JP2019161240A - レーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法 - Google Patents

レーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法を提供する。【解決手段】ウエーハW内部に集光点を合わせてレーザー光Lを加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段31を備えたレーザーダイシング装置10において、前記ウエーハWを冷却して密度を高める冷却手段12を備えており、前記レーザー光照射手段31は、前記冷却手段12により冷却して密度を高めた状態の前記ウエーハWに対して、前記レーザー光Lを照射して、前記改質領域を形成することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、レーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法に関し、特に、半導体ウエーハ等のウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法に関する。
従来、半導体ウエーハ等のウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のレーザーダイシング装置は、半導体ウエーハ等のウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置で、このレーザーダイシング装置によれば、ウエーハ内部に改質領域が形成され、その改質領域を起点として改質領域に沿ってウエーハが切断されるので、ブレードを用いてウエーハを切削し、切断する一般的なダイシング装置と比べ、発塵量が低く、ダイシング傷、チッピングあるいは材料表面でのクラック等が発生する可能性が低くなる等の効果を奏する。
特許第3408805号公報
しかしながら、特許文献1に記載のレーザーダイシング装置には、次の課題がある。
すなわち、特許文献1に記載のレーザーダイシング装置においては、ウエーハの厚みが厚い場合、レーザー光を複数回走査して、複数の改質領域(クラック)をウエーハの厚み方向に積み重ねるか、レーザー光のパルス幅を長くして、改質領域(クラック)を大きくするか、又は、特殊な光学系を用いてウエーハの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成することが考えられるが、それぞれ次の課題がある。
まず、レーザー光を複数回走査して、複数の改質領域(クラック)をウエーハの厚み方向に積み重ねる場合、レーザー光を複数回走査する分、処理速度が遅くなるという問題がある。
また、レーザー光のパルス幅を長くして、改質領域(クラック)を大きくする場合、ウエーハに対する熱の影響が大きくなるという問題がある。
また、特殊な光学系を用いてウエーハの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成する場合、装置構成が複雑となり高価になるという問題がある。
以上のように、特許文献1に記載のレーザーダイシング装置においては、ウエーハの厚みが厚い場合、上記各課題があり、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係るレーザーダイシング装置は、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、前記ウエーハを冷却する冷却手段を備えており、前記レーザー光照射手段は、前記冷却手段により冷却された状態の前記ウエーハに対して、前記レーザー光を照射して、前記改質領域を形成することを特徴とする。
本発明に係るレーザーダイシング装置によれば、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置を提供することができる。
処理速度がより速くなるのは、ウエーハを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成することで、常温状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ため、厚みが厚いウエーハであっても、レーザー光の走査回数を減らすことができることによるものである。
ウエーハに対する熱の影響がより小さくなるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、レーザー光のパルス幅を長くするのではなく、上記のようにウエーハを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
より安価となるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、特殊な光学系を用いてウエーハの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成するのではなく、上記のようにウエーハを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
本発明に係るレーザーダイシング装置において、前記冷却手段は、前記ウエーハを保持する冷凍チャックテーブル、少なくとも前記ウエーハが内部に配置された冷却チャンバ及び前記ウエーハに対して冷風を送風する送風機のいずれかであることが望ましい。
