JP2019156266A - 車両制御装置、車両制御方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】自車両の前方に存在する走行阻害要因に対し、より適切な運転制御を行うことができる車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムを提供する。【解決手段】自車両の周辺状況を認識する認識部130と、前記認識部により認識された周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御する運転制御部140、160、180と、を備え、前記運転制御部140、160、180は、前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、車両制御装置。【選択図】図2
Description
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムに関する。
近年、車両を自動的に制御することについて研究が進められている。これに関連して、ナビゲーションシステムから車両前方の事故情報を取得し、後続車の運転者に、車両前方で事故が発生していることを示すアイコンを提示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の技術では、自車両の前方に存在する走行阻害要因に対し、適切な運転制御ができない場合があった。そのため、走行阻害要因が拡大したり、交通渋滞を引き起こす可能性があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、自車両の前方に存在する走行阻害要因に対し、より適切な運転制御を行うことができる車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
(1):自車両の周辺状況を認識する認識部と、前記認識部により認識された周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御する運転制御部と、を備え、前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、車両制御装置である。
(2):(1)において、前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定され、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記自車両の後方の周辺車両を、前記自車両から所定距離オフセットした位置に停止させるものである。
(3):(2)において、前記自車両の周辺車両と通信を行う通信装置を更に備え、前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定され、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記通信装置により前記自車両の後方の周辺車両と通信を行い、前記自車両から所定距離オフセットした位置に停止させるものである。
(4):(2)または(3)において、前記運転制御部は、前記要因が存在する位置に接近する周辺車両に対して、前記要因に関する情報を通知するものである。
(5):(4)において、前記運転制御部は、前記自車両の後方から前記要因が存在する位置に接近する自車後続車両に、停止または進行を促す情報を報知するものである。
(6):(5)において、前記運転制御部は、前記自車両から所定距離オフセットした位置に停止させた周辺車両に対し、停止または進行を促す情報を、前記自車後続車両に報知させるものである。
(7):(2)〜(6)の何れか一つにおいて、前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定され、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記自車両の前方に存在し、且つ、前記自車両が走行する車線の対向車線を走行する対向車両を所定位置で停止させるものである。
(8):(7)において、前記運転制御部は、前記対向車両に、停止または進行を促す情報を、前記対向車両に後続する対向後続車両に報知させるものである。
(9):(8)において、前記運転制御部は、進行を促す情報を前記自車両の後方から前記要因が存在する位置に接近する自車後続車両に報知する場合に、前記対向車両に停止を促す情報を前記対向後続車両に報知させ、停止を促す情報を前記自車後続車両に報知する場合に、前記対向車両に進行を促す情報を前記対向後続車両に報知させるものである。
(10):車両制御装置が、自車両の周辺状況を認識し、認識された前記周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御し、前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、車両制御方法である。
(11):車両制御装置に、自車両の周辺状況を認識し、認識された前記周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御し、前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、プログラムである。
(1)〜(11)によれば、自車両の前方に存在する走行阻害要因に対し、より適切な運転制御を行うことができる。
