以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。また、各図は例示であるため、互いに整合していないこともある。
1.第1実施形態:
図1は、本実施形態にかかる画像読取装置1の構成の一部分を簡易的に示している。
また、図6は、後述の搬送部や搬送経路を含む画像読取装置1の構成を簡易的に示している。図6は、第1実施形態および後述の第2実施形態に共通の構成である。画像読取装置1は、原稿の両面を同時に読み取り可能な装置である。原稿の両面を同時に読み取るとは、原稿の一方の面を読み取る期間と原稿の他方の面を読み取る期間とが一致している場合だけでなく、原稿の一方の面を読み取る期間と原稿の他方の面を読み取る期間との一部が重なる場合を含む意味である。原稿の一方の面を第1面とも呼び、原稿の他方の面を第2面とも呼ぶ。
画像読取装置1は、搬送部30を備える。搬送部30は、図6に示すように原稿70を所定の搬送方向FDに沿って搬送するための機構である。搬送部30は、例えば、原稿を搬送するためのローラー32やベルト、ローラー32やベルトを回転させるためのモーター31等を適宜含んでいる。搬送部30によって搬送中の原稿が静止している第1センサー15および第2センサー25によって読み取られる。従って、画像読取装置1は、シートフィードスキャナーに該当する。
画像読取装置1は、原稿の第1面を読み取るための第1センサー15と、原稿の第1面を照射する第1光源17とを備える。第1センサー15は、例えば、複数の撮像素子が搬送方向FDと直交する方向に並んだラインセンサーである。本明細書において、直交とは、厳密な直交だけでなく、実際の部品取り付け精度等に起因して生じる程度の誤差を含む意味である。第1センサー15は、第1光源17が照射する原稿の第1面からの反射光を受光して光電変換した信号を出力する。第1センサー15は、各撮像素子による一度の読み取り動作で、原稿の第1面上の搬送方向と直交する一ラインを読み取る。
画像読取装置1は、原稿の第2面を読み取るための第2センサー25と、原稿の第2面を照射する第2光源27とを備える。第2センサー25は、第1センサー15と同様の構成であり、例えばラインセンサーである。第1センサー15と第2センサー25とは、搬送方向FDに沿って搬送される原稿が通過する搬送経路60を挟んで相対する位置に設けられている。第2センサー25は、第2光源27が照射する原稿の第2面からの反射光を受光して光電変換した信号を出力する。第2センサー25は、各撮像素子による一度の読み取り動作で、原稿の第2面上の搬送方向と直交する一ラインを読み取る。第1光源17および第2光源27は、それぞれ、例えばLEDである。
画像読取装置1は、第1センサー15による読み取りと、第1光源17の点灯、消灯とを制御する第1制御回路10を備える。第1制御回路10は、CPUや、ROMや、RAMを有する一つ以上のICや、その他の各種回路素子を含んで構成された電子回路である。第1制御回路10は、SoC(System on Chip)化された半導体チップであってもよい。第1制御回路10では、第1制御回路10を構成するハードウェアが、あるいはハードウェアがプログラムと協働することにより、第1クロック生成部11、第1管理部12、第1画像処理部13、搬送制御部18といった各機能を実現する。
第1クロック生成部11は、クロック信号を生成可能な第1クロック回路に該当する。第1クロック生成部11が生成するクロック信号を、第1クロック信号とも呼ぶ。ただし、第1クロック生成部11が生成するクロック信号そのものだけでなく、第1クロック生成部11が生成するクロック信号に基づいて派生したクロック信号も第1クロック信号の概念に含める。第1管理部12は、第1アナログフロントエンド(AFE)14を介して第1センサー15と接続している。第1AFE14は、第1センサー15とデジタル回路としての第1制御回路10とを結ぶアナログ回路であり、アンプ、各種フィルター、アナログ/デジタルコンバーター等を含む。また、第1管理部12は、第1光源駆動回路16を介して第1光源17と接続している。第1光源駆動回路16は、第1制御回路10からの信号に応じて第1光源17を駆動させるための回路である。
第1画像処理部13は、第1センサー15から出力される読取結果としての信号を、第1AFE14を介して入力する。第1画像処理部13は、第1センサー15から出力された信号に対する補正処理(例えば、シェーディング補正)や、メモリーへの保存処理や、変換処理や、第1制御回路10外の制御回路80(図6参照)への転送処理等の、各種画像処理を実行する。搬送制御部18は、搬送部30を構成するモーター31等の駆動を制御することにより、搬送部30に原稿の搬送を実現させる。
画像読取装置1は、第2センサー25による読み取りと、第2光源27の点灯、消灯とを制御する第2制御回路20を備える。第2制御回路20は、CPUや、ROMや、RAMを有する一つ以上のICや、その他の各種回路素子を含んで構成されており、第1制御回路10とは別の電子回路である。第1制御回路10と同様に、第2制御回路20はSoC化された半導体チップであってもよい。第2制御回路20では、第2制御回路20を構成するハードウェアが、あるいはハードウェアがプログラムと協働することにより、第2クロック生成部21、第2管理部22、第2画像処理部23といった各機能を実現する。望ましくは、第1制御回路10と第2制御回路20とは、同型のSoCチップとする。これによって製造コストを低下させることができる。
第2クロック生成部21は、クロック信号を生成可能な第2クロック回路に該当する。第2クロック生成部21が生成するクロック信号を、第2クロック信号とも呼ぶ。ただし本実施形態では、第2クロック生成部21は、第2クロック信号を生成する必要はない。
