JP2019159049A - 表示システム及び2面コーナーリフレクタアレイ - Google Patents

表示システム及び2面コーナーリフレクタアレイ Download PDF

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Abstract

【課題】空中像の鑑賞に慣れていない鑑賞者であっても、空中像を認識し易くする。【解決手段】2面コーナーリフレクタアレイ3と、空中映像用ディスプレイ2と、鏡像映像用ディスプレイ5とを備え、2面コーナーリフレクタアレイ3によって、空中映像用ディスプレイ2の表示に対応する空中像AIを結像すると共に、2面コーナーリフレクタアレイ3の一方の主面3bの平面鏡部によって、鏡像映像用ディスプレイ5の表示を反射させ、鑑賞者4は、空中像AIと鏡像とが組合された奥行き感のある表示を鑑賞することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、空中像と鏡像とを組合せた表示が可能な表示システム及びこの表示システムに好適な2面コーナーリフレクタアレイに関する。
従来、直交する2つの鏡面(反射面)から構成される2面コーナーリフレクタを多数備えた2面コーナーリフレクタアレイ(DCRA:Dihedral Corner Reflector Array)を用いて、ディスプレイに表示された像を空中像として空中に表示する表示装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017−173527号公報
空中像は、空中に浮かび上がるような像であるために、奥行き感が得られず、空中像の鑑賞に慣れていない鑑賞者にとっては、空中像を認識するのが難しい場合があった。
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、空中像の鑑賞に慣れていない鑑賞者であっても、空中像を認識し易くすることを目的とする。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
すなわち、本発明の表示システムは、略直交する2つの鏡面によって構成される2面コーナーリフレクタを複数備える2面コーナーリフレクタアレイと、前記2面コーナーリフレクタアレイの一方の主面へ向けて画像を表示する第1表示装置と、前記2面コーナーリフレクタアレイの他方の主面へ向けて画像を表示する第2表示装置とを備え、前記2面コーナーリフレクタアレイは、前記他方の主面側の空間に、前記第1表示装置の画像を、空中画像として結像させると共に、前記第2表示装置の画像を前記他方の主面側の空間へ反射する反射部を有する。
第1表示装置及び第2表示装置によって表示される画像は、静止画像であってもよく、動画像であってもよい。
本発明の表示システムによれば、第1表示装置によって表示される画像を、2面コーナーリフレクタアレイの他方の主面側の空間に空中画像として結像させると共に、第2表示装置によって表示される画像を、2面コーナーリフレクタアレイの反射部によって、前記他方の主面側の空間に反射するので、他方の主面側の空間に位置する鑑賞者は、空中画像と前記反射部で反射した鏡像とが組合された画像を見ることができる。
これによって、空中に浮かび上がるような空中画像のみの場合に比べて、奥行き感を得ることができ、空中画像の鑑賞に不慣れな鑑賞者であっても、空中画像を容易に認識することができる。
また、空中画像と鏡像とを組合せた奥行き感のある表示によって、演出効果やアイキャッチ効果を高めた印象深い表示が可能となる。
前記反射部が、前記2面コーナーリフレクタアレイの前記他方の主面に形成された平面鏡部であるのが好ましい。
上記構成によれば、2面コーナーリフレクタアレイの主面の平坦な部分を、第2表示装置に表示される画像を反射する平面鏡部として利用することができ、鏡像を得るために平面鏡を別途設ける必要がない。
前記2面コーナーリフレクタアレイは、前記一方の主面と前記他方の主面との両主面間を貫通する複数の貫通孔を有し、各貫通孔の隣接する2つの内壁面が、平面視で略直交する前記2つの鏡面を構成するものであり、前記2面コーナーリフレクタアレイは、前記他方の主面の前記複数の貫通孔の形成領域以外の残余の領域に、前記平面鏡部が形成されているのが好ましい。
この場合、前記平面鏡部は、前記残余の領域に形成されていればよく、前記残余の領域の全領域に形成されていなくてもよい。
上記構成によれば、両主面間を貫通する複数の各貫通孔の隣接する2つの内壁面を、平面視で略直交する2つの鏡面として2面コーナーリフレクタアレイを構成する一方、2面コーナーリフレクタアレイの他方の主面の前記各貫通孔の形成領域以外の残余の領域を、第2表示装置に表示される画像を反射する平面鏡部として利用することができる。
前記2面コーナーリフレクタアレイは、異方性エッチング材料で構成されると共に、前記貫通孔の隣接する2つの内壁面が、光反射性膜で被覆されて前記2つの鏡面を構成しているのが好ましい。
上記構成によれば、2面コーナーリフレクタアレイは、異方性エッチング材料で構成されているので、隣接する2つの内壁面が平面視で略直交する複数の貫通孔を、異方性エッチングによって容易に形成することが可能である共に、貫通孔の隣接する2つの内壁面を光反射性膜で被覆して2つの鏡面とすることができる。
本発明の2面コーナーリフレクタアレイは、略直交する2つの鏡面によって構成される2面コーナーリフレクタを複数備える2面コーナーリフレクタアレイであって、当該2面コーナーリフレクタアレイの一方の主面と他方の主面との両主面間を貫通する複数の貫通孔を有し、各貫通孔は、前記2つの鏡面を構成する、平面視で略直交する2つの内壁面をそれぞれ有し、前記両主面の少なくともいずれか一方の主面において、前記複数の貫通孔の形成領域以外の残余の領域が、反射部となっている。
本発明の2面コーナーリフレクタアレイによれば、2面コーナーリフレクタとして機能する複数の各貫通孔によって、空中像を結像させることができると共に、両主面の少なくともいずれか一方の主面の前記複数の貫通孔の形成領域以外の残余の領域を反射部として利用することができる。したがって、空中像と鏡像とを組合せて表示する本発明の表示システムの2面コーナーリフレクタアレイとして好適に使用することができる。
前記反射部が、前記残余の領域に形成された平面鏡部であるのが好ましい。
上記構成によれば、2面コーナーリフレクタアレイの主面の貫通孔の形成領域以外の残余の領域における平坦な部分を、平面鏡部として利用することができ、鏡像を得るために平面鏡を別途設ける必要がない。
