JP2019156899A - 合成ゴムのラテックスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い収率を実現しながら、短時間での製造が可能となる合成ゴムのラテックスの製造方法を提供すること。【解決手段】合成ゴムが有機溶媒に溶解または分散してなる合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、混合装置に連続的に供給し、混合することで、乳化液を連続的に得る乳化工程と、前記乳化工程において連続的に得られる乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整された容器中に連続的に移送しながら、前記容器中で有機溶媒の除去を行う常圧除去工程とを備え、前記常圧除去工程において、前記容器内に移送された乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、有機溶媒の除去を行う合成ゴムのラテックスの製造方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、合成ゴムのラテックスの製造方法に関し、さらに詳しくは、高い収率を実現しながら、短時間での製造が可能となる合成ゴムのラテックスの製造方法に関する。
従来、天然ゴムのラテックスを含有するラテックス組成物をディップ成形して、乳首、風船、手袋、バルーン、サック等の人体と接触して使用されるディップ成形体が得られることが知られている。しかしながら、天然ゴムのラテックスは、人体にアレルギー症状を引き起こすような蛋白質を含有するため、生体粘膜または臓器と直接接触するディップ成形体としては問題がある場合があった。そのため、天然ゴムのラテックスではなく、合成ゴムのラテックスを用いる検討がされてきている。
たとえば、特許文献1では、このような合成ゴムのラテックスを製造するための方法として、合成ゴムが有機溶媒に溶解してなる合成ゴムの溶液と、乳化剤の水溶液とを、混合することで乳化液を得て、得られた乳化液に対して、減圧条件下で、有機溶媒の沸点よりも高い温度にて加熱することで、有機溶媒の除去を行う方法が開示されている。しかしながら、この特許文献1の技術では、有機溶媒の除去に時間が掛かり、そのため生産性に劣るという問題があった。
特許第5260738号公報
本発明は、高い収率を実現しながら、短時間での製造が可能となる合成ゴムのラテックスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、合成ゴムが有機溶媒に溶解または分散してなる合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、混合装置に連続的に供給し、混合することで、連続的に得られる乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整された容器中に連続的に移送しながら、容器中で有機溶媒の除去を行う方法を採用するととも、この際において、容器内に移送された乳化液に、消泡剤水溶液を吹き付けながら、有機溶媒の除去を行うことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、合成ゴムが有機溶媒に溶解または分散してなる合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、混合装置に連続的に供給し、混合することで、乳化液を連続的に得る乳化工程と、
前記乳化工程において連続的に得られる乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整された容器中に連続的に移送しながら、前記容器中で有機溶媒の除去を行う常圧除去工程とを備え、
前記常圧除去工程において、前記容器内に移送された乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、有機溶媒の除去を行う合成ゴムのラテックスの製造方法が提供される。
本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法は、前記常圧除去工程を経た乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、ゲージ圧で−0.01MPa以下の減圧条件下において、有機溶媒の除去を行う減圧除去工程をさらに備えることが好ましい。
本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法においては、前記消泡剤の水溶液として、消泡剤の濃度が0.005〜0.1重量%であるものを用いることが好ましい。
本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法においては、前記消泡剤の水溶液として、シリコン系消泡剤を含有するものを用いることが好ましい。
本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法においては、前記常圧除去工程において、前記乳化液の温度を、前記有機溶媒の大気圧下における沸点Tbに対して、Tb−10〜Tb+5℃の温度範囲に制御しながら有機溶媒の除去を行うことが好ましい。
本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法においては、前記乳化剤の水溶液として、脂肪酸塩および/またはアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有するものを用いることが好ましい。
本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法によれば、高い収率を実現しながら、短時間での製造が可能とすることができ、これにより生産性の向上が可能となる。
図1は、本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法に用いられる乳化装置の一例を示す図である。
本発明の合成ゴムの合成ゴムのラテックスの製造方法は、
合成ゴムが有機溶媒に溶解または分散してなる合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、混合装置に連続的に供給し、混合することで、乳化液を連続的に得る乳化工程と、
前記乳化工程において連続的に得られる乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整された容器中に連続的に移送しながら、前記容器中で有機溶媒の除去を行う常圧除去工程とを備え、
前記常圧除去工程において、前記容器内に移送された乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、有機溶媒の除去を行うものである。
<乳化工程>
本発明の製造方法の乳化工程は、合成ゴムが有機溶媒に溶解または分散してなる合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、混合装置に連続的に供給し、混合することで、乳化液を連続的に得る工程である。
本発明の製造方法で用いる、合成ゴムの溶液または分散液は、合成ゴムが有機溶媒中に溶解または分散してなる溶液または分散液であればよく、特に限定されない。