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお、実施形態の車両制御装置は、自動運転車両に適用される。自動運転とは、例えば、車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御して運転制御を実行することである。また、実施形態の車両制御装置は、無人状態または有人状態による自動運転が可能であるものとする。無人状態とは、運転操作子を操作する乗員(運転者)だけでなく、運転操作子を操作しない乗員(非運転者)も含めて、車両に一人も搭乗していない状態のことである。一方、有人状態とは、運転者または非運転者を含めて、車両に一人以上の乗員が搭乗している状態のことである。また、以下では、左側通行の法規が適用される場合について説明するが、右側通行の法規が適用される場合、左右を逆に読み替えればよい。
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、車室内カメラ70と、荷重センサ75と、運転操作子80と、車外報知部90と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。また、自動運転制御装置100は、「車両制御装置」の一例である。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度等を認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。カメラ10は、通常の画像を撮像するものの他、物体の表面温度の変化を撮像する赤外線カメラを含む。カメラ10に備わる機能によって通常の撮像と赤外線撮像に切り替えるものであってもよい。
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両(周辺車両)と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キー、車室内に設けられた発光装置等を含む。
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、有人状態でナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地、または無人状態で外部の通信端末から送信され、通信装置20により受信された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。また、第1地図情報54は、リンクに対する道路標識に関する情報を含んでもよい。また、第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
車室内カメラ70は、例えば、自車両Mの車室内を撮像する。例えば、車室内カメラ70は、乗員が着座する車室内の各シート付近の領域が画角に収まるように撮像する。車室内カメラ70は、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車室内カメラ70は、例えば、周期的に自車両Mの車室内を撮像し、撮像画像を自動運転制御装置100に出力する。
荷重センサ75は、車室内の各シートにかかる荷重を検出し、検出した結果を自動運転制御装置100に出力する。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。また、ステアリングホイールには、乗員が把持したか否かを検出するグリップセンサが取り付けられていてもよい。
車外報知部90は、例えば、車外ディスプレイ92と、車外スピーカ94と、ハザードランプ96とを備える。車外ディスプレイ92は、例えば、自車両Mのフロントウインドシールドやサイドウインドシールド、リアウインドシールドの少なくとも一部に形成された光透過型の液晶パネルである。また、車外ディスプレイ92は、例えば、自車両Mの外側のボディ部の表面に張り付けられた有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであってもよい。また、車外ディスプレイ92は、ボディ部に嵌め込まれたLCD(Liquid Crystal Display)であってもよく、ボディ部の一部または全部を兼ねたディスプレイパネルであってもよい。車外ディスプレイ92は、例えば、報知制御部180の制御により、所定の画像またはアニメーション画像を表示する。
車外スピーカ94は、例えば、報知制御部180の制御により、自車両Mの周囲に所定の音声を出力する。ハザードランプ96は、例えば、報知制御部180の制御、または乗員によるスイッチ操作により、自車両Mのボディ部の前後左右にそれぞれに配設されるランプを点滅させる。
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160と、報知制御部180とを備える。これらの構成要素は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。また、行動計画生成部140と、第2制御部160と、報知制御部180とを合わせたものが「運転制御部」の一例である。運転制御部は、例えば、認識部130により認識された周辺状況に基づいて、自車両Mの操舵または加減速のうち一方または双方を制御して運転制御を実行する。
図2は、第1制御部120、第2制御部160、および報知制御部180の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。認識部130は、例えば、走行阻害要因認識部132と、乗員搭乗判定部134とを備える。行動計画生成部140は、例えば、車外報知運転制御部142と、周辺車両同期制御部144とを備える。
