JP2019158647A - プレートの生成方法、プレートの生成装置、及びオリフィスの径可変プログラム - Google Patents

プレートの生成方法、プレートの生成装置、及びオリフィスの径可変プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】細胞数のばらつきが低減されたプレートを生成できるプレートの生成方法、およびプレートの生成装置を提供する。【解決手段】細胞13を含む細胞懸濁液を、マイクロチップ1のオリフィス12を介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させることを含み、オリフィス12が、細胞懸濁液に含まれる細胞13の体積平均粒径をr、オリフィス12の径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすプレートの生成方法。【選択図】図4

Description

本発明は、プレートの生成方法、プレートの生成装置、及びオリフィスの径可変プログラムに関する。
近年、分析技術の高感度化により、測定対象を分子数単位で測定することが可能となっており、食品、環境検査、及び医療へ、微量核酸を検出する遺伝子検出技術の産業利用が求められている。
例えば、分子生物学研究分野で多く使用されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、その技術特性から、理論上1分子の核酸からでも増幅が可能とされている。
これらの微量の遺伝子検出においては、定量解析を行う場合に、標準試料を用いる必要がある。このため、例えば、特定のコピー数のDNA断片を細胞に導入し、培養した細胞をマイクロマニピュレータやシングルセルソーターで単離することにより、目的のコピー数のDNA断片を含有する標準試料の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、細胞数のばらつきが低減されたプレートを生成できるプレートの生成方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段としての本発明のプレートの生成方法は、細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させることを含み、オリフィスが、前記細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たす。
本発明によれば、細胞数のばらつきが低減されたプレートを生成できるプレートの生成方法を提供することができる。
図1Aは、ノロウイルスのオープンリーディングフレーム1部分のプライマーとプローブの位置を表す図である。 図1Bは、ノロウイルスのオープンリーディングフレーム2部分のプライマーとプローブの位置を表す図である。 図2は、セルソーターを用いたプレートの生成装置の一例を示す概略説明図である。 図3は、DNA複製済みの細胞の頻度と、蛍光強度との関係の一例を示すグラフである。 図4は、図2に示したオリフィス近傍の拡大断面図である。 図5は、プレートに吐出した液滴を配置する状態の一例を示す説明図である。 図6は、酵母のG0/G1期における同調を示すフローサイトメトリーの結果を示す説明図である。 図7は、可変装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 図8は、可変装置の機能構成を示すブロック図である。 図9は、オリフィスの径を可変させる動作を行う処理の流れを示すフローチャートである。
(プレートの生成方法及びプレートの生成装置)
本発明のプレートの生成方法は、細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させることを含み、オリフィスが、細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たし、更に必要に応じてその他の工程を含む。
なお、換言すると、本発明で生成されるプレートは、細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすオリフィスを通液させた細胞懸濁液を液滴として吐出し、順次配置させることにより生成されるプレートである。
また、細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させることを「吐出工程」と称することがある。
本発明のプレートの生成装置は、細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させる吐出手段を有し、オリフィスが、細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、オリフィスの径をRとした場合、R/r≧5、を満たし、更に必要に応じてその他の手段を有する。
プレートの生成方法はプレートの生成装置により好適に行うことができ、吐出工程は吐出手段により好適に行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
したがって、本発明のプレートの生成装置は、本発明のプレートの生成方法を実施する装置として動作する。即ち、本発明のプレートの生成装置は、本発明のプレートの生成方法を実施することと同義であるので、主に本発明のプレートの生成装置の説明を通じて本発明のプレートの生成方法の詳細についても明らかにする。
本発明のプレートの生成装置は、従来の標準試料製造方法でマイクロマニピュレータを用いた場合には、細胞をハンドリングすると紛失しやすいため細胞数のばらつきが大きくなり、生産性も低いという知見に基づくものである。
また、本発明のプレートの生成装置は、従来の標準試料製造方法において、単にシングルセルソーターを用いただけでは、吐出後に細胞が所定の容器に入らない場合があるため、細胞数のばらつきが大きくなるという知見に基づくものである。
本発明のプレートの生成装置は、細胞の体積平均粒径に対してオリフィスの径を十分大きくすることで、吐出時の細胞懸濁液における細胞の密度を均一にし、吐出する液滴に細胞が偏在しにくくする。これにより、本発明のプレートの生成装置は、吐出時に細胞懸濁液の流れがオリフィス内で偏らなくなり、吐出曲がりなどが発生しにくくなるため、吐出した液滴を所定の位置に付着させることができ、細胞数のばらつきが低減されたプレートを生成できる。
<吐出手段>
吐出手段は、細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させる。
吐出手段としては、細胞懸濁液を液滴として吐出する手段を好適に用いることができる。
細胞懸濁液を液滴として吐出する方式としては、例えば、オンデマンド方式、コンティニュアス方式などが挙げられる。コンティニュアス方式と比較し、オンデマンド方式では必要に応じて吐出ON/OFFを制御する必要があるため、単位時間当たりの吐出回数が少なくなることから、プレート生成スピードの点からコンティニュアス方式の方が好ましい。
コンティニュアス方式では、液滴を加圧してノズルから押し出す際に圧電素子やヒーターによって定期的なゆらぎを与え、それによって微小な液滴を連続的に作り出すことができる。さらに、飛翔中の液滴の吐出方向に電圧を印加することによって制御することにより、プレートに吐出させるか、回収部に回収させるかを選ぶことも可能である。このような方式は、セルソーター又はフローサイトメーターで用いられており、例えば、ソニー株式会社製のセルソーターSH800を用いることができる。
吐出する液滴としては、プレートに細胞懸濁液を吐出する際に、複数の水準を得るようにしてもよい。
複数の水準としては、例えば、プレートに複数の細胞が所定の濃度勾配を有するようにしてもよい。濃度勾配を有することにより、検量線用試薬として好適に使用することができる。
<<細胞懸濁液>>
細胞懸濁液は、複数の細胞及び溶媒を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
ここで、溶媒とは、細胞を分散させるために用いる液体を意味する。
細胞懸濁液における懸濁とは、細胞が溶剤中に分散して存在する状態を意味する。
