以下、本開示に係る給液装置の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る給液装置の概略構成を示した全体構成図である。
本実施の形態に係る給液装置1は、それぞれ別々のハウジング11を有する互いに独立した軽油給液機10Aと尿素水給液機10Bとを、互いに適宜距離だけ離間させて並べて設けた構成になっている。適宜距離の具体例としては、車体に備えられた燃料タンクの給液口と尿素水タンクの給液口との平均的な離間距離、作業者が給液機10A,10B間を通り抜けできる隙間分距離、等が挙げられる。
その上で、給液装置1における軽油給液機10Aの構成は、本実施の形態では次に述べるような構成になっている。
軽油給液機10Aは、ハウジング11内に、ポンプ12、流量計13、電磁弁14が配設された液供給路15が設けられ、ハウジング11外に、先端に給液ノズル17を備えた給液ホース16が導出された構成の給液系統になっている。
液供給路15の一端は、図示せぬ供給配管と連通接続され、この供給配管を介して、給油所地下等に設けられた軽油貯液タンクと連通している。これに対し、液供給路15の他端は、給液ホース16の基端と連通接続されている。
ポンプ12は、ポンプモータ18の駆動によって送液作動し、給液ノズル17に対し軽油の送液を行う。
流量計13は、ポンプ12の送液作動によりポンプ12から給液ノズル17に対して送液された液量、すなわち給液対象に対する給液量を計測する。流量計13には、流量パルス発信器19が設けられ、流量パルス発信器19は、流量計13の計測流量を基に単位液量毎の流れに対応する流量パルス信号を生成出力する。
電磁弁14は、入力される弁制御信号に基づいて開弁/閉弁し、ポンプ12から給液ノズル17への液供給を制御する。
給液ノズル17は、その操作レバーの開/閉操作に応じてノズル本体内の弁機構を開弁/閉弁し、給液ノズル17から給液対象への液吐出を調整する。
給液ノズル17は、給液作業で使用されていない待機時には、ハウジング11に設けられたノズル収納部20に収納されている。給液作業時には、作業者により、ノズル収納部20から取り出されて使用される。そのため、ノズル収納部20には、ノズル収納部20に対する給液ノズル17の取り出し/収納を検出するノズルスイッチ21が設けられている。ノズルスイッチ21は、ノズル収納部20に対する給液ノズル17の取り出し/収納に対応するノズルスイッチ信号を生成出力する。
また、図示の給液装置1の場合は、軽油給液機10Aのハウジング11には、給液対象に対する軽油給液量や軽油給液金額といった給液情報を表示するための軽油用の給液表示器22が設けられている。
上述した軽油給液機10Aによる給液対象に対する給液実行制御は、同じハウジング11内に設けられ、上述した機器と信号接続された給液制御部23によって行われる。給液制御部23は、給液装置1のメイン制御部に対するサブ制御部として、例えば、CPU、メモリ、入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。
給液制御部23は、作業者によって給液ノズル17がノズル収納部20から取り出され、給液対象に対する軽油の給液作業が開始されると、送液機器としてのポンプ12、電磁弁14を送液作動し、ポンプ12から給液ノズル17への軽油の送液を開始させる。
そして、作業者によって給液ノズル17が開弁操作され、給液対象への軽油の液吐出が開始されると、給液制御部23は、計測機器としての流量計13に付設された流量パルス発信器19から出力される流量パルス信号を基に、今回給液作業における、給液対象に対する軽油給液量を演算する。この演算した軽油給液量は、軽油給液機10Aの場合、給液制御部23によって、軽油給液機10Aのハウジング11に設けられた軽油用の給液表示器22に出力され、表示される。
その後、給液対象に対する所望量の軽油の給液が完了し、作業者によって給液ノズル17がノズル収納部20に収納され、給液対象に対する軽油の給液作業が終了されると、給液制御部23は、送液機器としてのポンプ12、電磁弁14の送液作動を停止し、給液ノズル17への軽油の送液を停止させる。
一方、尿素水給液機10Bも、軽油給液機10Aの場合と同様に、ポンプ12、流量計13、電磁弁14が配設された液供給路15が設けられ、ハウジング11外に、先端に給液ノズル17を備えた給液ホース16が導出された給液系統を有する構成になっている。なお、これら各機器自体は、軽油給液機10Aの場合と扱う液体が尿素水で異なり、送液、耐食等の要求性能が異なることから、形式、性能、材質等の構成は軽油給液機10Aの該当機器とは異なっている。
加えて、尿素水給液機10Bでは、液供給路15の一端は、図示せぬ供給配管を介して、給油所地下等に設けられた尿素水貯液タンクと連通している点、及び尿素水給液機10Bのハウジング11には、給液対象に対する尿素水給液量や尿素水給液金額といった給液情報を表示するための尿素水用の給液表示器が備えられていない点が、軽油給液機10Aの場合と相違する。
そのため、尿素水給液機10Bについては、軽油給液機10Aの場合と同一又は同様な構成機器については、図1において同一符号を付し、個々の構成機器についての重複する説明は省略する。そして、以下の説明では、個々の構成機器について特に軽油用と尿素水用とで区別する必要がある場合に、例えば流量計13A、13Bといった具合に、軽油用の場合には符号にAを追加し、尿素水用の場合には符号にBを追加して区別する。
したがって、尿素水給液機10Bの場合も、作業者によって給液ノズル17がノズル収納部20から取り出され、給液対象に対する尿素水の給液作業が開始されると、送液機器としてのポンプ12、電磁弁14が送液作動され、ポンプ12から給液ノズル17への尿素水の送液が開始される。
そして、作業者によって給液ノズル17が開弁操作され、給液対象への尿素水の液吐出が開始されると、給液制御部23によって、計測機器としての流量計13に付設された流量パルス発信器19から出力される流量パルス信号を基に、今回給液作業における、給液対象に対する尿素水給液量が演算される。