合成ゴムとしては、特に限定されないが、合成ポリブタジエン、合成ポリイソプレン、合成ポリクロロプレン等の共役ジエン単量体の単独重合体もしくは共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体、ブチルアクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン単量体とこれと共重合可能な他の単量体との共重合体;アクリレート系(共)重合体等が挙げられる。これらのなかでも、ディップ成形体などの膜成形体とした場合における、引張強度および伸びに優れることから、合成ポリイソプレンおよび/またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。
以下、本発明の製造方法で用いる合成ゴムの溶液または分散液を構成する合成ゴムが、合成ポリイソプレンおよび/またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体である場合を例示するが、本発明の製造方法で用いる合成ゴムの溶液または分散液は、これら合成ポリイソプレンおよび/またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の溶液または分散液に、何ら限定されるものではない。
合成ポリイソプレンは、イソプレンの単独重合体であってもよいし、イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体とを共重合したものであってもよい。合成ポリイソプレン中のイソプレン単位の含有量は、柔軟で、引張強度に優れるディップ成形体などの膜成形体が得られやすいことから、全単量体単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは100重量%(イソプレンの単独重合体)である。
イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、ブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等のイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、アルキルスチレン等のビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸メチル(「アクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸メチル」の意味であり、以下、(メタ)アクリル酸エチルなども同様。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;などが挙げられる。これらのイソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は、1種単独でも、複数種を併用してもよい。
合成ポリイソプレンは、従来公知の方法、たとえばトリアルキルアルミニウム−四塩化チタンからなるチーグラー系重合触媒やn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム重合触媒を用いて、有機溶媒中で、イソプレンと、必要に応じて用いられる共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体とを溶液重合することで、合成ポリイソプレンが有機溶媒に溶解してなる、合成ポリイソプレンの溶液として得ることできる。なお、溶液重合により得られた合成ポリイソプレンの溶液は、乳化工程において、そのまま用いてもよいが、溶液重合により得られた溶液から固形の合成ポリイソプレンを取り出した後、有機溶媒に溶解して、用いてもよい。
また、重合に用いる有機溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環族炭化水素溶媒;ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;等を挙げることができる。これらのうち、脂肪族炭化水素溶媒が好ましく、ブタンが特に好ましい。
合成ポリイソプレン中のイソプレン単位としては、イソプレンの結合状態により、シス結合単位、トランス結合単位、1,2−ビニル結合単位、3,4−ビニル結合単位の4種類が存在する。得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度向上の観点から、合成ポリイソプレンに含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合は、全イソプレン単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
合成ポリイソプレンの重量平均分子量は、ゲル・パーミーエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、好ましくは10,000〜5,000,000、より好ましくは500,000〜5,000,000、さらに好ましくは800,000〜3,000,000である。合成ポリイソプレンの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、ディップ成形体などの膜成形体とした場合における、得られる膜成形体の引張強度が向上するとともに、合成ポリイソプレンラテックスが製造しやすくなる傾向がある。
合成ポリイソプレンのポリマー・ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは50〜80、より好ましくは60〜80、さらに好ましくは70〜80である。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、スチレンとイソプレンのブロック共重合体である。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体中のスチレン単位とイソプレン単位の含有割合は、特に限定されないが、「スチレン単位:イソプレン単位」の重量比で、通常1:99〜90:10、好ましくは3:97〜70:30、より好ましくは5:95〜50:50、さらに好ましくは10:90〜30:70の範囲である。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、従来公知の方法、たとえばトリアルキルアルミニウム−四塩化チタンからなるチーグラー系重合触媒やn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム重合触媒を用いて、有機溶媒中で、イソプレンとスチレンとをブロック共重合することで、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が有機溶媒に溶解してなる、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の溶液として得ることができる。なお、ブロック共重合により得られたスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の溶液は、乳化工程において、そのまま用いてもよいが、ブロック共重合により得られた溶液から固形のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を取り出した後、有機溶媒に溶解して、用いてもよい。また、重合に用いる有機溶媒としては、上記した合成イソプレンと同様のものが挙げられる。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体中に含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合は、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度向上の観点から、全イソプレン単位に対して、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上である。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミーエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜500,000、さらに好ましくは100,000〜300,000である。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の重量平均分子量を上記範囲とすることにより、ディップ成形体などの膜成形体とした場合における、得られる膜成形体の引張強度が向上するとともに、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ラテックスが製造しやすくなる傾向がある。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体のポリマー・ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは50〜80、より好ましくは60〜80、さらに好ましくは70〜80である。