また、本発明に係るレーザーダイシング装置は、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、前記ウエーハの下面側及び上面側の一方の側を冷却する冷却手段と、前記ウエーハの下面側及び上面側の前記冷却手段が冷却する前記一方の側とは反対の他方の側を加熱する加熱手段と、を備えており、前記レーザー光照射手段は、前記冷却手段により前記一方の側が冷却され、かつ、前記加熱手段により前記他方の側が加熱されて、前記一方の側と前記他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態の前記ウエーハに対して、前記レーザー光を照射して、前記改質領域を形成することを特徴とする。
本発明に係るレーザーダイシング装置によれば、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置を提供することができる。
処理速度がより速くなるのは、ウエーハの下面側(又は上面側)を冷却し、ウエーハの上面側(又は下面側)を加熱して、ウエーハを一方の側と他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成することで、常温状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ため、厚みが厚いウエーハであっても、レーザー光の走査回数を減らすことができることによるものである。
ウエーハに対する熱の影響がより小さくなるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、レーザー光のパルス幅を長くするのではなく、上記のようにウエーハの下面側(又は上面側)を冷却し、ウエーハの上面側(又は下面側)を加熱して、ウエーハを一方の側と他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
より安価となるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、特殊な光学系を用いてウエーハの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成するのではなく、上記のようにウエーハの下面側(又は上面側)を冷却し、ウエーハの上面側(又は下面側)を加熱して、ウエーハを一方の側と他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
本発明に係るレーザーダイシング装置において、前記ウエーハの下面側を冷却する冷却手段は、前記ウエーハを保持する冷凍チャックテーブルであり、前記ウエーハの上面側を加熱する加熱手段は、前記ウエーハの表面に加熱光を照射する加熱光照射手段であることが望ましい。
また、本発明に係るレーザーダイシング装置において、前記ウエーハの下面側を加熱する加熱手段は、前記ウエーハを保持するホットチャックテーブルであり、前記ウエーハの上面側を冷却する冷却手段は、少なくとも前記ウエーハが内部に配置された冷却チャンバであることが望ましい。
本発明に係るレーザーダイシング方法は、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング方法において、前記ウエーハを冷却する冷却ステップと、前記冷却ステップにより冷却された状態の前記ウエーハに対して、前記レーザー光を照射して、前記改質領域を形成するレーザー光照射ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明に係るレーザーダイシング方法によれば、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング方法において、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング方法を提供することができる。
処理速度がより速くなるのは、ウエーハを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成することで、常温状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ため、厚みが厚いウエーハであっても、レーザー光の走査回数を減らすことができることによるものである。
ウエーハに対する熱の影響がより小さくなるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、レーザー光のパルス幅を長くするのではなく、上記のようにウエーハを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
より安価となるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、特殊な光学系を用いてウエーハの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成するのではなく、上記のようにウエーハを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
また、本発明に係るレーザーダイシング方法は、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング方法において、前記ウエーハの下面側及び上面側の一方の側を冷却する冷却ステップと、前記ウエーハの下面側及び上面側の前記冷却ステップが冷却する前記一方の側とは反対の他方の側を加熱する加熱ステップと、前記冷却ステップにより前記一方の側が冷却され、かつ、前記加熱ステップにより前記他方の側が加熱されて、前記一方の側と前記他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態の前記ウエーハに対して、前記レーザー光を照射して、前記改質領域を形成するレーザー光照射ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明に係るレーザーダイシング方法によれば、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング方法において、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング方法を提供することができる。