−−細胞−−
細胞とは、生物体を形成する構造的及び機能的単位を意味する。
細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真核細胞、原核細胞、多細胞生物細胞、単細胞生物細胞を問わず、すべての細胞について使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
真核細胞としては、特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができ、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌、藻類、原生動物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、動物細胞、真菌が好ましい。
接着性細胞としては、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、組織や器官から直接採取した初代細胞を何代か継代させたものでもよく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分化した細胞、未分化の細胞などが挙げられる。
分化した細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞;星細胞;クッパー細胞;血管内皮細胞;類道内皮細胞、角膜内皮細胞等の内皮細胞;繊維芽細胞;骨芽細胞;砕骨細胞;歯根膜由来細胞;表皮角化細胞等の表皮細胞;気管上皮細胞;消化管上皮細胞;子宮頸部上皮細胞;角膜上皮細胞等の上皮細胞;乳腺細胞;ペリサイト;平滑筋細胞、心筋細胞等の筋細胞;腎細胞;膵ランゲルハンス島細胞;末梢神経細胞、視神経細胞等の神経細胞;軟骨細胞;骨細胞などが挙げられる。
未分化の細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞;単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞;iPS細胞などが挙げられる。
真菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カビ、酵母菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、細胞周期を調節することができ、1倍体を使用することができる点から、酵母菌が好ましい。
細胞周期とは、細胞が増えるとき、細胞分裂が生じ、細胞分裂で生じた細胞(娘細胞)が再び細胞分裂を行う細胞(母細胞)となって新しい娘細胞を生み出す過程を意味する。
酵母菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細胞周期をG1期に制御するフェロモン(性ホルモン)の感受性が増加したBar−1欠損酵母が好ましい。酵母菌がBar−1欠損酵母であると、細胞周期が制御できていない酵母菌の存在比率を低くすることができるため、容器内に収容された細胞の特定の核酸の数の増加等を防ぐことができる。
原核細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真正細菌、古細菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
細胞としては、死細胞が好ましい。死細胞であると、分取後に細胞分裂が起こることを防ぐことができる。
また、細胞としては、光を受光したときに発光可能な細胞であることが好ましい。光を受光したときに発光可能な細胞であると、細胞の数を高精度に制御してプレートに着弾させることができる。
受光とは、光を受けることを意味する。
光学センサとは、人間の目で見ることができる可視光線と、それより波長の長い近赤外線や短波長赤外線、熱赤外線領域までの光のいずれかの光をレンズで集め、対象物である細胞の形状などを画像データとして取得する受動型センサを意味する。
−−光を受光したときに発光可能な細胞−−
光を受光したときに発光可能な細胞としては、光を受光したときに発光可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、蛍光色素によって染色された細胞、蛍光タンパク質を発現した細胞、蛍光標識抗体により標識された細胞などが挙げられる。
細胞における蛍光色素による染色部位、蛍光タンパク質の発現部位、又は蛍光標識抗体による標識部位としては、特に制限はなく、細胞全体、細胞核、細胞膜などが挙げられる。
−−−蛍光色素−−−
蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン類、アゾ類、ローダミン類、クマリン類、ピレン類、シアニン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フルオレセイン類、アゾ類、ローダミン類が好ましく、エオシン、エバンスブルー、トリパンブルー、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン123がより好ましい。
蛍光色素としては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、EosinY(和光純薬工業株式会社製)、エバンスブルー(和光純薬工業株式会社製)、トリパンブルー(和光純薬工業株式会社製)、ローダミン6G(和光純薬工業株式会社製)、ローダミンB(和光純薬工業株式会社製)、ローダミン123(和光純薬工業株式会社製)などが挙げられる。
−−−蛍光タンパク質−−−
蛍光タンパク質としては、例えば、Sirius、EBFP、ECFP、mTurquoise、TagCFP、AmCyan、mTFP1、MidoriishiCyan、CFP、TurboGFP、AcGFP、TagGFP、Azami−Green、ZsGreen、EmGFP、EGFP、GFP2、HyPer、TagYFP、EYFP、Venus、YFP、PhiYFP、PhiYFP−m、TurboYFP、ZsYellow、mBanana、KusabiraOrange、mOrange、TurboRFP、DsRed−Express、DsRed2、TagRFP、DsRed−Monomer、AsRed2、mStrawberry、TurboFP602、mRFP1、JRed、KillerRed、mCherry、mPlum、PS−CFP、Dendra2、Kaede、EosFP、KikumeGRなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−蛍光標識抗体−−−
蛍光標識抗体としては、蛍光標識されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CD4−FITC、CD8−PEなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[光を受光したときに発光可能な細胞懸濁液の作製方法]
50g/LのYPD培地(例えば、YPDMedium、Clontech社製)等で培養した遺伝子組換え酵母を90mL分取した三角フラスコに、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(例えば、Thermofisher社製、以下、「DPBS」とも称することがある)を用いて500μg/mLとなるように調製したαファクター(Sigma−Aldrich社製、α1−MatingFactoracetatesalt)を900μL添加し、バイオシェイカー(例えば、BR−23FH、タイテック株式会社製)を用いて、振盪速度:250rpm、温度:28℃にて2時間インキュベートし、酵母をG0/G1期に同調して酵母懸濁液を得る。
同調確認済み酵母懸濁液を遠心管(例えば、ビオラモ、VIO−50R、アズワン株式会社製)に45mL移し、遠心分離機(例えば、CF16RN、株式会社日立製作所製)を用いて、回転速度:3,000rpmにて5分間遠心し、上澄み液を除去して酵母ペレットを得る。酵母ペレットにホルマリン(例えば、和光純薬工業株式会社製、062−01661)を4mL添加し、5分間静置後、遠心して上澄み液を除去し、エタノールを10mL添加して懸濁させることにより固定化済みの酵母懸濁液を得る。