前記主面において、前記複数の貫通孔の形成領域の面積と前記残余の領域の面積とを合せた合計面積に占める前記形成領域の面積の比率が、90%以下であるのが好ましい。
上記構成によれば、2面コーナーリフレクタを構成する複数の貫通孔の形成領域が、90%以下であるので、前記形成領域以外の反射部となる残余の領域の面積を確保して、視認性が良好な鏡像を得ることができる。
当該2面コーナーリフレクタアレイは、異方性エッチング材料で構成されており、各貫通孔は、平面視で略直交する2つの内壁面をそれぞれ有し、前記2つの内壁面が、光反射性膜で被覆されて前記2つの鏡面を構成するのが好ましい。
上記構成によれば、2面コーナーリフレクタアレイは、異方性エッチング材料で構成されているので、隣接する2つの内壁面が平面視で略直交する複数の貫通孔を、異方性エッチングによって容易に形成することが可能である共に、貫通孔の2つの内壁面を光反射性膜で被覆して2つの鏡面とすることができる。
当該2面コーナーリフレクタアレイは、前記両主面を構成すると共に、前記複数の貫通孔を区画形成する枠部を備え、前記枠部の前記両主面の少なくともいずれか一方の主面が、前記反射部となっているのが好ましい。
上記構成によれば、枠部によって区画形成される複数の各貫通孔によって2面コーナーリフレクタを構成することができると共に、枠部の主面における各貫通孔の周囲の領域を反射部とすることができる。
本発明によれば、第1表示装置によって表示される画像を、2面コーナーリフレクタアレイの他方の主面側の空間に空中画像として結像させると共に、第2表示装置によって表示される画像を、2面コーナーリフレクタアレイの反射部によって、前記他方の主面側の空間に反射するので、前記他方の主面側の空間に位置する鑑賞者は、空中画像と反射部で反射した鏡像とが組合された画像を見ることができる。
これによって、空中に浮かび上がるような空中画像のみの場合に比べて、奥行き感を得ることができ、空中画像の鑑賞に不慣れな鑑賞者であっても、空中画像を容易に認識することができる。
また、空中画像と鏡像とを組合せた奥行き感のある表示によって、演出効果やアイキャッチ効果を高めた印象深い表示が可能となる。
図1は本発明の一実施形態に係る表示システムの概略構成図である。 図2は空中像と鏡像とを組合せた表示の一例を示す図である。 図3は図1の2面コーナーリフレクタアレイを模式的に示す斜視図である。 図4は図3の平面図である。 図5は図4のA−A線断面図である。 図6は図4のB−B線断面図である。 図7は図4の一部を拡大した平面図である。 図8は図3の2面コーナーリフレクタアレイによる結像様式を模式的に示す図である。 図9は図3の2面コーナーリフレクタアレイにおける一つの2面コーナーリフレクタの反射経路を模式的に示す図である。 図10はATカット水晶板を示す切断方位図である。 図11は2面コーナーリフレクタアレイの製造方法におけるエッチング工程を示す図である。 図12は2面コーナーリフレクタアレイの製造方法における接合工程及び反射膜形成工程を示す図である。 図13は本発明の他の実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイの平面図である。 図14は図13の一部を拡大して示す平面図である。 図15は図13の一部を拡大して示す斜視図である。 図16は図13の一つの貫通孔を代表的に示す拡大した平面図である。 図17は図13の2面コーナーリフレクタアレイによる結像様式を模式的に示す図である。 図18は図13の2面コーナーリフレクタアレイの製造工程を示す概略断面図である。 図19はエッチング工程のマスクパターンを示す平面図である。 図20は図19のマスクパターンの1つのパターンを代表的に示す拡大した平面図である。 図21は貫通孔の角部における内壁面の歪を示す図16に対応する平面図である。 図22は本発明の更に他の実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイの平面図である。 図23は図22の一つの貫通孔を代表的に示す拡大した平面図である。 図24はエッチング工程のマスクパターンを示す平面図である。 図25は図24のマスクパターンの1つのパターンを代表的に示す拡大した平面図である。 図26は本発明の他の実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイの斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示システムの概略構成図である。
この実施形態の表示システム1は、第1表示装置としての空中映像用ディスプレイ2と、この空中映像用ディスプレイ2からの映像を、空中像AIとして結像させる2面コーナーリフレクタアレイ3とを備えている。
空中映像用ディスプレイ2は、2面コーナーリフレクタアレイ3の一方の主面3aに向けて、空中像用の映像を表示するものである。この空中映像用ディスプレイ2は、特に限定されないが、例えば、液晶表示パネル、有機ELパネルやプラズマディスプレイなどのフラットパネルなどが好ましい。空中映像用ディスプレイ2の映像は、2面コーナーリフレクタアレイ3の2つの反射面によって2回反射して空中像AIとして結像されるので、後述の鏡像映像用ディスプレイ5に比べて、高輝度のディスプレイであるのが好ましい。
空中映像用ディスプレイ2が表示する映像である空中像AIは、静止画像または動画像のいずれであってもよい。すなわち、空中映像用ディスプレイ2が表示する映像としては、静止画像または動画像のいずれであってもよい。空中映像用ディスプレイ2が表示する映像は、特に限定されず、例えば、ゲーム用、広告用、案内用、あるいは、各種のコンテンツの映像等であってもよい。
2面コーナーリフレクタアレイ3は、直交する2つの反射面、すなわち、鏡面から構成される2面コーナーリフレクタを多数備えたものである。
この実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ3は、後述のように、多数の貫通孔が形成された平板状であって、各貫通孔の2つの内壁面によって2つの鏡面がそれぞれ構成されて、2面コーナーリフレクタとして機能する。
多数の貫通孔を有する2面コーナーリフレクタアレイ3は、空中映像用ディスプレイ2に表示される映像を、当該2面コーナーリフレクタアレイ3に対して面対称な位置である、他方の主面3b側の空間に、空中像AIとして結像させる。
