JP5354566B2 - カチオン性多糖磁性粒子複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、多糖誘導体と磁性金属酸化物との複合体(本明細書において、「多糖磁性粒子複合体」ともいう。)に関する。本発明は、特に細胞や組織の磁気標識に好適であり、さらにMRI診断に好適である多糖磁性粒子複合体に関する。
今日の細胞や組織の移植において、通常、移植した細胞や組織の評価は、一般的にその細胞や組織が正常に機能することで発現する生命現象を観察する方法により行われている。例えば、先天性の1型糖尿病の患者に対する膵島細胞移植では、移植後に門脈血圧、インシュリン分泌量を測定することにより、移植細胞の定着を間接的に評価している。しかしながら、このような間接的な評価方法により、移植直後の細胞や組織の状態を適切に且つ早期に診断することは容易ではない。そのため、移植された細胞や組織を適切に維持する為の処置を過少或いは過多に施す場合があり、そのために生ずる臨床的なリスクやコストは看過できない。
一方、細胞や組織の移植は適切に行われた場合でも、移植後の免疫拒絶反応による急激な細胞死、組織摘出時のダメージ等に起因する細胞の壊死等が見られる場合もあり、術後の的確な経過観察への要求は大きい。
このような背景において、近年、移植前に超常磁性酸化鉄(SPIO)等の磁性金属酸化物を用いて細胞や組織を磁気標識し、細胞や組織の移植後に、核磁気共鳴画像法(MRI)を利用して経過観察を行うことが考案されている。
例えば、磁性金属酸化物とデキストランなどの多糖類との複合体を用いて細胞標識を行うことが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。このような多糖磁性粒子複合体は、毒性が低い、血液クリアランスが遅いなどの利点を有するものであるが、表面電荷が負であり、膵島細胞等の一般的な移植細胞に対する標識能が低いため、移植後のMRIで検出し難いという問題があった。
なお、還元多糖の酸化鉄錯体が、滅菌に必要な温度において安定であることは知られている(特許文献5)。
一方、表面電荷が正である多糖類と磁性金属酸化物との複合体も提案されている。例えば、磁性金属酸化物をジエチルアミノデキストランで被覆した磁性粒子が報告されている(特許文献6、特許文献7、非特許文献1)。これらの複合体の細胞標識能は、それ以前の複合体のそれに比して向上したものであったが、生体内でのMRI画像までは報告されていない。
。また、プルラン、及びその誘導体を含むFe2+とFe3+イオンの混合水溶液にアンモニア水を加え、共沈させることによって作製した酸化鉄ナノ粒子(ION)が、ラット骨髄間葉系幹細胞(MSC)に取り込まれMRI造影能を示したことが報告されている(非特許文献2)。
特許第2921984号公報 特許第2939336号公報 特許第2726520号公報 特許第4070150号公報 特表2002−541218号公報 特表平9−501675号公報 特開2007−112904号公報 C. Chouly et. al., Journal Microencapsulation, 1996, 13, 3, 245-255 城 潤一郎ら、再生医療(日本再生医療学会雑誌)、VOL. 7, Suppl., 290, 2008
本発明は、従来の多糖磁性粒子複合体に比して、細胞標識能に優れる多糖磁性粒子複合体を提供すること、さらに詳細には、培養液中で安定であり、的確なMRI診断を可能とするMRI造影剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来の多糖磁性粒子複合体は、培養液中で凝集を起こすため、これが安定した細胞標識を妨げるのではないかと考えた。そこで、本発明者らは、種々の多糖磁性粒子複合体の製造方法、物性などを検討した結果、特定の凝集度を満足する多糖磁性粒子複合体を得ることに成功した。そして、この多糖性粒子複合体は、安定した細胞標識能を有し、そのため優れたMRI造影能を有することを知見し、本発明を完成させた。
さらに、本発明者らは、多糖誘導体の末端アルデヒド(還元末端)がカルボキシル化又はアルコール化されたカチオン性多糖誘導体を用いて得られる複合体は、培養液中で凝集しにくいことを知見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)下記性質を有する、カチオン性多糖誘導体と磁性金属酸化物との複合体、
ウシ胎仔血清を20%含むD−MEM中に、37℃、5%CO2の条件で、24時間静置したときの凝集度が、4.0倍以下である(以下、「本発明の複合体」ともいう。)。(2)カチオン性多糖誘導体の末端アルデヒドがカルボキシル化又はアルコール化されている、(1)に記載の複合体。
(3)磁性金属酸化物をカチオン性多糖誘導体で被覆した後、50〜120℃で5分〜6時間加熱して得られる、(1)又は(2)に記載の複合体。
(4)磁性金属酸化物がフェライトである、(1)〜(3)の何れかに記載の複合体。
(5)カチオン性多糖誘導体が、アミノアルキルエーテル化多糖である、(1)〜(4)の何れかに記載の複合体。
(6)多糖が、デキストラン、デキストリン、セルロース、アガロース、デンプン及びプルランから選択される少なくとも1種である、(1)〜(5)の何れかに記載の複合体。(7)カチオン性多糖誘導体の置換度が、0.2〜0.6mol/AGUの範囲内である、(1)〜(6)の何れかに記載の複合体。
(8)下記性質を有する、(1)〜(7)の何れかに記載の複合体、
膵島細胞及び該細胞に対して十分量の複合体を含む、ウシ胎仔血清を20%含むD−MEMに、37℃、5%CO2の条件で、1時間静置したとき、該複合体による細胞1×106個当たりの標識量が、磁性金属酸化物の金属の質量に換算して0.6μg以上である。
(9)カチオン性多糖誘導体を、磁性金属酸化物中の金属1質量部当たり0.05〜20質量部の範囲内で含む、(1)〜(8)の何れかに記載の複合体。
(10)動的光散乱法により測定された平均一次粒子径が5〜100nmの範囲内にある、(1)〜(9)の何れかに記載の複合体。
(11)水ゾルの形態でのT2緩和能力が90〜1000(mM・sec)-1の範囲内にある、(1)〜(10)の何れかに記載の複合体。
(12)細胞又は組織の標識剤である、(1)〜(11)の何れかに記載の複合体。
(13)細胞又は組織が膵島細胞又は膵島である、(12)に記載の複合体。
(14)MRI造影剤である、(12)又は(13)に記載の複合体。
(15)磁性金属酸化物をカチオン性多糖誘導体で被覆した後、50〜120℃で5分〜
6時間加熱することを含む、(3)〜(14)の何れかに記載の複合体の製造方法。
(16)前記カチオン性多糖誘導体は、多糖の末端アルデヒドがカルボキシル化又はアルコール化されている、(15)に記載の製造方法。