固定化済み酵母懸濁液を1.5mL遮光チューブ(例えば、ワトソン株式会社製、131−915BR)に500μL移し、遠心分離機を用いて回転速度:3,000rpmにて5分間遠心し、上澄み液を除去し、1mMEDTA(例えば、TOCRIS社製、200−449−4)となるように調製したDPBS(1mMEDTA)を400μL添加し、ピペッティングでよく懸濁した後、遠心分離機を用いて回転速度:3,000rpmで5分間遠心し、上澄み液を除去することにより酵母ペレットを得る。ペレットに1mg/mLに調製したエバンスブルー水溶液(例えば、和光純薬工業株式会社製、054−04061)を1mL添加し、ボルテックスを用いて5分間撹拌後、遠心分離機を用いて回転速度:3,000rpmで5分間遠心し、上澄み液を除去し、DPBS(1mMEDTA)を添加し、ボルテックスで撹拌することにより染色済み酵母懸濁液を得ることができる。
細胞の体積平均粒径としては、遊離状態において、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。体積平均粒径が、100μm以下であれば、インクジェット法に好適に用いることができる。
細胞の体積平均粒径としては、例えば、下記の測定方法で測定することができる。
作製した染色済み酵母分散液から10μL取り出してPMMA製プラスチックスライドに乗せ、自動セルカウンター(CountessAutomatedCellCounter、invitrogen社製)を用いることにより体積平均粒径を測定することができる。なお、細胞数も同様の測定方法により求めることができる。また、桿菌のような細長い形状の計測方法については、Circularityの設定値を標準値の80から100に大きくすることで測定することができる。
細胞懸濁液における細胞の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5×10個/mL以上5×10個/mL以下が好ましく、5×10個/mL以上5×10個/mL以下がより好ましい。細胞数が、5×10個/mL以上5×10個/mL以下であると、吐出した液滴中に細胞を確実に含むことができる。細胞数としては、体積平均粒径の測定方法と同様にして、自動セルカウンター(CountessAutomatedCellCounter、invitrogen社製)を用いて測定することができる。
細胞の細胞数は、複数であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−−特定の核酸−−−
特定の核酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感染症検査に用いられる塩基配列、自然界には存在しない核酸、動物細胞由来の塩基配列、植物細胞由来の塩基配列などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、特定の核酸としては、プラスミドも好適に使用することができる。
特定とは、特に定められていることを意味する。
核酸とは、プリン又はピリミジンから導かれる含窒素塩基、糖、及びリン酸が規則的に結合した高分子の有機化合物を意味する。
特定の核酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DNA、RNAなどが挙げられる。これらの中でも、ノロウイルスなどの感染症固定領域に由来するRNAに対応するDNA、自然界に存在しないDNAなどが好適に用いることができる。
特定の核酸を有する複数の細胞は、使用する細胞由来の特定の核酸であってもよく、遺伝子導入により導入された特定の核酸であってもよい。特定の核酸として、遺伝子導入により導入された特定の核酸、及びプラスミドを使用する場合は、1細胞に1コピーの特定の核酸が導入されていることを確認することが好ましい。1コピーの特定の核酸が導入されていることの確認方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シーケンサー、PCR法、サザンブロット法などを用いて確認することができる。
遺伝子導入の方法としては、特定の核酸配列が狙いの場所に狙いの分子数導入できれば特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、相同組換え、CRISPR/Cas9、TALEN、Zincfingernuclease、Flip−in、Jump−inなどが挙げられる。特に、酵母菌の場合は、効率の高さ、及び制御のしやすさの点から、相同組換えが好ましい。
[遺伝子組換え酵母の作製方法]
出芽酵母を1コピーの特定DNA配列のキャリア細胞として組換え体の作製に使用することができる。具体的には、特定DNA配列をノロウイルスの特異的な配列とし、選択マーカーとタンデムに並ぶように作出し、キャリア細胞の例えば、BAR1領域を対象に相同組換えによって1コピーの特定DNA配列を酵母染色体に導入し、組換え酵母を作製することができる。
出芽酵母としては、例えば、w303−1a(ATCC4001408、ATCC社製)などが挙げられる。
ノロウイルスの特異的な配列としては、例えば、NCBI(NationalCenterforBiotechnologyInformation、例えば、配列番号1参照)から入手することができる。
選択マーカーとしては、例えば、ウラシル合成酵素(例えば、URA3等)、ヒスチジン合成酵素(例えば、HIS3等)、トリプトファン合成酵素(例えば、TRP1等)、リジン合成酵素(例えば、LYS2等)、メチオニン合成酵素(例えば、MET17等)、アデニン合成酵素(例えば、ADE2等)などが挙げられる。
−−溶媒−−
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、培養液、分離液、希釈液、緩衝液、有機物溶解液、有機溶媒、高分子ゲル溶液、コロイド分散液、電解質水溶液、無機塩水溶液、金属水溶液、及びこれらの混合液体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水、緩衝液が好ましく、水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、Tris−EDTA緩衝液(TE)がより好ましい。
−−添加剤−−
添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、核酸、樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−界面活性剤−−−
界面活性剤は、細胞同士の凝集を防止し、連続吐出安定性を向上することができる。
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、添加量にもよるが、タンパク質を変性及び失活させない点から、非イオン性界面活性剤が好ましい。
イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、脂肪酸ナトリウムが好ましく、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)がより好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリコシド、アルキルポリオキシエチレンエーテル(Brijシリーズ等)、オクチルフェノールエトキシレート(TritonXシリーズ、IgepalCAシリーズ、NonidetPシリーズ、NikkolOPシリーズ等)、ポリソルベート類(Tween20等のTweenシリーズなど)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルマルトシド、ショ糖脂肪酸エステル、グリコシド脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリソルベート類が好ましい。
