JP2019152333A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータ駆動の出力軸の回転速度に拘わらず密封性能を維持し得る長寿命の密封装置を提供する。【解決手段】ケーシング103の開口部105と、モータの出力軸102との間を密封する密封装置1で、出力軸の軸線周りに環状の補強環10と、開口部の内周面103aに取り付けられ補強環と一体に固定された環状の弾性体部20とを備え、弾性体部は、出力軸の外周面102gに接触するダストリップ28、出力軸の外周面とダストリップと自身とにより形成の収容空間にグリースを保持するグリース保持リップ29を備え、ダストリップは、補強環の内周側端部の近傍に位置する基部から軸線方向外側へ延びる腰部の先端において出力軸に摺動自在に接触するダスト側リップ先端部を有し、グリース保持リップは、基部から軸線方向に沿った内側へ向かった後に外側へ湾曲した湾曲部と、その先端において出力軸に摺動自在に接触するグリース側リップ先端部とを有する。【選択図】図2
Description
本発明は、密封装置に関し、特に電気自動車における車輪駆動用のモータを駆動するモータ駆動装置に用いられる密封装置に関する。
近年、自動車の電動化が進んでおり、内燃機関により動力を伝達するのではなく、電動モータにより動力を伝達することによって車輪を駆動することが一般的になりつつある。電気自動車では、ガソリン消費の削減やCO2排出量の削減を図ることができ、地球の環境に優しい移動手段となっている。
従来、電気自動車用モータ付き減速差動装置としては、左右の出力シャフトとケーシングの開口部との間にオイルシールを介在させて、ケーシングの開口部と出力シャフトとの隙間から潤滑油が流出するのを防止している(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、上述した電気自動車用モータ付き減速差動装置に用いられるオイルシールにおいては、内燃機関の出力軸の最大回転数よりも電動モータの出力軸の最大回転数(例えば、10,000rpm〜15,000rpm)の方が高いために、当該電動モータの高速回転時には出力軸と摺接されるシールリップが摺動発熱により劣化し易くなる。このため、シールリップの出力軸の外周面に対する緊迫力が低下し、密封性能が低減するおそれがあった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータ駆動による出力軸の回転速度に拘わらず密封性能を維持し得る寿命の長い密封装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、ケーシングの開口部から突出したモータの出力軸を介して当該モータの動力を伝達するモータ駆動装置の前記出力軸と前記開口部との間の環状の隙間を密封する密封装置であって、前記出力軸の軸線周りに環状の補強環と、前記開口部を形成している前記ケーシングの内周面に取り付けられ、前記補強環と一体に固定された前記軸線周りに環状の弾性体部とを備え、前記弾性体部は、前記出力軸の外周面に接触するダストリップ、および、前記出力軸の外周面と前記ダストリップと自身とにより囲まれた収容空間にグリースを保持するグリース保持リップを備え、前記ダストリップは、前記補強環の内周側の端部の近傍に位置する基部の近傍から軸線方向に沿った外側へ向かって延びる腰部と、当該腰部の先端において前記出力軸に摺動自在に接触するダスト側リップ先端部とを有し、前記グリース保持リップは、前記基部から軸線方向に沿った内側へ向かった後に外側へ向かって湾曲した湾曲部と、当該湾曲部の先端において前記出力軸に摺動自在に接触するグリース側リップ先端部とを有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記ダスト側リップ先端部は、内周側へ向かって断面が凸の楔形状を有する環状の部分であり、前記出力軸の外周面と摺動自在に接触するリップ接触端を有し、前記リップ接触端は、当該リップ接触端よりも外側に位置する外側傾斜面と当該リップ接触端よりも内側に位置する内側傾斜面とによって断面楔形状に画成され、前記リップ接触端の前記外側傾斜面と前記出力軸の外周面との成す外側の角度である外側角度αと、リップ接触端の前記内側傾斜面と前記出力軸の外周面との成す内側の角度である内側角度βとは、α>βの関係を満たしていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記ダスト側リップ先端部は、当該ダスト側リップ先端部を前記出力軸の外周面に押し付けるための付勢力を付与する環状のバネ部材を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記グリース側リップ先端部は、前記出力軸の外周面に対して面接触する接触端面を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記グリース側リップ先端部の前記出力軸の外周面に対する締め代は、前記ダスト側リップ先端部の前記出力軸の外周面に対する締め代よりも小さいことを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記ダストリップの前記腰部は、短手方向の厚さが1mm未満であることを特徴とする。
