JP2019151552A - 磁性粒子 - Google Patents

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嘉雄 伊藤
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嘉重 榊原
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Abstract

【課題】強い高調波を発する磁性粒子を提供する。【解決手段】磁性粒子は、磁性粒子イメージングに用いられるものであって、磁性金属酸化物と多糖誘導体とを成分として含み、芯部分が酸化鉄などの磁性金属酸化物で構成されている。磁性粒子は、磁性粒子全体の粒径が、例えば10nm〜70nmの範囲にあるナノサイズであり、0.47テスラで測定したT2緩和度を磁性粒子全体の粒径で除した値が、3.5〜6.0の範囲に設定されている。【選択図】図1

Description

この発明は、磁性粒子イメージングに用いられる磁性粒子に関するものである。
磁性粒子の中でもその直径がナノサイズの超微細化物は、磁性ナノ粒子とも呼ばれ、特殊な性質を示すことから、その特徴を活かした様々な産業的な応用が試みられている。応用の一つとして、磁性ナノ粒子は、外部からの磁場照射に対して非線形の磁化応答を示す特徴があり、この磁化特性を利用した「磁性粒子イメージング(Magnetic Particle Imaging、以下、MPIという)」と呼ばれる医療用画像技術が提案されている。MPIは、既存の画像診断法であるコンピュータ断層撮影法(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)に比べ、高分解能、高感度、高速、かつ安全性の高いものとして注目されている。
MPIは、その名の示すとおり磁性ナノ粒子自体を直接検出し、画像化するものであることから、その撮影には磁性ナノ粒子が必須である。医療目的、すなわち体内に投与するための安全性が認められた様々な磁性ナノ粒子についてMPIへの応用が検討され、それらのMPI信号強度も発表されている。ここで、MPI信号とは、専門的には高調波と呼ばれる基本波からの倍音成分であるが、高調波を評価することでMPI信号を確認することができるので、以降は高調波という言葉を用いて説明する。
しかしながら、今まで検討されてきた多くの磁性ナノ粒子は画像化に必要な強度に高調波が達しておらず、より強い高調波を有する磁性ナノ粒子の開発が進められている(例えば、特許文献1および2)。なお、磁性ナノ粒子は、医療診断用途であることを鑑みると、単に高調波が強いだけでなく、体内の様々な部位(疾患)を観察するための体内保持性(長期血中滞留性)を有することや、毒性が低いこと(安全性)も製品化のために必要な要件である。
特表2013−529677号公報 特表2015−519302号公報
高調波については、一般論として、粒子の芯直径(磁性を発する金属芯部分の径)が大きくなるに従って強くなると考えられている。特許文献1および2の磁性粒子は、マグネタイトの直径を大きくし、かつその粒度分布を均一にすることで、高調波を強くすることを狙っている。マグネタイトの芯直径を大きくすると、それに伴って全体径(磁性金属芯と被覆材を合わせた直径)も大きくなるが、全体径の大きな粒子は保存安定性が低下したり、体内に投与すると毛細血管内で詰まるといった危険性があり、医療用途の物質として好ましくない。また、全体径が大きい磁性粒子は、細網内皮系(肝臓、脾臓による外的異物の排除機構)により捕捉され易くなることから、長期血中滞留性の面においても不利となる。
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、磁性粒子イメージングにおいて、より強い高調波を発する磁性粒子を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の磁性粒子は、
磁性粒子イメージングに用いられる磁性粒子であって、
磁性金属酸化物と多糖誘導体とを成分として含み、芯部分が前記磁性金属酸化物で構成され、
磁性粒子全体の粒径がナノサイズであり、
0.47テスラで測定したT2緩和度を前記粒径で除した値が、3.5〜6.0の範囲にあることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、0.47テスラで測定したT2緩和度を磁性粒子全体の粒径で除した値が3.5〜6.0の範囲にあることで、高調波を強くすることができる。また、磁性粒子は、ナノサイズであるので、保存安定性および長期血中滞留性が良好である。すなわち、磁性粒子は、体内の様々な疾患を観察するために必要な長期血中滞留性だけでなく、高調波が強いので、磁性粒子イメージングに用いた際により鮮明な画像を得ることができる。
請求項2に係る発明では、前記磁性金属酸化物は、酸化鉄であることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、生体にとって必須元素である鉄から構成されるため、毒性を示さず、生体内投与物質としてより安全に使用することができる。
請求項3に係る発明では、前記磁性金属酸化物を、前記多糖誘導体としてのデキストラン誘導体で被覆してあることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、磁性金属酸化物をデキストラン誘導体で被覆してあるので、安全性が高く、医療用途として好適である。
請求項4に係る発明では、前記デキストラン誘導体は、アニオン性の官能基とカチオン性の官能基との両方を有していることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、アニオン性の官能基とカチオン性の官能基との両方を有しているデキストラン誘導体で磁性金属酸化物を被覆してあるので、血中滞留時間を長くすることができ、長期血中滞留性を向上できる。