界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、細胞懸濁液全量に対して、0.001質量%以上30質量%以下が好ましい。含有量が、0.001質量%以上であると、界面活性剤の添加による効果を得ることができ、30質量%以下であると、細胞の凝集を抑制することができるため、細胞懸濁液中の核酸の分子数を厳密に制御することができる。
−−−核酸−−−
核酸としては、検出対象の核酸の検出に影響しないものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ColE1DNAなどが挙げられる。核酸であると、特定の塩基配列を有する核酸が、プレートの壁面などに付着することを防ぐことができる。
−−−樹脂−−−
樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンイミドなどが挙げられる。
−−その他の材料−−
その他の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、浸透圧調整剤、湿潤剤、分散剤などが挙げられる。
[細胞を分散する方法]
細胞を分散する方法としては、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビーズミル等のメディア方式、超音波ホモジナイザー等の超音波方式、フレンチプレス等の圧力差を利用する方式などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、細胞へのダメージが少ないことから超音波方式がより好ましい。メディア方式では、解砕能力が強く、細胞膜や細胞壁を破壊する可能性やメディアがコンタミとして混入することがある。
[細胞のスクリーニング方法]
細胞のスクリーニング方法としては、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式分級、セルソーター、フィルターによるスクリーニングなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、細胞へのダメージが少ないことから、セルソーター、フィルターによるスクリーニングが好ましい。
細胞は、細胞の細胞周期を測定することにより、細胞懸濁液に含まれる細胞数から特定の配列を有する核酸の数を推定することが好ましい。
細胞周期を測定するとは、細胞分裂による細胞数を数値化することを意味する。
核酸の数を推定するとは、細胞数から、核酸のコピー数をおしはかることを意味する。
核酸の数の推定は、確からしさ(確率)を算出するようにしてもよい。確からしさ(確率)を算出することにより、これらの数値に基づき確からしさを分散または標準偏差として表現して出力することが可能である。複数因子の影響を合算する場合には、一般的に用いられる標準偏差の二乗和平方根を用いることが可能である。例えば、因子として吐出した細胞数の正答率、細胞内のDNA数、吐出された細胞がプレートに付着する付着率などを用いることができる。この中で影響の大きい項目を選択して算出することもできる。
核酸の数を推定するタイミングとしては、例えば、細胞懸濁液の生成時、吐出時の液滴の状態、細胞数の計数時のいずれのタイミングでもよく、各タイミングで推定して合算してもよい。
計数対象が細胞数ではなく特定のDNA配列が何個入っているかであってもよい。通常は、特定のDNA配列は細胞1個につき1つの領域が入っているものを選択する、あるいは遺伝子組み換えにより導入するため、特定のDNA配列の数は細胞数と等しいと考えてよい。ただし、細胞は特定の周期で細胞分裂を起こすために細胞内で核酸の複製が行われる。細胞周期は細胞の種類によって異なるが、細胞懸濁液から所定量の溶液を抜き取り複数細胞の周期を測定することによって、細胞1個中に含まれる特定の核酸数に対する期待値及びその確からしさを算出することが可能である。これは、例えば、核染色した細胞をフローサイトメーターによって観測することによって可能である。
<<オリフィス>>
オリフィスは、吐出手段に設けられており、吐出前の細胞懸濁液が通液する。
オリフィスは、細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たす。オリフィスが次式、R/r≧5、を満たさないと、細胞の体積平均粒径に対してオリフィスの径が小さくなることから、吐出時の細胞懸濁液における細胞の密度が均一にならず、吐出する液滴に細胞が偏在しやすくなる。このため、吐出時に細胞懸濁液の流れがオリフィス内で偏ることにより吐出曲がりなどが発生してしまい、吐出した液滴をプレートの所定の位置に付着できずに、細胞数のばらつきが大きくなる場合がある。
オリフィスとしては、次式、R/r≧5、を満たしていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、次式、R/r≧7が好ましく、次式、R/r≧10がより好ましい。オリフィスが次式、R/r≧7を満たすと、吐出した液滴をより確実にプレートの所定の位置に付着させることができ、次式、R/r≧10を満たすと、吐出した液滴をさらに確実にプレートの所定の位置に付着させることができる。
また、R/rの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、次式、R/r≦50、を満たすことが好ましく、次式、R/r≦30、を満たすことがより好ましく、次式、R/r≦25、を満たすことがさらに好ましい。次式、R/r≦50、を満たすと、1つの液滴に複数の細胞が入りにくくなり、プレート上の細胞数のばらつきが小さくなる。
<<プレート>>
プレートの形状及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状のもの、1穴マイクロチューブ、8連チューブ、96穴や384穴等のウェルプレートなどが挙げられる。ウェルプレートの場合には、同じ個数の細胞を収容するウェルが存在してもよく、異なる個数の細胞を収容するウェルが存在してもよく、また、細胞が収容されていないウェルが存在してもよい。具体的には、核酸の量を定量的に評価するリアルタイムPCR装置やデジタルPCR装置の評価に用いるプレートを作成する際には、細胞(又は核酸)が、1個、2個、4個、8個、16個、32個、64個の7水準としたプレートを生成してもよい。このプレートにより、リアルタイムPCR装置やデジタルPCR装置の定量性、線形性、評価下限値などを調べることが可能になる。
プレートの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ウェルプレートの場合には、後の処理のために細胞や核酸の壁面への付着が抑制されているものを用いることが好ましい。
プレートの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
プレートとしては、個々に認識することが可能な認識手段が設けられたものを利用することが好ましい。認識手段としては、バーコード、QRコード(登録商標)、RadioFrequencyIdentifier(以下、「RFID」とも称することがある)などを用いることが可能である。プレートを大量生産する場合には、無線でも使用可能なRFIDが好ましい。
本発明のプレートの生成方法及び本発明のプレートの生成装置により生成されるプレートは、バイオ関連産業、ライフサイエンス産業、及び医療産業等において幅広く用いることができる。生成されるプレートは、例えば、装置や感染症の検量線作成などの標準プレート等に好適に用いることができる。
標準プレートとしては、感染症に対して実施する場合は公定法や通知法などに定められている方法に適用することができる。
公定法としては、ノロウイルスに関する公定法(食安監発第0514004号)などが挙げられる。図1Aは、ノロウイルスのオープンリーディングフレーム1部分のプライマーとプローブの位置を表す図である。図1Bは、ノロウイルスのオープンリーディングフレーム2部分のプライマーとプローブの位置を表す図である。