本発明に係る密封装置によれば、モータの出力軸の回転速度に拘わらず密封性能を維持し得る寿命の長い密封装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置が用いられた電気自動車用のモータ駆動装置の全体構成を示すための軸線に沿う断面における断面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る密封装置がケーシングの開口部と出力軸との隙間に装着された状態を示すための軸線に沿う断面における断面図である。図3は、本発明の密封装置の弾性体部の構成を示す部分拡大断面図である。図4は、本発明の密封装置の弾性体部のダストリップおよびグリース保持リップの構成を示す部分拡大断面図である。図5は、本発明の密封装置の弾性体部のグリース保持リップの平行面が出力軸の外周面に面接触している状態を示す部分拡大断面図である。図6は、本発明の密封装置の弾性体部によるグリース保持状態を示す部分拡大断面図である。
以下、説明の便宜上、図面において密封装置1よりも符号a側を外側、密封装置1よりも符号b側をモータ内部側すなわち内側とする。ここで、外側とはケーシングの外部であって泥水が存在する側であり、モータ内部側とはケーシングの内側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、径方向ともいう。)において、軸線xから遠ざかる方向を外周側とし(矢印c方向)、軸線xに向かう方向を内周側とする(矢印d方向)。
図1に示すように、本実施の形態に係る密封装置1は、特に、電気自動車用のモータ駆動装置100に適用される。このモータ駆動装置100は、駆動輪を駆動する電動モータ101と、当該電動モータ101の出力軸102の動力(回転)を伝達するプーリー121とを備えている。プーリー121は、電動モータ101の出力軸102と一体に固定されるとともに、図示しないベルトが取り付けられており、当該ベルトを回して動力が補機類等に伝達される。
電動モータ101の出力軸102は、ケーシング103にベアリング104を介して軸支されており、出力軸102を突出させる開口部105において、ケーシング103の内周面103aと、出力軸102の外周面102gとの間の環状の隙間(空間)には、ケーシング103の内部に封入された潤滑油が外部に漏れたり、外部からの砂や泥水等のダストの侵入を防止するための密封装置1が取り付けられている。
すなわち、密封装置1は、モータ駆動装置100におけるケーシング103の開口部105から突出した出力軸102を介して電動モータ101の動力を伝達する際、開口部105と出力軸102との間の環状の隙間を密封するものである。
ただし、密封装置1による密封対象としては、電気自動車用のモータ駆動装置100に限られるものではなく、インホイールモータのモータ駆動部、ハイブリッド自動車のモータ駆動装置、電動バイクのモータ駆動装置、電動自転車のモータ駆動装置等のその他種々のモータ駆動装置を密封対象とすることができる。
図2および図3に示すように、密封装置1は、ケーシング103の開口部105と出力軸102との間の環状の隙間に嵌着されるものである。密封装置1は、出力軸102の軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10と一体に取り付けられて軸線x周りに環状の弾性体からなる弾性体部20とを備えている。ここで、出力軸102の軸線xは、密封装置1の軸線xとも一致していることを前提とする。
補強環10は、金属材から形成されており、この金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
補強環10は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋(加硫)成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20と補強環10とが一体的に成形される。
