JP2019151800A - 反射材用ポリエステル樹脂組成物およびそれを含む反射材 - Google Patents

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英人 小笠原
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英人 小笠原
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真理子 木田
航 牧口
Wataru Makiguchi
航 牧口
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Masanobu Maeda
正信 前田
信宏 滝沢
Nobuhiro Takizawa
信宏 滝沢
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Abstract

【課題】本発明の課題は、熱や光への暴露による反射率の低下が抑制された反射材を付与しうる、反射材用ポリエステル樹脂組成物を提供することである。【解決手段】融点もしくはガラス転移温度が250℃以上であるポリエステル樹脂(A)30質量部以上80質量部以下と、ヘテロ原子を含む官能基構造単位を0.2〜1.8質量%含む変性オレフィン重合体(B)0.1質量部以上5.0質量部以下と、未変性オレフィン重合体(C)0.1質量部以上5.0質量部以下と、白色顔料(D)5質量部以上50質量部以下と、無機充填材(E)1質量部以上50質量部以下とを含み、ただし、成分(A)〜(E)の合計は100質量部である、反射材用ポリエステル樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、反射材用ポリエステル樹脂組成物およびそれを含む反射材に関する。
発光ダイオード(LED)や有機ELなどの光源は、低電力や高寿命などの特長を活かして、照明やディスプレイのバックライトなどに幅広く使用されている。それらの光源からの光を効率的に利用するために、反射材が種々の局面で利用されている。
例えば、LEDパッケージは、基板とそれに一体的に成形された反射材とからなるハウジング部と、ハウジング内部に配置されたLEDと、LEDを封止する透明な封止部材とで主に構成されうる。このようなLEDパッケージは、1)基板上に成形された反射材からなるハウジング部を得る工程、2)ハウジング部内にLEDを配置し、LEDと基板とを電気的に接続する工程、3)LEDを封止剤で封止する工程を経て製造されうる。
上記3)の封止工程では、封止剤を熱硬化させるために100〜200℃の温度で加熱することから、そのような加熱下においても反射材は、反射率を維持できることが求められる。さらに、LEDパッケージをプリント基板に実装する際のリフローはんだ工程では、LEDパッケージが250℃以上もの高温に曝されることから、そのような加熱下においても反射材は反射率を維持できることが求められる。さらに、使用環境下において、LEDから発生する熱や光に曝されても、反射率を維持できることが求められる。
これらの要求に対して、反射材の反射率を低下させることなく、その強度や耐熱性を高めた反射材が求められている。例えば、特許文献1には、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタラート(PCT)と、高分子強化剤としてグリシジルメタクリレート重合体等とを含む組成物を用いた、LED用のハウジングが開示されている。
また、特許文献2には、反射率、耐熱性、機械的特性に優れた反射材を目的とした、耐熱性ポリエステル樹脂と、所定のガラス繊維と、白色顔料と、変性オレフィン重合体とを含有する、反射材用のポリエステル樹脂組成物が開示されている。
特表2009−507990号公報 国際公開第2014/181548号
特許文献1や特許文献2に開示された、耐熱性ポリエステル樹脂を含む組成物を用いた反射材は、熱や光への暴露によって発生する変色を十分に抑制できるものではなかった。特に特許文献1に記載のポリシクロヘキサンジメチレンテレフタラートは、シクロヘキサン環に由来する3級炭素を有するため、高温処理時の変色や光照射時の劣化が生じやすい。そのため、機械強度に優れ、且つLEDパッケージの製造時や実装時に受ける熱や、使用環境下で光源から受ける熱や光によって生じる変色などが少なく、反射率の低下が抑制された反射材が求められている。
さらに、LEDの高輝度化に伴い、LEDパッケージに用いられる反射材には、さらなる白色度の向上と反射率の向上とが求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熱や光への暴露による反射率の低下が抑制された反射材を付与しうる、反射材用ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
[1] 示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)もしくはガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるポリエステル樹脂(A)30質量部以上80質量部以下と、
ヘテロ原子を含む官能基構造単位を0.2〜1.8質量%含む、変性オレフィン重合体(B)0.1質量部以上5.0質量部以下と、
官能基構造単位を含まない、未変性オレフィン重合体(C)0.1質量部以上5.0質量部以下と、
白色顔料(D)5質量部以上50質量部以下と、
無機充填材(E)1質量部以上50質量部以下とを含み、
ただし、前記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計は100質量部である、反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[2] 前記変性オレフィン重合体(B)の骨格部分が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である、[1]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[3] 前記変性オレフィン重合体(B)の前記官能基構造単位が、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、及びケトン基からなる群から選ばれる官能基を含む、[1]または[2]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[4] 前記変性オレフィン重合体(B)の前記官能基構造単位が、不飽和カルボン酸基またはその誘導体由来の構造単位である、[3]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[5] 前記変性オレフィン重合体(B)の前記官能基構造単位が、無水マレイン酸由来の構造単位である、[4]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[6] 前記未変性オレフィン重合体(C)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重体である、[1]〜[5]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[7] 前記変性オレフィン重合体(B)の含有質量Wと、前記未変性オレフィン重合体(C)の含有質量Wとの比であるW/Wが、下記式(1)の関係を満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
式(1): 5/95 ≦ W/W ≦ 50/50
[8] 前記ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)と、ジアルコールに由来する成分単位(a2)とを含み、
前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)が、前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)の合計100モル%に対して、テレフタル酸に由来する成分単位を30モル%以上100モル%以下と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位を0モル%以上70モル%以下とを含み、
