JP2019151900A - 多孔質金属体、集電体、電池および、多孔質金属体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的大きな表面積を有する多孔質金属体、それを備える集電体および電池ならびに、表面積の増大を実現することのできる多孔質金属体の製造方法を提供する。【解決手段】多孔質金属体は、Cu及び不純物からなり、比表面積が500cm2/cc以上である。【選択図】なし
Description
この明細書は、Cu及び不純物からなる多孔質金属体、それを備える集電体および電池ならびに、多孔質金属体の製造方法に関する技術を開示するものである。
発砲金属、ポーラス金属もしくは金属フォームとも称され得るこの種の多孔質金属体は、それ自身の多数の細孔の存在に起因する特有の性質が利用されて、放熱もしくは吸熱を目的としたヒートシンクや、リチウムイオン電池、燃料電池もしくはニッケル亜鉛電池その他の各種電池の電極、触媒キャリア、物理フィルター、建築装飾材等といった種々の用途で既に用いられており、また、そのうちの特定の用途では今後の利用可能性が検討されている状況にある。これに関連する技術として従来は、特許文献1〜12に記載されたもの等がある。
このような多孔質金属体を製造する方法として、たとえば、特許文献10には、アルミニウム等の所定の金属の沸点未満で消散可能な発泡樹脂や不織布の表面に、めっき法によりアルミニウム層を成膜し、これを溶融塩中で加熱処理してその樹脂等を消散させることが記載されている。
また、特許文献11には、複数の繊維を有する網状構造体に金属を付着させる工程、前記金属から第1細孔を有する合金を形成する工程、前記合金のうち一部の金属を選択的に除去することにより、前記第1細孔と前記第1細孔より小さい第2細孔とを含む多孔質金属を形成する工程を行い、多孔質金属を製造することが記載されている。
特許文献12には、銅粉末ないし銅繊維を所定の温度下で酸化するとともに還元して、その焼結体からなる骨格部を形成するという製造方法が記載されている。
また、特許文献11には、複数の繊維を有する網状構造体に金属を付着させる工程、前記金属から第1細孔を有する合金を形成する工程、前記合金のうち一部の金属を選択的に除去することにより、前記第1細孔と前記第1細孔より小さい第2細孔とを含む多孔質金属を形成する工程を行い、多孔質金属を製造することが記載されている。
特許文献12には、銅粉末ないし銅繊維を所定の温度下で酸化するとともに還元して、その焼結体からなる骨格部を形成するという製造方法が記載されている。
ところで、上述したようにして製造される従来の多孔質金属体は、多孔質金属体を構成する骨格の表面が平滑であることから、単位体積当たりの表面積が比較的小さいものとなる。
このことは、たとえば、多孔質金属体を電池電極として用いる場合等に、小さい表面積の故に反応面積を十分に確保することができず、それによって集電能力をそれほど有意に高めることができないという問題を招く。
このことは、たとえば、多孔質金属体を電池電極として用いる場合等に、小さい表面積の故に反応面積を十分に確保することができず、それによって集電能力をそれほど有意に高めることができないという問題を招く。
この明細書は、このような問題を解決するため、比較的大きな表面積を有する多孔質金属体、それを備える集電体および電池ならびに、表面積の増大を実現することのできる多孔質金属体の製造方法を提案するものである。
発明者は、上述した課題を解決するべく鋭意検討した結果、Cu粉末を付着させた多孔質樹脂材料を加熱し、Cu粉末を焼結させつつ多孔質樹脂材料を熱分解により除去して、主にCu酸化物からなる多孔質焼結材料を形成し、その多孔質焼結材料を還元して多孔質金属材料を得た後、マイクロエッチングにより多孔質金属材料の骨格表面を粗くすることにより、製造される多孔質金属体の表面積が有意に増大することを新たに見出した。
このような知見に基き、この明細書で開示する多孔質金属体は、Cu及び不純物からなり、比表面積が500cm2/cc以上である。
この明細書で開示する集電体は、上記のような多孔質金属体を備えるものである。
この明細書で開示する電池は、上記の集電体を備えるものである。
この明細書で開示する電池は、上記の集電体を備えるものである。