密封装置1において補強環10は、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、ケーシング103の開口部105を形成している内周面103aに弾性体部20とともに圧入されて嵌合されて嵌着されるように形成されている。
補強環10は、例えば、外周側(矢印c方向)に位置する筒状の部分である円筒部11と、円筒部11のモータ内部側(矢印b方向)の端部から内周側(矢印d方向)へ延びる中空円盤状の部分である円盤部12とを有している。
円筒部11の外周面11aは、密封装置1がケーシング103の開口部105を形成している内周面103aに嵌着された際に、密封装置1の軸線xと出力軸102の軸線xとの一致が図られるように開口部105に嵌め込まれる。補強環10には、当該補強環10を包み込むように弾性体部20が取り付けられており、当該補強環10が弾性体部20を補強している。
図3に示すように、弾性体部20は、補強環10の円盤部12の内周側の端部に取り付けられている部分である基部25と、補強環10の円筒部11に外周側から取り付けられている部分であるガスケット部26と、基部25とガスケット部26との間において内側(矢印b方向)から補強環10に取り付けられている部分であるカバー部27とを有している。
ガスケット部26は、その外径が、ケーシング103の開口部105の内周面103aの内径よりも大きくなっている。このため、密封装置1がケーシング103の開口部105に嵌着された場合、ガスケット部26は、補強環10の円筒部11とケーシング103との間で径方向に圧縮され、開口部105を形成しているケーシング103の内周面103aと補強環10の円筒部11との間を密封する。
これにより、ケーシング103の開口部105と出力軸102との環状の隙間が密封装置1によって密封される。なお、ガスケット部26は、軸線x方向全体に亘って外径がケーシング103の開口部105の内周面103aの内径よりも大きくなっていなくてもよい。例えば、ガスケット部26の一部における外径がケーシング103の開口部105の内周面103aの内径より大きくなっていてもよい。
また、弾性体部20においては、基部25から外側(矢印a方向)かつ内周側(矢印d方向)に向かって延びるダストリップ28と、基部25から軸線x方向に沿った内側(矢印b方向)へ向かった後に外側(矢印a方向)へ向かって湾曲し、出力軸102の外周面102gに向かって延びる逆C字状のグリース保持リップ29とを備えている。
弾性体部20のダストリップ28は、例えば、軸線x方向において外側(矢印a方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有している。つまり、ダストリップ28は、軸線xに沿う断面(以下、単に断面ともいう。)において、基部25から外側(矢印a方向)及び内周側(矢印d方向)へ、軸線xに対して斜めに延びている。
ダストリップ28は、リップ先端部28sと、当該リップ先端部28sの外周面に取り付けられたガータスプリング28gと、基部25とリップ先端部28sとの間を繋ぐリップ腰部28uとを有している。
また、ダストリップ28は、密封装置1がケーシング103の開口部105と出力軸102との間の環状の隙間において所望の位置に取り付けられた使用状態において、リップ先端部28sが所定の締め代f1を持って出力軸102の外周面102g(図2)に接触するように形成されている。すなわち、リップ先端部28sの内径は、出力軸102の外周面102gの外径よりも締め代f1だけ小さい。
リップ先端部28sは、内周側(矢印d方向)へ向かって断面が凸の楔形状を有する環状の部分であり、出力軸102の外周面102gと摺動自在に接触するリップ接触端28spを有している。リップ先端部28sのリップ接触端28spは、当該リップ接触端28spよりも外側(矢印a方向)に位置する外側傾斜面28maと、当該リップ接触端28spよりも内側(矢印b方向)に位置する内側傾斜面28mbとによって断面楔形状に画成されている(図4)。
リップ接触端28spの外側傾斜面28maと出力軸102の外周面102gとの成す外側の角度(以下、これを「外側角度」ともいう。)αと、リップ接触端28spの内側傾斜面28mbと出力軸102の外周面102gとの成す内側角度(以下、これを「内側角度」ともいう。)βとは、α>βの関係を満たしている。ここで、外側角度αおよび内側角度βは0よりも大きく、かつ90°よりも小さい。
具体的には、外側角度αは、47°〜63°、内側角度βは19°〜35°であり、好ましくは、外側角度αは55°、内側角度βは27°である。外側角度α、および、内側角度βの大きさは、この角度範囲の中で、各種条件に応じて適宜選択される。