請求項5に係る発明では、前記粒径が10nm〜70nmの範囲にあることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、粒径が10nm〜70nmの範囲にあるので、保存安定性が高く、体内に投与した際に毛細血管内で詰まり難いといった安全性を有し、医療用途として好適である。また、体内でより捕捉され難くなることから、長期血中滞留性を向上させることができる。
本発明に係る磁性粒子によれば、磁性粒子イメージングにおいて強い高調波を発する。
本発明に係る磁性粒子を説明する模式図である。なお、磁性金属酸化物として酸化鉄を例示している。
本発明に係る磁性粒子は、磁性粒子イメージング(MPI)に用いられるものである。図1に示すように、磁性粒子は、磁性金属酸化物と多糖誘導体とを成分とする複合体であり、芯部分が磁性金属酸化物で構成されている。また、磁性粒子は、多糖誘導体が磁性金属酸化物の全体を覆っており、該磁性粒子の表層部分の全体が多糖誘導体で構成されている。なお、磁性粒子は、微粒子状の磁性金属酸化物と多糖誘導体とを反応させて得られる。すなわち、本発明に係る磁性粒子は、単なる混合物ではなく、磁性金属酸化物と多糖誘導体との化合物である。例えば、本発明に係る磁性粒子は、磁性金属酸化物と多糖誘導体を含む全体直径および磁性金属酸化物のみの直径の2通り観測されること、および[0056]に記載のとおり遊離の多糖誘導体を除去しても、本発明に係る磁性粒子には多糖誘導体と金属が含まれることなどから判る。
前記磁性金属酸化物としては、例えば、式A−1で示されるものを挙げることができる。
(MIIO)l・M2 III3 …(式A−1)
式A−1において、MIIは2価の金属原子を表わし、MIIIは3価の金属原子を表わし、lは0≦n≦1の範囲内の実数である。
式A−1において、2価の金属原子MIIとしては、例えば、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、これらの単独であってもよく、あるいは2種以上組み合わせたものであってもよい。また、3価の金属原子MIIIとしては、例えば、アルミニウム、鉄、イットリウム、ネオジウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム等が挙げられ、これらの単独であってもよく、あるいは2種以上組み合わせたものであってもよい。
前記式A−1の化合物中、3価の金属原子MIIIが3価の鉄である磁性金属酸化物、すなわち下記式A−2で示されるフェライトが挙げられる。
(MIIO)・Fe23 …(式A−2)
前記式A−2において、MIIは2価の金属原子を表して前述した2価の金属を用いることができ、mは0≦n≦1の範囲内の実数である。
特に、前記式A−2において、MIIが2価の鉄である磁性金属酸化物、すなわち下記式A−3で示す酸化鉄が、本発明に係る磁性金属酸化物として好適である。
(FeO)・Fe23 …(式A−3)
式A−3において、nは0≦n≦1の範囲内の実数である。
なお、前記式A−3において、n=0の場合はγ−酸化鉄(γ−Fe23)であり、また、n=1の場合はマグネタイト(Fe34)である。なお、本発明において磁性金属酸化物には、結晶水を有する磁性金属酸化物も包含される。ここで、マグネタイト(Fe34)等の強磁性体で磁性粒子の芯部分を構成すると、高調波が強くなるメリットがある。一方、γ−酸化鉄(マグヘマイト:γ−Fe23)等の超常磁性体で磁性粒子の芯部分を構成すると、画像に変換する際に偽造が小さくなると共に、生体にとって毒性が低いことから、超常磁性体が強磁性体と比べて総合的な観点から好ましい。
前記磁性金属酸化物は、粒径(磁性金属酸化物の粒子の直径)が、1nm〜15nm、好ましくは1nm〜10nm、更に好ましくは2nm〜7nmの範囲にあるとよい。なお、磁性金属酸化物の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定したものである。一般に、磁性金属酸化物の粒径が小さくなることに伴って該磁性金属酸化物の保磁力が低下し、15nm以下となるとその傾向が強くなる。粒径が前記範囲にある磁性金属化合物で構成された磁性粒子は、実質的に超常磁性である。
前記多糖誘導体は、多糖における官能基の一部または全部を、アニオン性の官能基(以下、アニオン性基という)および/またはカチオン性の官能基(以下、カチオン性基という)で置換したものである。多糖としては、中性多糖が好ましい。多糖としては、例えば、グルコースポリマーであるデキストラン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、プルラン、カードラン、シゾフィラン、レンチナン、ペスタロチアン等が挙げられる。また、フラクトースポリマーであるイヌリン、レバン等や、マンノースポリマーであるマンナン等が挙げられる。更に、ガラクトースポリマーであるアガロース、ガラクタン等や、キシロースポリマーであるキシランや、L−アラビノースポリマーであるアラビナン等が挙げられる。これらの多糖の中でも、デキストラン、デンプン、セルロース、プルランが好ましく、特にデキストランが好ましい。更にまた、多糖としては、多糖を予め適当な還元法、例えば、ナトリウムアマルガムを用いる方法、パラジウムカーボンの存在下に水素ガスを用いる方法、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を用いる方法等によって還元することにより得られる還元多糖も好適に用いることができる。