この明細書で開示する多孔質金属体の製造方法は、多孔質樹脂材料にCu粉末を付着させる粉末付着工程と、前記Cu粉末が付着した多孔質樹脂材料を加熱し、前記Cu粉末を焼結させるとともに前記多孔質樹脂材料を熱分解により除去して、多孔質焼結材料を形成する焼結工程と、前記多孔質焼結材料に対して還元処理を行い、多孔質金属材料を得る還元工程と、前記多孔質金属材料に対し、マイクロエッチングを施すエッチング工程とを含むものである。
上記の多孔質金属体の製造方法によれば、多孔質金属体の表面積の増大を実現することができ、それにより得られる多孔質金属体は、所定の用途に有効に用いることができる。
以下に、この明細書で開示する発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態の多孔質金属体は、Cu及び不純物からなり、その全体に細孔としての微細なポアが多数形成された三次元網目構造の骨格を有し、比表面積が500cm2/cc以上であり、特に好ましくは、Cuの含有量が99.9質量%以上であって主としてCuからなり、ポロシティが90%以上、ポアサイズが633μm以下である。
かかる多孔質金属体は、たとえば、電池電極の集電体として用いた場合、大きな表面積の故に十分な反応面積が確保されて、集電能力を有効に向上させることができるので、このような用途に適したものである。
この発明の一の実施形態の多孔質金属体は、Cu及び不純物からなり、その全体に細孔としての微細なポアが多数形成された三次元網目構造の骨格を有し、比表面積が500cm2/cc以上であり、特に好ましくは、Cuの含有量が99.9質量%以上であって主としてCuからなり、ポロシティが90%以上、ポアサイズが633μm以下である。
かかる多孔質金属体は、たとえば、電池電極の集電体として用いた場合、大きな表面積の故に十分な反応面積が確保されて、集電能力を有効に向上させることができるので、このような用途に適したものである。
(組成)
多孔質金属体は、主にCuからなる。Cuの含有量は99.9質量%以上であることが好ましい。Cuの含有量が99.9質量%未満になると導電率が低下するので、仮に電池電極の集電体として用いる場合には抵抗が高くなることにより無駄な電力損が発生する可能性がある。この観点より、Cuの含有量は、99.9質量%以上であることが好ましい。より好ましくは99.99質量%以上とする。一般的には99.9質量%の純度が確保できればおよそ90%IACS程度の導電率が期待される。この一方で、Cuの含有量が多すぎると、精製コストが掛かりすぎることが懸念されるので、Cuの含有量は、好ましくは99.995質量%以下とする。
多孔質金属体は、主にCuからなる。Cuの含有量は99.9質量%以上であることが好ましい。Cuの含有量が99.9質量%未満になると導電率が低下するので、仮に電池電極の集電体として用いる場合には抵抗が高くなることにより無駄な電力損が発生する可能性がある。この観点より、Cuの含有量は、99.9質量%以上であることが好ましい。より好ましくは99.99質量%以上とする。一般的には99.9質量%の純度が確保できればおよそ90%IACS程度の導電率が期待される。この一方で、Cuの含有量が多すぎると、精製コストが掛かりすぎることが懸念されるので、Cuの含有量は、好ましくは99.995質量%以下とする。
多孔質金属体は、不純物として、Na、K、Fe、Co、Cr、Ni、Zn、O、N及びMoからなる群から選択される少なくとも一種を含有することがある。このような不純物を含む場合、その合計含有量は1000質量ppm以下であることが好適である。かかる不純物が多すぎると、導電体としての機能を圧下させるおそれがあるからである。それ故に、当該不純物の合計含有量は、より好ましくは100質量ppm以下である。多孔質金属体は、上記の不純物が検出限界以下であることもあり、この場合、当該不純物の含有量は0.00001質量%となる。
不純物の含有量は無炎原子吸光分析(Flame Less Atomic Absorption Spectrometry)で測定できる。
不純物の含有量は無炎原子吸光分析(Flame Less Atomic Absorption Spectrometry)で測定できる。
(比表面積)