第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示等がある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、向き、および速度、加速度等の状態を認識する。物体には、例えば、歩行者、他車両等の移動体や工事箇所等の障害物が含まれる。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心等)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
また、認識部130は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレール等を含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、カメラ10によって撮像された画像に基づいて、障害物の幅や高さ、形状、障害物に描画または表示された文字やマークの内容等を認識してもよい。また、認識部130は、道路標識、赤信号、料金所、道路構造その他の道路事象を認識する。
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置等を、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。また、認識部130は、第1地図情報54または第2地図情報62に基づいて、道路上の構造物(例えば、電柱、中央分離帯等)を認識してもよい。認識部130の走行阻害要因認識部132および乗員搭乗判定部134の機能については、後述する。
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。サンプリング時間ごとの目標速度は、例えば通過する道路ごとに定められる上位の目標速度に基づいて決定される。また、上位の目標速度は、例えば、制限速度や法定速度に基づいて定められてもよく、乗員により、任意に或いは制限速度や法定速度から所定範囲内で設定されてもよい。特許請求の範囲における目標速度は、例えば、上位の目標速度に対応する。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベント、回避イベント等がある。行動計画生成部140は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。行動計画生成部140の車外報知運転制御部142および周辺車両同期制御部144の機能については、後述する。
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
報知制御部180は、車外報知運転制御部142の制御により、車外報知部90を用いて車外に所定の情報を報知する。所定の情報には、例えば、自車両Mが走行する道路、または走行予定の道路の交通を阻害する要因(以下、走行阻害要因と称する)に関する情報、停止を促す情報、進行を促す情報が含まれる。走行阻害要因には、例えば、他車両同士の接触、他車両の横転、または他車両の壁や塀等の物体への接触等による他車両の道路上での停止、道路の陥没、土砂崩れ等による土砂の散乱等が含まれる。報知制御部180の機能の詳細については後述する。
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
[走行阻害要因認識部の機能]
図3は、走行阻害要因認識部132および車外報知運転制御部142の処理について説明するための図である。図3の例では、道路区画線LLおよびCLにより区画された車線L1と、道路区画線CLおよびLRにより区画された車線L1の対向車線L2からなる片側一車線道路を示している。図3の例において、自車両Mは、車線L1の延伸方向(図中X方向)に沿って進行しているものとする。
図3は、走行阻害要因認識部132および車外報知運転制御部142の処理について説明するための図である。図3の例では、道路区画線LLおよびCLにより区画された車線L1と、道路区画線CLおよびLRにより区画された車線L1の対向車線L2からなる片側一車線道路を示している。図3の例において、自車両Mは、車線L1の延伸方向(図中X方向)に沿って進行しているものとする。
走行阻害要因認識部132は、認識部130により認識された周辺状況のうち、自車両Mの前方で、自車両Mの進行方向に存在する走行阻害要因を認識する。走行阻害要因認識部132は、例えば、カメラ10により撮像された画像を解析し、解析した輝度情報や形状情報等の特徴情報に基づくパターンマッチングにより、自車両Mの進行方向の前方に存在する走行阻害要因を認識する。また、走行阻害要因認識部132は、通信装置20を介して周辺車両と車車間通信を行い、周辺車両からの情報に基づいて走行阻害要因の位置等を認識してもよい。図3では、走行阻害要因の一例として、他車両m1およびm2が、接触により車線L1上で停止している状態を示している。
[乗員搭乗判定部の機能]
乗員搭乗判定部134は、走行阻害要因認識部132により走行阻害要因が認識された場合に、自車両Mに乗員が搭乗しているか否かを判定する。具体的には、乗員搭乗判定部134は、まず、車室内カメラ70により撮像された画像を解析し、画像に顔または身体(上半身等)の特徴情報が含まれるか否かを判定する。顔または身体の特徴情報は、例えば色や形状によるパターンマッチング等により抽出することができる。そして、乗員搭乗判定部134は、画像に顔または身体の特徴情報が含まれると判定した場合に、自車両Mに乗員が搭乗している(つまり、有人状態である)と判定する。また、乗員搭乗判定部134は、画像に顔または身体の特徴情報が含まれないと判定した場合、自車両Mに乗員が搭乗していない(つまり、無人状態である)と判定する。
