4(a),(b)は、リング状スペーサー9の正面図および縦断面図である。リング状スペーサー9は、全体が丸ナット状を呈しているが、雌ネジ部9aのネジ谷が通常よりも浅く形成されている。その理由は、ブレース芯材(丸鋼21,21)と座屈拘束鋼管(円形鋼管8,8)との隙間がブレースの座屈拘束耐力に影響を及ぼすため、リング状スペーサー9の使用条件として、密着に近い状況が望まれるからである。ブレース芯材21に丸鋼を使用する場合、図5に示すように、ブレース軸部の外径d1と雄ネジ部21aの外径d2とは、一般的にd1≦d2の関係である。このため、雄ネジ部21aを通過させてリング状スペーサー9を取り付けようとした場合には、リング状スペーサー9の内周面とブレース芯材21の外周面との間に隙間が生じてしまう。このような事情から、リング状スペーサー9とブレース芯材21との密着性を高めるために、リング状スペーサー9の雌ネジ部9aのネジ谷を浅くした形状とすることが有効である。そして、所定の位置において、図6に示す略C字状でバネ性を有する2個1組の固定金具91で両側から挟むようにしてリング状スペーサー9の位置決めと移動防止がなされる。
図7(a),(b)は図3の第3実施形態に係る座屈拘束ブレースの耐荷モデルとその座屈形状を示し、図8(a),(b)は比較例としてブレース芯材が1本の場合の座屈拘束ブレース(従来技術)の耐荷モデルとその座屈形状を示した説明図である。この座屈形状モデルでの座屈荷重の比較では、本発明による座屈拘束ブレースでの座屈荷重Pcr1は、従来技術での座屈荷重Pcr2の4倍になることが想定される。
図9(a),(b)は、本発明によるブレースの第4実施形態に係る正面図および部分縦断面図である。図示のブレース10は、第3実施形態で用いたリング状スペーサー9に代えてコイル状棒鋼11をスペーサーとして使用した構成であり、2本1組のブレース芯材21,21に対してその全長に渡る長さで1本ずつ挿通されている。この場合、コイル状棒鋼11の軸径は、円形鋼管8(座屈拘束部材)とブレース芯材21の間隔に近い円形棒鋼の軸径とする。また、コイル状棒鋼11の螺旋ピッチは、5d以下とするのがよい。この実施形態では、固定金具91が不要であり、また、ブレース芯材21に圧縮力が働くと同時に、コイル状棒鋼11には、バネ力による反力が発生するので、ブレース芯材21の圧縮曲げ変形を低減させる効果でブレース芯材21の剛性と圧縮耐力を高めることが期待できる。
図10(a),(b)は、一般的な座屈拘束ブレースにおけるブレース芯材2の座屈荷重に至る直前の挙動を模式的に示した説明図と実際の変形状態を示した説明図である。(a)のようにブレース芯材2は比較的なだらかな座屈曲げ変形を示すが、実際には(b)に示すように、ブレース芯材2が捻じれを伴う塑性変形を行い、座屈曲げ変形となることが知られている。
このような状況を考慮したものが、次に説明する第5実施形態および第6実施形態である。図11(a),(b)は、本発明によるブレースの第5実施形態に係る正面図および部分縦断面図である。図示のブレース12は、第3実施形態のブレース7の変形例である。すなわち、リング状スペーサー9で区分された各区間に対して、当該区間とほぼ同じ長さで円形鋼管8よりも小径の円形鋼管13(2次座屈拘束鋼管)を挿通して取り付けることで、座屈曲げ変形に伴うブレース芯材21の耐力低下と、剛性低下を効果的に回避することができる。この円形鋼管13は、リング状スペーサー9の位置決めも兼ねているが、リング状スペーサー9間で発生するブレース芯材21の座屈による過大な変形を拘束させ、ブレース12の座屈耐力と剛性の向上と安定を一段と図ることができる。
図12(a),(b)は、本発明によるブレースの第6実施形態に係る正面図および部分縦断面図である。図示のブレース14は、第5実施形態のブレース12で使用する小径の円形鋼管13に代えてコイル状棒鋼15を使用したものである。このコイル状棒鋼15は、バネ力も加わって、小径の円形鋼管13と同等以上の機能を発揮する。