(17)(1)〜(14)の何れかに記載の複合体の存在下、細胞を培養することを含む、細胞の標識方法。
本発明の複合体は、培養液中でも長時間凝集せず、安定である。そのため、本発明の複合体により標識した細胞は、安定したMRI造影能を有する。また、本発明の複合体は細胞毒性も低いので、移植細胞のMRI造影剤として好適である。
以下、本発明の複合体についてさらに詳細に説明する。
本発明の複合体は、カチオン性多糖誘導体と磁性金属酸化物との複合体であって、下記性質を有することを特徴とする。
ウシ胎仔血清(FBS)を20%含むD−MEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中に、37℃、5%CO2の条件で、24時間静置したときの凝集度が、4.0倍以下である。
「D−MEM」は、Gibco BRL社製のD−MEM(Dulbecco' s Modified Eagle Medium)品番11995-065である。
「%」パーセントは体積%を示す。
「凝集度」とは、凝集による複合体のサイズの増加度合いを示す値であり、静置後の凝集塊の平均サイズを平均一次粒子径で除することにより求められる。
ここで、「平均一次粒子径」とは、カチオン性多糖誘導体と磁性金属酸化物との複合体の個々の粒子(一次粒子)の平均直径である。「凝集塊の平均サイズ」とは、前記一次粒子及びこれが凝集して形成された凝集塊を含む全複合体の平均サイズである。
ここで、複合体の平均一次粒子径及び凝集塊の平均サイズは、動的光散乱法(例えば、Polymer J.,13,1037−1043(1981)参照)により測定される値である。具体的なサンプル調製方法、測定条件は以下のとおりである。
(平均一次粒子径の測定におけるサンプル調製)
複合体を金属酸化物中の金属の質量に換算して、0.05mg/mLの濃度となるようにpH9.0のホウ酸バッファーで希釈し、複合体の水性ゾルを得る。
(凝集塊の平均サイズの測定におけるサンプル調製)
複合体を金属酸化物の金属の質量に換算して、0.10mg/mLの濃度となるように、前記ウシ胎仔血清を20%含むD−MEMで希釈し、37℃インキュベータにて24時間静置した後、蒸留水で1/2に希釈して水性ゾルを得る。
(測定条件)
機器名:Autosizer 4700 (Malvern社製)、温度:25℃、測定角度:90℃、波長:514nm
本発明の複合体の凝集度は、好ましくは3.0倍以下、さらに好ましくは2.0倍以下、さらに好ましくは1.5倍、さらに好ましくは1.0倍以下である。
本発明の複合体を構成するカチオン性多糖誘導体は、カチオン性置換基(以下「カチオン基」ともいう。)を有する多糖であって、全体として正の電荷を有するものをいう。
カチオン基としては、例えば、1〜4級アミンを含む基等が挙げられる。好ましくは、3、4級アミンを含む基である。このようなカチオン基としては、アミノアミノアルキルエーテル基、アミノシラン基等が挙げられ、アミノアルキルエーテル基が好ましい。本発
明において、アミノアルキルエーテル基を有する多糖を、「アミノアルキルエーテル化多糖」という。
アミノアルキルエーテル化多糖は、既知の方法を用いて製造することができる。
例えば、Chemistry and Industry,1959,(11),1490−1491、特公昭59−30161号公報等に記載の方法に従い、例えば、多糖の水溶液又は懸濁液にNaOH等のアルカリを添加した後、アミノアルキルハライド若しくは対応するエポキシド、又はアンモニオアルキルハライド若しくは対応するエポキシドを加えて反応することにより行うことができる。
原料多糖としては中性多糖が好ましく、例えば、グルコースポリマーであるデキストラン、デキストリン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、カードラン、シゾフィラン、レンチナン、ペスタロチアン、プルラン等;フラクトースポリマーであるイヌリン、レバン等;マンノースポリマーであるマンナン等;ガラクトースポリマーであるアガロース、ガラクタン等;キシロースポリマーであるキシラン、L−アラビノースポリマーであるアラビナン等が挙げられ、中でもデキストラン、デンプン、セルロースが好ましく、特にデキストランが好ましい。また、多糖の重量平均分子量は、通常3000〜10万、好ましくは3000〜7万である。また、末端アルデヒドがカルボキシル化された多糖(酸化多糖)、又は末端アルデヒドがアルコール化された多糖(還元多糖)を用いることが好ましい。末端アルデヒドのカルボキシル化は、アルカリ処理法等により、末端アルデヒドを酸化することにより行うことができる。また、末端アルデヒドのアルコール化は、ナトリウムアマルガムを用いる方法、パラジウムカーボンの存在下に水素ガスを用いる方法、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を用いる方法等により、末端アルデヒドを還元することにより行うことができる。
多糖のアミノアルキルエーテル化は、アミノアルキルハライド若しくはこれの対応するエポキシド、又は未置換若しくは置換アンモニオアルキルハライド若しくはこれの対応するエポキシド等のアミノアルキルエーテル化剤を用いて行うことができる。
アミノアルキルハライド若しくはこれの対応するエポキシドは、下記式(I)で表される。
式(I)中、
1はアルキレン基を表し、
1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表すか、又は、R1とR2が結合している窒素原子と一緒になって形成され含窒素複素環を表し、
Yはハロゲン原子又はエポキシ基(下記式)を表す。
1で表されるアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。
1及びR2の少なくとも一方が炭化水素基を表す場合、該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいし、鎖状であっても環状であってもよい。該炭化水素基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基、アリール基、アラルキル基である。該炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
1とR2が、これらが結合している窒素原子と一緒になって含窒素複素環を形成する場合、該含窒素複素環としては、例えば、アジリジン、ピロリジン、ピロリン、ピロール、ピペリジン、モルホリン、インドール、インドリン、イソインドリンが挙げられる。該含窒素複素環は、好ましくは5員環又は6員環であり、例えば、ピロリジン、ピロリン、ピペリジン、モルホリンが挙げられる。中でも好ましくは、ピロリジン又はピペリジンである。