乗員搭乗判定部134は、走行阻害要因認識部132により走行阻害要因が認識された場合に、自車両Mに乗員が搭乗しているか否かを判定する。具体的には、乗員搭乗判定部134は、まず、車室内カメラ70により撮像された画像を解析し、画像に顔または身体(上半身等)の特徴情報が含まれるか否かを判定する。顔または身体の特徴情報は、例えば色や形状によるパターンマッチング等により抽出することができる。そして、乗員搭乗判定部134は、画像に顔または身体の特徴情報が含まれると判定した場合に、自車両Mに乗員が搭乗している(つまり、有人状態である)と判定する。また、乗員搭乗判定部134は、画像に顔または身体の特徴情報が含まれないと判定した場合、自車両Mに乗員が搭乗していない(つまり、無人状態である)と判定する。
また、乗員搭乗判定部134は、荷重センサ75により検出されたそれぞれのシートのうち、少なくとも一つのシートの荷重値が閾値以上である場合に、自車両Mに乗員が搭乗していると判定してもよい。また、乗員搭乗判定部134は、全てのシートの荷重値が閾値未満である場合に、自車両Mに乗員が搭乗していないと判定してもよい。
また、乗員搭乗判定部134は、例えば、車室内カメラ70により撮像された画像に基づく判定結果または荷重センサ75に基づく判定結果のうち、少なくとも一方が自車両Mに乗員が搭乗していることを示す場合、有人状態であると判定してもよい。乗員搭乗判定部134は、車室内カメラ70により撮像された画像に基づく判定結果および荷重センサ75に基づく判定結果の両方を行うことで、荷物等がシート上に載っている状態で乗員が搭乗していると誤判定することを抑制し、搭乗判定の確度を向上させることができる。また、乗員搭乗判定部134は、例えば、自動運転制御装置100の記憶部(不図示)等に記憶された自車両Mの利用履歴を参照して自車両Mに乗員が搭乗しているか否かを判定してもよい。利用履歴には、例えば、日時情報に、乗員による目的地の設定情報、無人状態時における乗員の呼び止め、利用予約情報、利用実績等が対応付けられている。乗員搭乗判定部134は、利用履歴を参照して、利用予約に基づいて運転が開始された場合、または乗員に乗車させる運転制御を行った場合に、自車両Mに乗員が搭乗していると判定する。
[車外報知運転制御部の機能]
車外報知運転制御部142は、走行阻害要因認識部132により走行阻害要因が認識され、且つ、乗員搭乗判定部134により自車両Mに乗員が搭乗していないと判定された場合に、走行阻害要因に関する情報を車外に報知する運転制御を実行する。具体的には、車外報知運転制御部142は、例えば、走行阻害要因である他車両m1およびm2のうち、最も手前の位置を基準とし、その位置から第1距離D1だけ手前の位置(第1の位置)に停止する目標軌道K1を生成する。第1距離D1は、走行阻害要因の種類や規模に基づいて設定されてもよく、固定距離が設定されてもよい。
車外報知運転制御部142は、走行阻害要因認識部132により走行阻害要因が認識され、且つ、乗員搭乗判定部134により自車両Mに乗員が搭乗していないと判定された場合に、走行阻害要因に関する情報を車外に報知する運転制御を実行する。具体的には、車外報知運転制御部142は、例えば、走行阻害要因である他車両m1およびm2のうち、最も手前の位置を基準とし、その位置から第1距離D1だけ手前の位置(第1の位置)に停止する目標軌道K1を生成する。第1距離D1は、走行阻害要因の種類や規模に基づいて設定されてもよく、固定距離が設定されてもよい。
また、車外報知運転制御部142は、走行阻害要因認識部132により走行阻害要因が認識され、且つ、乗員搭乗判定部134により自車両Mに乗員が搭乗していないと判定された場合に、報知制御部180を介して車外報知部90に所定の情報を報知させる。具体的には、車外報知運転制御部142は、図3に示すように自車両Mが第1の位置で停止させた後、または第1の位置に停止させる制御を行いながらハザードランプ96を点滅させる。図3の例では、自車両Mの前端部の左右に設置されたハザードランプ96FLおよび96FRと、自車両Mの後端部の左右に設置されたハザードランプ96RLおよび96RRとを点滅させている。
また、車外報知運転制御部142は、走行阻害要因が存在する位置に接近する周辺車両に対して、車外ディスプレイ92に、停止を促す画像を表示させてもよい。図4は、車外ディスプレイ92に表示される、停止を促す画像IM1について説明するための図である。図4の例では、リアウインドシールドに車外ディスプレイ92Rが形成されているものとする。車外報知運転制御部142は、自車両Mを第1の位置に停止させた後、または停止させる制御を行いながら、車外ディスプレイ92Rに、自車両Mの後続車両(以下、自車後続車両と称する)に停止を促す画像IM1を表示させる。このように、自車両Mが無人状態である場合には、自車後続車両に対して適切な情報を報知することで、走行阻害要因の拡大を抑制することができる。
また、車外報知運転制御部142は、例えば、自車後続車両が車両車線L2を通行して走行阻害要因が存在する領域を通過することが可能であると判定された場合に、自車後続車両に通行を促す画像を車外ディスプレイ92Rに表示させてもよい。図5は、車外ディスプレイ92に表示される、通行を促す画像IM2について説明するための図である。例えば、車外報知運転制御部142は、認識部130により認識された対向車線L2に他車両が存在しておらず、且つ、対向車線L2に車両が走行するスペースが存在する場合に、自車後続車両が車線L2を通行して走行阻害要因が存在する領域の横を通過することができると判定する。そして、車外報知運転制御部142は、自車後続車両が、走行阻害要因が存在する領域の横を通過することができると判定した場合に、自車後続車両に進行を促す画像IM2を車外ディスプレイ92Rに表示させる。このように、自車両Mが無人状態である場合には、停止を促す指示を行うだけでなく、通行を促す制御も行うことで、走行阻害要因が存在する領域付近の交通整理を行うことができるため、円滑な交通を実現することができる。