この実施形態では、空中に浮き上がるように表示される空中像AIを、空中像の鑑賞に不慣れな鑑賞者4であっても、容易に認識できるように、次のように構成している。
すなわち、この実施形態の表示システム1は、空中像AIと鏡像とを組合せた表示を行うものである。このため、表示システム1は、第2表示装置としての鏡像映像用ディスプレイ5を備えている。更に、上記のように多数の貫通孔を有する平板状の2面コーナーリフレクタアレイ3は、鏡像映像用ディスプレイ5に臨む側の他方の主面3bが、鏡像映像用ディスプレイ5で表示される映像を反射する反射部を構成する平面鏡部となっている。具体的には、後述のように、他方の主面3bにおいて、多数の貫通孔が形成された形成領域以外の残余の領域、すなわち、多数の貫通孔の周囲の平坦な領域が、平面鏡部となっている。
鏡像映像用ディスプレイ5は、2面コーナーリフレクタアレイ3の他方の主面3bに向かって鏡像用の映像を表示するものであり、空中像AIを鑑賞する鑑賞者4が、2面コーナーリフレクタアレイ3の他方の主面3bで反射した鏡像を鑑賞できるように配置されている。この鏡像映像用ディスプレイ5は、特に限定されないが、例えば、液晶表示パネル、有機ELパネルやプラズマディスプレイなどのフラットパネルなどが好ましい。鏡像映像用ディスプレイ5が表示する映像としては、静止画像または動画像のいずれであってもよい。鏡像映像用ディスプレイ5が表示する映像は、空中映像用ディスプレイ2と同様に、特に限定されないが、空中映像用ディスプレイ2が表示する映像に関連する映像であるのが好ましい。
この鏡像映像用ディスプレイ5に表示される映像は、2面コーナーリフレクタアレイ3の、平面鏡部となっている他方の主面3bによって、空中像AIが結像されている空間へ反射される。これによって、2面コーナーリフレクタアレイ3の他方の主面3b側の空間に位置している鑑賞者4は、空中像AIと鏡像とが組合された映像を、鑑賞することができる。
空中映像用ディスプレイ2と鏡像映像用ディスプレイ5とは、図示しない制御装置によって映像表示のタイミングが制御されており、各ディスプレイ2,5では、同期をとった映像がそれぞれ表示される。
このとき、想定される鑑賞者4の鑑賞位置に基づいて、空中映像用ディスプレイ2は、鏡像の表示領域に対応する鏡像領域を、例えば白抜きにして、鏡像領域以外に映像を表示する。これに対して、鏡像映像用ディスプレイ5は、空中像AIの表示領域に対応する空中像領域を、例えば白抜きにして、空中像領域以外に映像を表示する。これによって、空中像AIと鏡像とが、重なることなく、それぞれ対応する領域に表示される。
図2は、空中像AIと鏡像とが組合された映像の一例を示す図である。この例では、空中像AIが、ウサギの静止画の映像であり、鏡像MIが、空中像AIの領域を除く背景の静止画の映像である。
このようにウサギの空中像AIに、そのウサギが存在する背景の鏡像MIを組合せて表示することによって、空中に浮かび上がるような空中像AIのみを表示する場合に比べて、奥行き感が得られ、空中像AIの鑑賞に不慣れな鑑賞者4であっても、空中像AIを容易に認識することができる。
また、空中像AI及び鏡像MIとして、各ディスプレイ2,5によってそれぞれ表示される、例えば、ゲーム用や広告用などの様々な映像を組合せて表示できるので、印象深く、演出効果やアイキャッチ効果の高い表示を行うことができる。
次に、この実施形態の表示システム1に使用される2面コーナーリフレクタアレイ3について、詳細に説明する。
図3は、2面コーナーリフレクタアレイ3を模式的に示す斜視図であり、図4はその平面図であり、図5は、図4のA−A線断面図であり、図6は、図4のB−B線断面図である。なお、図5及び図6の断面図では、後述の光反射性膜等の図示は省略している。
この実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ3は、矩形板状の第1反射体6と、同じく矩形板状の第2反射体7とを備えている。
各反射体6,7は、各一辺の長さが、例えば、約50mmであり、厚みが、例えば、0.08mm〜0.2mmである。
第1反射体6は、一方向(図4の上下方向、図5の左右方向)へ延びる互いに平行な複数の貫通孔6aが、等しい間隔をあけて形成されている。第2反射体7は、実質的に第1反射体6と同じ構造を有し、一方向(図4及び図6の左右方向)へ延びる互いに平行な複数の貫通孔7aが、等しい間隔をあけて形成されている。各貫通孔6a,7aは、平面視で前記一方向へそれぞれ延びる矩形であり、前記一方向に直交する断面が、図6及び図5に示すように略矩形である。
各貫通孔6a,7aの長手方向の長さは、例えば、約45mmであり、幅は、例えば、0.16mm〜0.20mmである。
また、各反射体6,7に形成されている貫通孔6a,7aの数は、例えば、前述した貫通孔の長さおよび幅の場合、例えば、200〜225である。
各反射体6,7の貫通孔6a,7aのサイズや数等は、2面コーナーリフレクタアレイ3の用途や要求される明度や解像度及び鏡像を得るための平面鏡部等を考慮して適宜選択すればよい。
第1反射体6の複数の貫通孔6aが延びる一方向と、第2反射体7の複数の貫通孔7aが延びる一方向とが、図4に示すように、平面視で互いに略直交するように、第1反射体6と第2反射体7とが重ね合わされて接合されており、第1反射体6の複数の貫通孔6aと第2反射体7の複数の貫通孔7aとが、格子状に交差している。
各反射体6,7は、特定の結晶面がエッチングされ易い、異方性エッチング材料である水晶ウェハで構成されており、その露出面の全体が、貫通孔6a,7aの内壁面を含めて光反射性膜で被覆された反射面、すなわち、鏡面となっている。
各貫通孔6a,7aの前記一方向に延びる内壁面は、後述の異方性エッチングによって、平板状の反射体6,7の表裏の板面、すなわち、表裏の両主面に対して略垂直に形成されている。
略垂直とは、垂直である90度だけでなく、85度〜95度、好ましくは、87度〜93度を含むものである。
この実施形態では、第1反射体6の複数の貫通孔6aの長手方向に延びて対向する内壁面が、第1反射面6a1となり、第2反射体7の複数の貫通孔7aの長手方向に延びて対向する内壁面が、第2反射面7a1となる。
上記のように第1,第2反射体6,7は、複数の貫通孔6a,7aが延びる方向が、平面視で略直交するように重ね合わされて接合されているので、第1反射体6の第1反射面6a1と、第2反射体7の第2反射面7a1とが、高さをずらして平面視で略直交している。