アミノアルキルハライド若しくはこれらの対応するエポキシドとして、具体的には、例えば、アミノメチルクロライド、アミノメチルブロマイド、アミノエチルクロライド、アミノプロピルブロマイド、メチルアミノメチルクロライド、メチルアミノメチルブロマイド、エチルアミノエチルクロライド、エチルアミノエチルブロマイド、エチルアミノプロピルクロライド、プロピルアミノプロピルクロライド、ジメチルアミノメチルクロライド、ジメチルアミノエチルクロライド、ジエチルアミノメチルクロライド、ジエチルアミノエチルクロライド、ジエチルアミノエチルブロマイド、ジエチルアミノプロピルクロライド、ジプロピルアミノエチルブロマイド、ジプロピルアミノプロピルクロライド、1−ピロリジニルメチルクロライド、2−(1−ピロリジニル)エチルクロライド、3−(1−ピロリジニル)プロピルクロライド、1−ピペリジニルメチルクロライド、2−(1−ピペリジニル)エチルクロライド、3−(1−ピペリジニル)プロピルクロライド等、若しくはこれらの対応するエポキシドが挙げられる。
未置換若しくは置換アンモニオアルキルハライド若しくはこれの対応するエポキシドは、下記式(II)で表される。
式(II)中、
2はアルキレン基を表し、
3、R4及びR5は、それぞれ独立に水素原子又は炭化水素基を表すか、又はR3、R4及びR5のうちの少なくとも2つがそれらが結合している窒素原子と一緒になって形成された含窒素複素環を表し、
Yはハロゲン原子又はエポキシ基(下記式)を表し、
Zはアニオンを表わす。
2で表されるアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。
3、R4及びR5の少なくとも一つが炭化水素基を表す場合、該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいし、鎖状であっても環状であってもよい。該炭化水素基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニルアルキル基、アリール基、アラルキル基である。該炭化水素基は、好ましくは1〜3のアルキル基である。
3、R4及びR5のうちの少なくとも2つが、これらが結合している窒素原子と一緒になって含窒素複素環を形成する場合、該含窒素複素環としては、例えば、アジリジン、ピロリジン、ピロリン、ピロール、ピペリジン、モルホリン、インドール、インドリン、イソインドリンが挙げられる。該含窒素複素環は、好ましくは5員環又は6員環であり、例えば、ピロリジン、ピロリン、ピペリジン、モルホリンが挙げられる。
Zのアニオンとしては、例えば、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオンなどのハロゲンイオン、硝酸イオンなどの無機酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオンなどの有機酸イオンが挙げられる。
未置換若しくは置換アンモニオアルキルハライド若しくはこれの対応するエポキシドとして、具体的には、例えば(ただし、Zのアニオンの表現は省略して記載する)、2−クロロエチルトリメチルアンモニウム、2−クロロエチルトリエチルアンモニウム、2−クロロエチルトリプロピルアンモニウム、2−クロロエチルトリn−ブチルアンモニウム、3−クロロプロピルトリメチルアンモニウム、3−クロロプロピルトリエチルアンモニウム、3−クロロプロピルトリプロピルアンモニウム、3−クロロプロピルトリn−ブチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリn−ブチルアンモニウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリiso−ブチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリn−ブチルアンモニウム、3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピルトリiso−ブチルアンモニウム、若しくはこれらの対応するエポキシドが挙げられる。
上記式(I)又は(II)で表されるアミノアルキルエーテル化剤を使用して、多糖のアミノアルキルエーテル化を行うことにより、多糖のヒドロキシ基が下記式(III)又は(IV)で表される基に置換された化合物が得られる。
式(III)及び(IV)中、
3及びA4は、それぞれヒドロキシ基で置換されていてもよいアルキレン基を表わし、
1、R2、R3、R4、R5及びZは、前記定義のとおりである。
3及びA4で表されるアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。
また、R1、R2、R3、R4、R5及びZの好ましい範囲も前記のとおりである。
アミノアルキルエーテル基として、具体的には、例えば、ジメチルアミノメチルエーテル基、ジエチルアミノエチルエーテル基、ジプロピルアミノプロピルエーテル基、ジエチルアミノプロピルエーテル基、2−(1−ピロリジニル)エチルエーテル基、トリメチルアンモニオエチルエーテル基、トリエチルアンモニオエチルエーテル基、トリプロピルアンモニオエチルエーテル基、トリメチルアンモニオプロピルエーテル基、トリエチルアンモニオプロピルエーテル基、トリメチルアンモニオ−2−ヒドロキシプロピルエーテル基、トリエチルアンモニオ−2−ヒドロキシプロピルエーテル基が挙げられる。
特に、ジエチルアミノエチルエーテル基、ジメチルアミノメチルエーテル基、ジプロピルアミノプロピルエーテル基、トリメチルアンモニオ−2−ヒドロキシプロピルエーテル基、トリエチルアンモニオ−2−ヒドロキシプロピルエーテル基、トリプロピルアンモニオ−2−ヒドロキシプロピルエーテル基が好適である。
前記式(III)で表されるアミノアルキルエーテル基のアミノ基は、塩の形で存在することができる。無機酸塩として、例えば、塩酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩等;有機酸塩として、例えば、ギ酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
なお、前記式(IV)で示されるような、アミノアルキルエーテル基を有するアミノアルキルエーテル化多糖は、上述したように、前記式(II)で表されるアミノアルキルエーテル化剤を用いて製造することもできるが、前記式(I)で表されるアミノアルキルエーテル化剤を用いて前記式(III)で表されるアミノアルキルエーテル基で置換した後、該アミノアルキルエーテル基のアミノ基を、例えば未置換若しくは置換アルキルハライドと反応させることによりアンモニウム塩に変換することによって製造することもできる。