前記アニオン性基としては、カルボキシアルキルエーテル基、リン酸もしくはリン酸アルキルエーテル基、硫酸もしくは硫酸アルキルエーテル基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシアルキルエーテル基が好適である。なお、カルボキシアルキルエーテル基などのカルボキシ基は塩の形態であってもよい。また、前記カチオン性基としては、未置換もしくは置換アミノアルキルエーテル基、ホスホニウム基などが挙げられ、これらの中でも未置換もしくは置換アミノアルキルエーテル基が好適である。なお、アミノアルキルエーテル基などのアミノ基は塩の形態であってもよい。多糖誘導体は、アニオン性基とカチオン性基との両方を有しているものが望ましい。そして、多糖誘導体としては、カルボキシアルキルエーテル基と未置換もしくは置換アミノアルキルエーテル基の両置換基(ここで該カルボキシ基および/またはアミノ基は塩の形態であってもよい。)を有するもの(以下、多糖エーテル誘導体という)が特に好ましい。
前記多糖エーテル誘導体は、多糖を既知の方法でカルボキシアルキルエーテル化、および未置換もしくは置換アミノアルキルエーテル化(以下、アミノアルキルエーテル化という)することにより製造することができる。カルボキシアルキルエーテル化およびアミノアルキルエーテル化の順序は特に制限されないが、両置換基の置換率の測定が容易であるという観点からすると、カルボキシアルキルエーテル化を先に行うことが好ましい。多糖のカルボキシアルキルエーテル化は、それ自体既知の方法、例えば、米国特許第2,746,906号明細書、米国特許第2,876,165号明細書、工業化学会誌、68、1590(1965年)等に記載の方法で実施可能である。例えば、多糖(下記の方法で予めアミノアルキルエーテル化されていてもよい)の水溶液または懸濁液にアルカリを添加した後、モノハロアルキルカルボン酸、特にモノクロロアルキルカルボン酸を加えて反応させることにより、容易にカルボキシアルキルエーテル化することができる。
前記多糖のカルボキシアルキルエーテル化に使用し得るモノハロアルキルカルボン酸としては、特に、ハロ低級アルキルカルボン酸、例えば、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸、3−クロロプロピオン酸、3−ブロモプロピオン酸、4−クロロ−n−酪酸、4−ブロモ−n−酪酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロ−n−酪酸等が挙げられる。なお、本明細書において「低級」なる語は、この語が付された基または化合物の炭素数が6以下、好ましくは4以下であることを意味する。本発明において好適な多糖のカルボキシアルキルエーテルには、カルボキシメチルエーテル、カルボキシエチルエーテル、カルボキシプロピルエーテル等が含まれる。多糖カルボキシアルキルエーテルのカルボキシル基は塩の形態であってもよく、その塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。
多糖またはカルボキシアルキルエーテル化された多糖のアミノアルキルエーテル化は、それ自体既知の方法、例えば、Chemistry and Industry,1959,(11),1490−1491、特公昭59−30161号公報等に記載の方法で実施可能である。例えば、多糖または多糖のカルボキシアルキルエーテルの水溶液あるいは懸濁液にアルカリを添加した後、未置換もしくは置換アミノアルキルハライド、当該アミノアルキルハライドに対応するエポキシド、未置換もしくは置換アンモニオアルキルハライド、当該アンモニオアルキルハライドに対応するエポキシドの何れかを加えて反応させることで、アミノアルキルエーテル化が可能である。
多糖(これは予めカルボキシアルキルエーテル化されていてもよい)のアミノアルキルエーテル化に使用し得る未置換もしくは置換アミノアルキルハライド、当該アミノアルキルハライドに対応するエポキシドとしては、例えば、化学式1のようなものが挙げられる。
Figure 2019151552
化学式1において、Aはアルキレン基を表す。また、化学式1において、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基(例えば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、アリール、アラルキル等)を表す。また、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって含窒素複素環(例えば、アジリジン、ピロリジン、ピロリン、ピロール、ピペリジン、モルホリン、インドール、インドリン、イソインドリン等)を形成していてもよい。化学式1において、Yはハロゲン原子または化学式2に示すエポキシ基を表す。
Figure 2019151552
化学式1において、好ましくは、Aが低級アルキレン基を表わし、RおよびRがそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表わすか、あるいはRとRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって5もしくは6員の含窒素複素環(例えばピロリジン、ピロリン、ピペリジン、モルホリン等)を形成しているものが包含される。具体的には、例えば、アミノメチルクロライド、アミノメチルブロマイド、アミノエチルクロライド、アミノプロピルブロマイド、メチルアミノメチルクロライド、メチルアミノメチルブロマイド、エチルアミノエチルクロライド、エチルアミノエチルブロマイド、エチルアミノプロピルクロライド、プロピルアミノプロピルクロライド、ジメチルアミノメチルクロライド、ジメチルアミノエチルクロライド、ジエチルアミノメチルクロライド、ジエチルアミノエチルクロライド、ジエチルアミノエチルブロマイド、ジエチルアミノプロピルクロライド、ジプロピルアミノエチルブロマイド、ジプロピルアミノプロピルクロライド、1−ピロリジニルメチルクロライド、2−(1−ピロリジニル)エチルクロライド、3−(1−ピロリジニル)プロピルクロライド、1−ピペリジニルメチルクロライド、2−(1−ピペリジニル)エチルクロライド、3−(1−ピペリジニル)プロピルクロライド等並びにこれらの対応するエポキシドが挙げられる。