処理速度がより速くなるのは、ウエーハの下面側(又は上面側)を冷却し、ウエーハの上面側(又は下面側)を加熱して、ウエーハを一方の側と他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成することで、常温状態のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ため、厚みが厚いウエーハであっても、レーザー光の走査回数を減らすことができることによるものである。
ウエーハに対する熱の影響がより小さくなるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、レーザー光のパルス幅を長くするのではなく、上記のようにウエーハの下面側(又は上面側)を冷却し、ウエーハの上面側(又は下面側)を加熱して、ウエーハを一方の側と他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
より安価となるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、特殊な光学系を用いてウエーハの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成するのではなく、上記のようにウエーハの下面側(又は上面側)を冷却し、ウエーハの上面側(又は下面側)を加熱して、ウエーハを一方の側と他方の側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハに対してレーザー光を照射して改質領域を形成するようにしたことによるものである。
本発明によれば、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法を提供することが可能となる。
本実施形態のレーザーダイシング装置10の内部構成を表わす斜視図である。 ウエーハWの斜視図である。 レーザーヘッド31の構成を説明する側面図である。 ウエーハW内部の集光点近傍に形成される改質領域を説明する概念図である。 ウエーハW内部に集光点を合わせてレーザー光が加工ラインに沿って照射され、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に連続的に形成される切断の起点となる改質領域P及びA−A断面上の応力を示す図である。 第1変形例のレーザーダイシング装置10AにおいてウエーハWの下面側が冷却され、上面側が加熱されている様子を表わす側面図である。 第2変形例のレーザーダイシング装置10BにおいてウエーハWの上面側が冷却され、下面側が加熱されている様子を表わす側面図である。
以下、添付図面に従って本発明に係るレーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態のレーザーダイシング装置10の内部構成を表わす斜視図である。
レーザーダイシング装置10は、ウエーハW内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に切断の起点となる改質領域(改質層とも称される)を形成するレーザー光照射手段としてのレーザーヘッド31を備えたレーザーダイシング装置で、図示しない本体ベース上にウエーハWを吸着載置して図示しない駆動機構によって図1のXθ方向に移動される冷凍チャックテーブル12等を備えている。なお、加工ラインとは、割断(切断)が予定されているラインのことで、ウエーハWが半導体ウエーハの場合、ウエーハWに形成されたチップ(集積回路)を区画するストリート(又はスクライブラインとも称される)のことである。
冷凍チャックテーブル12は、ウエーハWを真空吸着により保持する冷凍チャックテーブル(例えば、特開平8−222530号公報、特開2012−186504号公報参照)である。冷凍チャックテーブル12は、Xテーブル12A、θテーブル12B、及び吸着テーブル12Cとからなっており、吸着テーブル12Cは、ウエーハWを吸着載置してθ回転されるとともに、X方向に加工送りされる。
図2は、ウエーハWの斜視図である。
ウエーハWは、例えば、多数の集積回路が形成された半導体ウエーハで、図2に示すように、リング状のフレームFに取り付けられたダイシングテープT上に裏面が貼り付けられた状態でマウントされ、冷凍チャックテーブル12(吸着テーブル12C)上に真空吸着されてこれに保持される。ウエーハWはこのように、裏面にダイシングテープTが貼られているので、個々のチップに分割されても1個1個バラバラになることがない。ウエーハWは、冷凍チャックテーブル12によりダイシングテープTを介して例えば−40℃程度に冷却される。すなわち、冷凍チャックテーブル12は、ウエーハWを冷却する冷却手段としても機能する。
冷凍する方式としては、チャック内に冷媒を供給することにより冷凍する方式などもあるが、ペルチェ効果を利用してチャック表面を冷却させる方式でも良い。