本発明の製造方法の乳化工程で用いる、合成ゴムの溶液または分散液中における、合成ゴムの含有割合は、特に限定されないが、好ましくは3〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは7〜15重量%である。
本発明の製造方法の乳化工程で用いる、乳化剤の水溶液を構成する、乳化剤としては、特に限定されないが、アニオン性乳化剤を好ましく用いることができる。アニオン性乳化剤としては、たとえば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノレン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウム等の脂肪酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム等のモノアルキルリン酸塩;等が挙げられる。
これらアニオン性乳化剤の中でも、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、得られる合成ゴムのラテックス中における凝集物の発生をより適切に防止することができ、得られる合成ゴムのラテックスの安定性をより高めることができるという観点より、脂肪酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましく、脂肪酸塩がさらに好ましく、ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウムが特に好ましい。また、脂肪酸塩と、アルキルベンゼンスルホン酸塩とを組み合わせて用いることも好ましい。
本発明の製造方法の乳化工程で用いる、乳化剤の水溶液中における、乳化剤の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.3〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。
そして、本発明の製造方法の乳化工程においては、このような合成ゴムが有機溶媒に溶解または分散してなる合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、混合装置に連続的に供給し、混合することで、乳化液を連続的に得る。
ここで、図1は、本発明の合成ゴムのラテックスの製造方法に用いられる乳化装置の一例を示す図である。図1に示すように、図1に示す乳化装置は、重合体用タンク10と、乳化剤用タンク20と、混合装置30と、貯留タンク40と、バルブ50と、濃縮器60とを備えている。
以下においては、本発明の製造方法の乳化工程について、図1を参照しながら説明を行うが、本発明は、図1に示す乳化装置を用いる態様に特に限定されるものではない。
すなわち、図1を参照して説明すると、本発明の製造方法の乳化工程においては、重合体用タンク10から合成ゴムの溶液または分散液を、乳化剤用タンク20から乳化剤の水溶液を、それぞれ連続的に混合装置30に送り、これにより混合装置30内にて、合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを連続的に混合することで、連続的に乳化液を得るものである。そして、本発明の製造方法においては、得られた乳化液を、貯留タンク40に連続的に供給する。
本発明の製造方法の乳化工程において、合成ゴムの溶液または分散液および乳化剤の水溶液を、連続的に混合装置30に送る際における、これらの供給割合は、特に限定されないが、合成ゴムの乳化をより適切に進行させることができるという観点より、「合成ゴムの溶液または分散液:乳化剤の水溶液」の体積比で、好ましくは1:2〜1:0.3、より好ましくは1:1.5〜1:0.5、より好ましくは1:1〜1:0.7である。
重合体用タンク10および乳化剤用タンク20から、合成ゴムの溶液または分散液および乳化剤の水溶液を、連続的に混合装置30に送る方法としては、特に限定されないが、合成ゴムの溶液または分散液および乳化剤の水溶液を、ポンプにより、直接、混合装置30に送るような態様としてもよいし、あるいは、混合装置30の上流側に、ラインミキサーなどの予備混合装置を備えるような構成とし、予備混合装置により予備混合を行い、予備混合された状態にて、混合装置30に送るような態様としてもよい。
混合装置30としては、連続的に混合を行うことができる装置であればよく、特に限定されないが、たとえば、商品名「TKパイプラインホモミキサー」(特殊機化工業社製)、商品名「コロイドミル」(神鋼パンテック社製)、商品名「スラッシャー」(日本コークス工業社製)、商品名「トリゴナル湿式微粉砕機」(三井三池化工機社製)、商品名「キャビトロン」(ユーロテック社製)、商品名「マイルダー」(太平洋機工社製)、商品名「ファインフローミル」(太平洋機工社製)等を用いることができる。なお、混合装置30による混合操作の条件は、特に限定されず、所望の分散状態になるように、処理温度、処理時間などを適宜選定すればよい。
本発明の製造方法の乳化工程においては、合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、連続的に混合装置30に送って混合する際における、合成ゴムの溶液または分散液、および乳化剤の水溶液の温度は特に限定されないが、乳化を良好に行うことができるという観点より、好ましくは20〜100℃であり、より好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃である。なお、これらを混合する際の温度は、混合温度が所望の温度となるように、合成ゴムの溶液または分散液を重合体用タンク10に貯留する際における温度、および乳化剤の水溶液を乳化剤用タンク20に貯留する際における温度を、それぞれ調整することにより制御すればよい。たとえば、60℃の合成ゴムの溶液または分散液と、60℃の乳化剤の水溶液とを、混合装置30で混合する場合には、合成ゴムの溶液または分散液を重合体用タンク10に貯留する際における温度を60℃とし、乳化剤の水溶液を乳化剤用タンク20に貯留する際における温度を60℃とすればよい。
<常圧除去工程>