多糖(これは予めカルボキシアルキルエーテル化されていてもよい)のアミノアルキルエーテル化に使用し得る未置換もしくは置換アンモニオアルキルハライドもしくは対応するエポキシドとしては、例えば、以下の化学式3が挙げられる。
Figure 2019151552
化学式3において、Aはアルキレン基を表す。化学式3において、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基(例えば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、アリール、アラルキル等)を表す。あるいは、R、RおよびRのうちの少なくとも2つが、それらが結合している窒素原子と一緒になって含窒素複素環(例えば、アジリジン、ピロリジン、ピロリン、ピロール、ピペリジン、モルホリン、ピリジン、インドール等)を形成していてもよい。Yは、ハロゲン原子または化学式2に示すエポキシ基を表す。また、Zはアニオンを表す。
化学式3において、好ましくは、Aが低級アルキレン基を表し、R、RおよびRがそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表すか、あるいはR、RおよびRのうちの少なくとも2つはそれらが結合している窒素原子と一緒になって5もしくは6員の含窒素複素環(例えば、ピロリジン、ピロリン、ピペリジン、モルホリン、ピリジン等)を形成しているものが包含される。具体的には、例えば(ただし、アニオン部分の表現は省略して記載する)、2−クロロエチルトリメチルアンモニウム、2−クロロエチルトリエチルアンモニウム、2−クロロエチルトリプロピルアンモニウム、2−クロロエチルトリn−ブチルアンモニウム、3−クロロプロピルトリメチルアンモニウム、3−クロロプロピルトリエチルアンモニウム、3−クロロプロピルトリプロピルアンモニウム、3−クロロプロピルトリn−ブチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリn−ブチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリiso−ブチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリn−ブチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリiso−ブチルアンモニウム等並びにこれらの対応するエポキシドが挙げられる。
化学式1および化学式3のエーテル化剤の使用により、多糖のヒドロキシ基が化学式4または化学式5で示されるアミノアルキルエーテル基に置換された多糖エーテル誘導体を得ることができる。
Figure 2019151552
Figure 2019151552
化学式4および化学式5において、AおよびAはそれぞれ場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよいアルキレン基を表し、R、R、R、R、RおよびZは、前述した定義の通りである。アミノアルキルエーテル基としては、特に、化学式6および化学式7で示されるものが好適である。
Figure 2019151552
Figure 2019151552
化学式6および化学式7において、A31およびA41はそれぞれ場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい低級アルキレン基を表す。また、R11およびR21はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表すか、あるいはR11とR21はそれらが結合している窒素原子と一緒になって5もしくは6員の含窒素複素環を形成していてもよい。R31、R41およびR51は、それぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表すか、あるいはR31、R41およびR51のうちの少なくとも2つはそれらが結合している窒素原子と一緒になって5もしくは6員の含窒素複素環を形成していてもよい。Zはアニオンを表す。
本発明において特に好適な多糖のアミノアルキルエーテルとしては、ジメチルアミノメチルエーテル、ジエチルアミノエチルエーテル、ジプロピルアミノプロピルエーテル、ジエチルアミノプロピルエーテル、2−(1−ピロリジニル)エチルエーテル、トリメチルアンモニオエチルエーテル、トリエチルアンモニオエチルエーテル、トリプロピルアンモニオエチルエーテル、トリメチルアンモニオプロピルエーテル、トリエチルアンモニオプロピルエーテル、トリメチルアンモニオ−2−ハイドロキシプロピルエーテル、トリエチルアンモニオ−2−ハイドロキシプロピルエーテル等が挙げられる。多糖アミノアルキルエーテルの未置換もしくは置換アミノ基は塩の形で存在することができ、その塩の中には、酸付加塩のみならず、前記化学式5または化学式7で示されるようなアンモニウム塩をも包含される。酸付加塩としては、無機酸塩として、例えば、塩酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩および硝酸塩等、有機酸塩として、例えば、ギ酸塩および酢酸塩等が挙げられる。なお、前記化学式5または化学式7で示されるようなアンモニウム塩の形態のアミノアルキルエーテル基を含む多糖エーテル誘導体は、エーテル化剤として化学式3の化合物を用いて製造することができ、あるいは化学式1の化合物でエーテル化した後、そのアミノアルキルエーテル基のアミノ基を、例えば、未置換もしくは置換アルキルハライドと反応させることによりアンモニウム塩の形に変えることによって製造することもできる。更に、カルボキシアルキルエーテル基とアミノアルキルエーテル基の両置換基を有する多糖エーテル誘導体は、カルボキシル基とアミノ基とが分子内で塩を形成していてもよい。