冷凍チャックテーブル12の上方にはYガイドベース41が設けられ、Yガイドベース41にはYガイドレール42、42に案内されて図示しない駆動機構によってY方向に移動される2個のYテーブル43、43が設けられている。夫々のYテーブル43には、Zガイドレール51、51に案内されて図示しない駆動機構によってZ方向に移動される2個のZテーブル52、52が設けられている。
夫々のZテーブル52には、ホルダ32を介してレーザーヘッド31が取り付けられており、各レーザーヘッド31は夫々独立してZ方向に移動されるとともに、独立してY方向に割り出し送りされるようになっている。なお、レーザーヘッド31は、1個であってもよい。
図3はレーザーヘッド31の構成を説明する側面図である。レーザーヘッド31は、レーザーダイシング装置10のベース11に設けられた冷凍チャックテーブル12に載置されたウエーハWにパルスレーザー光Lを照射するよう、ウエーハWの上方に位置付けられる。
レーザーヘッド31は、ウエーハW内部に集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に切断の起点となる改質領域Pを形成するレーザー光照射手段で、レーザー発振器31A、コリメートレンズ31B、ミラー31C、コンデンスレンズ31D等を備えている。
レーザー発振器31Aは、例えば、パルス幅が1μs以下であって、集光点におけるピークパワー密度が1×10(W/cm)以上となるパルスレーザー光(例えば波長1064nm)を発振するレーザー発振器である。なお、レーザー発振器31Aは、多光子吸収による改質領域Pを形成できる限り、パルスレーザー光以外の、連続波レーザー光を発振するレーザー発振器であってもよい。
図3に示すように、レーザー発振器31Aから発振されたパルスレーザー光Lは、コリメートレンズ31Bで水平方向に平行光線とされ、ミラー31Cで垂直方向に反射され、コンデンスレンズ31Dによって集光される。
パルスレーザー光Lの集光点を、冷凍チャックテーブル12に載置されたウエーハWの厚さ方向内部に設定すると、ウエーハWの表面を透過したパルスレーザー光Lは集光点でエネルギーが集中され、ウエーハW内部の集光点近傍に多光子吸収によるクラック領域、溶融領域、屈折率変化領域等の改質領域Pを形成する。
また、レーザーヘッド31は、図示しない傾斜機構を有しており、パルスレーザー光Lをウエーハ面に対して任意の角度に傾斜させて照射させることができるようになっている。
図4は、ウエーハW内部の集光点近傍に形成される改質領域Pを説明する概念図で、ウエーハWの内部に入射されたパルスレーザー光Lが集光点に改質領域Pを形成した状態を示している。図5中上段は、ウエーハW内部に集光点を合わせてパルスレーザー光が加工ラインに沿って照射され、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に連続的に形成される切断の起点となる改質領域Pを示しており、図5中下段は、図5中上段のA−A断面上の応力を示している。
図5中上段に示すように、ウエーハW内部に集光点を合わせてパルスレーザー光が加工ラインに沿って照射され、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に切断の起点となる改質領域Pが連続的に形成された状態で、ウエーハWは、改質領域Pを起点としてウエーハWの厚み方向に向かってクラックを発生させ、そのクラックがウエーハWの表面と裏面に到達することにより、結果的に切断される。ウエーハWの表面と裏面に到達するこのクラックは自然に進展する場合もあるし、ウエーハWに力が印加されることにより進展する場合もある。
ウエーハWにおいてクラックが自然に進展する原理は、次のように説明することができる。
ウエーハW内部に集光点を合わせてパルスレーザー光(例えば、1パルス分のパルスレーザー光)を加工ラインに沿って照射すると、図5中上段に示すように、当該パルスレーザー光の集光点(及びその近傍)の体積が膨張する。
例えば、レーザーヘッド31からのパルスレーザー光の平均出力1.2W、繰返し周波数80KHz、パルス幅100nsとすると、1パルスあたりのエネルギー15μJ、ピークパワー150Wとなる。このパルスレーザー光がウエーハW(シリコン)内部でスポットサイズφ5μmに集光すると、ピークパワー密度は8.0*108W/cm2、フルエンス80J/cm2となる。
1パルスあたりの改質領域Pをφ7μm、高さ20μmの円柱と考え、15μJのエネルギーの30%が熱に変換されたと仮定すると、温度上昇ΔTは3400℃となる。室温からの温度上昇を考えるとウエーハW(シリコン)の融点の2倍程度の温度となる。その後、冷却により多結晶〜アモルファス形状となるため、パルスレーザー光の集光点(及びその近傍)の体積が膨張する。なお、パルスレーザー光の集光点(及びその近傍)に空孔(ボイド)が形成されることでも体積が膨張する。
これに対して、パルスレーザー光の集光点(及びその近傍)を取り囲む周囲の体積は変化しない(又はほとんど変化しない)ため、パルスレーザー光の集光点(及びその近傍)が拘束された状態となり、図5中下段に示すように、改質領域P間に圧縮応力が発生する。この改質領域P間に発生する圧縮応力(図5中下段の振幅の大きさ)を駆動力としてクラックは自然に進展する。
以上のようにして、ウエーハWにおいてクラックが自然に進展する。
本願の発明者は、ウエーハWを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成することで、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ことを見出した。
その原理は、次のように説明することができる。
