JP2019163351A - コークス炉の築造方法およびコークス炉の築造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、人力のみでは煉瓦ブロックを築炉現場で組み込むことができず、トング等の築造装置で煉瓦ブロックを挟んでクレーンで吊り上げてから積み上げる必要がある(特許文献2)。
特許文献2では、トングの下端部に押さえ具を設け、煉瓦ブロックを吊り上げた状態での滑落を防止するとともに、押さえ具をスペーサとして使用し、炉高方向の位置決めをすることも記載されている。
しかしながら、特許文献1には、煉瓦ブロックの位置ずれを防ぐ構成や工法が全く開示されていない。
特許文献2の構造では、押さえ具をスペーサとすることで、炉高方向の位置ずれを防ぐことができるが、炉団長方向の位置ずれを防ぐ構成や工法が全く開示されていない。
そのため、据付精度に個人差が生じ、結局は熟練した築炉工が必要となっていた。
そのため、煉瓦ブロックを把持部に挟んで既設煉瓦の上方に配置して下降させれば、把持部が突起にガイドされて、煉瓦ブロックの位置が容易に決められ、構築する煉瓦ブロックが大型化しても、据付精度に個人差が生じ難い。
この発明によれば、蓄熱室のピラーウォールの構築用に、炉団長方向よりも炉長方向に長い形状で煉瓦壁ブロックを用いる場合であっても、炉団長方向の位置決めで個人差が生じ難い。
この発明によれば、燃焼室の構築用に、炉団長方向よりも炉長方向に長い形状で煉瓦壁ブロックを用いる場合であっても、炉団長方向の位置決めで個人差が生じ難い。
この発明によれば、コークス炉の築造に煉瓦単体よりも質量と寸法が、はるかに大きいプレハブ構造を用いる場合であっても、位置決めで個人差が生じ難い。
そのため、煉瓦ブロックを把持部に挟んで既設煉瓦の上方に配置して下降させれば、把持部が突起にガイドされて、煉瓦ブロックの位置が容易に決められ、構築する煉瓦ブロックが大型化しても、据付精度に個人差が生じ難い。
この発明によれば、コークス炉の築造装置を使用しない時にガイド部を取り外して、建築現場に仮置きすることができる。そのため、ガイド部を取り付けて仮置きする場合と比べて、築造装置を支持する底面積を大きくすることができ、仮置時の安定性を高められる。
この発明によれば、ガイド部を炉団長方向に移動させられるため、2段、3段と煉瓦ブロック100を積み重ねた場合に、ガイド部と既設煉瓦の間の隙間によって生じる、煉瓦ブロックの炉団長方向のずれに対応してガイド部の位置を調整でき、ずれが許容値を超えるのを防ぐことができる。
まず、図1〜図6を参照して、本発明のコークス炉の築造方法に用いられる、コークス炉の築造装置としてのトングの構造について、簡単に説明する。
図1〜図4においては、把持部3の長手方向をY方向、Y方向に直交し、把持部3が把持対象を把持する方向をX方向、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。X方向、Y方向、Z方向は、コークス炉において炉団長方向、炉長方向、炉高方向にもそれぞれ対応する。
図1に示すように、筒状支持部14は、支柱9の対向面から、他方の支柱9に向けて伸びる角筒状の部材である。スライド部18は、一端が筒状支持部14内に収容され、他端が他方の支柱9に固定される部材である。
下部リンク15は、複数のアーム15Aを、互いに交差した状態で中央を軸支したものである。アーム15Aの下端16Aは梁11に固定される。軸方向はいずれも接触板7の長手方向に平行である。
上部リンク16は、複数のアーム15Bを有する。アーム15Bは、一端がアーム15Aの上端18Aに軸支され、他端がクレーン連結部19に軸支される。
クレーン連結部19は、トング1を吊り上げるクレーンと、トング1とを連結する部材であり、アーム15Bの端部に軸支される。クレーン連結部19は、クレーンのフックが引っかけられる環部17を備える。
トング1は、釣り上げられた状態では、自重で把持する構造であるが、自重ではなく、スライド部18に油圧式や機械式の把持機構を備えてもよい。
パンタグラフ13を下方に縮めることにより、パンタグラフ13のアーム15Aの端部間の距離が広くなり、アーム15Aに接続された接触板7が煉瓦ブロック100と離れ、把持が解除される。
支持板21は、折れ線28を境に設けられた固定板22と、突出板23を備える。固定板22は、折れ線28が接触板7の長手方向に直交するように、接触板7の下面に溶接等で固定されている。突出板23は、接触板7から下方に突出している。
