JP2019150069A - 液滴形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞溶液を安定的に吐出することが可能な液滴形成装置を提供すること。【解決手段】本液滴形成装置は、細胞を含有する細胞溶液を保持する液体保持部と、ノズルが形成され、前記液体保持部に保持された前記細胞溶液を振動により前記ノズルから液滴として吐出する膜状部材と、前記液体保持部内を大気に開放する大気開放部と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、液滴形成装置に関する。
近年、幹細胞技術の進展に伴い、複数の細胞をインクジェットで吐出し組織体を形成する技術の開発が行われている。インクジェットの方式としては、圧電素子を用いた圧電加圧方式、ヒータを用いたサーマル方式、静電引力によって液を引っ張る静電方式等が挙げられる。この中でも、圧電加圧方式は、他の方式と比べて熱や電場によるダメージを細胞に与え難いため、細胞溶液の液滴形成に用いるのに好適である。
従来の一般的な圧電加圧方式のインクジェットヘッドは、加圧液室における液の圧縮を利用して液滴を形成するものである。このため、加圧液室内に気泡が混入した際には液を圧縮することができず、不吐出になる問題があった。細胞溶液は溶媒が水であり、一般的なインクジェットインクで用いられる界面活性剤は細胞へのダメージがあることから用いることができず、高表面張力であるがために気泡を巻き込みやすいという大きな問題があった。
更に、一般的なインクジェットヘッドでは気泡が混入した状態から通常の状態に復帰させるためには、液室を加圧する、若しくはノズル部から液を吸引することによって、ノズル部から大量の液を排出し気泡を同時に取り除くことを行っている。しかしながら、細胞溶液は通常のインクジェットインクよりも高価で貴重なものであるから、この手法で気泡を排除することは望ましくない。
これに対して、膜を屈曲モードアクチュエータによって振動させることにより、膜上の液を噴霧させる小水滴製造装置が開示されている。この装置では、液室における加圧力を用いることなく、膜の上に形成された液を直接飛翔させることが可能である。そのため、一般的なインクジェットヘッドに比べて気泡の影響を低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記の装置を細胞溶液の液滴形成に用いた場合には、液室内に残留した気泡の存在によって膜の固有振動数がシフトするため、一定量以上の気泡が混入した状態では液滴形成状態に影響が出る。そのため、細胞溶液を長時間に亘って安定的に吐出することが困難である。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、細胞溶液を安定的に吐出することが可能な液滴形成装置を提供することを目的とする。
本液滴形成装置は、細胞を含有する細胞溶液を保持する液体保持部と、ノズルが形成され、前記液体保持部に保持された前記細胞溶液を振動により前記ノズルから液滴として吐出する膜状部材と、前記液体保持部内を大気に開放する大気開放部と、を有することを要件とする。
開示の技術によれば、細胞溶液を安定的に吐出することが可能な液滴形成装置を提供できる。
第1の実施の形態に係る液滴形成装置を例示する断面図である。 圧電素子の上下電極に印加される電圧を例示する図である。 液滴が形成される過程を例示する図である。 第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置を例示する断面図(その1)である。 第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置を例示する断面図(その2)である。 第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置を例示する断面図(その3)である。 第1の実施の形態の変形例2に係る液滴形成装置を例示する断面図である。 第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その1)である。 第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その2)である。 第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その3)である。 第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その4)である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[液滴形成装置の構造]