その後、給液対象に対する所望量の尿素水の給液が完了し、作業者によって給液ノズル17がノズル収納部20に収納され、給液対象に対する尿素水の給液作業が終了されると、給液制御部23によって、送液機器としてのポンプ12、電磁弁14の送液作動が停止され、ポンプ12から給液ノズル17への尿素水の送液が停止させられる。
その上で、それぞれ別々のハウジング11を有する互いに独立した軽油給液機10Aと尿素水給液機10Bとを備えた本実施の形態に係る給液装置1にあっては、軽油給液機10A又は尿素水給液機10Bの中のいずれか一方に、図示の例では軽油給液機10Aのハウジング11に、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれによる給液作業の作業情報を設定する設定器31と、相手方の尿素水給液機10Bを使用して実行された尿素水の給液量を表示する尿素水用の給液表示器32と、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水溶液の補給作業を行う場合に軽油と尿素水の合算給液金額を表示する合算表示器33と、顧客が所持する給液対象の識別カードを読み取るカードリーダ34と、給液作業の実行結果を記載した伝票を発行印刷する伝票発行機35と、軽油給液機10Aと尿素水給液機10Bとを備えた給液装置1全体の制御を行う装置制御部40とが設けられている。
装置制御部40は、軽油給液機10Aと尿素水給液機10Bとを備えた給液装置1のメイン制御部として、例えば、CPU、メモリ、入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。その上で、装置制御部40には、これら設定器31、尿素水用の給液表示器32、合算表示器33、カードリーダ34、伝票発行機35が、それぞれ信号接続されている。さらに、装置制御部40は、同じハウジング11内の軽油給液機10Aの給液制御部23(23A)とワイヤード接続されているとともに、別ハウジング11内の尿素水給液機10Bの給液制御部23(23B)とも、軽油給液機10A及び尿素水給液機10Bそれぞれに設けられた無線送受信機45(45A,45B)を介してワイヤレス接続されている。これにより、装置制御部40は、各給液機10A、10Bそれぞれの給液制御部23A、23Bとの間でデータや制御指示の交信が行えるようになっており、直接的に、或いは給液制御部23A、23Bを介して間接的に、軽油給液機10Aと尿素水給液機10Bとを備えた給液装置1の各部の制御を行うことができるようになっている。
さらに、本実施の形態の給液装置1においては、装置制御部40は、図示せぬ、給油所内に設けられたPOS端末機が接続されている給油所内LANとも通信接続されている。給液装置1を使用して給液対象に対して行われた軽油及び/又は尿素水の給液情報は、POS端末機によって販売時点管理されるようになっている。なお、この装置制御部40の給油所内LANに対する通信接続は、前述した軽油給液機10Aの無線送受信機35や別途設けられた専用の無線送受信機を使用してワイヤレス接続してもよいし、給油所内に敷設された給油所内LAN回線に装置制御部40をワイヤード接続してもよい。
図2は、本実施の形態に係る給液装置に設けられた設定器の外観図である。
設定器31は、その設定操作部や設定表示部を、カードリーダ34のカード読み取り走査部、伝票発行機35の伝票出力部とともに、一体的に軽油給液機10Aのハウジング11から臨ませてなる構成になっている。
図示の例では、設定器31は、液種選択キー(「軽油」キー、「尿素水」キー)51、プリセット入力キー(テンキー、「満タン」キー)52、プリセット設定キー(「設定」キー)53、設定表示部54、設定完了キー(「設定完了」キー)55を有する構成になっている。
この場合、液種選択キー51は、プリセット内容を入力する液種(軽油か尿素水かの種別)、すなわちこれから入力するプリセット内容が軽油給液機10A、尿素水給液機10Bの中のいずれに対してのものであるかを設定するためのものである。プリセット入力キー52は、液種選択キー51で選択された液種について、プリセット給液量、プリセット給液金額、満タンといった、給液対象に対して行う給液内容を設定するためのものである。プリセット設定キー53は、液種選択キー51で選択された液種についての、プリセット入力キー52で入力された給液内容を確定するためのものである。
設定器31は、顧客が所持する給液対象の識別カードをカードリーダ34で読み取らせ、給油所内LANを介して接続されたPOS端末機によってその識別カードの認証が行われ、その識別カードが適正であれば、設定操作可能になる。作業者は、設定操作可能になった設定器31で、次に述べるようにしてプリセット内容を設定入力することができる。
例えば、図示の設定器31では、車輌に軽油給液機10Aを使用して100Lの軽油を給液しようとする場合は、作業者は、液種選択キー51の「軽油」キー51Aを操作し、プリセット入力キー52の「供給量」、「1」、「0」、「0」を操作し、その設定内容(「軽油100L」)を設定表示部54の表示で確認し、プリセット設定キー53の「設定」キーを操作することにより、軽油給液機10Aに対するプリセット内容を設定できる。
また、車輌に尿素水給液機10Bを使用して20Lの尿素水を給液しようとする場合は、液種選択キー51の「尿素水」キー51Bを操作し、プリセット入力キー52の「供給量」、「2」、「0」を操作し、その設定内容(「尿素水20L」)を設定表示部54の表示で確認し、プリセット設定キー53である「設定」キーを操作することにより設定できる。
さらに、同じ車輌に、軽油給液機10Aを使用して軽油の給液と、尿素水給液機10Bを使用して尿素水給液とを行う場合は、上述したような軽油給液機10Aに対するプリセット内容の設定と尿素水給液機10に対するプリセット内容の設定の両方を、設定器31を操作して行うことになる。
そして、作業者は、このようにして車輌に補給する軽油及び/又は尿素水のプリセット設定が完了したら、設定完了キー55を操作することにより、軽油給液機10Aと尿素水給液機10Bとを備えた給液装置1を用いてこれから行う給液作業の作業内容を確定することができる。
次に、上述した給液装置1の装置制御部40による給液装置制御構成について、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれに設けられた給液制御部23による給液制御構成と関連付けて説明する。