ウエーハWを冷却すると、ウエーハWの密度(結晶の密度)が増加する。例えば、シリコンの線膨張係数は2.6*10-6/Kである。直径300mmのウエーハW(シリコン)を-40℃(室温から-60度)に冷却すると、0.0156%(直径で50μm程度)縮む。このとき、ウエーハW(シリコン)の見かけの密度が増加する。
そして、冷却された状態(密度が増加した状態)のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射すると、常温状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射する場合と比べ、改質領域P間に発生する圧縮応力(図5中下段の振幅の大きさ)が相対的に増加する。すなわち、クラックの進展の駆動力が増加する。
したがって、ウエーハWを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成することで、常温状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)。
このように、冷却された状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成することは、ウエーハWの厚みが厚く、パルスレーザー光を一回照射するだけではウエーハWの表面と裏面にクラックが到達しない場合に特に有効なものとなる。
レーザーダイシング装置10はこの他に、図示しないウエーハカセットエレベータ、ウエーハ搬送手段、操作板、テレビモニタ、表示灯、及びコントローラ40等から構成されている。
ウエーハカセットエレベータは、ウエーハWが格納されたカセットを上下移動して搬送位置に位置決めする。搬送手段はカセットと冷凍チャックテーブル12との間でウエーハWを搬送する。
操作板には、レーザーダイシング装置10の各部を操作するスイッチ類や表示装置が取り付けられている。テレビモニタは、図示しないCCDカメラで撮像したウエーハの画像を表示したり、プログラム内容の表示や各種メッセージ等を表示する。表示灯は、レーザーダイシング装置10の加工中、加工終了、非常停止等の稼動状況を表示する。レーザーダイシング装置本体内部に収納されたコントローラは、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、レーザーダイシング装置10の各部の動作を制御する。
次に、本実施形態のレーザーダイシング装置10の作用について説明する。
まず、ウエーハWが、リング状のフレームFに取り付けられたダイシングテープT上に裏面が貼り付けられた状態でマウントされ、図3に示すように、冷凍チャックテーブル12(吸着テーブル12C)上に真空吸着されてこれに保持される(平面状に固定される)。その際、ウエーハWは、冷凍チャックテーブル12により冷却された状態(例えば−40℃程度に冷却された状態)で保持される。
次に、冷凍チャックテーブル12に載置されたウエーハWは、図示しないCCDカメラで表面の回路パターンやアライメントマークが撮影され、画像処理手段を有するアライメント手段によってアライメントされる。
次いで、各レーザーヘッド31がYテーブル43で送られてウエーハWの加工ライン上に位置付けられる。ここで集光点がウエーハWの内部に位置するように、Zテーブル52によってZ方向に高さ調整された各レーザーヘッド31から、パルスレーザー光Lが冷却された状態のウエーハWに照射されるとともに、ウエーハWがXテーブル12AによってX方向に加工送りされる。これにより、レーザー光照射手段としての各レーザーヘッド31は、冷却された状態のウエーハW内部に集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に切断の起点となる改質領域Pを連続的に形成する。
次に、各レーザーヘッド31がYテーブル43で次の加工ラインに割り出し送りされ、パルスレーザー光L照射の下で冷却された状態のウエーハWがX方向に加工送りされ、次の加工ラインもウエーハW内部に改質領域Pが連続的に形成される。全ての加工ラインへのレーザー照射が終了すると、ウエーハWはθテーブル12Bによって90°回転され、先程の加工ラインと直交する加工ラインに対してパルスレーザー光Lが照射される。こちら側の加工ラインもウエーハWのX方向加工送りと、各レーザーヘッド31のY方向割り出し送りが繰り返され、全ラインのレーザー照射が終了すると、1枚のウエーハWのレーザーダイシングが完了する。
以上説明したように、本実施形態のレーザーダイシング装置10によれば、ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置を提供することができる。
処理速度がより速くなるのは、ウエーハWを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成することで、常温状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ため、厚みが厚いウエーハWであっても、パルスレーザー光の走査回数を減らすことができることによるものである。
ウエーハWに対する熱の影響がより小さくなるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、パルスレーザー光のパルス幅を長くするのではなく、上記のようにウエーハWを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成するようにしたことによるものである。
