JP2019151812A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低ソリ性かつ低比重で、ガス発生量が少なく、高温時の機械物性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及びエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を合計で45〜100質量部で含有し、(B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)は6以下であり、さらにガラス繊維(D)を10〜100質量部含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関し、詳しくは、低ソリ性かつ低比重で、ガス発生量が少なく、高温時の機械物性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、それ自体で機械的特性、電気特性等が優れているほか、耐薬品性、耐熱性等も優れているので、各種の電気電子機器部品、および自動車などの車両用内外装部品、その他の一般工業製品製造用材料として広く使用されている。
特に、自動車用等の車両用内装部品、具体的には、例えば、室内のインナーミラーステイ、ドアハンドルなどにおいては、軽量、高強度・高剛性、および優れた外観が要求される。これら部品の製造用材料には、強化熱可塑性樹脂、中でも繊維強化ポリエステル樹脂が使用されている。
繊維強化ポリエステル樹脂から得られる成形品の強度や剛性を向上させるためには、基体となる熱可塑性ポリエステル樹脂に配合する繊維状強化材の量を増やす必要がある。しかし強化材の配合量を増やすと、繊維強化ポリエステル樹脂組成物の成形性(流動性)が低下し、配合した繊維状強化材が成形品表面に浮き出し易くなり、表面の荒れや光沢の低下などの、製品の外観の悪化や、成形品の反りなどの、成形品の収縮異方性(成形収縮率)等が問題となる。
これら繊維状強化材の添加により強度を向上させつつ、外観などの表面性を損なわないことを目的として、繊維状強化材の表面処理や、エポキシ樹脂やシランカップリング剤の使用などが提案されている(例えば、特許文献1〜2を参照)。
しかし、これら特許文献のように単に繊維状強化材に特別の処理を施すだけでは、得られる成形品の外観等の表面性は十分満足のいくものではなく、成形品の収縮異方性も問題となる。
車両用部品として、高い強度が求められる部品には、繊維状強化材を50質量%以上もの多量に配合されることになり、この場合、樹脂組成物の流動性がさらに低下し、繊維状強化材の浮き出しが激しくなって表面外観が著しく悪化する。
一方、繊維状強化材の添加量が少ないとソリが発生し易くなる。
成形品の外観、ソリを改良するため、繊維状強化材で強化したポリブチレンテレフタレート樹脂に、ブタジエン成分の分散粒子径を1μm以下と微細化したABS樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を添加する発明(特許文献3)が報告されている。
しかしながら、この発明でも外観性と低ソリ性をバランス良く保持することは決して容易ではない。
また、特に、自動車の内室における使用の場合、放出される有機物についての厳しいガイドラインであるVOC(volatile organic compounds)排出量の規制があり、車両内装部品にはこれをクリアすることが強く求められつつある。
特公昭51−7702号公報 特開2006−16557号公報 特許第3098308号公報
本発明の目的(課題)は、低ソリ性かつ低比重で、ガス発生量が少なく、高温時の機械物性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記した課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、特定量のアクリロニトリル−スチレン系共重合体、さらに特定量のエポキシ変性アクリル系重合体を配合したガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が上記した問題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
[1]ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及びエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を合計で45〜100質量部含有し、(B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)は6以下であり、さらにガラス繊維(D)を10〜100質量部含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
[2](B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)が0.5〜6である上記[1]に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
[3]ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析した際に検出されるスチレン系単量体の量が45ppm以下である上記[1]または[2]に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
[4]アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)が塊状重合品である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ソリが少なく、ガス発生量が少なく、VOC規制をクリアでき、低比重で、さらに車内の高温を想定した環境での機械的強度等の機械物性に優れるので、特に車両内装部品として好適に使用できる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下に記載する説明は実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及びエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を合計で45〜100質量部含有し、(B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)は6以下であり、さらにガラス繊維(D)を10〜100質量部含有することを特徴とする。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)]
本発明の樹脂組成物に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーと当該共重合体との混合物を含む。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を含んでいてもよく、他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ビス(4,4’−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
