JP2019157651A - 真空ポンプ - Google Patents

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【課題】潤滑剤貯蔵部における潤滑剤の循環移動をより効果的行わせることができる真空ポンプの提供。【解決手段】真空ポンプは、ポンプロータが設けられたシャフト10を支持するベアリング8と、シャフト10に設けられ、遠心力により液状の潤滑剤をベアリング8に供給するためのテーパ面100aが形成された固定部品100と、ベアリング8から排出された潤滑剤が戻る潤滑剤戻り面601およびテーパ面100aに接触する潤滑剤供給面602を有し、潤滑剤が貯蔵される潤滑剤貯蔵部60と、を備え、潤滑剤貯蔵部60は、内部に多数の微小空隙を有する毛細管構造体で形成され、潤滑剤戻り面601から潤滑剤供給面602にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、真空ポンプに関する。
ターボ分子ポンプ等の真空ポンプにおいて回転体の支持に油潤滑の軸受を用いる場合には、連続して潤滑剤(潤滑油)を供給する必要がある。連続して潤滑剤を供給する方法としては、特許文献1に記載のように潤滑剤を循環させて供給する方法が知られている。
特許文献1に記載の発明においては、フェルトから構成される潤滑剤貯蔵装置を備え、フェルトの一部は回転軸に設けられた噴霧ナットの円錐表面に接触している。軸受から排出された潤滑剤は潤滑剤貯蔵装置に戻り、毛細管力により潤滑剤貯蔵装置内に浸透し、接触部から噴霧ナットの円錐表面に移動する。円錐表面上の潤滑剤は遠心力により軸受方向へ移動し、軸受に供給される。
特許第5303137号公報
しかしながら、特許文献1に記載の潤滑剤貯蔵装置では、潤滑剤が毛細管力により浸透するという構成であり、潤滑剤戻り側から離れた潤滑剤供給側まで移動する際の移動効率が非常に悪いという問題がある。
本発明の好ましい態様による真空ポンプは、ポンプロータが設けられた回転軸を支持する軸受と、前記回転軸に設けられ、遠心力により液状の潤滑剤を前記軸受に供給するためのテーパ面が形成されたテーパ部材と、前記軸受から排出された潤滑剤が戻る潤滑剤戻り面および前記テーパ面に接触する潤滑剤供給面を有し、前記潤滑剤が貯蔵される潤滑剤貯蔵部と、を備え、前記潤滑剤貯蔵部は、内部に多数の微小空隙を有する毛細管構造体で形成され、前記潤滑剤戻り面から前記潤滑剤供給面にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成されている。
さらに好ましい態様では、前記潤滑剤戻り面は前記軸受の外輪に接触している。
さらに好ましい態様では、前記微小空隙の大きさが、前記潤滑剤戻り面から前記潤滑剤供給面にかけて小さくなっていくように構成されている。
さらに好ましい態様では、前記潤滑剤貯蔵部は、前記潤滑剤戻り面から前記潤滑剤供給面にかけて複数層の毛細管構造体を有し、前記複数層の毛細管構造体の毛細管力は、前記潤滑剤供給面に近い毛細管構造体ほど大きく設定されている。
さらに好ましい態様では、前記潤滑剤貯蔵部は、前記軸受の外輪の軸方向位置を調節する調整部材を介して配置され、前記調整部材は、前記外輪に接触する第1の面と前記潤滑剤貯蔵部に接触する第2の面とを有する多孔質焼結金属材で形成され、前記多孔質焼結金属材は、前記第1の面から前記第2の面にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成されている。
さらに好ましい態様では、前記潤滑剤貯蔵部は、前記軸受の外輪の軸方向位置を調節する調整部材を介して配置され、前記調整部材は多孔質層を形成する表面処理が施され、前記多孔質層は、前記外輪に接触する第1の多孔質層表面から前記潤滑剤貯蔵部に接触する第2の多孔質層表面にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成されている。
本発明によれば、毛細管力の差を利用することにより、潤滑剤貯蔵部における潤滑剤の循環移動をより効果的行わせることができる。