トング1は、煉瓦ブロック100の据付に使用していない期間は、コークス炉の建設現場に仮置する必要がある。この際、ガイド部5を接触板7に取り付けた状態で仮置きすると、トング1を4つのガイド部5で支える、4点支持の置き方となる。コークス炉の建設現場は、常に煉瓦構造体が積み上がっていくため、足元が不安定であることが多く、トング1を支える面は、なるべく広い方が好ましい場合がある。そこで、ガイド部5を脱着可能にすることで、仮置きの際にガイド部5を取り外せば、トング1を接触板7の下面全体で支える置き方にできる。
図2に示すように、ガイド部5は、炉長方向(Y方向)から見て、互いに対向する対向面5Aが、下方に行くに従い、互いに距離が離れるようなテーパ形状を有する。これは、位置決めの際に既設煉瓦と接触した際にガイドしやすくするためである。
炉長方向(Y方向)から見たガイド部5の上端間の間隔Lは、接触板7間の距離と同程度である。そのため、接触板7が既設煉瓦を把持すると、ガイド部5の上端間の間隔Lは既設煉瓦103の炉団長方向厚さL0(図9参照)と同じか、若干長くなる。
図4では、1対のガイド部5は、炉長方向(Y方向)の位置が同じであり、X方向に対向している。ただし、Y方向の位置は、必ずしも同じ位置である必要はなく、炉長方向(Y方向)から見て、互いに対向していればよい。
煉瓦ブロック100を据え付ける際に、既設煉瓦とガイド部5の間には、1〜2mm程度の隙間が生じる。この隙間によって、煉瓦ブロック100が本来据え付けたい位置から炉団長方向にずれる可能性がある。1〜2mm程度のずれであれば、許容範囲内ではあるが、2段、3段と煉瓦ブロック100を積み重ねると、ずれの累積が許容値を超える可能性もある。そのため、位置決め可能な構造を設けて、ずれの累積が許容値を超えないようにするのが好ましい。
具体的には、図6に示すトング1は、位置決め機構41を備える。
位置決め機構41は、ネジブロック43、押し引きネジ45、引き用ボルト47を備える。
押し引きネジ45はガイド部5をX方向に押し引きするネジであり、引き用ボルト47およびネジブロック43に螺合する。回転する向きと角度によって、ガイド部5を押し引きする向きおよび移動量を調整する。
引き用ボルト47は、ガイド部5を押し引きネジ45が引っ張る場合に、押し引きネジ45と係合するボルトであり、ガイド部5に固定される。
固定板22には長孔53が設けられる。長孔53は長手方向がX方向に平行である。長孔53の長手方向の長さは、ガイド部5の移動量に応じて決定される。幅方向(長手方向に直交する方向)の長さは、ボルト55のネジ部の直径より大きく、頭部の最小径より小さい。
ボルト55は、把持部3の接触板7にガイド部5を保持させるボルトであり、長孔53を挿通して接触板7に螺合する。
まず、保持機構51のボルト55を緩める。
次に、位置決め機構41の押し引きネジ45を回転させて、ガイド部5をX方向の所望の位置に移動させる。
最後に、ボルト55を締め、移動した位置にガイド部5を固定する。
以上がトング1の構造の説明である。
第1の実施形態では、複数の煉瓦をプレハブ構造で構築した煉瓦ブロックを用いて、コークス炉の蓄熱室のピラーウォールの一部を構築する方法を例にして説明する。ただし、本発明は、プレハブ構造を用いた場合に限定されず、蓄熱室のピラーウォールの構築方法にも限定されない。
煉瓦ブロック100は、炉団長方向の長さLXが、ピラーウォールの幅と同じであることが望ましい。炉長方向の長さLYは、ピラーウォールの炉長未満である。LYは、好ましくは2〜5mである。炉高方向の高さLZもピラーウォールの炉高未満であり、複数の煉瓦ブロック100を積み重ねてピラーウォールを構築する。LZは、好ましくは煉瓦を3〜10段重ねた程度の高さである。
次に、煉瓦ブロック100をクレーン200で吊り上げて、既設煉瓦103の上方に移動させる。
この状態では、炉長方向から見た一対のガイド部5の上端間の間隔Lが、煉瓦ブロック100の炉団長方向の長さLxに等しく、したがって、既設煉瓦103の炉団長方向厚さL0と同程度になる。
この際、煉瓦ブロック100と既設煉瓦103の、炉団長方向の位置がずれていた場合でも、既設煉瓦103の壁面がガイド部5の対向面5Aに接触して、トング1ごと煉瓦ブロック100が炉団長方向にガイドされる。よって、煉瓦ブロック100が大型化しても、据付精度に個人差が生じ難い。
よって、揉み出し作業時も、炉団長方向に煉瓦ブロック100の位置ずれが生じ難く、煉瓦ブロック100の据付精度に個人差が生じ難い。