図13は、図3の第3実施形態に係るブレース7の施工方法を示した正面図である。まず、鉄骨柱91と鉄骨梁92で構成される鉄骨架構の矩形状架構面90の対角位置に溶接されている上部ガセットプレート93に対して、第3実施形態のブレース7の一端側にある接合部材4の挿通孔とガセットプレート93の挿通孔とを一致させた状態でピンボルト94を挿通し、反対側からのナットの螺合によりブレース7の上部を仮固定する。ピンボルト94でブレース7を吊り下げた状態において、中央部分に露出している筒状雌ネジ部材6を回転してブレース7の長さを調整する。そして、ブレース7の他端側(下部側)にある接合部材3の挿通孔と下部ガセットプレート95の挿通孔96の位置が一致した位置でピンボルト94を挿入し、反対側からのナットの締め付けると、ブレース7の取付けが完了する。
次に、図14に示すように、筒状雌ネジ部材6を所定の方向に回転させると、両端に位置する円筒状雌ネジ部材3b,4b間の距離が狭まり、ブレース芯材21に所望の引張軸力が導入されるので、ブレース芯材21の撓み等を解消させることができる。このようにして取り付けられる本発明のブレース7を使用する取付構造では、上下のガセットプレート93,95とブレース7の接合部材3,4とがクレビス式のピン接合形式となるため、ブレース7が圧縮応力を負担したときに生じる圧縮曲げ変形を、柱梁で囲まれた構造面内の変形に限定させ、外壁等の破損を防ぐことができる。また、引張力が働くときは、高力ボルトによる固定形式と異なり、ブレース芯材21のピン間が直線的になるので、接合部材3,4が引張力によって曲げ変形等の応力集中を受けにくくなる。
以上、実施形態に基づいて本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、接合部材にクレビス以外のものを使用することは可能であり、ブレースの端部の一方は、鉄骨柱と鉄骨梁の交差部ではなく、鉄骨柱とその下端に接合されるベースプレートに跨って設けられたガセットプレートに接合するなど、この発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
本発明のブレースは、基本構成では引張ブレースとしての使用が可能であるとともに、適宜の座屈拘束部材を付加することで座屈拘束ブレースにもなり、さらにブレース全長の寸法調整と張力導入が可能となることから、鉄骨建造物等の補強用ブレースとしての利用のさらなる展開が期待される。
1,5,7,10,12,14:ブレース、2,21:ブレース芯材(丸鋼)、3,4:接合部材、2a,21a:右ネジ、2b,21b:左ネジ、3a,4a:鍔板、3b,4b:円筒状雌ネジ部材、3c,4c:プレート材、3d,4d:挿通孔、6:筒状雌ネジ部材、8:円形鋼管(座屈拘束部材)、9:リング状スペーサー、9a:雌ネジ部、11:コイル状棒鋼、13:円形鋼管(2次座屈拘束部材)、90:矩形状架構面、91:固定金具、93,95:ガセットプレート、94:ピンボルト
本発明は、鉄骨建造物の補強に使用する鋼製ブレースに係り、より詳しくは、基本構成の形態では引張ブレースとしての使用が可能であり、さらに座屈拘束部材を付加して座屈拘束ブレースとしたときには、圧縮力の負担に優れ、ブレース全長の寸法調整が容易で張力の導入も可能なブレースに関するものである。
従来、鉄骨建造物の補強に使用されるブレースの種類としては、引張ブレース、圧縮ブレースおよび座屈拘束ブレースがある。引張ブレースは、鋼材の長所を有効に活用したものであり、断面の小さい鋼材でも大きな抵抗力を有することから、中小規模の鉄骨建造物に多く使用されている。一方、圧縮ブレースは、ブレース芯材(鋼材)の座屈強度に基づいてその性能が決定されるものであるが、ブレース芯材の端部に接合された接合部材と鉄骨架構側のガセットプレートとの接合条件(ピン接合または固定接合)の違いにより座屈強度が異なる。
さらに、座屈拘束ブレースは、引張ブレースと圧縮ブレースの両方の特長を備えるもので、引張ブレース材(ブレース芯材)の座屈を防ぐ手段として座屈拘束鋼管と呼ばれる鋼管を用い、引張ブレース材の外周を覆うことで、ブレース芯材の座屈によるブレース耐力の低下を防ぐ構造になっている。