より安価となるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、特殊な光学系を用いてウエーハWの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成するのではなく、上記のようにウエーハWを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成するようにしたことによるものである。
なお、ウエーハWが低温から常温に戻る際にウエーハWの上面と下面で温度差をつけることにより、よりクラックを進展させることができる。これは、ウエーハWが冷凍チャックテーブル12(吸着テーブル12C)上に平面状に固定されているため、例えば、ウエーハWに対して、上面と下面とで温度が異なる温度勾配を設定することで、ウエーハWが湾曲しようとする内部応力が生じている状態となる(例えば、図7に一点鎖線で示すウエーハW参照)ことによるものである。
また、本実施形態のレーザーダイシング装置10によれば、次の利点を生ずる。
すなわち、ウエーハWは、低温となるため、原子間振動が小さく、常温に比べてIR光(パルスレーザー光)の透過率が高くなる。これは論文(Sze, S. M., Physics of Semiconductor Devices, John Wiley and Sons, N.Y., 1981.)により、低温で吸光度が低下することが確かめられている。
したがって、ウエーハWを冷却し(例えば−40℃程度に冷却し)、この冷却された状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成することで、レーザーの減衰が抑えられ、高効率加工が可能となる。
また、ウエーハWの下面側からウエーハW(シリコン)を透過してデバイス側を観察・アライメントする際に、ウエーハW内部での光の減衰が小さくなるため、よりSN比の高い画像を得ることができる。
次に、ウエーハWを冷却する冷却手段の変形例について説明する。
上記実施形態では、ウエーハWを冷却する冷却手段が冷凍チャックテーブル12である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、冷却手段として、冷却チャンバを用いてもよいし、ウエーハWに対して冷風を送風する送風機その他の冷却手段を用いてもよい。
冷却手段として、冷却チャンバ、ウエーハWに対して冷風を送風する送風機を用いる場合、冷凍チャックテーブル12に代えて一般的なチャックテーブルを用いることができる。
冷却手段として、冷却チャンバを用いる場合、一般的なチャックテーブル等を冷却チャンバ内に配置し、冷却チャンバ内に冷却空気を供給することで、ウエーハWを冷却することができる。
次に、レーザーダイシング装置10の第1変形例であるレーザーダイシング装置10Aについて説明する。
図6は、第1変形例のレーザーダイシング装置10AにおいてウエーハWの下面側が冷却され、上面側が加熱されている様子を表わす側面図である。
本変形例のレーザーダイシング装置10Aは、上記実施形態のレーザーダイシング装置10と比べ、ウエーハWの下面側を冷却する冷却手段、ウエーハWの上面側を加熱する加熱手段を備えている点が相違する。それ以外、上記実施形態のレーザーダイシング装置10と同様の構成である。以下、上記実施形態のレーザーダイシング装置10との相違点を中心に説明し、上記実施形態のレーザーダイシング装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
ウエーハWの下面側を冷却する冷却手段としては、例えば、上記実施形態で説明したウエーハWを保持する冷凍チャックテーブル12を用いることができる。
ウエーハWの上面側を加熱する加熱手段としては、例えば、冷凍チャックテーブル12の上方に配置された、ウエーハWの表面に加熱光を照射する加熱光照射手段(例えば、赤外線を含む光を放出するハロゲンヒータ等の熱源)を用いることができる。
次に、本変形例のレーザーダイシング装置10Aの作用について説明する。
まず、ウエーハWが、リング状のフレームFに取り付けられたダイシングテープT上に裏面が貼り付けられた状態でマウントされ、図6に示すように、冷凍チャックテーブル12(吸着テーブル12C)上に真空吸着されてこれに保持される(平面状に固定される)。その際、ウエーハWは、冷凍チャックテーブル12によりその下面側が冷却され、かつ、加熱光照射手段(例えば、赤外線を含む光を放出するハロゲンヒータ等の熱源)によりその上面側が加熱されて、下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態。例えば、図6に一点鎖線で示すウエーハW参照)とされ、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)で保持される。
次に、冷凍チャックテーブル12に載置されたウエーハWは、図示しないCCDカメラで表面の回路パターンやアライメントマークが撮影され、画像処理手段を有するアライメント手段によってアライメントされる。
次いで、各レーザーヘッド31がYテーブル43で送られてウエーハWの加工ライン上に位置付けられる。ここで集光点がウエーハWの内部に位置するように、Zテーブル52によってZ方向に高さ調整された各レーザーヘッド31から、パルスレーザー光Lが上記温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに照射されるとともに、ウエーハWがXテーブル12AによってX方向に加工送りされる。これにより、レーザー光照射手段としての各レーザーヘッド31は、上記温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハW内部に集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に切断の起点となる改質領域Pを連続的に形成する。