第2管理部22は、第2AFE24を介して第2センサー25と接続している。第2AFE24についての説明は、第1AFE14についての前記説明を準用する。また、第2管理部22は、第2光源駆動回路26を介して第2光源27と接続している。第2光源駆動回路26は、第2制御回路20からの信号に応じて第2光源27を駆動させるための回路である。第2画像処理部23は、第2センサー25から出力される読取結果としての信号を、第2AFE24を介して入力する。第1画像処理部13と同様に、第2画像処理部23は、第2センサー25から出力された信号に対する各種画像処理を実行する。
図1の例では、第1AFE14および第1光源駆動回路16を、第1制御回路10の外部の構成として図示し、同様に、第2AFE24および第2光源駆動回路26を、第2制御回路20の外部の構成として図示している。しかし、第1制御回路10は、第1AFE14や第1光源駆動回路16を含む構成であってもよいし、同様に、第2制御回路20は、第2AFE24や第2光源駆動回路26を含む構成であってもよい。図6では、第1AFE14や第1光源駆動回路16は、第1制御回路10に含まれており、同様に、第2AFE24や第2光源駆動回路26は、第2制御回路20に含まれているとする。
画像読取装置1は、スキャナーとして一般的な構成を適宜含む。図1では示していないが、画像読取装置1は、原稿の第1面、第2面それぞれからの反射光を第1センサー15、第2センサー25へ導くための光学系を当然有する。また、画像読取装置1は、ユーザーによる操作を受け付けるための操作受付部や、ユーザーに対して各種情報を視認可能に提示するための表示部等を備えるとしてもよい。また、画像読取装置1は、スキャナーとしての機能に加え、印刷機能やファクシミリ通信機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機であってもよい。図6に示した制御回路80は、このような印刷機能やファクシミリ通信機能等を司る制御回路であってもよい。
図2は、第1制御回路10および第2制御回路20がそれぞれ発生させる信号の関係を示すタイミングチャートである。
クロック信号CK‐1は、第1制御回路10の第1クロック生成部11が生成して第1管理部12の端子12dに向けて出力するパルス信号である。第1クロック生成部11は、搬送部30が搬送する原稿の先端が、搬送経路60における所定位置を通過したことを契機として、クロック信号CK‐1の生成および出力を開始する。具体的には、搬送部30は、搬送経路60における第1センサー15および第2センサー25が配設された位置よりも搬送方向上流側の所定位置に、原稿を検知する原稿検知センサー33を備えている。搬送制御部18は、原稿検知センサー33からの出力の変化により、搬送部30が搬送している原稿の先端が前記所定位置を通過したことを把握し、原稿の先端が前記所定位置を通過したことを第1クロック生成部11へ通知する。第1クロック生成部11は、搬送制御部18からの前記通知に応じて、クロック信号CK‐1の生成および出力を開始する。パルスの立ち上がりと立ち下がりを定期的に繰り返すクロック信号CK‐1におけるパルスの立ち上がりの周期は、第1センサー15によるライン単位の読み取りの周期にほぼ相当する。
端子12dからクロック信号CK‐1を入力する第1管理部12は、クロック信号CK‐1のパルスの立ち上がりを検知し、クロック信号CK‐1のパルスの立ち上がりのタイミングで、クロック検知信号CK‐R1を発生させる。図2では、クロック検知信号CK‐R1の発生タイミングを、上向きの矢印で示している。クロック検知信号CK‐R1は、クロック信号CK‐1のパルスの立ち上がりのタイミングを抽出した信号であるため、クロック信号CK‐1とクロック検知信号CK‐R1とは、実質的に同一の信号と解釈してもよい。
第1管理部12は、クロック検知信号CK‐R1の発生を基準にして、センサー制御信号ST‐1、発光制御信号LT‐1、クロック信号CK‐12を夫々発生させる。センサー制御信号ST‐1は、ライン単位の読み取りにおけるライン毎の先頭の読み取りタイミングを第1センサー15へ指示する信号である。ライン毎の先頭の読み取りタイミングとは、ラインセンサーとしての第1センサー15が備える複数の撮像素子のうちラインセンサーの最も一端側に在る撮像素子に読み取りを開始させるタイミングである。第1管理部12は、センサー制御信号ST‐1を、端子12aから第1AFE14に向けて出力する。センサー制御信号ST‐1は、第1AFE14を介して第1センサー15に通知されるため、第1センサー15は、ライン毎の先頭の読み取りタイミングを、センサー制御信号ST‐1のパルスの立ち上がり合わせて、一ライン毎の読み取りを繰り返し実行することができる。
発光制御信号LT‐1は、第1センサー15によるライン単位の読み取りに合わせた発光を第1光源17に実行させるための信号である。第1管理部12は、発光制御信号LT‐1を、端子12bから第1光源駆動回路16に向けて出力する。第1光源17および第2光源27がLEDである場合、第1光源17および第2光源27はそれぞれ、PWM(Pulse Width Modulation)により点灯と消灯との比率が制御されることにより所定の明るさで発光する。発光制御信号LT‐1は、このように第1光源17の明るさを調整するためのPWM信号を含んでいるため、実際には図2に示した形状よりも複雑な形状であるが、図2では発光制御信号LT‐1を簡易な形状で示している。第1光源駆動回路16が発光制御信号LT‐1に従って第1光源17を駆動させることで、第1センサー15によるライン単位の読み取りの期間に対応した期間に、第1光源17が所定の明るさで発光する。
このように第1制御回路10の第1管理部12は、第1クロック生成部11が生成したクロック信号CK‐1に同期したセンサー制御信号ST‐1に基づいて第1センサー15による読み取りを制御し、且つ、クロック信号CK‐1に同期した発光制御信号LT‐1に基づいて第1光源17を制御する。
クロック信号CK‐12は、第1制御回路10から第2制御回路20へ送信されるクロック信号である。第1管理部12は、クロック信号CK‐12を、端子12cから第2管理部22に向けて出力する。第1管理部12の端子12cと第2管理部22の端子22dとは、クロック信号線40により接続されている。これにより、第2管理部22は、第2クロック生成部21からではなく、第1制御部10から制御タイミングの基準となるクロック信号CK‐12を入力する。なお、図6では、クロック信号線40の記載を省略している。