ところで、上記構成からなる座屈拘束ブレースでは、施工性、生産性、補強性能などの面で以下のような問題点が存在する。
(1)鉄骨建方作業において、ブレースの取付位置間での寸法精度にばらつきが大きいため、作業性があまりよくない。
(2)高力ボルトによる固定接合では、多数のボルト挿通孔を必要とすることから、接合部材やガセットプレートにおいて挿通孔間の寸法にばらつきが生じやすく、施工性の低下につながる。
(3)ブレース取付位置での原寸法を確認してからでないと、ブレースを製作することができないため、生産性が悪い。
(4)ブレースに加工する前の段階で鋼材自体に変形や撓みが生じているため、ブレースに加工された後においても撓みが解消されない。
(5)ブレースの取付後において、ブレース自身の重量で撓みが発生し、ブレースが撓んだ状態になり修正ができない。
(6)ブレース自体の製作誤差、ガセットプレートの製作誤差、溶接で発生する誤差などに対して対応しにくい構造である。
(7)圧縮力を受けるブレースは、ブレースの端部、特に下端部側に圧縮曲げ破壊や局部的座屈破壊、首折れ現象等が生じやすい。
上記問題点のうち特に(1)〜(3)に関しては、その解決手段として、ブレース全体の長さ調整を可能にした座屈拘束ブレースが提案されている(特許文献1)。
特許第5506744号公報(図1〜3、段落0032等参照)
上記従来例の座屈拘束ブレースは、棒状または管状からなる一対のブレース芯材の雌ネジ部に、ブレース芯材よりも断面積の小さい棒状鋼材の両端の雄ネジ部を螺合して直線状(同軸状)に連結し、中間に位置する棒状鋼材を回転させることにより、ブレース全体の長さ調整を行う構造である。しかしながら、これら一対のブレース芯材を連結する棒状鋼材は、ガセットプレートにブレースの両端部を接合した状態では座屈拘束管の内部に隠れるため、ブレースの設置後にあっては、そのターンバックル機能を利用して撓みの解消や張力の導入が困難である。このため、上記従来技術の座屈拘束ブレースでは、上記問題点(4)〜(6)に対しては有効でないという問題点があった。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するために創出されたもので、ブレース全体の長さ調整を容易に行うことができ、しかも設置後においても張力の導入が可能な座屈拘束ブレースと、座屈拘束部材のない基本構成の状態では引張ブレースとしての使用も可能な利便性の高いブレースの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の主たる構成に係るブレースは、端部が右ネジと左ネジに形成された丸鋼からなるブレース芯材と、このブレース芯材の各端部に一端側の雌ネジ部で螺合し、他端側のプレート部で鉄骨架構の矩形状架構面に取り付けた一対のガセットプレートにそれぞれピン接合される一対の接合部材と、前記ブレース芯材の全長を包囲する円形鋼管からなる座屈拘束部材を備えるブレースであって、前記ブレース芯材には、前記円形鋼管よりも小径でその内径に近い外径の複数のリング状スペーサーが長手方向に所定の間隔で挿通され、それらリング状スペーサーで区分された各区間に、前記円形鋼管の内径よりも小さい外径で当該区間とほぼ同じ長さの円形鋼管またはコイル状棒鋼からなる2次座屈拘束部材が個別に挿通されている、という技術手段を採用したことに特徴がある(請求項1)。
上記構成によれば、円形鋼管からなる座屈拘束部材を使用しない場合には、ブレース芯材に用いる丸鋼の大きな抵抗力により引張ブレースとして使用することができる。さらに、ブレース芯材を筒状雌ネジ部材で連結された一対の丸鋼とした場合(請求項2)には、中央の筒状雌ネジ部材を回転することにより、ブレースの全長寸法の調整が可能となり、また、ブレース芯材に引張力を導入でき、鋼材の加工前から存在する元歪や、自重によるブレース自身の撓みも解消される。
記構では、リング状スペーサーで区画された部分のブレース芯材に、最外周に配置される円形鋼管(座屈拘束部材)の内径よりも小さい外径の円形鋼管、または円形鋼管(座屈拘束部材)の内径よりも小さいコイル外径のコイル状棒鋼を2次座屈拘束部材として通し、これらリング状スペーサーと2次座屈拘束部材を含め、円形鋼管(座屈拘束部材)でブレース芯材の全体を包囲した構成であることから座屈拘束部材と2次座屈拘束部材とが内側のブレース芯材の座屈を効果的に防止するため、座屈拘束ブレースとして有効に使用することができる