多孔質金属体は、単位体積当たりの骨格表面の面積である比表面積が500cm2/cc以上である。比表面積が大きいほど、たとえば電池電極用途で、多孔質金属体の骨格表面に電着させることのできる負極活物質の量が増大し、反応面積が広くなるので集電能力が向上する。この一方で、比表面積をさらに大きくしようとして、製造時に、たとえば後述のエッチング時間を長くしすぎると、多孔質金属体としての機械強度を維持できなくなる。
したがって、多孔質金属体の比表面積は、500cm2/cc〜2500cm2/ccであることが好ましく、さらに1000cm2/cc以上、1500cm2/cc以上と広いことがより一層好ましい。
多孔質金属体は、単位体積当たりの骨格表面の面積である比表面積が500cm2/cc以上である。比表面積が大きいほど、たとえば電池電極用途で、多孔質金属体の骨格表面に電着させることのできる負極活物質の量が増大し、反応面積が広くなるので集電能力が向上する。この一方で、比表面積をさらに大きくしようとして、製造時に、たとえば後述のエッチング時間を長くしすぎると、多孔質金属体としての機械強度を維持できなくなる。
したがって、多孔質金属体の比表面積は、500cm2/cc〜2500cm2/ccであることが好ましく、さらに1000cm2/cc以上、1500cm2/cc以上と広いことがより一層好ましい。
比表面積は、JIS Z8830:2013(ISO9277:2010)に従い、ガス吸着法(BET法)により測定する。具体的には、比表面積・細孔分布測定装置ASPA型(micromeritics社製)を用いて、使用ガスをKrとし、冷媒を−196℃の液体窒素とし、前処理条件を200℃にて0.5時間加熱とし、測定相対圧力を0.05<P/P0<0.3として、測定試験を行う。
(ポロシティ)
ポロシティは全体積に占める空隙の体積の割合を意味し、多孔質金属体ではこのポロシティが大きいほど、活物質・電解質を保持することが可能となるので好ましい。具体的には、多孔質金属体のポロシティは90%以上であり、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上である。
この一方で、多孔質金属体のポロシティが大きすぎると、材料強度が確保されないため取り扱い時に物理的に破損の恐れがある。そのため、多孔質金属体のポロシティは、98%以下、特に96%以下とすることが好適である。
ポロシティは全体積に占める空隙の体積の割合を意味し、多孔質金属体ではこのポロシティが大きいほど、活物質・電解質を保持することが可能となるので好ましい。具体的には、多孔質金属体のポロシティは90%以上であり、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上である。
この一方で、多孔質金属体のポロシティが大きすぎると、材料強度が確保されないため取り扱い時に物理的に破損の恐れがある。そのため、多孔質金属体のポロシティは、98%以下、特に96%以下とすることが好適である。
多孔質金属体のポロシティPは、多孔質金属体の密度をDとし、理論密度をDthとしたときに、式:P=100×(1−D/Dth)で算出することができる。
ここで、多孔質金属体の密度Dは、多孔質金属体の重量Wを多孔質金属体の全体積Vで除した値である。なお、多孔質金属体の重量Wは、電子天秤等で測定することができ、また多孔質金属体の全体積Vは、ノギス等を用いて、たとえば外輪郭形状が平板状等の直方体状の多孔質金属体の場合、その縦、横および高さの三辺の長さを測定し、それらを乗ずることで求められる。またここで、多孔質金属体は主としてCuからなるものであるから、理論密度Dthは、銅の密度である8.93g/ccとする。
ここで、多孔質金属体の密度Dは、多孔質金属体の重量Wを多孔質金属体の全体積Vで除した値である。なお、多孔質金属体の重量Wは、電子天秤等で測定することができ、また多孔質金属体の全体積Vは、ノギス等を用いて、たとえば外輪郭形状が平板状等の直方体状の多孔質金属体の場合、その縦、横および高さの三辺の長さを測定し、それらを乗ずることで求められる。またここで、多孔質金属体は主としてCuからなるものであるから、理論密度Dthは、銅の密度である8.93g/ccとする。
(密度)
ポロシティと同様の観点より、多孔質金属体の密度は小さいほど良好である。多孔質金属体の密度は0.893g/cc以下とすることが好ましく、さらに0.714g/cc以下、0.536g/cc以下とすることがより好適である。また、多孔質金属体の密度は、0.179g/cc以上、好ましくは0.357g/cc以上とすることができる。