本発明の複合体に用いるカチオン性多糖誘導体は、好ましくは、末端アルデヒドがカルボキシル化又はアルコール化されている。このようなカチオン性多糖誘導体を用いることにより、上述した4.0倍以下の凝集度を達成することができる。このようなカチオン性多糖誘導体は、例えば、上述したように、これを製造する原料の多糖として、末端アルデヒドがカルボキシル化された多糖(酸化多糖)又は末端アルデヒドがアルコール化された多糖(還元多糖)を用いることにより、得ることができる。
本発明の複合体に用いるカチオン性多糖誘導体は、好ましくは水溶性である。
また、カチオン性多糖誘導体の置換度は、好ましくは0.2〜0.6mol/AGU、さらに好ましくは約0.2〜0.4mol/AGUの範囲内にある。AGUは、無水グルコース単位を示す。本発明の複合体を細胞の標識剤として使用する場合、このような範囲の置換度とすることにより、高い細胞標識量が得られる。
カチオン性基が、前記アミノアルキルエーテル基である場合には、置換度は次のようにして測定される。
(アミノアルキルエーテル基の置換度の測定)
日本薬局方(第12改正、1991年)、一般試験法、第30項、窒素定量法に記載の方法に従って、その窒素含量を測定し、アミノアルキルエーテル基の置換度を計算する。
また、カチオン性多糖誘導体のヒドロキシル基の一部は、多糖誘導体のカチオン性を損なわない程度であれば、アニオン性置換基(アニオン基)又はノニオン性置換基(ノニオン基)で置換されていてもよい。アニオン基としては、カルボキシル基、硫酸基、リン酸基が挙げられる。また、ノニオン基としては、メトキシル基、エトキシル基が挙げられる。
本発明の複合体を構成する磁性金属酸化物は、強磁性の粒子である。
そのような磁性金属酸化物としては、例えば、下記式(V)で表される化合物が挙げられる。
(MIIO)l・M2 III3 (V)
式(V)中、
IIは2価の金属原子を表わし、
IIIは3価の金属原子を表わし、
lは0〜1の範囲内の実数を表す。
上記式(V)において、2価の金属原子MIIとしては、例えば、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、これらは単独で使用することもでき、あるいは2種以上併用することもできる。また、3価の金属原子MIIIとしては、例えば、アルミニウム、鉄、イットリウム、ネオジウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で使用するか、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
磁性金属酸化物は、上記式(V)で表される化合物中、好ましくは、MIIIが3価の鉄である磁性金属酸化物、すなわち下記式で示されるフェライトである。
(MIIO)m・Fe23 (V−1)
式(V)中、
IIは2価の金属原子を表わし、
mは0〜1の範囲内の実数である。
ここで、MIIとしては前記式(V)において挙げたのと同じ金属原子を挙げることができる。特に、MIIが2価の鉄である場合の上記式(V−1)の磁性金属酸化物、すなわち下記式(V−2)で表される磁性酸化鉄が好ましい。
(FeO)n・Fe23 (V−2)
式(V−2)中、nは0〜1の範囲内の実数である。
なお、上記式(V−2)において、n=0の場合はγ−酸化鉄(γ−Fe23)であり、また、n=1の場合はマグネタイト(Fe34)である。なお、磁性金属酸化物には、結晶水を有する磁性金属酸化物も包含される。
本発明の複合体は保磁力が小さく、超常磁性であることが好ましい。一般に、磁性体の磁化は粒子径の減少に従って減少し、粒子径が10nm以下になるとその傾向が強くなる。また、磁性体の保磁力も、粒子径の減少に伴って減少する。
従って、磁性金属酸化物の粒子径は、好ましくは2〜20nm、さらに好ましくは3〜15nm、さらに好ましくは3〜10nmの範囲内にある。
本発明の複合体は、例えば、末端アルデヒドがカルボキシル化又はアルコール化されているカチオン性多糖誘導体を用いる方法により製造することができる。これ以外の条件は、通常知られている条件でよい。例えば、下記のようにして製造することができる。
水系でカチオン性多糖誘導体の存在下に、2価の金属塩及び3価の金属塩の混合金属塩水溶液と塩基性水溶液とを混合反応させ、1工程で本発明の複合体を得る。金属塩としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸から選ばれる1種との塩が挙げられる。通常、塩酸との塩が好ましい。各物質の添加順序は特に制限されない。
上記の混合金属塩水溶液の調製には、例えば、前記式(V)におけるMIIが2価の鉄であり、且つMIIIが3価の鉄の場合には、第1鉄塩と第2鉄塩を、好ましくは約1:4〜約3:1(モル比)、さらに好ましくは約1:3〜約1:1(モル比)の割合で水性溶媒に溶解する。この場合、第1鉄塩の一部、例えば約半量を他の2価金属塩、例えばマグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ストロンチュウム、バリウム等の少なくとも1種の金属の塩と置き換えることができる。混合金属塩水溶液の金属塩濃度は特に制限されないが、通常0.1〜5M、好ましくは0.5〜3Mの範囲内が適当である。
上記塩基性水溶液に含まれる塩基としては、例えば、NaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。通常NaOHを使用することが好ましい。塩基性水溶液の濃度も広範囲に渡り変えることができるが、通常約0.1〜10N、好ましくは約1〜5Nの範囲内である。また、混合金属塩水溶液と塩基性水溶液の混合比は、好ましくは、混合金属塩水溶液と塩基性水溶液の混合反応液のpHがほぼ中性〜pH12になる比、すなわち金属塩と塩基との比が約1:1〜約1:1.4(規定比)となるような量である。
他方、カチオン性多糖誘導体の量は、用いる金属塩中の金属の質量を基準にして、好ましくは約1〜40倍とすることができる。また、カチオン性多糖誘導体水溶液の濃度も厳密に制限されるものではないが、通常約1〜70w/v%、好ましくは約5〜60w/v%の範囲内である。各水溶液の添加及び混合は、撹拌下に通常約0〜100℃、好ましくは約20〜80℃の非加熱又は加熱下に行うことができ、必要なら塩基又は酸を添加してpHを調整する。
これにより、磁性金属酸化物がカチオン性多糖誘導体で被覆される。
上記のように磁性金属酸化物がカチオン性多糖誘導体で被覆した後、好ましくは得られた反応液を加熱する。加熱は、50〜120℃、好ましくは70〜110℃、さらに好ましくは90〜105℃の温度で、5分〜6時間、好ましくは30分〜3時間、さらに好ましくは1〜2時間行う。この工程を経ることにより、複合体のT2緩和能力が向上する。
上記の混合反応、加熱は、空気雰囲気下で行うことができるが、所望によりN2及びArガス等の不活性ガス並びにH2ガス等の還元性ガス、又はO2ガス等の酸化性ガス下で行うこともできる。