まず、第1の実施の形態に係る液滴形成装置について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る液滴形成装置を例示する断面図である。図1を参照するに、液滴形成装置10は、液室11と、メンブレン12と、圧電素子13とを有する。図1では、液室11に細胞350を含有する細胞溶液300が保持されている状態を模式的に示している。
なお、本実施の形態では、便宜上、液室11側を上側、圧電素子13側を下側とする。又、各部位の液室11側の面を上面、圧電素子13側の面を下面とする。又、平面視とは対象物をメンブレン12の上面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をメンブレン12の上面の法線方向から視た形状を指すものとする。
液滴形成装置10において、液室11は、細胞350を含有する(細胞350が分散された)細胞溶液300を保持する液体保持部であり、例えば、金属やシリコン、セラミック等から形成することができる。液室11は、液室11内を大気に開放する大気開放部111を上部に有しており、細胞溶液300中に混入した気泡を大気開放部111から排出可能に構成されている。
メンブレン12は、液室11の下端部に固定された膜状部材である。メンブレン12の略中心には貫通孔であるノズル121が形成されており、液室11に保持された細胞溶液300はメンブレン12の振動によりノズル121から液滴として吐出される。メンブレン12の平面形状は、例えば、円形とすることができるが、楕円状や四角形等としてもよい。
メンブレン12の材質としては特に限定はないが、柔らか過ぎるとメンブレン12が簡単に振動し、吐出しないときに直ちに振動を抑えることが困難であるため、ある程度の硬さがある材質を用いることが好ましい。メンブレン12の材質としては、例えば、金属材料やセラミック材料、ある程度硬さのある高分子材料等を用いることができる。なお、特に細胞350に対する付着性の低い材料であることが好ましい。
細胞の付着性は一般的に材質の水との接触角に依存性があると言われており、材質の親水性が高い又は疎水性が高いときには細胞の付着性が低い。親水性の高い材料としては各種金属材料やセラミック(金属酸化物)を用いることが可能であり、疎水性が高い材料としてはフッ素樹脂等を用いることが可能である。
このような材料の一例としては、ステンレス鋼やニッケル、アルミニウム等や、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア等を挙げることができる。他にも、材料表面をコーティングすることで細胞接着性を低下させることも考えられ、材料表面を前述の金属又は金属酸化物材料でコーティングすることや、細胞膜を模した合成リン脂質ポリマー(例えば日油株式会社製、Lipidure)によってコーティングすることも可能である。
ノズル121は、メンブレン12の略中心に実質的に真円状の貫通孔として形成されていることが好ましい。この場合、ノズル121の径としては特に限定はないが、細胞350がノズル121に詰まることを避けるため、細胞350の大きさの2倍以上とすることが好ましい。具体的には、動物細胞、特にヒトの細胞の大きさは一般的に10μm〜30μm程度であるため、ノズル121の径を、使用する細胞に合わせて20μm〜60μm以上とすることが好ましい。
一方で、液滴が大きくなり過ぎると微小液滴を形成するという目的の達成が困難となるため、ノズル121の径は200μm以下であることが好ましい。つまり、本実施の形態に係る液滴形成装置10においては、ノズル121の径は、典型的には20μm〜200μmの範囲となる。
圧電素子13は、メンブレン12の下面側に形成されている。圧電素子13の形状は、メンブレン12の形状に合わせて設計することができる。例えば、メンブレン12の平面形状が円形である場合には、ノズル121の周囲に平面形状が円環状(リング状)の圧電素子13を形成することが好ましい。
圧電素子13は、例えば、圧電材料の上面及び下面に電圧を印加するための電極を設けた構造であり、圧電素子13の上下電極に電圧を印加することによって紙面横方向に圧縮応力が加わりメンブレン12を振動させることができる。圧電材料としては、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛を用いることができる。この他にも、ビスマス鉄酸化物、ニオブ酸金属物、チタン酸バリウム、或いはこれらの材料に金属や異なる酸化物を加えたもの等、様々な圧電材料を用いることができる。
但し、メンブレン12を振動させる加振手段は圧電素子13に限られない。例えば、メンブレン12上にメンブレン12とは線膨張係数が異なる材料を貼り付け、加熱することによって線膨張係数の差を利用してメンブレン12を振動させることが可能である。この際、線膨張係数の異なる材料にヒータを形成し、通電によってヒータを加熱してメンブレン12を振動させる構成とすることが好ましい。