給液装置1の装置制御部40による給液装置制御構成に説明するに当たって、まず、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれに設けられた給液制御部23による軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれの給液制御構成について、図3に基づいて説明する。
図3は、軽油給液機、尿素水給液機それぞれに設けられた給液制御部が実行する給液制御のフローチャートである。
各給液機10A、10Bの給液制御部23は、給液装置1の装置起動後、給液ノズル17がノズル収納部20に収納されている作業待機時は、これから行う給液作業のプリセット設定情報の入力があったか否かを監視している(S201)。なお、ここでのプリセット設定情報は、これから給液装置1を用いて行う給液作業の作業内容に給液機10A、10Bを用いた給液作業が含まれる場合、装置制御部40から各対応する給液機10A、10Bに供給される、当該給液機を用いた給液作業に関してのプリセット設定情報である。このプリセット設定情報には、設定器31によって設定された、所望の給液量若しくは給液金額からなる指定量、又は満タン設定も含まれる。
装置制御部40からプリセット設定情報の入力があると(S201:YES)、給液制御部23は、この入力されたプリセット設定情報を記憶するとともに、給液ノズル17が作業者によりノズル収納部20から取り出されたか否かを、ノズルスイッチ21から供給されるノズルスイッチ信号を基に監視する(S202)。
そして、作業者によって給液ノズル17がノズル収納部20から取り出されると(S202:YES)、給液制御部23は、装置制御部40に対して、給液作業の許可要求を発信する(S203)。その際、給液制御部23が尿素水給液機10Bの給液制御部23Bである場合は、この許可要求を、無線送受信機45Bを介して、装置制御部40が配設された軽油給液機10Aの無線送受信機45Aに無線送信する(S203)。
また、給液制御部23では、自身の所定のカウンタや記憶エリアについて、新たな給液作業が開始されるに当たっての初期化が行われる。その際、装置制御部40を同じハウジング11内に収容する軽油給液機10Aの給液制御部23Aにあっては、給液表示器22における給液量、給液金額等の表示や合算表示器33の表示のゼロリセットも行われる(S204)。
このようにして給液作業の開始準備が整うと、給液制御部23は、装置制御部40から、許可要求を発信したこれから行う給液作業についての許可応答が入力されたか否かを監視する(S205)。
その後、給液制御部23は、装置制御部40から許可応答が入力されると(S205:YES)、送液機器としてのポンプ12、電磁弁14を送液作動し、ポンプ12から給液ノズル17への送液を開始させる(S206)。
そして、作業者のノズル開弁操作によって給液ノズル17から給液対象への液吐出が開始されると、給液制御部23は、流量計13に付設された流量パルス発信器19から出力される流量パルス信号を基に、今回給液作業における、給液対象に対する給液量を演算更新する(S207)。
加えて、給液制御部23が軽油給液機10Aの給液制御部23Aである場合には、この演算更新した給液量、及びこの給液量を基に算出された給液金額を、遂次、給液表示器22に表示出力する一方(S208A)、給液制御部23が尿素水給液機10Bの給液制御部23Bである場合は、給液制御部23Bが設けられている尿素水給液機10Bのハウジング11Bには給液表示器が備えられていないので、尿素水用の給液表示器32が設けられている軽油給液機10Aの装置制御部40に対し、遂次、演算更新した給液量に対応する計量信号を、無線送受信機45Bを介して、装置制御部40が配設された軽油給液機10Aの無線送受信機45Aに無線送信出力する(S208B)。
給液対象に対する液吐出が開始されると、給液制御部23は、上述した給液対象に対する給液量の演算更新等とともに(S207、S208)、その給液量が装置制御部40から供給されたプリセット設定情報に含まれた指定量(所望の給液量若しくは給液金額)になったか否か(S209)、給液ノズル17がレバー操作や自動閉弁機構の作動により弁機構が閉弁されて給液対象に対する液吐出が終了させられ、ノズル収納部20に戻されて収納されたか否か(S210)も併せて監視している。
給液制御部23は、給液量が指定量になった場合は(S209:YES)、送液機器としての電磁弁14を閉弁したり、ポンプモータ18を駆動停止したりして(S211)、給液対象に対する指定量の給液を作業者のノズル操作によらずに自動完了させた後、給液ノズル17がノズル収納部20に戻されて収納されたか否かを監視する(S212)。一方、給液制御部23は、満タン設定で、レバー操作や自動閉弁機構の作動により給液ノズル17が閉弁されて給液対象に対する液吐出が終了し、給液ノズル17がノズル収納部20に収納された場合は(S210:YES)、送液機器としての電磁弁14を閉弁し、ポンプモータ18を駆動停止する(S213)。
給液制御部23は、ノズル収納部20に給液ノズル17が収納され、給液作業が終了したのを検出すると(S210:YES、S212:YES)、装置制御部40に対し、給液量等の給液結果情報を含む給液作業完了報告を発信する(S214)。その際、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bの場合は、この完了報告を無線送受信機45Bを介して、装置制御部40が配設された軽油給液機10Aの無線送受信機45Aに無線送信出力する。
このように、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれに設けられた給液制御部23は、装置制御部40からそれぞれに供給されるプリセット設定情報を基に、それぞれに対応の軽油、尿素水を給液対象に補給する給液系統の作動制御を行う。
図4〜6は、軽油給液機と尿素水給液機とを備えた給液装置のメイン制御部としての装置制御部による給液装置制御のフローチャートである。
図1に図示した例では、給液装置1のメイン制御部としての装置制御部40は、軽油給液機10Aのハウジング11Bに設けられている。