次に、各レーザーヘッド31がYテーブル43で次の加工ラインに割り出し送りされ、パルスレーザー光L照射の下で上記温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWがX方向に加工送りされ、次の加工ラインもウエーハW内部に改質領域Pが連続的に形成される。全ての加工ラインへのレーザー照射が終了すると、ウエーハWはθテーブル12Bによって90°回転され、先程の加工ラインと直交する加工ラインに対してパルスレーザー光Lが照射される。こちら側の加工ラインもウエーハWのX方向加工送りと、各レーザーヘッド31のY方向割り出し送りが繰り返され、全ラインのレーザー照射が終了すると、1枚のウエーハWのレーザーダイシングが完了する。
以上説明したように、本変形例のレーザーダイシング装置10Aによれば、ウエーハ内部に集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置を提供することができる。
処理速度がより速くなるのは、ウエーハWの下面側を冷却し、ウエーハWの上面側を加熱して、ウエーハWを下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成することで、常温状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域を形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ため、厚みが厚いウエーハであっても、パルスレーザー光の走査回数を減らすことができることによるものである。
ウエーハWに対する熱の影響がより小さくなるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、パルスレーザー光のパルス幅を長くするのではなく、上記のようにウエーハWの下面側を冷却し、ウエーハWの上面側を加熱して、ウエーハWを下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに対してレーザー光を照射して改質領域Pを形成するようにしたことによるものである。
より安価となるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、特殊な光学系を用いてウエーハWの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成するのではなく、上記のようにウエーハWの下面側を冷却し、ウエーハWの上面側を加熱して、ウエーハWを下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに対してレーザー光を照射して改質領域Pを形成するようにしたことによるものである。
本変形例のレーザーダイシング装置10Aは、特に、ウエーハW内部の上面寄りに集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハ内部に切断の起点となる改質領域Pを形成する場合に有効となる。
次に、レーザーダイシング装置10の第2変形例であるレーザーダイシング装置10Bについて説明する。
図7は、第2変形例のレーザーダイシング装置10BにおいてウエーハWの上面側が冷却され、下面側が加熱されている様子を表わす側面図である。
本変形例のレーザーダイシング装置10Bは、上記実施形態のレーザーダイシング装置10と比べ、ウエーハWの上面側を冷却する冷却手段、ウエーハWの下面側を加熱する加熱手段を備えている点が相違する。それ以外、上記実施形態のレーザーダイシング装置10と同様の構成である。以下、上記実施形態のレーザーダイシング装置10との相違点を中心に説明し、上記実施形態のレーザーダイシング装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
ウエーハWの上面側を冷却する冷却手段としては、例えば、上記実施形態の変形例で説明した冷却チャンバを用いることができる。
ウエーハWの下面側を加熱する加熱手段としては、例えば、冷凍チャックテーブル12に代えてホットチャックテーブル(例えば、プローブカードを用いたウエーハテストにおいて用いられる、ウエーハを加熱するためのホットチャック)を用いることができる。
次に、本変形例のレーザーダイシング装置10Bの作用について説明する。
まず、ウエーハWが、リング状のフレームFに取り付けられたダイシングテープT上に裏面が貼り付けられた状態でマウントされ、図7に示すように、ホットチャックテーブル90上に真空吸着されてこれに保持される(平面状に固定される)。その際、ウエーハWは、ホットチャックテーブル90によりその下面側が加熱され、かつ、冷却手段(例えば、冷却チャンバ)によりその上面側が冷却されて、下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態。例えば、図7に一点鎖線で示すウエーハW参照)とされ、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)で保持される。
次に、ホットチャックテーブル90に載置されたウエーハWは、図示しないCCDカメラで表面の回路パターンやアライメントマークが撮影され、画像処理手段を有するアライメント手段によってアライメントされる。
