<<実施形態1>>
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を例示的に詳しく説明する。但し、本実施形態に記載されている構成要素の相対配置、表示画面等は、特に、特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<システム構成>
まず、以下で説明する実施形態を実現するためのシステム構成について、図1〜図6を用いて説明する。
図1は携帯型通信端末装置と印刷装置(MFP)、アクセスポイント(無線基地局とも呼ぶ)を含むシステムの構成を示す図である。携帯型通信端末装置200は、無線LAN(WLAN)通信部すなわち無線通信機能を有する端末装置(情報処理装置)である。携帯型通信端末装置200は、PDA(Personal Digital Assistant)等の個人情報端末、携帯電話、デジタルカメラ等でも良い。印刷装置(MFP)300は、携帯型通信端末装置200と無線通信可能な通信装置であり、読取機能(スキャナ)やFAX機能、電話機能を有していても良い。また、通信装置は、プリンタのみならず、ファクシミリ装置、スキャナ装置、プロジェクタ、携帯端末、スマートフォン、ノートPC、タブレット端末、PDA、デジタルカメラ、音楽再生デバイス、テレビ等にも適用可能である。本実施形態では、通信装置として読取機能と印刷機能を有するMulti Function Printer(MFP:多機能周辺機器)を例にしている。携帯型通信端末装置200及び印刷装置300とは別に設けられる外部のアクセスポイント400は、WLAN通信部を有し、アクセスポイントへの接続を許可した装置同士の通信を中継することで無線インフラモードの通信を提供する。
携帯型通信端末装置200とMFP300は各々が有するWLAN通信部によって、アクセスポイント400を介した無線インフラモード(無線インフラストラクチャモード)の無線通信を行っても良いし、Wi−Fi Direct(登録商標)やソフトAPモードなどのP2P通信(ピア・ツー・ピア通信)を行うものとしても良い。各モードについては、図7〜9を用いて詳細に後述する。なお、携帯型通信端末装置200及びMFP300は、後述するようにWLAN経由で複数の印刷サービスに対応した処理を実行可能である。
図2は携帯型通信端末装置200の外観を示す図である。本実施形態では、スマートフォンを例にしている。スマートフォンとは、携帯電話の機能の他に、カメラや、ウェブブラウザ、電子メール機能等を搭載した多機能型の携帯電話のことである。
WLANユニット201はWLANで通信を行うためのユニットである。WLANユニット201は、例えばIEEE802.11シリーズ(IEEE 802.11aやIEEE 802.11b等)に準拠したWLANシステムにおけるデータ(パケット)通信が可能であるものとする。本例では、WLANユニット201は、2.4GHz帯と5GHz帯との両方の帯域で通信可能である。また、WLANユニット201を用いた無線通信では、Wi−Fi Direct(WFD)(登録商標)をベースにした通信、ソフトAPモードによる通信、無線インフラモードによる通信などが可能である。各モードについては、図7〜9を用いて詳細に後述する。表示部202は、例えば、LCD方式の表示機構を備えたディスプレイである。操作部203は、タッチパネル方式の操作機構を備えており、ユーザによる操作を検知する。代表的な操作方法には、表示部202がボタンアイコンやソフトウェアキーボードの表示を行い、ユーザがそれらの箇所に触れることによって操作イベントを検知するものがある。電源キー204は電源のオン及びオフをする際に用いるハードキーである。
図3はMFP300の外観を示す図である。図3において、原稿台301は、スキャナ(読取部)で読み取らせる原稿を載せるガラス状の透明な台である。原稿蓋302は、スキャナで読取を行う際に原稿を押さえたり、読取の際に原稿を照射する光源からの光が外部に漏れないようにしたりするための蓋である。印刷用紙挿入口303は様々なサイズの用紙をセット可能な挿入口である。印刷用紙挿入口303にセットされた用紙は一枚ずつ印刷部に搬送され、印刷部で印刷を行って印刷用紙排出口304から排出される。操作表示部305は、文字入力キー、カーソルキー、決定キー、取り消しキー等のキーと、LED(発光ダイオード)やLCD(液晶ディスプレイ)などから構成され、ユーザによってMFPとしての各種機能の起動や各種設定を行うことができる。また、タッチパネルで構成されてもよい。WLANアンテナ306は、WLANで通信するためのアンテナが埋め込まれている。MFP300もまた2.4GHz帯と5GHz帯との両方の帯域で通信可能である。
図4は、MFPの操作表示部305の画面表示の一例を模式的に示した図である。図4(a)は、MFPが電源オンし印刷やスキャン等の動作をしていない状態(アイドル状態)を示すホーム画面である。キー操作やタッチパネル操作によりコピーやスキャン、インターネット通信を利用したクラウド機能のメニュー表示から、各種設定、機能実行が可能である。図4(a)のホーム画面からキー操作やタッチパネルの操作によってシームレスに図4(a)とは異なる機能を表示することができる。図4(b)は、その一例であり、プリントやフォト機能の実行やLAN設定の変更が実行可能な画面である。図4(c)は、図4(b)の画面において、LAN設定を選択した際に表示される画面である。この画面から無線インフラモードの有効/無効設定や、WFDやソフトAPモード等のP2Pモードの有効/無効設定など各種のLAN設定変更が実行できる。また、無線LANの周波数帯域やチャネルを設定することもできる。なお無線インフラモードを第1の通信モードと呼び、P2Pモードを第2の通信モードと呼ぶことがある。
●携帯型通信端末装置の構成
図5は携帯型通信端末装置200の構成を示すブロック図である。携帯型通信端末装置200は、装置自身のメインの制御を行うメインボード501と、WLAN通信を行うWLANユニット201とを有する。メインボード501において、CPU(中央演算処理部)502は、システム制御部であり、携帯型通信端末装置200の全体を制御する。以降に示す携帯型通信端末装置200の処理はCPU502の制御によって実行される。ROM503は、CPU502が実行する制御プログラムや組込オペレーティングシステム(OS)プログラム等を記憶する。本実施形態では、ROM503に記憶されている各制御プログラムは、ROM503に記憶されている組込OSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウェア制御を行う。
RAM504は、SRAM(Static RAM)等で構成され、プログラム制御変数等のデータを記憶し、また、ユーザが登録した設定値や携帯型通信端末装置200の管理データ等のデータを記憶し、各種ワーク用バッファ領域が設けられている。
画像メモリ505は、DRAM(Dynamic RAM)等のメモリで構成され、WLANユニット201を介して受信した画像データや、データ蓄積部513から読み出した画像データをCPU502で処理するために一時的に記憶する。
不揮発性メモリ512は、フラッシュメモリ(flash memory)等のメモリで構成され、電源がオフされてもデータを記憶し続ける。尚、これらのようなメモリ構成はこれに限定されるものではない。例えば、画像メモリ505とRAM504を共有させてもよいし、データ蓄積部513にデータのバックアップ等を行ってもよい。また、本実施形態では、画像メモリ505にDRAMを用いているが、ハードディスクや不揮発性メモリ等の他の記憶媒体を使用する場合もあるのでこの限りではない。
データ変換部506は、種々の形式のデータの解析や、色変換、画像変換等のデータ変換を行う。電話部507は、電話回線の制御を行い、スピーカ部514を介して入出力される音声データを処理することで電話による通信を実現している。操作部203は、操作部204(図2)の信号を制御する。GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)509は、携帯型通信端末装置200の現在の緯度や経度等の位置情報を取得する。表示部202は、表示部203(図2)の表示内容を電子的に制御しており、各種入力操作や、MFP300の動作状況、ステータス状況の表示等を行うことができる。
カメラ部511は、レンズを介して入力された画像を電子的に記録して符号化する機能を有している。カメラ部511で撮影された画像はデータ蓄積部513に保存される。スピーカ部514は電話機能のための音声を入力または出力する機能や、その他、アラーム通知等の機能を実現する。電源部515は、携帯可能な電池であり、装置内への電力供給制御を行う。電源状態には、電池に残量が無い電池切れ状態、電源キー205を押下していない電源オフ状態、通常起動している起動状態、起動しているが省電力になっている省電力状態がある。
携帯型通信端末装置200はWLANで無線通信することができる。これにより、携帯型通信端末装置200は、MFP等の他デバイスとのデータ通信を行う。この通信部では、データをパケットに変換し、他デバイスにパケット送信を行う。逆に、外部の他デバイスからのパケットを、元のデータに復元してCPU502に対して送信する。WLANユニット201はバスケーブル516介してメインボード501に接続されている。WLANユニット201は規格に準拠した通信を実現するためのユニットである。WLANユニット201は、第1の通信モードとして例えば無線インフラモード、第2の通信モードとしてP2Pモードという、二つの通信モードを同時並行的に提供できる。ただし、それぞれの通信モードで使用する周波数帯域については、ハードウェアの機能あるいは性能から制限されていることもある。メインボード501内の各種構成要素(503〜515及び201〜203)は、CPU502が管理するシステムバス519を介して、相互に接続されている。
●MFPの構成
図6はMFP300の構成を示すブロック図である。MFP300は、装置自身のメインの制御を行うメインボード601と、WLAN通信を行うWLANユニット617とを有する。
メインボード601において、CPU(中央演算処理部)602は、システム制御部であり、MFP300の全体を制御する。以降に示すMFP300の処理はCPU601の制御によって実行される。ROM603は、CPU602が実行する制御プログラムや組込オペレーティングシステム(OS)プログラム等を記憶する。本実施形態では、ROM603に記憶されている各制御プログラムは、ROM603に記憶されている組込OSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウェア制御を行う。RAM604は、SRAM(Static RAM)等で構成され、プログラム制御変数等のデータを記憶し、また、ユーザが登録した設定値やMFP300の管理データ等のデータを記憶し、各種ワーク用バッファ領域が設けられている。
不揮発性メモリ605は、フラッシュメモリ(flash memory)等のメモリで構成され、電源がオフされてもデータを記憶し続ける。画像メモリ606は、DRAM(Dynamic RAM)等のメモリで構成され、WLANユニットを介して受信した画像データや、符号復号化処理部611で処理した画像データなどを蓄積する。また、携帯型通信端末装置200のメモリ構成と同様に、このようなメモリ構成はこれに限定されるものではない。データ変換部608は、種々の形式のデータの解析や、画像データから印刷データへの変換等を行う。
読取制御部607は、読取部609(例えば、CISイメージセンサ(密着型イメージセンサ))を制御して、原稿上の画像を光学的に読み取る。次に、これを電気的な画像データに変換した画像信号を出力する。このとき2値化処理や中間調処理等の各種画像処理を施してから出力しても良い。
操作表示部305は、図4での操作表示部305に対応する。符号復号化処理部611は、MFP300で扱う画像データ(JPEG、PNG等)の符号復号化処理や、拡大縮小処理を行う。給紙部613は印刷のための用紙を保持する。印刷制御部614からの制御で給紙部613から用紙の給紙を行うことができる。特に、給紙部613は、複数種類の用紙を一つの装置に保持するために、複数の給紙部を用意することができる。そして、印刷制御部614により、どの給紙部から給紙を行うかの制御を行うことができる。
