JP2019157532A - 建物の建築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吹き抜け部Bを有する建物を建築しながら、当該吹き抜け部Bの所定の設置階に梁を組み付けた上部梁構造物R1を設置する建物の建築方法であって、吹き抜け部Bにおける設置階よりも下方側で、吹き抜け部Bに設置されたフロアクライミング式のタワークレーンCのベース架台C3に予め上部梁構造物R1を取り付ける上部梁構造物取付工程を実行し、吹き抜け部Bにおける設置階側で、タワークレーンCのフロアクライミングにより上昇されたベース架台C3に取り付けられている上部梁構造物R1を設置階に移設する上部梁構造物移設工程を実行する。
【選択図】図7
Description
このような上部梁構造物の従来の設置方法は、建物を少なくとも上部梁構造物の設置階までを構築した時点で、当該上部梁構造物を構成するための資材を当該設置階まで揚重し、その資材を吹き抜け部の設置階に組み付ける形態で行われている。
このようなタワークレーンとしては、フロアクライミング式のものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。フロアクライミング式のタワークレーンは、クレーン部をマストに沿って昇降可能な昇降装置を建物躯体に定着させた状態で、マストをベース架台とともに上階側に盛り替えるフロアクライミングを実行可能に構成されている。
また、吹き抜け部における設置階での上部梁構造物の設置作業は、その吹き抜け部に設置されているタワークレーンのベース架台が上記設置階よりも上階側に盛り替えられた時点、又は吹き抜け部からタワークレーンが完全に撤去された時点において、タワークレーンとは別に、上部梁構造物を構成する資材を吹き抜け部の設置階に揚重するための揚重装置を準備する必要があり、作業効率の更なる悪化の要因となる。
前記吹き抜け部における前記設置階よりも下方側で、前記吹き抜け部に設置されたフロアクライミング式のタワークレーンのベース架台に予め前記上部梁構造物を取り付ける上部梁構造物取付工程を実行し、
前記吹き抜け部における前記設置階側で、前記タワークレーンのフロアクライミングにより上昇された前記ベース架台に取り付けられている前記上部梁構造物を前記設置階に移設する上部梁構造物移設工程を実行する点にある。
従って、本発明により、吹き抜け部を有する建物の建築工事において、狭小・狭隘な吹き抜け部において上部梁構造物を効率良く上方の設置階に設置することができる建物の建築方法を提供することができる。
前記上部梁構造物移設工程において、前記ベース架台を前記設置階よりも上方側に定着させた状態で、当該ベース架台に取り付けられている前記上部梁構造物を前記設置階に移設する点にある。
本実施形態では、建物の建築工事において実施される建物の建築方法及び作業用足場の盛り替え方法について説明する。
図11に示すように、建築対象となる建物Aは、高層マンション等のように略中央部に吹き抜け部Bを有し、それを囲むように構築される。そして、この建物Aの吹き抜け部Bには、例えば地上側にタワーパーキングP等が設置され、その上方部に電気室R等が設置される。また、この電気室Rは、吹き抜け部Bを囲う建物躯体A1に対して固定される梁を組み付けた上部梁構造物R1上に構築される。
また、作業用足場Sを支持する架台S1は、建物躯体A1の内壁面に対してブラケット10を介して定着させることができる。
即ち、吹き抜け部Bにおいて、建物躯体A1の内壁面の複数個所にブラケット10をアンカーボルト等により固定し、そのブラケット10に対して架台S1を架設する。そして、その架台S1の上面に作業用足場Sを設置する形態で、作業用足場Sを建物躯体A1に定着させることができる。また、このように定着させた作業用足場Sの上端部は、作業用足場Sの触れ止めのために、ワイヤS3を介して建物躯体A1に連結されている。