ノロウイルスに関する公定法としては、例えば、図1A及び図1Bに示された領域の核酸配列を、遺伝子導入技術を利用して細胞内に導入する。このノロウイルスに特異的な核酸配列を有した細胞をウェルに既知数(10〜10)分注する。ここで、低コピー数領域(10〜10)では、希釈法では精度が低く検量線の値がばらつき検出コピー数の正確性が低下する懸念があるため、精度の高いインクジェットやセルソーターなどを用いて分注することにより精度を高められる点で好ましい。次に、空のウェルに食安監発第0514004号に示されている方法で抽出された検体を分注し、プライマー、酵素、TaqManプローブ、水を添加し、リアルタイムPCRで反応を行うことによりノロウイルスの有無を確認することができる。RT−PCRの場合は、TaqManプローブ以外の材料を添加し、サーマルサイクラーで反応させ、得られたサンプルを電気泳動することでノロウイルスの有無を確認できる。
<その他の手段>
その他の手段としては、例えば、細胞数計数手段、核酸抽出手段、画像認識手段、出力手段、記録手段、酵素失活手段などが挙げられる。これらの中でも、細胞数計数手段、核酸抽出手段、及び画像認識手段の少なくともいずれかを有することが好ましい。
<<細胞数計数手段>>
細胞数計数手段は、液滴の吐出後、かつ液滴のプレートへの配置前に、液滴に含まれる細胞数を計数する。これにより、液滴のプレートの各位置に配置された細胞数を把握することができるため、細胞数のばらつきの程度を確認することができる。
液滴に含まれる細胞数を計数する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、センサを用いて細胞数を計数する方法が好ましい。具体的には、センサを用いて細胞数を計数する方法としては、光を受光したときに発光可能な細胞とし、細胞計数手段が、光が照射されたときに発せられる細胞からの発光に基づいて細胞数を計数することが好ましい。
<<核酸抽出手段>>
核酸抽出手段は、プレート上の細胞から核酸を抽出する。
ここで、抽出とは、細胞膜や細胞壁などを破壊し、核酸をぬき出すことを意味する。すなわち、ばらつきが低減されたプレート上の細胞から核酸抽出手段が核酸を抽出することにより、核酸の数のばらつきが低減されたプレートを生成できる。
細胞から核酸を抽出する方法としては、90℃〜100℃で熱処置する方法が知られている。90℃以下で熱処理するとDNAが抽出されない可能性があり、100℃以上で熱処理するとDNAが分解される可能性がある。このとき界面活性剤を添加し熱処理することが好ましい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、添加量にもよるが、タンパク質を変性・失活させない点から、非イオン性界面活性剤が好ましい。
イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、脂肪酸ナトリウムが好ましく、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)がより好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリコシド、アルキルポリオキシエチレンエーテル(Brijシリーズ等)、オクチルフェノールエトキシレート(TotitonXシリーズ、IgepalCAシリーズ、NonidetPシリーズ、NikkolOPシリーズ等)、ポリソルベート類(Tween20等のTweenシリーズなど)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルマルトシド、ショ糖脂肪酸エステル、グリコシド脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリソルベート類が好ましい。
界面活性剤の含有量としては、ウェル中の細胞懸濁液全量に対して、0.01質量%以上5.00質量%以下が好ましい。含有量が、0.01質量%以上であると、DNA抽出に対して効果を発揮でき、5.00質量%以下であると、PCRの際に増幅の阻害を防止することができるため、両方の効果を得られる数値範囲として上記0.01質量%以上5.00質量%以下が好適である。
細胞壁を保有している細胞に関しては、上記の方法で十分にDNA抽出されないことがある。その場合、例えば、浸透圧ショック法、凍結融解法、酵素消化法、DNA抽出用キットの使用、超音波処理法、フレンチプレス法、ホモジナイザーなどの方式などが挙げられる。これらの中でも、抽出DNAのロスが少ないことから、酵素消化法が好ましい。
<<画像認識手段>>
画像認識手段は、液滴を吐出した後、吐出した液滴がプレート上の所定の位置に存在することを画像認識により判定する。これにより、吐出曲がりなどで所定の位置に液滴が付着していないことを判定できるため、生成するプレートの品質を向上させることができる。
出力手段は、プレートに付着した細胞懸濁液に含まれる細胞数を、センサにより測定された検出結果に基づいて細胞数計数手段が計数した細胞数を記憶部に出力する。なお、出力手段は、計数した細胞数に限らず、推測した細胞数を記憶部に出力してもよい。また、出力は、細胞数計数工程と同時に行ってもよく、細胞数計数工程の後に行ってもよい。
酵素失活手段は、酵素を失活させる。
酵素としては、例えば、DNase、RNase、核酸抽出工程において核酸を抽出するために使用した酵素などが挙げられる。
酵素を失活させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法を好適に用いることができる。
このように、本発明のプレートの生成方法では、細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすオリフィスを通過させた細胞懸濁液を液滴として吐出することによりプレートに順次配置させる。これにより、オリフィスの径に対して細胞の体積平均粒径が十分小さくなることから、吐出時の細胞懸濁液における細胞の密度が均一になり、吐出する液滴に細胞が偏在しにくくなる。よって、本発明のプレートの生成方法では、吐出時に細胞懸濁液の流れがオリフィス内で偏らなくなることから吐出曲がりなどが発生しにくくなるため、吐出した液滴を所定の位置に付着させることができ、細胞数のばらつきが低減されたプレートを生成できる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例では、セルソーターを用いたプレートの生成装置の一例を示す。
なお、以下では、プレートの生成装置を単に「生成装置」と称することがある。
また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図2は、セルソーターを用いたプレートの生成装置の一例を示す概略説明図である。
図2に示すように、生成装置100は、マイクロチップ1と、振動素子2と、光学検出手段3と、対電極4と、プレート5と、グランド接地対電極6と、ステージ7とを有する。
なお、マイクロチップ1と、振動素子2、光学検出手段3、対電極4、及びグランド接地対電極6の組合せを「吐出ヘッド」と称することがある。
マイクロチップ1には、分取対象とする細胞を含む液体(サンプル液)が通流される流路11及びオリフィス12が形成されている。
マイクロチップ1への流路11及びオリフィス12の成形は、ガラス製基板のウェットエッチングやドライエッチングによって、またプラスチック製基板のナノインプリントや射出成型、機械加工によって行うことができる。
マイクロチップ1は、ガラスや各種プラスチックにより形成できる。各種プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などが挙げられる。
マイクロチップ1の材質は、光学検出手段3から照射される測定光に対して透過性を有し、自家蛍光が少なく、波長分散が小さいために光学誤差が少ない材質とすることが好ましい。なお、マイクロチップ1は、流路11及びオリフィス12を成形した基板を、同じ材質又は異なる材質の基板で封止して形成してもよい。
振動素子2は、マイクロチップ1の一部に当接するように配設されている。振動素子2は、マイクロチップ1を振動させ、サンプル液を液滴化してチップ外の空間に吐出することができる。
光学検出手段3は、流路11の所定部位に光(測定光)を照射し、流路11を通流する細胞から発生する光(測定対象光)を検出する。以下、流路11において光学検出手段3からの測定光が照射される部位を「光照射部」と称することがある。