図1は、ポンプ本体の断面図である。 図2は、ベアリングホルダの詳細構造を示す断面図である。 図3は、毛細管力のz方向の分布を示す図である。 図4は、変形例1を示す図である。 図5は、変形例2を示す図である。 図6は、変形例3を示す図である。 図7は、変形例4を示す図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は本発明に係る真空ポンプの一実施の形態を示す図であり、ターボ分子ポンプのポンプ本体1の断面を示したものである。ターボ分子ポンプは、図1に示すポンプ本体1とは別にポンプ本体1に電力を供給する電源装置を備えるが、図1では図示を省略した。
図1に示すポンプ本体1は、排気機能部として、タービン翼を備えたターボポンプ部P1と、螺旋型の溝を備えたHolweckポンプ部P2とを備えている。もちろん、本発明は、排気機能部にターボポンプ部P1およびHolweckポンプ部P2を備えた真空ポンプに限らず、タービン翼のみを備えた真空ポンプや、ジーグバーンポンプやHolweckポンプなどのドラッグポンプのみを備えた真空ポンプや、それらを組み合わせた真空ポンプにも適用することができる。
ターボポンプ部P1は、ポンプロータ3に形成された複数段の回転翼30とベース2側に配置された複数段の固定翼20とで構成される。一方、ターボポンプ部P1の排気下流側に設けられたHolweckポンプ部P2は、ポンプロータ3に形成された円筒部31とベース2側に配置されたステータ21とで構成されている。円筒状のステータ21の内周面には螺旋溝が形成されている。複数段の回転翼30と円筒部31とが回転側排気機能部を構成し、複数段の固定翼20とステータ21とが固定側排気機能部を構成する。
ポンプロータ3はシャフト10に締結されており、そのシャフト10はモータ4により回転駆動される。モータ4には例えばDCブラシレスモータが用いられ、ベース2にモータステータ4aが設けられ、シャフト10側にはモータロータ4bが設けられている。シャフト10とポンプロータ3とから成る回転体ユニットRは、永久磁石6a,6bを用いた永久磁石磁気軸受6と転がり軸受であるベアリング8とにより回転自在に支持されている。
永久磁石6a,6bは、軸方向に磁化されたリング状の永久磁石である。ポンプロータ3に設けられた複数の永久磁石6aは、同極同士が対向するように軸方向に複数配置されている。一方、固定側の複数の永久磁石6bは、ポンプケーシング12に固定された磁石ホルダ11に装着されている。これらの永久磁石6bも、同極同士が対向するように軸方向に複数配置されている。
ポンプロータ3に設けられた永久磁石6aの軸方向位置は、その内周側に配置された永久磁石6bの位置よりも若干上側となるように設定されている。すなわち、回転側の永久磁石の磁極は、固定側の永久磁石の磁極に対して軸方向に所定量だけずれている。この所定量の大きさによって、永久磁石磁気軸受6の支持力が異なる。図1に示す例では、永久磁石6aの方が図示上側に配置されているため、永久磁石6aと永久磁石6bとの反発力により、ラジアル方向の支持力と軸方向上向き(ポンプ排気口側方向)の力とが回転体ユニットRに働いている。
磁石ホルダ11の中央には、ベアリング9を保持するベアリングホルダ13が固定されている。図1では、ベアリング8,9に深溝玉軸受を用いているが、これに限らず、例えばアンギュラコンタクトの軸受を用いても良い。ベアリング9は、シャフト上部のラジアル方向の振れを制限するタッチダウンベアリングとして機能するものである。定常回転状態ではシャフト10とベアリング9とが接触することはなく、大外乱が加わった場合や、回転の加速時または減速時にシャフト10の振れ回りが大きくなった場合に、シャフト10がベアリング9に接触する。
ベアリング8は、ベース2に設けられたベアリングホルダ50に保持される。ベアリングホルダ50には、ベアリング8に供給される潤滑剤を貯蔵する潤滑剤貯蔵部60が設けられている。ベアリング8の潤滑剤には、潤滑油等の液状の潤滑剤が用いられる。