端子22dからクロック信号CK‐12を入力する第2管理部22は、クロック信号CK‐12のパルスの立ち上がりを検知し、クロック信号CK‐12のパルスの立ち上がりのタイミングで、クロック検知信号CK‐R2を発生させる。図2では、クロック検知信号CK‐R2の発生タイミングを、上向きの矢印で示している。クロック検知信号CK‐R2は、クロック信号CK‐12のパルスの立ち上がりのタイミングを抽出した信号であるため、クロック信号CK‐12とクロック検知信号CK‐R2とは実質的に同一の信号と解釈してもよい。また、クロック信号CK‐12は、クロック信号線40を通じて第1管理部12から第2管理部22へ送信される分、第2管理部22に入力された時点で、クロック検知信号CK‐R1に対して若干遅延しているが、第1管理部12によりクロック検知信号CK‐R1に同期して生成された信号である。従って、クロック信号線40を通じて第1管理部12から第2管理部22へクロック信号CK‐12が送信されたことをもって、第1制御回路10の第1クロック生成部11が生成した第1クロック信号(クロック信号CK‐1)が、第2制御回路20へ送信されたと言える。
第2管理部22は、クロック検知信号CK‐R2の発生を基準にして、センサー制御信号ST‐2、発光制御信号LT‐2を夫々発生させる。センサー制御信号ST‐2および発光制御信号LT‐2の説明は、センサー制御信号ST‐1および発光制御信号LT‐1の説明を準用する。つまり、センサー制御信号ST‐2は、ライン単位の読み取りにおけるライン毎の先頭の読み取りタイミングを第2センサー25へ指示する信号である。第2管理部22は、センサー制御信号ST‐2を、端子22aから第2AFE24に向けて出力する。センサー制御信号ST‐2は、第2AFE24を介して第2センサー25に通知され、第2センサー25は、ライン毎の先頭の読み取りタイミングを、センサー制御信号ST‐2のパルスの立ち上がり合わせて、一ライン毎の読み取りを繰り返し実行する。
発光制御信号LT‐2は、第2センサー25によるライン単位の読み取りに合わせた発光を第2光源27に実行させるための信号である。第2管理部22は、発光制御信号LT‐2を、端子22bから第2光源駆動回路26に向けて出力する。第2光源駆動回路26が発光制御信号LT‐2に従って第2光源27を駆動させることで、第2センサー25によるライン単位の読み取りの期間に対応した期間に、第2光源27が所定の明るさで発光する。
このように第2制御回路20の第2管理部22は、第1制御回路10の第1クロック生成部11が生成したクロック信号CK‐1に同期したセンサー制御信号ST‐2に基づいて第2センサー25による読み取りを制御し、且つ、クロック信号CK‐1に同期した発光制御信号LT‐2に基づいて第2光源27を制御する。
図1から理解できるように、第1制御回路10と第2制御回路20とは、ほぼ同じハードウェア構成を有しており、第2管理部22は、第1管理部12の端子12cに相当する端子22cを有しているが、本実施形態では、第2管理部22の端子22cは特には使用されない。
第1制御部10は、クロック信号線40を通じてクロック信号CK‐12を第2制御部20へ送信する構成に替えて、第1クロック生成部11が生成したクロック信号CK‐1そのものを、クロック信号線40を通じて第2制御部20へ送信するとしてもよい。その場合、第2制御部20の第2管理部22は、クロック信号線40を通じて入力したクロック信号CK‐1に基づいて、クロック検知信号CK‐R2を発生させる。
このように本実施形態によれば、画像読取装置1は、原稿の第1面を読み取る第1センサー15と、第1センサー15からの出力に対して画像処理を行う第1制御回路10と、原稿の第1面の逆側の面である第2面を読み取る第2センサー25と、第1制御回路10とは別の回路であって第2センサー25からの出力に対して画像処理を行う第2制御回路20と、を備える。第1制御回路10は、第1クロック信号を生成可能な第1クロック回路(第1クロック生成部11)を備え、第2制御回路20は、第2クロック信号を生成可能な第2クロック回路(第2クロック生成部21)を備える。さらに、画像読取装置1は、第1クロック信号を第1制御回路10から第2制御回路20へ送信するクロック信号線40を備える。そして、第1制御回路10は、第1クロック信号に同期して第1センサー15による読み取りを制御し、第2制御回路20は、第1制御回路10から送信された第1クロック信号に同期して第2センサー25による読み取りを制御する。
また、本実施形態によれば、画像読取装置1は、原稿の第1面を照射する第1光源17と、第1面を読み取る第1センサー15と、第1光源17の点灯と消灯とを制御する第1制御回路10と、原稿の第1面の逆側の面である第2面を照射する第2光源27と、第2面を読み取る第2センサー25と、第1制御回路10とは別の回路であって第2光源27の点灯と消灯とを制御する第2制御回路20と、を備える。第1制御回路10は、第1クロック信号を生成可能な第1クロック回路(第1クロック生成部11)を備え、第2制御回路20は、第2クロック信号を生成可能な第2クロック回路(第2クロック生成部21)を備える。さらに、画像読取装置1は、第1クロック信号を第1制御回路10から第2制御回路20へ送信するクロック信号線40を備える。そして、第1制御回路10は、第1クロック信号に同期して第1光源17を制御し、第2制御回路20は、第1制御回路10から送信された第1クロック信号に同期して第2光源27を制御する。