本発明に用いる多糖エーテル誘導体は、水溶性であることが望ましく、その極限粘度[η](intrinsic viscosity)は一般に0.02〜0.5dl/g、好ましくは0.04〜0.2dl/g、更に好ましくは0.06〜0.1dl/gの範囲にあるとよい。本明細書において、多糖エーテル誘導体の極限粘度は、次のように測定したときの値である。日本薬局方(第16改正、2011年)、一般試験法、第2.53項粘度測定法に記載されている方法に従って、25℃において測定する。その際に用いる溶媒は、塩の形態の多糖エーテル誘導体の両置換基の対イオンと同じイオンからなる1M塩水溶液、通常は1M食塩水溶液である。所望の極限粘度をもつ多糖エーテル誘導体は、対応する極限粘度を持つ多糖を出発原料に用いるか、あるいは高粘度の多糖エーテル誘導体を予め調製した後に低粘度化することにより得ることができる。
多糖エーテル誘導体の両置換基の置換率は、それぞれ一般に1%〜30%、特に2%〜16%、更に特に3%〜10%の範囲内にあることが好ましい。また、多糖エーテル誘導体の両置換基の置換率は、ほぼ同じ程度であることが好ましく、具体的には置換率の差、すなわち、(アミノアルキルエーテル基の置換率−カルボキシアルキルエーテル基の置換率)は、通常4%未満、好ましくは−1%〜3%、更に好ましくは0%〜2%の範囲内にあるのが好ましい。なお、本明細書において、置換率は多糖の全水酸基に対する各置換基の置換百分率を意味する。
本明細書において、多糖エーテル誘導体における両置換基の置換率は、次のように測定したときの値である。多糖エーテル誘導体のカルボキシアルキルエーテル基の置換率は、中間体であるアミノアルキルエーテル化する前の多糖カルボキシアルキルエーテルを用いて測定することができる。すなわち、多糖カルボキシアルキルエーテルの塩を水に溶解し、これを適当に希釈して測定試料液とする。試料液のカルボキシル基の対イオンである金属イオンの標準試料(濃度既知)について、日本薬局方(第16改正、2011年)、一般試験法、第2.23項原子吸光光度法に記載される方法により金属含量を測定し、多糖カルボキシアルキルエーテルの置換率を計算する。多糖エーテル誘導体のカルボキシアルキルエーテル基の置換率は、赤外線吸収法でも測定することができる。すなわち、カルボキシアルキルエーテル基の置換率を種々変えて作成した多糖カルボキシアルキルエーテル試料について上記の原子吸光光度法で置換率を測定すると同時に、上記試料の赤外吸収スペクトルの1600cm-1付近のピークの吸光度を測定し、原子吸光光度法による置換率と赤外吸収スペクトルの1600cm-1付近のピークの吸光度との関係をプロットした標準曲線を作成しておき、置換率が未知の多糖エーテル誘導体の赤外スペクトルの1600cm-1付近のピークの吸光度を読み取り、前記標準曲線に当てはめることにより、該未知試料の置換率を決定することができる。
アミノアルキルエーテル基の置換率の測定は、多糖エーテル誘導体について、日本薬局方(第16改正、2011年)、一般試験法、第1.08項、窒素定量法に記載の方法に従って、その窒素含量を測定し、アミノアルキルエーテル基の置換率を計算する。
本発明に係る磁性粒子は、その全体径がナノサイズにある。磁性粒子の全体径(D)は、10nm〜70nmの範囲にあるのが望ましく、この範囲にあることで、後述するT2緩和度との関係で、高調波を強くし易くなる。全体径が10nmより小さい磁性粒子は、製造することが難しく、実用性に欠ける。また、磁性粒子の全体径を70nmより大きくすることは、毛細血管内で詰まりやすくなることや血中滞留性が悪くなるおそれがあるなど、生物学的な要因から避けたほうがよい。
本発明に係る磁性粒子は、T2緩和度(R2)を全体径(D)で除した値(以下、R2/D値という。)が、高いものが好ましく、具体的には3.5〜6.0の範囲に設定されている。ここで、T2緩和度は、核磁気共鳴(NMR)において磁場0.47テスラで測定した場合の値である。磁性粒子は、R2/D値が比較的高い前記範囲にあるようにすることで、全体径を比較的大きくすることなく、高調波を強くすることができる。すなわち、本発明に係る磁性粒子は、強い高調波と良好な血中滞留性とを併有している。R2/D値が3.5よりも小さくなると、強い高調波を得ることが難しい。また、R2/D値が大きくなる程、強い高調波が得られるが、6.0よりも大きくすることは、現実的には困難である。
前記T2緩和度は、次のように求められる。ある濃度に希釈した磁性粒子について、NMRにてT2緩和時間を測定する。得られたT2緩和時間と濃度を以下の式1にあてはめた際に、定数となるR2のことをT2緩和度と呼ぶ。一般的に磁性の強いものほどT2緩和時間が短くなることから、T2緩和度が高い値となる。
1/T2−1/T2c=R2×C … 式1
T2:磁性粒子のT2緩和時間(秒)
T2c:磁性粒子が分散している溶媒のT2緩和時間(秒)
C:磁性粒子の濃度(mmol/L)
R2:T2緩和度(mM-1・s-1
なお、測定するNMR機器の磁場強度によってT2緩和度の値が異なり、本発明でのT2緩和度の値は全て0.47テスラで測定した場合の値である。