前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)が、炭素原子数4以上20以下の脂環族ジアルコールに由来する成分単位および脂肪族ジアルコールに由来する成分単位の少なくとも一方を含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[9] 前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)が、シクロヘキサン骨格を有する脂環族ジアルコールに由来する成分単位を含む、[8]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[10] 前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)が、前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)の合計100モル%に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分単位を30モル%以上100モル%以下と、前記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を0モル%以上70モル%以下とを含む、[8]または[9]に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[11] 前記無機充填材(E)が、ガラス繊維である、[1]〜[10]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物を含む、反射材。
[13] 発光ダイオード素子用の反射材である、[12]に記載の反射材。
本発明によれば、熱や光への暴露による反射率の低下が抑制された反射材を付与しうる、反射材用ポリエステル樹脂組成物を提供することができる。
1.反射材用ポリエステル樹脂組成物
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)と、変性オレフィン重合体(B)と、未変性オレフィン重合体(C)と、白色顔料(D)と、無機充填材(E)とを含有する。
1−1.ポリエステル樹脂(A)
ポリエステル樹脂(A)の、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)もしくはガラス転移温度(Tg)は、250℃以上である。融点やガラス転移温度が250℃以上であると、例えばリフローはんだ工程などで高温に晒されても、ポリエステル樹脂組成物の成形体(反射材)の熱による変色や変形などを抑制しうる。ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)もしくはガラス転移温度(Tg)は、350℃以下であることが好ましい。融点もしくはガラス転移温度が350℃以下であると、溶融成形の際に、ポリエステル樹脂(A)の分解を抑制しやすい。ポリエステル樹脂(A)の、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)もしくはガラス転移温度(Tg)は、280℃以上335℃以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)の融点は、示差走査熱量計(DSC)により、JIS−K7121に準拠して測定されうる。具体的には、測定装置としてX−DSC7000(SII社製)を準備する。この装置に、ポリエステル樹脂(A)の試料を封入したDSC測定用パンをセットし、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で320℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の降温測定で30℃まで降温する。そして、昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度を「融点」とする。
ポリエステル樹脂(A)は、ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)と、ジアルコールに由来する成分単位(a2)とを含むことが好ましい。
ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)は、テレフタル酸に由来する成分単位を30モル%以上100モル%以下と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位を0モル%以上70モル%以下とを含むことが好ましい。ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)に含まれるテレフタル酸に由来する成分単位の割合は、より好ましくは40モル%以上100モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以上100モル%以下でありうる。テレフタル酸に由来する成分単位の含有量が高いと、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性がより高まる。ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)に含まれるテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位の割合は、より好ましくは0モル%以上60モル%以下であり、さらに好ましくは0モル%以上40モル%以下でありうる。ただし、ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)の合計量を100モル%とする。
テレフタル酸に由来する成分単位(a1−1)は、テレフタル酸、またはテレフタル酸エステルに由来する成分単位でありうる。テレフタル酸エステルは、好ましくはテレフタル酸の炭素原子数1以上4以下のアルキルエステルであり、その例にはジメチルテレフタレートなどが含まれる。
テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位(a1−2)の例には、イソフタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびこれらの組み合わせに由来する成分単位、ならびにこれらの芳香族ジカルボン酸のエステル(好ましくは芳香族ジカルボン酸の炭素原子数1以上4以下のアルキルエステル)に由来する成分単位が含まれる。
ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)は、上記成分単位とともに、少量の、脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位や分子内に3以上のカルボン酸基を有する多価カルボン酸に由来する成分単位をさらに含んでもよい。ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)に含まれる脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位と多価カルボン酸に由来する成分単位の割合は、合計で、例えば10モル%以下としうる。
脂肪族ジカルボン酸の炭素原子数は、特に制限されないが、4以上20以下であることが好ましく、6以上12以下であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸の例には、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸が含まれる。中でも、アジピン酸が好ましい。多価カルボン酸の例には、トリメリット酸およびピロメリット酸を含む三塩基酸、ならびに多塩基酸が含まれる。
ジアルコールに由来する成分単位(a2)は、炭素原子数4以上20以下の脂環族ジアルコールに由来する成分単位および/または脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を含むことが好ましい。
脂環族ジアルコールに由来する成分単位(a2−1)は、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性を高め、かつ吸水性を低減しうる。脂環族ジアルコールの例には、炭素原子数4以上20以下の脂環式炭化水素骨格を有するジアルコール、例えば1,3−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオールおよび1,4−シクロヘプタンジメタノールが含まれる。中でも、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性がより高まり、吸水性がより低減され、かつ入手が容易であるなどの観点からは、シクロヘキサン骨格を有する化合物が好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。