タワークレーンCには、図5等に示すように、クレーン部C1をマストC5に沿って昇降可能な昇降装置C2が設けられている。
即ち、吹き抜け部Bにおいて、建物躯体A1の内壁面の複数個所にブラケット11をアンカーボルト等により固定し、そのブラケット11に対して受け梁C4を架設する。そして、その受け梁C4の上面にマストC5の下端部に設けられたベース架台C3を固定することで、当該ベース架台C3を建物躯体A1に定着させることができる。
そして、タワークレーンCは、詳細については後述するが、クレーン部C1をマストC5に沿って昇降可能な昇降装置C2を建物躯体A1に定着させた状態で、マストC5をベース架台C3とともに上階側に盛り替えるフロアクライミングを実行可能に構成されたフロアクライミング式に構成されている。
建物Aの建築工事では、タワークレーンCにおいて昇降装置C2を利用して作業用足場Sを昇降させる足場昇降工程を実行する作業用足場Sの盛り替え方法が実行される。
以下に、その作業用足場Sの盛り替え方法の詳細について、図1,図2に基づいて説明を加える。
また、この第1工程では、タワークレーンCの昇降装置C2は、クレーン部C1に連結された状態で、マストC5の上方側に位置している。
そして、下降させた昇降装置C2の底部と作業用足場Sの架台S1とを近接させた状態で接続すると共に、作業用足場Sを支持していた支持構造体13(図1の(a)参照。)を撤去する。すると、作業用足場Sは、昇降装置C2により支持された状態となる。
そして、作業用足場Sを任意の高さ位置まで上昇させた上で、当該作業用足場Sを支持する架台S1を建物躯体A1の内壁面に対してブラケット10を介して定着させる。
尚、本実施形態では、作業用足場Sを上昇させて盛り替える形態を説明したが、同様の方法で、作業用足場Sを下降させて盛り替えることもできる。
そして、この第4工程において、適宜解体した部分を再構築して、作業用足場Sの盛り替えを完了することができる。
この第4工程においては、上記退避工程を実行することで、所定の高さ位置に定着させた作業用足場Sからその後の作業用足場Sでの作業の邪魔になる昇降装置C2を切り離し、当該切り離した昇降装置C2を上昇させて退避させることができる。
即ち、複数の昇降装置C2を利用して作業用足場Sを盛り替える場合には、複数のタワークレーンCの夫々のクレーン部C1をマストC5の上方側に定着させた状態で、当該クレーン部C1から切り離した複数の昇降装置C2を下方側の作業用足場Sの内側に形成された昇降装置進入空間S2まで下降させ、その底部と作業用足場Sの架台S1とを近接させた状態で接続する。そして、当該作業用足場Sの底部と接続した複数の昇降装置C2を同時に上昇させることで、それら複数の昇降装置C2に接続された作業用足場Sを所定の高さ位置まで上昇させることができる。
また、この作業用足場Sの盛り替え方法においても、作業用足場Sをクレーン部C1から切り離した昇降装置C2に連結して上昇させるので、複数のタワークレーンCの夫々において、作業用足場Sの盛り替えタイミングとは別の任意のタイミングで、昇降装置C2によるクレーン部C1のクライミングを実行することができる。
建物Aの建築工事では、タワークレーンCにおいてクレーン部C1をクライミングするためのフロアクライミングが実行される。また、このフロアクライミングに先立って、作業用足場Sを最上部に上昇させる足場上昇工程が実行される。
以下に、その足場上昇工程及びそれに続くフロアクライミングの詳細について、図5〜図8に基づいて説明を加える。
そして、上記第1工程及び上記第2工程を実行した上で、後述する第3工程以降の1回目のフロアクライミングが実行されるが、その実行時において、上記作業用足場Sが最上部に上昇されているので、作業用足場Sが邪魔になることなくベース架台C3をできるだけ上方に盛り替えることができるようになる。