本発明の製造方法の常圧除去工程は、上述した乳化工程において連続的に得られる乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整された容器中に連続的に移送しながら、容器中で乳化液に含まれる有機溶媒(すなわち、合成ゴムの溶液または分散液に由来する有機溶媒)の除去を行う工程である。また、本発明の製造方法の常圧除去工程においては、容器中で乳化液に含まれる有機溶媒の除去を行う際に、容器内に移送された乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら有機溶媒の除去を行うものである。なお、本発明の製造方法の常圧除去工程における、乳化液からの有機溶媒の除去は、上述した乳化工程において連続的に得られる乳化液を容器中に連続的に移送しながら行われるものであることから、通常、上述した乳化工程とほぼ同時に行われることとなる。
以下においては、本発明の製造方法の常圧除去工程の具体的な態様について、図1を参照しながら説明を行うが、本発明は、図1に示す乳化装置を用いる態様に特に限定されるものではない。
すなわち、図1を参照し、本発明の製造方法の常圧除去工程の具体的な態様について説明すると、常圧除去工程においては、混合装置30から連続的に送られてくる乳化液を、貯留タンク40に連続的に受け入れつつ、貯留タンク40内の圧力を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力に制御することで、受け入れた乳化液中に含まれる有機溶媒を常圧除去する。ここで、本発明の製造方法の常圧除去工程においては、有機溶媒を常圧除去するために、バルブ50を「開」とするものであり、これにより、貯留タンク40内が開放系となるため、乳化液から常圧除去された有機溶媒を、バルブ50側の配管を通って、濃縮器60により回収するような態様とすることができる。あるいは、本発明の製造方法の常圧除去工程においては、濃縮器60の下流側に減圧ポンプを接続し、バルブ50を「開」とした状態で、減圧ポンプにより、貯留タンク40内の圧力が、ゲージ圧で−0.005〜0MPaに保たれるような状態とし、このような状態にて、乳化液から常圧除去された有機溶媒を、同様に濃縮器60により回収するような態様としてもよい。
常圧除去工程における圧力は、−0.005〜0MPa(ゲージ圧)であり、好ましくは−0.002〜0MPa(ゲージ圧)であり、制御が簡便であるという点より、大気圧(0MPa(ゲージ圧))とすることが特に好ましい。
また、本発明の製造方法の常圧除去工程においては、貯留タンク40内に移送された乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら有機溶媒の常圧除去を行うものであり、これにより、貯留タンク40内に乳化液が供給された際に、乳化液が泡立つことで、乳化液の一部が、貯留タンク40から濃縮器60内に進入してしまい、歩留まりが低下してしまうという不具合を有効に防止しながら、有機溶媒の除去効率を高めることができるものである。そして、これにより、乳化液に含まれる有機溶媒の除去を、高い収率を実現しながら、短時間で行うことができるものである。特に、本発明の製造方法の常圧除去工程では、消泡剤の水溶液を、乳化液の液面に対し噴霧することにより添加するものであることから、比較的少ない使用量でも、消泡剤の添加効果を十分なものとすることができ、消泡剤の添加により、得られる合成ゴムのラテックス中における凝集物が発生してしまう等の不具合の発生を有効に抑制しながら、乳化液の泡立ちを適切に抑えることができるものである。
消泡剤の水溶液に含有させる消泡剤としては、鉱物油系消泡剤、シリコン系消泡剤、ポリマー系消泡剤など公知の消泡剤を使用できるが、得られる合成ゴムのラテックス中における凝集物の発生が起こり難いという点より、シリコン系消泡剤が好ましい。また、消泡剤の水溶液中における、消泡剤の濃度は、好ましくは0.005〜0.1重量%であり、より好ましくは0.008〜0.05重量%、さらに好ましくは0.01〜0.02重量%である。消泡剤の濃度を上記範囲とすることにより、得られる合成ゴムのラテックスの安定性を十分なものとしながら、消泡剤の添加効果をより高めることができる。
消泡剤の水溶液を、乳化液の液面に対し噴霧する際における噴霧方法としては特に限定されないが、貯留タンク40の上部に設けられた噴霧装置(たとえば、末端にスプレーノズルを有する配管)を介して、好ましくは0.05〜0.2MPaの圧力で、より好ましくは0.1〜0.18MPaの圧力で加圧することで、噴霧する方法が好ましい。また、消泡剤の水溶液の噴霧は、乳化液の泡立ちの抑制効果という観点より、混合装置30から貯留タンク40への乳化液の供給開始時から、供給終了時に渡って、連続的に行うことが好ましく、これにより、乳化液の泡立ちの抑制効果をより高めることができる。なお、この際においては、消泡剤の水溶液の噴霧は、実質的に連続であるような態様、具体的には、貯留タンク40内に、消泡剤の水溶液のミストが常時充満しているような態様とすればよく、消泡剤の水溶液の噴霧は一部間欠的に行ってもよい。
また、消泡剤の水溶液を噴霧する際には、乳化液の泡立ちの抑制効果という観点、および、貯留タンク40の壁面に、乳化液中に含まれる合成ゴムが付着してしまうことによる歩留まりの低下を抑制することができるという観点より、乳化液の液面全面に対して噴霧するような態様とすることが好ましい。また、貯留タンク40に設ける、噴霧装置の数は、乳化液の液面全面に対して消泡剤の水溶液を噴霧できるような数とすればよく、特に限定されないが、通常、1〜4個程度である。
また、本発明の製造方法の常圧除去工程においては、貯留タンク40内で、乳化液中に含まれる有機溶媒を常圧除去する際における、乳化液の温度は、乳化液に含まれる有機溶媒(すなわち、合成ゴムの溶液または分散液に由来する有機溶媒)の大気圧下における沸点Tbに対して、Tb−10〜Tb+5℃の範囲に制御して行うことが好ましく、Tb−5〜Tb+2℃の範囲に制御して行うことがより好ましく、Tb−1〜Tb+0.5℃の範囲に制御して行うことがさらに好ましい。常圧除去工程における、有機溶媒の除去を、このような温度で行うことで、乳化液の泡立ちを適切に防止しながら、有機溶媒の除去効率をより高めることができる。
また、本発明の製造方法の常圧除去工程において、混合装置30から貯留タンク40への乳化液の供給速度(m/hr)を、貯留タンク40内の容積(m)で除すことにより求められる、貯留タンク40への乳化液の移送速度(受け入れ速度)(1/hr)、すなわち、「貯留タンク40への乳化液の移送速度(1/hr)=混合装置30から貯留タンク40への乳化液の供給速度(m/hr)÷貯留タンク40内の容積(m)」が、好ましくは0.01〜0.5であり、より好ましくは0.02〜0.2、さらに好ましくは0.08〜0.12である。本発明の製造方法においては、常圧除去工程における有機溶媒の常圧除去を、乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら行うものであるため、乳化液の供給速度を比較的速いものとした場合でも、乳化液の一部が、貯留タンク40から濃縮器60内に進入してしまうという不具合を抑制することができ、これにより、有機溶媒の除去に要する時間を適切に短くすることができる。なお、上記定義からも明らかなように、たとえば、貯留タンク40への乳化液の移送速度が0.1(1/hr)である場合には、貯留タンク40への乳化液の移送量と、貯留タンク40の容積とが10時間で等しいものとなるような速度であり、また、貯留タンク40への乳化液の移送速度が0.2(1/hr)である場合には、貯留タンク40への乳化液の移送量と、貯留タンク40の容積とが5時間で等しいものとなるような速度である。
また、貯留タンク40への乳化液の移送速度を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、たとえば、重合体用タンク10から合成ゴムの溶液または分散液を、また、乳化剤用タンク20から乳化剤の水溶液を、それぞれ連続的に混合装置30に送る際における供給速度を調整する方法や、使用する貯留タンク40のサイズを調整する方法などが挙げられる。