こうして得られた反応液は、精製し、所望ならば、pH調整、濃縮、濾過、更には乾燥
することができる。
本発明の複合体におけるカチオン性多糖誘導体と磁性金属酸化物の比率は、磁性金属酸化物の粒子径やカチオン性多当誘導体の分子量に応じて、広い範囲内で変えることができる。通常は、磁性金属酸化物中の金属1質量部当たり、カチオン性多糖誘導体を0.05〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部、更に好ましくは1〜3質量部含む。
ここで、磁性金属酸化物中の金属の質量は、原子吸光光度法で測定する。すなわち、複合体に少量の水の存在下に塩酸を添加し、含まれる金属を完全に塩化物まで分解した後、適当に希釈し、各金属の基準液との間で特定の波長の吸光度を比較して、金属含有量を求める。
また、複合体中のカチオン性多糖誘導体の含量は、Analytical Chem.,25,1656(1953)に準拠し、硫酸−アントロン法で測定する。すなわち、複合体ゾルを適当に希釈した液に硫酸−アントロン試液を加えて発色させ、吸光度を測定する。同時に複合体の製造に用いたカチオン性多糖誘導体を基準物質として、同様に発色させ、吸光度を測定し、両者の吸光度の比率から複合体中のカチオン性多糖誘導体の含有量を求める。
本発明の複合体の平均一次粒子径は、好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは10〜75nmの範囲内にある。平均一次粒子径の定義は、上述したとおりである。また、平均一次粒子径の測定方法及び測定条件も上述したとおりである。
本発明の複合体は単なる混合物ではなく、磁性金属酸化物とカチオン性多糖誘導体との化合物である。このことは、例えば、反応後に貧溶媒を添加すると、本発明の複合体が優先的に析出してくること及び本発明の複合体の水性ゾルを分画すると、糖と金属を含む複合体と遊離の多糖誘導体に分離できること等から理解できる。
なお、カチオン性多糖誘導体の末端アルデヒドをカルボキシル化又はアルコール化する方法は、カチオン性多糖磁性粒子複合体の安定性を高める方法、安定したカチオン性多糖磁性粒子複合体を製造する方法として使用できる。また、磁性金属酸化物を多糖誘導体で被覆した後、50〜120℃で5分〜6時間加熱する方法は、カチオン性多糖磁性粒子複合体のT2緩和能力を高める方法、高いT2緩和能力を有するカチオン性多糖磁性粒子複合体を製造する方法として使用できる。この場合の好ましい温度及び加熱時間は、上記と同様である。
また、本発明の複合体は、下記性質を有することが好ましい。
膵島細胞及び該細胞に対して十分量の複合体を含む、ウシ胎仔血清を20%含むD−MEMに、37℃、5%CO2の条件で、1時間静置したとき、該複合体による細胞1×106個当たりの標識量が、磁性金属酸化物の金属の質量に換算して0.6μg以上、好ましくは0.8μg以上、さらに好ましくは1.0μg以上である。
ここで、「膵島細胞」は、哺乳類由来であり、好ましくはマウス由来又はラット由来である。膵島細胞は、哺乳類の膵島から分離することができる。分離方法として、例えばJoo Ho Tai et al., Diabetes, Vol. 55, November 2006を参照することができる。また、マウス膵島由来癌細胞株「MIN6」(Ishihara H et al., Diabetologia. 1993 Nov;36(11):1139-45、Jun-ichi Miyazaki et al., Endocrinology, Vol. 127, No. 1, 126-132等参照)を膵島細胞として使用することができる。
「該細胞に対して十分量の該複合体を含む」とは、前記ウシ胎仔血清を20%含むD−MEM 3ml中の2×106個の該細胞に対して、磁性金属酸化物中の金属の質量に換算して300μgの該複合体が存在する条件をいう。
本発明の複合体の水ゾルの形態でのT2緩和能力は、好ましくは90〜1000(mM
・sec)-1、さらに好ましくは90〜300(mM・sec)-1の範囲内にある。ここで、「水ゾル」とは、蒸留水を溶媒に用いて作製したゾルである。
「T2緩和能力」は、本発明の複合体を種々の濃度で含む水ゾルと溶媒の蒸留水について、20MHz(磁場が約0.5テスラ)のパルスNMRでT2緩和時間を測定し(水ゾル調製直後)、得られるT2緩和時間の逆数、1/T2(単位:1/sec)と測定試料中の金属濃度(単位:mM)との関係をグラフにプロットし、最小自乗法で求めた直線の傾きから求められる(単位:1/mM・sec)。このような範囲T2緩和能力は、例えば、磁性金属酸化物をカチオン性多糖誘導体で被覆した後、50〜120℃で5分〜6時間加熱することにより得ることができる。
本発明の複合体は、水性ゾルの形態で、メカニカルシール材、磁気クラッチ、磁気インクなどの工業分野にも使用することができるが、好ましくは生物学分野及び医療分野において、細胞又は組織の標識剤に用いる。これは、本発明の複合体が培養液中で凝集しないため細胞への取り込み効率が高い、細胞毒性が低いなどの利点を有するためである。中でも、移植用の細胞又は組織の標識剤、特に移植用の膵島細胞又は膵島の標識剤として用いることが好ましい。また、本発明の複合体は、特にMRI造影剤であることが好ましい。
本発明の複合体を移植用の細胞又は組織の標識剤として使用する場合には、通常、複合体を水性ゾルの形態とする。この際、複合体の濃度は広範囲に渡って変えることができるが、磁性金属酸化物中の金属の量に換算して、通常0.1mmol/L〜1mol/L、好ましくは1〜5mmol/Lの範囲内である。また、水性ゾルの調製に際しては、例えば、D−MEM等の培地を溶媒として用いることができ、該培地は血清を含んでいてもよい。例えば、ウシ胎仔血清(FBS)を40体積%以下、好ましくは20体積%以下含んでいてもよい。このような培養液を溶媒として用いることにより、細胞、特に膵臓細胞、又は組織への複合体の取り込み効率が向上する。また、抗菌剤及び/又は抗真菌剤を添加することもできる。
このような水性ゾル中で、細胞又は組織を培養することにより、細胞又は組織を複合体で標識する。この場合の複合体の投与量は、細胞1×106個当たり、磁性金属酸化物の金属の質量に換算して75〜300μg程度が好ましい。培養の条件は、細胞又は組織の種類により適切な条件を選択することができる。膵島細胞の場合には、通常、30〜39℃、2〜5%CO2下で、0.5〜24時間培養する。
また、本発明の複合体で標識した細胞又は組織を移植し、MRI診断を行う場合には、1×106個以上の標識した細胞を移植することが望ましい。
<1>カチオン性多糖誘導体と磁性金属酸化物との複合体の合成
(A)カチオン性多糖誘導体の調製