図2は、ベアリングホルダ50の詳細構造を示す断面図である。ベアリング8は外輪81,内輪82および転動体83を備えており、内輪82はシャフト10に固定され、外輪81はベアリングホルダ50に保持される。シャフト10の下端には、ベアリング8の内輪82をシャフト10に固定するための固定部品100が装着される。外輪81とベアリングホルダ50との間には、外輪81の外周側に配置されるラジアルダンパー40と、外輪81の軸方向端面側に配置されるスラストダンパー41とが設けられている。ラジアルダンパー40およびスラストダンパー41にはゴム等の弾性部材が用いられる。外輪81の軸方向位置、すなわちベアリング8にかかる予圧は、ネジなどで構成される位置調整部品70によって調整される。
潤滑剤貯蔵部60は、ベアリングホルダ50の下端に固定される貯蔵部ホルダ51に設けられている。潤滑剤貯蔵部60の図示上側の面601は位置調整部品70に接触している。潤滑剤貯蔵部60はリング形状をしており、その内周側には潤滑剤供給突起部60aが設けられている。固定部品100の外周面はベアリング8に近づくほど径が大きくなるテーパ面100aになっており、潤滑剤供給突起部60aの先端の面602はテーパ面100aに接触している。
潤滑剤貯蔵部60は、フェルト状やスポンジ状の多孔質材または多孔質焼結プラスチックや多孔質焼結金属などで形成されており、多孔質材に形成された多数の微小空隙に潤滑剤が貯蔵される。潤滑剤貯蔵部60の潤滑剤供給突起部60aは先端の面602がテーパ面100aに接触しているので、潤滑剤供給突起部60aの潤滑剤が面602からテーパ面100aに付着する。
上述のように、テーパ面100aは、固定部品100の先端からベアリング8の内輪82に近づくほど径が大きくなるテーパ面となっている。そのため、シャフト10が高速で回転すると、テーパ面100aに付着した潤滑剤は、破線矢印で示すように遠心力によってテーパ面100a上を内輪82の方向に移動し、内輪82へと移動する。内輪82に移動した潤滑剤は転動体83にも付着し、転動体83の回転により外輪81の転動面に付着する。
このように、ベアリング8の内部に入った潤滑剤の一部は、転動体83を介して外輪81へ移動する。しかし、外輪81まで移動する潤滑剤は微量であり、供給された潤滑剤のほとんどが高速回転する内輪82および転動体83により弾き飛ばされて潤滑剤貯蔵部60の面601側に戻される。例えば、弾き飛ばされて位置調整部品70の内周面に付着した潤滑剤は、重力により潤滑剤貯蔵部60方向に移動し、面601から潤滑剤貯蔵部60に流入する。
上述したように、潤滑剤貯蔵部60は微小空隙が多数形成された多孔質材で形成されており、毛細管現象によって多孔質材内を潤滑剤が浸透する。本実施の形態では、潤滑剤貯蔵部60に用いられる多孔質材、すなわち上述したフェルト状やスポンジ状の多孔質材または多孔質焼結プラスチックや多孔質焼結金属などのことを、毛細管構造体と呼ぶ場合もある。
ところで、従来の場合(例えば特許文献1に記載の発明の場合)も、潤滑剤貯蔵部にフェルト状の部材を用いることで毛細管力による潤滑剤の浸透を潤滑剤供給に利用している。毛細管現象における毛細管の液面の上昇高さhは、次式(1)で与えられる。ただし、式(1)において、T=表面張力、θ=接触角、ρ=液体の密度、g=重力加速度、r=毛細管の半径である。毛細管力は上昇高さhで表され、hが大きいものほど毛細管力が大きい。
h=(2Tcosθ)/ρgr …(1)
式(1)から分かるように、毛細管の半径rが小さいほど上昇の高さh(すなわち毛細管力)は大きくなる。毛細管構造体(多孔質材)の場合、rはスポンジ状の部材であれば孔の大きさを表すパラメータであり、フェルト状の部材であれば繊維と繊維とで囲まれた隙間空間の大きさを表すパラメータである。
ここで、潤滑剤貯蔵部60における毛細管力が従来のように一様で均質であると仮定した場合を考える。その場合、潤滑剤貯蔵部60の面601から浸入した潤滑剤は、毛細管力により徐々に潤滑剤貯蔵部全体に浸透し、その後、潤滑剤が潤滑剤供給突起部60aの先端に達すると、面602から固定部品100のテーパ面100aに潤滑剤が移動することになる。毛細管力が一様均質な場合には潤滑剤移動の効率が悪く、潤滑剤貯蔵部60の面601から戻ってきた潤滑剤を離れた潤滑剤供給突起部60aの先端まで移動させるのに十分な力を発揮することができない。そのため、潤滑剤の戻りが少ない状況においては、テーパ面100aへの潤滑剤の供給が滞るというおそれがあった。