脂環族ジアルコールには、シス/トランス構造等の異性体が存在するが、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性をより高める観点からは、ポリエステル樹脂(A)は、トランス構造の脂環族ジアルコールに由来する成分単位をより多く含むことが好ましい。したがって、脂環族ジアルコールに由来する成分単位のシス/トランス比は、好ましくは50/50〜0/100であり、さらに好ましくは40/60〜0/100である。
脂肪族ジアルコールに由来する成分単位(a2−2)は、ポリエステル樹脂組成物の溶融流動性をより高める。脂肪族ジアルコールの例には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコールおよびドデカメチレングリコールが含まれる。
ジアルコールに由来する成分単位(a2)は、脂環族ジアルコールに由来する成分単位(a2−1)と脂肪族ジアルコールに由来する成分単位(a2−2)のうち、いずれか一方のみを含んでもよいし、両方を含んでもよい。ジアルコールに由来する成分単位(a2)は、脂環族ジアルコールに由来する成分単位(好ましくはシクロヘキサン骨格を有するジアルコールに由来する成分単位、より好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分単位)を30モル%以上100モル%以下と、脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を0モル%以上70モル%以下とを含むことが好ましい。ジアルコールに由来する成分単位(a2)に含まれる脂環族ジアルコールに由来する成分単位(好ましくはシクロヘキサン骨格を有するジアルコールに由来する成分単位、より好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分単位)の割合は、より好ましくは50モル%以上100モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以上100モル%以下である。ジアルコールに由来する成分単位(a2)に含まれる、脂肪族ジアルコールに由来する成分単位の割合は、より好ましくは0モル%以上50モル%以下であり、さらに好ましくは0モル%以上40モル%以下である。ただし、ジアルコールに由来する成分単位(a2)の合計量を100モル%とする。
ジアルコールに由来する成分単位(a2)は、上記成分単位とともに、少量の、芳香族ジオールに由来する成分単位をさらに含んでもよい。芳香族ジアルコールの例には、ビスフェノール、ハイドロキノンおよび2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンが含まれる。ジアルコールに由来する成分単位(a2)に含まれる芳香族ジアルコールに由来する成分単位の割合は、例えば10モル%以下としうる。
ポリエステル樹脂(A)の極限粘度[η]は、0.3dl/g以上1.2dl/g以下であることが好ましい。極限粘度が上記範囲にある場合、ポリエステル樹脂組成物の成形時の流動性がよく、機械的強度にも優れる。ポリエステル樹脂(A)の極限粘度は、例えば重縮合反応の進行度合い(重合温度、重合時間)や分子量調整剤(単官能のカルボン酸や単官能のアルコールなど)の添加などにより調整することができる。
ポリエステル樹脂(A)の極限粘度[η]は、以下の手順で測定することができる。
ポリエステル樹脂(A)をフェノールとテトラクロロエタンの50/50質量%の混合溶媒に溶解させて試料溶液とする。得られた試料溶液の流下秒数を、ウベローデ粘度計を用いて25℃±0.05℃の条件下で測定し、下記式に当てはめて極限粘度[η]を算出する。
[η]=ηSP/[C(1+kηSP)]
上記式において、各代数または変数は、以下を表す。
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
k:定数(溶液濃度の異なるサンプル(3点以上)の比粘度を測定し、横軸に溶液濃度、縦軸にηSP/Cをプロットして求めた傾き)
ηSPは、以下の式によって求められる。
ηSP=(t−t0)/t0
上記式において、各変数は、以下を表す。
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:溶媒の流下秒数(秒)
ポリエステル樹脂(A)は、公知の方法で製造してもよいし、市販のものを購入してもよい。ポリエステル樹脂(A)は、例えば分子量調整剤の存在下で、ジカルボン酸成分とジアルコール成分とを反応させて製造してもよい。それにより、ポリエステル樹脂(A)の極限粘度[η]を上記範囲に調整してもよい。
分子量調整剤の例には、モノカルボン酸およびモノアルコールが含まれる。モノカルボン酸の例には、炭素原子数2〜30の脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸が含まれる。なお、芳香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸は、環状構造部分に置換基を有していてもよい。脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノ−ル酸が含まれる。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、トルイル酸、ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸およびフェニル酢酸が含まれる。脂環族モノカルボン酸の例には、シクロヘキサンカルボン酸が含まれる。
分子量調整剤の添加量は、ジカルボン酸成分とジアルコール成分とを反応させる際の、ジカルボン酸成分の合計量1モルに対して0モル以上0.07モル以下、好ましくは0モル以上0.05モル以下としうる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂(A)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、30質量部以上80質量部以下である。ポリエステル樹脂(A)の含有量が30質量部以上であると、成形性を損なうことなく、リフローはんだ工程等に耐えうる耐熱性に優れた反射材用ポリエステル樹脂組成物が得られやすい。ポリエステル樹脂(A)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、40質量部以上70質量部以下であることが好ましく、50質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
1−2.変性オレフィン重合体(B)
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物に含まれる変性オレフィン重合体(B)は、ポリオレフィン単位と、官能基構造単位とを有するオレフィン重合体である。官能基構造単位が有する官能基の例には、ヘテロ原子を含む官能基や、芳香族炭化水素基などが含まれる。好ましくは、変性オレフィン重合体(B)は、ポリオレフィン単位と、ヘテロ原子を含む官能基を含む構造単位(官能基構造単位)とを有する熱可塑性樹脂である。
ヘテロ原子は、酸素であることが好ましく、ヘテロ原子を含む官能基は炭素、水素、酸素を含むことが好ましい。当該ヘテロ原子を含む官能基として、具体的には、エステル基、エーテル基、カルボン酸基(無水カルボン酸基を含む)、アルデヒド基、ケトン基を挙げることができる。
変性オレフィン重合体(B)には、変性オレフィン重合体(B)100質量%に対して、0.2〜1.8質量%の官能基構造単位が含まれる。変性オレフィン重合体(B)に含まれる官能基構造単位の含有率は、更に好ましくは0.2〜1.2質量%である。官能基構造単位が少な過ぎると、後述する樹脂組成物の靱性の改善効果が低い場合がある。これは、変性オレフィン重合体(B)とポリエステル樹脂(A)との相互作用が弱すぎ、変性オレフィン重合体(B)が凝集し易くなるためであると推察される。
一方、官能基構造単位が多過ぎると、ポリエステル樹脂(A)との相互作用が強くなり過ぎて溶融流動性が低下し、結果として成形性の低下を起こすことがある。また、この多過ぎる官能基が、熱や光による変性などを受けて着色を引き起し、結果として反射率の経時安定性が低下することがある。その他、官能基構造単位を多数オレフィン重合体に導入する場合、未反応の官能基含有化合物が残存しやすい傾向があり、これらの未反応化合物が、前記の変性による問題(着色など)を加速させる場合もある。
変性オレフィン重合体(B)に含まれる官能基構造単位の含有率は、オレフィン重合体と官能基含有機化合物とをラジカル開始剤などの存在下に反応させる際の仕込み比や、13C NMR測定やH NMR測定などの公知の手段で特定される。具体的なNMR測定条件としては、以下の様な条件を例示できる。