またリップ先端部28sは、当該リップ接触端28spと背向またはほぼ背向する外周側(矢印c方向)の面(以下、これを「外周面」ともいう。)に形成された環状の凹部28pにガータスプリング28gが嵌着されている。
ガータスプリング28gは、例えば金属製のバネ部材であり、リップ先端部28sを径方向において内周側(矢印d方向)へ付勢し、当該リップ先端部28sに出力軸102の外周面102gに対する所定の大きさの緊迫力を付与するものである。
図4に示すように、ダストリップ28のリップ腰部28uは、基部25とリップ先端部28sとの間を腕状に繋ぐ環状の筒状部材であり、外周側(矢印c方向)の平坦な面である外周面28ugと、内周側(矢印d方向)において外周側(矢印c方向)へ僅かに凸状に湾曲した面である内周面28unとによって画成されている。
このリップ腰部28uでは、内側傾斜面28mbの内側角度βに沿って基部25まで直線状に延びている場合(破線で示す)の厚さt0に比べて、外周面28ugおよび内周面28un間の厚さt1が薄くなっている(t0>t1)。
この結果、弾性体部20としては、リップ先端部28s、リップ腰部28uの内周面28un、グリース保持リップ29、および、出力軸102の外周面102gによって形成されたグリース収容空間の容量を厚さt0のリップ腰部の場合に比べて大きくすることができる。なお、リップ腰部28uの厚さt1としては、例えば1mm未満であることが好ましい。
因みに、弾性体部20としては、リップ腰部28uの付け根部分28urからリップ先端部28sの外側(矢印a方向)の端面(以下、これを「外側端面」ともいう。)28qまでの腕長d(例えば、4.4mm)を従来よりも長くしている。これにより弾性体部20としては、リップ先端部28sによる出力軸102の外周面102gに対する緊迫力を低下させて摺動抵抗を低減していることに加えて、リップ先端部28sの追随性についても向上させている。ここで、弾性体部20のリップ先端部28sの追随性が向上したことにより、リップ腰部28uが柔軟に変形し得、かくして、出力軸102が偏心しても一部の緊迫力が大きくなり難く、緊迫力の増大による発熱を抑制することが可能である。
すなわち、弾性体部20においては、上述した腕長dと、リップ先端部28sの出力軸102の外周面102gに対する締め代f1と、ガータスプリング28gによる緊迫力と、リップ先端部28sの追随性に応じて密封度合いおよび出力軸102の外周面102gに対する摺動抵抗が決定される。
弾性体部20のグリース保持リップ29は、上述したグリース収容空間からグリースG(図6)がモータ内部側すなわち内側(矢印b方向)へ漏れることのないように保持することを目的としたリップ部分であり、ダストリップ28とは反対側に設けられており、その断面が逆C字状の環状部分である。
具体的には、グリース保持リップ29は、基部25から軸線x方向に沿った内側(矢印b方向)へ向かった後に外側(矢印a方向)へ向かって湾曲した湾曲部29wと、当該湾曲部29wの先端に形成されて出力軸102の外周面102gに摺動自在に接触するグリース側リップ先端部29sとを備えている(図5)。
グリース保持リップ29の湾曲部29wは、できるだけ滑らかな曲線からなる逆C字状であることが好ましいが、グリース側リップ先端部29sが外側(矢印a方向)へ向かって延びていれば、U字状やV字状であったり、その他種々の形状であってもよい。湾曲部29wは、湾曲状の内側面29wnおよび外側面29wgが平行に外側(矢印a方向)へ延びており、内側面29wnと外側面29wgとの間の厚さt2は、リップ腰部28uの厚さt1よりも薄い(t1>t2)。
また、グリース保持リップ29は、密封装置1がケーシング103の開口部105と出力軸102との間の環状の隙間において所望の位置に取り付けられた使用状態において、グリース側リップ先端部29sが所定の締め代f2を持って出力軸102の外周面102gに接触するように形成されている。
すなわち、グリース側リップ先端部29sの内径は、出力軸102の外周面102gの外径よりも締め代f2だけ小さい。ここで、リップ先端部28sの出力軸102の外周面102gに対する締め代f1よりもグリース側リップ先端部29sの出力軸102の外周面102gに対する締め代f2の方が小さい(f1>f2)。このため、グリース保持リップ29のグリース側リップ先端部29sと出力軸102の外周面102gとの摺動抵抗は、リップ先端部28sと出力軸102の外周面102gとの摺動抵抗よりも格段に小さくなっている。
グリース保持リップ29のグリース側リップ先端部29sは、湾曲部29wの先端に当該湾曲部29wと一体に設けられた部分であり、軸線xとは垂直またはほぼ垂直で平坦な所定の高さv1の垂直面29sv、軸線xとは平行またはほぼ平行で平坦な所定の幅w1の平行面29shによって画成されている(図6)。