給液装置1の装置制御部40は、図4に示すように、顧客がカードリーダ34で読み取らせた給液対象の識別カードが適正であることを確認すると(S010:YES)、自身の所定のカウンタや記憶エリアについて、新たな給液作業を開始するに当たっての初期化を行う(S011)。そして、装置制御部40は、設定器31による、これから行う新たな給液作業についてのプリセット設定情報の設定入力を可能にする。
それから、装置制御部40は、設定器31と協働し、設定器31からの操作入力を基に、ステップS020〜S042に示すようにして、軽油給液機10Aの給液制御部23A及び/又は尿素水給液機10Bの給液制御部23Bに供給するプリセット設定情報の生成を行う。
装置制御部40は、プリセット設定情報の生成に当たって、設定器31の、液種選択キー51の「軽油」キー51Aが操作されたか否か(S020)、「尿素水」キー51Bが操作されたか否か(S030)、或いは「設定完了」キー(設定完了キー)55が操作されたか否か(S040)を監視している。
そして、装置制御部40は、「軽油」キー51Aの操作を検知した場合は(S020:YES)、ステップS021〜S028に示すような軽油給液機10Aに対するプリセット設定情報の生成処理を行い、「尿素水」キー51Bの操作を検知した場合は(S030:YES)、ステップS031〜S038に示すような尿素水給液機10Bに対するプリセット設定情報の生成処理を行い、「設定完了」キー55の操作を検知した場合は(S040:YES)、これら生成されたプリセット設定情報を該当する給液機10の給液制御部23に供給する出力処理を行う。
プリセット設定情報の生成処理について、軽油給液機10Aに対するプリセット設定情報の生成処理(S021〜S028)を例に説明すれば、装置制御部40は、「軽油」キー51Aの操作を検知すると、続いて、設定器31のプリセット入力キー52の「満タン」キーが操作されたか否か(S021)、「供給量」キーが操作されたか否か(S022)、「供給金額」キーが操作されたか否か(S023)を監視している。
ここで、装置制御部40は、「満タン」キーの操作を検知すると(S021:YES)、これから行う新たな給液作業について満タンを設定記憶する(S028)。
同様にして、装置制御部40は、「供給量」キーの操作を検知すると(S022:YES)、続けてプリセット入力キー52のテンキー操作で入力された数値を軽油のプリセット給液量として設定して設定表示部54に表示し(S024)、「設定」キー(プリセット設定キー)53の操作を検知すると(S025:YES)、これから行う新たな給液作業の軽油指定量としてこの設定されたプリセット給液量を設定記憶する(S028)。
また、装置制御部40は、「供給金額」キーの操作を検知すると(S023:YES)、続けてプリセット入力キー52のテンキー操作で入力された数値を軽油のプリセット給液金額として設定して設定表示部54に表示し(S026)、「設定」キー53の操作を検知すると(S027:YES)、これから行う新たな給液作業の軽油指定量としてこの設定されたプリセット給液金額を設定記憶する(S028)。
尿素水給液機10Bに対するプリセット設定情報の生成処理の場合も、装置制御部40は、上述の「軽油」キー51Aの操作を検知した場合と同様に「尿素水」キー51Bの操作を検知すると、ステップS031〜S038に示すようにして、満タン設定、又はプリセット給液量若しくはプリセット給液金額からなる尿素水指定量を設定記憶する。
一方、装置制御部40は、「設定完了」キー55の操作を検知した場合は(S040:YES)、プリセット設定情報の出力処理を、ステップS041、S042に示すようにして行う。
装置制御部40は、「設定完了」キー55の操作を検知すると、まず、上述した軽油給液機10Aに対するプリセット設定情報の生成処理(S021〜S028)又は尿素水給液機10Bに対するプリセット設定情報の生成処理(S031〜S038)によって、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bの中の少なくともいずれかに対する満タン設定或いは指定量が設定・記憶されているか否かを確認する(S041)。
そして、装置制御部40は、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bのいずれに対しても満タン設定或いは指定量が設定・記憶されていない場合は(S041:NO)、図示の例では、今回の給液対象の識別カードの読み取りに基づく給液対象に対する軽油及び/又は尿素水の給液作業を中止し、終了させるようになっている。
これに対し、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bの中の少なくともいずれかに対する満タン設定或いは指定量が設定・記憶されている場合は(S041:YES)、装置制御部40は、その満タン設定或いは指定量を含む該当給液機のプリセット設定情報を生成し、この生成したプリセット設定情報を、軽油給液機10A又は尿素水給液機10Bの中の該当する給液機10の給液制御部23に供給出力する(S042)。
したがって、図示の例の給液装置1において、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水溶液の補給作業を行う場合には、作業者は、設定器31の液種選択キー51の「軽油」キー51A、「尿素水」キー51Bをそれぞれ操作して軽油給液機10A、尿素水給液機10Bを順次選択し、満タン又はプリセット給液量若しくはプリセット給液金額からなる指定量を給液機個別に設定・記憶した上で、「設定完了」キー55を操作することになる。また、1台の同じ車輌に対して軽油又は尿素水の中のいずれか一方だけの補給作業を行う場合は、作業者は、設定器31の液種選択キー51の「軽油」キー51A、「尿素水」キー51Bの中の該当する一方のみを操作して一方の給液機10についてのみ選択し、満タン又はプリセット給液量若しくはプリセット給液金額からなる指定量を設定・記憶しただけで、「設定完了」キー55を操作すればよいことになる。