印刷制御部614は、印刷される画像データに対し、スムージング処理や印刷濃度補正処理、色補正等の各種画像処理を施してから印刷部612に出力する。印刷部612は、例えば、インクタンクから供給されるインクをプリントヘッドから吐出させて画像を印刷するインクジェットプリンタを採用可能である。また、印刷制御部614は印刷部612の情報を定期的に読み出してRAM604の情報を更新する役割も果たす。具体的には、インクタンクの残量やプリントヘッドの状態等のステータス情報を更新することである。
MFP300にも、携帯型通信端末装置200と同様にWLANユニット616が搭載されており、機能は携帯型通信端末装置200のWLANユニット201と同等のため、説明は省略する。ここで、WLANユニット616はバスケーブル615を介してメインボード601に接続されている。なお、携帯型通信端末装置200及びMFP300はWFDをベースにした通信が可能であり、ソフトウェアアクセスポイント(ソフトAP)機能を有している。
メインボード601内の各種構成要素(ブロック602〜614、616〜617、619)は、CPU602が管理するシステムバス620を介して、相互に接続されている。
<P2P(ピア・ツー・ピア:Peer to Peer)方式について>
WLANにおける通信においてP2P(外部のアクセスポイントを介さずに装置同士がダイレクトで無線LANにより通信する方式)を実現する方式として、複数のモードが考えられる。それぞれのモードでは探索側の機器が同一の機器探索リクエスト(例えば、Probe Requestフレーム)を使用して通信相手となる機器(通信相手装置または対向機という)を探索して発見する。MFP300をP2Pモードで起動する場合、5GHz帯域または2.4GHz帯域の周波数帯域を用いることが可能である。例えばP2Pモードに2.4GHzのみの帯域を設定してMFP300を起動した場合、たとえば携帯型通信端末200などの探索側の機器が5GHz帯域で探索コマンドを送信してもMFP300は応答しない。 P2Pモードのモードとして、以下の2モードが考えられる。
・モードA(ソフトAPモード)
・モードB(Wi−Fi Direct(WFD)(登録商標)モード)
それぞれのモードは、対応している機器と対応していない機器とがあり、また、アプリケーションについても、それぞれのモードで異なることがある。以下、各モードにおける無線の機器探索シーケンスについて、図7、図8を用いて説明する。尚、Wi−Fi Direct(登録商標)による通信機能を有する機器では、その操作部から、その通信機能を実現する専用のアプリケーションを呼び出す。そして、Wi−Fi Direct(登録商標)機器はそのアプリケーションによって提供されるUI(ユーザインターフェース)の画面操作に基づいて、Wi−Fi Direct(登録商標)通信を実行することができる。
●ソフトAPモードの機器探索シーケンス
図7はモードA(ソフトAPモード)の無線の機器探索シーケンスを示す図である。ソフトAPモードでは、通信を行う機器(例えば、携帯型通信端末装置200とMFP300)との間で、一方の機器(例えば、携帯型通信端末装置200)が、各種サービスを依頼する役割を果たすクライアントとなる。そしてもう一方の機器が、WLANにおけるアクセスポイントの機能をソフトウェアによる設定により実現するソフトAP(例えば、MFP300)となる。
ソフトAPモードでは、クライアントは、機器探索リクエスト701によりソフトAPとなる機器を探索する。機器探索リクエスト701を受信したソフトAPは機器探索応答702で返信する。このやり取りによって、クライアント側でソフトAPであるMFP300が発見される。尚、クライアントとソフトAPとの間で無線接続を実現する場合に送受信されるコマンドやパラメータについては、Wi−Fi規格で規定されているものを用いればよく、ここでの説明は省略する。
●WFDモードの機器探索シーケンス
図8はモードB(WFDモード)の無線の機器探索シーケンスを示す図である。WFDモードでは、機器探索リクエスト801により通信相手となる機器が探索される。機器探索リクエスト801はWFD属性を有しており、探索の対象がWFDモードの通信機器であることを特定できる。機器探索リクエスト801を受信したMFP300が機器探索応答802を返信すると、クライアント側で、P2Pの通信相手であるMFP300が検出される。P2Pのグループオーナと、P2Pのクライアントの役割を決定した上で、残りの無線接続の処理を行うことになる。この役割決定は、例えばP2PではGO Negotiationに対応する。しかし、後述する、無線インフラモードとWFDモードとが同時に並行動作する場合の周波数帯域について無線チップセットの制約がある場合は、2つのモードのチャンネルを合わせる必要がある。従って、MFP300はWFDモードの親局(Autonomous Group Owner)として固定的に起動することが望ましい。その場合は、役割を決定するためにGO Negotiationの通信は不要となる。MFP300が、WFDモードのGroup Ownerとして起動される時には、MFP300自らが親局としての周波数帯とチャンネルを決定するため、5GHz、2.4GHzいずれかの周波数帯域およびチャネルを選択して用いることが可能である。ソフトAPモードおよびWFDモードを含むP2Pモードを、本例では第2の無線インターフェース又は第2の通信モードと呼ぶこともある。
<無線インフラモードについて>
図9はモードC(無線インフラモード)の無線の機器探索シーケンスを示す図である。無線インフラモードは、通信を行う機器(例えば、携帯型通信端末装置200とMFP300)を、ネットワークを統括する外部の「アクセスポイント」(例えば、アクセスポイント400)と接続し、機器同士が外部のアクセスポイントを介して通信する形態である。言い換えると、外部のアクセスポイントが構築したネットワークを介して機器同士が通信する形態である。無線インフラモードでは、携帯型通信端末機器200は、機器探索リクエスト901によりアクセスポイント400を探索する。アクセスポイント400が機器探索応答902を返信するとアクセスポイントが発見される。携帯型通信端末機器200とMFP300がそれぞれアクセスポイントを発見し、接続することで、アクセスポイントを中継して各デバイス間の通信ができるようになる。尚、機器とアクセスポイントとの間で無線接続を実現する場合に送受信されるコマンドやパラメータについては、Wi−Fi規格で規定されているものを用いればよく、ここでの説明は省略する。無線インフラモードを、本例では第1の無線インターフェース又は第1の通信モードと呼ぶこともある。
<周波数帯域の制約とセットアップ方法>
1台の無線デバイスで複数の無線インターフェースが同時並行して動作可能であり、かつ、低コストの無線チップセットのハードウェアに、機能上或いは性能上の制約がある場合でも、ユーザの利便性を損なわずに無線を利用するための方法を詳細に説明する。なお、詳細説明の前に、本実施形態の前提となる制約について説明する。
無線チップセットが利用するCPUやアンテナが1つしか採用できない、複数の無線インターフェースを同時に動作させるとファームウェアが複雑化する、といったことに起因してこれらの無線利用上の制約が生ずることがある。すなわち、1台の装置内で複数の通信モードが同時並行して動作する場合には、無線チップセットの制約により、利用可能な周波数帯域が限定されることがある。特に、低価格で性能が比較的低い無線チップセットの場合には、利用可能な周波数帯域に制約が伴う場合がある。
第1の制約として、無線インフラモードとP2Pモードを同時並行して動作する場合は、無線インフラモードとP2Pモードでそれぞれ利用するチャンネル(及び周波数帯域)は同一に合わせなければならない場合がある。これは無線チップセットの性能として、1つのCPU、1つのアンテナで動作しているために複数のチャンネルを同時に待ち受け出来ない事に起因する。
次に、第2の制約として、P2Pモード(GroupOwner、もしくはソフトAP)では5GHzのDFS機能を利用できない場合がある。装置が無線基地局として5GHz帯域で動作する場合、常に気象レーダで指定されたレーダ波の使用帯域を監視して干渉波を検知し、かつ検知した場合は即座にチャンネルを移動せねばならない。これがDFS機能であるが、無線チップセットによってはP2PモードでのDFSがその性能を超えてしまうことがあり、第2の制約はそのような事情に起因する。これはP2Pモードが親局として動作しており、DFS機能の親局側の責務としてレーダ波が使用する帯域の監視と、検知した場合のチャンネルの回避機能を担うためである。
すなわち、無線チップセットに第1と第2の制約がある場合、各無線インターフェースの設定(たとえば単独IF/複数IF)状態によって、利用可能な周波数帯域(2.4GHz帯域、5GHz帯域)が無線インターフェース別に限定されてしまうことがある。利用可能な周波数帯域と、複数インターフェースの同時利用についてトレードオフの関係があるため、これらの制約を無線デバイス内部の制御によって回避することで、無線デバイスのユーザ利便性を損なわずに利用することができる。
本実施形態では、第1の制約と第2の制約を回避するために、無線インフラモードとP2Pモードとが同時並行して動作する場合は、装置として通信モードを跨いで(つまり、どちらの通信モードも)2.4GHz帯域のみで動作するよう制御する。また、無線インフラモードのみ単体で動作する場合は、接続先の無線アクセスポイントに合わせて5GHz帯域と2.4GHz帯域のうちいずれかの帯域で動作するよう制御する。また、P2Pモードのみ単体で動作する場合は、2.4GHz帯域のみで動作するよう制御する。無線インフラモードとP2Pモードの設定方法は、初期セットアップ[11]、LAN設定によるIFの有効・無効切り替え、無線の手動セットアップ、無線の自動セットアップ等の方法があるため、順に説明する。
<初期起動時のセットアップ>
MFP300は、本体を購入したユーザが初めて電源を投入した際に、工場出荷状態(着荷状態)から初期設定を行うため、通常とは異なる初期起動時専用の処理シーケンス(初期セットアップ)を起動するように構成されている。例えば、MFP300の工場からの出荷時は、印刷部612に、インクタンクやプリントヘッド等が装着されない状態で出荷されている。従って、ユーザが初めて操作する初期起動直後に、同梱されたインクタンクやプリントヘッド等を装着する処理をユーザに促すなど、MFP300を使用可能なように準備する必要があるためである。工場出荷状態のままであることを示す初期起動状態であるかどうかは、不揮発性メモリ605に保存されるフラグ(初期起動フラグ)を用いて制御されており、ユーザ先で使用するための準備が完了すると初期起動フラグの状態が変わり、以後、初期起動時専用の処理シーケンスは起動しないように構成されている。本実施形態では、MFP300では初期起動時に特有の処理を行っていることに着目し、初期起動時の処理に、無線インターフェースの設定を含める。MFP300の初期起動時のIF設定処理シーケンスについて図10および図11を用いて説明する。なお、初期起動時にはIF設定以外の初期セットアップのシーケンスも処理されるが、本実施例に直接関係のないシーケンスについてはここでは図示していない。図11は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
MFP300のCPU602は、電源を投入されると、ステップS1101で不揮発性メモリ605に保存されている初期起動フラグを参照し、現在、初期起動状態であるかどうかを判断する。この初期起動フラグは、MFP300の工場出荷時に特定の値にあらかじめセットされている。
ステップS1101で初期起動状態ではないと判断した場合は、ステップS1112で、CPU602は、不揮発性メモリに保存されたIFの有効/無効設定に従ってIFの有効化を行う。その後、ステップS1113で、図4(a)に示したような通常の起動時待機画面を表示してユーザの操作を待つ。ステップ1112およびステップS1113は、ユーザの通常使用時の起動処理に相当するシーケンスである。
ステップS1102以降が、本実施形態の処理シーケンスとなっている。ステップS1101で初期起動状態と判断すると、ステップS1102で、CPU602は、図10に示す、ユーザが使用するIFを選択する画面を操作表示部305に表示する。ユーザは、この画面が表示された場面で、自身が使用する予定のIFを画面に表示された項目から選択する。