ここで、垂直面29svの高さv1よりも平行面29shの幅w1の方が大きい(w1>v1)。ただし、これに限るものではなく、垂直面29svの高さv1よりも平行面29shの幅w1の方が小さくてもよく(w1<v1)、同じでもよい(w1=v1)。ただし、グリース側リップ先端部29sの形状はこれに限るものではなく、ダストリップ28のリップ先端部28sのように断面凸の楔形状や、その他種々の形状であってもよい。
グリース側リップ先端部29sの垂直面29svは、グリースが内側(矢印b方向)へ向かって漏れないように受け止める壁面の役割を担う。グリース側リップ先端部29sの平行面29shは、出力軸102の外周面102gに所定の幅W1で摺動自在に接触する部分であり、グリース保持リップ29が所定の締め代f2で出力軸102に装着された際に密着されてグリースの漏洩を防止する。
以上の構成において、密封装置1は、ケーシング103の開口部105と出力軸102との間の環状の隙間に嵌着された際、弾性体部20のダストリップ28におけるリップ先端部28sが所定の締め代f1により押し付けられた状態で摺動自在に接触するとともに、グリース保持リップ29のグリース側リップ先端部29sが所定の締め代f2により押し付けられた状態で摺動自在に接触して使用状態となる。
密封装置1は、出力軸102がモータ駆動装置100により回転された場合でも、ダストリップ28におけるリップ先端部28sが締め代f1およびガータスプリング28gの緊迫力により出力軸102の外周面102gに密着した状態を維持する。したがって、ダストリップ28のリップ先端部28sが出力軸102の外周面102gに押し付けられてグリースGを密封し、グリースGの外側(矢印a方向)の流出を防止することができる。
同時に、ダストリップ28のリップ先端部28sでは、外側角度α>内側角度βの関係が成立しているため、内側傾斜面28mbが外側傾斜面28maよりも出力軸102の外周面102gに接触する接触面積が大きくなっている。
このため、密封装置1では、出力軸102が回転すると、出力軸102の外周面102gとリップ先端部28sのリップ接触端28spとの間をグリースGが内側(矢印b方向)から外側(矢印a方向)へ向かって吸い出されることになる。このように、リップ先端部28sにおける外側角度α>内側角度βの関係を満たせば、グリースGが内側(矢印b方向)から外側(矢印a方向)へ向かって吸い出される現象として一般に知られている。
一方、ダストリップ28のリップ先端部28sでは、グリースGが内側(矢印b方向)から外側(矢印a方向)へ向かって吸い出され、リップ接触端28spと外周面102gとの間にグリースGが滲み出すように侵入することにより摺動発熱が抑制される。すなわち、密封装置1は、出力軸102がモータ駆動装置100により内燃機関のエンジンよりも高速回転するような場合であっても、摺動発熱によりリップ先端部28sの劣化を予め抑制し、長寿命化を図ることができる。
また、密封装置1は、ダストリップ28のリップ腰部28uが外周側(矢印c方向)へ湾曲した内周面28unを有し、グリース保持リップ29が基部25から軸線x方向に沿った内側(矢印b方向)へ向かった後に外側(矢印a方向)へ向かって湾曲した湾曲部29wを有している。
このため、密封装置1では、リップ先端部28s、リップ腰部28u、および、グリース保持リップ29により囲まれた収容空間を大きく形成することができる。この結果、密封装置1では、リップ先端部28sのリップ接触端28spと出力軸102の外周面102gとの間からグリースGが外側(矢印a方向)へ滲み出でしまったとしても、外部から補充することが困難なグリースGが枯渇するリスクを低減し、長寿命化を図ることができる。
また、密封装置1では、グリース保持リップ29の湾曲部29wが逆C字状を有し、グリースGを包み込むように保持している。このためグリース保持リップ29のグリース側リップ先端部29sには、出力軸102の外周面102gに対して所定の押付力が働くことになる。
したがって、グリース側リップ先端部29sが最初から内側(矢印b方向)へ向かって延びているような形状である場合に比べて、グリース側リップ先端部29sが出力軸102の外周面102gから離間し難く、グリースGが内側(矢印b方向)へ漏洩することを未然に防止することができる。
ここで、グリース保持リップ29のグリース側リップ先端部29sにおいては、平行面29shが出力軸102の外周面102gに所定の幅W1で面接触しているため、グリース側リップ先端部29sの出力軸102の外周面102gに対する締め代f2がリップ先端部28sの締め代f1より小さくても、グリースGがグリース保持リップ29を越えて内側(矢印b方向)へ漏洩することを防止することができる。