すなわち、原稿の両面(第1面および第2面)を読み取る画像読取装置において、第1面の読み取りに必要なセンサーや光源や第1面の読取結果に対する画像処理を制御するSoC等の制御回路(第1制御回路10)と、第2面の読み取りに必要なセンサーや光源や第2面の読取結果に対する画像処理を制御するSoC等の制御回路(第2制御回路20)とを、別々に設けた。これにより、前記文献1のように原稿の両面読み取りを一つの両面読み取り制御部で処理する構成と比較して、原稿の両面読み取りに関する処理を高速化することができる。
また、第1制御回路10と第2制御回路20とを別々に設けただけでは、第1制御回路10と第2制御回路20とが夫々独自のタイミングで処理を実行し、第1制御回路10による処理と、第2制御回路20による処理とが同期しないという課題が残る。このような課題に対して本実施形態では、第1制御回路10は、自身が有する第1クロック生成部11が生成した第1クロック信号を基準にして第1センサー15による読み取りのタイミングや、第1光源17による発光(点灯、消灯の繰り返しによる発光)のタイミングを制御する。一方、第2制御回路20は、第1制御回路10の第1クロック生成部11が生成した第1クロック信号を基準にして第2センサー25による読み取りのタイミングや、第2光源27による発光(点灯、消灯の繰り返しによる発光)のタイミングを制御する。これにより、第1面の照射や読み取りや読取結果に対する画像処理と、第2面の照射や読み取りや読取結果に対する画像処理との高い同期性が確保され、より一層の前記高速化が実現される。
また、本実施形態のように、第1制御回路10による処理と、第2制御回路20による処理との同期性が確保されることで、第1面、第2面それぞれに対する読取結果の画質も安定する。仮に、前記同期性が確保されていない場合、第1センサー15が第1面の一ラインを読み取るために第1光源17が発光する期間と、第2センサー25が第2面の一ラインを読み取るために第2光源27が発光する期間とが互いにずれて発生する。その場合、第1センサー15が第1面の一ラインを読み取るときの明るさと、第2センサー25が第2面の一ラインを読み取るときの明るさとがばらつき、第1面、第2面それぞれのライン毎の読取結果の画質(明るさ等)がばらついてしまう。一方、本実施形態によれば、前記同期性が確保されることで、第1センサー15が第1面の一ラインを読み取るために第1光源17が発光する期間と、第2センサー25が第2面の一ラインを読み取るために第2光源27が発光する期間とがほぼ一致する。そのため、第1センサー15が第1面の一ラインを読み取るときの明るさ、および、第2センサー25が第2面の一ラインを読み取るときの明るさはいずれのラインでも同程度となり、第1面、第2面それぞれのライン毎の読取結果の画質が安定する。
2.第2実施形態:
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、これまでに説明した実施形態(第1実施形態)を前提としている。
図3は、第2実施形態にかかる画像読取装置1の構成の一部分を簡易的に示している。図3を図1と比較すると、図3の例では、第1制御回路10は、第1設定制御部19を含んでおり、第2制御回路20は、第2設定制御部29を含んでいる。図3では、紙面の都合上、搬送部30の記載を省略しているが、第1実施形態と同様に、第2実施形態においても画像読取装置1は搬送部30を備えている。
第1設定制御部19は、原稿の第1面のライン毎の読み取りに関する各種設定を実行するモジュールであり、同様に、第2設定制御部29は、原稿の第2面のライン毎の読み取りに関する各種設定を実行するモジュールである。例えば、第1光源17および第2光源27は、原稿の読み取り対象のラインの切り替えに合わせて、発光色を、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の順で切り替えて原稿を照射する。つまり、原稿の三ライン分の読み取りで、光源の発光色がR、G、Bと切り替わり、このような切り替わりが繰り返される。
第1設定制御部19は、第1面のライン毎の読み取りに応じて第1光源17が切り替える発光色RGBそれぞれの発光度合に関する調光パラメーターを設定し、当該設定を第1管理部12へ指示する。この結果、第1管理部12から第1光源17に対する前記PWM信号に第1設定制御部19による設定が反映され、第1光源17による発光色RGBそれぞれの発光度合が適正化される。同様に、第2設定制御部29は、第2面のライン毎の読み取りに応じて第2光源27が切り替える発光色RGBそれぞれの発光度合に関する調光パラメーターを設定し、当該設定を第2管理部22へ指示する。この結果、第2管理部22から第2光源27に対する前記PWM信号に第2設定制御部29による設定が反映され、第2光源27による発光色RGBそれぞれの発光度合が適正化される。
第2実施形態では、第1管理部12から、第1設定制御部19および第2設定制御部29に向けて、第1設定制御部19および第2設定制御部29の上述の機能を有効化させる所定のタイミング信号TI‐1を出力する。具体的には、第1管理部12は、搬送部30による搬送中の原稿が上述の原稿検知センサー33によって検知されている期間に、端子12eから所定のハイレベル信号としてのタイミング信号TI‐1を出力する。搬送制御部18は、原稿検知センサー33からの出力に基づいて、原稿検知センサー33が原稿を現在検知しているか否かを把握しているため、原稿検知センサー33が原稿を検知している(原稿が前記搬送方向上流側の所定位置を通過中である)旨を第1管理部12へ通知する。従って、第1管理部12は、原稿検知センサー33によって原稿が検知されている期間に、端子12eからタイミング信号TI‐1を出力することができる。
第1管理部12は、タイミング信号TI‐1を、端子12eから第1制御回路10の外部へ出力する。図3に示すように、端子12eから第1制御回路10の外部へ延出した信号線は、途中に回路50を介在させた上で、第1設定制御部19の端子19aに接続する信号線と第2設定制御部29の端子29aに接続する信号線とが分岐する分岐点に接続している。なお、この分岐点から端子19aまでの配線距離と分岐点から端子29aまでの配線距離とは同一とする。これらの配線距離が同一とは、これらの配線距離の差が、第1クロック信号の1クロックで信号が伝わる距離よりも短いことを意味する。