図7は、図4の一部を拡大して示す平面図である。
この実施形態では、上記のように、第1反射体6の第1反射面6a1と、第2反射体7の第2反射面7a1とが、高さをずらして略直交するように重ね合わせているので、貫通孔6aの対向する第1反射面6a1同士と、貫通孔7aの対向する第2反射面7a1同士とによって区画される平面視が矩形の領域Sが多数形成される。
この各矩形の領域Sにおいて、高さをずらして直交する2つの第1反射面6a1と第2反射面7a1とによって2面コーナーリフレクタ8が構成され、この微小な2面コーナーリフレクタ8を、縦横に多数並べた2面コーナーリフレクタアレイ3が構成される。
ここで、図8及び図9を参照して、2面コーナーリフレクタアレイ3の光学結像作用について説明する。図8は、2面コーナーリフレクタアレイ3による結像様式を模式的に示す図であり、図9は、2面コーナーリフレクタアレイ3における一つの2面コーナーリフレクタ8の反射経路を模式的に示す図である。
2面コーナーリフレクタアレイ3は、表裏面に平行であって、厚み方向の中央を横断する素子面9に対して一方側(図8では下方側)の空間に配置した光源10の空中像11を実像として、素子面9に対する面対称位置に結像させるものである。
このような2面コーナーリフレクタアレイ3による結像作用は、各2面コーナーリフレクタ8において、光源10からの光が素子面9の一方側から他方側へ透過する際に、光源10から発した光が第1反射面6a1で反射し、更に第2反射面7a1で反射することによって得られるものである。
このようにして2面コーナーリフレクタアレイ3では、素子面9の一方側の空間に配置された光源10から発した光が、2面コーナーリフレクタアレイ3を通過する際に、図9で示すように、2面コーナーリフレクタ8の第1反射面6a1及び第2反射面7a1で1回ずつ、合計2回反射する。これにより、素子面9に対する光源10の面対称位置に空中像11が結像し、それを素子面9に対して空中像11と同じ側の空間から観察することができる。
すなわち、図8における光源10が、上記図1の表示システム1における空中映像用ディスプレイ2によって表示される映像に対応し、空中像11が、表示システム1における空中像AIに対応する。
このように2面コーナーリフレクタアレイ3では、高さをずらして直交する2つの第1反射面6a1と第2反射面7a1とによって2面コーナーリフレクタ8が構成される。また、2面コーナーリフレクタアレイ3の表裏の両主面のいずれか一方の主面、例えば、第2反射体7の平坦な表面が、反射部である平面鏡部とされる。具体的には、第2反射体7の表面において、図3、図4、図8に示すように、複数の貫通孔7aが形成されている形成領域を除く残余の領域、すなわち、各貫通孔7aの周囲の平坦な領域が、平面鏡部37を構成している。このように第2反射体7の表面において、各貫通孔7aを区画形成する枠部の平坦な領域が、平面鏡部37となっている。
したがって、平面視において、2面コーナーリフレクタ8を構成する多数の矩形の各領域Sの面積を積算した面積と、第2反射体7の表面の平面鏡部37の面積との比率の設定によって、2面コーナーリフレクタ8による空中像AIと平面鏡部37による鏡像MIとの視認性を調整することができる。
特に、想定される空中像AIの結像位置において、空中像AIと鏡像MIとが、最も視認性が良好となるように前記比率を設定するのが好ましく、この設定は、例えば、各反射体6,7の各貫通孔6a,7aの数、幅、長さ、隣合う貫通孔間の間隔等を選択することによって行うことができる。
この実施形態では、平面視で、2面コーナーリフレクタ8を構成する多数の矩形の各領域Sの面積を積算した面積D1と、平面鏡部37の面積D2とを合せた合計面積D3(=D1+D2)に占める矩形の各領域Sの面積を積算した面積D1の比率{=(D1/D3)×100}は、90%以下である。
このように2面コーナーリフレクタ8を構成する多数の矩形の各領域Sの面積を積算した面積D1を制限して、平面鏡部37の面積D2を確保することによって、平面鏡部37で反射して得られる鏡像MIの視認性を高めることができる。
次に、この実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ3の製造方法について説明する。
この実施形態の製造方法では、先ず、異方性エッチング材料である水晶ウェハに、フォトリソグラフィを用いた異方性エッチングを行って、第1,第2反射体6,7の基本構造を有する構造体を作製する。
この実施形態では、水晶ウェハとして、ATカットした水晶板であるAT板を用いている。
ATカットは、図10の切断方位図に示すように、主面がY軸に直交した水晶板(Y板)を+X軸から見て、X軸を中心としてZ軸から反時計回りに35゜15´回転した切断角度である。回転した新たな軸をY´及びZ´軸という。AT板12では、主面がXZ´平面とされる。
なお、AT板12に代えて、主面(X−Y平面)がZ軸に直交するZ板13を使用してもよい。
図11は、このAT板12に、フォトリソグラフィを用いた異方性エッチングを行って、各反射体6,7の基本構造を有する構造体を作製するエッチング工程を模式的に示す概略断面図である。
この図11においては、矩形板状のAT板12のZ´軸方向が左方向、Y´軸方向が上方向となり、AT板12の矩形の直交する二辺が、Z´軸方向及びX軸方向である。
このAT板12の両主面は、研磨加工によって、平坦平滑面(鏡面加工面)となっている。
図11(a)に示される洗浄したAT板12に、例えば、スパッタリングや蒸着などの手法を用いて耐フッ酸膜である金属膜14を、図11(b)に示すように形成する。この金属膜14は、例えばクロム(Cr)の下地層に金(Au)を積層したものである。
次に、図11(c)に示すようにスピンコートなどによって、フォトレジスト15を塗布する。
このフォトレジスト15を、図11(d)に示すように、複数の貫通孔に対応するパターンとなるように露光及び現像する。このとき、次の異方性エッチングで、貫通孔の内壁面が、垂直となるように、表裏のパターンをずらして形成する。
次に、図11(e)に示すように、フォトレジスト15をマスクにして金属膜14のウェットエッチングを行い、フォトレジスト15に覆われていない金属膜14の部分を除去する。
次に、図11(f)に示すように、水晶をウェットエッチングする。このとき、水晶の結晶異方性を利用した異方性エッチングによって、垂直な内壁面を有する複数の貫通孔12aが形成される。