ジオール単位としては、1,4−ブタンジオールの外に他のジオール単位を含んでいてもよく、他のジオール単位の具体例としては、炭素原子数2〜20の脂肪族又は脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類等が挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ一ル、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノ一ルAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、上記した通り、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましいが、また、カルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/又はジオール単位として、前記1,4−ブタンジオール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよく、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)が、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類、特にはポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いることが好ましい。なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2モル%以上50モル%未満、より好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜20モル%である。このような共重合割合とすることにより、流動性、靱性、耐トラッキング性が向上しやすい傾向にあり、好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/tonである。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリアルキレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるのが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はこれらのエステル誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式又は連続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレクタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下又は減圧下固相重合させることにより、重合度(又は分子量)を所望の値まで高めることもできる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等を挙げることができる。
[アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を含有する。なお、本発明において、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)は、後記するエポキシ変性されたアクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)は含まないものとして定義される。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)は、アクリロニトリルとスチレン系単量体との共重合体であり、さらに他の共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましく、特にスチレンが好ましい。
スチレン系単量体とアクリロニトリル以外の他の共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物が挙げられるが、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有重合性不飽和化合物は除外される。
上記の中では(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく挙げられ、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、特にメチルメタアクリレートを挙げることができる。
なお、(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記はメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれをも含むことを示す。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)中のアクリロニトリル単量体は、5〜50質量%が好ましく、8〜35質量%がより好ましい。また、スチレン系単量体に由来する単位の含有率は、50〜95質量%が好ましく、65〜92質量%がより好ましい。
なお、本発明において、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)中のアクリロニトリル量の測定は、ケルダール法によって行われる。
また、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)のメルトボリュームレート(MVR)としては、220℃、荷重10kgで5〜100cm/10分の範囲にあることが好ましく、10〜80cm/10分がより好ましい。
また、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、6万〜22万の範囲にあることが好ましく、8万〜20万であることがより好ましい。
なお、本発明において、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって行われる。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)は、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)またはアクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)が好ましく、特にアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)が好ましい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を製造する方法は、制限はなく公知の方法が採用でき、例えば、塊状重合、乳化重合、溶液重合、懸濁重合等の方法が用いられるが、これらの中でも、塊状重合によるものが溶媒や乳化剤を使用しないため不純物が少なく本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からの発生ガスが少なくなることから好ましい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)は、市販されており、塊状重合品、乳化重合品、溶液重合品、懸濁重合品等が市販されているが、これらの中でも、塊状重合品が溶媒や乳化剤を使用しないため不純物が少なく本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からの発生ガス量が少なくなることから好ましい。
[エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を含有する。エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン共系重合体(C)は、特に限定されないが、不飽和グリシジル化合物とアクリロニトリルとスチレン系単量体との共重合体が好ましく、さらに他の共重合可能な単量体を共重合した共重合体であってもよい。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましく、特にスチレンが好ましい。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を構成する不飽和グリシジル化合物としては、エポキシ基含有重合性不飽和化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルエステル等の不飽和グリシジルエステル、あるいは、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル等が好ましく挙げられる。中でも不飽和グリシジルエステル類、特にエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸グリシジル、すなわちグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)が挙げられ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
また、エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)は、上記以外にさらに他の単量体を共重合していてもよいが、他の単量体は、エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)全体の50質量%未満まで、好ましくは30質量%未満、より好ましくは10質量%未満までの量で含むことができる。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)のエポキシ当量は、2000〜30000g/molが好ましく、より好ましくは4000〜28000g/molである。エポキシ当量が30000g/molを超えると、組成物中のエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体の分散が不十分となる場合があり、一方、2000g/mol未満では粘度が著しく上昇し、成形性が損なわれる場合がある。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)におけるアクリロニトリル化合物に由来する単位の含量は、共重合体(C)全体を100質量%として、通常2〜50質量%、好ましくは20〜30質量%であり、スチレン系単量体に由来する単位の含量は、通常50〜98質量%、好ましくは70〜80質量%、不飽和グリシジル化合物に由来する単位の含量は通常0.1〜1.0質量%、好ましくは0.2〜0.8質量%である。
なお、本発明において、エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B2)中のアクリロニトリル量の測定は、ケルダール法によって行われる。また、不飽和グリシジル化合物の測定は、JIS K7236に準拠する測定によって行われる。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)のMVRは、220℃、荷重10kgで、5〜100cm/10minが好ましく、また、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは6万〜22万であり、より好ましくは7万〜20万である。質量平均分子量(Mw)の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって行われる。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を製造する方法は、制限はなく公知の方法が採用でき、例えば、塊状重合、乳化重合、溶液重合、懸濁重合等の方法が用いられるが、これらの中でも、塊状重合によるものが溶媒や乳化剤を使用しないため不純物が少ないことから好ましい。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)は、市販されており、塊状重合品、乳化重合品、溶液重合品、懸濁重合品等が市販されているが、これらの中でも、塊状重合品が溶媒や乳化剤を使用しないため不純物が少ないことから好ましい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及びエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)の含有量は、両者の合計で、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、45〜100質量部であり、かつ(B)の含有量と(C)の含有量の質量比(B)/(C)は6以下である。(B)と(C)の合計の含有量が45質量部未満では非晶性樹脂の割合が低いため収縮率が大きくなることで、成形品に反りを生じることとなり、100質量部を超えると非晶性樹脂の割合が高いため耐熱性が低下することに加え、85℃雰囲気曲げ強度や、ウェルド強度が低下する。(B)と(C)の合計の含有量は、好ましくは50質量部以上、より好ましくは55質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上、特に65質量部超であることが好ましく、好ましくは95質量部以下であり、より好ましくは90質量部以下である。また、質量比(B)/(C)が6を超えると、エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体の分散が不十分となり高い温度環境での機械特性が低下する。(B)/(C)は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、中でも3以下、特に2以下が好ましく、その下限は好ましくは0.5である。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)単独での含有量は、上記質量比(B)/(C)を満たすことを条件に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは5〜85質量部の範囲から選択されることが好ましい。
エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)単独での含有量は、上記質量比(B)/(C)を満たすことを条件に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは5〜90質量部の範囲から選択されることが好ましい。
本発明においては、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及び/又はエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)としては、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析した際、前記したスチレン系単量体の量が600(質量)ppm以下であるものを用いることが好ましい。また、(B)及び(C)の両方からのスチレン系単量体の合計も、600(質量)ppm以下であることがより好ましい。