ステップS1103で、CPU602は、ユーザ操作により無線LANが選択されたかどうかを判断する。無線LANが選択されていないと判定した場合、ステップS1110に進む。ステップS1110では、CPU602は、有線LANが選択されたかどうかを判断する。有線LANも選択されていない場合、ステップS1114に進む。ここで、ステップS1114に進むケースは、無線LANも有線LANも選択されず、USBが選択されたケースとなる。ステップS1114で、CPU602は、USBを有効化し、初期起動時のIF設定処理を終える。なお、ここでは図示していないが、インターフェース選択を含む着荷処理シーケンスのすべてを終えると、不揮発性メモリ605に保存されている初期起動フラグの値を、初期起動状態から非初期起動状態へと変更する。そして以後、初期起動処理シーケンスは起動しないようになる。
ステップS1110で、CPU602は、有線LANが選択されたと判定すると、ステップS1111で、有線LANを有効化する処理を行う。また、有線LANが有効に設定されたとして、不揮発性メモリ605に設定を保存し、通常起動時に、有効化するIFとして参照される。
一方、ステップS1103で、ユーザ操作により無線LANが選択されたと判断した場合、ステップS1104でCPU602は、ケーブルレスセットアップモードを起動する。ケーブルレスセットアップモードは、無線インフラの無線設定が可能な専用モードである。ケーブルレスセットアップモードのMFP300は、アクセスポイント(親機)と同等の動作をするソフトAPモードとして起動する。その為、パソコンやスマートフォン、タブレット等の外部機器は、クライアント(子機)としてMFP300と簡単に接続出来、通信することが可能である。このケーブルレスセットアップ時における周波数帯域は2.4GHzを使用している。なお、ケーブルレスセットアップモードではソフトAPモードに限らずWFDモードを使用することもできる。ただし、WFDの場合、標準規格上、無線パラメータであるSSIDにランダム生成値の文字列を含ませる必要があり、ソフトAPモードのほうが予約済みSSIDを使用するケーブルレスセットアップには好適である。 パソコンやスマートフォン、タブレット等の外部機器上で動作するLAN設定専用アプリケーションによって、LANに関する知識のあまりないユーザでも、容易にMFP300に接続できるよう構成されている。LAN設定専用アプリケーションによって、設定内容の詳細を知ることなく、アクセスポイントの特定に必要な情報や、接続のためのセキュリティ情報がソフトAPであるMFP300に送られるように構成されている。
ケーブルレスセットアップモードでは、ステップS1105で、CPU602は、主に無線インフラモードの接続に必要な設定を受け付ける。パソコンやスマートフォン、タブレット等の外部機器はMFP300と接続後、無線インフラの設定情報を同アプリケーションによってMFP300へ送信する。
MFP300が外部機器から受信する無線設定情報としては、参加したいネットワークを構築している外部アクセスポイントのSSID、当該外部アクセスポイントで使用している周波数帯域(5GHzと2.4GHzのうちいずれか。あるいは周波数帯域に関連する無線チャンネル値でも良い。)、暗号方式、認証方式、等を含む。無線設定情報を受け取ったMFP300は、その後、ソフトAPモードを停止し、無線インフラモードの無線設定処理を実行する。
設定を受信すると、ステップS1106でCPU602は、ケーブルレスセットアップモードを終了する。そして、ステップS1107では、CPU602は、ステップS1105で受信したLAN設定値に従って、無線インフラモードによる通信を起動し、外部のアクセスポイント400への接続処理を行う。そして、無線インフラモードが有効に設定されたとして、不揮発性メモリ605に設定を保存する。
ステップS1108では、CPU602は、無線チップセットの周波数帯域に関する第2の制約に伴い、複数の無線インターフェースの有効・無効判定を行う。この時、外部機器から送信された無線インフラの周波数帯域(5GHzと2.4GHzのうちいずれか。あるいは周波数帯域に関連する無線チャンネル値を送信する。)に合わせて、MFP300で設定する無線インフラモードの周波数帯域を決定する。つまり、ステップS1105で指示されたLAN設定値に含まれる、外部機器から送信された周波数帯域の情報を元に、MFP300で無線インフラモードとP2Pモードについてそれぞれ有効・無効を判定する。外部機器から無線チャンネル値が送信された場合は、MFP300で、周波数帯域(2.4GHz、5GHz)に変換して、無線インフラモードとP2Pモードについてそれぞれ有効・無効を判定する。ステップS1105で無線インフラの周波数帯域として5GHz帯域を示す情報が送信され、S1107で5GHz周波数帯域の無線アクセスポイントを接続先として無線インフラモードが起動された場合は(S1108でYes)、P2Pモードを無効にしたまま、ステップS1114に進み、USBの有効化を行う。なお、工場出荷時の設定の初期値(デフォルト)として、無線インフラモードもP2Pモードも共に無効な状態に設定されている。一方、ステップS1105でインフラの周波数帯域として2.4GHz周波数帯域を示す情報が送信され、S1107で2.4GHz周波数帯域の無線インフラモードが起動された場合は(S1108でNo)、P2Pモードを2.4GHz周波数帯域で起動し、P2Pモードを有効化する処理を行う(S1109)。P2Pを親局として起動することにより、ビーコンを発信し、ホスト側の端末装置から検出が可能となる。そして、P2Pモードが有効に設定されたとして、不揮発性メモリ605に設定を保存する。なお、無線インフラモードとP2Pモードとの同時動作が可能なプリンタでは、初期起動時のセットアップフロー内において、ユーザが無線インフラモード単体を選択した場合は、プリンタの自主判断によりP2Pモードも有効化し、自動的に両モードが同時動作状態にセットアップされるとよい。つまり、P2Pモードを有効化し設定を保存する処理は、前段のステップS1105において、P2Pモードを有効化する設定を受信しているかどうかに関わらず行なわれる。ただし、無線インフラモードで5GHz帯の外部アクセスポイントが選択された場合に限り、無線チップセットの制約により、P2Pモードを無効のままとする。
その後、有線LANが選択されたケースも、無線LANが選択されたケースも、どちらの場合もステップS1114でUSB IFを有効化し、初期起動時のIF設定処理を終える。
以上のように、初期起動時に本体操作部の操作でWLANが選択された場合において、無線インフラモードによる通信として2.4GHz帯が設定されたなら、無線インフラモードによる通信と、P2Pモード(Wi−Fi Direct(登録商標)又はソフトAP)による通信と、の同時通信が有効となる処理フローとなっている。一方、無線インフラモードによる通信として5GHz帯が設定されたなら、P2Pモード(Wi−Fi Direct(登録商標)又はソフトAP)による通信は無効となり、無線インフラモードのみが有効化される。つまり、5GHz帯が設定されたら、無線インフラモードによる通信と、P2Pモードによる通信と、は同時(並行して)動作できないよう設定される。これによって、複数の通信モードについて同一帯域の同一チャネルを用いなければならない可能性がある第1の制約と、P2PモードではDFSが機能せず、5GHz帯が使用できない可能性があるという第2の制約とに即した設定が、MFPの使用開始する初期セットアップ時に可能となる。
<LAN設定によるIFの有効・無効切り替え>
次に、IFの有効・無効切り替え時における、無線インフラモードとP2Pモードの設定方法について説明する。MFP本体の操作表示部305では、図4(c)に示す本体操作画面あるいはケーブルレスセットアップ経由で、使用するIFの有効/無効を設定可能なように構成されている。本実施形態では、有線LANと無線LANの使用は排他的であり、有線LANを有効にした状態で、同時に無線LANを有効にする事は出来ない。また、逆に無線LANが有効な状態で、同時に有線LANを有効にする事も出来ない。有線LANと無線LANとを同時に無効に設定する事は可能である。USB IFはユーザによる設定で無効には出来ないが、起動時に常に有効化され、有線LANあるいは無線LANと同時に使用可能な構成となっている。無線LANには、P2Pモードと、無線インフラモードの設定があり、個別に独立して有効/無効が設定出来るようになっている。P2Pモードと無線インフラモードを同時に有効に設定する事が可能である。その際にMFP300は、P2Pによる通信と無線インフラによる通信を同時に行う事が出来るようになる。設定した有効/無効の状態は不揮発性メモリ605に保存され、次回の起動時にも参照されて、保存された情報に基づき各IFが有効化される。本体のLAN設定項目を初期化した際には、P2Pモードおよび無線インフラモードは無効となる。また、有線LANも無効となり、有線も無線もLANは使用しない状態となる。LAN設定を初期化したユーザは、所望のIFを個別に有効に設定変更して使用する事になる。
図12を用いて、IFの切り替えについて説明する。図12はLAN設定値として、通信モードと周波数帯域との設定可能な組み合わせを示す。図12によれば、通信モード設定には3通りの組み合わせがあるが、使用する周波数帯域の設定と組み合わせて通信モード設定1から通信モード設定4まで、4通りの設定があり得る。
通信モード設定1は、無線インフラモードが有効、P2Pモードが無効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、無線インフラモードで外部の無線アクセスポイントとのセットアップを行い、2.4GHz帯域で外部の無線アクセスポイントと接続完了した時の無線設定を保存する。
通信モード設定2は、通信モード設定1と同様に無線インフラモードが有効、P2Pモードが無効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、無線インフラモードで外部の無線アクセスポイントとのセットアップを行い、5GHz帯域で無線アクセスポイントと接続完了した時の無線設定を保存する。また、初期起動時に図11のステップS1105で無線インフラモードを指定して、ステップS1108で5GHz帯域の外部の無線アクセスポイントと接続した場合は通信モード設定2で保存される。
通信モード設定3は、無線インフラモードが無効、P2Pモードが有効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、図4(c)の操作表示部で、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると通信モード設定3で保存される。
通信モード設定4は、無線インフラモードが無効、P2Pモードが有効に設定されたパターンである。
例えば、通信モード設定1から、図4(c)の操作表示部でP2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると通信モード設定4で保存される。また、初期起動時に図11のステップS1105で無線インフラモードをLAN設定値として指定して、ステップS1108で2.4GHz帯域で接続した場合は、ステップ1109でP2Pモードを2.4GHzで起動し、通信モード設定4で保存される。
以上のように、本実施形態で許容される無線通信の設定では、5GHz帯は無線インフラモードのみについて使用され、P2Pモードでは使用されない。なおかつ、無線インフラモードとP2Pモードとで使用する周波数帯域は同一である。なおMFP300の初期起動時に、図11の手順で設定される通信モードは、S1105で5GHz帯が指定された場合には通信モード設定2と同じ設定となり、2.4GHz帯が指定された場合には通信モード設定4と同じの設定となる。
●P2Pモードの有効化