従って、第1管理部12の端子12eから出力されたタイミング信号TI‐1は、一旦、第1制御回路10の外部かつ第2制御回路20の外部へ出力され、回路50を通過した上で前記分岐点で第1制御回路10側および第2制御回路20側それぞれに伝送される。前記分岐点を通過して第1制御回路10内へ入ったタイミング信号TI‐1は、端子19aから第1設定制御部19へ入力する。一方、前記分岐点を通過して第2制御回路20内へ入ったタイミング信号TI‐1は、端子29aから第2設定制御部29へ入力する。
回路50は、第1制御回路10の外部かつ第2制御回路20の外部において、端子12eと前記分岐点との間に介在しており、抵抗RおよびコンデンサーCを含む遅延回路である。回路50に含まれる抵抗RおよびコンデンサーCは、第1管理部12から第2設定制御部29へタイミング信号TI‐1を送信するための信号線において設計上、意図的に搭載された素子であってもよいし、第1管理部12から第2設定制御部29へタイミング信号TI‐1を送信するための信号線に潜在的に存在する抵抗(配線抵抗)や寄生容量と捉えてもよい。
いずれにしても、第1管理部12から第2設定制御部29へタイミング信号TI‐1を送信するには、第1制御回路10の外部へ出る信号線を用いる必要がある。そして、第1管理部12から出力されたタイミング信号TI‐1は、第1制御回路10の外部へ出る信号線を通過する過程で、回路50(抵抗R、コンデンサーC)の影響により第2設定制御部29への到達が幾らか遅延する。一方、第1管理部12から第1設定制御部19へタイミング信号TI‐1を送信する場合は、第1制御回路10内でタイミング信号TI‐1の送信を完結することが可能であり、第1制御回路10の外部へ出る信号線を用いる必要は無い。ただし、第1管理部12から第2設定制御部29へ到達するタイミング信号TI‐1が、第1管理部12から第1設定制御部19へ到達するタイミング信号TI‐1に対して遅延すると、第1設定制御部19を含む第1制御回路10の動きと、第2設定制御部29を含む第2制御回路20の動きとの同期性が保たれない。
そこで第2実施形態では、第1制御回路10は、タイミング信号TI‐1を第1制御回路10外へ出力する第1出力端子(端子12e)と、第1制御回路10外からタイミング信号TI‐1を入力する第1入力端子(端子19a)とを備え、第2制御回路20は、タイミング信号TI‐1を入力する第2入力端子(端子29a)を備え、第1出力端子(端子12e)は、第1入力端子(端子19a)と第2入力端子(端子29a)とに分岐して接続される構成としている。そして、第1制御回路10は、第1入力端子(端子19a)から入力されたタイミング信号TI‐1に応じて上述の制御を行い、第2制御回路20は、第2入力端子(端子29a)から入力されたタイミング信号TI‐1に応じて上述の制御を行う。このような構成により、第1制御回路10が出力し、第1制御回路10および第2制御回路20がそれぞれ入力するタイミング信号TI‐1は、同じように遅延するため、結果として、タイミング信号TI‐1に応じた第1制御回路10による処理とタイミング信号TI‐1に応じた第2制御回路20による処理との同期性が確保される。
第1管理部12の端子12eと、第1設定制御部19の端子19aおよび第2設定制御部29の端子29aとの間の信号線(回路50を含む信号線)を、便宜上、第2信号線とも呼ぶ。なお、第2管理部22は、第1管理部12の端子12eに相当する端子22eを構成上有しているが、本実施形態では、第2管理部22の端子22eは特には使用されない。図6では、第2信号線の記載を省略している。
図4および図5を用いて第2実施形態を更に説明する。
図4および図5は、第2実施形態において第1制御回路10および第2制御回路20がそれぞれ発生させる信号の関係を示すタイミングチャートである。図4と図5とは、大部分で共通している。
図4,5に示すクロック検知信号CK‐R1およびクロック検知信号CK‐R2は、第1実施形態で説明した通りである。また、図4,5では、図3に示した構成において第1設定制御部19および第2設定制御部29が第2信号線を通じて同時に入力するタイミング信号TI‐1として、タイミング信号TI‐1(D)、タイミング信号TI‐1(ND)を示している。タイミング信号TI‐1に付した(D)は、第2管理部22が発生させるクロック検知信号CK‐R2と比較して相対的に遅延が大きいタイミング信号TI‐1を意味し、(ND)は、(D)の場合よりも遅延が少ないタイミング信号TI‐1を意味している。
第2管理部22が発生させるクロック検知信号CK‐R2は、上述したように、第1制御回路10から第1制御回路10外部のクロック信号線40を通じて第2制御回路20へ送信されるクロック信号CK‐12に基づく信号である。クロック信号線40を通過する以上、クロック信号CK‐12も第2制御回路20へ到達するまでに幾らか遅延する。クロック信号線40を通るクロック信号CK‐12、第1管理部12の端子12eから第2信号線を通じて第2制御回路20に入力されるタイミング信号TI‐1、の各々がどの程度遅延するかは、クロック信号線40、第2信号線それぞれの配線抵抗等の特性に起因する。そのため、タイミング信号TI‐1(D)が示すように、第1設定制御部19および第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1(所定のハイレベル信号としてのタイミング信号TI‐1)を入力するタイミングが、第2管理部22が発生させた所定回数目のクロック検知信号CK‐R2(図4,5の例では、左から2番目のクロック検知信号CK‐R2)より遅い場合もあれば、タイミング信号TI‐1(ND)が示すように、第1設定制御部19および第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力するタイミングが、前記所定回数目のクロック検知信号CK‐R2より早い場合もある。