H NMR測定の場合、日本電子(株)製ECX400型核磁気共鳴装置を用い、溶媒は重水素化オルトジクロロベンゼンとし、試料濃度は20mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核はH(400MHz)、シーケンスはシングルパルス、パルス幅は5.12μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は500回以上とする条件でありうる。基準のケミカルシフトは、テトラメチルシランの水素を0ppmとするが、例えば、重水素化オルトジクロロベンゼンの残存水素由来のピークを7.10ppmとしてケミカルシフトの基準値とすることでも同様の結果が得られる。なお官能基含有化合物由来のHなどのピークは、常法によりアサインされる。
一方、13C NMR測定の場合、測定装置は日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シングルパルスプロトンデカップリング、45°パルス、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値とする条件でありうる。各種シグナルのアサインは常法を基にして行い、シグナル強度の積算値を基に定量することができる。
官能基構造単位の含有率を求めるための他の簡便な方法として、官能基含有率の異なる重合体を前記のNMR測定で官能基含有率を決定しておき、これらの重合体の赤外分光(IR)測定を行い、特定のピークの強度比を基に検量線を作成し、この結果を基にして官能基構造単位の含有率を決定する方法が挙げられる。この方法は、前述のNMR測定に比して簡便ではあるが、基本的にはベース樹脂や官能基の種類により、それぞれ対応する検量線を作成する必要がある。このような理由から、この方法は、例えば商用プラントでの樹脂生産における工程管理等に好ましく用いられる方法である。
一方、変性オレフィン重合体(B)の骨格部分は、ポリオレフィン由来の構造であることが好ましく、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体やこれらのオレフィンの共重合体等、公知のオレフィン重合体骨格が好ましい例として挙げられる。特に好ましいオレフィン重合体骨格は、エチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合体である。
変性オレフィン重合体(B)は、例えば、対応する公知のオレフィン重合体と対応する官能基を有する化合物とを、特定の比率で反応させることによって得ることができる。オレフィン重合体として好ましい例の一つがエチレンとα−オレフィンとの共重合体(すなわち、エチレン・α−オレフィン共重合体)である。以下、オレフィン重合体としてエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合について記載する。
(官能基を有する化合物と反応させる前の)前記エチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと他のオレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体である。前記エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等が含まれる。これらのうちでは、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体における、エチレンから導かれる構造単位は70〜99.5モル%、好ましくは80〜99モル%であり、α−オレフィンから導かれる構造単位は0.5〜30モル%、好ましくは1〜20モル%であるのが望ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、メルトフローレート(MFR、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.2N荷重)ASTM D1238による190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.01〜20g/10分、好ましくは0.05〜20g/10分であるものが好ましい。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は特に限定されず、例えばチタン(Ti)やバナジウム(V)系、クロム系(Cr)系、またはジルコニウム(Zr)系などの遷移金属触媒を用いて、公知の方法で調製することができる。より具体的には、V系化合物と有機アルミニウム化合物から構成されるチーグラー系触媒やメタロセン系触媒の存在下に、エチレンと1種以上の炭素数3〜10のα−オレフィンとを共重合させることによって製造する方法を例示することができる。特に、メタロセン系触媒を用いて製造する方法が好適である。
オレフィン重合体と反応させる官能基含有化合物の好ましい例には、不飽和カルボン酸またはその誘導体が含まれる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプトー5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸〔登録商標〕)等の不飽和カルボン酸、およびこれらの酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等の誘導体などが挙げられる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸もしくはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸(登録商標)、またはこれらの酸無水物が好適である。
官能基含有化合物の特に好ましい例として、無水マレイン酸を挙げることができる。無水マレイン酸は、前述のオレフィン重合体との反応性が比較的高く、それ自身が重合等による大きな構造変化が少なく、基本構造として安定な傾向がある。このため、安定した品質の変性オレフィン重合体(B)を得られるなどの様々な優位点がある。
エチレン・α−オレフィン共重合体を用いて変性オレフィン重合体(B)を得る方法の一例として、エチレン・α−オレフィン共重合体を、官能基構造単位に対応する官能基含有化合物で、所謂グラフト変性する方法が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体のグラフト変性は、公知の方法で行うことができる。例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体を有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液に不飽和カルボン酸またはその誘導体およびラジカル開始剤などを加え、通常60〜350℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させる方法を例示することが出来る。
上記有機溶媒は、エチレン・α−オレフィン共重合体を溶解することができる有機溶媒であれば特に制限されない。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
他のグラフト変性方法としては、押出機などを使用し、好ましくは溶媒を併用せずに、エチレン・α−オレフィン共重合体と、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体とを反応させる方法が挙げられる。この場合の反応条件は、反応温度を、通常、エチレン・α−オレフィン共重合体の融点以上、具体的には100〜350℃とすることができる。反応時間は、通常、0.5〜10分間とすることができる。
前記不飽和カルボン酸などの官能基含有化合物を、効率よくグラフト共重合させるために、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。
ラジカル開始剤の例には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3,1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルフェニルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−sec−オクトエート、t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびt−ブチルペルジエチルアセテートなどの有機ペルオキシドや有機ペルエステル、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどのアゾ化合物が用いられる。これらの中では、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。ラジカル開始剤は、変性前のエチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、通常0.001〜1質量部の割合で用いられる。