次に、図11(g)に示すように、フォトレジスト15及び金属膜14を除去し、複数の貫通孔12aが形成されたAT板12からなる構造体16を得る。
この構造体16は、一方向へ延びる互いに平行な複数の貫通孔12aが、等しい間隔をあけて形成されている。この構造体16は、上記第1,第2反射体6,7が接合される前であって、その表面に金属膜等が形成されていない状態の水晶ウェハであり、第1,第2反射体6,7に対応する構造体である。
なお、ウェットエッチングに代えてドライエッチングを行って、複数の貫通孔12aを形成してもよい。
このようにして、エッチング工程によって、上記第1,第2反射体6,7に対応する2つの構造体16を作製する。
2つの構造体16は、いずれも同じ構造を有し、矩形の水晶板であるAT板12に、一方向へ延びる互いに平行な複数の貫通孔12aが形成されている。
次に、接合工程によって、後述する接合用の金属膜が形成された2つの構造体16を、複数の貫通孔12aがそれぞれ延びる一方向が、平面視で互いに略直交するように重ね合わせて接合する。
その後、接合された両構造体16の全面を、光反射性膜で被覆して反射面を形成する反射面形成工程を行う。
図12は、この接合工程及び反射膜形成工程を模式的に示す図11に対応する概略断面図である。
図12(a)に示される構造体16に、例えば、スパッタリングや蒸着などの手法を用いて接合用の金属膜17を、図12(b)に示すように形成する。この接合用の金属膜17は、例えばチタン(Ti)の下地層に金(Au)を積層したものである。
この接合用の金属膜17を形成した2つの第1,第2構造体161,162を準備し、第1構造体161における複数の貫通孔12aが延びる一方向と、第2構造体162における複数の貫通孔12aが延びる一方向とが、平面視で互いに略直交するように、すなわち、第1構造体161に対して、第2構造体162を90°回転させた状態で、図12(c)に示すように、重ね合わせて接合する。
このとき、第1構造体161の接合用の金属膜17であるAu膜と、第2構造体162の接合用の金属膜17であるAu膜とが、重ね合わされた状態で拡散接合されて、Au−Au接合となる。このAu−Au接合は、Au膜の表面が活性な状態で行われるのが好ましい。このAu−Au接合は、加熱、加圧することによって、より強固に接合することができる。
このように第1構造体161及び第2構造体162の接合は、接合用の金属膜17であるAu膜によるAu−Au接合であるので、接着剤を塗布して接合する場合のように接着剤の厚みが不均一になるといったことがなく、接着剤に比べて、微小な接合領域であっても確実安定に接合することができ、また、接着剤による接合に比べて高い耐熱性を有する。
接合後、接合された第1構造体161及び第2構造体162の貫通孔12aの内壁面を含む露出面の全面に、図12(d)に示されるように、例えば、スパッタリングや蒸着などの手法を用いて金属膜からなる光反射性膜18を形成して反射面、すなわち、鏡面とする反射膜形成工程を行う。これによって、第1,第2構造体161,162が、図3に示される第1,第2反射体6,7となり、
2面コーナーリフレクタアレイ3が構成される。
この光反射性膜18を構成する金属膜として、例えば、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属を用いることができ、この実施形態では、銀合金(例えばAg−Pd-Cu合金)を用いている。
第1構造体161及び第2構造体162の貫通孔12aは、異方性エッチングによって形成されるので、その貫通孔12a内壁は、平坦面とすることができ、反射率を高めることができる。
なお、空中像を表示する表示画面に応じて、2面コーナーリフレクタアレイ3を大型化する場合には、例えば、透明なガラス基板等に、2面コーナーリフレクタアレイ3を、縦横に多数並べて接合すればよい。
本実施形態によれば、第1反射体6と第2反射体7とが、その各反射面6a1,7a1が高さをずらして略直交するように重ね合わせて接合されているので、貫通孔6aの対向する第1反射面6a1同士と、貫通孔7aの対向する第2反射面7a1同士とによって区画される平面視が矩形の領域Sが多数形成される。これら各矩形の領域Sにおいて、直交する第1反射面6a1と第2反射面7a1とからなる2面コーナーリフレクタ8を構成することができる。
また、全面が、光反射性膜18で被覆された反射面となっているので、一方の主面側である第2反射体7に限らず、他方の主面側である第1反射体6の貫通孔6aの形成領域を除く平坦な面を、平面鏡部として使用することができる。
従来、2面コーナーリフレクタアレイの製造方法として、樹脂材料などを金型で成型する方法があるが、2面コーナーリフレクタは、微小な凹部や凸部を有しているので、金型の製作に高い精度が要求されると共に、金型からの製品の離型が容易でなく、製造コストが高くなるといった課題がある。
これに対して、本実施形態では、各反射体6,7の各反射面6a1,7a1となる各貫通孔6a,7aは、異方性エッチングによって形成するので、高価な金型を使用して2面コーナーリフレクタアレイを成型する従来例のように金型からの離型の問題もなく、安価にかつ容易に製造することができる。
なお、上記実施形態では、両主面を、光反射性膜で被覆したが、本発明の他の実施形態として、平面鏡部として使用する一方の主面を、光反射性膜で被覆してもよい。
各反射体6,7の機械的強度等によって、各貫通孔6a,7aの対向する反射面同士6a1,6a1;7a1,7a1が撓んで接触し、元に戻らなくなる、いわゆるスティッキングが生じるような場合には、それを防止するために、次のようにしてもよい。すなわち、各貫通孔6a,7aの長手方向の適宜箇所に、対向する反射面同士6a1,6a1;7a1,7a1をそれぞれ連結支持する桟を、貫通孔6a,7aを分断するように形成して、反射面同士6a1,6a1;7a1,7a1が近接接触しないようにすればよい。この場合、上記エッチング工程において、桟を形成する部分をマスクして異方性エッチングを行えばよい。
上記実施形態では、各反射体6,7の各貫通孔6a,7aの対向する内壁面は、略垂直に形成したが、2面コーナーリフレクタアレイ3の用途等に応じて、内壁面を傾斜面としてもよい。
上記実施形態では、第1構造体161と第2構造体162を重ね合せて接合した後に、光反射性膜18を形成したが、各構造体161,162に光反射性膜18をそれぞれ形成した後に、両構造体161,162を重ね合せて接合してもよい。
上記実施形態では、異方性エッチング材料として水晶を使用したが、シリコン単結晶などの他の異方性エッチング材料を使用してもよい。