次いで、各レーザーヘッド31がYテーブル43で送られてウエーハWの加工ライン上に位置付けられる。ここで集光点がウエーハWの内部に位置するように、Zテーブル52によってZ方向に高さ調整された各レーザーヘッド31から、パルスレーザー光Lが上記温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに照射されるとともに、ウエーハWがXテーブル12AによってX方向に加工送りされる。これにより、レーザー光照射手段としての各レーザーヘッド31は、上記温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハW内部に集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハW内部に切断の起点となる改質領域Pを連続的に形成する。
次に、各レーザーヘッド31がYテーブル43で次の加工ラインに割り出し送りされ、パルスレーザー光L照射の下で上記温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWがX方向に加工送りされ、次の加工ラインもウエーハW内部に改質領域Pが形成される。全ての加工ラインへのレーザー照射が終了すると、ウエーハWはθテーブル12Bによって90°回転され、先程の加工ラインと直交する加工ラインに対してパルスレーザー光Lが照射される。こちら側の加工ラインもウエーハWのX方向加工送りと、各レーザーヘッド31のY方向割り出し送りが繰り返され、全ラインのレーザー照射が終了すると、1枚のウエーハWのレーザーダイシングが完了する。
以上説明したように、本変形例のレーザーダイシング装置10Bによれば、ウエーハ内部に集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、処理速度がより速く、ウエーハに対する熱の影響がより小さく、より安価なレーザーダイシング装置を提供することができる。
処理速度がより速くなるのは、ウエーハWの上面側を冷却し、ウエーハWの下面側を加熱して、ウエーハを下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域Pを形成することで、常温状態のウエーハWに対してパルスレーザー光を照射して改質領域を形成する場合と比べ、クラックをより進展させることができる(クラックの進展量を増大させることができる)ため、厚みが厚いウエーハであっても、パルスレーザー光の走査回数を減らすことができることによるものである。
ウエーハWに対する熱の影響がより小さくなるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、パルスレーザー光のパルス幅を長くするのではなく、上記のようにウエーハWの上面側を冷却し、ウエーハWの下面側を加熱して、ウエーハWを下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに対してレーザー光を照射して改質領域Pを形成するようにしたことによるものである。
より安価となるのは、クラックをより進展させるために(クラックの進展量を増大させるために)、特殊な光学系を用いてウエーハWの厚み方向に複数の改質領域(クラック)を形成するのではなく、上記のようにウエーハWの上面側を冷却し、ウエーハWの下面側を加熱して、ウエーハWを下面側と上面側とで温度が異なる温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)とし、この温度勾配が設定された状態(湾曲しようとする内部応力が生じている状態)のウエーハWに対してレーザー光を照射して改質領域Pを形成するようにしたことによるものである。
本変形例のレーザーダイシング装置10Bは、特に、ウエーハW内部の下面寄りに集光点を合わせてパルスレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿ってウエーハ内部に切断の起点となる改質領域Pを形成する場合に有効となる。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
10、10A、10B…レーザーダイシング装置、11…ベース、12…冷凍チャックテーブル、31…レーザーヘッド、41…ガイドベース、42…ガイドレール、43…テーブル、51…ガイドレール、52…テーブル

Claims (3)

  1. ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザー光照射手段を備えたレーザーダイシング装置において、
    前記ウエーハを冷却して密度を高める冷却手段を備えており、
    前記レーザー光照射手段は、前記冷却手段により冷却して密度が高められた状態の前記ウエーハに対して、前記レーザー光を照射して、前記改質領域を形成するレーザーダイシング装置。
  2. 前記冷却手段は、前記ウエーハを保持する冷凍チャックテーブル、少なくとも前記ウエーハが内部に配置された冷却チャンバ及び前記ウエーハに対して冷風を送風する送風機のいずれかである請求項1に記載のレーザーダイシング装置。
  3. ウエーハ内部に集光点を合わせてレーザー光を加工ラインに沿って照射し、当該加工ラインに沿って前記ウエーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング方法において、
    前記ウエーハを冷却して密度を高める冷却ステップと、
    前記冷却ステップにより冷却して密度が高められた状態の前記ウエーハに対して、前記レーザー光を照射して、前記改質領域を形成するレーザー光照射ステップと、
    を備えるレーザーダイシング方法。
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