JP2019151749A - 触媒組成物、ポリアルキレンカーボネート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、大気圏へ放出される二酸化炭素は、反応性に非常に乏しいため、原料として利用することが困難である。
例えば、非特許文献1には、様々な単核及び二核有機金属錯体触媒(亜鉛、クロム、コバルト)を用いて、二酸化炭素とエポキシドとを反応させる方法が開示されている。
よって、末端に官能基を有するポリアルキレンカーボネートを容易に製造できる触媒が求められている。
[1] 二酸化炭素とエポキシドとの反応に用いられる触媒組成物であって、下記一般式(1)で表される多核金属錯体と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有する、触媒組成物。
LM1 mM2 n ・・・(1)
(式(1)中、M1は周期表第12族に属する元素から選ばれる1種以上の金属であり、M2は周期表第3族に属する元素及びランタノイド系元素から選ばれる1種以上の金属であり、LはM1及びM2の配位子であり、m及びnはそれぞれ1以上の整数である。)
R1 4QX1 ・・・(2)
(式(2)中、R1はアルキル基又はアリール基であり、Qは窒素原子またはリン原子であり、X1はアニオン性基である。)
[2] 前記一般式(1)中のLが下記一般式(3)で表される配位子である、[1]に記載の触媒組成物。
[5] 前記一般式(2)中のQが窒素原子であり、X1が下記一般式(5)で表されるアニオン性基である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の触媒組成物。
R17COO− ・・・(5)
(式(5)中、R17はアルキル基又はアリール基である。)
[6] 前記一般式(5)中のR17が炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基である、[5]に記載の触媒組成物。
[7] 下記一般式(6)で表される、ポリアルキレンカーボネート。
[9] [1]〜[6]のいずれか1つに記載の触媒組成物の存在下で、二酸化炭素とエポキシドとを反応させる、ポリアルキレンカーボネートの製造方法。
本発明のポリアルキレンカーボネートは、末端に官能基を有する。よって本発明のポリアルキレンカーボネートは、樹脂としての物性を調節しやすく、また、他の樹脂や単量体等と反応させる際の反応性を高めることができる。
本発明のポリアルキレンカーボネートの製造方法によれば、末端に官能基を有するポリアルキレンカーボネートを低分子量に制御しつつ容易に製造できる。
「低分子量」とは、第四級塩を添加しない以外は同様の重合条件で得られるポリマーよりも数平均分子量が低いことを意味する。
「数平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される数平均分子量(ポリスチレン換算)である。
「末端」とは、ポリマー鎖の成長停止反応による停止末端を意味する。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
本発明の触媒組成物は、二酸化炭素とエポキシドとの反応に用いられ、以下に示す多核金属錯体と第四級塩とを含有する。
本発明の触媒組成物に含まれる多核金属錯体は、下記一般式(1)で表される錯体である。
LM1 mM2 n ・・・(1)
(式(1)中、M1は周期表第12族に属する元素から選ばれる1種以上の金属であり、M2は周期表第3族に属する元素及びランタノイド系元素から選ばれる1種以上の金属であり、LはM1及びM2の配位子であり、m及びnはそれぞれ1以上の整数である。)
mは1以上の整数であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、mは20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。mは3が特に好ましい。mが2以上の場合、m個のM1は同一でもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
nは1以上の整数であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。nは1が特に好ましい。nが2以上の場合、n個のM2は同一でもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
R5〜R16のアルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。R5〜R10としては、R5及びR10、R6及びR7、R8及びR9がM1となり互いに結合していることが好ましい。R11〜R16としては、それぞれ水素原子、炭素数2〜6のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
R19COO− ・・・(7)
(式(7)中、R19はアルキル基又はアリール基である。)
R20SO3 − ・・・(8)
(式(8)中、R20はアルキル基又はアリール基である。)
R19及びR20のアリール基の炭素数は、それぞれ6〜15が好ましい。このようなアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。
R19及びR20のアルキル基、アリール基の水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子、ビニル基、アルコキシ基等に置換されていてもよい。
R19としては、メチル基、フェニル基、フェニル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又はビニル基に置換されているものが好ましい。
R20としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、その中でも特にアルキル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換されているものが好ましく、CF3がより好ましい。
上述した中でも、X2としては、前記一般式(7)又は(8)で表されるアニオン性基、NO3 −が好ましく、前記一般式(7)で表されるアニオン性基がより好ましい。