次に、本発明の他の実施形態の2面コーナーリフレクタアレイについて説明する。
図13は、本発明の他の実施形態に係る2面コーナーリフレクタアレイの平面図であり、図14は図13の一部を拡大して示す平面図であり、図15は、図13の一部を拡大して示す斜視図である。
この実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ31は、平面視矩形、この例では平面視正方形の平板状の単一の反射体19を備えている。
この反射体19は、正方形の各一辺の長さが、例えば、約50mmであり、厚みが、例えば、0.08mm〜0.3mmである。平板状の反射体19には、その表裏の板面、すなわち、両主面に対して垂直に貫通する多数の貫通孔20が形成されている。この反射体19は、後述のように、各貫通孔20の内壁面を含む全面が、光反射性膜で被覆された反射面となっている。
図16は、図13ないし図15の一つの貫通孔20を代表的に拡大して示す平面図である。
この貫通孔20は、隣接する内壁面が光反射性膜で被覆された反射面20a,20bを有し、両反射面20a,20bが平面視で略直交する角部21を1つ有する六角形状となっている。すなわち、角部21を構成する両反射面20a,20bのなす角θは、略90度である。
ここで、略直交するとは、直角(90度)に交差する場合に限らず、90±2度、好ましくは、90±1度の角度範囲で交差する場合も含むものである。また、交差する角部21の頂点21a付近の反射面20a,20bが、例えば、曲面状に歪んでいるような場合も含むものである。
貫通孔20のサイズは、各反射面20a,20bにそれぞれ隣接して、互いに対向する反射面20c,20d間の距離L1が、例えば、0.33mmであり、前記角部21の頂点21aと、この角部21に対向する角部22の頂点との距離L2が、例えば、0.33mmである。
また、反射体19に形成されている貫通孔20の単位面積あたりの形成数は、前記サイズの貫通孔20の場合、例えば、1mm2あたりでは約8個である。
反射体19は、特定の結晶面がエッチングされ易い、異方性エッチング材料である水晶ウェハで構成されている。貫通孔20の内壁面は、後述の異方性エッチングによって、平板状の反射体19の表裏の板面に対して略垂直に形成されている。ここで、略垂直とは、垂直である90度だけでなく、90±3度、好ましくは、90±2度、更に好ましくは、90±1度を含むものである。
貫通孔20の平面視で略直角の角部21の成す角度を二等分する仮想二等分線VL1は、水晶ウェハのX軸に沿って延びている。更に、この仮想二等分線VL1の角部21の頂点21aに向かう方向が、−X軸方向となっている。
異方性エッチングによって、多数の貫通孔20が形成された水晶ウェハは、その全面が、貫通孔20の内壁面を含めて光反射性膜で被覆された反射面、すなわち、鏡面とされて反射体19が構成されている。
この反射体19の各貫通孔20において、隣接する反射面20a,20bは、平面視で略直交しており、この2つの反射面20a,20bによって、2面コーナーリフレクタ23が構成され、各貫通孔20からなる微小な2面コーナーリフレクタ23を、縦横に多数並べた2面コーナーリフレクタアレイ31が構成される。
図17は、2面コーナーリフレクタアレイ31による結像様式を模式的に示す図であり、多数の各貫通孔20の略直交する反射面20a,20bをV字形状で簡略化して示している。
2面コーナーリフレクタアレイ31は、表裏面に平行であって、厚み方向の中央を横断する素子面24に対して一方側(図17では下方側)の空間に配置した光源25の空中像26を実像として、素子面24に対する面対称位置に結像させるものである。
この2面コーナーリフレクタアレイ31による結像作用は、各2面コーナーリフレクタ23において、光源25からの光が素子面24の一方側から他方側へ透過する際に、光源25から発した光が、貫通孔20の直交する2つの反射面20a,20bの一方の反射面20a(20b)で反射し、更に他方の反射面20b(20a)で反射することによって得られるものである。
すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ31では、素子面24の一方側の空間に配置された光源25から発した光が、2面コーナーリフレクタアレイ31を通過する際に、2面コーナーリフレクタ23の2つの反射面20a,20bで1回ずつ、合計2回反射する。これにより、素子面24に対する光源25の面対称位置に空中像26が結像し、それを素子面24に対して空中像26と同じ側の空間から観察することができる。
このように2面コーナーリフレクタアレイ31では、2つの反射面20a,20bによって2面コーナーリフレクタ23が構成される一方、2面コーナーリフレクタアレイ31の表裏の両主面のいずれか一方の主面、例えば、反射体19の平坦な表面が、反射部である平面鏡部とされる。すなわち、反射体19の表面において、図13、図15に示すように、複数の貫通孔20が形成されている形成領域を除く残余の領域である、各貫通孔20の周囲の平坦な領域が、平面鏡部371を構成している。
この実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ31においても、上記実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ3と同様に、平面視において、反射体19の表面における2面コーナーリフレクタ23を構成する多数の各貫通孔20の面積を積算した面積と、平面鏡部371の面積との比率の設定によって、2面コーナーリフレクタ23のよる空中像AIと平面鏡部371による鏡像MIとの視認性を調整することができる。
この実施形態においても、平面視で、反射体19の表面において、2面コーナーリフレクタ23を構成する多数の矩形の各貫通孔20の面積を積算した面積と、平面鏡部371の面積とを合せた合計面積に占める各貫通孔20の面積を積算した面積の比率は、90%以下である。
次に、この実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ31の製造方法について説明する。
この実施形態の製造方法では、先ず、異方性エッチング材料である水晶ウェハに、フォトリソグラフィを用いた異方性エッチングを行う。
この実施形態では、水晶ウェハとして、水晶のZ板を用いている。Z板13は、上記図10の切断方位図に示すように、Z軸に対して90°の角度で切り出されたZカットの水晶基板であり、主面(X−Y平面)がZ軸に直交する。