無線チップセットの制約が、IF切り替えの障壁になるパターンとして、通信モード設定2から別の通信モード設定への切り替えがある。通信モード設定2の状態は無線インフラモードが5GHzになっており、図4(c)の操作表示部で、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると、無線チップセットの第一と第2の制約が障壁となる。すなわち第1の制約により、二つのモードを同時並行で動作させるためには、無線インフラモードのチャンネル・周波数帯域に合わせてP2Pモードも5GHzで起動しなければならない。しかしながら、第2の制約により、P2Pモードは5GHzのDFS機能が使えずそのため2.4GHzでしか起動できない。このため、ユーザが明示的に設定したP2Pモードへの設定変更を優先して、P2Pモードが使える通信モード設定3に切り替えるフローチャートが図13である。図13は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
図13のステップS1301で、CPU602は、図4(c)の操作表示部におけるユーザ操作を受けて、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替える指示を実行する。ステップS1302で、CPU602は、無線インフラ設定の有効・無効判定を行う。無線インフラが無効の場合は、ステップS1306に進み、ステップS1306でCPU602は、P2Pモードを2.4GHz帯域のチャンネルを指定して起動する。無線インフラが有効の場合は、ステップS1303に進み、CPU602は、LAN設定として既に保存されている無線インフラモードについて設定した周波数帯が5GHzか否かの判定を行う。無線インフラモードの帯域設定が5GHzの場合は、ユーザが明示的に設定したP2Pモードへの設定変更を優先して、CPU602は、P2Pモードが使える通信モード設定3に切り替える。そのため、CPU602は、ステップS1304で無線インフラモードが無効になることを、たとえば警告メッセージを表示等により出力して警告(通知)した上で、ステップS1305で無線インフラモードを無効にすることが好ましい。そしてS1306でCPU602は、所望のP2Pモードを2.4GHzで起動する。ステップS1303で無線インフラ設定が2.4GHzの場合はステップS1307に進み、無線インフラモードと同じチャンネル及び2.4GHzの周波数帯をP2Pモードに設定して、ステップ1306に進みP2Pモードを起動する。
上記手順により、P2Pモードを有効化する際に、第1の制約および第2の制約とも満たしたうえで、P2Pモードの通信を開始することができる。
●インフラストラクチャモードの有効化
無線チップセットの制約が、IF切り替えの障壁になるパターンとして、通信モード設定3から別の5GHzを使用する通信モード設定に変更するケースがある。通信モード設定3の状態はP2Pモードが2.4GHzになっており、図4(c)の操作表示部で、過去に5GHz帯でセットアップした無線インフラモードを無効設定から有効設定に切り替えると、無線チップセットの第1と第2の制約が障壁となる。すなわち第1の制約により、無線インフラモードとP2Pモードとを同時並行で動作させるためには、無線インフラモードのチャンネル・周波数帯域に合わせてP2Pも5GHzで起動しなければならない。しかしながら、第2の制約により、P2Pモードは5GHzのDFS機能が使えず2.4GHzでしか起動できない。このため、ユーザが明示的に設定した無線インフラモードへの設定変更を優先して、通信モード設定2に切り替えるフローチャートが図14である。図14は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
図14のステップS1401で、CPU602は、図4(c)の操作表示部におけるユーザ操作を受けて、無線インフラモードを無効設定から有効設定に切り替える指示を実行する。ステップS1402でCPU602は、P2Pモード設定の有効・無効判定を行う。P2Pモードが無効の場合は、ステップS1406に進み、ステップS1406でCPU602は、保存されている周波数帯とチャンネルを指定して無線インフラモードを起動する。図12の通信モード設定3のようにP2Pモードが有効の場合は、ステップS1403に進み、LAN設定として既に保存されている無線インフラモードについての設定されている周波数帯が5GHzか否かの判定を行う。無線インフラモードの帯域の設定が5GHzの場合は、ユーザが明示的に設定した無線インフラモードへの設定変更を優先する。そこで通信モード設定2に切り替えるため、ステップS1404でCPU602は、P2Pモードが無効になることを、たとえば警告メッセージを表示等により出力して警告した上で、ステップS1405でP2Pモード設定を無効にすることが好ましい。そしてステップS1406でCPU602は、所望の無線インフラモードを5GHzで起動する。ステップS1403でCPU602は、無線インフラ設定が2.4GHzの場合はステップS1407に進み、CPU602は、無線インフラモードと同じ2.4GHzの周波数帯かつ同じチャンネルをP2Pモードに設定してステップ1406でCPU602は、P2Pモードを起動する。
上記手順により、無線インフラモードを有効化する際にも、第1の制約および第2の制約とも満たしたうえで、無線インフラモードの通信を開始することができる。
<無線の手動セットアップ>
次に、無線の手動セットアップ時における、無線インフラモードとP2Pモードの設定方法について説明する。図15はMFP300で実施する無線インフラの手動セットアップを示すフローチャート図である。手動セットアップでは、ユーザ指示により検索(あるいは探索)した周囲の無線アクセスポイント一覧がMFPの操作表示部305に表示され、ユーザが無線アクセスポイントを検索結果から手動で選択する。図15は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
ステップ1501で、CPU602は、MFP300の操作表示部305へのユーザ操作を受けて、無線インフラの手動セットアップの指示が実行する。MFP300が無線LAN無効状態である場合は、まだ無線IFが起動されていないため、ステップS1502でCPU602は、無線IFを起動する。たとえば図11の手順で、有線LANまたはUSBが選択された場合に無線LAN無効状態となる。
ステップ1503では、CPU602は、WLANユニット616を用いて周囲の無線アクセスポイントを検索する。図9ではMFP300から機器探索リクエスト903を送信して、周囲に存在する外部の無線アクセスポイントからは機器探索応答904が応答される。機器探索リクエストは、同コマンド内でESSID、BSSIDを指定せずにブロードキャストすることで周囲にある無線アクセスポイントが検出される。また、5GHz、2.4GHzの双方の帯域について、全ての利用可能なチャネルに対して順次ブロードキャスト検索する。この際、2.4GHz、5GHzの順番で小さいチャンネルから検索しても、その逆に、5GHz、2.4GHzの順番で大きいチャンネルから検索してもよい。無線アクセスポイント400から返信される機器探索応答904には、ESSID、BSSID、チャネル等の情報が含まれており、これを元にMFPの操作表示部305に無線アクセスポイントの検索結果を一覧表示する。
検索結果の一覧表示から、ユーザがステップS1504でユーザは所望の無線アクセスポイントを選択することができ、CPU602はその選択結果を受けつける。検索結果の一覧表示として、無線アクセスポイントのESSIDを識別子として表示するのが分かりやすいが、その他、暗号情報(WPA2、WPA、WEP等)、BSSID、チャンネル、周波数帯、電波強度などの情報を併記しても良い。
ステップS1505では、CPU602は、選択された無線アクセスポイントに、MFP300から無線インフラモードで接続する。CPU602は、既にP2P設定が有効になっているか否かをステップS1506で判定する。すでにP2P設定が有効になっている場合は、CPU602は、5GHz帯域で無線アクセスポイントに接続したかどうかをステップS1506で判定する。2.4GHz帯域で接続した場合は、実施形態1では無線インフラモードで取得したチャンネルに合わせて、ステップ1508でCPU602は、P2Pモードを有効化する。5GHz帯域で接続した場合は、実施形態1ではステップS1509でP2Pモードが無効になることを、たとえば警告メッセージを表示等により出力して警告表示した上で、ステップS1510でP2Pモードを無効化する。
このように実施形態1では、無線チップセットの第1と第2の制約があるため、2.4GHzを優先して接続することで無線インフラモードとP2Pモードの同時利用を阻害せずにユーザ利用できる利点がある。また、5GHz帯域で無線アクセスポイントと接続した場合は、ユーザに警告表示した上で、P2Pモードを無効にすることで制約を回避したLAN設定になるよう誘導する。またアクセスポイントの探索機能を用いてアクセスポイントを探索した場合にも、制約を回避して利用周波数帯域を設定することができる。
<無線の自動セットアップ(2.4GHz帯域優先)>
次に、無線の自動セットアップ時において2.4GHz帯を優先時における、無線インフラモードとP2Pモードの設定方法について説明する。自動セットアップは、接続先の無線アクセスポイントをプッシュボタンやPINコード方式で自動で選択できるため自動セットアップと呼んでいる。具体的にはWPS(Wi−Fi Protected Setup)(商標)、AOSS(商標)、らくらく無線スタート(登録商標)、等の方法がある。無線の自動セットアップ時には、無線アクセスポイントから取得した無線パラメータの周波数情報の内から、2.4GHz帯域と5GHz帯域とのうちいずれかを優先した順番で接続を試みる必要がある。実施形態1では、無線チップセットの第2の制約があるため、2.4GHzを優先して接続する方が無線インフラモードとP2Pモードの同時利用の条件を満たせる可能性が高められる。従って、まず2.4GHzを優先して接続を試みる方法について説明する。
図16、図17はMFP300で実施する無線インフラモードの自動セットアップを示すフローチャート図である。図16のステップS1601で、MFP300は、ユーザのキー操作などにより無線インフラモードの自動セットアップモードに移行する。図16及び図17は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
ステップS1602で、MFP300は、無線インフラモードの自動セットアップ中の外部のアクセスポイント400と接続されたか否かを判定する。
接続された場合は(ステップS1602でYES)、ステップS1603でアクセスポイント400からn個の無線接続プロファイルを受信したか否かを判定する(nは正の整数)。1つの無線接続プロファイルは、「SSID」「周波数」「認証方式」「暗号方式」「パスフレーズ」から構成されている情報である。
一方、接続されていない場合は(ステップS1602でNO)、ステップS1605で所定のタイムアウトが発生しているか否かを判定する。タイムアウトが発生した場合は(ステップS1605でYES)、MFP300は操作表示部305にエラー画面を表示し、無線インフラモードの自動セットアップを終了する。一方、タイムアウトが発生していない場合は(ステップS1605でNO)、ステップS1602へ戻り、無線インフラモードの自動セットアップ中のアクセスポイント400と接続されるのを待つ。
アクセスポイント400からn個(すなわち少なくとも一つ)の無線接続プロファイルを受信した場合は(ステップS1603でYES)、ステップS1604で無線接続プロファイルカウンタ変数mを「1」に初期化する。
一方、アクセスポイント400からn個の無線接続プロファイルを受信していない場合は(ステップS1603でNO)、ステップS1606で所定のタイムアウトが発生しているか否かを判定する。タイムアウトが発生した場合は(ステップS1606でYES)、MFP300は操作表示部305にエラー画面を表示し、無線インフラモードの自動セットアップを終了する。一方、タイムアウトが発生していない場合は(ステップS1606でNO)、ステップS1603へ戻り、引き続きアクセスポイント400からn個の無線接続プロファイルが送信されてくるのを待つ。
ステップS1607で、m番目の無線接続プロファイルの周波数が2.4GHz帯域か否かを判定する。2.4GHz帯域の場合(ステップS1607でYES)、ステップS1608でMFP300のRAM604の2.4GHzの接続情報を格納する領域に、m番目の無線接続プロファイルを保存する。