また、前記一般式(4)で表される錯体は、前記一般式(1)中のmが3であり、nが1である錯体に相当する。
すなわち、M1(X2)2・xH2Oと、M2(X2)3・xH2Oと、2,3−ジヒドロキシベンゼン−1,4−ジカルボアルデヒドとを混合した後、得られた混合物に2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを滴下することで得られる。この反応は有機溶媒の存在下で行われてもよい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類あるいはその誘導体;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類あるいはこれらのアルキル又はアリール誘導体;アセトン等のケトン類あるいはその誘導体などが挙げられる。これら有機溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の触媒組成物に含まれる第四級塩は、下記一般式(2)で表される化合物である。
R1 4QX1 ・・・(2)
(式(2)中、R1はアルキル基又はアリール基であり、Qは窒素原子またはリン原子であり、X1はアニオン性基である。)
R1のアリール基の炭素数は6〜15が好ましい。このようなアリール基としては、R19及びR20の説明において先に例示したアリール基が挙げられる。
Qは窒素原子またはリン原子であり、窒素原子が好ましい。
R17COO− ・・・(5)
(式(5)中、R17はアルキル基又はアリール基である。)
R21SO3 − ・・・(9)
(式(9)中、R21はアルキル基又はアリール基である。)
R17及びR21のアリール基の炭素数は、それぞれ6〜15が好ましい。このようなアリール基としては、R19及びR20の説明において先に例示したアリール基が挙げられる。
R17及びR21のアルキル基、アリール基の水素原子の少なくとも一部は、ハロゲン原子、ビニル基、アルコキシ基等に置換されていてもよい。
R17としては、メチル基、フェニル基、フェニル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又はビニル基に置換されているものが好ましい。
R21としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、その中でも特にアルキル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換されているものが好ましく、CF3がより好ましい。
上述した中でも、X1としては、前記一般式(5)又は(9)で表されるアニオン性基、NO3 −が好ましく、前記一般式(5)で表されるアニオン性基がより好ましい。
なお、多核金属錯体が前記一般式(4)で表される錯体である場合、X1とX2とは同一でもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明の触媒組成物は、上述した多核金属錯体及び第四級塩のみからなるものでもよいが、多核金属錯体及び第四級塩以外の成分(任意成分)を含有してもよい。ただし、本発明の効果を充分に発現させる観点から、多核金属錯体及び第四級塩の含有量の合計が、触媒組成物の総質量に対して90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
本発明の触媒組成物は、例えば多核金属錯体に対する第四級塩の比率が上述した範囲内となるように、多核金属錯体と第四級塩とを混合することで得られる。
以上説明した本発明の触媒組成物は、上述した多核金属錯体と第四級塩とを含有する。多核金属錯体と第四級塩とを組み合わせて用いることで、連鎖移動剤としての機能が発現される。よって、本発明の触媒組成物を二酸化炭素とエポキシドとの反応に用いた際に、末端に官能基を有し、低分子量のポリアルキレンカーボネートが得られやすくなる。係る理由は以下のように考えられる。
図1に示すように、この例の多核金属錯体においては、3つのアニオン性基(X2)であるアセテート(CH3COO−)のうち、1つはM1である亜鉛とM2であるセリウムとを架橋しており、残りの2つは亜鉛にのみ単座配位している。これら3つのアセテートは分子内で非常に速い速度で交換する。さらに、この多核金属錯体に上述した第四級塩を添加すると、多核金属錯体中の3つのアセテートが分子内のみならず、第四級塩中のアニオン性基(X1)とも非常に速い速度で交換する。このアニオン交換反応を二酸化炭素とエポキシドとの反応に用いた場合、例えば以下に示すような化学反応式となる。なお、以下に示す化学反応式は、エポキシドとしてシクロヘキセンオキシド(以下、「CHO」とも略す。)を用い、第四級塩中のアニオン性基(X1)がアセテートである場合の化学反応式である。
さらに、多核金属錯体と第四級塩との相互作用により連鎖移動反応が進行し、第四級塩中のアセテートがポリマー鎖を切断する。しかも、多核金属錯体中のアセテートは、第四級塩中のアセテートと迅速に交換するので、第四級塩中のアセテートがポリマー(ポリアルキレンカーボネート)の末端基となるテロメル化が進行する。よって、本発明の触媒組成物を二酸化炭素とエポキシドとの反応に用いれば、末端に官能基を有するポリアルキレンカーボネートを低分子量に制御しつつ容易に製造できる。ポリアルキレンカーボネートの分子量は、触媒組成物中の第四級塩の含有量によって容易に調節できる。
なお、図1に示す多核金属錯体以外の多核金属錯体、及びX1がアセテート以外の第四級塩を用いた場合でも、上述した化学反応式と同様の挙動を示すものと考えられる。
本発明のポリアルキレンカーボネートは、下記一般式(6)で表される化合物である。
R18のアルキル基の炭素数は、1〜3が好ましい。このようなアルキル基としては、R19及びR20の説明において先に例示したアルキル基が挙げられる。
R18のアリール基の炭素数は、6〜15が好ましい。このようなアリール基としては、R19及びR20の説明において先に例示したアリール基が挙げられる。
ポリアルキレンカーボネートは、二酸化炭素とエポキシドとを反応させることで得られる。