光学検出手段3は、従来のフローサイトメトリーと同様に構成することができる。具体的には、光学検出手段3は、レーザー光源により発せられたレーザー光を細胞に対し集光・照射するための集光レンズやダイクロイックミラーなどを備える照射系と、レーザー光の照射によって細胞から発生する測定対象光を検出する検出系とを有する。検出系としては、例えば、CCDやCMOS素子等のエリア撮像素子、PMT(photomultiplier tube、光電子増倍管)などが挙げられる。
なお、図2では、照射系と検出系を別体としているが、これに限ることなく、照射系と検出系は同一の光学経路であってもよい。
測定対象光は、測定光の照射によって細胞から発生する光であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前方散乱光や側方散乱光、レイリー散乱やミー散乱等の散乱光や蛍光などが挙げられる。細胞の光学特性は、測定対象光から変換された電気信号に基づいて検出される。
図3は、DNA複製済みの細胞の頻度と、蛍光強度との関係の一例を示すグラフである。
図3に示すように、ヒストグラム上でDNAの複製有無により2つのピークが現れるため、DNA複製済みの細胞がどの程度の割合で存在するかを算出することが可能である。この算出結果から1細胞中に含まれる平均的なDNA数を算出することが可能であり、前述の細胞数計数結果に乗じることにより、核酸の推定数を算出することが可能である。
また、細胞懸濁液を作成する前に細胞周期を制御する処理を行うことが好ましく、前述のような複製が起きる前、又は後の状態に揃えることによって、特定の核酸の数を細胞数からより精度良く算出することが可能になる。
図2に戻り、光照射部を通過したサンプル液は、振動素子2の振動により、流路11の一端に設けられたオリフィス12を介してマイクロチップ1外の空間に液滴Dとして吐出される。
ここで、オリフィス12について詳細な説明する。
図4は、図2に示したオリフィス近傍の拡大断面図である。
本実施例では、オリフィスの径Rが100μmであり、細胞13の体積平均粒径rが4.5μmであるため、R/rは22.2となり、次式、R/r≧5、を満たす。
図2に戻り、液滴Dには、細胞が含まれ得る。対電極4は、チップ外の空間に吐出された液滴Dの移動方向に沿って配設されており、移動する液滴Dを挟んで対向するように配置されている。吐出された液滴Dには荷電手段によって電荷が付与され、対電極4は液滴Dに付与された電荷との電気的な反発力(又は吸引力)によって液滴Dの移動方向を制御し、液滴Dをプレート5のウェル51のいずれかに誘導することもできる。
プレート5は、移動可能なステージ7上に固定されている。
ステージ7は、図2中矢印で示すx方向及びy方向の少なくともいずれかに移動することができる。
図5は、プレートに吐出した液滴を配置する状態の一例を示す説明図である。
図5に示すように、生成装置100は、マイクロチップ1外の空間に吐出した液滴Dをプレート5上の所定の位置であるウェル51順次配置する。本実施例では、ステージ7を移動させているが、これに限ることなく、吐出ヘッドを移動させてもよいし、液滴Dを対電極4により所定の位置に誘導させてもよい。
生成装置100は、例えば、CPU、ROM、RAM、メインメモリ等を有する。この場合、生成装置100の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。ただし、生成装置100の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、生成装置100は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。
[サンプル液(酵母懸濁液)の調製]
(遺伝子組換え酵母)
出芽酵母w303−1a(ATCC4001408、ATCC社製)を1コピーの特定DNA配列のキャリア細胞として組換え体の作製に使用した。特定DNA配列は配列番号1とし、選択マーカーとしたURA3とタンデムに並ぶように作出し、キャリア細胞のBAR1領域を対象に相同組換えによって1コピーの特定DNA配列を酵母染色体に導入し、遺伝子組換え酵母を作製した。
(培養、及び細胞周期制御)
50g/LのYPD培地(YPDMedium、Clontech社製)で培養した遺伝子組換え酵母を90mL分取した三角フラスコに、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Thermofisher社製、以下、「DPBS」とも称することがある)を用いて500μg/mLとなるように調製したαファクター(Sigma−Aldrich社製、α1−MatingFactoracetatesalt)を900μL添加し、バイオシェイカー(BR−23FH、タイテック株式会社製)を用いて、振盪速度:250rpm、温度:28℃にて2時間インキュベートし、酵母をG0/G1期に同調して酵母懸濁液を得た。同調細胞の細胞周期の確認は、SYTOXGreenNucleicAcidStain(S7020、Thermofisher社製)を用いて染色し、フローサイトメーター(SH800、ソニー株式会社製)を用いたフローサイトメトリーにて、励起波長488nmで、G0/G1期に同調していることを確認した。G1期の割合は97.1%、G2期の割合は2.9%であった。結果を図6に示す。
(固定化)
同調確認済み酵母懸濁液を遠心管(ビオラモ、VIO−50R、アズワン株式会社製)に45mL移し、遠心分離機(CF16RN、株式会社日立製作所製)を用いて、回転速度:3,000rpmにて5分間遠心し、上澄み液を除去して酵母ペレットを得た。得られた酵母ペレットにホルマリン(和光純薬工業株式会社製、062−01661)を4mL添加し、5分間静置後、遠心して上澄み液を除去し、エタノールを10mL添加して懸濁させることにより固定化済みの酵母懸濁液を得た。
(染色)
固定化済み酵母懸濁液を1.5mL遮光チューブ(ワトソン株式会社製、131−915BR)に500μL移し、遠心分離機を用いて回転速度:3,000rpmにて5分間遠心し、上澄み液を除去し、1mMEDTA(TOCRIS社製、200−449−4)となるように調製したDPBS(1mMEDTA)を400μL添加し、ピペッティングでよく懸濁した後、遠心分離機を用いて回転速度:3,000rpmで5分間遠心し、上澄み液を除去することにより酵母ペレットを得た。得られたペレットに1mg/mLに調製したエバンスブルー水溶液(和光純薬工業株式会社製、054−04061)を1mL添加し、ボルテックスを用いて5分間撹拌後、遠心分離機を用いて回転速度:3,000rpmで5分間遠心し、上澄み液を除去し、DPBS(1mMEDTA)を添加し、ボルテックスで撹拌することにより染色済み酵母懸濁液を得た。
(分散)
染色済みの酵母懸濁液を超音波ホモジナイザー(LUH150、ヤマト科学株式会社)を用いて、出力を30%として10秒間分散処理し、遠心分離機を用いて回転速度を3,000rpmとして5分間遠心し、上澄み液を除去し、DPBSを1,000μL添加して洗浄した。遠心分離、上澄み液の除去を計2回実施し、最後にDPBSで懸濁させて酵母懸濁インクを得た。なお、酵母の体積平均粒経をCountessAutomatedCellCounter(invitrogen社製)を用いて計測したところ、4.5μmだった。
(分注及び細胞計測)
プレートとして96穴平底プレート(ワトソン株式会社製、4846−96−FS)を用い、セルソーター(ソニー株式会社製、SH800Z、ソーティングチップとしてLE−C3110(オリフィスサイズ100μm)を使用)により励起波長488nmで細胞が存在する領域を選択して、シングルセルモードにより規定の粒子数を分注した。蛍光顕微鏡(カールツァイス株式会社製、AxioObserverD1)にて488nmの励起光により蛍光顕微鏡観察を行った。各液滴内に存在する酵母数と狙いの酵母数(1粒子;特定コピー数=1)の正誤を判定して一致率を求めた。結果を表1に示した。なお、表1の「No.」は、プレート及びウェルの通し番号を示す。結果から、99.2%の確率で一致していることが分かった。
(比較例)
実施例1において、以下のようにサンプル液の調製を変えた以外は、実施例1と同様に評価した。