多孔質金属体の密度は、上述したところと同様に、多孔質金属体の重量Wを全体積Vで除して算出する。
ポロシティと同様の観点より、多孔質金属体の密度は小さいほど良好である。多孔質金属体の密度は0.893g/cc以下とすることが好ましく、さらに0.714g/cc以下、0.536g/cc以下とすることがより好適である。また、多孔質金属体の密度は、0.179g/cc以上、好ましくは0.357g/cc以上とすることができる。
多孔質金属体の密度は、上述したところと同様に、多孔質金属体の重量Wを全体積Vで除して算出する。
(ポアサイズ)
比表面積の増大の観点からは、多孔質金属体のポアサイズは小さいほうが望ましい。多孔質金属体のポアサイズは633μm以下とする。ポアサイズは、好ましくは633μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは350μm以下とする。
一方、ポアサイズが小さすぎると、全体として空隙を均一にすることが難しくなる。そのため、多孔質金属体のポアサイズは、たとえば200μm以上とすることができる。
比表面積の増大の観点からは、多孔質金属体のポアサイズは小さいほうが望ましい。多孔質金属体のポアサイズは633μm以下とする。ポアサイズは、好ましくは633μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは350μm以下とする。
一方、ポアサイズが小さすぎると、全体として空隙を均一にすることが難しくなる。そのため、多孔質金属体のポアサイズは、たとえば200μm以上とすることができる。
多孔質金属体のポアサイズは、JIS H0501(1986)に規定される切片法に準拠し、ポアサイズを結晶粒度と見立てて測定する。
(厚み)
たとえば平板状等の直方体状の外輪郭形状をなす多孔質金属体の厚みないし高さは、5μm〜25μmとすることが好ましい。後述する製造方法の圧延工程の条件を調整することにより、多孔質金属体の厚みを薄くすることが可能であるが、この厚みが薄すぎる場合は、電池等に実装するまでの間のハンドリング性が低下することが懸念される。この一方で、厚みが厚すぎる場合は、ポロシティの低下を招くおそれがある。このような観点より、多孔質金属体の厚みは、好ましくは5μm〜18μmとし、より好ましくは5μm〜12μmとする。
なお、厚みやその他の寸法の測定は、多孔質金属体に荷重を作用させていない無負荷の状態で行うものとする。荷重の作用により、空隙が押し潰されて変形し、寸法の変化が生じるからである。
たとえば平板状等の直方体状の外輪郭形状をなす多孔質金属体の厚みないし高さは、5μm〜25μmとすることが好ましい。後述する製造方法の圧延工程の条件を調整することにより、多孔質金属体の厚みを薄くすることが可能であるが、この厚みが薄すぎる場合は、電池等に実装するまでの間のハンドリング性が低下することが懸念される。この一方で、厚みが厚すぎる場合は、ポロシティの低下を招くおそれがある。このような観点より、多孔質金属体の厚みは、好ましくは5μm〜18μmとし、より好ましくは5μm〜12μmとする。
なお、厚みやその他の寸法の測定は、多孔質金属体に荷重を作用させていない無負荷の状態で行うものとする。荷重の作用により、空隙が押し潰されて変形し、寸法の変化が生じるからである。
(用途)
この実施形態の多孔質金属体は、ヒートシンクや、リチウムイオン電池、燃料電池もしくはニッケル亜鉛電池その他の各種電池の電極、触媒キャリア、物理フィルター、建築装飾材に用いることが可能である。
なかでも、上述したような多孔質金属体は表面積が大きいことから、リチウムイオン電池等の電極の集電体として用いることが、反応面積の確保による集電能力の向上の観点から特に有効である。この場合、電池電極用集電体は、そのような多孔質金属体を備え、また電池は、かかる集電体を備えるものである。
この実施形態の多孔質金属体は、ヒートシンクや、リチウムイオン電池、燃料電池もしくはニッケル亜鉛電池その他の各種電池の電極、触媒キャリア、物理フィルター、建築装飾材に用いることが可能である。
なかでも、上述したような多孔質金属体は表面積が大きいことから、リチウムイオン電池等の電極の集電体として用いることが、反応面積の確保による集電能力の向上の観点から特に有効である。この場合、電池電極用集電体は、そのような多孔質金属体を備え、また電池は、かかる集電体を備えるものである。