スチレン系単量体ガス量が600ppm以下であることで、成形時のガス発生量が少なくなり、また成形体としたときの成形体からのガス発生量が小さいので、例えば車両内装部品として際のVOCの問題が解決され、また成形時にガスが少ないため成形体の外観も改善される。一方、600ppmを超えると、車両用内装部品とした場合のVOC問題の解決が難しくなり、また外観も悪いものとなりやすい。スチレン系単量体の量はより好ましくは550ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、特に好ましくは200ppm以下であり、また、その下限としては通常50ppmである。50ppm未満にするには経済性を度外視するような精製を要するので、好ましくない。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)又はエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)として、(B)または(C)の一方又はそれぞれを複数種用いる場合には、そのそれぞれの重合体からのスチレン系単量体ガス量と、使用するそれぞれの質量比とから、計算される合計の量である。
なお、スチレン系単量体及び後述するエチルベンゼンの量は、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析することにより求められるが、測定値を、共重合体の質量あたりの値に換算して求める量(単位:質量ppm)であり、その具体的な条件は、実施例に詳記される通りである。
また、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析した際のスチレン系単量体及びエチルベンゼンの合計は650(質量)ppm以下であることが好ましい。両者の合計のガス量が650ppm以下であることで、成形時のガス発生量が少なくなり、また成形体としたときの成形体からのガス発生量が小さいので、例えば車両内装部品とした際のVOCの問題が解決され、また成形時のガスが少ないため成形体の外観も改善される。両者の合計のガス量はより好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは400ppm以下であり、また、その下限としては通常150ppmである。150ppm未満にするには経済性を度外視するような精製を要するので、好ましくない。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及び/又はエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)中のスチレン系単量体や、スチレン系単量体とエチルベンゼンとの合計量を上記範囲にするには、アクリロニトリル−スチレン系共重合体の重合後の脱揮工程の構成や脱揮工程の運転条件を強化することにより可能となる。懸濁重合等の場合には、適当な温度及び真空中において得られた共重合体ラテックスのストリッピングを行うか、または高温水蒸気で凝固を行うか、あるいは高温水蒸気を用いて減圧状態でストリッピングを行うとか、また、その凝固した共重合体を高温の水で洗浄して更に真空下において乾燥する等の方法が挙げられる。また、塊状重合では真空脱揮装置における真空度、供給速度または加熱温度を調整することにより可能となる。
また、市販品の中から条件を満たすものを選択するか、あるいは市販品をさらに乾燥して所望のスチレン系単量体やエチルベンゼンの量とすることでも可能である。
[ガラス繊維(D)]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ガラス繊維(D)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、10〜100質量部含有する。含有量が10質量部未満の場合は補強効果が十分でない場合があり、また100質量部を超える場合は、外観や耐衝撃性が劣り、流動性が十分でない場合がある。ガラス繊維(D)の好ましい含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、45質量部以上であり、より好ましくは55質量部以上、さらに好ましくは65質量部以上、特には70質量部以上が好ましく、また、好ましくは95質量部以下であり、より好ましくは90質量部以下である。このようにガラス繊維(D)を含有することで、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の強度、剛性、寸法安定性を向上させることができる。
ガラス繊維(D)の種類は、特に制限はなく、例えばEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス等のガラス繊維を挙げることができる。これらの中で、Eガラスの繊維がポリブチレンテレフタレート樹脂の熱安定性に悪影響を及ぼさない点で好ましい。
ガラス繊維(D)の平均繊維径は特に制限されないが、1〜100μmの範囲で選ぶことが好ましく、より好ましくは2〜50μm、更に好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmである。平均繊維径が1μm未満のガラス繊維は、製造が容易でなく、コスト高になる恐れがあり、一方100μmを超えると、ガラス繊維の引張強度が低下する恐れがある。なお、繊維断面は円形であっても扁平状であっても構わない。
ガラス繊維(D)は、繊維断面が真円形であっても扁平であってもよいが、繊維断面の扁平率(長径/短径)が1〜1.5の断面がほぼ円形のガラス繊維であることが好ましい。この扁平率は1〜1.4が好ましく、1〜1.2がより好ましく、1〜1.1が特に好ましい。
なお扁平率の値は、成形品の高温灰化、溶剤による溶解、並びに薬品による分解等の処理で採取される充填剤残渣のガラス繊維2000本を光学顕微鏡にて観察した画像から画像解析装置によって算出される平均値である。
ガラス繊維(D)の平均繊維長は、特に限定されないが、例えば1〜10mmであることが好ましく、1.5〜6mmであることがより好ましく、2〜5mmであることがさらに好ましい。ガラス繊維(D)の平均繊維長が1mm未満であると、補強効果が十分に発現しない恐れがあり、10mmを超えると、得られる樹脂組成物の成形が困難になる恐れがある。
なお、平均繊維長は、成形品の高温灰化、溶剤による溶解、並びに薬品による分解等の処理で採取される充填材残渣のガラス繊維2000本を光学顕微鏡にて観察した画像から画像解析装置によって算出される数平均繊維長の値である。また、かかる値の算出に際しては繊維径を目安にそれ以下の長さのものはカウントしない方法による値である。
本発明で使用するガラス繊維(D)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)との密着性を向上させる目的で、アミノシラン、エポキシシラン等のカップリング剤などにより表面処理を行うことができる。
カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン等のクロロシラン系化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン系化合物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系化合物や、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、チタネート系化合物、エポキシ系化合物などを挙げることができる。