また、本発明の製造方法の常圧除去工程において、混合装置30から連続的に送られてくる乳化液を、貯留タンク40に連続的に受け入れつつ、貯留タンク40内にて、受け入れた乳化液中に含まれる有機溶媒を常圧除去させる操作を、貯留タンク40に供給される乳化液の量が、貯留タンク40の容積に対し、70〜140容積%の量となるまで継続することが好ましく、80〜130容積%の量となるまで継続することがより好ましく、90〜120容積%の量となるまで継続することがさらに好ましい。貯留タンク40に供給される乳化液の量が、上記した量となるまで上記操作を継続することにより、乳化液が泡立つことで、乳化液の一部が、貯留タンク40から濃縮器60内に進入してしまい、歩留まりが低下してしまうという不具合を有効に防止しながら、一度の操作における処理量を高めることができ、これにより、生産性の向上が可能となる。
本発明の製造方法の常圧除去工程においては、混合装置30から連続的に送られてくる乳化液を、貯留タンク40に連続的に受け入れつつ、貯留タンク40内で、消泡剤の水溶液を噴霧しつつ、受け入れた乳化液中に含まれる有機溶媒を蒸発させるため、常圧除去工程終了後において、貯留タンク40内に実際に貯留される乳化液の量は、混合装置30から供給される乳化液の量よりも、通常少ないものとなる。すなわち、たとえば、混合装置30から供給される乳化液の量を、貯留タンク40の容積に対し、90容積%となる量とした場合でも、混合装置30から連続的に乳化液の供給を行っている間に、乳化液中に含まれる有機溶媒のうち一部が蒸発するため、貯留タンク40に実際に貯留される乳化液の量は、通常は、貯留タンク40の容積に対して90容積%に満たない量(たとえば、80容積%以下程度)となる。そのため、混合装置30から供給される乳化液の量を、貯留タンク40の容積に対し、上記のように100容積%を超える量(たとえば、120容積%)とした場合でも、混合装置30から連続的に乳化液の供給を行っている間に、乳化液中に含まれる有機溶媒のうち一部が常圧除去されるため、貯留タンク40に実際に貯留される乳化液の量を、貯留タンク40の容積に対して、100容積%に満たない量とすることができるものである。
なお、本発明の製造方法の常圧除去工程においては、貯留タンク40に供給される乳化液の量が上記範囲となるように行えばよいが、常圧除去工程終了後における、貯留タンク40内における乳化液の貯留量(すなわち、乳化液中に含まれる有機溶媒のうち一部が常圧除去された後の、貯留タンク40内における量)は、貯留タンク40の容積に対し、好ましくは10〜90容積%であり、より好ましくは20〜80容積%、最も好ましくは30〜70容量%である。また、本発明の製造方法の常圧除去工程においては、貯留タンク40に供給される乳化液に含まれていた有機溶媒全量のうち、50重量%以上が常圧除去されるような態様とすることが好ましく、70重量%以上が常圧除去されるような態様とすることがより好ましく、80重量%以上が常圧除去されるような態様とすることが特に好ましい。なお、上限は、特に限定されないが、98重量%以下程度である。
<減圧除去工程>
また、本発明の製造方法においては、上述した常圧除去工程を経た乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、ゲージ圧で−0.01MPa以下の減圧条件下において、乳化液中に含まれる有機溶媒の除去を行う減圧除去工程をさらに備えることが好ましい。以下においては、本発明の製造方法の減圧除去工程の具体的な態様について、図1を参照しながら説明を行うが、本発明は、図1に示す乳化装置を用いる態様に特に限定されるものではない。
すなわち、図1を参照して、本発明の製造方法の減圧除去工程の具体的な態様について説明すると、減圧除去工程においては、上述した常圧除去工程を経た乳化液を貯留タンク40に貯留させた状態にて、貯留タンク40内の圧力を、ゲージ圧で−0.01MPa以下に減圧することで、上述した常圧除去工程を経た乳化液に含まれる有機溶媒を減圧除去する。本発明の製造方法の減圧除去工程においては、たとえば、濃縮器60の下流側に減圧ポンプを接続し、バルブ50を開とした状態で、減圧ポンプにより、貯留タンク40内の圧力を減圧し、貯留タンク40内の圧力を700mmHg未満とすることで、乳化液から減圧除去された有機溶媒がバルブ50側の配管を通って、濃縮器60により回収されるような態様とすることができる。
減圧除去工程における圧力は、−0.01MPa(ゲージ圧)以下であり、好ましくは−0.02MPa(ゲージ圧)以下、より好ましくは−0.06MPa(ゲージ圧)以下である。また、減圧除去工程における圧力の下限は、通常、−0.095MPa(ゲージ圧)以上である。貯留タンク40内の圧力を上記範囲とすることにより、圧力が高過ぎた場合に有機溶媒の除去に長時間を要してしまったり、低過ぎた場合に乳化液が発泡して濃縮器60等に乳化剤が混入してしまったりすることを抑制、防止することができる。なお、減圧除去工程における圧力は、減圧除去操作の進行に応じて、変化させてもよく、本発明の製造方法においては、減圧除去操作の進行に伴って、減圧除去工程における圧力を低くするような態様とすることが好ましく、これにより減圧除去に要する時間をより短くすることができる。
また、本発明の製造方法の減圧除去工程においては、貯留タンク40内に貯留されている、常圧除去工程を経た乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら有機溶媒の減圧除去を行うことが好ましく、これにより、減圧により乳化液が泡立つことで、乳化液の一部が、貯留タンク40から濃縮器60内に進入してしまい、歩留まりが低下してしまうという不具合を有効に防止しながら、有機溶媒の除去効率をより高めることができるものである。
減圧除去工程において用いる、消泡剤の水溶液としては、上述した常圧除去工程と同様のものを用いることができ、また、その噴霧方法および噴霧条件も、上述した常圧除去工程と同様の方法や同様の条件を採用することができる。また、本発明の製造方法の減圧除去工程においては、噴霧する消泡剤の水溶液の種類や、噴霧方法、噴霧条件は、上述した常圧除去工程と同じとしてもよいし、あるいは、少なくとも一部について、上述した常圧除去工程と異なるものとしてもよい。
また、本発明の製造方法の減圧除去工程においては、貯留タンク40内で、乳化液中に含まれる有機溶媒を減圧除去する際における、乳化液の温度は、乳化液に含まれる有機溶媒(すなわち、合成ゴムの溶液または分散液に由来する有機溶媒)の大気圧下における沸点Tbに対して、Tb−35〜Tb±0℃の範囲に制御して行うことが好ましく、Tb−30〜Tb±0℃の範囲に制御して行うことがより好ましく、Tb−25〜Tb−10℃の範囲に制御して行うことがさらに好ましい。
また、本発明の製造方法の減圧除去工程においては、貯留タンク40内で、乳化液中に含まれる有機溶媒を減圧除去する際における、減圧除去時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜15時間である。本発明の製造方法においては、上述した常圧除去工程において、乳化工程において得られた乳化液について、乳化直後において含まれていた有機溶媒のうち、一部については既に除去されており、このように、有機溶媒のうち一部が除去された状態にて、減圧除去工程における有機溶媒の減圧除去を行うものであるため、減圧除去時間を、上記のように比較的短い時間とした場合でも、有機溶媒を適切に除去することができるものである。