一方、2.4GHz帯域ではない場合(ステップS1607でNO)、ステップS1611でm番目の無線接続プロファイルの周波数が5GHz帯域か否かを判定する。5GHzの場合は(ステップS1611でYES)、ステップS1612でMFP300のRAM604の5GHz帯域の接続情報を格納する領域に、m番目の無線接続プロファイルを保存する。一方、5GHz帯域ではない場合は(ステップS1611でNO)、後述する(ケース2)にて詳細を説明する。
ステップS1609で、無線接続プロファイルカウンタ変数mを1つインクリメントする。ステップS1610で、n(無線接続プロファイル数)とm(無線接続プロファイルカウンタ変数)の大小関係を判定する。n(無線接続プロファイル数)がm(無線接続プロファイルカウンタ変数)より小さい場合は(ステップS1610でYES)、図17のステップS1717に進む。そこでMFP300のRAM604の2.4GHz帯域の接続情報を格納する領域に、無線接続プロファイルがあるか否か判定する。
一方、n(無線接続プロファイル数)がm(無線接続プロファイルカウンタ変数)より大きい場合、あるいはn(無線接続プロファイル数)とm(無線接続プロファイルカウンタ変数)が同じ場合は(ステップS1610でNO)、ステップS1607に戻る。そこでm番目の無線接続プロファイルの周波数が2.4GHz帯域か否かを判定する。以降、ステップS1610がYESとなるまで処理を繰り返す。
尚、ステップS1608でMFP300のRAM604の2.4GHz帯域の接続情報を格納する領域にm番目の無線接続プロファイルを保存する際、例えば、認証方式、暗号方式の強度順に保存しても良い。また、ステップS1612でMFP300のRAM604の5GHz帯域の接続情報を格納する領域にm番目の無線接続プロファイルを保存する際も、例えば、認証方式、暗号方式の強度順に保存しても良い。
図17のステップS1717で、MFP300のRAM604の2.4GHz帯域の接続情報を格納する領域に無線接続プロファイルが保存されているか否か判定する。保存されている場合は(ステップS1717でYES)、ステップS1718で2.4GHz帯域の接続情報を指定して無線インフラモードの接続処理を実施する。この接続処理でMFP300は、テーブルの上位の無線接続プロファイルから順に接続処理を実施する。
ステップS1719で、2.4GHz帯域で接続が成功したか否かを判定する。成功した場合は(ステップS1719でYES)、ステップS1720でMFP300の不揮発性メモリ605からP2Pモード設定を読み込み、設定が有効か無効か判定する。P2Pモード設定が有効な場合は(ステップS1720でYES)、MFP300はステップS1721でP2Pモードを起動する。一方、P2Pモード設定が無効の場合は(ステップS1720でNO)、そのまま終了する。
一方、ステップS1717でMFP300のRAM604の2.4GHz帯域の接続情報を格納する領域に無線接続プロファイルが保存されていない場合(ステップS1717でNO)、ステップS1722に分岐する。
ステップS1722で、MFP300のRAM604の5GHz帯域の接続情報を格納する領域に無線接続プロファイルが保存されているか否かを判定する。保存されている場合は(ステップS1722でYES)、ステップS1723で5GHz帯域の接続情報を指定して無線インフラモードの接続処理を実施する。この接続処理でMFP300は、テーブルの上位の無線接続プロファイルから順に接続処理を実施する。
一方、保存されていない場合は、(ステップS1722でNO)、ステップS1720でMFP300の不揮発性メモリ605からP2Pモード設定を読み込み、設定が有効か無効か判定する。P2Pモード設定が有効な場合は(ステップS1720でYES)、MFP300はステップS1715でP2Pモードを起動する。一方、P2Pモード設定が無効の場合は(ステップS1720でNO)、そのまま終了する。
ステップS1724で、5GHz帯域での接続が成功したか否かを判定する。成功した場合は(ステップS1724でYES)、ステップS1725でMFP300の不揮発性メモリ605からP2Pモード設定を読み込み、設定が有効か無効か判定する。P2Pモード設定が有効な場合は(ステップS1725でYES)、MFP300は、ステップS1726でユーザに操作画面にP2Pモードが無効になることを、たとえば警告メッセージを表示等により出力して警告を表示した上で、ステップS1727でP2Pモード設定を無効にする。ユーザに操作画面上で警告する内容としては、ユーザ操作とは直接関係のないP2Pモード設定が自動で無効化される点を通知すべきである。P2Pモード設定が無効の場合は(ステップS1725でNO)、そのまま終了する。
一方、接続が失敗した場合は(ステップS1724でNO)、MFP300は操作表示部305にエラー画面を表示し、無線インフラモードの自動セットアップを終了する。
以上の方法により、WPS(Wi−Fi Protected Setup)、AOSS、らくらく無線スタート(登録商標)で共通の処理フローを用いて、2.4GHz帯域又は5GHz帯域の無線セットアップを実現する。無線セットアップ完了時の周波数帯を保存領域に記憶しておき、2.4GHzと5GHzとのうちいずれかの帯域に固定している。2.4GHz帯と5GHz帯の両方についてアクセスポイントを発見した場合には、2.4GHzを優先的に接続することで、P2Pとの同時利用の機会を増大させることができる。無線が切断された際の再接続後に、意図せず無線チップセットの第1の制約、あるいは第2の制約に陥り無線インフラモードあるいはP2Pモードが使えなくなってしまうことを防止している。
<無線の自動セットアップ(5GHz帯域優先)>
次に、無線の自動セットアップ時において5GHz帯を優先時における、無線インフラモードとP2Pモードの設定方法について説明する。無線の自動セットアップ時には、無線アクセスポイントから取得した無線パラメータの周波数情報の内から、2.4GHz/5GHzのいずれかの帯域を優先した順番で接続を試みる必要がある。上述の2.4GHz帯優先の例では、無線チップセットの第2の制約があるため、2.4GHzを優先して接続する方が無線インフラモードとP2Pモードの同時利用の条件を満たせる可能性が高められることから、2.4GHz優先で接続した。しかしながら、複数の無線インターフェースの同時利用よりも、5GHzの周波数帯利用を優先したいユーザも存在する。ここでは5GHzを優先して接続を試みる方法について説明する。
5GHz優先で無線アクセスポイントに接続する場合も、<無線の自動セットアップ(2.4GHz優先)>で説明した図16のステップS1601〜S1616と同様に無線接続プロファイルの受信と保存処理を行う。ただし、5GHz優先にするため、ステップS1607、S1608、S1613の処理を2.4GHz帯域ではなく5GHz帯域の処理に置き換える。また、ステップS1611、S1612、S1615の処理を5GHz帯域ではなく2.4GHz帯域に置き換えることで5GHz優先とする。
5GHz優先で無線アクセスポイントに接続する場合も、<無線の自動セットアップ(2.4GHz優先)>で説明した図17のステップS1717〜S1727と同様に保存された無線接続プロファイルに従った無線インフラモードの接続処理を行う。ただし、5GHz優先にするため、ステップS1717、S1718は2.4GHz帯域ではなく5GHz帯域の処理に置き換える。また、ステップS1722、S1723の処理を5GHz帯域ではなく2.4GHz帯域に置き換えることで5GHz優先とする。
また、ステップS1726の警告表示は5GHz専用の警告のため不要となり、代わりに5GHz帯域の処理において、ステップS1721の直前のタイミングで警告表示をするのが望ましい。さらに、ステップS1721ではP2Pモードを無効化し、ステップS1727ではP2Pモードを、無線インフラモードと同じ帯域およびチャネルで起動する。すなわち、ステップS1719〜S1721は2.4GHz帯域に接続成功後の処理としてセットで実施する。ステップS1725〜S1727は5GHz帯域に接続成功後の処理としてセットで実施する。
以上の処理フローにより、無線チップセットに制約がある時に、複数の無線インターフェース(通信モード)の同時利用よりも、5GHzの周波数帯利用を優先したい場合の自動セットアップの実施が可能となる。なお、いずれかの通信モードを無効化する場合には、単に無効化対象の通信モードによる通信を停止するだけである。またその場合には、無効化された通信モードに関する設定はそのまま保存される。これは他の実施形態においても同様である。
以上説明した構成及び手順により、実施形態1によれば、無線インフラモードとP2Pモードとの二つの通信モードをサポートするデバイスにおいて、ハードウェア上の制限に起因する帯域の制約を満たすように、各通信モードの帯域を適切に設定することができる。それとともに、ユーザが設定を指定している場合には、その指定をできるだけ尊重した設定を実施できる。
<<実施形態2>>
1台の無線デバイスで複数の無線インターフェースが同時並行して動作可能であり、かつ、低コストの無線チップセットのハードウェアとして制約がある場合でも、ユーザの利便性を損なわずに無線を利用するための方法を実施形態2で説明する。実施形態1で説明したとおり、無線チップセットが利用するCPUやアンテナが1つしか採用できない、複数の無線インターフェースを同時に動作させるとファームウェアが複雑化する、といったことに起因してこれらの無線利用上の制約が生ずることがある。
低コストの無線チップセットの第1の制約として、無線インフラモードとP2Pモードを同時並行して動作する場合は、無線インフラモードとP2Pモードでそれぞれ利用するチャンネル(及び周波数帯域)は同一に合わせる必要がある。
低コストの無線チップセットの第2の制約として、P2Pモード(GroupOwner、もしくはソフトAP)では5GHzのDFS機能を利用できない。すなわち、無線チップセットに第1と第2の制約がある場合、各無線インターフェースの設定(単独IF/複数IF)状態によって、利用可能な周波数帯域(2.4GHz、5GHz)が無線インターフェース別に限定されてしまうことがある。利用可能な周波数帯域と、複数インターフェースの同時利用についてトレードオフの関係があるため、これらの制約を無線デバイス内部の制御によって回避することで、無線デバイスの利便性を向上することができる。
実施形態1においては、図12に示したように、5GHz帯の利用は、P2Pモードが無効である場合に、無線インフラモードについて利用を許していた。無線インフラモードとP2Pモードという2つの通信モードを同時に利用する場合には、両方とも2.4GHz帯に設定することで、その利用を許していた。これにより、上述した二つの制約に従い、両通信モードで同じ周波数帯域を利用するとともに、DFSを機能させることなく5GHz帯を利用してしまう事態を防止している。ここで5GHz帯には、DFSで規定されている帯域(例えばW53,W56)と、DFSが必要ではない帯域とがある。したがって、DFSが必要な帯域を回避すれば、P2Pモードで5GHz帯を利用することができる。
そこで本実施形態では、第1の制約と第2の制約を回避するために、無線インフラモードとP2Pモードが同時並行して動作する場合は、装置として、2.4GHz帯またはDFSで規定されている周波数帯以外の5GHz帯(例えばW52など、W53、W56以外の帯域)で動作するよう制御する。また、無線インフラモードのみ単体で動作する場合は、接続先の無線アクセスポイントに合わせて5GHz/2.4GHz帯のいずれかで動作するよう制御する。無線インフラモードでは、DFSの機能に関する制約はないので、この場合5GHz帯のどの帯域を選択してもよい。P2Pモードのみ単体で動作する場合は、2.4GHz帯、またはDFSで規定されている周波数帯以外の5GHz帯で動作するよう制御する。無線インフラモードとP2Pモードの設定方法の具体例として、LAN設定によるIFの有効・無効切り替え、無線の手動セットアップ、無線の自動セットアップの方法について順に説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態と共通する図及びその説明は省略し、異なる点について重点的に説明する。特に、本実施形態のシステムの構成や各装置の構成、無線インフラモード及びP2Pモードの基本的な説明等については第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