さらに、主たる構成の接合部材について、プレート部が、ガセットプレートを対向面間に受け入れた状態でピンボルトが挿通される2枚1組のプレートとすることができる(請求項)。このような構成によれば、ガセットプレートのピン孔と2枚1組のプレートのピン孔とを一致させた状態でピンボルトを挿入することにより、簡単かつ確実にブレースをピン接合することができる。
本発明に係るブレースでは、上記構成を採用することにより、以下のような効果が得られる。
(1)本発明に係るブレースは、円形鋼管(座屈拘束部材)でブレース芯材を包囲しない場合には、引張ブレースとして使用することができ、また円形鋼管でブレース芯材を包囲した場合には、座屈拘束ブレースとしての使用が可能であることから、その選択によって種々の使用条件に対応しやすく、使い勝手の良好なブレースとなる。
(2)ブレース芯材を筒状雌ネジ部材で連結された一対の丸鋼とした場合には、中間に位置する筒状雌ネジ部材の回転により、一対の丸鋼が互いに近接または離反する方向に変位するので、ブレース全体の長さ寸法の調整を広い範囲で簡単に行うことができる。
(3)さらに、一対の丸鋼を螺合連結する筒状雌ネジ部材が外部に露出しているため、ブレースがガセットプレートに取り付けられた状態であっても、筒状雌ネジ部材を適宜の方向に回転することでブレース本体に対して確実に張力を導入することが可能になる。
(a),(b)は、それぞれ本発明のブレースに関連する第1参考例(引張ブレース)に係る正面図および側面図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースに関連する第2参考例(引張ブレース)に係る正面図および側面図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースに関連する第3参考例(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 (a),(b)は、図3の第3参考例および本発明で使用するリング状スペーサーの正面図および縦断面図である。 図4のリング状スペーサーの取付方法を示した説明図である。 図4のリング状スペーサーの定着に使用する固定金具の正面図である。 (a),(b)は、図3の第3参考例に係る座屈拘束ブレースの耐荷モデルとその座屈形状を示した説明図である。 (a),(b)は、図7に対応する比較例として、図7と同じブレース長でブレース芯材を1本とした場合の座屈拘束ブレースの耐荷モデルとその座屈形状を示した説明図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースに関連する第4参考例(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 (a),(b)は、従来技術による座屈拘束ブレースにおいて、ブレース芯材の座屈に至る挙動を模式的に示した説明図と実際の変形状態を示した説明図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第実施形態(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明のブレースの第実施形態(座屈拘束ブレース)に係る正面図および部分縦断面図である。 第3参考例、第4参考例、実施形態および第2実施形態の座屈拘束ブレースの施工において、ガセットプレートとの結合方法を示した正面図である。 図13の次の工程として、座屈拘束ブレースに張力を導入する方法を示した正面図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係るブレースの実施形態について説明する。なお、各実施形態および参考例で同一部分に関しては同一符号で示し、重複する説明を省略することもある。