また、本発明に使用するガラス繊維(D)は、通常はこれらの繊維を多数本集束したものを、所定の長さに切断したチョップドストランド(チョップドガラス繊維)として用いることが好ましく、このときガラス繊維には収束剤を配合することが好ましい。収束剤を配合することで本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の生産安定性が高まる利点に加え、良好な機械物性を得ることができる。
ガラス繊維(D)の集束剤としては特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂エマルジョン等を挙げることができ、好ましくはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂である。
[その他含有成分]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、必須成分以外の他の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
ただし、必須成分以外の樹脂を含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、20質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらには5質量部以下、特には3質量部以下とすることが好ましい。
また、上記した以外の種々の添加剤を含有していてもよく、このような添加剤としては、安定剤、カーボンブラック、離型剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。
[安定剤]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤、イオウ系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましく、特に好ましいのは、フェノール系安定剤である。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル(ホスファイト)、3価のリン酸エステル(ホスホナイト)、5価のリン酸エステル(ホスフェート)等が挙げられ、中でも有機ホスファイト、ホスホナイト、ホスフェート化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(RO)3−nP(=O)OH
(式中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
で表される化合物である。より好ましくは、Rが炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社の商品名「アデカスタブ AX−71」として、市販されている。
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
O−P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
−P(OR)(OR
(式中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素原子数6〜30のアリール基である。)
で表される化合物が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
イオウ系安定剤としては、従来公知の任意のイオウ原子含有化合物を用いることが出来、中でもチオエーテル類が好ましい。具体的には例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイトが挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)が好ましい。
フェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−ネオペンチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
中でも、融点が150℃以上のヒンダードフェノール系安定剤を用いることが好ましい。融点が150℃以上であると、安定剤自身の熱安定性が高くなるため、変質して安定化の効果を失ったり、溶融混練等の樹脂組成物製造時や射出成形等の高温度環境下でもガスが生成しにくくなる。融点は、より好ましくは180℃以上であり、さらに好ましくは200℃以上であり、特に好ましくは220℃以上である。融点の上限は通常350℃以下であり、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは280℃以下である。
安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
安定剤の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.001〜1.5質量部である。安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、1.5質量部を超えると、過剰量となりシルバーストリークの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。安定剤の含有量は、より好ましくは0.005〜1.2質量部であり、更に好ましくは、0.01〜1.0質量部である。
[カーボンブラック]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、カーボンブラックを含有することも好ましい。カーボンブラックを含有することで、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び成形品の耐侯性や外観等が向上する。
カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。その数平均粒子径には特に制限はないが、5〜60nmであることが好ましい。このように数平均粒子径が所定の範囲にあるカーボンブラックを用いることにより、高温下でブリスターが発生し難い組成物を得ることができる。
なお、数平均粒子径は、ASTM D3849規格(カーボンブラックの標準試験法−電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算術平均して求めることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(単位:m/g)は、通常1,000m/g未満が好ましく、中でも50〜400m/gであることが好ましい。窒素吸着比表面積を1,000m/g未満にすることで、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の流動性や成形品の外観が向上する傾向にあり好ましい。なお、窒素吸着比表面積はJIS K6217に準拠して測定することができる。