<LAN設定によるIFの有効・無効>
本体操作部では、図4の(c)に示す本体操作画面あるいはケーブルレスセットアップ経由で、使用するIFの有効/無効を設定可能なように構成されている。本実施形態では、有線LANと無線LANの使用は排他であり、有線LANを有効にした状態で、同時に無線インフラを有効にする事は出来ない。また、逆に無線LANが有効な状態で、同時に有線LANを有効にする事も出来ない。有線LANと無線LANを同時に無効に設定する事は可能である。USB IFはユーザによる設定で無効には出来ないが、起動時に常に有効化され、有線LANあるいは無線LANと同時に使用可能な構成となっている。
無線LANには、P2Pモードと、無線インフラモードの設定があり、個別に独立して有効/無効が設定出来るようになっている。P2Pモードと無線インフラモードを同時に有効に設定する事が可能である。その際にMFP300は、P2Pによる通信と無線インフラによる通信を同時に行う事が出来るようになる。設定した有効/無効の状態は不揮発性メモリ605に保存され、次回の起動時にも参照されて、保存された情報に基づき各IFが有効化される。
本体のLAN設定項目を初期化した際には、P2Pモードおよび無線インフラモードは無効となる。また、有線LANも無効となり、有線も無線もLANは使用しない状態となる。LAN設定を初期化したユーザは、所望のIFを個別に有効に設定変更して使用する事になる。
●実施形態2による通信モード設定
図18を用いて、IFの切り替えについて説明する。図18はLAN設定値として、通信モードと周波数帯域の設定可能な組み合わせである。通信モード設定1、通信モード設定2は、無線インフラモードが有効、P2Pモードが無効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、無線インフラモードで無線アクセスポイントとのセットアップを行い、2.4GHz帯域で無線アクセスポイントと接続完了した時の無線設定を保存した場合は通信モード1になる。通信モード設定1と通信モード設定2は、無線インフラモードとP2PモードのLAN設定(有効・無効)としては同じ設定であるが、無線接続に成功した結果、保存されている周波数帯域が異なっているため、表では明示的に区別して表記している。
通信モード設定3、通信モード設定4は、無線インフラモードが無効、P2Pモードが有効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、図4(c)の操作表示部で、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると通信モード設定3で保存される。P2Pモードが5GHz帯、2.4GHz帯のいずれで動作するかはユーザ設定で変更できるようにしても良い。ただし通信モード設定4で選択できるP2Pモードの周波数帯域は、DFSの利用が規定されていない帯域に限られる。
無線チップセットの制約がIF切り替えの障壁になるパターンとして、通信モード設定2から別の通信モード設定への切り替えがある。通信モード設定2の状態は無線インフラモードが5GHzになっており、図4(c)の操作表示部で、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると、無線チップセットの第一と第2の制約が障壁となる。すなわち第1の制約により、同時並行で動作させるためには、無線インフラモードのチャンネル・周波数帯域に合わせてP2Pモードも5GHzで起動しなければならない。しかしながら、第2の制約により、P2Pモードは5GHzのDFS機能が使えず2.4GHzでしか起動できない。このため、ユーザが明示的に設定したP2Pモードへの設定変更を優先して、P2Pモードが使える通信モード設定に切り替えるフローチャートが図19である。図19は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
図19のステップS1901で、図4(c)の操作表示部を介したユーザからの入力操作を受け、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替える指示が実行される。ステップS1902で無線インフラモード設定の有効・無効判定を行う。無線インフラモードが無効の場合は、ステップS1906に進み、ステップS1906でP2Pモードを2.4GHz/5GHz帯域の出荷設定もしくはユーザ設定されたチャンネルで起動する。P2Pモードで5GHz帯が設定されている場合には、DFSの利用が規定されていないチャネルが選択されているので、設定されたチャネルを用いてP2Pモードを起動すればよい。ただし、P2Pモードの有効化とともにチャネルがユーザ等により改めて指定されている場合には、ステップS1906では、DFSの利用が規定されていない帯域のチャネルを設定し直してP2Pを起動する。たとえばDFSの利用が規定されている帯域(DFSバンド)のチャネルをP2Pモードのためには選択できないよう、選択画面に制限を設けておいてもよい。あるいは、DFSバンドがユーザにより設定された場合には、例えば予め登録しておいた、DFSの利用が規定されていない帯域のチャネルを設定するよう、設定を変更してもよい。
無線インフラモードが有効の場合は、ステップS1903に進み、LAN設定として既に保存されている無線インフラモード設定の周波数帯が5GHzのDFS機能で利用される周波数帯域(以降、DFS利用バンドと呼ぶ)か否かの判定を行う。無線インフラモード設定が5GHzのDFS利用バンドに該当する場合は、ユーザが明示的に設定したP2Pモードへの設定変更を優先して、P2Pモードが使える通信モード設定3または通信モード設定4に切り替える。そのためにステップS1904で無線インフラが無効になることを警告した上で、ステップS1905で無線インフラモード設定を無効にする。そしてステップS1906で所望のP2Pモードを起動する。ただし5GHz帯が設定されている場合には上述した通り、DFS利用バンド以外のバンドが設定される。
ステップS1903で無線インフラ設定が2.4GHz、あるいは5GHzのDFS利用バンド以外の帯域の場合はステップS1907に進み、無線インフラと同じチャンネル及び周波数帯をP2Pモードに設定してステップ1906でP2Pモードを起動する。
また、無線チップセットの制約がIF切り替えの障壁になるパターンとして、通信モード設定4(5GHz帯のP2Pモード)から、無線インフラモードを有効化して2.4GHzを使用する通信モード設定に変更するケースがある。すなわち無線インフラモードとP2Pモードとが異なる周波数を用いるよう設定変更されるケースである。
通信モード設定4の状態はP2PモードがDFS利用バンドを除く5GHz帯域になっている。そのため、図4(c)の操作表示部で、過去に5GHz帯で接続するようセットアップした無線インフラモードを無効設定から有効設定に切り替えると、無線チップセットの第一と第2の制約が障壁となる。すなわち第1の制約により、同時並行で動作させるためには、無線インフラモードのチャンネル・周波数帯域に合わせてP2Pも5GHzで起動しなければならない。しかしながら、第2の制約により、P2Pモードは5GHzのDFS機能のDFS利用バンドが使えない。このため、ユーザが明示的に設定した無線インフラモードへの設定変更を優先して、通信モード設定1あるいは通信モード設定2に切り替えるフローチャートが図20である。図20は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
図20のステップS2001で、図4(c)の操作表示部を介したユーザからの入力操作を受け、無線インフラモードを無効設定から有効設定に切り替える指示が実行される。ステップS2002でP2Pモード設定の有効・無効判定を行う。P2Pモードが無効の場合は、ステップS2006に進み、過去に保存されている周波数帯とチャンネルを指定して無線インフラモードを起動する。一方、通信モード設定4のようにP2Pモードが有効の場合は、ステップS2003に進み、過去に保存されている無線インフラ設定の周波数帯が5GHzのDFS利用バンドか否かの判定を行う。DFS利用バンドが設定されていた場合は、ユーザが明示的に設定した無線インフラモードへの設定変更を優先する。そして通信モード設定1または通信モード設定2に切り替えるため、ステップS2004でP2Pモードが無効になることを警告した上で、ステップS2005でP2Pモード設定を無効にする。そしてステップS2006で所望の無線インフラモードを5GHz/2.4GHzで起動する。ステップS2003で無線インフラ設定が2.4GHzあるいはDFS利用バンド以外の場合はステップS2007に進み、無線インフラと同じチャンネル及び周波数帯をP2Pモードに設定してステップ2006でP2Pモードを起動する。
<無線の手動セットアップ>
図21はMFP300で実施する無線インフラの手動セットアップを示すフローチャート図である。図21は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。手動セットアップでは、ユーザ指示により検索した周囲の無線アクセスポイント一覧がMFPの操作表示部305に表示され、ユーザが無線アクセスポイントを検索結果から手動で選択するため、手動セットアップと呼んでいる。ステップS2101〜S2106のフローチャートは、実施形態1の<無線の手動セットアップ>のステップS1501〜S1506と同じ処理である。
ステップS2106ですでにP2P設定が有効になっている場合は、5GHzのDFS利用バンドで無線アクセスポイントに接続したかどうかをステップS2107で判定する。5HzのDFS利用バンド以外、または2.4GHz帯域で接続した場合は、無線インフラで取得したチャンネルに合わせて、ステップ2108でP2Pモードを有効化する。5GHz帯域のDFS利用バンドで接続した場合は、ステップS2109で警告表示した上で、ステップS2110でP2Pモードを無効化する。
このように実施形態2では、無線チップセットの第1と第2の制約があるため、DFS利用バンドの接続している時以外は、無線インフラモードとP2Pモードの周波数帯を合わせて接続することで同時利用を阻害せずにユーザ利用できる利点がある。また、5GHzのDFS利用バンドで無線アクセスポイントと接続した場合は、ユーザに警告表示した上で、P2Pモードを無効にすることで制約を回避したLAN設定になるよう誘導する。
<無線の自動セットアップ>
無線の自動セットアップ時には、無線アクセスポイントから取得した無線パラメータの周波数情報の内から、2.4GHz/5GHzのいずれかを優先した順番で接続を試みる必要がある。実施形態2では、無線チップセットの第2の制約があるが、5GHzのDFS利用バンド以外で接続していれば、無線インフラモードとP2Pモードの同時利用の条件を満たせる。ここでは5GHzの無線インフラ接続を優先して、かつ、無線インフラとP2Pモードについて極力、周波数帯を合わせて動作させる方法について説明する。5GHz優先で無線アクセスポイントに接続する場合も、実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の説明に従い、図16のステップS1601〜S1616と同様に無線接続プロファイルの受信と保存処理を行う。その後の処理について、図22を用いて説明する。図22は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。図22のステップS2201〜S2204は、図17のステップS1717〜S1720を用いて説明した実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の5GHzの接続処理と同じである。
5GHz帯域で無線の接続に成功した場合は(ステップS2203でYES)、ステップS2204でMFP300の不揮発性メモリ605からP2Pモード設定を読み込み、設定が有効か無効か判定する。P2Pモード設定が有効な場合は(ステップS2204でYES)、無線アクセスポイントにDFS利用バンドで接続したか否かをステップS2205で判定する。