(培養)
インキュベーター(KM−CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5体積%CO2環境)内において、10質量%ウシ胎児血清(以下、「FBS」とも称することがある)及び1質量%抗生物質(Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100x)、ナカライテスク株式会社製)を含むダルベッコ変法イーグル培地(Life Technologies社製、以下、「D−MEM」とも称することがある)を用い、100mmディッシュ4枚にてNHDF(CC2507、Lonza社製)を72時間培養した。
(染色)
冷凍保存された緑色蛍光染料(Cell Tracker Green、Life Technologies社製)を室温(25℃)まで解凍し、10mmol/L(mM)の濃度でジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とも称することがある)へ溶解させ、無血清ダルベッコ変法イーグル培地(Life Technologies社製)と混合し、濃度10μmol/L(μM)の緑色蛍光染料含有無血清培地を調製した。次に、培養したNHDFのディッシュ4枚に緑色蛍光染料含有無血清培地をディッシュ1枚あたり5mL添加し、インキュベーター内で30分間染色した。
その後、アスピレータを用いて、上澄みを除去した。ディッシュにリン酸緩衝生理食塩水(Life Technologies社製、以下、「PBS(−)」とも称することがある)をディッシュ1枚あたり5mL加え、アスピレータでPBS(−)を吸引除去し、表面を洗浄した。PBS(−)による洗浄作業を2回繰り返した後、0.05質量%トリプシン−0.05質量%EDTA溶液(life technologies社製)をディッシュ1枚あたり2mL加え、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離した。位相差顕微鏡(CKX41、オリンパス株式会社製)により細胞の剥離を確認後、10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMをディッシュ1枚あたり4mL加え、トリプシンを失活させた。ディッシュ4枚分の細胞懸濁液を50ml遠沈管1本に移し、遠心分離(H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×103rpm、5分間、5℃)を行い、アスピレータを用いて上清を除去した。除去後、遠沈管に10質量%FBS及び1質量%抗生物質を含むD−MEMを1mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させ細胞懸濁液を得た。その細胞懸濁液から10μLをエッペンドルフチューブに取り出し、培地を70μL添加後、10μLを別のエッペンドルフチューブに取り出し、0.4質量%トリパンブルー染色液10μLを加えてピペッティングを行った。
セルソーター(ソニー株式会社製、SH800Z、ソーティングチップとしてLE−C3110(オリフィスサイズ 100μm)を使用)により励起波長488nmで細胞が存在する領域を選択して、前方散乱光で大きい細胞をゲーティング、シングルセルモードによりマイクロチューブに分注し、細胞の体積平均粒経を計測したところ、21.0μmだった。比較例では、図4に示すオリフィスの径Rが100μmであり、細胞の体積平均粒径rが21.0μmであるため、R/rは4.76となり、次式、R/r≧5、を満たさない。
同一条件で96穴平底プレートに規定の粒子数を分注、顕微鏡観察により細胞数を計測した。各液滴内に存在する細胞数と狙いの細胞数(1粒子;特定コピー数=1)の正誤を判定して一致率を求めた。結果を表2に示す。一致率はわずか9.4%しかなかった。
以上説明したように、本発明のプレートの生成方法では、細胞の体積平均粒径をr、オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすオリフィスを通過させた細胞懸濁液を液滴として吐出することによりプレートに順次配置させる。
これにより、オリフィスの径に対して細胞の体積平均粒径が十分小さくなることから、吐出時の細胞懸濁液における細胞の密度が均一になり、吐出する液滴に細胞が偏在しにくくなる。よって、本発明のプレートの生成方法では、吐出時に細胞懸濁液の流れがオリフィス内で偏らなくなることから吐出曲がりなどが発生しにくくなるため、吐出した液滴を所定の位置に付着させることができ、細胞数のばらつきが低減されたプレートを生成できる。
(オリフィスの径可変プログラム)
本発明のオリフィスの径可変プログラムは、本発明のプレートの生成装置に用いられるオリフィスの径可変プログラムである。オリフィスの径可変プログラムは、取得した細胞の体積平均粒径の情報に基づき、次式、R/r≧5、を満たすようにオリフィスの径を可変させる処理をコンピュータに実行させる。
オリフィスの径可変プログラムは、ハードウェア資源としてのコンピュータ等を用いることにより、オリフィスの径可変装置として実現させる。なお、オリフィスの径可変装置を単に「可変装置」と称することがある。また、この可変装置は、生成装置100の一部であってもよい。
次に、可変装置について説明する。
図7は、可変装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、可変装置200は、CPU201と、主記憶装置202と、補助記憶装置203と、外部I/F204と、可変機構205とを有し、これらはバス206で通信可能に接続されている。
CPU(Central Processing Unit)201は、プロセッサの一種であり、種々の制御や演算を行う処理装置である。CPU201は、補助記憶装置203などが記憶するOS(Operating System)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。すなわち、CPU201は、本実施形態では、オリフィスの径可変プログラムを実行することにより、後述する制御部220として機能する。
主記憶装置202は、各種プログラムを記憶し、また各種プログラムを実行するために必要なデータなどを記憶する。
主記憶装置202は、ROMと、RAM(Random Access Memory)と、を有する。
ROMは、BIOS(Basic Input/Output System)等の各種プログラムなどを記憶している。
RAMは、各種プログラムがCPU201により実行される際に展開される作業範囲などとして機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。RAMとしては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
補助記憶装置203は、本実施例では、ハードディスクドライブ(「HDD」と称することがある)である。
なお、補助記憶装置203としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ、磁気テープなどが挙げられる。また、他の補助記憶装置203としては、例えば、CDドライブ、DVDドライブなどの可搬記憶装置などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
外部I/F(Interface)204は、データ取得装置300と通信可能に接続されており、データ取得装置300から細胞の体積平均粒径の情報を受信する。
なお、データ取得装置300は、セルソーターのオリフィス12を通過する細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径の情報を取得する装置である。
可変機構205は、モータの駆動によりオリフィス12の径を可変できる可変開口絞機構を有する。
図8は、可変装置の機能構成を示すブロック図である。
図8に示すように、可変装置200は、通信部210と、制御部220と、記憶部230とを有する。