変性エチレン・α−オレフィン共重合体の好ましい密度は、0.80〜0.95g/cm、より好ましくは0.85〜0.90g/cmである。
さらに、変性エチレン・α−オレフィン共重合体の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)溶液中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは1.5〜4.5dl/g、より好ましくは1.6〜3dl/gである。[η]が上記の範囲内であれば、本発明のポリエステル樹脂組成物の靱性と溶融流動性とを高いレベルで両立することが出来る。
変性オレフィン重合体(B)の135℃、デカリン中の[η]は、常法に基づき、以下の様にして測定される。サンプル20mgをデカリン15mlに溶解し、ウベローデ粘度計を用い、135℃雰囲気にて比粘度(ηSP)を測定する。このデカリン溶液に更にデカリン5mlを加えて希釈後、同様の比粘度測定を行う。この希釈操作と粘度測定を更に2度繰り返した測定結果を基に、濃度(C)をゼロに外挿したときの「ηSP/C」値を極限粘度[η]とする。
本発明の変性オレフィン重合体(B)のメルトフローレート(MFR、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.2N荷重)は0.01〜20g/10分であることが好ましく、0.1〜20g/10分であることがより好ましい。MFRが0.01g/10分未満の場合は流動性が悪く、20g/10分を超える場合は成形品の形状によっては衝撃強度が低くなる場合もある。
本発明の樹脂組成物中の変性オレフィン重合体(B)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、0.1質量部以上5.0質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上3.0質量部以下である。変性ポリオレフィン重合体の含有量が5.0質量部を超えると耐熱性の低下を引き起こすため好ましくない。また変性ポリオレフィン重合体の含有量が0.1質量部未満になると耐衝撃性の発現が困難になるため好ましくない。
1−3.未変性オレフィン重合体(C)
本発明の未変性オレフィン重合体(C)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ1−ブテン、ポリ1−ペンテン、ポリメチルペンテンなどの単独重合体、未変性のエチレン・α−オレフィン共重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体、(エチレンおよび/またはプロピレン)とビニルアルコールエステルとの共重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合体、および、そのブロック共重合体の水素化物などが用いられる。なかでも、未変性のエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
本発明で使用される未変性オレフィン重合体(C)として用いられる好ましいエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体はである。上記の炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例に特に限定はないが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも炭素数6から12であるα−オレフィンを用いた共重合体が、機械強度の向上が見られるためより好ましい。
本発明の未変性オレフィン重合体(C)のメルトフローレート(MFR、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.2N荷重)は0.01〜20g/10分であることが好ましく、0.1〜20g/10分であることがより好ましい。MFRが0.01g/10分未満の場合は流動性が悪く、20g/10分を超える場合は成形品の形状によっては衝撃強度が低くなる場合もある。
本発明の樹脂組成物中の未変性オレフィン重合体(C)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、0.1質量部以上5.0質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上3.0質量部以下である。変性ポリオレフィン樹脂の含有量が5.0質量部を超えると、耐衝撃性の発現が困難になるため好ましくない。
尚、未変性オレフィン重合体(C)は、変性オレフィン重合体(B)の骨格部分を構成するオレフィン重合体と同一であっても異なっていてもよい。
本発明の樹脂組成物中の変性オレフィン重合体(B)と、未変性オレフィン重合体(C)との比は5/95≦ W/W≦ 50/50であることが好ましく、10/90≦ W/W≦ 30/70であることがより好ましい。この範囲にあると、初期反射率が高く、かつLEDパッケージの製造工程や実装時のリフローはんだ工程などの熱や、使用環境下で光源から生じる熱や光に曝されても、反射率の低下が少ない反射材を得ることができる。
1−4.白色顔料(D)
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物に含まれる白色顔料(D)は、ポリエステル樹脂組成物を白色化し、光反射機能を向上できるものであればよい。白色顔料(D)の例には、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミナ、酸化ジルコニウム、シリカなどが含まれる。これらの白色顔料(D)は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。中でも、白色顔料(D)は、屈折率が2.0以上4.0以下であるものが好ましく、成形体の反射率や隠蔽性を高くしやすい点から、酸化チタンがより好ましい。
酸化チタンは、ルチル型が好ましい。
白色顔料(D)は、シランカップリング剤またはチタンカップリング剤などで処理されていてもよい。例えば、白色顔料(D)は、ビニルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、および2−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを含むシラン系化合物で表面処理されていてもよい。
ポリエステル樹脂組成物の反射率をより均一化させる観点からは、白色顔料(D)は、アスペクト比の小さい、すなわち、球状に近いものが好ましい。
白色顔料(D)の平均粒径は、0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。白色顔料(D)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真をもとに、画像回折装置(ルーゼックスIIIU)を用いて一次粒子の各粒径区間における粒子量(質量%)をプロットして分布曲線を求め、得られた分布曲線から累積分布曲線を求め、この累積分布曲線における累積度50%のときの値とすることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物における白色顔料(D)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、5質量部以上50質量部以下であることが好ましい。白色顔料(D)の含有量が5質量部以上であると、ポリエステル樹脂組成物の白色度がより高まりやすく、反射率がより高まりやすい。白色顔料(D)の含有量が50質量部以下であると、成形時の流動性や成形性が損なわれにくい。白色顔料(D)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、10質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上40質量部以下であることがさらに好ましい。
1−5.無機充填材(E)