MPIの原理上、磁性粒子の磁性はなるべく強いほうがよいことから、磁性の向上、すなわちT2緩和度がなるべく高くなるように、磁性粒子の合成を行うことが従来の一般的な考え方である。従来の考え方では、磁性を上げるために磁性粒子のT2緩和度を2倍〜3倍に向上させることに伴って、磁性粒子の全体径も2倍〜3倍大きくなることから、R2/Dの値はだいたい一定になり、R2/Dの値は制御されていない。そして、後述する試験1に示す試作物1と試作物2との関係のように、試作物1のほうが試作物2よりも磁性粒子の全体径が大きいものの、試作物1の高調波が強くなっておらず、磁性(R2)を向上させても、全体径が大きいと高調波の強さへの影響が小さい。本発明に係る磁性粒子は、該磁性粒子を高磁性としつつも全体径が比較的小さくなるように合成することで、R2/Dの値が高くなるように制御している。そして、本発明に係る磁性粒子は、0.47テスラで測定したT2緩和度を磁性粒子の全体径で除した値が3.5〜6.0の範囲にあることで、高調波を強くすることができる。また、磁性粒子は、強い高調波を得るために全体径が大きくなることなく、ナノサイズであるので、保存安定性および長期血中滞留性が良好である。すなわち、磁性粒子は、体内の様々な疾患を観察するために必要な長期血中滞留性だけでなく、高調波が強いので、MPIに用いた際により鮮明な画像を得ることができる。
本発明に係る磁性粒子は、磁性金属酸化物として酸化鉄を用いることで、生体にとって必須元素である鉄から構成されることになり、毒性を示さず、生体内投与物質としてより安全に使用することができる。また、磁性粒子は、磁性金属酸化物をデキストラン誘導体で被覆することで、安全性が高く、医療用途として好適である。特にアニオン性の官能基とカチオン性の官能基との両方を有しているデキストラン誘導体で磁性金属酸化物を被覆することで、血中滞留時間を長くすることができ、長期血中滞留性を向上できる。
本発明に係る磁性粒子において、多糖誘導体と磁性金属酸化物との比率は、磁性金属酸化物粒子の粒径および多糖誘導体の分子量に依存し、広い範囲内で変えることができる。本発明に係る磁性粒子は、多糖誘導体を磁性金属酸化物中の金属1重量部当たり0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、更に好ましくは1〜3重量部含有させるのがよい。なお、磁性粒子中の金属含量(当該金属は磁性粒子に含まれる磁性金属酸化物に由来する)は、原子吸光光度法で測定したときの値である。磁性粒子に少量の水の存在下に塩酸を添加し、含まれる金属を完全に塩化物まで分解した後、適当に希釈し、各金属の基準液と比較して金属含量を決定している。また、磁性粒子中の多糖誘導体の含量は、Analytical Chem.,25,1656(1953)に準拠し、硫酸−アントロン法で測定したときの値である。すなわち、磁性粒子のゾルを適当に希釈した液に硫酸−アントロン試液を加えて発色させ、吸光度を測定する。同時に磁性粒子の製造に用いた多糖誘導体を基準物質として、同様に発色させ、吸光度を測定し、両者の吸光度の比率から磁性粒子中の多糖誘導体の含量を求めている。
本発明に係る磁性粒子は、例えば次の2つの方法により製造することができる。第1の製造方法は、あらかじめ磁性粒子の芯部分になる磁性金属酸化物を含む水性ゾルを調製し、多糖誘導体と反応させる方法である。第2の製造方法は、水系で多糖誘導体の存在下に2価の金属塩と3価の金属塩と塩基を撹拌下に混合および反応させる方法である。
第1の製造方法においては、まず、磁性金属酸化物を含む水性ゾル(以下、原料ゾルという)を調製し、これを多糖誘導体と反応させて磁性粒子を生成する。原料ゾル中の磁性金属酸化物の粒径および磁性は得られる磁性粒子に含まれる磁性金属酸化物とほとんど同じである。従って、目的に応じた物性を有する磁性金属酸化物を含む原料ゾルをあらかじめ調製することが望ましい。磁性金属酸化物を含む原料ゾルの調製は、例えば、アルカリ共沈法により行うことができる。具体的には、例えば、第1鉄鉱酸塩と第2鉄鉱酸塩をモル比で1:3〜2:1で含む水溶液とNaOH、KOH、NH4OH等の塩基とをpH7〜12になるように混合する。混合物を、必要なら加熱熟成し、次いで生成する磁性金属酸化物の粒子を分離、水洗する。その後に、水に再分散し、塩酸等の鉱酸を液のpHが1〜3となるまで加えることにより、磁性金属酸化物を含む水性ゾルを得ることができる。この水性ゾルは必要に応じて、透析、限外濾過、遠心分離等により精製および/または濃縮してもよい。前述した第1の製造方法において、第1鉄塩の一部または全部を鉄以外の2価金属塩に変えて用いれば、同様にしてフェライトの水性ゾルを得ることができる。使用できる2価金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等の金属の鉱酸塩を例示することができ、これらは1種のみまたは複数種を同時に用いてもよい。前記原料ゾルは、特公昭42−24663号公報に開示されている方法によっても調製することができる。例えば、強塩基性イオン交換樹脂スラリーに撹拌下に、第1鉄塩と第2鉄塩を1:2のモル比で含む水溶液を、液のpHを8〜9に保ちながら添加する。その後に、塩酸等の鉱酸をpH1〜3になるまで加え、次いで樹脂を濾別し、必要により透析、限外濾過等により精製および/または濃縮すれば、磁性酸化鉄の水性ゾルが得られる。
原料ゾルと多糖誘導体の水溶液とを混合反応させることにより磁性粒子を生成することができる。具体的には、例えば、原料ゾルに含まれる磁性金属酸化物1重量部(金属換算で)に対し、多糖誘導体を一般に、1〜10重量部、好ましくは3〜5重量部の割合で反応させる。反応液中の磁性金属酸化物の濃度は、特に制限されるものではないが、通常、金属換算で0.1〜10w/v%、好ましくは1〜5w/v%の範囲内とするのがよい。反応は一般に室温〜120℃の範囲内において10分〜10時間行うことができるが、便宜的には1時間程度還流加熱すれば十分である。冷却後、必要に応じて精製および/または濃度調整を行ってもよい。例えば、得られる反応液にメタノール、エタノール、アセトン、エチルエーテル等の磁性粒子に対する貧溶媒を添加し、該磁性粒子を優先的に沈澱析出させ、析出物を分離し、次いで析出物を水に再溶解し、流水透析し、必要に応じて減圧濃縮し、所望の純度および濃度を有する磁性粒子の水性ゾルを得ることができ、また、限外濾過により生成する磁性粒子から未反応多糖誘導体および低分子化合物を分離する操作を繰り返し、所望の純度および濃度を有する磁性粒子の水性ゾルを得ることができる。この際、所望により、前記工程の途中および/または最後に、pH調整、遠心分離および/または濾過の工程を入れることもできる。こうして得られる磁性粒子の水性ゾルを既知の方法で乾燥し、好ましくは凍結乾燥することにより、磁性粒子を粉末として取得することもできる。