細胞350は、例えば、動物細胞、特にヒト由来の細胞である。細胞溶液300は、細胞350の他に細胞分散液を含んでおり、細胞分散液の主たる成分としては細胞350と親和性の高い水を用いることができる。更に、水溶液中には細胞350との浸透圧を調整するための塩、pHを調整するためのpH調整剤が含まれていることが好ましい。より具体的には、細胞分散液としては、pHを調整したTrisバッファ水溶液や、Ca、K、Na等の金属塩を培養液と同等に加えたPBS溶液を用いることができる。
或いは、細胞分散液としては、当技術分野で通常用いられる細胞培養用培地であれば特に制限なく用いることができる。例えば、用いる細胞350の種類に応じて、MEM培地、BME培地、DME培地、αMEM培地、IMDM培地、ES培地、DM−160培地、Fisher培地、F12培地、WE培地及びRPMI1640培地等、朝倉書店発行「日本組織培養学会編 組織培養の技術第三版」のp581に記載されている基礎培地を用いることができる。
更に、基礎培地に血清(ウシ胎児血清等)、各種増殖因子、抗生物質、アミノ酸等を加えてもよい。又、Gibco無血清培地(インビトロジェン社)等の市販の無血清培地等を用いることができる。最終的に得られる細胞組織体の臨床応用を考えると動物由来成分を含まない培地を使用することが好ましい。
[液滴形成装置の液滴形成過程]
次に、第1の実施の形態に係る液滴形成装置によって、液滴が形成される過程について説明する。図2は、圧電素子の上下電極に印加される電圧を例示する図である。図3は、液滴が形成される過程を例示する図である。
液滴形成装置10の圧電素子13の上下電極に図2に示すパルス状の電圧が印加された場合、図3に示すように液滴が形成される。まず、図2のAのタイミングでは、図3(a)に示すように、メンブレン12が急激に変形することによって、液室11に保持された細胞溶液300とメンブレン12との間に高い圧力が発生し、この圧力によってノズル121から液滴310が外に押し出される。
次に、図2のBのタイミングでは、図3(b)に示すように、圧力が上方に緩和するまでの時間、ノズル121からの液押し出しが続き液滴310が成長する。最後に、図2のCのタイミングでは、図3(c)に示すように、メンブレン12が元の状態に戻る際に、細胞溶液300とメンブレン12との界面近傍の液圧力が低下し、細胞350を含有する液滴310が形成される。
液滴形成装置10において、液室11内の細胞溶液300中に気泡が混入する場合があるが、液滴形成装置10では、液室11の上部に大気開放部111が設けられているため、細胞溶液300中に混入した気泡を大気開放部111を通じて外気に排出できる。これによって、気泡排出のために大量の液を捨てることなく、連続して安定的に液滴310を形成することが可能となる。
すなわち、ノズル121の近傍に気泡が混入した場合や、メンブレン12上に多数の気泡が混入した場合には吐出状態に影響を及ぼすため、長い時間安定的に液滴の形成を行うためには、混入した気泡を排出する必要がある。通常、メンブレン12上に混入した気泡は、自然に若しくはメンブレン12の振動によって上方に移動するが、液室11には大気開放部111が設けられているため、混入した気泡を大気開放部111から排出可能となる。
なお、液滴を形成しないタイミングで、液滴を形成しない範囲でメンブレン12を振動させ、積極的に気泡を液室11の上方に移動させてもよい。
このように、第1の実施の形態に係る液滴形成装置10は、液室11内を大気に開放する大気開放部111を有するため、液室11内に気泡が混入しても大気開放部111を通じて気泡を外気に排出できる。そのため、通常の加圧液室を有するインクジェットヘッドとは異なり、液室11に気泡が混入しても不吐出が発生することを防止可能となり、連続して安定的に液滴310を形成することができる。
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、液供給手段や液量検知手段を備えた液滴形成装置の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図4は、第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置を例示する断面図(その1)であり、液供給手段を備えた液滴形成装置の例を示している。図4を参照するに、液滴形成装置10Aは、大気開放部111からマイクロピペット14により、液320(液室11に溜まって細胞溶液300となる液)を直接供給可能に構成されている。これにより、極少量(例えば10μl程度)の細胞溶液300を液滴形成装置10Aに直接供給することが可能となり、希少な溶液を有効に利用することができる。
但し、液供給手段としては、マイクロピペット14に限らず、シリンジやチューブ等を用いてもよい。又、ユーザが手動で液320を適宜供給することも可能であるし、自動で液320を供給するシステムと組み合わせることも可能である。なお、マイクロピペット14、シリンジ及びチューブは、本発明に係る液供給手段の代表的な一例である。