図18は、このZ板13に対して、フォトリソグラフィを用いた異方性エッチングを行い、更に、光反射性膜で被覆して反射体19を作製する工程を示す概略断面図である。
この図18においては、矩形板状のZ板13のX軸方向が左方向、Z軸方向が上方向となる。
このZ板13の両主面は、研磨加工によって、平坦平滑面(鏡面加工面)となっている。
先ず、図18(a)に示される洗浄したZ板13に、例えば、スパッタリングや蒸着などの手法を用いて耐フッ酸膜である金属膜27を、図18(b)に示すように形成する。この金属膜27は、例えばクロム(Cr)の下地層に金(Au)を積層したものである。
次に、図18(c)に示すようにスピンコートなどによって、フォトレジスト28を塗布する。
このフォトレジスト28を、図18(d)に示すように、多数の貫通孔20に対応するパターンとなるように露光及び現像する。
次に、図18(e)に示すように、フォトレジスト28をマスクにして金属膜27のウェットエッチングを行い、フォトレジスト28に覆われていない金属膜27の部分を除去する。これによって、Z板13の表裏面を露出させて貫通孔形成用のマスクパターン29を形成する。
図19は、このマスクパターン29を示す平面図である。この実施形態のマスクパターン29は、平面視で正方形の多数のパターン30を備えている。各パターン30が、上記各貫通孔20を形成するための開口したパターンである。
図20は、図19の一つのパターン30を代表的に拡大して示す平面図である。このパターン30は、平面視で直角な4つの角部311〜314を有する正方形である。
このパターン30は、正方形のパターンの一辺を、Z板13のY軸に対してθ1=45度時計回りに回転させたパターンとなっている。
これによって、パターン30の4つの角部311〜314の内の1つの角部311の成す角度を二等分する仮想二等分線VL2は、Z板13のX軸に沿って延びる。更に、この仮想二等分線VL2の角部311の頂点311aに向かう方向が、Z板13の−X軸方向となっている。
このようにZ板13の−X軸を基準にして、平面視正方形のパターン30の1つの角部311を位置させたマスクパターン29をマスクとして異方性エッチングを行うことで、Z板13の結晶異方性を利用して、上記図16に示すように、隣接する内壁面が平面視で略直交する角部21を少なくとも1つ有する貫通孔20を形成することができる。
このようにして、図18(f)に示すように、Z板13の表裏の板面に対して垂直な内壁面を有する多数の貫通孔20を形成する。
次に、図18(g)に示すように、フォトレジスト28及び金属膜27を除去し、多数の貫通孔20が形成されたZ板13を得る。
その後、このZ板13の全面を、上記実施形態と同様の光反射性膜32で被覆して反射面を形成する反射面形成工程を行う。
具体的には、図18(g)に示される多数の貫通孔20が形成されたZ板13に、貫通孔20の内壁面を含む露出面の全面に、図18(h)に示されるように、例えば、スパッタリングや蒸着などの手法を用いて金属膜からなる光反射性膜32を形成して反射面、すなわち、鏡面とする反射膜形成工程を行う。これによって、図13に示される反射体19となり、2面コーナーリフレクタアレイ31が構成される。
本実施形態によれば、単一の反射体19の多数の貫通孔20は、隣接する反射面20a,20bが平面視で略直交する角部21を少なくとも1つ有するので、各貫通孔20の反射面20a,20bによって2面コーナーリフレクタ23がそれぞれ構成され、多数の貫通孔20によって、多数の2面コーナーリフレクタ23を有する2面コーナーリフレクタアレイ31が構成される。また、反射体19の表面において、複数の貫通孔20が形成されている形成領域を除く残余の領域によって平面鏡部371が構成される。
反射体19は、単一の異方性エッチング材料であるZ板13で構成されているので、隣接する内壁面が平面視で略直交する角部21を有する貫通孔20を、異方性エッチングによって容易に形成することが可能である。
したがって、高価な金型を使用して2面コーナーリフレクタアレイを成型する従来例のように、製作に高い精度が要求される高価な金型を必要とすることなく、金型からの離型の問題もない。
更に、上記実施形態のように、第1,第2構造体161,162を、第1構造体161における複数の貫通孔12aが延びる一方向と、第2構造体162における複数の貫通孔12aが延びる一方向とが、平面視で互いに略直交するように、位置合せして接合する必要がない。
また、単一の反射体19によって2面コーナーリフレクタ23を構成するので、2つの部材を重ね合わせて2面コーナーリフレクタを構成するのに比べて、光の利用効率が高いものとなる。
上記のようにZ板13のウェットエッチングによって、上記図16に示すように、平面視で略直交する反射面20a,20bからなる2面コーナーリフレクタ23を構成する多数の貫通孔20を形成するが、ウェットエッチングの条件等によっては、Z板13の結晶異方性に起因して、両反射面20a,20bが交差する角部21の頂点付近21aでは、各反射面20a,20bが、例えば、図21に示すように、曲面状に歪む場合がある。かかる場合には、曲面状の部分は、2面コーナーリフレクタ23を構成することができない。
この2面コーナーリフレクタ23を構成できない角部21の頂点21a付近の歪みを抑制するために、次の実施形態のようにしてもよい。
図22及び図23は、本発明の他の実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ32の上記図13及び図16に対応する平面図である。
この実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ32では、各貫通孔201において、平面視で略直交する2つの各反射面201a,201bによって2面コーナーリフレクタ231が構成され、各貫通孔201からなる微小な2面コーナーリフレクタ231を、縦横に多数並べた2面コーナーリフレクタアレイ32が構成される。
この実施形態では、平面視で、隣接する反射面201a,201bの仮想延長面VS1,VS2が、略直交しており、その仮想角部211の先端は、Z板13の−X軸方向へ突出した突出部33となっている。
図16に示される上記実施形態と同様に、貫通孔201の平面視で略直角の仮想角部211の成す角度を二等分する仮想二等分線VL3は、Z板13のX軸に沿って延び、更に、この仮想二等分線VL3の仮想角部211の仮想頂点211aに向かう方向が、Z板13の−X軸方向となっている。