なお、車外報知運転制御部142は、画像IM1およびIM2を、点滅表示させてもよく、アニメーション画像で表示させてもよい。また、車外報知運転制御部142は、車外ディスプレイ92に複数の画像を表示してもよい。また、車外報知運転制御部142は、画像表示に代えて、または加えて、車外スピーカ94により停止を促す音声を出力させてもよい。
また、車外報知運転制御部142は、走行阻害要因の存在を認識した場合に、通信装置20を介して、消防署や警察、その他のロードサービス機関に走行阻害要因に関する情報(例えば、走行阻害要因の内容、位置、状況)を通知してもよい。また、車外報知運転制御部142は、通信装置20を介して、自車両Mの所有者の通信端末に対して走行阻害要因に関する情報や、自車両Mが車外報知の運転制御を実行していることを示す情報を通知してもよい。
また、車外報知運転制御部142は、走行阻害要因が解消された場合や、消防署や警察、その他のロードサービス機関等が到着した場合に、上述した車外報知の運転制御を終了し、目的地までの運転制御に戻る。また、車外報知運転制御部142は、所有者の通信端末から車外報知の終了指示を受け付けた場合に、上述した車外報知の運転制御を終了して目的地までの運転制御に戻ってもよい。
[周辺車両同期制御部の機能]
周辺車両同期制御部144は、通信装置20により自車両Mの周辺車両と通信を行い、無人状態の周辺車両(以下、無人周辺車両と称する)が存在する場合に、無人周辺車両と同期して、車外報知に関する運転制御を行う。以下の説明において、無人周辺車両には、自車両Mの車両システム1と同様の機能が搭載されているものとする。図6は、周辺車両同期制御部144の処理について説明するための図である。周辺車両同期制御部144は、通信装置20を介して、自車後続車両と通信を行い、一以上の無人周辺車両が存在する場合に、自車両Mと無人周辺車両と同期させた運転制御を実行させる。なお、周辺車両同期制御部144は、同期させる無人周辺車両数を、走行阻害要因の規模に応じて設定してもよく、固定に設定してもよい。
周辺車両同期制御部144は、通信装置20により自車両Mの周辺車両と通信を行い、無人状態の周辺車両(以下、無人周辺車両と称する)が存在する場合に、無人周辺車両と同期して、車外報知に関する運転制御を行う。以下の説明において、無人周辺車両には、自車両Mの車両システム1と同様の機能が搭載されているものとする。図6は、周辺車両同期制御部144の処理について説明するための図である。周辺車両同期制御部144は、通信装置20を介して、自車後続車両と通信を行い、一以上の無人周辺車両が存在する場合に、自車両Mと無人周辺車両と同期させた運転制御を実行させる。なお、周辺車両同期制御部144は、同期させる無人周辺車両数を、走行阻害要因の規模に応じて設定してもよく、固定に設定してもよい。
具体的には、周辺車両同期制御部144は、自車後続車両であって、且つ無人周辺車両に対し、走行阻害要因に関する情報を送信するとともに、同期制御要求を送信する。そして、周辺車両同期制御部144は、同期制御要求に対して許可を示す情報を受信した場合に、許可を示す情報を送信した無人周辺車両に対して、同期制御情報を送信する。図6の例では、二台の無人周辺車両m3およびm4に同期制御情報を送信するものとする。
周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m3およびm4に対して、自車両Mの位置、または走行阻害要因が存在する領域を基準に、所定距離オフセットした位置で停止させるための同期制御情報を送信する。図6の例では、周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m3に対し、自車両Mから見て、自車両Mの後端位置から第2距離D2だけ後方にオフセットし、且つ自車両Mの基準点(例えば、重心G)から第3距離D3だけ道路端方向(道路幅方向;図中Y方向)にオフセットした位置で停止させる同期制御情報を送信する。
また、周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m4に対し、自車両Mから見て、無人周辺車両m3の後端位置から第4距離D4だけ後方にオフセットし、且つ無人周辺車両m3の基準点から第5距離D5だけ道路端方向にオフセットした位置で停止させる同期制御情報を送信する。第2距離D2〜第5距離D5は、走行阻害要因の種類や規模に基づいて設定されてもよく、固定距離が設定されてもよい。
更に、周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m3およびm4に対し、停止または進行を促す情報を、それぞれの車外ディスプレイ92Rから自車後続車両に表示させたり、ハザードランプ96を点滅させるための同期制御情報を送信してもよい。また、周辺車両同期制御部144は、上述した同期制御を終了させる場合に、無人周辺車両m3、m4に同期制御を終了することを示す同期制御情報を送信する。無人周辺車両m3、m4は、自車両Mから送信された同期制御情報に基づいて、車外報知に関する運転制御を開始したり、終了したりする。図6の例では、自車両Mおよび無人周辺車両m3、m4のそれぞれが、停止を促す画像IM1を車外ディスプレイ92Rに表示させている。このように、周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m3およびm4を所定位置に停車させるとともに、自車両Mと無人周辺車両m3、m4との報知内容を同期させることで、無人周辺車両m3、m4を、発炎筒や三角表示板等の周辺通知器材の代わりに利用することができ、自車後続車両に、遠い位置から走行阻害要因の存在を把握させることができる。