通信部210は、制御部220の指示に基づき、図7に示した外部I/F204を用いて細胞の体積平均粒径の情報を受信することができる。
制御部220は、受信した細胞の体積平均粒径の情報を記憶部230に記憶させる。制御部220は、記憶させた細胞の体積平均粒径の情報に基づき、次式、R/r≧5、を満たすように、可変機構205を用いてオリフィスの径を可変させる。
記憶部230は、制御部220の指示に基づき、補助記憶装置203に細胞の体積平均粒径の情報を記憶する。また、記憶部230は、前回指示されたオリフィスの径、即ち現状のオリフィスの径Rを記憶する。
次に、本発明のオリフィスの径可変プログラムについて説明する。本発明のオリフィスの径可変プログラムによる処理は、本発明の可変装置200の制御部220を有するコンピュータを用いて実行することができる。
図9は、オリフィスの径を可変させる動作を行う処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、オリフィスの径を可変させる動作を行う処理の流れを図9に示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
ステップS101では、制御部220は、データ取得装置300から受信した細胞の体積平均粒径の情報を読み込むと、処理をS102に移行する。
ステップS102では、制御部220は、細胞の体積平均粒径rの情報及び現状のオリフィスの径Rのデータから、次式、R/r≧5、を満たしていると判定すると、本処理を終了する。また、制御部220は、次式、R/r≧5、を満たしていないと判定すると、処理をS103に戻す。
ステップS103では、制御部220は、記憶させた細胞の体積平均粒径の情報に基づき、次式、R/r≧5、を満たすように、可変機構205を用いてオリフィスの径を可変させると、本処理を終了する。
このように、本発明のオリフィスの径可変プログラムは、取得した細胞の体積平均粒径の情報に基づき、次式、R/r≧5、を満たすようにオリフィスの径を可変させる処理をコンピュータに実行させる。
これにより、本発明のオリフィスの径可変プログラムは、細胞懸濁液における細胞の体積平均粒径の計測結果に応じて自動的にオリフィスの径を十分大きくすることができるため、吐出時の細胞懸濁液における細胞の密度が均一にすることができる。このため、本発明のオリフィスの径可変プログラムは、オリフィスを通液する細胞懸濁液の細胞を偏在させないようにすることができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させることを含み、
前記オリフィスが、前記細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、前記オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすことを特徴とするプレートの生成方法である。
<2> 前記液滴の吐出後、かつ前記液滴の前記プレートへの配置前に、前記液滴に含まれる細胞数を計数することを更に含む前記<1>に記載のプレートの生成方法である。
<3> 前記細胞が、光を受光したときに発光可能であり、
光が照射されたときに発せられる前記細胞からの発光に基づき、前記細胞数を計数する前記<2>に記載のプレートの生成方法である。
<4> 前記プレート上の前記細胞から核酸を抽出することを更に含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のプレートの生成方法である。
<5> 前記液滴を吐出した後、吐出した前記液滴が前記プレート上の所定の位置に存在することを確認する前記<1>から<4>のいずれかに記載のプレートの生成方法である。
<6> 細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させる吐出手段を有し、
前記オリフィスが、前記細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、前記オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすことを特徴とするプレートの生成装置である。
<7> 前記液滴の吐出後、かつ前記液滴の前記プレートへの配置前に、前記液滴に含まれる細胞数を計数する細胞計数手段を更に有する前記<6>に記載のプレートの生成装置である。
<8> 前記細胞が、光を受光したときに発光可能であり、
前記細胞計数手段が、光が照射されたときに発せられる前記細胞からの発光に基づき、前記細胞数を計数する前記<7>に記載のプレートの生成装置である。
<9> 前記プレート上の前記細胞から核酸を抽出する核酸抽出手段を更に有する前記<6>から<8>のいずれかに記載のプレートの生成装置である。
<10> 前記液滴を吐出した後、吐出した前記液滴が前記プレート上に存在することを確認する画像認識手段を更に有する前記<6>から<9>のいずれかに記載のプレートの生成装置である。
<11> 前記<6>から<10>に記載のプレートの生成装置に用いられるオリフィスの径可変プログラムであって、
前記細胞懸濁液に含まれる前記細胞の体積平均粒径の情報を取得し、
前記細胞の体積平均粒径の情報に基づき、前記式、R/r≧5、を満たすように前記オリフィスの径を可変させる、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするオリフィスの径可変プログラムである。
前記<1>から<5>のいずれかに記載のプレートの生成方法、前記<6>から<10>のいずれかに記載のプレートの生成装置、前記<11>のに記載のオリフィスの径可変プログラムによれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2015−195735号公報
1 マイクロチップ
2 振動素子
3 光学検出手段
4 対電極
5 プレート
6 グランド接地対電極
7 ステージ
12 オリフィス
100 プレートの生成装置
200 可変装置
205 可変機構
220 制御部
300 データ取得装置
D 液滴

Claims (7)

  1. 細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させることを含み、
    前記オリフィスが、前記細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、前記オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすことを特徴とするプレートの生成方法。
  2. 前記液滴の吐出後、かつ前記液滴の前記プレートへの配置前に、前記液滴に含まれる細胞数を計数することを更に含む請求項1に記載のプレートの生成方法。
  3. 前記細胞が、光を受光したときに発光可能であり、
    光が照射されたときに発せられる前記細胞からの発光に基づき、前記細胞数を計数する請求項2に記載のプレートの生成方法。
  4. 前記プレート上の前記細胞から核酸を抽出することを更に含む請求項1から3のいずれかに記載のプレートの生成方法。
  5. 前記液滴を吐出した後、吐出した前記液滴が前記プレート上の所定の位置に存在することを確認する請求項1から4のいずれかに記載のプレートの生成方法。
  6. 細胞懸濁液を、オリフィスを介して液滴として吐出することによりプレートに順次配置させる吐出手段を有し、
    前記オリフィスが、前記細胞懸濁液に含まれる細胞の体積平均粒径をr、前記オリフィスの径をRとした場合、次式、R/r≧5、を満たすことを特徴とするプレートの生成装置。
  7. 請求項6に記載のプレートの生成装置に用いられるオリフィスの径可変プログラムであって、
    前記細胞懸濁液に含まれる前記細胞の体積平均粒径の情報を取得し、
    前記細胞の体積平均粒径の情報に基づき、前記式、R/r≧5、を満たすように前記オリフィスの径を可変させる、
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とするオリフィスの径可変プログラム。
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