そして、フロアクライミングの第3工程のように、吹き抜け部Bにおける上部梁構造物R1の設置階よりも下方側の低層階で、タワークレーンCのベース架台C3に予め上部梁構造物R1を取り付ける工程を上部梁構造物取付工程と呼ぶ。即ち、このような上部梁構造物取付工程を実行することで、例えば狭小・狭隘な吹き抜け部Bに設置するタワークレーンCのベース架台C3が上部梁構造物R1の設置階よりも下方側の低層階に位置する時点において、低層階での簡単な作業にてベース架台C3に予め上部梁構造物R1を取り付けておくことができる。
このとき、図9及び図10(b)に示すように、受け梁C4のブラケット11への固定箇所は受け梁C4よりも外側に位置するのに対し、その固定作業は受け梁C4の内側に居る作業者により行う必要がある。
そして、この第4工程において、ベース架台C3を建物躯体A1に定着させた上で、昇降装置C2によりクレーン部C1を所定の高さ位置に上昇させて、フロアクライミングを完了することができる。
即ち、建築工事の進行に伴ってタワークレーンCのフロアクライミングの実施によりベース架台C3は段階的に上昇する。よって、そのベース架台C3の上昇に伴ってそれに予め取り付けられた上部梁構造物R1を他の揚重作業を必要とすることなく吹き抜け部Bの上方の設置階側に上昇させることができる。そして、例えばベース架台C3が設置階付近又はその上方に位置する時点において、このような上部梁構造物移設工程を実行することにより、上昇したベース架台C3に予め取り付けられていた上部梁構造物R1を、吹き抜け部Bの設置階に移設することができる。
更に、梁構造物移設工程においては、ベース架台C3に取り付けられた上部梁構造物R1やそれに含まれるデッキプレートR1aを、作業用足場部として利用することができる。
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施形態では、タワークレーンCのベース架台C3に予め取り付けられて、建物Aの吹き抜け部Bの所定の設置階に移設される上部梁構造物R1を、電気室R(図10参照)の床部として構成されるものとして構成したが、電気室Rを構成する他の梁構造物や当該電気室R以外を構成する梁構造物を、上記上部梁構造物R1としても構わない。
B 吹き抜け部
C タワークレーン
C3 ベース架台
R1 上部梁構造物(作業用足場部、落下防止部)
Claims (5)
- 吹き抜け部を有する建物を建築しながら、当該吹き抜け部の所定の設置階に梁を組み付けた上部梁構造物を設置する建物の建築方法であって、
前記吹き抜け部における前記設置階よりも下方側で、前記吹き抜け部に設置されたフロアクライミング式のタワークレーンのベース架台に予め前記上部梁構造物を取り付ける上部梁構造物取付工程を実行し、
前記吹き抜け部における前記設置階側で、前記タワークレーンのフロアクライミングにより上昇された前記ベース架台に取り付けられている前記上部梁構造物を前記設置階に移設する上部梁構造物移設工程を実行する建物の建築方法。 - 前記ベース架台に取り付けられた上部梁構造物が、前記吹き抜け部の横断面略全体に亘って下方側への落下物を防止する落下防止部を有する請求項1に記載の建物の建築方法。
- 前記ベース架台に取り付けられた上部梁構造物が、前記上部梁構造物移設工程での作業用足場部を有する請求項1又は2に記載の建物の建築方法。
- 前記上部梁構造物取付工程において、前記吹き抜け部における前記タワークレーンの1回目のフロアクライミング前に、定着を解除した前記ベース架台を一旦浮かせた状態で当該ベース架台に前記上部梁構造物を懸垂状態で取り付ける請求項1〜3の何れか1項に記載の建物の建築方法。
- 前記上部梁構造物取付工程において、前記ベース架台に対して前記上部梁構造物を懸垂状態で取り付け、
前記上部梁構造物移設工程において、前記ベース架台を前記設置階よりも上方側に定着させた状態で、当該ベース架台に取り付けられている前記上部梁構造物を前記設置階に移設する請求項1〜4の何れか1項に記載の建物の建築方法。
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