(製造方法)
以上に述べたような多孔質金属体を製造する方法の一例について述べると、次のとおりである。
はじめに、たとえばウレタンフォーム、天然ゴム、メラミン等の多孔質樹脂材料と、有機溶剤にCu粉末を分散させてなる金属ペーストを準備する。ここで、Cu粉末は、好ましくは、Cuの含有量が99.9質量%〜99.995質量%、平均粒径が1μm〜10μmであるものを用いる。有機溶剤としては、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ターピネオール等を挙げることができる。
以上に述べたような多孔質金属体を製造する方法の一例について述べると、次のとおりである。
はじめに、たとえばウレタンフォーム、天然ゴム、メラミン等の多孔質樹脂材料と、有機溶剤にCu粉末を分散させてなる金属ペーストを準備する。ここで、Cu粉末は、好ましくは、Cuの含有量が99.9質量%〜99.995質量%、平均粒径が1μm〜10μmであるものを用いる。有機溶剤としては、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ターピネオール等を挙げることができる。
そして、たとえば市販のローラーやコーター等を用いて、上記の多孔質樹脂材料の全体にわたって金属ペーストを塗布する粉末付着工程を行う。その後、低温乾燥器により、多孔質樹脂材料に付着した有機溶剤を乾燥させる。
次いで、上述したような金属ペーストの塗布によりCu粉末が付着した多孔質樹脂材料を、たとえば800℃〜900℃で、0.5時間〜1時間にわたって加熱する焼結工程を行う。ここでは、多孔質樹脂材料に付着したCu粉末を焼結させつつ、多孔質樹脂材料を空気中の酸素と反応させ熱分解により除去する。それにより、主にCu酸化物からなる多孔質焼結材料が形成される。
その後、多孔質焼結材料のCu酸化物を還元して、メタルのCuにする還元工程を行う。この還元工程では、たとえば、水素雰囲気の下、800℃〜850℃で、2時間〜5時間にわたって加熱する水素還元を実施することができる。これにより、多孔質金属材料が得られる。
さらにその後は、多孔質金属材料に対して、マイクロエッチングを施すエッチング工程、及び、ロールプレス圧延を行う圧延工程を、それらの工程の実施の順序を問わず行う。つまりエッチング工程と圧延工程は、いずれを先に行ってもよい。但し、エッチング工程では水素ガスが発生することがあり、その前に圧延工程を行うと、圧延工程で狭くなったポア間に水素ガスがトラップされることでエッチングが部分的に阻害されることがあるので、これを防止するために、エッチング工程を圧延工程より先に行うことが、より安定して大きな表面積が得られる点で好適である。
なお、このうちの圧延工程は省略することもできるが、圧延工程は、圧下率の調整によって表面積を制御することが容易であることから、表面積と比重のバランスをとるとの観点から、圧延工程を行うことが好ましい。エッチングでは比重管理は可能であるが、表面積を厳密に制御することが困難である場合がある。
エッチング工程では、硫酸・過酸化水素混合液、硫酸ナトリウム水溶液、塩化銅水溶液、塩化鉄水溶液、市販のソフトエッチング剤(たとえば三菱ガス化学(株)製CPE−900等)を用いて、多孔質金属材料を上記の液中に浸漬させるディップ式を採用することができる。エッチングレートは代表的には、過硫酸Na・硫酸混合系では1um/min、CPEでは1um/min、過硫酸Na・過酸化水素・硫酸混合系では1〜1.5um/min、塩銅系および塩鉄系では3um/minとすることができる。いずれのエッチング剤でも液の拡販速度や温度の影響を強く受けるためエッチング時間によりエッチング量を調整することができる。
圧延工程を行う場合、圧延工程では、ロール径が100mm〜300mmの圧延ロールを用いて、圧下率を、好ましくは80%以下とする圧延を、たとえば1回〜2回にわたって行うことができる。ポロシティが高い材料では狙いの厚みに圧延するために1回で到達することができるが、多孔質構造のため若干のスプリングバックが起きることがある。この場合、再圧延により狙いの厚みにより近づけることが可能になる。