そこで、本実施の形態では、潤滑剤貯蔵部60を構成する毛細管構造体の毛細管力が、潤滑剤戻り側(すなわち面601)から潤滑剤供給側(すなわち面602)にかけて大きくなっていくように潤滑剤貯蔵部60を構成するようにした。図2に示す例では、潤滑剤貯蔵部60の図示上下方向に毛細管力の大きさを変えるようにした。すなわち、図2のように面601を原点として下向きにz軸を設定した場合、潤滑剤貯蔵部60における毛細管力のz方向に関する変化(z方向の分布)を図3のように設定する。
図3において、実線L1が毛細管力のz方向分布を表している。原点(面601の位置)から潤滑剤供給突起部60aの上端位置(z1)までは、毛細管力は一定の傾きで増加している。そして、位置z1から潤滑剤貯蔵部60の下面(z2)までは毛細管力を一定とした。例えば、スポンジ状の毛細管構造体の場合には、孔径が面601から位置z1にかけて小さくなっていくように構成されており、位置z1から位置z2の間は孔径がほぼ同じ大きさに設定されている。この場合、毛細管力の差による図示下向きの駆動力が潤滑剤に働くことにより、毛細管力が一様均質な場合に比べて潤滑剤の下方への移動を能動的に生じさせることができる。その結果、潤滑剤戻り側である面601から潤滑剤供給側である面602が形成された潤滑剤供給突起部60aへの潤滑剤の移動を効果的に行わせることができ、テーパ面100aを介したベアリング8への潤滑剤供給を安定して行わせることができる。
なお、図3に示す実線L1では、位置z1から位置z2まで毛細管力を一定としたが、破線L2で示すように位置z2から位置z1にかけて大きくなるように設定しても良い。破線L2のように毛細管力を設定した場合には、この領域では潤滑剤に対して図2の図示上向きの駆動力が働くので、潤滑剤が潤滑剤貯蔵部60の下部(図2の位置z1よりも下側)に無駄に滞留するのを低減することができる。
(変形例1)
図4は潤滑剤貯蔵部60の変形例1を示す図である。変形例1では、潤滑剤貯蔵部60は潤滑剤戻り側の面601から潤滑剤供給側の面602にかけて複数層の毛細管構造体を有していて、潤滑剤供給面(面602)に近い毛細管構造体ほど毛細管力が大きく設定されている。図4(a)では潤滑剤貯蔵部60は図示上下(軸方向)に3層構造となっており、図4(b)では潤滑剤貯蔵部60は図示上下(軸方向)に4層構造となっている。
まず、図4(a)から説明すると、潤滑剤貯蔵部60は、面601が形成された毛細管構造体60A、潤滑剤供給突起部60aが形成された毛細管構造体60Bおよび毛細管構造体60Bよりも下側の毛細管構造体60Cで構成されている。各毛細管構造体60A〜60Cの毛細管力の大小関係は、図4(a)に文字(大)、(小)で示すように、(毛細管構造体60B)>(毛細管構造体60A)=(毛細管構造体60C)のように設定されている。一方、図4(b)では、毛細管構造体60Aをさらに上下に分割して、2層の毛細管構造体620,621とし、それらの毛細管力の大小関係を(毛細管構造体60B)>(毛細管構造体621)>(毛細管構造体620)のように設定した。なお、毛細管構造体60Bよりも下側の毛細管構造体60Cについても、毛細管構造体60Aの場合と同様に複数層としても良い。
このように、潤滑剤貯蔵部60を毛細管力の異なる毛細管構造体で層構造とすることで、図2に示す潤滑剤貯蔵部60のように一つの毛細管構造体内で毛細管力に変化をつける場合に比べて、毛細管力に分布のある潤滑剤貯蔵部60を容易に形成することができる。その場合、図4(b)のように面601から面602までの経路において層数をより多くすることで、より効果的に毛細管力の差による潤滑剤駆動力を生じさせることができる。
(変形例2)