図1(a),(b)は、本発明に関連するブレースの第1参考例に係る正面図および側面図である。図示のブレース1は、ブレース芯材2と、その両端側に配置される一対の接合部材3,4で構成され、引張ブレースとして使用されるものである。ブレース芯材2は丸鋼からなり、その両端部には右ネジ2aと左ネジ2bが形成されている。接合部材3,4は、中間に位置する鍔板3a,4aの一方の面に円筒状雌ネジ部材3b(右ネジ), 4b(左ネジ)が溶接され、これら円筒状雌ネジ部材3b, 4bを介してブレース芯材2とネジ結合している。また、鍔板3a,4aの他方の面には、2枚1組のプレート材3c,4cが溶接されている。2枚1組のプレート材3c,4cは、挿通孔を有するガセットプレート(図示せず)が対向面間に挿入可能な間隔で並設され、それぞれのプレート材3c,4cにピンボルトの挿通孔3d,4dが互いの軸心を合わせて形成されている。これらの接合部材3, 4は、一般的にクレビス式と称されている二股状の継手金物が使用される。
図2は、本発明のブレースに関連する第2参考例に係り、第1参考例と同様に引張ブレースに適用した事例である。図示のブレース5は、ブレース芯材2が1本の丸鋼ではなく、筒状雌ネジ部材6で連結された一対の丸鋼21,21からなる点で第1参考例とは異なる。この場合、一対の丸鋼21,21は、それぞれ両端部が右ネジ21aと左ネジ21bに形成され、筒状雌ネジ部材6の内部は、これに対応すべく中央を境にして右ネジと左ネジに区分されている。連結状態での2本の丸鋼21,21における各雄ネジ部の方向は、図面上では、下端部から上端部に向けて右ネジ、左ネジ、右ネジ、左ネジと交互に配置されている。
図3(a),(b)は、本発明に関連するブレースの第3参考例に係る正面図および部分断面図である。図示のブレース7は、第2参考例に係る引張ブレース5に座屈拘束部材を付加して座屈拘束ブレースに転用したものである。すなわち、2本の丸鋼21,21は、それぞれ座屈拘束部材としての円形鋼管8,8で包囲された構成である。両方の円形鋼管8,8は、接合部材3,4の円筒状雌ネジ部材3b, 4bと、中央に位置する筒状雌ネジ部材6に跨るように外嵌されている。また、円形鋼管8,8の内側では、一対の丸鋼21,21(ブレース芯材)に対して、鋼製材料からなる複数のリング状スペーサー9が挿通され、長手方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。これらのリング状スペーサー9は、円形鋼管8,8およびブレース芯材21,21に対してほぼ接する大きさに設定され、固定金具91(図6参照)で定着されている。なお、リング状スペーサー9の配置間隔は、ブレース芯材21の軸径d1の6〜8倍程度が好適である。この参考例では、ブレース全体で6個のリング状スペーサー9が使用されているが、リング状スペーサー9の数量を増加することにより、ブレース芯材21を長くして、ブレース7の全長を長くする仕様も可能で、また圧縮曲げ限界荷重をより高めることもできる。
次に、リング状スペーサー9の取付方法について、図4〜6を参照しながら説明する。図4(a),(b)は、リング状スペーサー9の正面図および縦断面図である。リング状スペーサー9は、全体が丸ナット状を呈しているが、雌ネジ部9aのネジ谷が通常よりも浅く形成されている。その理由は、ブレース芯材(丸鋼21,21)と座屈拘束鋼管(円形鋼管8,8)との隙間がブレースの座屈拘束耐力に影響を及ぼすため、リング状スペーサー9の使用条件として、密着に近い状況が望まれるからである。ブレース芯材21に丸鋼を使用する場合、図5に示すように、ブレース軸部の外径d1と雄ネジ部21aの外径d2とは、一般的にd1≦d2の関係である。このため、雄ネジ部21aを通過させてリング状スペーサー9を取り付けようとした場合には、リング状スペーサー9の内周面とブレース芯材21の外周面との間に隙間が生じてしまう。このような事情から、リング状スペーサー9とブレース芯材21との密着性を高めるために、リング状スペーサー9の雌ネジ部9aのネジ谷を浅くした形状とすることが有効である。そして、所定の位置において、図6に示す略C字状でバネ性を有する2個1組の固定金具91で両側から挟むようにしてリング状スペーサー9の位置決めと移動防止がなされる。