DFS利用バンドで接続していると判定された場合、MFP300は、ステップS2206でユーザに操作画面に警告を表示した上で、ステップS2207でP2Pモード設定を無効にする。ユーザに操作画面上で警告する内容としては、ユーザ操作とは直接関係のないP2Pモード設定が自動で無効化される点を通知すべきである。P2Pモード設定が無効の場合は(ステップS2204でNO)、そのまま終了する。
図22のS2208〜S2210は、図17のステップS1722〜S1724を用いて実施形態1で説明した<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の2.4GHzの接続処理と同じである。しかしながら、実施形態2では、無線チップセットの第1の制約と第2の制約を回避するための異なる方法を説明する。無線インフラモードとP2Pモードが同時並行して動作する場合は、装置として2.4GHzまたはDFSで規定されている周波数帯以外の5GHz帯で動作するよう制御する。従って、ステップS2211またはS2204でP2Pモードが有効な場合は、無線インフラモードのチャンネル/周波数帯に合わせて、ステップS2312でP2Pモードを起動する。無線インフラモードのチャネルが制約によってP2Pモードでは利用できない場合には、P2Pモードは、警告を発した後に(S2206)、無効化される(S2207)。
以上の方法により、WPS(Wi−Fi Protected Setup)、AOSS、らくらく無線スタート(登録商標)で共通の処理フローを用いて、2.4GHz/5GHzの無線セットアップを実現する。無線セットアップ完了時の周波数帯を保存領域に記憶しておき、2.4GHz/5GHzのいずれかに固定している。それによって無線が切断された際の再接続後に、意図せず無線チップセットの第1の制約、あるいは第2の制約に陥り無線インフラモードあるいはP2Pモードが使えなくなってしまうことを防止している。
本実施形態によれば、DFS利用バンドを回避して5GHz帯のチャネルを利用することで、P2Pモードでも5GHz帯を利用可能としている。これにより、第2の制約に適合しつつ、帯域に関する選択の余地が増え、より効率的な帯域を選んで無線インターフェースを利用することが可能となる。さらに、2つの通信モード(P2Pモードおよび無線インフラモード)で同一のチャネルを用いることで、第1の制約にも適合している。
<<実施形態3>>
1台の無線デバイスで複数の無線通信インターフェースが同時並行して動作可能であり、かつ、低コストの無線チップセットのハードウェアとして制約がある場合でも、ユーザの利便性を損なわずに無線を利用するための方法を説明する。
実施形態1及び実施形態2に記載した第1の制約は、本実施例においては無線チップセットのCPU構成及びアンテナ構成を増やす等の追加コストをかけることで解決できる。その結果、無線インフラモードとP2Pモードを同時並行して動作する場合でも、無線インフラモードとP2Pモードでそれぞれ独立したチャンネル(及び周波数帯域)を利用できる点を前提とする。従って、実施形態3では第1の制約はない。ただし、各構成を増やした分だけ、無線チップセットに追加コストがかかるため、低価格帯の製品に適用することは困難である。低コストの無線チップセットの第2の制約として、P2Pモード(GroupOwner、もしくはソフトAP)では5GHzのDFS機能を利用できない点を前提とする。
本実施形態では、第2の制約を解決するために、P2PモードをDFSで規定されている周波数帯以外の5GHz帯で動作するよう制御する。その結果、単体インターフェース動作/複数インターフェース動作に関わらず、無線インフラモードは、接続先の無線アクセスポイントに合わせて5GHz/2.4GHzのいずれかで動作するよう制御する。単体インターフェース動作/複数インターフェース動作に関わらず、P2Pモードは、2.4GHz、またはDFSで規定されている周波数帯以外の5GHz帯で動作するよう制御する。無線インフラモードとP2Pモードの設定方法の具体例として、LAN設定によるIFの有効・無効切り替え、無線の手動セットアップ、無線の自動セットアップの方法について順に説明する。なお、以下の説明では、上述の各実施形態と共通する図及びその説明は省略し、異なる点について重点的に説明する。特に、本実施形態のシステムの構成や各装置の構成、無線インフラモード及びP2Pモードの基本的な説明等については第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
<LAN設定によるIFの有効・無効>
本体操作部では、図4の(c)に示す本体操作画面あるいはケーブルレスセットアップ経由で、使用するIFの有効/無効を設定可能なように構成されている。本実施形態では、有線LANと無線LANの使用は排他であり、有線LANを有効にした状態で、同時に無線インフラを有効にする事は出来ない。また、逆に無線LANが有効な状態で、同時に有線LANを有効にする事も出来ない。有線LANと無線LANを同時に無効に設定する事は可能である。USB IFはユーザによる設定で無効には出来ないが、起動時に常に有効化され、有線LANあるいは無線LANと同時に使用可能な構成となっている。
無線LANには、P2Pモードと、無線インフラモードの設定があり、個別に独立して有効/無効が設定出来るようになっている。P2Pモードと無線インフラモードを同時に有効に設定する事が可能である。その際にMFP300は、P2Pによる通信と無線インフラによる通信を同時に行う事が出来るようになる。設定した有効/無効の状態は不揮発性メモリ605に保存され、次回の起動時にも参照されて、保存された情報に基づき各IFが有効化される。
本体のLAN設定項目を初期化した際には、P2Pモードおよび無線インフラモードは無効となる。また、有線LANも無効となり、有線も無線もLANは使用しない状態となる。LAN設定を初期化したユーザは、所望のIFを個別に有効に設定変更して使用する事になる。
図23を用いて、IFの切り替えについて説明する。図23はLAN設定値として、通信モードと周波数帯域の設定可能な組み合わせである。
通信モード設定1、通信モード設定2は、無線インフラモードが有効、P2Pモードが無効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、無線インフラモードで無線アクセスポイントとのセットアップを行い、2.4GHz帯域で無線アクセスポイントと接続完了した時の無線設定を保存した場合は通信モード1になる。通信モード1と通信モード設定2は、無線インフラモードとP2PモードのLAN設定(有効・無効)としては同じ設定であるが、無線接続に成功した結果、保存されている周波数帯域が異なっているため、表では明示的に区別して表記している。
通信モード設定3、通信モード設定4は、無線インフラモードが無効、P2Pモードが有効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、図4(c)の操作表示部で、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると通信モード設定3で保存される。P2Pモードが5GHz帯、2.4GHz帯のいずれで動作するかはユーザ設定で変更できるようにしても良い。無線チップセットの制約がIF切り替えの障壁になるパターンはない。
P2Pモードは、2.4GHz、または5GHz帯域で使用したい場合はDFS利用バンド以外の帯域に限定して動作するよう制御すればよい。
<無線の手動セットアップ>
図24はMFP300で実施する無線インフラの手動セットアップを示すフローチャート図である。図24は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。手動セットアップでは、ユーザ指示により検索した周囲の無線アクセスポイント一覧がMFPの操作表示部305に表示され、ユーザが無線アクセスポイントを検索結果から手動で選択するため、手動セットアップと呼んでいる。ステップS2401〜S2405のフローチャート前半は、実施形態1の<無線の手動セットアップ>で説明した図15のステップS1501〜S1505と同じ処理である。
ステップS2406ですでにP2P設定が有効になっている場合は、ステップS2407で5HzのDFS利用バンド以外、または2.4GHz帯域をP2Pモードに設定し、ステップ2208でP2Pモードを有効化する。ステップS2406でP2P設定が無効になっている場合は、そのまま処理を終了する。
このように実施形態3では、無線チップセットの第1の制約は無いため、無線インフラモードとP2Pモードの周波数帯やチャンネルを合わせる必要がない。ただし、第2の制約があるため、P2Pモードを5GHzのDFS利用バンド以外、または2.4GHzで起動するだけでよい。
<無線の自動セットアップ>
無線の自動セットアップ時には、無線アクセスポイントから取得した無線パラメータの周波数情報の内から、2.4GHz/5GHzのいずれかを優先した順番で接続を試みる必要がある。実施形態3では、無線チップセットの第2の制約があるため、5GHzのDFS利用バンド以外で接続していれば、無線インフラモードとP2Pモードの同時利用の条件を満たせる。ここでは無線インフラ接続は5GHzを優先して、かつ、P2Pモードについては5GHzのDFS利用バンド以外で動作させる方法について説明する。5GHz優先で無線アクセスポイントに接続する場合も、実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の説明に従い、図16のステップS1601〜S1616と同様に無線接続プロファイルの受信と保存処理を行う。その後の処理について、図25を用いて説明する。図25は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
図25のステップS2501〜S2504は、図17のステップS1717〜S1720を用いて説明した実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の5GHzの接続処理と同じである。
5GHz帯域で無線の接続に成功した場合は(ステップS2503でYES)、ステップS2504でMFP300の不揮発性メモリ605からP2Pモード設定を読み込み、設定が有効か無効か判定する。P2Pモード設定が有効な場合は(ステップS2504でYES)、DFS利用バンド以外でP2Pモードを起動する(S2505)。この時、無線チップセットの第1の制約は無いため、無線インフラモードとP2Pモードの周波数帯やチャンネルを合わせる必要はない。P2Pモード設定が無効の場合は(ステップS2504でNO)、そのまま終了する。
図25のS2506〜S2508は、図17のステップS1722〜S1724を用いて説明した実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の2.4GHzの接続処理と同じである。ステップS2504〜S2405のP2Pモード起動処理は、2.4GHz/5GHzのどちらで無線インフラと接続成功した場合であっても共通の処理とする。
以上の方法により、WPS(Wi−Fi Protected Setup)、AOSS、らくらく無線スタート(登録商標)で共通の処理フローを用いて、2.4GHz/5GHzの無線セットアップを実現する。
無線セットアップ完了時の周波数帯を保存領域に記憶しておき、2.4GHz/5GHzのいずれかに固定している。ただし、実施形態1、実施形態2のように無線が切断された際の再接続後に、意図せず無線チップセットの制約に陥り、無線インフラモードあるいはP2Pモードが使えなくなってしまうことはない。従って、必ずしも無線セットアップ完了時の周波数帯を保存領域に記憶しておき、2.4GHz/5GHzのいずれかに固定する必要はない。
図16のステップS1601〜S1616と同様に、無線接続プロファイルの受信と保存処理を行っているため、MFP300のRAM604の5GHz、及び2.4GHzの接続情報を格納する領域に無線接続プロファイルが存在する。無線セットアップ完了時の周波数帯としては、
A:2.4GHz
B:5GHz
C:2.4GHz+5GHz