図5は潤滑剤貯蔵部60の変形例2を示す図である。潤滑剤貯蔵部60は、図4(a)に示した毛細管構造体60A〜60Cに加えて毛細管構造体60Dを備えている。毛細管構造体60Dの毛細管力は隣接する毛細管構造体60Aと同一でも良いし、毛細管構造体60Aよりも小さく設定しても良い。毛細管構造体60Dは、位置調整部品70の内周側に、毛細管構造体60Aとベアリング8の外輪81とに挟まれるように配置されている。すなわち、毛細管構造体60Dの上面603は外輪81に接触し、ベアリング8からの潤滑剤戻り面として機能する。
高速回転する内輪82や転動体83により弾き飛ばされた潤滑剤や、外輪81の転動面から漏れ出た潤滑剤は、位置調整部品70の内周側に配置された毛細管構造体60Dに浸入し、毛細管力により図示下側の毛細管構造体60Aへと移動する。毛細管構造体60Aへと移動した潤滑剤は、さらに、毛細管力により毛細管構造体60A→毛細管構造体60B→面602のように移動してテーパ面100aに供給される。
図2に示す構造では、位置調整部品70の内周面に付着した潤滑剤は、重力により内周面を下側に移動して毛細管構造体60Aの面601に戻る。しかし、粘度のある潤滑剤が内周面を下側に移動する速度は小さく、とくに付着量が少ないと移動しにくい。また、真空ポンプの取付向きによっては、重力による作用を得ることが難しい場合がある。一方、図5の毛細管構造体60Dに付着した潤滑油は毛細管力によって毛細管構造体60D内を浸透するように移動するので、より効果的に潤滑剤を毛細管構造体60Aへと導くことができる。
毛細管構造体60Dの形状は円筒形状に限らず、棒状の部品を円筒状に複数配置したものでも良い。毛細管構造体60Dを構成する多孔質材としては、毛細管構造体60A〜60Cの場合と同様にフェルト状やスポンジ状の部材や、多孔質焼結プラスチックや多孔質焼結金属などが用いられる。なお、図5に示す例では別体の毛細管構造体60Dを位置調整部品70の内周側に配置したが、毛細管構造体60Dと毛細管構造体60Aとを一体に形成しても良い。
(変形例3)
図6は潤滑剤貯蔵部60の変形例3を示す図である。変形例3では、図5に示した変形例2に、さらに毛細管構造体60Eを外輪81の内周側に配置した。毛細管構造体60Eの毛細管力は隣接する毛細管構造体60Dと同一でも良いし、毛細管構造体60Dよりも小さく設定しても良い。なお、毛細管構造体60Eは毛細管構造体60Dと一体に形成しても良いし、毛細管構造体60A,60Dおよび60Eを一体に形成するようにしても良い。毛細管構造体60Eを設けることにより、外輪81の外輪から毛細管構造体60Aへの潤滑剤の戻りをより効果的に行わせることができる。
(変形例4)
図7は潤滑剤貯蔵部60の変形例4を示す図である。変形例4では、図2に示す構成において、位置調整部品70を毛細管構造体で構成した位置調整部品71に置き換えたものである。毛細管構造体としては、例えば多孔質焼結金属が用いられる。このように位置調整部品71を毛細管構造体で構成することで、図5に示すような毛細管構造体60Dを設けなくても同様の効果を得ることができ、ベアリング8から潤滑剤貯蔵部60への潤滑剤の戻りを効果的に行わせることができる。また、位置調整部品71を毛細管構造体で構成する代わりに、位置調整部品71の表面に多孔質電解メッキなどを施して毛細管力を有する多孔質層を形成するようにしても良い。
いずれの場合も、位置調整部品71側の毛細管力は、毛細管構造体60Aの毛細管力よりも小さく、または、等しく設定される。また、位置調整部品71の毛細管構造体内において毛細管力を変化させるようにする場合には、外輪81に接触する面710から毛細管構造体60Aに接触する面711にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成する。
以上説明したように、本実施の形態では、例えば図2に示すように、潤滑剤貯蔵部60は、ベアリング8から排出された潤滑剤が戻る面601およびテーパ面100aに接触する潤滑剤を供給する面602を有し、テーパ面100aの潤滑剤は遠心力によりベアリング8に供給される。そして、潤滑剤貯蔵部60を構成する毛細管構造体は、毛細管力が、潤滑剤戻り側(すなわち面601)から潤滑剤供給側(すなわち面602)にかけて大きくなっていくように構成されている。