各種の多糖100gを水100mLに溶解し、これに水酸化ナトリウム、及びカチオン化剤(DEAE−Cl:ジエチルアミノエチルクロライド又はSY-GTA80(阪本薬品工業社製):グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド)を約30℃以下で加えた後、約60℃で2〜3時間撹拌する。水100mLを加え冷却し、塩酸を加えてpHを8に調整する。使用した多糖類とカチオン基の置換率に応じて、反応液の1.5〜2.5倍のメタノール及びアセトンを撹拌下に添加し、目的物を析出させる。析出物を水500mLに再溶解しメタノール及びアセトンを加えて目的物を析出させる操作を更に3回繰り返し、得られた析出物を水500mLに溶解し、水酸化ナトリウムを用いてpH8とした後、グラスフィルターでろ過、減圧濃縮し、凍結乾燥してカチオン性多糖(塩酸塩)を得る。
表1に、使用した原料及び試薬、カチオン性多糖誘導体の収量及び置換度を示す。
(B)複合体の合成
[実施例6、9、10、比較例1、2]
(A)で調製した多糖No.1、3、4、5、7のカチオン性多糖11.3〜22.6gを水40mLに溶解し、撹拌下室温で窒素置換した。これに、1M塩化第二鉄溶液8.8mLに塩化第一鉄4水塩0.9gを溶解した混合鉄塩溶液を加え、更に1.5規定水酸化ナトリウム溶液を、約pH11まで添加した。次いで塩酸を加えてpHを調整した後、遠心分離した。なお、比較例2については遠心により大量の沈殿が発生したため、以降の操作を行わなかった。
得られた溶液を蒸留水又はpH9のホウ酸バッファーを溶媒とした限外濾過精製、及びアセトン添加による複合体の優先的な析出により精製し、遊離のカチオン性多糖及び塩類を十分に除去した。得られた溶液をメンブランフィルター(ポアーサイズ0.20μm)でろ過し、アンプルに充填した。
[実施例1〜5、7、8]
(A)で調製した多糖No.1〜6、8のカチオン性多糖11.3〜22.6gを水40mLに溶解し、撹拌下室温で窒素置換した。これに、1M塩化第二鉄溶液8.8mLに塩化第一鉄4水塩0.9gを溶解した混合鉄塩溶液を加え、更に1.5規定水酸化ナトリウム溶液を、約pH11まで添加した。次いで塩酸を加えてpHを調整した後、100〜103℃で1.5時間加熱還流して、冷後遠心分離した。得られた溶液を蒸留水又はpH9のホウ酸バッファーを溶媒とした限外濾過精製、及びアセトン添加による複合体の優先的な析出により精製し、遊離のカチオン性多
糖及び塩類を十分に除去した。得られた溶液をメンブランフィルター(ポアーサイズ0.20μm)でろ過し、アンプルに充填した。
[比較例3]
上記多糖No.9の多糖誘導体86gを水240mLに溶解し、撹拌下80℃に加熱しながら窒素置換した。これに、1M塩化第二鉄溶液184mLに塩化第一鉄4水塩18gを溶解した混合鉄塩溶液を加え、更に3規定水酸化ナトリウム溶液を、約pH11まで添加した。次いで塩酸を加えてpH7に調整した後、100〜103℃で、1.5時間加熱還流して、冷後遠心分離する。得られた溶液を限外ろ過で精製した。メンブランフィルター(ポアーサイズ0.20μm)でろ過し、アンプルに充填した。
表2に、使用した多糖誘導体、加熱還流の有無、多糖誘導体と磁性酸化鉄の質量比をまとめた。
カチオン性多糖誘導体と磁性金属酸化物の比率は、前述した方法で測定した。
<2>複合体の安定性試験
次に、ウシ胎仔血清(FBS)を20%を含むD−MEM(Gibco BRL社製、Dulbecco' s Modified Eagle Medium, 型番11995-065(以下、「血清含有D−MEM」という。)を用いて、複合体の安定性を試験した。また、血清含有D−MEMには、抗菌/抗真菌剤(Penicillin-Streptomycin, liquid、 品番15140-122、 Gibco BRL社製)1%を添加した。
以下に、手順を示す。
(1)凝集度の測定
各複合体を、鉄質量に換算して0.05mg/mLの濃度となるように、pH9.0のホウ酸バッファーで希釈して水性ゾルを得て、動的光散乱法(例えば、Polymer J.,13,1037−1043(1981)参照)により、平均一次粒子径を測定した。測定条
件は以下のとおりである。
(測定条件)
機器名:Autosizer 4700 (Malvern社製)、温度:25℃、測定角度:90℃、波長:514nm
続いて、各複合体を鉄質量に換算して、0.10mg/mLの濃度となるように、血清含有D−MEMで希釈し、37℃インキュベータにて24時間静置した後、蒸留水で1/2に希釈し、水性ゾルを得て、上記と同様の方法及び条件により凝集塊の平均サイズを測定した。
凝集塊の平均サイズの測定値を平均一次粒子径の測定値で除することにより、各複合体の凝集度を算出した。結果を表3に示す。
(2)T2緩和能力の測定
(1)で作製した血清含有D−MEMの水性ゾルについて、20MHz(磁場が約0.5テスラ)のパルスNMRで、T2緩和時間を測定し、T2緩和能力を算出した。T2緩和時間の測定は、水性ゾル作製後2時間、5時間、24時間に行った。T2緩和能力の算出方法は、上述したとおりである。
また、別途、溶媒に蒸留水及び無血清D−MEMを用いて、水ゾル及び水性ゾルを作製し、同様にT2緩和能力を算出した。なお、水ゾルについては、その作製直後(0時間)のT2緩和能力も測定した。
結果を、表3に示す。
実施例1〜8、比較例3の複合体は、血清含有D−MEM中で凝集度が小さかった。特に、実施例1,2,4,7の複合体は、血清D−MEM中で凝集度が極めて小さかった。一方、比較例1の複合体は、血清含有D−MEM中で凝集度が大きかった。
また、実施例1〜8、比較例3の複合体は、血清含有D−MEM中で、一定時間経過後
もT2緩和能力は安定していた。一方、比較例1の複合体は、血清含有D−MEM中でT2緩和能力が測定できなかった。
以上より、血清含有D−MEM中で凝集度が4.0倍以下の複合体は、一定時間経過後も安定したT2緩和能力を有していることが判った。
また、凝集度が4.0倍以下の複合体を得るためには、原料多糖の末端アルデヒドをアルコール化することが有効であることが判った。
また、実施例5及び6の複合体のT2緩和能力の比較より、加熱還流を行うことで、T2緩和能力が向上することが判った。
<3>複合体の細胞標識試験
実施例1〜4、比較例1、3の複合体を、マウス膵島由来の癌細胞(cell line: MIN6)(Jun-ichi Miyazaki et al., Endocrinology, Vol. 127, No. 1, p. 126-132参照、本明細書において、単に「MIN6」という場合もある。)と共存させ、細胞標識量を検討した。細胞の培養及び標識は以下のように行った。