また、カーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸収量は、300cm/100g未満であることが好ましく、中でも30〜200cm/100gであることが好ましい。DBP吸収量を300cm/100g未満にすることで、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の流動性や成形品の外観が向上する傾向にあり好ましい。なお、DBP吸収量(単位:cm/100g)はJIS K6217に準拠して測定することができる。
また使用するカーボンブラックは、そのpHについても特に制限はないが、通常、2〜10であり、3〜9であることが好ましく、4〜8であることがさらに好ましい。
カーボンブラックは、一種を単独でまた2種以上併用して使用することができる。更にカーボンブラックは、バインダーを用いて顆粒化することも可能であり、他の樹脂中に高濃度で溶融混練したマスターバッチでの使用も可能である。溶融混練したマスターバッチを使用することによって、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良が達成できる。上記樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
マスターバッチ中のカーボンブラックの含有量は10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。
カーボンブラックの含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.08質量部以上、特に0.1質量部以上であり、また、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下、特に好ましくは1.0質量部以下である。含有量が0.01質量部未満であると耐候性が不十分となる場合があり、5質量部を超えると、成形性、耐衝撃性等の機械的特性が低下しやすい傾向にある。
[離型剤]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、モンタン酸エステルワックス、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。また、数平均分子量は、好ましくは200〜30000であり、より好ましくは1000〜15000であり、さらに好ましくは1500〜10000であり、特に好ましくは2000〜5000である。脂肪族炭化水素化合物は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
本発明において、離型剤としては、耐熱性の観点からポリオレフィンワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスとしては、従来公知の任意のものを使用でき、例えば、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10の、オレフィンの一種、または任意の割合の二種以上を含む(共)重合体(重合または共重合を意味する。以下同様。)が挙げられる。
炭素数2〜30のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、炭素数4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィン、および炭素数4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエンが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンが挙げられる。ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、11−ドデカジエン等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、離型性と耐熱性の点から、ポリエチレンワックスが好ましい。
ポリエチレンワックスの製造方法は任意であり、例えば、エチレンの重合やポリエチレンの熱分解により製造することができる。
離型剤としては、酸価が10〜40mgKOH/gのものが、離型抵抗が小さく離型性の改良効果が著しく、揮発分が少ない点から好ましい。酸価は、より好ましくは11〜35mgKOH/g、さらに好ましくは12〜32mgKOH/gである。酸価が10〜40mgKOH/gの範囲となれば、酸価が10mgKOH/g未満のものと40mgKOH/gを超えるものを併用してもよく、複数種類の離型剤全体としての酸価が、10〜40mgKOH/gとなればよい。
酸価が10〜40mgKOH/gの離型剤としては、上記した脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルであって酸価が10〜40mgKOH/gのものや、上記した脂肪族炭化水素化合物、好ましくはポリオレフィンワックスに、カルボキシル基(カルボン酸(無水物)基、即ちカルボン酸基および/またはカルボン酸無水物基を表す。以下同様。)、ハロホルミル基、エステル基、カルボン酸金属塩基、水酸基、アルコシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等の、ポリエステル樹脂と親和性のある官能基を付与した変性ポリオレフィンワックスが好ましい。
ポリオレフィンワックスの変性に用いるカルボキシル基としては、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などのカルボン酸基を含有する低分子量化合物、スルホン酸などのスルホ基を含有する低分子量化合物、ホスホン酸などのホスホ基を含有する低分子量化合物などを挙げることができる。これらの中でもカルボン酸基を含有する低分子量化合物が好ましく、特にマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などが好ましい。これらのカルボン酸は、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
変性ポリオレフィンワックスにおける酸の付加量としては、変性ポリオレフィンワックスに対して、通常、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。
ハロホルミル基としては具体的には例えば、クロロホルミル基、ブロモホルミル基等が挙げられる。これらの官能基を、ポリオレフィンワックスに付与する手段は、従来公知の任意の方法によれば良く、具体的には例えば、官能基を有する化合物との共重合や、酸化などの後加工など、いずれの方法でもよい。
官能基の種類としては、ポリエステル樹脂と適度な親和性があることから、カルボキシル基であることが好ましい。変性ポリオレフィンワックスにおけるカルボキシル基の濃度としては、適宜選択して決定すればよいが、低すぎるとポリエステル樹脂との親和性が小さく、揮発分の抑制効果が小さくなり、また離型効果が低下する場合がある。逆に濃度が高すぎると、例えば、変性の際にポリオレフィンワックスを構成する高分子主鎖が過度に切断さて、変性ポリオレフィンワックスの分子量が低下し過ぎることで揮発分の発生が多くなり、ポリエステル樹脂成形体表面に曇りが発生する場合がある。
変性ポリオレフィンワックスとしては、酸化ポリエチレンワックスが好ましい。
なお、離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