また、周辺車両同期制御部144は、対向車線L2を走行し、自車両Mの前方に存在する周辺車両(以下、対向車両と称する)であって、且つ無人周辺車両に対し、走行阻害要因に関する情報を送信するとともに、同期制御要求を送信してもよい。この場合、対向車両の無人周辺車両から同期制御の許可を示す情報を受信した場合に、周辺車両同期制御部144は、車線L1およびL2の交通制御を行ってもよい。図7は、周辺車両同期制御部144の交通制御の処理について説明するための図である。図7の例において、無人周辺車両m5は、同期制御の許可を示す情報を送信した対向車両である。この場合、周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m3〜m5のそれぞれに対して、所定位置に停止させるための同期制御情報と、それぞれの車外報知部90に所定の情報を報知させる同期制御情報とを送信する。
例えば、周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m4の後方の自車後続車両m6が、無人周辺車両m5に後続する車両(以下、対向後続車両と称する)m7が到着するよりも先に到着した場合、周辺車両同期制御部144は、無人周辺車両m5の車外ディスプレイ92Rに停止を促す画像IM1を表示させる同期制御情報と、無人周辺車両m3およびm4の車外ディスプレイ92Rに通行を促す画像IM2を表示させる同期制御情報とを送信する。このとき、車外報知運転制御部142は、自車両Mの車外ディスプレイ92Rに通行を促す画像IM2を表示させる。これにより、図7に示すように、対向後続車両m7を無人周辺車両m5の後方で停止させるとともに、自車後続車両m6に軌道mK1に示すような軌道を走行させて、走行阻害要因が存在する領域を通過させることができる。
そして、周辺車両同期制御部144は、自車後続車両m6が、走行阻害要因が存在する領域を通過したことを認識した場合に、車線L2を走行する対向後続車両m7を通行させるための制御を行う。図8は、対向後続車両m7を通行させるための周辺車両同期制御部144の処理について説明するための図である。周辺車両同期制御部144は、自車後続車両m6が、走行阻害要因が存在する領域を通過したことを認識した場合に、無人周辺車両m5の車外ディスプレイ92Rに通行を促す画像IM2を表示させる同期制御情報と、無人周辺車両m3およびm4の車外ディスプレイ92Rに停止を促す画像IM2を表示させる同期制御情報とを送信する。また、車外報知運転制御部142は、自車両Mの車外ディスプレイ92Rに停止を促す画像IM2を表示させる。これにより、図8に示すように、対向後続車両m7に軌道mK2に示すような軌道を走行させ、走行阻害要因が存在する領域を通過させることができる。
また、周辺車両同期制御部144は、車線ごとの渋滞状況に基づいて上述した停止および通過の報知内容の切り替えを行ってもよく、所定の時間間隔で報知内容の切り替えを行ってもよい。これにより、周辺車両同期制御部144は、一以上の無人周辺車両と連携しながら、走行阻害要因が存在する車線L1およびL2の交通整理を行い、円滑な交通を実現することができる。
なお、本実施形態において、無人周辺車両m3〜m5は、自車両Mからの同期制御情報を受信していない場合でも、無人周辺車両の認識部により自車両Mを認識することで、自車両Mとの通信を行わずに、自車両Mを基準とした所定の位置に停車する制御を行ってもよい。また、無人周辺車両m3〜m5は、停車した位置で、無人周辺車両の認識部により認識された自車両Mの車外ディスプレイ92に表示されている情報に基づいて、停止または進行を促す情報を車外ディスプレイから表示したり、ハザードランプ96を点滅する制御を行ってもよい。
なお、本実施形態において、走行阻害要因認識部132により走行阻害要因が認識され、且つ、乗員搭乗判定部134により自車両Mに乗員が搭乗していると判定された場合には、車外報知運転制御部142は、走行阻害要因に関する情報をHMI30の表示装置等に表示させるとともに、自動運転を終了し、手動運転に切り替えるための制御を行う。この場合、乗員搭乗判定部134は、乗員が搭乗していると判定された場合に、その乗員の位置や形状等に基づいて乗員が子供であるか、或いは手動運転ができない状態であるか否かを判定してもよい。そして、乗員が子供である、或いは手動運転ができない状態であると判定された場合、車外報知運転制御部142は、手動運転に切り替えるための制御を行わずに、走行阻害要因が存在する領域から充分に離れた位置に停車させる制御を行う。また、車外報知運転制御部142は、例えば、走行する道路が、片側二車線以上の広い道路であり、走行阻害要因が一車線に存在する場合には、上述した手動運転に切り替えるための制御や、停車させる制御を行わずに、自動運転のまま、走行阻害要因が存在する領域を以外の領域を走行し、走行阻害要因が存在する領域を追い越す運転制御を行ってもよい。
[処理フロー]
図9は、実施形態の自動運転制御装置100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定の周期或いは所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。また、本フローチャートの開始時には、行動計画生成部140により目標軌道が生成され、生成された目標軌道に基づいて第2制御部160により自動運転が実行されているものとする。