自動で液を供給する際には、例えば、保持されている細胞溶液300の液量を検知する液量検知手段を液滴形成装置に備え、液面の位置に応じて液を供給することができる。又、液滴を吐出した回数をカウントし、所定回数以上の吐出動作を行った際に、液を自動で供給する構成としてもよい。
図5は、第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置を例示する断面図(その2)であり、液量検知手段を備えた液滴形成装置の例を示している。図5に示す液滴形成装置10Bでは、液室11の内壁面の深さ方向に複数の電極15が設けられている。細胞溶液300は一般に塩を含む水溶液であるため導電性が高く、複数の電極15間の導通又は抵抗値を調べることにより、細胞溶液300の液量を検知することが可能となる。
図6は、第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置を例示する断面図(その3)であり、液量検知手段を備えた液滴形成装置の他の例を示している。図6に示す液滴形成装置10Cでは、液室11の上方に、液量検知手段である発光素子16及びポジションセンサ17が設けられている。
ポジションセンサ17は、発光素子16から出射され、細胞溶液300の液面300Aや液面300Bで正反射された光を受光可能な位置に配されている。これにより、三角測量の原理に基づきポジションセンサ17が受光した光の位置から、細胞溶液300の液面までの距離を算出することができる。なお、ポジションセンサ17の信号を、予め設定された換算式若しくはルックアップテーブルに基づいて、細胞溶液300の液量に換算することが可能である。
このように、第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置10Aは、大気開放部111から液320を液室11に直接供給する液供給手段を有している。これにより、液室11に必要なときに必要な量だけ細胞溶液300を供給し、少量で液滴形成を行うことができる。これは、一般的に簡単に大量に入手可能ではなく、非常に高価なものであり、液室11内部に長時間保持しておくことができない細胞350を取り扱う液滴形成装置10Aにとって、大変重要なことである。
又、第1の実施の形態の変形例1に係る液滴形成装置10B及び10Cは、細胞溶液300の液量を検知する液量検知手段を有している。これにより、細胞溶液300の液面の位置に応じて液を自動で供給したり、液滴を吐出した回数に応じて液を自動で供給したりすることが可能となり、ユーザの利便性を向上できる。
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、細胞溶液の乾燥を防止する手段を備えた液滴形成装置の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
前述のように、細胞溶液300を安定的に吐出するためには気泡の排出が重要であるが、一般的に細胞は乾燥に弱いという課題があるため、細胞溶液の乾燥を防止する手段を設けることも重要である。細胞溶液300には、溶媒に細胞内部との浸透圧を調整するために塩が含まれている場合があり、又、細胞としては、細胞膜によって仕切られた動物細胞を用いる場合があるが、この場合には特に乾燥に注意を要する。
液滴形成装置10(図1参照)では、液室11に保持された細胞溶液300が外気と接しているため、接触界面から外気への水分蒸発が起きる。水分蒸発によって、局所的に水分が少ない領域が形成されることとなり、細胞の乾燥や凝集、若しくは塩濃度の向上による細胞内水分の流出が起きる。このため、気泡排出の観点から外気と接触していることが望まれるが、一方で外気への水分蒸発は抑えたいという要望がある。
更に、液滴形成装置10をバイオ研究で用いる場合があり、その場合に、細胞溶液300に外部から菌、細胞、ウィルス、その他タンパク質等が混入することは問題である。よって、外部からのコンタミネーションを防ぐためにも外気との接触は最小限に抑えることが好ましい。そこで、本実施の形態に係る各液滴形成装置は細胞溶液の乾燥を防止する手段を備えている。
図7は、第1の実施の形態の変形例2に係る液滴形成装置を例示する断面図であり、乾燥防止手段を備えた液滴形成装置の例を示している。図7(a)を参照するに、液滴形成装置10Dでは、液室11の上方に上蓋18が設けられている。そして、上蓋18には、大気開放部111を大気と連通させるスルーホール181が形成されている。スルーホール181は、液室11より断面積の小さい孔である。
液室11の上方に、スルーホール181が形成された上蓋18を設けることで、大気開放部111の大気と連通する部分の面積が減少する。そのため、細胞溶液300の直上部の湿度を外気よりも高い状態に保つことが可能となり、水分の蒸発を最小限に抑えることができる。