このように隣接する反射面201a,201bの仮想延長面VS1,VS2が、略直交する仮想角部211を、Z板13の−X軸方向へ突出させることによって、図21に示される反射面20a,20bの角部21付近の曲面状に歪んだ部分が無くなり、その分、平面状の反射面201a,201bの占める部分、すなわち、2面コーナーリフレクタ231を構成する部分を増やすことができる。
図24は、かかる貫通孔201を有するZ板13を、異方性エッチングによって形成するためのマスクパターン291を示す図19に対応する平面図であり、図25は、図24の一つのパターン301を代表的に拡大して示す図20に対応する平面図である。
このパターン301は、平面視で略直角な仮想角部34を1つ有する多角形状であって、パターン301の仮想角部34を構成する各辺341,342にそれぞれ対向する各対向辺343,344は、円弧状の曲線となっている。
このパターン301では、仮想角部34の先端が、Z板13の−X軸方向へ突出した突出部35となっている。このようにマスクパターン291のパターン301の直角な仮想角部34を、Z板13の−X軸側へ突出させることによって、図23に示すように、貫通孔201における仮想角部211付近の曲面状に歪んだ部分を無くすことができる。
なお、図20に示される上記実施形態と同様に、このパターン301は、図25に示すように、略直角をなす仮想角部34を構成する一辺341が、Z板13のY軸に対してθ1=45度時計回りに回転したパターンとなっている。
また、平面視で略直角の仮想角部34の成す角度を二等分する仮想二等分線VL4は、Z板13のX軸に沿って延び、この仮想二等分線VL4の仮想角部34の仮想頂点34aに向かう方向が、Z板13の−X軸方向となっている。
このようにZ板13の−X軸を基準にして、多角形状のパターン301の直角な仮想角部34を位置させたマスクパターン291をマスクとして異方性エッチングを行うことで、Z板13の結晶異方性を利用して、図23に示すように、隣接する内壁面が平面視で略直交する仮想角部211を少なくとも1つ有する貫通孔201を形成することができる。
マスクパターンは、上記実施形態に限らず、種々のパターンを用いることができ、平面視で略直角の角部を少なくとも1つ有するパターンを多数有するものであればよい。
なお、2面コーナーリフレクタアレイは、上記各実施形態のように、異方性エッチング材料に限らず、金属材料や樹脂材料を用いて製造してもよい。
例えば、図26に示すように、樹脂材料を金型で成型し、矩形の貫通孔35を含む全面を光反射性膜で被覆して2面コーナーリフレクタアレイ33を構成してもよい。
1 表示システム
2 空中映像用ディスプレイ(第1表示装置)
3,31,32,33 2面コーナーリフレクタアレイ
4 鑑賞者
5 鏡像映像用ディスプレイ(第2表示装置)
6a,7a,20,201,35 貫通孔
6 第1反射体
7 第2反射体
19 反射体
37,371 平面鏡部
AI 空中像
MI 鏡像

Claims (9)

  1. 略直交する2つの鏡面によって構成される2面コーナーリフレクタを複数備える2面コーナーリフレクタアレイと、前記2面コーナーリフレクタアレイの一方の主面へ向けて画像を表示する第1表示装置と、前記2面コーナーリフレクタアレイの他方の主面へ向けて画像を表示する第2表示装置とを備え、
    前記2面コーナーリフレクタアレイは、前記他方の主面側の空間に、前記第1表示装置の画像を、空中画像として結像させると共に、前記第2表示装置の画像を前記他方の主面側の空間へ反射する反射部を有する、
    ことを特徴とする表示システム。
  2. 前記反射部が、前記2面コーナーリフレクタアレイの前記他方の主面に形成された平面鏡部である、
    請求項1に記載の表示システム。
  3. 前記2面コーナーリフレクタアレイは、前記一方の主面と前記他方の主面との両主面間を貫通する複数の貫通孔を有し、各貫通孔の隣接する2つの内壁面が、平面視で略直交する前記2つの鏡面を構成するものであり、
    前記2面コーナーリフレクタアレイは、前記他方の主面の前記複数の貫通孔の形成領域以外の残余の領域に、前記平面鏡部が形成されている、
    請求項2に記載の表示システム。
  4. 前記2面コーナーリフレクタアレイは、異方性エッチング材料で構成されると共に、前記貫通孔の隣接する2つの内壁面が、光反射性膜で被覆されて前記2つの鏡面を構成している、
    請求項3に記載の表示システム。
  5. 略直交する2つの鏡面によって構成される2面コーナーリフレクタを複数備える2面コーナーリフレクタアレイであって、
    当該2面コーナーリフレクタアレイの一方の主面と他方の主面との両主面間を貫通する複数の貫通孔を有し、各貫通孔は、前記2つの鏡面を構成する、平面視で略直交する2つの内壁面をそれぞれ有し、
    前記両主面の少なくともいずれか一方の主面において、前記複数の貫通孔の形成領域以外の残余の領域が、反射部となっている、
    ことを特徴とする2面コーナーリフレクタアレイ。
  6. 前記反射部が、前記残余の領域に形成された平面鏡部である、
    請求項5に記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
  7. 前記主面において、前記複数の貫通孔の形成領域の面積と前記残余の領域の面積とを合せた合計面積に占める前記形成領域の面積の比率が、90%以下である、
    請求項5または6に記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
  8. 当該2面コーナーリフレクタアレイは、異方性エッチング材料で構成されており、各貫通孔は、平面視で略直交する2つの内壁面をそれぞれ有し、前記2つの内壁面が、光反射性膜で被覆されて前記2つの鏡面を構成する、
    請求項5ないし7のいずれか一項に記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
  9. 当該2面コーナーリフレクタアレイは、前記両主面を構成すると共に、前記複数の貫通孔を区画形成する枠部を備え、
    前記枠部の前記両主面の少なくともいずれか一方の主面が、前記反射部となっている、
    請求項5ないし8のいずれか一項に記載の2面コーナーリフレクタアレイ。
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