第2の製造方法は、水系で多糖誘導体の存在下に、2価の金属鉱酸塩および3価の金属鉱酸塩の混合金属塩溶液と塩基溶液とを混合反応させ、1工程で磁性粒子を得る方法である。第2の製造方法は更に添加順序により、(A)多糖誘導体の水溶液に混合金属塩水溶液を添加し、次いで塩基水溶液を添加して反応させる方法、(B)多糖誘導体の水溶液に塩基水溶液を添加し、次いで混合金属塩水溶液を添加して反応させる方法、(C)塩基水溶液に多糖誘導体の水溶液と混合金属塩水溶液を添加して反応させる方法、(D)混合金属塩水溶液に塩基水溶液と多糖誘導体の水溶液の混液を添加して反応させる方法などに分類される。(A)〜(D)は、添加順序が相違するのみで、他の条件は本質的には変わらないが、少なくとも得られる磁性粒子の物性を幅広く変えられる点で(A)が好ましい。
前記混合金属塩水溶液の調製には、例えば、2価の金属塩が第1鉄でありかつ3価の金属塩が第2鉄の場合には、第1鉄塩と第2鉄塩とのモル比を1:4〜3:1、好ましくは1:3〜1:1の割合で水性媒体中に溶解する。この場合、第1鉄塩の一部、例えば半量を他の2価金属塩、例えばマグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等の少なくとも1種の金属の塩と置き換えることができる。混合金属塩水溶液の濃度は特に制限されないが、通常、0.1〜3M、好ましくは0.5〜2Mの範囲が適当である。金属塩としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸から選ばれる1種、通常塩酸との塩を挙げることができる。また、塩基としては、例えば、NaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物や、アンモニアや、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類等から選ばれる少なくとも1種、通常、NaOHを使用することができる。塩基水溶液の濃度も広範囲にわたり変えることができるが、通常、0.1〜10N、好ましくは1〜5Nの範囲内が適当である。使用する塩基の量は添加終了後の反応液のpHがほぼ中性ないしpH12になる量、すなわち金属塩と塩基との比が1:1〜1:1.4(規定比)となるような量である。
多糖誘導体の量は、用いる金属塩中の金属の重量を基準にして1〜15倍、好ましくは3〜10倍とすることができる。また、多糖誘導体水溶液の濃度も厳密に制限されるものではないが、通常、1〜30w/v%、好ましくは5〜20w/v%の範囲内がよい。各水溶液の添加および混合は、撹拌下に0〜100℃、好ましくは20〜80℃の非加熱または加熱下に行うことができる。そして、必要ならば、塩基または酸を添加してpHを調整した後、50〜120℃の温度で10分〜5時間、通常1〜2時間加熱還流することにより反応させることができる。前述した混合および反応は、空気雰囲気下で行うことができるが、所望によりN2およびArガス等の不活性ガス、H2ガス等の還元性ガス、またはO2ガス等の酸化性ガスのもとで行ってもよい。こうして得られる反応液は前記第1の製造方法におけると同様に精製し、所望ならば、pH調整、濃縮、濾過、更には乾燥することができる。
前記第1の製造方法と第2の製造方法を比較すると、少なくとも工程の長さおよび多様な物性を有する磁性粒子を製造できる点で第2の製造方法が好ましい。また、第1の製造方法と第2の製造方法とを組み合わせてもよい。すなわち、予め調製された既知の多糖もしくは多糖誘導体と磁性金属酸化物とのゾルまたは多糖で被覆した磁性金属酸化物のゾルに多糖誘導体を添加し、所望により第1の製造方法におけると同様に加熱反応、精製、pH調整、濃縮、濾過、更には乾燥して、磁性粒子を製造することができる。この場合、多糖で被覆した磁性金属酸化物のゾルを既知の精製方法、例えば貧溶媒による再沈殿、ゲル濾過および限外濾過等により、不純物、遊離の多糖もしくは多糖誘導体を減らしたものを用いることができ、かつそれが好ましい。
(試作物1)
試作物1は、以下のように製造される。平均分子量約1万の還元型デキストラン500gを水1Lに溶解し、これに水酸化ナトリウム95gおよびモノクロロ酢酸115gを20℃以下で加えた後、60℃で2時間攪拌する。冷却後、水を加え2Lに調整した後、メタノール4Lを攪拌下に添加し、目的物を析出させる。析出した目的物を水0.75Lに再溶解し、メタノール3Lを加えて目的物を得る操作を3回行い、得られた目的物を水1Lに溶解し、水酸化ナトリウムを用いてpHを8に調整する。減圧濃縮し、凍結乾燥してデキストランのカルボキシメチルエーテル・ナトリウム塩(以下、CM化デキストランという)を得た。
次に、CM化デキストラン100gを水300mLに溶解し、これに水酸化ナトリウム23gおよびジエチルアミノエチル塩酸塩28gを30℃以下で加えた後、65℃〜70℃で1.5時間攪拌する。冷却後、塩酸を用いてpHを7に調整した後、水を加えて500mLに調整する。これにメタノール1.1Lを攪拌下に添加し、目的物を析出させる。析出した目的物に水を加えて400mLとし、メタノール350mLを加えて目的物を得る操作を2回行い、得られた目的物に水を加えて400mLとする。これを1.2Lのメタノールに攪拌しながら添加し、細かい目的物とした後、ガラスフィルターで濾過回収し、減圧乾燥してデキストランのカルボキシメチルエーテル/ジエチルアミノエチル化物(以下、CMEA化デキストランという)を得た。