MIN6は37℃、5%CO2の条件下、前記血清含有D−MEMが入った75cm2の培養フラスコで培養し、培地は3日おきに交換した。細胞をリン酸緩衝食塩水(pH 7.4)(Ambion社製)(以下、PBS)で洗浄し、トリプシン(Gibco BRL社製)を溶解したPBSを加え、細胞を浮遊させた後、同量の血清含有D−MEMを加え、トリプシンを失活させた。1200rpm(240×g)で3分間遠心して上清を除去し、細胞を回収した。PBSを用いて細胞を2回洗浄した後、2×106個/3mlになるように血清含有D−MEMで調製し、60mm2の培養ディッシュに播種した。
各複合体を、1×106個細胞当たり鉄質量換算で300μgとなるように培養ディッシュに加え、37℃、5%CO2の条件下で、1時間培養した。得られた培養液を、1200rpm(240×g)で3分間遠心して、血清含有D−MEMを除去した。細胞を1×106個になるように調製し、PBSを用いて2回洗浄した。得られたペレット状の細胞を1mLの蒸留水で懸濁し、ホモジナイズして測定用試験管に移し、4℃の状態で保存した。その後、上述した方法により、細胞懸濁液のT2緩和時間を測定した。
また、測定したT2緩和時間から、<2>(2)で測定した水ゾル(0時間)のT2緩和能力に基き、各培養時間を経た細胞懸濁液における複合体の濃度(鉄モル濃度換算)を算出した。
続いて、複合体の濃度に液量1mLを乗じて、複合体の全モル量を算出し、これを質量に換算し、106細胞個当たりの標識量(μg-Fe/1×106細胞個)とした。
結果を表4に示す。
実施例1、2、4、比較例1の複合体は、培養1時間後の細胞標識量が0.6μg-Fe/1×106個細胞以上と大きかった。実施例4の複合体の細胞標識量は小さかったが、これは多糖のカチオン基の置換度が小さく正の電荷が比較的小さいためである。比較例3の複合体の細胞標識量は小さかったが、これは多糖がカチオン基により置換されておらず、負の電荷を有しているためである。
これより、本発明の複合体を細胞の標識剤として用いる場合には、カチオン基の置換度は0.2〜0.6mol/AGUの範囲内であることが好ましいことが判った。
比較例1の細胞標識量が極めて大きかったのは、複合体の凝集塊が、細胞表面に付着しているためであると推察される。複合体を移植細胞のMRI診断用の標識剤として用いることを想定した場合、凝集塊が細胞表面に付着していると、細胞移植後に、生体内で複合体が脱離する可能性が高く、的確な診断ができない可能性が高い。
<4>細胞標識条件の検討−培地
実施例1の複合体を用いて、培地の条件がMIN6の細胞標識量に与える影響を検討した。
上記と同様に、血清含有D−MEMを用いてMIN6の調製を行い、60mm2の培養ディッシュに播種した。一方、血清を含まないD−MEM(無血清D−MEM)を用いて、同様にMIN6の調製を行い、60mm2の培養ディッシュに播種した。それぞれの培養ディッシュに、実施例1の複合体(300μg-Fe/1×106個細胞)を加え、37℃、5%CO2の条件下で、30分間培養した。1200rpm(240×g)で3分間遠心して、血清含有D−MEM及び無血清D−MEMを除去した。細胞を1×106個になるように調製し、PBSを用いて2回洗浄した。得られたペレット状の細胞を1mLの蒸留水で懸濁し、ホモジナイズして測定用試験管に移し、4℃の状態で保存した。その後、細胞標識量を、上記の方法により算出した。
結果を表5に示す。
これより、細胞標識に用いる培養液に血清を添加することで、標識量が向上することが判った。
<5>細胞標識条件の検討−時間
実施例1の複合体を用いて、標識時間がMIN6の細胞標識量に与える影響を検討した。時間以外の標識条件は、上記<3>と同様にした。培養ディッシュへの複合体の添加後、それぞれ0.5時間、1時間、2時間培養した。1200rpm(240×g)で3分間遠心して、血清含有D−MEMを除去した。細胞を1×106個になるように調製し、PBSを用いて2回洗浄した。得られたペレット状の細胞を1mLの蒸留水で懸濁し、ホモジナイズして測定用試験管に移し、4℃の状態で保存した。その後、上述した方法により細胞標識量を算出した。
表6に結果を示す。
これより、細胞の標識時間は、0.5時間以上〜2時間程度が好ましく、1時間程度が最も好ましいことが判った。
<6>細胞標識条件の検討−投与量
実施例1の複合体を用いて、複合体の投与量がMIN6の細胞標識量に与える影響を検討した。培養時間を0.5時間とし、複合体をそれぞれ、15μg-Fe/1×106個細胞、75μg-Fe/1×106個細胞、150μg-Fe/1×106個細胞、300μg-Fe/1×106個細胞として、試験した。その他の標識条件は、上記と同様にした。1200rpm(240×g)で3分間遠心して、血清含有D−MEMを除去した。細胞を1×106個になるように調整し、PBSを用いて2回洗浄した。得られたペレット状の細胞を1mLの蒸留水で懸濁し、ホモジナイズして測定用試験管に移し、4℃の状態で保存した。その後、上述した方法により細胞標識量を算出した。
表7に結果を示す。
これより、複合体の投与量は、細胞1×106個当たり、磁性金属酸化物の質量に換算して75〜300μg程度が好ましいことが判った。
<7>細胞毒性試験
実施例1、3、及び比較例1の複合体を用いてMIN6を標識し、細胞毒性をTrypan blue exclusion procedureにより測定した。標識条件は、上記<3>と同様とした。細胞毒性の測定方法を以下に示す。ペレット状の細胞を1mLのPBSに懸濁したサンプルに、Trypan blue溶液(和光純薬工業社製)を加え、細胞生存率を測定した。コントロール実験として、複合体による標識を行っていない細胞についても同様に細胞生存率を測定した。
表8に結果を示す。
この結果、何れの複合体にも細胞毒性は見られなかった。
また、コントロールのMIN6の懸濁液、実施例1の複合体で標識したMIN6の懸濁液、及び実施例1の複合体の水性ゾル(300μg-Fe/mL、溶媒:血清含有D−MEM培地)を、1200rpm、3min、4℃の条件で遠心分離した後の写真を図1に示す。実施例1の複合体で標識したMIN6の懸濁液を遠心分離すると、赤茶色(図では黒く見える。)に着色した細胞が沈殿した。これにより、実施例1の複合体によりMIN6が標識されたことが判った。一方、複合体を含まないコントロールでは、MIN6が沈殿し、白っぽく見えた。また、複合体の水性ゾルでは、沈殿は見られなかった。
この結果、本発明の複合体により、膵島細胞が標識されることが明らかとなった。
<8>標識細胞のMRIの評価
上記遠心分離後の実施例1の複合体で標識したMIN6の沈殿と、コントロールのMIN6を核磁気共鳴画像法(MRI)で観察した。この結果を図2に示す。
本発明の複合体により標識したMIN6は、MRIにより造影した。この結果、本発明の複合体により標識したMIN6は、MRIにより観察できることが明らかとなった。
<9>MIN6のマウスへの移植、及びMRI評価