図7(a),(b)は図3の第3参考例に係る座屈拘束ブレースの耐荷モデルとその座屈形状を示し、図8(a),(b)は比較例としてブレース芯材が1本の場合の座屈拘束ブレース(従来技術)の耐荷モデルとその座屈形状を示した説明図である。この座屈形状モデルでの座屈荷重の比較では、本発明による座屈拘束ブレースでの座屈荷重Pcr1は、従来技術での座屈荷重Pcr2の4倍になることが想定される。
図9(a),(b)は、本発明に関連するブレースの第4参考例に係る正面図および部分縦断面図である。図示のブレース10は、第3参考例で用いたリング状スペーサー9に代えてコイル状棒鋼11をスペーサーとして使用した構成であり、2本1組のブレース芯材21,21に対してその全長に渡る長さで1本ずつ挿通されている。この場合、コイル状棒鋼11の軸径は、円形鋼管8(座屈拘束部材)とブレース芯材21の間隔に近い円形棒鋼の軸径とする。また、コイル状棒鋼11の螺旋ピッチは、5d以下とするのがよい。この参考例では、固定金具91が不要であり、また、ブレース芯材21に圧縮力が働くと同時に、コイル状棒鋼11には、バネ力による反力が発生するので、ブレース芯材21の圧縮曲げ変形を低減させる効果でブレース芯材21の剛性と圧縮耐力を高めることが期待できる。
図10(a),(b)は、一般的な座屈拘束ブレースにおけるブレース芯材2の座屈荷重に至る直前の挙動を模式的に示した説明図と実際の変形状態を示した説明図である。(a)のようにブレース芯材2は比較的なだらかな座屈曲げ変形を示すが、実際には(b)に示すように、ブレース芯材2が捻じれを伴う塑性変形を行い、座屈曲げ変形となることが知られている。
このような状況を考慮したものが、次に説明する第実施形態および第実施形態である。図11(a),(b)は、本発明によるブレースの第実施形態に係る正面図および部分縦断面図である。図示のブレース12は、第3参考例のブレース7を改良したものである。すなわち、複数のリング状スペーサー9で区分されたブレース芯材21の長手方向の各区間に対して、当該区間とほぼ同じ長さで、外側に配置される円形鋼管8(座屈拘束部材)よりも小径の円形鋼管13(2次座屈拘束鋼管)を個別に挿通して取り付けることで、座屈曲げ変形に伴うブレース芯材21の耐力低下と、剛性低下を効果的に回避することができる。このようにリング状スペーサー9間に配置される内側の円形鋼管13は、リング状スペーサー9の位置決めも兼ねているが、リング状スペーサー9間で発生するブレース芯材21の座屈による過大な変形を2次座屈拘束部材として拘束させることから外側に配置される円形鋼管8(座屈拘束部材)による座屈拘束機能との組合せにより、ブレース12の座屈耐力と剛性の向上と安定を一段と図ることができる。
図12(a),(b)は、本発明によるブレースの第実施形態に係る正面図および部分縦断面図である。図示のブレース14は、第実施形態のブレース12で使用する小径の円形鋼管13に代えてコイル状棒鋼15を2次座屈拘束部材として使用したものである。このコイル状棒鋼15は、バネ力も加わって、小径の円形鋼管13と同等以上の機能を発揮する。
図13は、図3の第3参考例に係るブレース7の施工方法を示した正面図である。まず、鉄骨柱91と鉄骨梁92で構成される鉄骨架構の矩形状架構面90の対角位置に溶接されている上部ガセットプレート93に対して、第3参考例のブレース7の一端側にある接合部材4の挿通孔とガセットプレート93の挿通孔とを一致させた状態でピンボルト94を挿通し、反対側からのナットの螺合によりブレース7の上部を仮固定する。ピンボルト94でブレース7を吊り下げた状態において、中央部分に露出している筒状雌ネジ部材6を回転してブレース7の長さを調整する。そして、ブレース7の他端側(下部側)にある接合部材3の挿通孔と下部ガセットプレート95の挿通孔96の位置が一致した位置でピンボルト94を挿入し、反対側からナット締め付けると、ブレース7の取付けが完了する。