このときの圧下率が大きすぎると、多孔質金属体の単位体積当たりの表面積は増大するが、ポロシティは低下する傾向がある。したがって、圧下率は上記の範囲とすることが好ましく、さらに50%〜70%とすることがより一層好ましい。
このときの圧下率が大きすぎると、多孔質金属体の単位体積当たりの表面積は増大するが、ポロシティは低下する傾向がある。したがって、圧下率は上記の範囲とすることが好ましく、さらに50%〜70%とすることがより一層好ましい。
次に、多孔質金属体を試作し、その評価を行ったので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
多孔質樹脂材料としてのウレタンフォームの全体に、ローラーを用いて、所定の純度のCu粉末が有機溶剤に分散した金属ペーストを塗布し、低温乾燥器で有機溶剤を乾燥させた。次いで、Cu粉末が付着したウレタンフォームを、50℃の温度で2時間にわたって加熱し続いて900℃の温度で30分にわたって加熱し、ウレタンフォームを除去するとともにCu粉末を焼結させて、多孔質焼結材料を得た。この多孔質焼結材料を、水素雰囲気の下、800℃で5時間にわたって加熱してCu酸化物を水素還元し、Cuメタルからなる多孔質金属材料を得た。その後、表1に示すように、各実施例、比較例に応じて、多孔質金属材料に対してマイクロエッチングを施すエッチング工程、ロールプレス圧延を行う圧延工程を行い、多孔質金属体を製造した。実施例1、3、5〜15では、先にエッチング工程、その後に圧延工程を行い、実施例2では、先に圧延工程、その後にエッチング工程を行った。
このようにして製造した多孔質金属体について、先に述べた方法により、ポアサイズ、厚み、表面積、ポロシティ、比重をそれぞれ測定した。その結果も表1に示す。
表1に示すところから、マイクロエッチングを施した実施例1〜15では、当該エッチングで骨格表面が粗くなって表面積が増大したことにより、表面積が500cm2/cc以上となったことが解かる。これに対し、エッチング工程を行わなかった比較例1及び2では、表面積を有意に増大させることができず、表面積が500cm2/cc未満となった。
Claims (14)
- Cu及び不純物からなり、比表面積が500cm2/cc以上である多孔質金属体。
- 比表面積が2500cm2/cc以下である請求項1に記載の多孔質金属体。
- ポロシティが90%〜98%である請求項1又は2に記載の多孔質金属体。
- ポアサイズが633μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
- ポアサイズが200μm〜500μmである請求項4に記載の多孔質金属体。
- 当該多孔質金属体の厚みが5μm〜25μmである請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
- Cuの含有量が99.9質量%〜99.995質量%である請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
- 前記不純物としてのNa、K、Fe、Co、Cr、Ni、Zn、O、N及びMoの合計含有量が0質量ppm〜1000質量ppmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の多孔質金属体を備える集電体。
- 請求項9に記載の集電体を備える電池。
- 多孔質樹脂材料にCu粉末を付着させる粉末付着工程と、前記Cu粉末が付着した多孔質樹脂材料を加熱し、前記Cu粉末を焼結させるとともに前記多孔質樹脂材料を熱分解により除去して、多孔質焼結材料を形成する焼結工程と、前記多孔質焼結材料に対して還元処理を行い、多孔質金属材料を得る還元工程と、前記多孔質金属材料に対し、マイクロエッチングを施すエッチング工程とを含む、多孔質金属体の製造方法。
- 前記多孔質金属材料に対し、ロールプレス圧延を行う圧延工程をさらに含み、
前記エッチング工程及び前記圧延工程を、それらの工程の順序を問わずそれぞれ行う、請求項11に記載の多孔質金属体の製造方法。 - 前記エッチング工程、前記圧延工程の順序でそれぞれの工程を行う、請求項12に記載の多孔質金属体の製造方法。
- 前記圧延工程で、圧下率を80%以下とする、請求項12又は13に記載の多孔質金属体の製造方法。
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