図9は、実施形態の自動運転制御装置100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定の周期或いは所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。また、本フローチャートの開始時には、行動計画生成部140により目標軌道が生成され、生成された目標軌道に基づいて第2制御部160により自動運転が実行されているものとする。
まず、走行阻害要因認識部132は、自車両Mの進行方向の前方に存在する走行阻害要因を認識したか否かを判定する(ステップS100)。走行阻害要因を認識した場合、乗員搭乗判定部134は、自車両Mに乗員が搭乗しているか否かを判定する(ステップS102)。自車両Mに乗員が搭乗していない場合、車外報知運転制御部142は、走行阻害要因に関する情報を車外に報知する(ステップS104)。
次に、周辺車両同期制御部144は、周辺車両と車車間通信を行って、走行阻害要因に関する情報とともに同期制御要求を送信し(ステップS106)、同期制御を許可することを示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS108)。同期制御を許可することを示す情報が受信した場合、周辺車両同期制御部144は、同期制御を許可することを示す情報を送信した無人周辺車両に対して、同期制御信号を送信する(ステップS110)。これにより、自車両Mは、無人周辺車両と連携して車外報知の制御を行うことができる。
また、ステップS102の処理において、自車両Mに乗員が搭乗している場合、車外報知運転制御部142は、例えば、自車両Mの自動運転を終了し、乗員による運転操作子80の操作によって運転制御を行う手動運転に切り替えるための制御を行う(ステップS112)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。また、ステップS100の処理において、走行阻害要因の存在を認識していない場合、またはステップS108の処理において、同期制御を許可することを示す情報を受信していない場合、本フローチャートの処理は、終了する。
上述したように、実施形態の自動運転制御装置100によれば、自車両Mの周辺状況を認識する認識部130と、認識部130により認識された周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御する運転制御部(行動計画生成部140、第2制御部160、報知制御部180)と、を備え、運転制御部は、自車両Mに乗員が搭乗しているか否かを判定し、自車両Mに乗員が搭乗していないと判定し、且つ、認識部130により自車両Mの前方で、自車両Mの進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、要因が存在する位置よりも手前の位置で、自車両Mを停止させることにより、自車両の前方に存在する走行阻害要因に対し、より適切な運転制御を行うことができる。
また、実施形態において、自車両Mは、他の無人周辺車両からの同期制御情報に基づいて、無人周辺車両m3〜m5と同様の制御を行ってもよい。この場合、周辺車両同期制御部144は、他の無人周辺車両からの同期制御情報に基づいて、停止位置や車外への報知内容を制御する。
また、実施形態において、他の無人周辺車両は、有人状態の車両であってもよい。この場合、周辺車両同期制御部144は、周辺車両に搭乗している乗員に対して、同期制御要求を通知する。そして、乗員により決定された同期制御を許可することを示す情報を受信した場合に、その周辺車両に対して同期制御情報を送信する。
[ハードウェア構成]
図10は、実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図示するように、自動運転制御装置100は、通信コントローラ100−1、CPU100−2、ワーキングメモリとして使用されるRAM100−3、ブートプログラム等を格納するROM100−4、フラッシュメモリやHDD等の記憶装置100−5、ドライブ装置100−6等が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。通信コントローラ100−1は、自動運転制御装置100以外の構成要素との通信を行う。記憶装置100−5には、CPU100−2が実行するプログラム100−5aが格納されている。このプログラムは、DMA(Direct Memory Access)コントローラ(不図示)等によってRAM100−3に展開されて、CPU100−2によって実行される。これによって、自動運転制御装置100の第1制御部120および第2制御部160のうち一部または全部が実現される。
図10は、実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図示するように、自動運転制御装置100は、通信コントローラ100−1、CPU100−2、ワーキングメモリとして使用されるRAM100−3、ブートプログラム等を格納するROM100−4、フラッシュメモリやHDD等の記憶装置100−5、ドライブ装置100−6等が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。通信コントローラ100−1は、自動運転制御装置100以外の構成要素との通信を行う。記憶装置100−5には、CPU100−2が実行するプログラム100−5aが格納されている。このプログラムは、DMA(Direct Memory Access)コントローラ(不図示)等によってRAM100−3に展開されて、CPU100−2によって実行される。これによって、自動運転制御装置100の第1制御部120および第2制御部160のうち一部または全部が実現される。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