次に、図14に示すように、筒状雌ネジ部材6を所定の方向に回転させると、両端に位置する円筒状雌ネジ部材3b,4b間の距離が狭まり、ブレース芯材21に所望の引張軸力が導入されるので、ブレース芯材21の撓み等を解消させることができる。このようにして取り付けられるブレース7を使用する取付構造では、上下のガセットプレート93,95とブレース7の接合部材3,4とがクレビス式のピン接合形式となるため、ブレース7が圧縮応力を負担したときに生じる圧縮曲げ変形を、柱梁で囲まれた構造面内の変形に限定させ、外壁等の破損を防ぐことができる。また、引張力が働くときは、高力ボルトによる固定形式と異なり、ブレース芯材21のピン間が直線的になるので、接合部材3,4が引張力によって曲げ変形等の応力集中を受けにくくなる。なお、このような施工方法に関しては、中間部分に筒状雌ネジ部材6を備えた本発明の上記実施形態に係るブレース12,14にも適用可能である。
以上、実施形態に基づいて本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、接合部材にクレビス以外のものを使用することは可能であり、ブレースの端部の一方は、鉄骨柱と鉄骨梁の交差部ではなく、鉄骨柱とその下端に接合されるベースプレートに跨って設けられたガセットプレートに接合するなど、この発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
本発明のブレースは、基本構成では引張ブレースとしての使用が可能であるとともに、適宜の座屈拘束部材を付加することで座屈拘束ブレースにもなり、さらにブレース全長の寸法調整と張力導入が可能となることから、鉄骨建造物等の補強用ブレースとしての利用のさらなる展開が期待される。
1,5,7,10,12,14:ブレース、2,21:ブレース芯材(丸鋼)、3,4:接合部材、2a,21a:右ネジ、2b,21b:左ネジ、3a,4a:鍔板、3b,4b:円筒状雌ネジ部材、3c,4c:プレート材、3d,4d:挿通孔、6:筒状雌ネジ部材、8:円形鋼管(座屈拘束部材)、9:リング状スペーサー、9a:雌ネジ部、11:コイル状棒鋼、13:円形鋼管(2次座屈拘束部材)、15:コイル状棒鋼(2次座屈拘束部材)、90:矩形状架構面、91:固定金具、93,95:ガセットプレート、94:ピンボルト

Claims (7)

  1. 端部が右ネジと左ネジに形成された丸鋼からなるブレース芯材と、このブレース芯材の各端部に一端側の雌ネジ部で螺合し、他端側のプレート部で鉄骨架構の矩形状架構面に取り付けた一対のガセットプレートにそれぞれピン接合される一対の接合部材を備えることを特徴とするブレース。
  2. 前記ブレース芯材は、筒状雌ネジ部材で連結された一対の丸鋼からなることを特徴とする請求項1に記載のブレース。
  3. 前記ブレース芯材は、複数のリング状スペーサーが長手方向に所定の間隔で挿着され、このリング状スペーサーの外径に近い内径の円形鋼管でその全長が包囲されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブレース。
  4. 前記リング状スペーサーで区画された部分に、前記円形鋼管の内径よりも小さい外径の円形鋼管が挿通されていることを特徴とする請求項3に記載のブレース。
  5. 前記リング状スペーサーで区画された部分に、前記円形鋼管の内径よりも小さいコイル外径のコイル状棒鋼が挿通されていることを特徴とする請求項3に記載のブレース。
  6. 前記ブレース芯材は、コイル状棒鋼が全長に渡って挿通され、このコイル状棒鋼のコイル外径に近い内径の円形鋼管でその全長が包囲されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブレース。
  7. 前記接合部材のプレート部が、前記ガセットプレートを対向面間に受け入れた状態でピンボルトが挿通される2枚1組のプレートであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のブレース。
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