そのため、潤滑剤貯蔵部60に戻った潤滑剤を毛細管力の差による駆動力を利用して移動させることができ、毛細管力が一様均質な場合に比べてより多くの潤滑剤を潤滑剤循環に利用することができる。その結果、潤滑剤の早期劣化を防ぐことができる。すなわち、潤滑剤の量が同じであっても潤滑可能な使用時間を従来よりも延ばすことができ、潤滑剤交換の周期を延長することが可能となる。これによりメンテナンス周期の延長が可能となり、ユーザのメンテナンス負担の軽減を図ることができる。
また、潤滑剤の循環の効率向上が可能であることから、潤滑剤貯蔵部60の潤滑剤の使用効率を上げることができ、より少ない潤滑剤貯蔵量でベアリング8の適切な潤滑状態を維持することが可能となる。すなわち、潤滑剤使用量の低減によるコスト低減や、潤滑剤貯蔵部60の小型化によるポンプ小型化を図ることができる。なお、潤滑剤の循環に毛細管力を利用しているので、潤滑に対する重力の影響を低減することができると共に、ポンプ取り付け姿勢の制限を無くすことができる。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1…ポンプ本体、3…ポンプロータ、8,9…ベアリング、10…シャフト、60…潤滑剤貯蔵部、60a…潤滑剤供給突起部、60A〜60E…毛細管構造体、70,71…位置調整部品、81…外輪、82…内輪、83…転動体、100…固定部品、100a…テーパ面、601,602,710,711…面、R…回転体ユニット

Claims (6)

  1. ポンプロータが設けられた回転軸を支持する軸受と、
    前記回転軸に設けられ、遠心力により液状の潤滑剤を前記軸受に供給するためのテーパ面が形成されたテーパ部材と、
    前記軸受から排出された潤滑剤が戻る潤滑剤戻り面および前記テーパ面に接触する潤滑剤供給面を有し、前記潤滑剤が貯蔵される潤滑剤貯蔵部と、を備え、
    前記潤滑剤貯蔵部は、内部に多数の微小空隙を有する毛細管構造体で形成され、前記潤滑剤戻り面から前記潤滑剤供給面にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成されている、真空ポンプ。
  2. 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
    前記潤滑剤戻り面は前記軸受の外輪に接触している、真空ポンプ。
  3. 請求項1または2に記載の真空ポンプにおいて、
    前記微小空隙の大きさが、前記潤滑剤戻り面から前記潤滑剤供給面にかけて小さくなっていくように構成されている、真空ポンプ。
  4. 請求項1または2に記載の真空ポンプにおいて、
    前記潤滑剤貯蔵部は、前記潤滑剤戻り面から前記潤滑剤供給面にかけて複数層の毛細管構造体を有し、
    前記複数層の毛細管構造体の毛細管力は、前記潤滑剤供給面に近い毛細管構造体ほど大きく設定されている、真空ポンプ。
  5. 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
    前記潤滑剤貯蔵部は、前記軸受の外輪の軸方向位置を調節する調整部材を介して配置され、
    前記調整部材は、前記外輪に接触する第1の面と前記潤滑剤貯蔵部に接触する第2の面とを有する多孔質焼結金属材で形成され、
    前記多孔質焼結金属材は、前記第1の面から前記第2の面にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成されている、真空ポンプ。
  6. 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
    前記潤滑剤貯蔵部は、前記軸受の外輪の軸方向位置を調節する調整部材を介して配置され、
    前記調整部材は多孔質層を形成する表面処理が施され、
    前記多孔質層は、前記外輪に接触する第1の多孔質層表面から前記潤滑剤貯蔵部に接触する第2の多孔質層表面にかけて毛細管力が大きくなっていくように構成されている、真空ポンプ。
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