無機充填材(E)は、球状、繊維状または板状の形状を有する、無機化合物の充填材である。ポリエステル樹脂組成物の強度および靱性をより高める観点からは、無機充填材(E)の形状は、繊維状であることが好ましい。
繊維状の無機充填材(E)の例には、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー、ミルドファイバーおよびカットファイバーなどが含まれる。これらのうちの一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。中でも、平均繊維径が比較的小さく、成形体(反射材)の表面平滑性を高めやすいことなどから、ワラストナイト、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカーが好ましく、ワラストナイトまたはガラス繊維がより好ましい。ポリエステル樹脂組成物の光遮蔽効果をより高める観点からは、ワラストナイトが好ましく、ポリエステル樹脂組成物の機械強度をより高める観点からは、ガラス繊維が好ましい。
繊維状の無機充填材(E)の平均繊維長(l)は、通常、5mm以下であり、繊維状の無機充填材(E)を折れにくくし、かつ樹脂中に微分散させやすくする観点では、4mm以下であることが好ましい。繊維状の無機充填材(E)の平均繊維長(l)は、ポリエステル樹脂組成物の強度をより高める観点では、2μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましい。
繊維状の無機充填材(E)のアスペクト比(平均繊維長(l)/平均繊維径(d))は、5以上2000以下であることが好ましく、30以上600以下であることがより好ましい。アスペクト比が大きいほど、ポリエステル樹脂組成物の強度や剛性がより高まる。
ポリエステル樹脂組成物中の繊維状の無機充填材(E)の平均繊維長(l)と平均繊維径(d)は、以下の方法で測定することができる。
1)ポリエステル樹脂組成物をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム溶液(0.1/0.9体積%)に溶解させた後、濾過して得られる濾過物を採取する。
2)得られた濾過物のうち任意の100本の繊維状の無機充填材(E)を走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率:50倍)で観察し、それぞれの繊維長および繊維径を計測する。そして、繊維長の平均値を平均繊維長(l)とし、繊維径の平均値を平均繊維径(d)としうる。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物における無機充填材(E)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。無機充填材(E)の含有量が1質量部以上であると、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性や強度を高めやすく、50質量部以下であると、ポリエステル樹脂組成物の成形時の流動性や成形性が損なわれにくい。無機充填材(E)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、5質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、7質量部以上25質量部以下であることがさらに好ましい。
1−5.その他の成分
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、用途に応じて、前述の(A)〜(E)成分以外の他の成分、例えば、有機酸化防止剤(フェノール類、アミン類、イオウ類、リン類など)、光安定剤(ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾフェノン類、ヒンダードアミン類、オギザニリド類など)、耐熱安定剤(ラクトン化合物、ビタミンE類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物など)、他の重合体(ポリオレフィン類、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体などのオレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体などのオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、LCPなど)、難燃剤(臭素系、塩素系、リン系、アンチモン系、無機系など)蛍光増白剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、結晶核剤、滑剤などの添加剤をさらに含んでもよい。他の成分の合計含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
中でも、本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物は、有機酸化防止剤を含むことが好ましい。そのような有機酸化防止剤の例には、フェノール類(ヒンダードフェノール類を含む)が含まれる。フェノール類は、フェノール骨格またはヒンダードフェノール骨格を有する化合物である。フェノール類の例には、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタドデシルー3−(3,5−ジーtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートなどが含まれる。市販品の例には、IRGANOX1010、同1076、同1726(以上、BASFジャパン社製)などが含まれる。
有機酸化防止剤の含有量は、ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)および無機充填材(E)の合計を100質量部としたとき、2.5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
1−6.物性
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物の、波長450nmの光の反射率は、90%以上であることが好ましく、94%以上であることがより好ましい。反射率は、本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形体を試験片とし、当該試験片の反射率を、コニカミノルタ社製CM3500dを用いて測定することができる。試料片の厚みは、0.5mmとしうる。
2.反射材用ポリエステル樹脂組成物の製造方法
本発明のポリエステル樹脂組成物は、少なくとも前述の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および(E)成分を、公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、またはタンブラーブレンダーで混合する方法、あるいは上記混合の後、さらに一軸押出機、多軸押出機、ニーダーまたはバンバリーミキサーで溶融混練し、上記溶融混練の後に造粒または粉砕する方法により製造することができる。
溶融混練は、ポリエステル樹脂(A)の融点より5〜30℃高い温度で行うことが好ましい。溶融混練の温度の好ましい下限値は、255℃、より好ましくは295℃とすることができ、好ましい上限値は、360℃、より好ましくは340℃とすることができる。
3.反射材
本発明の反射材は、本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形体である。
上記成形は、公知の成形方法で行うことができる。公知の成形方法の例には、射出成形、フープ成形を含むインサート成形、溶融成形、押出し成形、インフレーション成形、およびブロー成形などが含まれる。
本発明の反射材は、少なくとも光を反射させる面を有する成形体であり、用途に応じて任意の形状を有しうる。例えば、本発明の反射材は、少なくとも光を反射させる面を有するケーシングやハウジングなどでありうる。光を反射させる面は、平面であってもよいし、曲面(球面を含む)であってもよい。具体的には、光を反射させる面は、箱状、漏斗状、お椀形状、パラボラ形状、円柱状、円錐状、ハニカム状などの形状を有しうる。
本発明の反射材は、有機ELや発光ダイオード(LED)などの各種光源の反射材として用いられる。中でも、発光ダイオード(LED)の反射材として用いられることが好ましく、表面実装に対応した発光ダイオード(LED)の反射材として用いられることがより好ましい。