エポキシドとしては、モノエポキシドが好ましく、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、1−オクテンオキシド、1−デセンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、3−フェニルプロピレンオキシド、3,3,3−トリフルオロプロピレンオキシド、3−ナフチルプロピレンオキシド、3−フェノキシプロピレンオキシド、3−ナフトキシプロピレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、3−トリメチルシリルオキシプロピレンオキシド、メチルグリシジルカーボネート、エチルグリシジルカーボネート、コレステリルグリシジルカーボネートなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシドが好ましい。これらエポキシドは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
反応温度は、0〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
反応時間は、10分〜240時間が好ましく、30分〜80時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。
二酸化炭素とエポキシドとの反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法において行うことができ、さらに反応条件の異なる2段以上に分けて反応を行ってもよい。
有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、灯油等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類あるいはこれらのアルキル又はアリール誘導体;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類あるいはその誘導体;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類などが挙げられる。これら有機溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<多核金属錯体の合成>
酢酸セリウム(III)水和物(1.0モル当量)を含むメタノール及び水の混合溶液(メタノール:水=2:1)に、酢酸亜鉛二水和物(3.0モル当量)のメタノール溶液及び2,3−ジヒドロキシベンゼン−1,4−ジカルボアルデヒド(3.0モル当量)のクロロホルム溶液を加えて、室温(25℃)で30分撹拌した。引き続き、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(3.3モル当量)のクロロホルム溶液を滴下した。反応溶液を室温で18時間撹拌した後、全ての溶媒を減圧留去した。メタノール、ジエチルエーテル及びヘキサンを用いて、得られた反応生成物を再結晶化させた。濾過により溶媒を除去した後、80℃で真空乾燥させ、前記一般式(4)中、M1が亜鉛であり、M2がセリウムであり、X2がCH3COO−である多核金属錯体を得た。得られた多核金属錯体は、アルゴン下、グローブボックス内で保管した。
プログラムSIR−92を用いて直接法で構造決定し、SHELXL−2013によって観測された反射のF2に対して、フルマトリクス最小2乗法により精密化を行った。なお、水素以外のすべての原子について、異方性温度因子により構造精密化を行い、水素原子の位置は計算により定め、等方性温度因子により構造精密化を行った。
X線結晶構造解析により得られた結晶構造を図1に示す。なお、図1に示す結晶構造において、全ての水素原子は省略した。
図1から明らかなように、3つのアニオン性基(X2)であるアセテート(CH3COO−)のうち、2つはM1である亜鉛とM2であるセリウムとを架橋しており、残りの1つは亜鉛にのみ単座配位していることが確認された。
上記で合成された多核金属錯体12.7mg(0.010mmol)を、アルゴン雰囲気下でオートクレーブ用内管に投入し、さらに第四級塩として酢酸テトラブチルアンモニウム(前記一般式(2)中、R1がn−ブチル基であり、Qが窒素原子であり、X1が前記一般式(5)で表されるアニオン性基であり、前記一般式(5)中、R17がメチル基(CH3−)である。)を加えて触媒組成物とした後、オートクレーブにセットした。第四級塩の添加量は、多核金属錯体1.0モル当量に対して1.0モル当量とした。
次いで、オートクレーブ用内管にシクロヘキセンオキシドを2.0mL(20mmol)加え、オートクレーブ内を二酸化炭素で置換し、二酸化炭素の圧力を1.0MPaに昇圧した。100℃のオイルバスにオートクレーブをセットし、オートクレーブ内を撹拌しながら3時間加熱し、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとを反応させた。反応後、オートクレーブを0℃に冷却し、さらに脱圧した。
次いで、反応生成物をジクロロメタンで希釈し、内部標準物質としてフェナントレン約100mgを正確に加え、ジクロロメタン溶液とした。得られたジクロロメタン溶液の一部を採取し、重水素化クロロホルムを用いて、1H−NMRを測定し、転化率及びカーボネートリンケージを決定した。
ジクロロメタン溶液をシリカゲルカラムに通して触媒組成物を除去した後、溶媒を減圧留去することで、前記一般式(6)で表される構造であり、白色のポリアルキレンカーボネートを得た。
また、ポリアルキレンカーボネートの末端基(前記一般式(6)中のR18)の同定を行った。同定は、trans−2−[3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−2−プロペニリデン]マロノニトリル(DCTB)をマトリックスとしてマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI−TOF−MS)により行った。MALDI−TOF MSスペクトルを図2に示す。図2の結果より、実施例1で得られたポリアルキレンカーボネートは、下記一般式(6−1)で表される化合物であることが示された。