第1設定制御部19および第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力するタイミングが、タイミング信号TI‐1(D)のようになるか、タイミング信号TI‐1(ND)のようになるかは、画像読取装置1の設計上、第2信号線における回路50の設定(抵抗RやコンデンサーCの設定)を調整することで事前に決めることが出来る。従って、図4は、第1設定制御部19および第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力するタイミングが、実線のタイミング信号TI‐1(D)が示す態様となる場合のチャートである。一方、図5は、第1設定制御部19および第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力するタイミングが、実線のタイミング信号TI‐1(ND)が示す態様となる場合のチャートである。図4においては、タイミング信号TI‐1(D)との比較のためにタイミング信号TI‐1(ND)を破線で示しており、逆に図5においては、タイミング信号TI‐1(ND)との比較のためにタイミング信号TI‐1(D)を破線で示している。
図4に基づいて、第1管理部12による処理を説明する。第1管理部12は、クロック検知信号CK‐R1を発生させて以降、クロック検知信号CK‐R1の発生のタイミング毎に、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力した状態である場合に、所定のハイレベル信号としてのイネーブル調整信号SYNC‐1を発生させる。図4の例によれば、第1管理部12は、左から3番目のクロック検知信号CK‐R1のタイミングで、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力した状態であると判定できるため(破線の矢印A1参照)、当該判定に応じてイネーブル調整信号SYNC‐1を発生させる(破線の矢印A2参照)。
第1管理部12は、イネーブル調整信号SYNC‐1を発生させた後のN個目のクロック検知信号CK‐R1の発生のタイミングで、所定のハイレベル信号としてのイネーブル信号ENA‐1を発生させる(破線の矢印A3参照)。Nは、予め設定された数であり、一例としてN=1とする。Nを、第1クロック数とも呼ぶ。第1管理部12は、イネーブル信号ENA‐1を発生させた後も、クロック検知信号CK‐R1の発生のタイミング毎に、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力していない状態である場合に、イネーブル調整信号SYNC‐1の発生を停止する。図4の例によれば、第1管理部12は、左から9番目のクロック検知信号CK‐R1のタイミングで、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力していないと判定できるため(破線の矢印A4参照)、当該判定に応じてイネーブル調整信号SYNC‐1を停止する(破線の矢印A5参照)。そして、第1管理部12は、イネーブル調整信号SYNC‐1を停止させた後のN個目(N=1)のクロック検知信号CK‐R1の発生のタイミングで、イネーブル信号ENA‐1の発生を停止する(破線の矢印A6参照)。
イネーブル信号ENA‐1は、第1管理部12が第1センサー15による読み取りおよび第1光源17の発光を許可する期間を示している。つまり、第1管理部12内では、第1センサー15に向けたセンサー制御信号ST‐1を生成し端子12aから出力するモジュールや、第1光源17に向けた発光制御信号LT‐1を生成し端子12bから出力するモジュールに対して、イネーブル信号ENA‐1が通知され、これらモジュールは、イネーブル信号ENA‐1が発生する期間に限って、図2で示したようにセンサー制御信号ST‐1や発光制御信号LT‐1を出力する。これにより、イネーブル信号ENA‐1が発生する期間に限って、第1光源17の発光および第1センサー15による読み取りが、ライン単位で繰り返し実行される。
イネーブル信号ENA‐1が発生する期間は、搬送部30による搬送中の原稿が搬送経路60における第1センサー15の配設位置を通過する期間にほぼ相当する必要がある。第1制御回路10では、第1クロック数Nを予め設定しておくことで、イネーブル信号ENA‐1の発生期間が、原稿が第1センサー15の配設位置を通過する期間を含むようにしている。上述したように、第1管理部12は、搬送部30による搬送中の原稿が原稿検知センサー33によって検知されている期間に、端子12eから第1設定制御部19および第2設定制御部29に向けてタイミング信号TI‐1を出力する。原稿検知センサー33は、第1センサー15および第2センサー25よりも搬送方向上流側に位置するため、原稿が原稿検知センサー33によって検知される期間と、原稿が第1センサー15および第2センサー25の配設位置を通過する期間とには時間差が生じる。この時間差は、搬送経路60における原稿検知センサー33と第1センサー15および第2センサー25との距離や、搬送部30による原稿の搬送速度等に起因して決まる。そこで、第1制御回路10においては、前記時間差や、第1設定制御部19および第2設定制御部29が入力するタイミング信号TI‐1の遅延の程度(例えば、タイミング信号TI‐1(D)、タイミング信号TI‐1(ND)のいずれであるか)、に基づいて第1クロック数Nを適切な値に予め設定しておくことで、結果的にイネーブル信号ENA‐1の発生期間が、原稿が第1センサー15の配設位置を通過する期間を含むようにしている。この結果、第1管理部12は、イネーブル信号ENA‐1が発生する期間に限って、第1光源17の発光および第1センサー15による読み取りを制御することにより、原稿の第1面の読取結果を取得することができる。