なお、減圧除去工程における、乳化液からの有機溶媒の減圧除去は、上記乳化工程における、連続的に乳化液を得る操作(すなわち、合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを混合装置に連続的に供給して、連続的に乳化液を得て、これを貯留タンク40に連続的に移送する操作)を終了した後、速やかに開始すればよく、より具体的には、連続的に乳化液を得る操作を終了した後、減圧除去工程における、乳化液からの有機溶媒の減圧除去に必要となる各種操作を行った後に開始すればよいが、連続的に乳化液を得る操作を終了した後、上記常圧除去工程における、−0.005〜0MPa(ゲージ圧)での、乳化液からの有機溶媒の除去を所定時間継続した後に、開始するような態様としてもよい。
以上のようにして、本発明の製造方法によれば、合成ゴムのラテックスを得ることができる。なお、このようにして得られる合成ゴムのラテックスには、ラテックスの分野で通常配合される、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、キレート化剤、酸素捕捉剤、分散剤、老化防止剤等の添加剤を配合してもよい。
pH調整剤としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等が挙げられるが、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
また、必要に応じ、合成ゴムのラテックスの固形分濃度を上げるために、遠心分離による濃縮操作を行ってもよい。
本発明の製造方法により製造される合成ゴムのラテックスの体積平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜3μm、さらに好ましくは1〜2μmである。体積平均粒子径を上記範囲とすることにより、ラテックス粘度が適度なものとなり取り扱いやすくなるとともに、合成ゴムのラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成することを抑制できる。
本発明の製造方法により製造される合成ゴムのラテックスの固形分濃度は、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜70重量%である。固形分濃度を上記範囲とすることにより、合成ゴムのラテックスを貯蔵した際における重合体粒子の分離を抑制することができるとともに、重合体粒子同士が凝集して粗大凝集物が発生することを抑制できる。
このようにして得られる本発明の合成ゴムのラテックスは、たとえば、架橋剤などの各種添加剤などを配合することで、ラテックス組成物とすることができ、該ラテックス組成物は、ディップ成形体などの膜成形体を得るために用いられる他、接着剤用途などにも用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験、評価は下記によった。
<実施例1>
(合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(a)の調製)
合成ポリイソプレン(商品名「NIPOL IR2200L」、日本ゼオン社製)をシクロヘキサン(沸点:81℃)と混合し、攪拌しながら温度を60℃に昇温して溶解し、合成ポリイソプレン濃度8重量%である、合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(a)を調製した。
(乳化剤水溶液(b1)の調製)
脂肪酸系乳化剤としてのロジン酸カリウムを、温度60℃で水と混合することにより、ロジン酸カリウム濃度1.2重量%である、乳化剤水溶液(b1)を調製した。
(合成ポリイソプレンラテックスの製造)
そして、上記にて調製した合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(a)および乳化剤水溶液(b1)を用い、図1に示す乳化装置を使用して、合成ポリイソプレンラテックスの製造を行った。
具体的には、重合体用タンク10に、上記にて調製した合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(a)を60℃に加温した状態で貯留させ、また、乳化剤用タンク20に、上記にて調製した乳化剤水溶液(b1)を60℃に加温した状態で貯留させて、これらを、「合成ポリイソプレン」:「乳化剤」の重量比で10:1となるように、予備混合装置としてのラインミキサーにて予備混合を行った後に、混合装置30に連続的に供給することで、乳化液を連続的に得て、得られた乳化液を、圧力が0MPa(ゲージ圧)に保たれた貯留タンク40に連続的に排出させた。混合装置30としては、ホモジナイザー(商品名「マイルダー」、太平洋機工社製)を使用した。
また、本実施例では、バルブ50を「開」とすることで、貯留タンク40を開放系にしつつ、その内部の圧力を0MPa(ゲージ圧)に保つとともに、乳化液の温度を80℃に加温し、シリコン系消泡剤(商品名「SM5512」、東レ・ダウコーニング社製)の0.1重量%水溶液を連続的に噴霧しながら、貯留タンク40内への乳化液の移送と、貯留タンク40内でのシクロヘキサンの蒸発による除去(常圧除去)とを同時に行った。なお、本実施例では、貯留タンク40として、貯留タンク40上部の1か所に、スプレーノズルを備える配管からなる噴霧装置を備えるものを使用し、シリコン系消泡剤の0.1重量%水溶液は、この噴霧装置から、0.06MPaの圧力にて、貯留タンク40内に移送された乳化液の液面全面に対して連続的に噴霧した。また、本実施例では、貯留タンク40への乳化液の移送速度を、0.09(1/hr)とした。
そして、本実施例では、このような乳化液の貯留タンク40への移送、および貯留タンク40内でのシクロヘキサンの蒸発による除去(常圧除去)を、貯留タンク40内に排出される乳化液の量が、貯留タンク40の容積の76容積%となる量まで、連続して行った後、乳化液の貯留タンク40への移送を停止した。なお、乳化液の貯留タンク40への移送を停止した直後における、貯留タンク40内の乳化液の量は、貯留タンク40の容積の48容積%であった(実施例2〜5においても同様。)。すなわち、シクロヘキサンの蒸発(常圧除去)による除去により、28容積%のシクロヘキサンが除去されたと言える。
次いで、乳化液の貯留タンク40への移送を停止した後、濃縮器60の下流側に、減圧ポンプを接続し、貯留タンク40内の乳化液を80℃に加温した状態にて、貯留タンク40内部の減圧操作を開始し、乳化液中のシクロヘキサンの減圧除去を行った。なお、シクロヘキサンの減圧除去においても、上述した常圧除去に引き続き、シリコン系消泡剤の0.1重量%水溶液を、貯留タンク40上部の1か所に設けられた、噴霧装置から、0.06MPaの圧力にて、乳化液の液面全面に対して連続的に噴霧しながら、シクロヘキサンの減圧除去操作を行った。また、減圧除去に際しては、開始時の減圧度を−0.02MPa(ゲージ圧)とし、減圧開始時の泡面高さ(本実施例では、貯留タンク40内部の全高さに対して85%の高さ)に維持されるように、−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。なお、シクロヘキサンの減圧除去に際しては、濃縮器60により回収されたシクロヘキサンの量を1時間ごとに測定し、乳化液中のシクロヘキサン含有量が、乳化液中の合成ゴムに対して100重量ppm以下となったと判断できた時点で、減圧除去を終了とした(後述する実施例1〜5、比較例1〜4においても同様)。実施例1においては、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、14時間であった。また、実施例1においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は1.3重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.09μmであった。