発光ダイオード(LED)の反射材として本発明の反射材を有するLEDパッケージは、基板と、当該基板上に設けられた、LEDを搭載するための空間を有するハウジング部と、当該空間に搭載されたLEDと、LEDを封止する封止部材とを有しうる。そして、LEDを搭載するための空間を有するハウジング部を、本発明の反射材としうる。このようなLEDパッケージは、1)基板上に反射板を成形してハウジング部を得る工程と、2)ハウジング部内にLEDを配置し、LEDと基板とを電気的に接続する工程と、3)LEDを封止剤で封止する工程とを経て製造されうる。封止工程では、封止剤を、100〜200℃の温度で加熱して、熱硬化させる。さらに、LEDパッケージをプリント基板に実装する際のリフローはんだ工程では、LEDパッケージが、250℃以上もの高温に曝される。
本発明の反射材用ポリエステル樹脂組成物から得られる反射材は、変性オレフィン重合体(B)を含む。それにより、優れた機械強度を発揮しながらも、上記封止工程やリフローはんだ工程で高温の熱に曝されたり、使用環境下でLEDから発生する熱や光を長時間受けたりしても、変色が少なく、反射率の低下が少ない。そのため、長期間に亘って高い反射率を維持することができる。
このようなLEDパッケージは、例えば電気電子部品、室内照明、屋外照明、自動車照明などに用いることができる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.材料の調製
1−1.ポリエステル樹脂(A):
以下の方法で合成したポリエステル樹脂をポリエステル樹脂(A)として用いた。
ジメチルテレフタレートl06.2質量部と、1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス比:30/70)(東京化成工業社製)94.6質量部とを混合した。当該混合物に、テトラブチルチタネート0.0037質量部を加え、150℃から300℃まで3時間30分かけて昇温し、エステル交換反応を行った。
前記エステル交換反応終了時に、1,4−シクロヘキサンジメタノールに溶解した酢酸マグネシウム・四水塩0.066質量部を加え、引き続きテトラブチルチタネート0.1027質量部を導入して重縮合反応を行った。重縮合反応は常圧から1Torrまで85分かけて徐々に減圧し、同時に所定の重合温度300℃まで昇温した。温度と圧力を保持したまま撹拌を続け、所定の撹拌トルクに到達した時点で反応を終了させた。その後、得られた重合体を取り出し、260℃、1Torr以下で3時間固相重合させてポリエステル樹脂(A)を得た。
得られたポリエステル樹脂(A)の融点は290℃であった。融点は、以下の方法で測定した。
(融点(Tm))
融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)により、JIS−K7121に準拠して測定した。具体的には、X−DSC7000(SII社製)に、サンプルを封入したDSC測定用パンをセットし、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で320℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の降温測定で30℃まで降温した。そして、昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度を「融点」とした。
1−2.未変性オレフィン重合体(C):
以下の方法で合成した未変性エチレン・1−ブテン共重合体を未変性オレフィン重合体(C)として用いた。
[触媒溶液の調製]
十分に窒素置換したガラス製フラスコに、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.63mg入れ、更にメチルアミノキサンのトルエン溶液(Al:0.13ミリモル/リットル)1.57ml、およびトルエン2.43mlを添加することにより触媒溶液を得た。
[エチレン−1−ブテン共重合体の調製]
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン912mlおよび1−ブテン320mlを導入し、系内の温度を80℃に昇温した。トリイソブチルアルミニウム0.9ミリモル、および上記で調製した触媒溶液2.0ml(Zrとして0.0005ミリモル)を加え、さらにエチレンを圧入することにより重合を開始した。エチレンを連続的に供給することにより全圧を8.0kg/cm−Gに保ち、80℃で30分間重合を行った。
少量のエタノールを系中に導入して重合を停止させた後、未反応のエチレンをパージした。得られた溶液を大過剰のメタノール中に投入することにより白色固体を析出させた。この白色固体を濾過により回収し、減圧下で一晩乾燥し、白色固体(エチレン・1−ブテン共重合体)を得た。
得られたエチレン・1−ブテン共重合体(未変性オレフィン重合体(C))の極限粘度[η]は1.98dl/gであった。極限粘度[η]は、以下の方法で測定した。
(極限粘度)
得られた重合体20mgをデカリン15mlに溶解し、ウベローデ粘度計を用い、135℃雰囲気にて比粘度(ηSP)を測定する。このデカリン溶液に更にデカリン5mlを加えて希釈後、同様の比粘度測定を行う。この希釈操作と粘度測定を更に2度繰り返した測定結果を基に、濃度(C)をゼロに外挿したときの「ηSP/C」値を極限粘度[η]とする。
1−3.変性オレフィン重合体(B):
上記で合成したエチレン・1−ブテン共重合体(未変性オレフィン重合体(C))を以下の方法で変性した変性エチレン・1−ブテン共重合体を変性オレフィン重合体(B)として用いた。
エチレン・1−ブテン共重合体100質量部に、無水マレイン酸0.6質量部と過酸化物[日本油脂(株)製のパーヘキシン25B(商標)]0.02質量部とを混合した。得られた混合物を230℃に設定した1軸押出機で溶融グラフト変性することによって、変性エチレン・1−ブテン共重合体(変性オレフィン重合体(B))を得た。
変性オレフィン重合体(B)の無水マレイン酸グラフト変性量(官能基構造単位量)は1.91質量%であった。また、上記未変性オレフィン重合体(C)と同様にして、135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]は1.84dl/gであった。
無水マレイン酸グラフト変性量は、以下のように、H NMR測定によって求めた。日本電子(株)製ECX400型核磁気共鳴装置を用い、溶媒は重水素化オルトジクロロベンゼンとし、試料濃度20mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核はH(400MHz)、シーケンスはシングルパルス、パルス幅は5.12μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は500回以上とする条件である。基準のケミカルシフトは、重水素化オルトジクロロベンゼンの残存水素由来のピークを7.10ppmとした。官能基含有化合物由来のHなどのピークは、常法によりアサインした。
下記の化合物を白色顔料(D)として用いた。
酸化チタン: 石原産業社製のタイペークPC−3(アルミナ水和物、シリカ水和物、トリメチロールプロパノール及びオルガノ水素シロキサンで表面処理品、平均粒径0.21μm)
下記の化合物を無機充填材(E)として用いた。
ガラス繊維: 日本電気硝子(株)製のECS03T−171DE/P9W(平均繊維長(l)3mm、平均繊維径6.5μm、シラン化合物処理品)
下記の化合物をその他の成分として用いた。
酸化防止剤:
Irganox1010: テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール(BASF社製)
PEP−36: ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールージーフォスファイト(株式会社ADEKA製、分子量633、融点234〜240℃)
核剤: 松村産業社製のET−5(タルク)
滑剤: 三井化学社製のハイワックス800P(ポリエチレンワックス、分子量8000、融点127℃、溶融粘度(140℃)8000mPa・s)
[実施例1]
ポリエステル樹脂(A)、変性オレフィン重合体(B)、未変性オレフィン重合体(C)、白色顔料(D)、無機充填材(E)、および他の成分を、表1に示す組成比率でタンブラーブレンダーを用いて混合した。混合物を、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)にてシリンダー温度300℃で溶融混錬した後、ストランド状に押出した。押し出し物を水槽で冷却後、ペレタイザーでストランドを引き取り、カットすることでペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
[実施例2]および[比較例1]