自車両の周辺状況を認識し、
認識された前記周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御し、
前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、
ように構成されている、車両制御装置。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
自車両の周辺状況を認識し、
認識された前記周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御し、
前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、
ように構成されている、車両制御装置。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
1…車両システム、10…カメラ、12…レーダ装置、14…ファインダ、16…物体認識装置、20…通信装置、30…HMI、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、60…MPU、70…車室内カメラ、75…荷重センサ、80…運転操作子、90…車外報知部、100…自動運転制御装置、120…第1制御部、130…認識部、132…走行阻害要因認識部、134…乗員搭乗判定部、140…行動計画生成部、142…車外報知運転制御部、144…周辺車両同期制御部、160…第2制御部、180…報知制御部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置、M…自車両
Claims (11)
- 自車両の周辺状況を認識する認識部と、
前記認識部により認識された周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御する運転制御部と、を備え、
前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、
車両制御装置。 - 前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定され、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記自車両の後方の周辺車両を、前記自車両から所定距離オフセットした位置に停止させる、
請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記自車両の周辺車両と通信を行う通信装置を更に備え、
前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定され、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記通信装置により前記自車両の後方の周辺車両と通信を行い、前記自車両から所定距離オフセットした位置に停止させる、
請求項2に記載の車両制御装置。 - 前記運転制御部は、前記要因が存在する位置に接近する周辺車両に対して、前記要因に関する情報を通知する、
請求項2または3に記載の車両制御装置。 - 前記運転制御部は、前記自車両の後方から前記要因が存在する位置に接近する自車後続車両に、停止または進行を促す情報を報知する、
請求項4に記載の車両制御装置。 - 前記運転制御部は、前記自車両から所定距離オフセットした位置に停止させた周辺車両に対し、停止または進行を促す情報を、前記自車後続車両に報知させる、
請求項5に記載の車両制御装置。 - 前記運転制御部は、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定され、且つ、前記認識部により前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記自車両の前方に存在し、且つ、前記自車両が走行する車線の対向車線を走行する対向車両を所定位置で停止させる、
請求項2から6のうち何れか1項に記載の車両制御装置。 - 前記運転制御部は、前記対向車両に、停止または進行を促す情報を、前記対向車両に後続する対向後続車両に報知させる、
請求項7に記載の車両制御装置。 - 前記運転制御部は、
進行を促す情報を前記自車両の後方から前記要因が存在する位置に接近する自車後続車両に報知する場合に、前記対向車両に停止を促す情報を前記対向後続車両に報知させ、
停止を促す情報を前記自車後続車両に報知する場合に、前記対向車両に進行を促す情報を前記対向後続車両に報知させる、
請求項8に記載の車両制御装置。 - 車両制御装置が、
自車両の周辺状況を認識し、
認識された前記周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御し、
前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、
車両制御方法。 - 車両制御装置に、
自車両の周辺状況を認識し、
認識された前記周辺状況に基づいて、前記自車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御し、
前記自車両に乗員が搭乗しているか否かを判定し、前記自車両に乗員が搭乗していないと判定し、且つ、前記自車両の前方で、前記自車両の進行方向の交通を阻害する要因が認識された場合に、前記要因が存在する位置よりも手前の位置で、前記自車両を停止させる、
プログラム。
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