図4に基づいて、第2管理部22による処理を説明する。第2管理部22は、クロック検知信号CK‐R2を発生させて以降、クロック検知信号CK‐R2の発生のタイミング毎に、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態である場合に、所定のハイレベル信号としてのイネーブル調整信号SYNC‐2を発生させる。図4の例によれば、第2管理部22は、左から3番目のクロック検知信号CK‐R2のタイミングで、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態であると判定できるため(破線の矢印A7参照)、当該判定に応じてイネーブル調整信号SYNC‐2を発生させる(破線の矢印A8参照)。
第2管理部22は、イネーブル調整信号SYNC‐2を発生させた後のM個目のクロック検知信号CK‐R2の発生のタイミングで、所定のハイレベル信号としてのイネーブル信号ENA‐2を発生させる(破線の矢印A9参照)。Mは、予め設定された数であり、図4の例ではM=1とする。Mを、便宜上、第2クロック数とも呼ぶ。第2管理部22は、イネーブル信号ENA‐2を発生させた後も、クロック検知信号CK‐R2の発生のタイミング毎に、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力していない状態である場合に、イネーブル調整信号SYNC‐2の発生を停止する。図4の例によれば、第2管理部22は、左から9番目のクロック検知信号CK‐R2のタイミングで、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力していないと判定できるため(破線の矢印A10参照)、当該判定に応じてイネーブル調整信号SYNC‐2を停止する(破線の矢印A11参照)。そして、第2管理部22は、イネーブル調整信号SYNC‐2を停止させた後のM個目(M=1)のクロック検知信号CK‐R2の発生のタイミングで、イネーブル信号ENA‐2の発生を停止する(破線の矢印A12参照)。
イネーブル信号ENA‐2は、第2管理部22が第2センサー25による読み取りおよび第2光源27の発光を許可する期間を示している。第2管理部22内では、第2センサー25に向けたセンサー制御信号ST‐2を生成し端子22aから出力するモジュールや、第2光源27に向けた発光制御信号LT‐2を生成し端子22bから出力するモジュールに対して、イネーブル信号ENA‐2が通知され、これらモジュールは、イネーブル信号ENA‐2が発生する期間に限って、図2で示したようにセンサー制御信号ST‐2や発光制御信号LT‐2を出力する。これにより、イネーブル信号ENA‐2が発生する期間に限って、第2光源27の発光および第2センサー25による読み取りが、ライン単位で繰り返し実行される。
イネーブル信号ENA‐1に関する説明から判るように、イネーブル信号ENA‐2が発生する期間は、搬送部30による搬送中の原稿が搬送経路60における第2センサー25の配設位置を通過する期間にほぼ相当する必要がある。第2制御回路20では、第2クロック数Mを予め設定しておくことで、イネーブル信号ENA‐2の発生期間が、原稿が第2センサー25の配設位置を通過する期間を含むようにしている。つまり、第2制御回路20においては、原稿が原稿検知センサー33によって検知される期間と原稿が第1センサー15および第2センサー25の配設位置を通過する期間との前記時間差、第1設定制御部19および第2設定制御部29が入力するタイミング信号TI‐1の遅延の程度(例えば、タイミング信号TI‐1(D)、タイミング信号TI‐1(ND)のいずれであるか)、さらにはイネーブル信号ENA‐1の発生期間に基づいて、第2クロック数Mを適切な値に予め設定しておく。これにより、結果的にイネーブル信号ENA‐2の発生期間が、原稿が第2センサー25の配設位置を通過する期間を含み、かつイネーブル信号ENA‐1の発生期間と極力ずれないようにしている。この結果、第2管理部22は、イネーブル信号ENA‐2が発生する期間に限って、第2光源27の発光および第2センサー25による読み取りを制御することにより、原稿の第2面の読取結果を、第1面の読取結果の取得と同期して取得することができる。
図5に関する説明は、基本的には図4に関する説明を準用する。
図5に基づく第1管理部12による処理の説明は、上述の矢印A1を矢印13と読み替え、上述の矢印A2を矢印14と読み替え、上述の矢印A3を矢印15と読み替え、上述の矢印A4を矢印16と読み替え、上述の矢印A5を矢印17と読み替え、上述の矢印A6を矢印18と読み替えればよい。
図5に基づいて、第2管理部22による処理を説明する。図5の例によれば、第2管理部22は、左から2番目のクロック検知信号CK‐R2のタイミングで、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態であると判定し(破線の矢印A19参照)、当該判定に応じてイネーブル調整信号SYNC‐2を発生させる(破線の矢印A20参照)。第2管理部22は、イネーブル調整信号SYNC‐2を発生させた後のM個目のクロック検知信号CK‐R2の発生のタイミングでイネーブル信号ENA‐2を発生させる(破線の矢印A21参照)。図5の例では、第2クロック数M=2としている。また図5の例によれば、第2管理部22は、左から8番目のクロック検知信号CK‐R2のタイミングで、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力していないと判定し(破線の矢印A22参照)、当該判定に応じてイネーブル調整信号SYNC‐2を停止する(破線の矢印A23参照)。そして、第2管理部22は、イネーブル調整信号SYNC‐2を停止させた後のM個目(M=2)のクロック検知信号CK‐R2の発生のタイミングで、イネーブル信号ENA‐2の発生を停止する(破線の矢印A24参照)。
なお、図4,5に示すイネーブル信号ENA‐1の発生期間内のクロック検知信号CK‐R1の数、イネーブル信号ENA‐2の発生期間内のクロック検知信号CK‐R2の数はそれぞれ、原稿の第1面において第1センサー15に読み取られるラインの数、原稿の第2面において第2センサー25に読み取られるラインの数、に該当する。図4,5では、このようなイネーブル信号ENA‐1,ENA‐2の発生期間内のクロック検知信号CK‐R1,CK‐R2の数は、紙面の都合上、7本程度で非常に少ないが、実際には数百、数千といった大きな数となる。