図示の例の給液装置1では、1台の同じ車輌に対して軽油だけを給液する場合は、軽油給液機10Aの給液制御部23に対してだけ、設定器31の操作により生成された軽油のプリセット設定情報が供給され、尿素水だけを給液する場合は、尿素水給液機10Bの給液制御部23に対してだけ、設定器31の操作により生成された尿素水のプリセット設定情報が供給され、軽油及び尿素水の双方を給液する場合は、軽油給液機10Aの給液制御部23、尿素水給液機10Bの給液制御部23それぞれに、設定器31の操作により生成された該当するプリセット設定情報が供給される。
図示の給液装置1では、このようなプリセット設定情報の生成処理によって、作業者によって「設定完了」キー55が操作されるまでは、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bいずれにもプリセット設定情報は供給されない。したがって、「設定完了」キー55が操作されるまでは、給液ノズル17に対する送液は行われないので、一旦設定した満タン又は指定量は訂正及び取り消し(例えば、取り消しは、指定量を「0」に設定し直すことによって行える)可能である。
そして、装置制御部40は、ステップS020〜S042に示すようにして、設定器31の操作に基づくプリセット設定情報の生成を終えると、プリセット設定情報を供給した給液機10それぞれについて給液作業の許可処理を行い、プリセット設定情報を供給した給液機10の中に尿素水給液機10Bが含まれる場合は、ハウジング11Bに給液表示器を備えていない尿素水給液機10Bの尿素水給液量や尿素水給液金額といった給液情報を、軽油給液機10Aのハウジング11Aに備えられた給液表示器32に表示する表示処理を行い、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水双方の給液作業が行われる場合は、さらに合算表示器33の表示処理を行う。加えて、装置制御部40は、プリセット設定情報を供給した給液機10全ての給液作業が完了した場合の伝票発行処理を行う。装置制御部40は、これらの処理を、例えば図5及び図6に示すようにして行う。
装置制御部40は、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから給液作業の許可要求が入力されたか否か(S110)、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから給液作業の許可要求を無線受信したか否か(S120)、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから計量信号を無線受信したか否か(S130)、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから軽油の給液作業の完了報告が入力されたか否か(S140)、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから尿素水の給液作業の完了報告が入力されたか否か(S150)、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方を給液する給液作業であるか否か(S160)、を監視している。
そして、装置制御部40は、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから給液作業の許可要求が入力された場合は(S110:YES)、ステップS111〜S114に示すような軽油給液機10Aによる給液作業の開始許可処理を行い、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから給液作業の許可要求が入力された場合は(S120:YES)、ステップS121〜S124に示すような尿素水給液機10Bによる給液作業の開始許可処理を行い、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから給液量に係る計量信号を受信した場合には(S130:YES)、ステップS131〜S135に示すような給液表示器32についての更新表示処理を行い、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから給液作業の完了報告が入力された場合は(S140:YES)、ステップS141〜S148に示すような給液作業完了処理を行い、尿素水給液機10Bの給液制御部23Aからの給液作業の完了報告を受信した場合は(S150:YES)、ステップS151〜S158に示すような給液作業完了処理を行い、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方を給液する給液作業である場合は(S160:YES)、ステップS161〜S164に示す合算表示器33についての更新表示処理を行う。
給液機10による給液作業の開始許可処理について、軽油給液機10Aによる給液作業の開始許可処理を例に説明すれば、装置制御部40は、これから軽油給液機10Aを用いて行おうとする給液作業に係る軽油の指定量が記憶されているか否か(S111)、及び自身のメモリの所定エリアに軽油給液機10Aについて給液作業の開始済が記憶されているか否か(S112)、についてまず確認する。なお、図示の例の給液装置1の場合は、軽油給液機10Aの給液制御部23Aは、給液作業の許可要求の発信条件を、図3のステップS201、S202で示したように給液ノズル17のノズル収納部20からの取り出し(S202)だけとせず、装置制御部40からのプリセット設定情報の入力(S201)も発信条件としているので、ステップS111の処理は省略可能である。
そして、装置制御部40は、自身のメモリの所定の記憶エリアに未だ軽油給液機10Aについて給液作業の開始済が記憶されていなければ(S112:NO)、軽油給液機10Aの給液制御部23Aに対して給液作業の開始許可を出力し(S113)、自身のメモリの所定エリアに軽油給液機10Aについて給液作業の開始済を記憶する(S114)。
また、尿素水給液機10Bの給液制御部23Aから給液作業の許可要求が入力された場合も(S120:YES)、装置制御部40は、上述の軽油給液機10Aの給液制御部23Aから給液作業の許可要求が入力された場合(S110:YES)と同様に、ステップS121〜S124に示すようにして、尿素水給液機10Bに対する給液作業の開始許可処理を行う。