離型剤の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1.5質量部以下である。離型剤の含有量が上記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が上記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する方法としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)、エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)、及び所望により添加されるその他樹脂成分及び種々の添加剤を、一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。ガラス繊維(D)はサイドフィードすることが好ましい。また、一部をマスターバッチ化したものを配合して溶融混練してもよい。さらには、予め各成分を混合した混合物を、溶融混練することなく、そのまま射出成形機等の成形機に供給し、各種成形品を製造することも可能である。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、外観不良の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、低アウトガスであるため、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析した際に検出されるスチレン系単量体の量が好ましくは45(質量)ppm以下にまですることが可能となる。樹脂組成物のスチレン系単量体ガス量が45ppm以下であることで、車両内装部品として使用した場合等にもVOCの問題が解決され、また成形時の外観も改善される。一方、45ppmを超えると、車両用内装部品としてのクリーン性が悪化しVOC問題の解決が難しくなり、また成形時の外観も悪いものとなりやすい。樹脂組成物中のスチレン系単量体ガスの量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは20ppm以下であり、また、その下限としては通常2ppmである。
なお、樹脂組成物中のスチレン系単量体ガスの量は、270℃、10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析することにより求められるが、測定値を、樹脂組成物の質量あたりの値に換算して求める量(単位:質量ppm)であり、その具体的な条件は、実施例に詳記される通りである。
また、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析した際に検出されるエチルベンゼンの量が好ましくは3(質量)ppm以下にまですることが可能となる。このようにすることで、車両内装部品として使用した場合等にもVOCの問題が解決され、また成形時の外観も改善される。
なお、樹脂組成物中のエチルベンゼンガスの量は、270℃、10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析することにより求められるが、測定値を、樹脂組成物の質量あたりの値に換算して求める量(単位:質量ppm)であり、その具体的な条件は、実施例に詳記される通りである。
また、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析した際に検出されるスチレン系単量体とエチルベンゼンの合計量が、好ましくは45(質量)ppm以下にまですることが可能となる。このようにすることで、車両内装部品として使用した場合等にもVOCの問題が解決され、また成形時の外観も改善される。樹脂組成物中のスチレン系単量体とエチルベンゼンの合計量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは20ppm以下であり、また、その下限としては通常3ppmである。
樹脂組成物のスチレン系単量体ガス量を45ppm以下にするには、上記したアクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)としてスチレン系単量体ガス量が600ppm以下、好ましくは550ppm以下のものを用いるか、さらには上記したホスファイト系安定剤やヒンダードフェノール系安定剤等を配合する等により可能である。
また、樹脂組成物のエチルベンゼンガス量を3ppm以下にするには、例えば、上記したホスファイト系安定剤やヒンダードフェノール系安定剤等を配合する等により可能である。
[成形品]
上記したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いて成形品を製造する方法は、特に限定されず、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも、生産性と、得られる成形品の表面性が良好となるなど、本発明の効果が顕著であることから、射出成形法が好ましい。
本発明の組成物から成形された成形体中の揮発性有機化合物量(TVOC量)は、好ましくは30μgC/g以下、より好ましくは20μgC/g以下が可能となる。成形体のTVOC量を上記のようにするには、上記したアクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及び/又はエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)として、スチレン系単量体ガス量が600ppm以下、好ましくは550ppm以下のものを用いるか、さらにはホスファイト系安定剤やヒンダードフェノール系安定剤等を配合する等により可能である。
なお、成形体の揮発性有機化合物量(TVOC)の具体的測定方法は、実施例に詳記する通りである。
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を射出成形等により成形した成形品は、低ソリ性で、ガス発生量が少なく、高温時の機械物性に優れ、また低比重であるので、これらの特性が厳しく求められる車両内装部品として特に好適に使用できる。
車両内装部品としては、自動車、列車、電車などの車両用の内装部品であり、車両室内の例えば、インナーミラーステイ、エアコン用ウェーブルーバー、ドアハンドル、取っ手、ドア、サンルーフ、シートベルト、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、各種ハウジング、スイッチ、クリップ等が好ましく挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
[アクリロニトリル−スチレン共重合体(B1)の製造例]
完全混合型攪拌槽である第一反応器と攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。アクリロニトリル30質量%、スチレン70質量%を含有するモノマー溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで130℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後65kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で220℃に加温した後1.0kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存モノマーと溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル−スチレン共重合体(B1)を得た。共重合体(B1)の組成(モノマー単位の質量比)は、表1に記載の通り、アクリロニトリル単位30質量%、スチレン単位70質量%であった。
