(実施の形態1の内容に至る経緯)
1つのワイヤレスマイクシステム内では、複数の親機がそれぞれ自立したクロックに従って複数のマイク子機と無線通信を行った場合、複数の親機が同一のクロックに従って動作しない可能性が高く、クロックずれが生じることがあった。この場合、親機からミキサー受信機に入力される音声信号の衝突が起きてしまい、音声ノイズの発生が起きる可能性があるという課題があった。
更に、複数のワイヤレスマイクシステムのそれぞれのカバーエリアにおいて一部のエリアが共存する環境が存在する場合、各ワイヤレスシステム内で複数の親機からのクロックの同期がとれていたとしても、他のワイヤレスマイクシステムとの間でそれぞれのワイヤレスマイクシステム中の基準となる親機間でクロックずれが生じることがあり得た。このため、異なるワイヤレスマイクシステム内の基準となる親機間でクロックずれが生じた場合、それぞれのワイヤレスシステムから送出している無線信号は、長い時間の間に衝突する可能性が高い。この結果、音声信号の干渉が起こり、音声ノイズの発生がおきる可能性が高い。例えば、マイク子機が現在属しているワイヤレスマイクシステムから他のワイヤレスマイクシステムに移行するハンドオーバーを行う場合、ワイヤレスマイクシステム間でクロックずれが生じていると、そのマイク子機から親機への円滑な音声通信が行えなかった。
上述した特許文献1では、1つの親機が複数のマイク子機と無線通信を行う場合、送信電力を下げることで、他の無線通信システムへの干渉を抑制することは開示されるが、上述した1つのワイヤレスマイクシステム内や異なるワイヤレスマイクシステム間での親機間におけるクロックずれについては何も考慮されていない。
そこで、以下の実施の形態1では、複数のワイヤレスマイクシステムのカバーエリアに共存エリアが存在する環境下でも、それぞれのワイヤレスマイクシステム間での無線同期を的確に実現し、それぞれのワイヤレスマイクシステム間での高品質な音声信号の出力を支援するワイヤレスマイクシステム、受信機及び無線同期方法の例を説明する。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るワイヤレスマイクシステム、受信機、無線同期方法、給電方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
実施の形態1に係るワイヤレスマイクシステムでは、複数の受信機は、ホール等の室内に一定間隔で配置される。それぞれの受信機は、1つ以上のマイク子機(つまり、ワイヤレスマイク)に対する通信相手の親機として機能する。それぞれのマイク子機は、人物(例えばマイク子機のユーザ)により把持可能であり、親機との通信中、人物の移動に伴ってハンドオーバーしながら同じワイヤレスマイクシステム内の親機間を移動可能である。また、マイク子機は、現在属している、複数の親機を含むワイヤレスマイクシステムから他のワイヤレスマイクシステムへハンドオーバーしながら移行することも可能である。
図1は、実施の形態1に係るワイヤレスマイクシステム5のシステム構成例を概略的に示す図である。ワイヤレスマイクシステム5は、複数個(例えば、m個)のマイク子機2(マイクの一例)と、複数台の受信機3(親機)と、1台のミキサー受信機8とを含む構成である。mは2以上の整数である。以下の説明において、複数のマイク子機2C1,2C2,…,2Cmのそれぞれを特に区別しない場合、マイク子機2という。図1では、例えばマイク子機2C1とマイク子機2C2は、受信機3w1に属する(つまり、受信機3w1を無線通信の相手(親機)として認識している)。マイク子機2C3とマイク子機2C4は、受信機3w2に属する(つまり、受信機3w2を無線通信の相手(親機)として認識している)。マイク子機2Cm−1とマイク子機2Cmは、受信機3wkに属する(つまり、受信機3wkを無線通信の相手(親機)として認識している)。なお、1つの受信機に属するマイク子機の数は、任意の数でよい。また、各マイク子機2は、複数の受信機3w1,3w2,3w3,〜,3wk−1,3wkに重複して属してもよい。例えば、全てのマイク子機2が全ての受信機3w1〜3wkに属してもよい。