図示の給液装置1では、このような給液作業の開始許可処理によって、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方を給液する場合であっても、「設定完了」キー55が操作され、装置制御部40から軽油給液機10A、尿素水給液機10Bにそれぞれのプリセット設定情報が供給されていれば、装置制御部40が給液作業の許可要求を受けて開始許可した順に、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれにおける給液ノズル17に対する送液が開始されるので、軽油給液機10Aによる軽油給液作業と尿素水給液機10Bによる尿素水給液作業とを並行して行うこと、或いは別々に順次行うことを、作業者はそれぞれの給液ノズル17の操作によって任意に選択可能である。
一方、このような開始許可処理によって給液作業の開始を許可してある尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから計量信号を無線受信した場合は(S130:YES)、装置制御部40は、ステップS131〜S135に示すような給液表示器32についての更新表示処理を行う。
この給液表示器32についての更新表示処理では、装置制御部40は、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから無線受信した計量信号に基づいて、給液対象に対する尿素水の給液量、給液金額を含む尿素水給液情報を演算更新し(S131)、これを給液表示器32に更新表示する(S132)。
さらに、装置制御部40は、軽油の指定量が設定されているか否かを確認することにより、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水双方の給液作業が行われるか否かを確認し(S133)、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業が行われる場合には(S133:YES)、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから取得した軽油の給液情報に基づき、軽油及び尿素水の合算給液金額を演算更新し(S134)、これを合算表示器33に更新表示する(S135)。
図示の給液装置1では、このような給液表示器32についての更新表示処理を実行することによって、軽油給液機10Aとは別筐体で離間している尿素水給液機10Bを用いた給液作業で、給液対象に対する尿素水の給液量の確認を設定器31が設けられている軽油給液機10Aのハウジング11A側で給液表示器32を視認できる。作業者は、給液対象に対する設定器31を用いた尿素水給液作業の設定と給液表示器32を用いた尿素水の給液量の確認を一所で行える。
また、このような開始許可処理によって給液作業の開始を許可してある軽油給液機10A又は尿素水給液機10Bの給液制御部23から給液作業の完了報告が入力した場合は(S140:YES、S150:YES)、装置制御部40は、ステップS141〜S148、S151〜S158に示すような給液作業完了処理を行う。なお、この軽油給液機10A又は尿素水給液機10Bの給液制御部23から給液作業の完了報告は、図3のステップS214で説明したように、軽油給液機10A又は尿素水給液機10Bによる給液作業の完了時に、軽油給液機10A又は尿素水給液機10から装置制御部40に供給されるものである。
この給液作業完了処理について、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから軽油給液機10Aによる軽油給液作業の完了報告が入力した場合(S140:YES)を例に説明すれば、装置制御部40は、その完了報告を基に、軽油給液機10Aを用いた今回の軽油給液作業の給液結果を自身のメモリの所定エリアにまず記憶する(S141)。
そして、装置制御部40は、自身のメモリの所定エリアに、尿素水給液機10Bについて満タン又は指定量の設定が記憶されているか否かを確認することにより(S142)、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業が行われる場合であるか否かを確認する。
これにより、1台の同じ車輌に対して軽油の給液作業だけが行われる場合であることを確認すると(S142:NO)、装置制御部40は、今回の軽油給液作業の給液結果を基に伝票データを生成し、今回の軽油給液作業だけの給液伝票を伝票発行機35から印字発行させる(S143)。そして、装置制御部40は、今回の1台の同じ車輌に対しての軽油だけの給液作業に係る給液装置制御を終了する。
これに対し、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業が行われる場合であることを確認すると(S142:YES)、装置制御部40は、自身のメモリの所定エリアに、尿素水給液機10Bを用いた今回の尿素水給液作業の完了済が記憶されているか否かを確認することにより(S144)、軽油給液機10Aによる軽油給液作業が完了した時点で既に尿素水給液機10Bによる尿素水給液作業が完了しているか否かを確認する。
この結果、尿素水給液機10Bを用いた尿素水給液作業が未だ完了していない場合は(S144:NO)、装置制御部40は、自身のメモリの所定エリアに、軽油給液機10Aによる軽油給液作業が完了済であることを記憶する(S146)。また、装置制御部40は、自身のメモリの所定エリアに、図5のステップS124で説明した尿素水給液機10Bについての給液作業の開始済が記憶されている否かを確認し(S147)、作業者によって尿素水給液機10Bを用いた尿素水給液作業が未だ開始されていない場合は(S147:NO)、その旨を、例えば、設定器31の設定表示部54における尿素水の設定内容表示を点滅させる等して報知する(S148)。そして、装置制御部40は、今回の1台の同じ車輌に対しての軽油及び尿素水の双方の給液作業に係る給液装置制御を続行する。