さらに、密封装置1では、弾性体部20のダストリップ28およびグリース保持リップ29の構成により、モータ駆動装置100による出力軸102の回転速度に拘わらずダストリップ28およびグリース保持リップ29による密封性能を維持しながら長寿命化を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る密封装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
また、上述した実施の形態においては、グリースGを保持するようにした場合について述べたが、これに限るものではなく、オイル等のその他種々の潤滑油であってもよい。
1……密封装置、10……補強環、11……円筒部、11a……外周面、12……円盤部、20……弾性体部、25……基部、26……ガスケット部、27……カバー部、28……ダストリップ、28s……リップ先端部、28sp……リップ接触端、28g……ガータスプリング、28p……凹部、28u……リップ腰部、28ug……外周面、28un……内周面、29……グリース保持リップ、29w……湾曲部、29wn……内側面、29sv……垂直面、29sh……平行面、29wg……外側面、29s……グリース側リップ先端部、28ma……外側傾斜面、28mb……内側傾斜面、100……モータ駆動装置、101……電動モータ、102……出力軸、102g……外周面、103……ケーシング、103a……内周面、104……ベアリング、105……開口部、121……プーリー、f1、f2……締め代、α……外側角度、β……内側角度、t0、t1、t2……厚さ、w1……幅。
Claims (6)
- ケーシングの開口部から突出したモータの出力軸を介して当該モータの動力を伝達するモータ駆動装置の前記出力軸と前記開口部との間の環状の隙間を密封する密封装置であって、
前記出力軸の軸線周りに環状の補強環と、
前記開口部を形成している前記ケーシングの内周面に取り付けられ、前記補強環と一体に固定された前記軸線周りに環状の弾性体部と
を備え、
前記弾性体部は、前記出力軸の外周面に接触するダストリップ、および、前記出力軸の外周面と前記ダストリップと自身とにより囲まれた収容空間にグリースを保持するグリース保持リップを備え、
前記ダストリップは、前記補強環の内周側の端部の近傍に位置する基部から軸線方向に沿った外側へ向かって延びる腰部と、当該腰部の先端において前記出力軸に摺動自在に接触するダスト側リップ先端部とを有し、
前記グリース保持リップは、前記基部から軸線方向に沿った内側へ向かった後に外側へ向かって湾曲した湾曲部と、当該湾曲部の先端において前記出力軸に摺動自在に接触するグリース側リップ先端部とを有する
ことを特徴とする密封装置。 - 前記ダスト側リップ先端部は、内周側へ向かって断面が凸の楔形状を有する環状の部分であり、前記出力軸の外周面と摺動自在に接触するリップ接触端を有し、
前記リップ接触端は、当該リップ接触端よりも外側に位置する外側傾斜面と当該リップ接触端よりも内側に位置する内側傾斜面とによって断面楔形状に画成され、
前記リップ接触端の前記外側傾斜面と前記出力軸の外周面との成す外側の角度である外側角度αと、前記リップ接触端の前記内側傾斜面と前記出力軸の外周面との成す内側の角度である内側角度βとは、α>βの関係を満たしている
ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。 - 前記ダスト側リップ先端部は、当該ダスト側リップ先端部を前記出力軸の外周面に押し付けるための付勢力を付与する環状のバネ部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
- 前記グリース側リップ先端部は、前記出力軸の外周面に対して面接触する接触端面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の密封装置。
- 前記グリース側リップ先端部の前記出力軸の外周面に対する締め代は、前記ダスト側リップ先端部の前記出力軸の外周面に対する締め代よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
- 前記ダストリップの前記腰部は、短手方向の厚さが1mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
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