<実施例2>
貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去および減圧除去を行う際に、乳化液の液面全面に噴霧する、シリコン系消泡剤の水溶液として、シリコン系消泡剤の濃度が0.009重量%のものを使用し、かつ、噴霧装置からの噴霧圧力を0.18MPaとした以外は、実施例1と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、実施例2においては、減圧開始時の泡面高さは、貯留タンク40内部の全高さに対して80%の高さであったため、減圧除去に際しては、80%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。実施例2においては、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、13時間であった。また、実施例2においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は1.4重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.12μmであった。
<実施例3>
貯留タンク40として、貯留タンク40上部の4か所に、スプレーノズルを備える配管からなる噴霧装置を備えるものを用いるとともに、貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去および減圧除去を行う際に、乳化液の液面全面に噴霧する、シリコン系消泡剤の水溶液として、シリコン系消泡剤の濃度が0.005重量%のものを使用し、かつ、4か所の噴霧装置からの噴霧圧力を、いずれも0.16MPaとした以外は、実施例1と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、実施例3においては、減圧開始時の泡面高さは、貯留タンク40内部の全高さに対して72%の高さであったため、減圧除去に際しては、72%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。実施例3においては、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、11時間であった。また、実施例3においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は1.1重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.14μmであった。
<実施例4>
貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去および減圧除去を行う際に、シリコン系消泡剤の水溶液に代えて、鉱物油系消泡剤(商品名「SNデフォーマー269、サンノプコ社製」の0.08重量%水溶液を使用するとともに、かつ、噴霧装置からの噴霧圧力を0.07MPaとした以外は、実施例1と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、実施例4においては、減圧開始時の泡面高さは、貯留タンク40内部の全高さに対して79%の高さであったため、減圧除去に際しては、79%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。実施例4においては、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、15時間であった。また、実施例4においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は1.2重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.12μmであった。
<実施例5>
乳化剤の水溶液として、乳化剤水溶液(b1)に代えて、脂肪酸系乳化剤としてのロジン酸カリウムを1重量%の濃度、およびアルキルベンゼンスルホン酸系乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.5重量%の濃度で含有する乳化剤水溶液(b2)を使用したこと、さらには、貯留タンク40として、貯留タンク40上部の4か所に、スプレーノズルを備える配管からなる噴霧装置を備えるものを用いるとともに、貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去および減圧除去を行う際に、乳化液の液面全面に噴霧する、シリコン系消泡剤の水溶液として、シリコン系消泡剤の濃度が0.01重量%のものを使用し、かつ、4か所の噴霧装置からの噴霧圧力を、いずれも0.18MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、実施例5においては、「合成ポリイソプレン」:「乳化剤」の重量比で10:1となるように、これらを混合した(後述する比較例1〜3も同様。)。また、実施例5においては、減圧開始時の泡面高さは、貯留タンク40内部の全高さに対して75%の高さであったため、減圧除去に際しては、75%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。実施例3においては、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、14時間であった。また、実施例5においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は0.7重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.07μmであった。
<比較例1>
乳化剤の水溶液として、乳化剤水溶液(b1)に代えて、乳化剤水溶液(b2)を使用したこと、貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去(すなわち、乳化液を、貯留タンク40に移送している間におけるシクロヘキサンの除去)を行う際における、貯留タンク40内部の圧力を−0.02MPa(ゲージ圧)としたこと、さらに、常圧除去および減圧除去を行う際に、乳化液の液面全面に噴霧する、シリコン系消泡剤の水溶液として、シリコン系消泡剤の濃度が0.09重量%のものを使用し、かつ、噴霧装置からの噴霧圧力を0.18MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、比較例1においては、乳化液の移送中に、乳化液の一部が、貯留タンク40から濃縮器60内に進入してしまったことから、乳化および有機溶媒の除去操作を、複数回中断する必要が生じたため、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、26時間と長い時間が必要となった。また、比較例1においては、乳化液の移送完了後、減圧除去に際しては、約85%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。比較例1においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は3.2重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.15μmであった。
<比較例2>
貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去において、シリコン系消泡剤の水溶液の噴霧を行わなかったこと、および、貯留タンク40内でのシクロヘキサンの減圧除去における、シリコン系消泡剤の水溶液の噴霧を、連続噴霧ではなく、適時噴霧(液面が上昇してきたときのみ噴霧)としたこと、シリコン系消泡剤の水溶液として、シリコン系消泡剤の濃度が0.09重量%のものを使用し、かつ、4か所の噴霧装置からの噴霧圧力を、いずれも0.18MPaとしたこと以外は、実施例5と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、比較例2においては、減圧開始時の泡面高さは、貯留タンク40内部の全高さに対して92%の高さであったため、減圧除去に際しては、92%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。比較例2においては、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、18時間であった。また、比較例2においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は2.4重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.25μmであった。
<比較例3>
貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去において、シリコン系消泡剤の水溶液の噴霧を行わなかったこと、貯留タンク40として、貯留タンク40上部の1か所に、内径約1cmφのパイプ状ノズルからなる供給装置を備えるものを用いたこと、および、シリコン系消泡剤の水溶液の供給圧力を0.01MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、比較例3においては、減圧除去操作中に、減圧度を−0.02MPa(ゲージ圧)とした際に、乳化液の一部が、貯留タンク40から濃縮器60内に進入してしまったことから、減圧除去操作を、複数回中断する必要が生じたため、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、22時間と長い時間が必要となった。また、比較例3においては、減圧除去に際し、減圧度を−0.02MPa(ゲージ圧)としても、濃縮器60への乳化液の進入が起こらなくなった後には、約85%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。比較例3においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は3.9重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.33μmであった。
<比較例4>
貯留タンク40として、貯留タンク40上部の1か所に、内径約1cmφのパイプ状ノズルからなる供給装置を備えるものを用い、かつ、貯留タンク40内でのシクロヘキサンの常圧除去および減圧除去を行う際における、シリコン系消泡剤の水溶液の供給圧力を0.01MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして、乳化および有機溶媒の除去を行った。なお、比較例4においては、減圧開始時の泡面高さは、貯留タンク40内部の全高さに対して90%の高さであったため、減圧除去に際しては、90%の泡面高さに維持されるように、−0.02MPa(ゲージ圧)から−0.09MPa(ゲージ圧)まで減圧度を徐々に上げていった。比較例4においては、混合装置30による混合開始から、減圧除去が終了するまでの時間である有機溶媒除去時間は、17時間であった。また、比較例4においては、貯留タンク40の壁面に付着した合成ポリイソプレンの割合は2.8重量%であり、得られた合成ポリイソプレンラテックスの平均粒径は1.14μmであった。
Figure 2019156899
表1に示すように、混合装置30にて連続的に得られた乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整されたタンク40中に連続的に移送しながら、タンク40中で有機溶媒の常圧除去を行う際に、タンク40内に移送された乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、有機溶媒の除去を行った場合には、合成ポリイソプレンのタンク40の壁面への付着を少なく抑えながら、有機溶媒除去時間を短くすることができ、そのため、高い収率を実現しながら、短時間での製造が可能であった(実施例1〜5)。
一方、混合装置30にて連続的に得られた乳化液を、タンク40中に連続的に移送する際に、タンク40中の圧力条件を、ゲージ圧で−0.02MPaとした場合には、乳化液の一部が、貯留タンク40から濃縮器60内に進入してしまい(最大泡面高さが100%を超え)、有機溶媒除去時間が長くなる結果となり、さらには、合成ポリイソプレンのタンク40の壁面への付着も多くなる結果となった(比較例1)。
また、混合装置30にて連続的に得られた乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整されたタンク40中に連続的に移送したものの、この際に消泡剤の添加を行わなかった場合には、合成ポリイソプレンのタンク40の壁面への付着が多くなり、さらには、有機溶媒除去時間も長くなる結果となった(比較例2,3)。
さらに、混合装置30にて連続的に得られた乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整されたタンク40中に連続的に移送する際に、消泡剤の添加を行ったものの、消泡剤の添加を噴霧により行わなかった場合においもて、合成ポリイソプレンのタンク40の壁面への付着が多くなり、さらには、有機溶媒除去時間も長くなる結果となった(比較例4)。

Claims (6)

  1. 合成ゴムが有機溶媒に溶解または分散してなる合成ゴムの溶液または分散液と、乳化剤の水溶液とを、混合装置に連続的に供給し、混合することで、乳化液を連続的に得る乳化工程と、
    前記乳化工程において連続的に得られる乳化液を、ゲージ圧で−0.005〜0MPaの圧力条件に調整された容器中に連続的に移送しながら、前記容器中で有機溶媒の除去を行う常圧除去工程とを備え、
    前記常圧除去工程において、前記容器内に移送された乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、有機溶媒の除去を行う合成ゴムのラテックスの製造方法。
  2. 前記常圧除去工程を経た乳化液の液面に対し、消泡剤の水溶液を噴霧しながら、ゲージ圧で−0.01MPa以下の減圧条件下において、有機溶媒の除去を行う減圧除去工程をさらに備える請求項1に記載の合成ゴムのラテックスの製造方法。
  3. 前記消泡剤の水溶液として、消泡剤の濃度が0.005〜0.1重量%であるものを用いる請求項1または2に記載の合成ゴムのラテックスの製造方法。
  4. 前記消泡剤の水溶液として、シリコン系消泡剤を含有するものを用いる請求項1〜3のいずれかに記載の合成ゴムのラテックスの製造方法。
  5. 前記常圧除去工程において、前記乳化液の温度を、前記有機溶媒の大気圧下における沸点Tbに対して、Tb−10〜Tb+5℃の温度範囲に制御しながら有機溶媒の除去を行う請求項1〜4のいずれかに記載の合成ゴムのラテックスの製造方法。
  6. 前記乳化剤の水溶液として、脂肪酸塩および/またはアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有するものを用いる請求項1〜5のいずれかに記載の合成ゴムのラテックスの製造方法。
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