多核金属錯体1.0モル当量に対する第四級塩の添加量を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアルキレンカーボネートを製造し、得られたポリアルキレンカーボネートの数平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
第四級塩として安息香酸テトラブチルアンモニウム(前記一般式(2)中、R1がn−ブチル基であり、Qが窒素原子であり、X1が前記一般式(5)で表されるアニオン性基であり、前記一般式(5)中、R17がフェニル基(C6H5−)である。)を用い、添加量を多核金属錯体1.0モル当量に対して10.0モル当量とした以外は、実施例1と同様にしてポリアルキレンカーボネートを製造し、得られたポリアルキレンカーボネートの数平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたポリアルキレンカーボネートについて、実施例1と同様にして末端基の同定を行った。MALDI−TOF MSスペクトルを図3に示す。図3の結果より、実施例6で得られたポリアルキレンカーボネートは、下記一般式(6−2)で表される化合物であることが示された。
第四級塩として4−クロロ安息香酸テトラブチルアンモニウム(前記一般式(2)中、R1がn−ブチル基であり、Qが窒素原子であり、X1が前記一般式(5)で表されるアニオン性基であり、前記一般式(5)中、R17が4−クロロフェニル基(4−Cl−C6H4−)である。)を用い、添加量を多核金属錯体1.0モル当量に対して10.0モル当量とした以外は、実施例1と同様にしてポリアルキレンカーボネートを製造し、得られたポリアルキレンカーボネートの数平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたポリアルキレンカーボネートについて、実施例1と同様にして末端基の同定を行った。MALDI−TOF MSスペクトルを図4に示す。図4の結果より、実施例7で得られたポリアルキレンカーボネートは、下記一般式(6−3)で表される化合物であることが示された。
第四級塩として4−ブロモ安息香酸テトラブチルアンモニウム(前記一般式(2)中、R1がn−ブチル基であり、Qが窒素原子であり、X1が前記一般式(5)で表されるアニオン性基であり、前記一般式(5)中、R17が4−ブロモフェニル基(4−Br−C6H4−)である。)を用い、添加量を多核金属錯体1.0モル当量に対して10.0モル当量とした以外は、実施例1と同様にしてポリアルキレンカーボネートを製造し、得られたポリアルキレンカーボネートの数平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたポリアルキレンカーボネートについて、実施例1と同様にして末端基の同定を行った。MALDI−TOF MSスペクトルを図5に示す。図5の結果より、実施例8で得られたポリアルキレンカーボネートは、下記一般式(6−4)で表される化合物であることが示された。
第四級塩として4−ビニル安息香酸テトラブチルアンモニウム(前記一般式(2)中、R1がn−ブチル基であり、Qが窒素原子であり、X1が前記一般式(5)で表されるアニオン性基であり、前記一般式(5)中、R17が4−ビニルフェニル基(4−CH2=CH−C6H4−)である。)を用い、添加量を多核金属錯体1.0モル当量に対して10.0モル当量とした以外は、実施例1と同様にしてポリアルキレンカーボネートを製造し、得られたポリアルキレンカーボネートの数平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたポリアルキレンカーボネートについて、実施例1と同様にして末端基の同定を行った。MALDI−TOF MSスペクトルを図6に示す。図6の結果より、実施例9で得られたポリアルキレンカーボネートは、下記一般式(6−5)で表される化合物であることが示された。
第四級塩を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリアルキレンカーボネートを製造し、得られたポリアルキレンカーボネートの数平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、各実施例で得られたポリアルキレンカーボネートは、末端に第四級塩に応じた官能基を有していた。
Claims (9)
- 二酸化炭素とエポキシドとの反応に用いられる触媒組成物であって、
下記一般式(1)で表される多核金属錯体と、下記一般式(2)で表される化合物とを含有する、触媒組成物。
LM1 mM2 n ・・・(1)
(式(1)中、M1は周期表第12族に属する元素から選ばれる1種以上の金属であり、M2は周期表第3族に属する元素及びランタノイド系元素から選ばれる1種以上の金属であり、LはM1及びM2の配位子であり、m及びnはそれぞれ1以上の整数である。)
R1 4QX1 ・・・(2)
(式(2)中、R1はアルキル基又はアリール基であり、Qは窒素原子またはリン原子であり、X1はアニオン性基である。) - 前記一般式(1)中のM1が亜鉛であり、M2がランタノイド系元素から選ばれる1種以上の金属である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒組成物。
- 前記一般式(2)中のQが窒素原子であり、X1が下記一般式(5)で表されるアニオン性基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒組成物。
R17COO− ・・・(5)
(式(5)中、R17はアルキル基又はアリール基である。) - 前記一般式(5)中のR17が炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基である、請求項5に記載の触媒組成物。
- 前記一般式(6)中のR18が炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基である、請求項7に記載のポリアルキレンカーボネート。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒組成物の存在下で、二酸化炭素とエポキシドとを反応させる、ポリアルキレンカーボネートの製造方法。
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