原料の組成比率を表1に記載したように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を調製した。
Figure 2019151800
上記で得られたポリエステル樹脂組成物の各種物性を、以下の方法で評価した。
1)反射特性
(初期反射率)
得られたポリエステル樹脂組成物を、下記の成形機を用いて、下記の成形条件で射出成形して、長さ30mm、幅30mm、厚さ0.5mmの試験片を調製した。
成形機:住友重機械工業(株)社製、SE50DU
シリンダー温度:ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)+10℃
金型温度:150℃
得られた試験片を、コニカミノルタ(株)CM3500dを用いて、波長領域360nm〜740nmの反射率を求めた。波長450nmの反射率を代表値として、初期反射率とした。
(リフロー試験後の反射率)
初期反射率を測定した試料片を、170℃のオーブンに2時間放置した。次いで、この試料片を、エアーリフローはんだ装置(エイテックテクトロン(株)製AIS−20−82−C)を用いて、試料片の表面温度が260℃となり、かつ20秒保持する温度プロファイルの熱処理(リフローはんだ工程と同様の熱処理)を3回施した。この試料片を徐冷後、初期反射率と同様の方法で反射率を測定し、リフロー試験後の反射率とした。
2)流動性
得られたポリエステル樹脂組成物を、幅10mm、厚み0.5mmのバーフロー金型を用いて、以下の条件で射出成形し、金型内の樹脂の流動長(mm)を測定した。
射出成形機:(株)ソディック プラステック、ツパールTR40S3A
射出設定圧力:2000kg/cm
シリンダー設定温度:融点(Tm)+10℃
金型温度:30℃
3)曲げ特性
得られたポリエステル樹脂組成物を、下記の成形機を用いて、下記成形条件で成形し、長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mmの試験片を得た。
成形機:射出成形機((株)ソディック プラステック、ツパールTR40S3A)
シリンダー温度:300℃
金型温度:150℃
得られた試験片を、温度23℃、窒素雰囲気下に24時間放置した。次いで、温度23℃、湿度50%Rhの雰囲気下で、曲げ試験機:NTESCO社製 AB5、スパン26mm、曲げ速度5mm/分で曲げ試験を行い、このときの強度、弾性率、靱性及びたわみを測定した。
Figure 2019151800
上記表2の結果から明らかなように、変性オレフィン重合体(B)と共に未変性オレフィン重合体(C)を含む実施例1および2のポリエステル樹脂組成物は、反射特性(初期反射率のみならず、リフロー後の反射率)、流動性および曲げ特性の全てが良好であった。特に実施例1のポリエステル樹脂組成物は、初期反射率が95.2%、リフロー後の反射率が95.0%と共に良好であり、その差はわずか0.2%であることから、加熱による反射率の低下が抑制されていることがわかる。
一方、未変性オレフィン重合体(C)を含まないこと以外は実施例1及び2と同様の組成である比較例1のポリエステル樹脂組成物は、初期反射率は95.1%と良好であるものの、リフロー後の反射率は94.2%と低く、反射率の0.9%もの低下が熱処理によって発生した。また、曲げ特性、特に強度および弾性率は、実施例1及び2よりも劣っていた。
本発明によれば、熱や光への暴露による反射率の低下が抑制された反射材を付与しうる、反射材用ポリエステル樹脂組成物を提供することができる。

Claims (13)

  1. 示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)もしくはガラス転移温度(Tg)が250℃以上であるポリエステル樹脂(A)30質量部以上80質量部以下と、
    ヘテロ原子を含む官能基構造単位を0.2〜1.8質量%含む、変性オレフィン重合体(B)0.1質量部以上5.0質量部以下と、
    官能基構造単位を含まない、未変性オレフィン重合体(C)0.1質量部以上5.0質量部以下と、
    白色顔料(D)5質量部以上50質量部以下と、
    無機充填材(E)1質量部以上50質量部以下とを含み、
    ただし、前記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計は100質量部である、反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記変性オレフィン重合体(B)の骨格部分が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である、請求項1に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記変性オレフィン重合体(B)の前記官能基構造単位が、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、及びケトン基からなる群から選ばれる官能基を含む、請求項1または2に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記変性オレフィン重合体(B)の前記官能基構造単位が、不飽和カルボン酸基またはその誘導体由来の構造単位である、請求項3に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記変性オレフィン重合体(B)の前記官能基構造単位が、無水マレイン酸由来の構造単位である、請求項4に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  6. 前記未変性オレフィン重合体(C)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  7. 前記変性オレフィン重合体(B)の含有質量Wと、前記未変性オレフィン重合体(C)の含有質量Wとの比であるW/Wが、下記式(1)の関係を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
    式(1): 5/95 ≦ W/W ≦ 50/50
  8. 前記ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)と、ジアルコールに由来する成分単位(a2)とを含み、
    前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)が、前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a1)の合計100モル%に対して、テレフタル酸に由来する成分単位を30モル%以上100モル%以下と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位を0モル%以上70モル%以下とを含み、
    前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)が、炭素原子数4以上20以下の脂環族ジアルコールに由来する成分単位および脂肪族ジアルコールに由来する成分単位の少なくとも一方を含む、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  9. 前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)が、シクロヘキサン骨格を有する脂環族ジアルコールに由来する成分単位を含む、請求項8に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  10. 前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)が、前記ジアルコールに由来する成分単位(a2)の合計100モル%に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分単位を30モル%以上100モル%以下と、前記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を0モル%以上70モル%以下とを含む、請求項8または9に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  11. 前記無機充填材(E)が、ガラス繊維である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の反射材用ポリエステル樹脂組成物を含む、反射材。
  13. 発光ダイオード素子用の反射材である、請求項12に記載の反射材。
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