ところで、図4に示す液滴形成装置10Aにおいて、マイクロピペット14を用いて液320を自動又は手動によって供給する際に、マイクロピペット14の先端位置が定まらないと、問題を生じる懸念がある。例えば、マイクロピペット14の位置が高過ぎることによる液の飛び散りや、マイクロピペット14の位置が低過ぎることによるメンブレン12へのダメージ等である。
図7(b)に示すように、液滴形成装置10Dにおいて、上蓋18に形成されたスルーホール181を介してマイクロピペット14を押し込むことにより、マイクロピペット14の先端が常に略一定の位置となる。これにより、マイクロピペット14の先端位置のばらつきによる液の飛び散りやメンブレン12へのダメージを防止することができる。なお、この場合、ユーザが使用するマイクロピペット14の形状に合わせてスルーホール181の形状が設計されていることが好ましい。
このように、第1の実施の形態の変形例2に係る液滴形成装置10Dでは、液室11の上方に上蓋18が設けられている。そして、上蓋18には、大気開放部111を大気と連通させる、液室11より断面積の小さい孔が形成されている。
これにより、液室11内における水分蒸発量を最小限に抑え、乾燥により液室11内の気液界面において塩濃度が高い状態になって細胞350内から水分が流出することを抑制し、細胞350に与えるダメージを低減することができる。すなわち、細胞溶液300からの水分乾燥によって細胞350の活性が低下し、細胞350が死に至る懸念を低減できる。
なお、第1の実施の形態の変形例1で示した発光素子16及びポジションセンサ17を、上蓋18の下面側(液室11内部側)に設けてもよい。これにより、上蓋18による乾燥防止効果を得られると共に、細胞溶液300の液量を検知することができる。
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、細胞溶液の乾燥を防止するために大気開放部を開閉する開閉機構を備えた液滴形成装置の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
細胞溶液の乾燥による問題を回避するために、第1の実施の形態の変形例2に係る液滴形成装置は、乾燥防止手段を備えていたが、液滴形成装置の大気開放部に大気との連通を開閉可能な開閉機構が設けられていることがより好ましい。
図8は、第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その1)であり、開閉機構を備えた液滴形成装置の例を示している。図8を参照するに、液滴形成装置10Eでは、上蓋18の上に更に開閉機構19が設置されている。開閉機構19の形態は特に限定されないが、例えば、上蓋18上に形成されたスライドガイドを通して矢印A方向(横方向)に板がスライドすることにより、大気開放部111を開閉する機構とすることができる。
開閉機構19を備えることにより、液を供給する際のみ大気開放部111を開放させ、それ以外では大気開放部111を塞ぐことにより、通常時(液滴310を形成するとき)には水分乾燥を最小限に抑えることが可能となる。更には、細胞溶液300に、外部から菌、細胞、ウィルス等が混入することも最小限に抑えることができる。
ところで、開閉機構により、液滴形成装置内部を完全に密閉しないことが好ましい。液滴形成装置内部が完全に密閉状態となっていると、液量の低下、温度変化、外気圧の変化等により液滴形成装置内部の気圧と、外部の気圧に差が生じることがある。液滴形成装置内外で気圧差が生じると、ノズルの液面形状が変化し吐出状態が変化するおそれがある。特に、液滴形成装置内部が負圧の状態になっていると、気泡の巻き込みが生じ易くなるおそれがある。よって、開閉機構によって大気開放部が閉じられているときでも、液滴形成装置内部が負圧の状態にならないことが好ましい。
図9は、第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その2)であり、開閉機構を備えた液滴形成装置の他の例を示している。図9を参照するに、液滴形成装置10Fでは、上蓋18の上に開閉機構20が設置されている。開閉機構20は、高分子膜保持部201に保持された高分子膜202を有している。開閉機構20は、矢印A方向(横方向)にスライド可能に構成されている。高分子膜202は、透湿性は低いが透気性が高い膜である。
開閉機構20を備えることにより、水分の蒸発は最小限に抑えつつ液滴形成装置10Fの内外の圧力を一定に保つことが可能となる。
図10は、第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その3)であり、開閉機構を備えた液滴形成装置の更に他の例を示している。図10を参照するに、液滴形成装置10Gでは、上蓋18の上に開閉機構21が設置されている。開閉機構21の本体211には、細くつづら折りに屈曲した流路212(スネークライン)が設けられている。開閉機構21は、矢印A方向(横方向)にスライド可能に構成されている。