一方、尿素水給液機10Bを用いた尿素水給液作業が既に完了している場合は(S144:YES)、装置制御部40は、自身のメモリの所定エリアに記憶されている軽油給液機10Aを用いた今回の軽油給液作業の給液結果と尿素水給液機10Bを用いた今回の尿素水給液作業の給液結果とを基に、今回の1台の同じ車輌に対しての軽油及び尿素水の双方の給液作業について纏めた伝票データを生成し、その給液伝票を伝票発行機35から印字発行させる(S145)。そして、装置制御部40は、今回の1台の同じ車輌に対しての軽油及び尿素水の双方の給液作業に係る給液装置制御を終了する。
また、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから尿素水給液機10Bによる尿素水給液作業の完了報告を受信した場合も(S150:YES)、装置制御部40は、上述の軽油給液機10Aの給液制御部23Aから軽油給液作業の完了報告が入力された場合(S140:YES)と同様に、ステップS151〜S156に示すようにして、尿素水給液機10Bに対する給液作業完了処理を行う。
図示の給液装置1では、このような給液作業完了処理を実行することによって、1台の同じ車輌に対して軽油の給液作業だけが行われる場合、尿素水の給液作業だけが行われる場合、軽油及び尿素水の双方の給液作業が行われる場合それぞれに対応して、給液作業完了後、適切な対応する1台の同じ車輌に対して軽油の給液作業だけが行われる場合、尿素水の給液作業だけが行われる場合、軽油及び尿素水の双方の給液作業が行われる場合それぞれに対応して、適切な対応する給液伝票を伝票発行機35から印字発行させることができる。
また、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方を給液する場合に、軽油給液機10Aによる軽油給液作業と尿素水給液機10Bによる尿素水給液作業とを別々に順次行う場合に順番が後回しの給液作業のし忘れがあっても、伝票発行機35から給液伝票が発行されないだけではなく、警報により確認することができる。
一方、装置制御部40は、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方を給液する給液作業である場合は(S160:YES)、ステップS161〜S164に示す合算表示器33についての更新表示処理を行う。
合算表示器33についての更新表示処理では、装置制御部40は、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方を給液する給液作業である場合に(S160:YES)、軽油給液機10Aによる軽油の給液作業が未だ完了しておらず(S161:NO)、かつ尿素水給液機10Bによる尿素水の給液作業が既に完了している場合は(S162:YES)、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから取得した軽油の給液情報に基づき、軽油及び尿素水の合算給液金額を演算更新し(S163)、これを合算表示器33に更新表示する(S164)。
図示の給液装置1では、このような合算表示器33についての更新表示処理を実行することによって、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方を給液する給液作業である場合に、軽油に対して給液量が少ない尿素水の給液作業が終了しても軽油給液機10Aによる軽油の給液作業が続いている場合でも、合算表示器33の表示を更新表示することができる。
そして、上述した給液装置1によれば、読み取った識別カードに対応した給液作業毎に、装置制御部40による図4〜6に示した給液装置制御と、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれの給液制御部23による図3に示した給液制御とが協働して実行されるので、次に述べるような効果を奏することができる。
まず、それぞれ別々のハウジング11を有する互いに独立した軽油給液機10Aと尿素水給液機10Bとを備えた給液装置1において、給液対象に対する軽油だけ、尿素水だけ、軽油及び尿素水の双方といった給液作業の相違にかかわらず設定器を一の設定器31で兼用することができるので、作業者はこれら給液作業の設定を、一か所、例えば軽油給液機10A側で容易に済ますことができる。加えて、給液機毎に専用の設定器を設ける必要もないので、この種の給液装置のコスト低減もはかれる。
また、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業を行う場合、予め定められた、例えば設定器31の「設定完了」キー55の操作による並行給液実行条件が満たされていれば、軽油及び尿素水溶液それぞれの対応するタンクへの補給を並行して行えるので、それぞれの補給に費やす作業時間を短縮することができる。
そして、軽油及び尿素水溶液それぞれの対応するタンクへの補給を並行して行っている際も、一方側の給液機、例えば、軽油給液機10Aによる給液時間が長くなるような場合であっても、揮発性燃料の軽油給液機10A側のハウジング11に給液機10A、10Bそれぞれの給液量表示器22、32、及び合算表示器33が集中的に配置されているので、それぞれの給液量等の変化を一緒に把握しやすい。
また、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業を行う場合、両方の給液作業が完了した時点で軽油給液作業と尿素水給液作業とを纏めた給液伝票が発行されるので、例えば、各々の給液作業が完了すると該当する給液作業の給液伝票が発行される場合に生じ得る、いずれか一方の給液伝票の取り忘れを防止できる。
さらに、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業を行う場合、給液伝票が発行されないことをもって、軽油給液機10A又は尿素水給液機10Bの中のいずれかの給液ノズル17がノズル収納部20に戻されていない等の異常が生じていることを、作業者に知らせることができる。
その上で、図4〜図6に示した、給液装置1のメイン制御部としての装置制御部40による給液装置制御は、上記した作用・効果を実現する具体的処理の一実施例であるに過ぎず、種々の変形例が可能である。
図7、図8は、給液装置のメイン制御部としての装置制御部による給液装置制御の変形例のフローチャートである。