のいずれかの周波数設定で不揮発性メモリ605に保存することができる。Cの組み合わせは、P2Pモードまたは無線インフラモードが互いに異なる周波数を使用するもので、どちらの通信モードでどちらの周波数を利用するかによって、さらに二通りのプロファイルに分けられる。無線チップセットが2.4GHz、5GHzの周波数帯を利用できて、かつ、第1の制約がある場合は、無線インフラの再接続先アクセスポイントの周波数帯によって意図せずP2Pモードが第1の制約で使えなくなることがある。そのため、無線インフラの接続先に従って「A:2.4GHz」または「B:5GHz」で固定して保存しておくことが望ましい。
一方本実施形態のように無線チップセットが2.4GHz、5GHzの周波数帯を利用できて、かつ、第1の制約が無い場合は、無線インフラの接続先の周波数帯によって意図せずP2Pモードが第1の制約で使えなくなることがない。従って、モードごと(すなわち無線インターフェースごと)に周波数帯域を設定した「C:2.4GHz+5GHz」で保存することが望ましい。そうすることで、5GHz/2.4GHzの無線インフラが切断された際の接続で、無線インフラが5GHzのDFS利用バンド内、DFS利用バンド以外のいずれの周波数帯で再接続されたとしてもP2Pモードは無効化せずにそのまま使うことができる。
本実施形態によれば、DFS利用バンドを回避して5GHz帯のチャネルを利用することで、P2Pモードでも5GHz帯を利用可能としている。これにより、帯域に関する選択の余地が増え、より効率的な帯域を選んで無線インターフェースを利用することが可能となる。
<<実施形態4>>
1台の無線デバイスで複数の無線通信インターフェースが存在し、かつ、低コストの無線チップセットのハードウェアとして制約がある場合でも、ユーザの利便性を損なわずに無線を利用するための方法を説明する。本実施形態においては複数の無線インターフェースが同時並行で動作しない例(つまり複数の通信モードが単独でのみ動作する例)を説明する。本実施形態では、実施形態1、及び実施形態2に記載した第1の制約が通信上の実質的な制約となることはない。次に、低コストの無線チップセットの第2の制約として、P2Pモード(GroupOwner、もしくはソフトAP)では5GHzのDFS機能を利用できない点を前提とする。なお、以下の説明では、上述の各実施形態と共通する図及びその説明は省略し、異なる点について重点的に説明する。特に、本実施形態のシステムの構成や各装置の構成、無線インフラモード及びP2Pモードの基本的な説明等については第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
<LAN設定によるIFの有効・無効>
本体操作部では、図4の(c)に示す本体操作画面あるいはケーブルレスセットアップ経由で、使用するIFの有効/無効を設定可能なように構成されている。本実施形態では、有線LANと無線LANの使用は排他であり、有線LANを有効にした状態で、同時に無線インフラを有効にする事は出来ない。また、逆に無線LANが有効な状態で、同時に有線LANを有効にする事も出来ない。有線LANと無線LANを同時に無効に設定する事は可能である。USB IFはユーザによる設定で無効には出来ないが、起動時に常に有効化され、有線LANあるいは無線LANと同時に使用可能な構成となっている。
無線LANには、P2Pモードと、無線インフラモードの設定があり、個別に独立して有効/無効が設定出来るようになっている。ただし、P2Pモードと無線インフラモードを同時に有効に設定する事は出来ない。設定した有効/無効の状態は不揮発性メモリ605に保存され、次回の起動時にも参照されて、保存された情報に基づき各IFが有効化される。本体のLAN設定項目を初期化した際には、P2Pモードおよび無線インフラモードは無効となる。また、有線LANも無効となり、有線も無線もLANは使用しない状態となる。LAN設定を初期化したユーザは、所望のIFを個別に有効に設定変更して使用する事になる。たとえば、いずれかの通信モードを有効化した場合には、他方の通信モードが有効であれば、他方の通信モードを無効化してから、有効化対象の通信モードを有効化する。さらに第2の制約を満たすために、P2Pモードでは2.4GHz帯の利用を許し、5GHz帯の利用を許さない。
図26を用いて、IFの切り替えについて説明する。図26はLAN設定値として、通信モードと周波数帯域の設定可能な組み合わせである。通信モード設定1、通信モード設定2は、無線インフラモードが有効、P2Pモードが無効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、無線インフラモードで無線アクセスポイントとのセットアップを行い、2.4GHz帯域で無線アクセスポイントと接続完了した時の無線設定を保存した場合は通信モード1になる。通信モード1と通信モード設定2は、無線インフラモードとP2PモードのLAN設定(有効・無効)としては同じ設定であるが、無線接続に成功した結果、保存されている周波数帯域が異なっているため、表では明示的に区別して表記している。
通信モード設定3は、無線インフラモードが無効、P2Pモードが有効に設定されたパターンである。例えば、LAN無効状態から、図4(c)の操作表示部で、P2Pモードを無効設定から有効設定に切り替えると通信モード設定3で保存される。P2PモードはDFSを利用できないことから、2.4GHz帯固定で動作させる。無線インフラモードとP2Pモードを排他動作にしており、かつ、P2Pモードは2.4GHz固定にしているため、無線チップセットの制約がIF切り替えの障壁になるパターンはない。
<無線の手動セットアップ>
図27はMFP300で実施する無線インフラの手動セットアップを示すフローチャート図である。図27は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。手動セットアップでは、ユーザ指示により検索した周囲の無線アクセスポイント一覧がMFPの操作表示部305に表示され、ユーザが無線アクセスポイントを検索結果から手動で選択するため、手動セットアップと呼んでいる。ステップS2701〜S2705のフローチャート前半は、実施形態1の<無線の手動セットアップ>で説明した図15のステップS1501〜S1505と同じ処理である。
ステップS2706ですでにP2P設定が有効になっている場合は、ステップS2707でMFPの操作表示部305で警告画面を表示する。無線インフラモードとP2Pモードは排他動作するため、無線インフラが有効になると、P2PモードがステップS2708で無効化されるためである。ステップS2706でP2P設定が無効になっている場合は、そのまま処理を終了する。また実施形態4では、無線インフラモードとP2Pモードを排他動作にしているため、無線チップセットの第1の制約は関係無くなる。
<無線の自動セットアップ>
無線の自動セットアップ時には、無線アクセスポイントから取得した無線パラメータの周波数情報の内から、2.4GHz/5GHzのいずれかを優先した順番で接続を試みる必要がある。実施形態4では、無線チップセットの第2の制約があり、これを回避するためにP2Pモードは2.4GHz固定で動作させる。ここでは無線インフラ接続は5GHzを優先して、かつ、P2Pモードについては2.4GHz固定で動作させる方法について説明する。5GHz優先で無線アクセスポイントに接続する場合も、実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の説明に従い、図16のステップS1601〜S1616と同様に無線接続プロファイルの受信と保存処理を行う。その後の処理について、図28を用いて説明する。図28は、MFP300の、特にCPU602によって実行される処理である。
図28のステップS2801〜S2804は、図17のステップS1717〜S1720を用いて説明した実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の5GHzの接続処理と同じである。
5GHz帯域で無線の接続に成功した場合は(ステップS2803でYES)、ステップS2804でMFP300の不揮発性メモリ605からP2Pモード設定を読み込み、設定が有効か無効か判定する。P2Pモード設定が有効な場合は(ステップS2804でYES)、排他動作のためステップS2805でP2Pモードを無効化する。P2Pモード設定が無効の場合は(ステップS2504でNO)、そのまま終了する。
図28のS2806〜S2508は、図17のステップS1722〜S1724を用いて説明した実施形態1の<無線の自動セットアップ(5GHz優先)>の2.4GHzの接続処理と同じである。ステップS2804〜S2805のP2Pモード無効化処理は、2.4GHz/5GHzのどちらで無線インフラと接続成功した場合であっても共通の処理とする。
以上の方法により、WPS(Wi−Fi Protected Setup)、AOSS、らくらく無線スタート(登録商標)で共通の処理フローを用いて、2.4GHz/5GHzの無線セットアップを実現する。
無線セットアップ完了時の周波数帯を保存領域に記憶しておき、2.4GHz/5GHzのいずれかに固定している。ただし、実施形態1、実施形態2のように無線が切断された際の再接続後に、意図せず無線チップセットの制約に陥り、無線インフラモードあるいはP2Pモードが使えなくなってしまうことはない。従って、必ずしも無線セットアップ完了時の周波数帯を保存領域に記憶しておき、2.4GHz/5GHzのいずれかに固定する必要はない。
図16のステップS1601〜S1616と同様に、無線接続プロファイルの受信と保存処理を行っているため、MFP300のRAM604の5GHz、及び2.4GHzの接続情報を格納する領域に無線接続プロファイルが存在する。無線セットアップ完了時の周波数帯としては
A:2.4GHz
B:5GHz
C:2.4GHz+5GHz
のいずれかの周波数設定で不揮発性メモリ605に保存することができる。無線チップセットが2.4GHz、5GHzの周波数帯を利用できて、かつ、第1の制約が無い場合は、無線インフラの再接続先アクセスポイントの周波数帯によって意図せずP2Pモードが第1の制約で使えなくなることがある。そのため、無線インフラの接続先に従って「A:2.4GHz」または「B:5GHz」で固定して保存しておくことが望ましい。
逆に本実施形態のように無線チップセットが2.4GHz、5GHzの周波数帯を利用できて、かつ、排他動作するため第1の制約が関係無い場合は、無線インフラの接続先の周波数帯によって意図せずP2Pモードが第1の制約で使えなくなることがない。従って、「C:2.4GHz+5GHz」で保存することが望ましい。そうすることで、5GHz/2.4GHzの無線インフラが切断された際の接続で、無線インフラが5GHzのDFS利用バンド内、DFS利用バンド以外のいずれの周波数帯でも再接続することができる。
なお本実施形態の図27、図28の手順ではP2Pモードによる接続を維持することはないため、まずP2Pモードを無効化してから図27、図28の処理を開始してもよい。そのようにすることで、P2Pモードの有効性をテストする工程と、その工程の結果に応じてP2Pモードを無効化する工程は不要となる。
また、P2Pモードでは、DFSを利用しないチャネルに限定して設定を許すことで、P2Pモードを5GHz帯で利用することもできる。
本実施形態によれば、2つの通信モードすなわちP2Pモードと無線インフラモードとの同時利用を制限し、P2PモードではDFSを利用する帯域の設定を許さないことで、2つの制約を同時に満たすことできる。
[その他の実施形態]
上述の各実施形態では、使用する周波数帯域の例として、2.4GHz帯域と5GHz帯域の例を挙げて説明した。しかしながら、本発明は、その他の周波数帯域を使用することもできる。例えば、無線LAN通信の規格の追加・変更等により上記以外の周波数帯域が使用可能となった場合にも本発明は適用可能である。
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなる。プロセッサーとしては、CPU、MPU等のプロセッサーが含まれる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSやアプリケーションなどが実際の処理の一部または全部を行ってもよい。このOSやアプリケーションの処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。