流路212の断面積は、液室11の断面積及びスルーホール181の断面積より小さくされている。開閉機構21が閉じられた際に、大気開放部111は流路212を介して大気と連通する。そして、開閉機構が開かれた際に、大気開放部111は流路212を介さずに大気と連通する。
開閉機構21を備えることにより、液滴形成装置10G内の圧力を流路212を通じて外気の圧力と均一に保つことができる。又、液滴形成装置10G内の水分が時間をかけて流路212を通じて外気へ拡散するため、液滴形成装置10G内の水分蒸発を抑えることが可能となる。
図11は、第1の実施の形態の変形例3に係る液滴形成装置を例示する断面図(その4)であり、開閉機構を設ける代わりに細胞溶液の層構造に工夫を凝らした液滴形成装置の例を示している。図11を参照するに、液滴形成装置10Hでは、液室11に保持された細胞溶液300の上部に、細胞溶液300よりも比重が軽い溶媒層400が形成されている。なお、液滴形成装置10Hにおいて、上蓋18は、必要に応じて設ければよい。
溶媒層400としては、細胞溶液300の主たる溶媒である水との親和性が低く、ほとんど溶けない(溶解性を持たない)材質を用いることができる。典型的には各種の油であり、特に生体親和性の高い生体由来の油を用いることが適している。又、細胞溶液300と油の界面を安定させるために、両親媒性分子(界面活性剤)の層が形成されていてもよい。
このように、液室11が、細胞溶液300の上面に、細胞溶液300よりも比重が軽く、細胞溶液300の主たる溶媒に対して溶解性を持たない溶媒層400を保持することにより、以下の効果が得られる。すなわち、細胞溶液300中の水分の蒸発を抑えることが可能となり、かつ、細胞溶液300中を上方に移動してきた気泡はそのまま溶媒層400を通って外気に排出可能となる。
又、上部から細胞溶液300を供給した際にも、細胞溶液300が溶媒層400より重いため、細胞溶液300は溶媒層400の層を通過する。そのため、溶媒層400の下側に細胞溶液300の層を容易に形成することができる。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、変形していないときのメンブレン12の平面内にXY方向をとり、メンブレン12の法線方向をZ方向とした際に、液滴形成装置10をX方向、Y方向及びZ方向に独立に移動できる機構を設けてもよい。これにより、XY平面内での細胞のパターニングや、Z方向への細胞の積層を容易に行うことができる。
10、10A〜10H 液滴形成装置
11 液室
12 メンブレン
13 圧電素子
14 マイクロピペット
15 電極
16 発光素子
17 ポジションセンサ
18 上蓋
19、20、21 開閉機構
111 大気開放部
181 スルーホール
121 ノズル
201 高分子膜保持部
202 高分子膜
211 本体
212 流路
300 細胞溶液
300A、300B 液面
310 液滴
320 液
350 細胞
400 溶媒層
特許第2849647号
本液滴形成装置は、細胞を含有する細胞溶液を、その上方が大気と連通するように保持する液体保持部と、ノズルが形成され、前記液体保持部に保持された前記細胞溶液を振動により前記ノズルから液滴として吐出する部と、をし、前記液体保持部の上方に前記液体保持部より断面積の小さい孔が形成されている上蓋を有することを要件とする。

Claims (7)

  1. 細胞を含有する細胞溶液を保持する液体保持部と、
    ノズルが形成され、前記液体保持部に保持された前記細胞溶液を振動により前記ノズルから液滴として吐出する膜状部材と、
    前記液体保持部内を大気に開放する大気開放部と、を有する液滴形成装置。
  2. 前記大気開放部から前記細胞溶液を前記液体保持部に直接供給する液供給手段を有する請求項1記載の液滴形成装置。
  3. 前記液体保持部の上方に上蓋が設けられており、
    前記上蓋には、前記大気開放部を大気と連通させる、前記液体保持部より断面積の小さい孔が形成されている請求項1又は2記載の液滴形成装置。
  4. 前記液体保持部の上方に、前記大気開放部を開閉する開閉機構が設けられている請求項1乃至3の何れか一項記載の液滴形成装置。
  5. 前記開閉機構には、屈曲した流路が設けられ、
    前記流路の断面積は、前記液体保持部の断面積より小さく、
    前記開閉機構が閉じられた際に、前記大気開放部は前記流路を介して大気と連通し、
    前記開閉機構が開かれた際に、前記大気開放部は前記流路を介さずに大気と連通する請求項4記載の液滴形成装置。
  6. 前記液体保持部は、前記細胞溶液の上面に、前記細胞溶液よりも比重が軽く、前記細胞溶液の主たる溶媒に対して溶解性を持たない溶媒層を保持している請求項1乃至5の何れか一項記載の液滴形成装置。
  7. 前記細胞溶液の液量を検知する液量検知手段を有する請求項1乃至6の何れか一項記載の液滴形成装置。
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