図7は、図5に示した各処理に対応し、図8は、図6に示した各処理に対応する。図7、図8において、図5、図6に示した処理と同様なステップ処理については、同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図7に示した給液装置制御では、図5に示した給液装置制御とは異なり、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業を行う場合は、装置制御部40は、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから軽油給液作業の許可要求が入力され、かつ尿素水給液機10Bの給液制御部23Bから尿素水給液作業の許可要求を受信しなければ、軽油給液機10Aの給液制御部23A、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bそれぞれに給液作業の開始許可を出力しないようになっている。
そのために、軽油給液機10Aの給液制御部23Aから軽油給液作業の許可要求が入力された場合は(S110:YES)、装置制御部40は、軽油給液機10Aの給液制御部23Aに対して給液作業の開始許可を出力する前に、まず、尿素水給液機10Bを用いる尿素水給液作業に係る尿素水の満タン設定や指定量が記憶されているか否かを確認するようになっている(S115)。
そして、尿素水の満タン設定や指定量が記憶されておらず(S115:NO)、車輌に対する給液作業が軽油給液作業だけである場合は、装置制御部40は、軽油給液機10Aの給液制御部23Aに対して給液作業の開始許可を出力する(S118)。
これに対し、尿素水の満タン設定や指定量が記憶され(S115:YES)、車輌に対する給液作業が軽油及び尿素水の双方の給液作業である場合は、装置制御部40は、自身のメモリの所定の記憶エリアに尿素水給液機10Bについての給液作業の開始済が記憶されているか否かを確認し(S116)、未だ尿素水給液機10Bについての給液作業の開始済が記憶されていない場合は(S116:NO)、給液作業の開始許可の要求を受けた軽油給液機10Aの給液制御部23Aに対して給液作業の開始許可を応答出力しない。これに対し、尿素水給液機10Bについての給液作業の開始済が既に記憶されている場合は(S116:YES)、装置制御部40は、給液作業の開始許可の要求を受けた軽油給液機10Aの給液制御部23Aに対して給液作業の開始許可を応答出力するとともに、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bに対しても給液作業の開始許可を無線送信する(S117、S118)。
同様にして、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bからの尿素水給液作業の許可要求を無線受信した場合も(S120:YES)、装置制御部40は、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bに対して給液作業の開始許可を出力する前に、まず、軽油給液機10Aを用いる軽油給液作業に係る軽油の満タン設定や指定量が記憶されているか否かを確認するようになっている(S125)。
そして、車輌に対する給液作業が尿素水給液作業だけである場合は(S125:NO)、装置制御部40は、尿素水給液機10Bの給液制御部23Bに対して給液作業の開始許可を出力する一方(S128)、車輌に対する給液作業が軽油及び尿素水の双方の給液作業である場合は(S125:YES)、軽油給液機10Aについての給液作業の開始済が既に記憶されている場合にのみ(S126:YES)、装置制御部40は、給液作業の開始許可の要求を受けた尿素水給液機10Bの給液制御部23Bに対して給液作業の開始許可を無線送信するとともに、軽油水給液機10Aの給液制御部23Aに対しても給液作業の開始許可を出力する(S127、S128)。
図示の給液装置1では、このような軽油給液機10A及び尿素水給液機10Bそれぞれの給液作業の開始許可処理が行われることにより、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業を行う場合には、軽油給液機10A及び尿素水給液機10Bそれぞれからの給油許可が入力されなければ、装置制御部40は、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bのいずれにも給液作業の開始許可を供給しない構成になっている。
これにより、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業を行う場合は、軽油給液機10A及び尿素水給液機10Bでは、両方の給液ノズル17がそれぞれのノズル収納部20から取り出されなければ、それぞれの給液ノズル17への送液は開始されないので、作業者によって軽油及び尿素水それぞれの対応するタンクへの補給を並行して行うことが促進され、作業時間の短縮が一層促進されるとともに、軽油又は尿素水の中の一方の給液作業をし忘れることを防止できる。
これに伴い、図8では、図7のステップS147,148、S157,158で説明した、1台の同じ車輌に対して軽油及び尿素水の双方の給液作業を行う場合における一方の給液作業のし忘れ報知が省略されている。
このように、本実施の形態の給液装置1によれば、図4〜図6に示した装置制御部40による給液装置制御による作用に加えて、上述した装置制御部40による作用・効果を奏することができる。
上記した変形例で示したように、給液装置1のメイン制御部としての装置制御部40による給液装置制御は、上述した作用・効果を達成し得る限りにおいて、種々の変形例が可能である。
また、これら給液装置1の実施の形態の説明では、軽油給液機10Aのハウジング11に、装置制御部40、設定器31、尿素水給液機10Bの給液表示器22を設ける構成としたが、尿素水給液機10Bのハウジング11に、装置制御部40、設定器31、軽油給液機10Bの給液表示器22を設ける構成とすることも可能である。
また、軽油給液機10A、尿素水給液機10Bそれぞれの給液制御部23、及び装置制御部40は、それぞれマイクロコンピュータで構成したが、これらマイクロコンピュータはいずれかのマイクロコンピュータで共用させることも可能である。