最後に、煉瓦ブロック100が位置ずれを生じない程度に、モルタル91が硬化するまで放置し、硬化した後に、トング1を煉瓦ブロック100から取り外す。
以上がコークス炉の築造方法の説明である。
そのため、煉瓦ブロック100をトング1に挟んで、既設煉瓦103の上方に配置して下降させれば、ガイド部5によって、トング1ごと煉瓦ブロック100が炉団長方向にガイドされる。
よって、構築する煉瓦ブロック100が大型化しても、据付精度に個人差が生じ難い。
第1の実施形態では、蓄熱室のピラーウォールの一部を構築する方法を例にして説明したが、本発明は、蓄熱室のピラーウォールの構築方法にも限定されないため、燃焼室を構築する工程についても簡単に説明する。
図12では、煉瓦ブロック100Aは、1対の炉壁105と1対の燃焼フリュー隔壁107を備える。
燃焼フリュー隔壁107は、一対の炉壁105の間を連結するように、X方向(炉団長方向)に沿って対向するように設けられた、隔壁であり、燃焼室における、燃焼フリュー間の隔壁に該当する。
構築方法の概要を述べると、まず既設煉瓦にモルタルを塗布し(塗布工程)、次にモルタル上に煉瓦ブロック100Aを設置する(設置工程)。
設置の際は、煉瓦ブロック100Aの炉壁105を、トング1で炉団長方向に挟んで持ち上げ、ガイド部5の間に既設煉瓦を挟むように位置合わせをする。
以上が第2の実施形態の説明である。
例えば、上記した実施形態では、コークス炉の築造装置として、トング1を例示したが、築造装置は、煉瓦ブロック100を把持して既設煉瓦に設置でき、かつガイド部5を備えるものであれば、トングには限定されず、クランプでもよい。
3 :把持部
5 :ガイド部
5A :対向面
7 :接触板
9 :支柱
11 :梁
13 :パンタグラフ
14 :筒状支持部
15 :下部リンク
15A :アーム
15B :アーム
16 :上部リンク
16A :下端
17 :環部
18 :スライド部
18A :上端
19 :クレーン連結部
21 :支持板
22 :固定板
23 :突出板
25 :ボルト
26 :ナット
27 :ボルト
28 :折れ線
41 :位置決め機構
43 :ネジブロック
45 :押し引きネジ
47 :引き用ボルト
51 :保持機構
53 :長孔
55 :ボルト
91 :モルタル
100 :煉瓦ブロック
100A :煉瓦ブロック
103 :既設煉瓦
105 :炉壁
107 :燃焼フリュー隔壁
109 :空間
200 :クレーン
Claims (7)
- 複数の耐火物からなる既設煉瓦上に、モルタルを介して、煉瓦ブロックを積み重ねて構築する工程を有する、コークス炉の築造方法であって、
前記既設煉瓦にモルタルを塗布する塗布工程と、
前記モルタル上に前記煉瓦ブロックを設置する、設置工程と、
を実施し、
前記設置工程は、
前記煉瓦ブロックを、1対の把持部を有するコークス炉の築造装置で炉団長方向に挟んで持ち上げ、
前記把持部から下方に突出した突起であり、前記煉瓦ブロックを挟んだ状態で、炉長方向から見て、前記既設煉瓦の炉団長方向の幅に対応する間隔で対向する、少なくとも一対のガイド部の間に前記既設煉瓦を挟むように位置合わせをして、
前記モルタル上に前記煉瓦ブロックを設置する工程であることを特徴とする、コークス炉の築造方法。 - 蓄熱室のピラーウォールを構築する工程に用いられることを特徴とする、請求項1に記載のコークス炉の築造方法。
- 燃焼室を構築する工程に用いられることを特徴とする、請求項1に記載のコークス炉の築造方法。
- 前記煉瓦ブロックは、複数の煉瓦を多段に積み重ねたプレハブ構造であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のコークス炉の築造方法。
- コークス炉を構成する、煉瓦ブロックを持ち上げて設置するコークス炉の築造装置であって、
前記煉瓦ブロックの両側面を挟み込んで保持する一対の把持部と、
前記一対の把持部の下方に突出して設けられ、設置の際に前記既設煉瓦に接触して位置決めを行う少なくとも一対のガイド部と、
を備えることを特徴とするコークス炉の築造装置。 - 前記ガイド部を脱着可能に前記把持部に固定する脱着機構を備えることを特徴とする、請求項5に記載のコークス炉の築造装置。
- 前記ガイド部を炉団長方向に移動可能に前記把持部に保持する保持機構と、
前記ガイド部の炉団長方向の位置決めを行う位置決め機構を備えることを特徴とする。請求項5または請求項6に記載のコークス炉の築造装置。
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