[エポキシ変性アクリロニトリル−スチレン共重合体(C)の製造例]
アクリロニトリルとスチレンおよびグリシジルメタクリレートを懸濁重合し、ビーズ状のエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン共重合体を調製した。この共重合体の各成分の割合は、アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレートの質量比で25/75/0.4質量%であった。
上記表1におけるアクリロニトリル−スチレン共重合体の質量平均分子量(Mw)、アクリロニトリル共重合量(質量%、「PAN比率」)は、前述した通りの方法で測定した。また、MVRはタカラ工業(株)製メルトインデクサーを用いて、上記で得られたペレットを220℃、荷重2.16kgfの条件で測定した単位時間当たりの溶融流動体積MVR(単位:cm/10min)を測定した。
[スチレン量及びエチルベンゼン量の測定]
使用したアクリロニトリル−スチレン共重合体のスチレン量およびエチルベンゼン量の測定は、試料0.002gを外径6.35mm、長さ90mmのガラス製捕集管に収容し、270℃で10分間熱処理(Thermal Desorption法)して発生するガスを、以下のクロマトグラフにより行った。
測定機器:GCMS−QP2010(島津製作所社製)
カラム:UA−1701 内径0.25mm
キャリアガス:He
圧力:80kPa
カラム流量:1.4mL/min
カラムオーブン温度:50℃
気化室温度:25℃
検出器:コンバージョン・ダイノード付二次電子倍増管
イオン源温度:250℃
(実施例1〜11、比較例1〜4)
上記表1に示した各成分を表2以下に示す割合(全て質量部)にて、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30α」)を使用し、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練した樹脂組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
<樹脂組成物の評価>
[スチレン量及びエチルベンゼン量の測定]
得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のスチレン量およびエチルベンゼン量の測定は、試料0.02gを外径6.35mm、長さ90mmのガラス製捕集管に収容し、270℃、10分間熱処理(Thermal Desorption法)して発生するガスを、以下のクロマトグラフにより測定した。測定値を、共重合体あるいは樹脂組成物質量あたりの値に換算して、スチレンおよびエチルベンゼン量の発生量(単位:質量ppm)とした。
測定機器:GCMS−QP2010(島津製作所社製)
カラム:UA−1701 内径0.25mm
キャリアガス:He
圧力:80kPa
カラム流量:1.4mL/min
カラムオーブン温度:50℃
気化室温度:25℃
検出器:コンバージョン・ダイノード付二次電子倍増管
イオン源温度:250℃
[滞留増粘性(滞留ストランドの外観評価)]
キャピログラフ(東洋精機社製キャピログラフ1C)により、測定温度270℃、1φ×30mmのフラットなキャピラリーを用いて、上記で得られたペレットを投入後、30分滞留させ、せん断速度91.2sec−1で押出して製造したストランド(滞留ストランド)を得、その外観の良否を以下のA−Cの3段階で判断した。
A:ストランド表面につやが認められ、外観良好
B:ストランド表面に少しつやが認められ、外観はやや不良
C:ストランド表面のつやが全く認められず、外観不良
<成形体の評価>
[TVOCの測定]
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、100mm×100mm×2mm厚の成形体を射出成形した。揮発性有機化合物量TVOC(total volatile organic compounds)量の測定として、得られた成形体を10〜25mgに切断し、そのサンプル約2gをそれぞれ22mlのバイアル瓶に入れ、密封してHS−GC(ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置)で、120℃、5時間加熱処理を行った。そして、ガスクロマトグラフで検出された揮発有機物成分のピーク積分面積を算出し、アセトンを標準に重量換算し、成形体1gあたりのTVOC(単位:μgC/g)を求めた。
[85℃雰囲気曲げ強度]
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件でISO多目的試験片(4mm厚)を射出成形した。
ISO多目的試験片(4mm厚)を用い、ISO178に準拠して、85℃の温度で、曲げ強度(最大曲げ応力、単位:MPa)を測定した。
[反り量]
射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で、直径100mm、厚み1.6mmの円板をサイドゲート金型により成形し、円板の反り量(単位:mm)を求めた。
[総合評価]
以下の基準で総合評価を判断する。
A:成形体の評価の「反り量が5.0mm以下」、「85℃雰囲気曲げ強度が120MPa以上」、樹脂組成物の評価の「スチレン、エチルベンゼンの発生量55ppm以下」、「滞留増粘性がA又はB」の全ての条件を満たす。
B:上記A及び下記Cのいずれでもない。
C:成形体の評価の「反り量が6.0mm以上」、「85℃雰囲気曲げ強度が120MPa未満」、樹脂組成物の評価の「スチレン、エチルベンゼンの発生量55ppm超」、「滞留増粘性がD」のいずれかに該当する。
以上の評価結果を、以下の表2−3に示す。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、ソリが少なく、ガス発生量が少なく、VOC規制をクリアでき、また、高温での曲げ強度に優れるので、各種の成形品に使用でき、特に自動車等の車両用内装部品として好適に使用できる。

Claims (4)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)及びエポキシ変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体(C)を合計で45〜100質量部含有し、(B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)は6以下であり、さらにガラス繊維(D)を10〜100質量部含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. (B)と(C)の含有量の質量比(B)/(C)が0.5〜6である請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を、270℃で10分間熱処理して発生するガスをガスクロマトグラフで分析した際に検出されるスチレン系単量体の量が45ppm以下である請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)が塊状重合品である請求項1〜3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
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