実施例1の複合体によりMIN6を標識した後、標識したMIN6をマウス(C57BL/6Cr、7週齢、25g、雄)の左腎皮膜下に移植して、体内で移植した細胞挙動の評価試験を行った。MIN6の標識は、上記<3>に記載の条件で行った。標識したMIN6を細胞濃度が5×106個/10μLとなるように生理食塩水で調整し、マウスの腎皮膜下にMIN6を移植した。移植24時間後、マウス体内での移植細胞の挙動を、MRIにより評価した。コントロール実験として、複合体による標識をしないMIN6を移植したマウスについても同様に実験を行った。この結果を図3に示す。
この結果、MRIにより、マウス体内の腎皮膜下の移植部位において、磁気標識した膵島細胞が観察できることが明らかとなった。
<10>新鮮ラット膵島細胞のマウスへの移植、及びMRI評価
膵島細胞の分離は、ラットから、Joo Ho Tai et al., Diabetes, Vol. 55, November 2006に記載の方法で行った。
実施例1の複合体により分離したラット膵島細胞を標識した後、胸腺欠損マウス(nuBalb/c、7週齢、25g、雄)の腎皮膜下に移植して、移植細胞の挙動の評価を行った。移植及びMRIの方法は、Joo Ho Tai et al., Diabetes, Vol. 55, November 2006を参照した。ラット膵島細胞の標識は、上記<3>に記載の条件に準じた。標識細胞を、細胞濃度が5×106個/10μLとなるように生理食塩水で調整し、マウスの腎皮膜下に移植した。移植24時間後、マウス体内での移植細胞の挙動を、MRIにより評価した。コントロール実験として、複合体による標識を行わない膵島細胞を移植したマウスについても同様に評価した。
結果を図4に示す。
図4に示すように、マウス体内の腎皮膜下の移植部位に、磁気標識した膵島細胞が観察できた。
以上より、MRIにより、マウス体内の腎皮膜下の移植部位において、磁気標識した膵島細胞が観察できることが明らかとなった。
近年、本邦では糖尿病は国民病になっているが、中でもおよそ14万人いる重症型の1型糖尿病は急性合併症の低血糖発作は命に関わり、慢性合併症の腎症は腎不全になると5年で半数以上が死亡する。現在、糖尿病を完治させる治療法は膵臓移植と膵臓からラ島を分離した後に移植する膵島移植しかない。膵臓移植は1年グラフト生着率が80%であり、1型糖尿病を完治させることができるが、比較的大きな手術を必要とし、およそ10%の外科的な合併症がある。一方で膵島移植は分離した膵島細胞を経門脈的に注入するだけであり、外科的手術を必要とせず、重症の糖尿病患者にも行うことができる。2000年にカナダのエドモントンにあるアルバータ大学で新しい免疫抑制剤を用いることで100%のインスリン離脱が報告された(エドモントンプロトコール)。この報告の後、欧米では様々な施設でエドモントンプロトコールの再現性が確かめられている。
細胞内への取り込み効率が高く、細胞毒性の小さいカチオン性多糖磁性粒子複合体は、膵島移植において、移植細胞のイメージングに有効であると考えられる。
本発明の複合体で標識したMIN6の細胞塊(左)、複合体で標識をしていないMIN6の細胞塊(中央)、複合体の水性ゾル(右)を示す写真である。中央の図の黒く見える部分は、赤茶色に着色した細胞塊である。 本発明の複合体で標識したMIN6の細胞塊のMRI画像(T2条件)、及び複合体で標識をしていないMIN6のMRI画像(T2条件)である。溶媒及び細胞は白く造影され、複合体で緩和されると黒く造影される。複合体で標識された細胞塊が黒く造影されているのが確認できる。 本発明の複合体で標識したMIN6をマウスの左腎皮膜下に移植した後、体内での移植細胞の挙動を評価したMRI画像(T2条件)、及び複合体で標識していないMIN6を同様に移植したときのMRI画像(T2条件)である。細胞は白く造影され、複合体で緩和されると黒く造影される。粒子で標識された細胞(矢印部分)が左腎皮膜下の腹側に黒く造影されているのが確認できる。 本発明の複合体で標識したラット膵島細胞を胸腺欠損マウスの左腎皮膜下に移植した後、体内での移植細胞の挙動を評価したMRI画像(T2条件)、及び複合体で標識していないラット膵島細胞を同様に移植したときのMRI画像(T2条件)である。細胞は白く造影され、複合体で緩和されると黒く造影される。粒子で標識された細胞(矢印部分)が左腎皮膜下の背側に黒く造影されているのが確認できる。

Claims (13)

  1. 下記性質を有する、カチオン性多糖誘導体と磁性金属酸化物との複合体
    前記カチオン性多糖誘導体の末端アルデヒドが、カルボキシル化又はアルコール化されており、
    前記カチオン性多糖誘導体の置換度が、0.2〜0.6mol/AGUの範囲内であり
    前記複合体の、動的光散乱法により測定された平均一次粒子径が5〜100nmの範囲内にあり
    ウシ胎仔血清を20%含むD−MEM中に、37℃、5%CO2の条件で、24時間静
    置したときの凝集度が、4.0倍以下である。
  2. 磁性金属酸化物をカチオン性多糖誘導体で被覆した後、50〜120℃で5分〜6時間加熱して得られる、請求項1記載の複合体。
  3. 磁性金属酸化物がフェライトである、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. カチオン性多糖誘導体が、アミノアルキルエーテル化多糖である、請求項1〜の何れか一項に記載の複合体。
  5. 多糖が、デキストラン、デキストリン、セルロース、アガロース、デンプン及びプルランから選択される少なくとも1種である、請求項1〜の何れか一項に記載の複合体。
  6. 下記性質を有する、請求項1〜の何れか一項に記載の複合体、
    膵島細胞及び該細胞に対して十分量の複合体を含む、ウシ胎仔血清を20%含むD−MEMに、37℃、5%CO2の条件で、1時間静置したとき、該複合体による細胞1×1
    6個当たりの標識量が、磁性金属酸化物の金属の質量に換算して0.6μg以上である
  7. カチオン性多糖誘導体を、磁性金属酸化物中の金属1質量部当たり0.05〜20質量
    部の範囲内で含む、請求項1〜の何れか一項に記載の複合体。
  8. 水ゾルの形態でのT2緩和能力が90〜1000(mM・sec)-1の範囲内にある、
    請求項1〜の何れか一項に記載の複合体。
  9. 細胞又は組織の標識剤である、請求項1〜の何れか一項に記載の複合体。
  10. 細胞又は組織が膵島細胞又は膵島である、請求項に記載の複合体。
  11. MRI造影剤である、請求項又は10に記載の複合体。
  12. 磁性金属酸化物をカチオン性多糖誘導体で被覆した後、50〜120℃で5分〜6時間加熱することを含む、請求項11の何れか一項に記載の複合体の製造方法。
  13. 請求項1〜12の何れか一項に記載の複合体の存在下、細胞を培養することを含む、細胞の標識方法。
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