前記CMEA化デキストラン11.6gを水75mLに溶解し、ここに予め調製した塩化鉄(II)/塩化鉄(III)=1:2の1M水溶液50mLを80℃、窒素雰囲気下で撹拌混合する。その後、80℃で撹拌を維持しながら、3M水酸化ナトリウム水溶液80mLを混合する。混合終了後、塩酸で中和し、続いて還流を1.5時間実施する。冷却後、溶液を遠心処理(1800G、60分)し、上清を回収する。上清を限外ろ過(分画分子量100,000Da)で精製し、試作物1に係る磁性粒子を含む水溶液101mLを得た。なお、試作物1は、鉄濃度が33mg/mL、全体径が56nm、0.47テスラにおけるT1緩和度R1が28mM−1・s−1、0.47テスラにおけるT2緩和度R2が120mM−1・s−1であった。
(試作物2)
前記CMEA化デキストラン21.5gを水75mLに溶解し、ここに予め調製した塩化鉄(II)/塩化鉄(III)=1:2の1M水溶液50mLを80℃、窒素雰囲気下で撹拌混合する。その後、80℃で撹拌を維持しながら、3M水酸化ナトリウム水溶液80mLを混合する。混合終了後、塩酸で中和し、続いて還流を1.5時間実施する。冷却後、溶液を遠心処理(1880G、60分)し、上清を回収する。上清を限外ろ過(分画分子量100,000Da)で精製し、試作物2に係る磁性粒子を含む水溶液100mLを得た。なお、試作物2は、鉄濃度が35mg/mL、全体径が38nm、0.47テスラにおけるT1緩和度R1が32mM−1・s−1、0.47テスラにおけるT2緩和度R2が120mM−1・s−1であった。
(試作物3)
CMEA化デキストラン11.6gを水183mLに溶解し、ここに予め調製した塩化鉄(II)/塩化鉄(III)=1:2の1M水溶液50mLを80℃、窒素雰囲気下で撹拌混合する。その後、80℃で撹拌を維持しながら、3M水酸化ナトリウム水溶液80mLを混合する。混合終了後、塩酸で中和し、続いて還流を1.5時間実施する。冷却後、溶液を遠心処理(1880G、60分)し、上清を回収する。上清を限外ろ過(分画分子量50,000Da)で精製し、試作物3に係る磁性粒子を含む水溶液94mLを得た。なお、試作物3は、鉄濃度が34mg/mL、全体径が54nm、0.47テスラにおけるT1緩和度R1が31mM−1・s−1、0.47テスラにおけるT2緩和度R2が201mM−1・s−1であった。
(試作物4)
CMEA化デキストラン10.1gを水150mLに溶解し、ここに予め調製した塩化鉄(II)/塩化鉄(III)=1:2の1M水溶液45mLを80℃、窒素雰囲気下で撹拌混合する。その後、80℃で撹拌を維持しながら、3M水酸化ナトリウム水溶液59mLと20%炭酸ナトリウム水溶液8.5mLを混合する。混合終了後、塩酸で中和し、続いて還流を1.5時間実施する。冷却後、溶液を遠心処理(1880G、60分)し、上清を回収する。上清を限外ろ過(分画分子量100,000Da)で精製し、試作物4に係る磁性粒子を含む水溶液97mLを得た。なお、試作物4は、鉄濃度が28mg/mL、全体径が83nm、0.47テスラにおけるT1緩和度R1が41mM−1・s−1、0.47テスラにおけるT2緩和度R2が34mM−1・s−1であった。
(試作物5)
前記試作物3を市販の磁気分離カラム(ミルテニーバイオテク、LSカラム/MidiMACS)に通し、保持分画を回収して、試作物5に係る磁性粒子を含む水溶液を得た。なお、試作物5は、鉄濃度が28mg/mL、全体径が64nm、0.47テスラにおけるT1緩和度R1が34mM−1・s−1、0.47テスラにおけるT2緩和度R2が378mM−1・s−1であった。
(試験1−高調波の強度)
試作物1〜5に対して、磁場強度4および8kA/mの交流磁場を周波数10kHzで印加した際に発生する第3高調波の磁化(M)を、基本波の磁化(Ms)に対する比として測定した。その結果をR2/Dの値と共に表1に示す。
Figure 2019151552
表1に示すように、R2/Dの値の増加に伴って第3高調波が強くなるが、全体径の大きさとはあまり関連性がない。なお、実用上求められる第3高調波比としては、磁場強度が4kA/mの場合で0.010以上、8kA/mの場合で0.035以上が好ましく、そのためにはR2/Dの値が4.0以上であるのが好ましいことが判る。
(試験2−長期血中滞留性(血中クリアランス))
試作物4および5をマウス(チャールズリバー製ICR、オス、8週齢)に対して投与量:50μmol−Fe/kgとなるように尾静脈投与した。投与後、0.5、1、2.5、5時間後に血液を採取し、抗凝固剤を添加し、水で2倍に希釈した後、TD−NMR(ブルカー製ミニスペックmq20、0.47テスラ)にてT2緩和時間を測定した。得られたT2緩和時間とT2緩和度から血中濃度を計算した。その結果を表2に示す。
Figure 2019151552
表2に示すように、試作物4(全体径83nm)は投与後0.5時間以内に血中からほとんど消失するが、試作物5(全体径64nm)は投与後5時間時点でも感知できる量が血中に残存している。この差は全体径の違いに起因するものと推定される。

Claims (5)

  1. 磁性粒子イメージングに用いられる磁性粒子であって、
    磁性金属酸化物と多糖誘導体とを成分として含み、芯部分が前記磁性金属酸化物で構成され、
    磁性粒子全体の粒径がナノサイズであり、
    0.47テスラで測定したT2緩和度を前記粒径で除した値が、3.5〜6.0の範囲にある
    ことを特徴とする磁性粒子。
  2. 前記磁性金属酸化物は、酸化鉄である請求項1記載の磁性粒子。
  3. 前記磁性金属酸化物を、前記多糖誘導体としてのデキストラン誘導体で被覆してある請求項1または2記載の磁性粒子。
  4. 前記デキストラン誘導体は、アニオン性の官能基とカチオン性の官能基との両方を有している請求項3記載の磁性粒子。
  5. 前記粒径が10nm〜70nmの範囲にある請求項1〜4の何れか一項に記載の磁性粒子。
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