図5の例と図4の例とを比較すると、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力するタイミングは図5の例の方が早く、第2管理部22が、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力したと判定するタイミングも、図5の例の方が、クロック検知信号CK‐R2一つ分だけ早い。そのため、仮に、図5の例において、図4の例と同様に第2クロック数M=1と設定した場合は、イネーブル信号ENA‐2の発生期間が図5に示したイネーブル信号ENA‐2の発生期間よりも、クロック検知信号CK‐R2一つ分早まり、イネーブル信号ENA‐1の発生期間とイネーブル信号ENA‐2の発生期間とのずれが大きくなってしまう。すると、第1制御回路10による第1面に関する処理(第1光源17の発光、第1センサー15による読み取り、第1センサー15による読取結果に対する画像処理)と、第2制御回路20による第2面に関する処理(第2光源27の発光、第2センサー25による読み取り、第2センサー25による読取結果に対する画像処理)との同期性が低下する。
第2実施形態では、このような同期性の低下を回避するために、上述したように、第1設定制御部19および第2設定制御部29が入力するタイミング信号TI‐1の遅延の程度に応じて、第2クロック数Mを設定し、設定した第2クロック数Mに応じてイネーブル信号ENA‐2の発生期間の始まりと終わりを制御している。すなわち、第2制御回路20は、第1制御回路10から送信された第1クロック信号と、第2入力端子(端子29a)から入力されたタイミング信号TI‐1とのずれ(クロック検知信号CK‐R2に対するタイミング信号TI‐1のずれ)に応じて予め設定されたタイミングで第2センサー25や第2光源27の制御を開始する。かかる構成によれば、第1制御回路10による第1面に対する処理と第2制御回路20による第2面に対する処理との同期性を確保し易い。
これまでの説明から理解できるように、第1制御回路10は、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力したことに応じてイネーブル信号ENA‐1を発生させ、第2制御回路20は、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力したことに応じてイネーブル信号ENA‐2を発生させる。そのため、第1制御回路10は、第1入力端子(端子19a)から入力されたタイミング信号TI‐1に応じて第1センサー15や第1光源17の制御を行い、第2制御回路20は、第2入力端子(端子29a)から入力されたタイミング信号TI‐1に応じて第2センサー25や第2光源27の制御を行う、と言える。
なお、図4,5の例では、第1クロック数Nの設定は同じ値(N=1)である。ただし、第1制御回路10においても、第1設定制御部19が入力するタイミング信号TI‐1の遅延の程度に応じて、設定される第1クロック数Nの値は異なり得る。例えば、第1設定制御部19が入力するタイミング信号TI‐1の遅延の程度に応じて、第1管理部12が、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力したと判定するタイミングがクロック検知信号CK‐R1単位でずれる場合には、第1制御回路10においては、第1設定制御部19が入力するタイミング信号TI‐1の遅延の程度に応じて、設定される第1クロック数Nの値が異なる。
図4,5において、イネーブル調整信号SYNC‐1,SYNC‐2を省いた構成を採用してもよい。つまり、第1管理部12は、クロック検知信号CK‐R1を発生させて以降、クロック検知信号CK‐R1の発生のタイミング毎に、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力した状態であると判定した場合に、その後のN個目のクロック検知信号CK‐R1の発生のタイミングでイネーブル信号ENA‐1を発生させる、としてもよい。そして、第1管理部12は、イネーブル信号ENA‐1を発生させた後、クロック検知信号CK‐R1の発生のタイミング毎に、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第1設定制御部19がタイミング信号TI‐1を入力していない状態であると判定した場合に、その後のN個目のクロック検知信号CK‐R1の発生のタイミングでイネーブル信号ENA‐1の発生を停止する、としてもよい。
同様に、第2管理部22は、クロック検知信号CK‐R2を発生させて以降、クロック検知信号CK‐R2の発生のタイミング毎に、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態であると判定した場合に、その後のM個目のクロック検知信号CK‐R2の発生のタイミングでイネーブル信号ENA‐2を発生させる、としてもよい。そして、第2管理部22は、イネーブル信号ENA‐2を発生させた後、クロック検知信号CK‐R2の発生のタイミング毎に、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力した状態であるか否かを判定し、第2設定制御部29がタイミング信号TI‐1を入力していない状態であると判定した場合に、その後のM個目のクロック検知信号CK‐R2の発生のタイミングでイネーブル信号ENA‐2の発生を停止する、としてもよい。
上述の実施形態は、画像読取装置1の構成を開示するとともに、画像読取装置1の第1制御回路10や第2制御回路20等が実行する各工程(方法)や、画像読取装置1の第1制御回路10や第2制御回路20等に前記各工程を実行させるプログラムを開示しているとも言える。