マイク子機2とマイク子機2が属する受信機3との間では、無線信号(例えば、音声信号もしくは制御信号)が、時分割多元接続方式の通信規格(例えば、時分割多重通信方式)に則った無線回線を通じて送受信される。マイク子機2の使用者(ユーザ)はマイク子機2に音声を入力する(例えば声を発する)と、マイク子機2により収音された音声信号は、無線回線を通じて受信機3に送信される。各実施の形態において、時分割多重通信方式の通信規格として、例えば2011年に策定されたディジタルコードレス電話機の標準規格である周波数帯1.9GHzのDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式を用いて説明する。
複数の受信機3は、それぞれの受信機3に属するマイク子機2から受信した音声信号をミキサー受信機8に出力する。ミキサー受信機8の筐体8zには、複数の受信機3にそれぞれ接続される信号線140が接続可能な複数のポートP(P1,P2,…,Pm)が配置される。ミキサー受信機8は、複数のポートPにそれぞれ接続された複数の受信機3から入力した1つ以上の音声信号を合成し、音声合成後の音声信号を外部スピーカSPK1から出力する。なお、各受信機3は、ミキサー受信機8に音声信号を送信すると共に、自機に接続された外部スピーカSPK2(図6参照)で音声を再生してもよい。
図2は、DECT方式の通信で使用されるキャリアの周波数帯域を説明する図である。DECT方式の通信は、1.9GHz帯(具体的には、1895,616MHz〜1902.528MHz)において6つの周波数帯域が使用される。6つの周波数帯域は、具体的には、f1(1895.616MHz)を中心周波数とするキャリア(つまり、搬送波。以下同様。)と、f2(1897.344MHz)を中心周波数とするキャリアと、f3(1899.072MHz)を中心周波数とするキャリアと、f4(1900.800MHz)を中心周波数とするキャリアと、f5(1902.528MHz)を中心周波数とするキャリアと、f6(1904.256MHz)を中心周波数とするキャリアである。
これらの周波数帯域は、重ならないので、電波干渉が起こりにくく、通信障害を低減できる。また、1.9GHz帯を用いるDECT通信は、例えば無線LAN(Local Area Network)や電子レンジ等の機器が発する電波とも干渉しないので、ワイヤレスマイクシステムの音声品質を維持できる。また、受信機3は、DECT通信の1フレーム期間毎に、各周波数帯域のチャネルの使用状況(例えば、キャリアやスロットなどのリソースの空き具合)を常時モニタリングしており、最適な周波数帯域のチャネルを選択することで、1.9GHz帯を効率良く利用できる。
図3は、受信機3とマイク子機2との間で無線信号が送受信されるタイムスロットを示す図である。以下、タイムスロットを「スロット」と略記する。図4は、DECT通信における信号のフレーム構成を示す図である。受信機3とそれぞれのマイク子機2との間では、1フレーム期間毎に、通信規格に従って定まる既定数(例えば、n個)のスロットを用いて無線信号が送受信される。通信規格がDECT方式である場合、1フレーム期間が10msに対応し、例えばn=24スロット(つまり、ダウンリンク用に12スロット、アップリンク用に12スロット)で構成される。
DECT方式を用いた無線通信(以下、「DECT通信」という)では、一般的に、ダウンリンク用のスロットS0〜スロットS11は、受信機3からマイク子機2への通信に使用される。アップリンク用のスロットS12〜スロットS23は、マイク子機2から受信機3への通信に使用される。受信機3とマイク子機2との間の通信では、スロットS0とスロットS12、スロットS1とスロットS13などのように、1/2周期に対応する5ms離れた位置関係にあるスロットを組み合わせて(ペアスロットで)使用される。このペアスロットは、1つのチャネル(例えば、制御情報を送受信するための制御チャネル、音声信号を送受信するための通信チャネル)を構成する。
また、受信機3からマイク子機2へ送信が行われる12スロット中、少なくとも1つのスロット(例えばスロットS0)は、受信機3からマイク子機2への制御情報が含まれた制御信号を送るための制御スロットとされる。制御信号は、1フレーム期間を構成する既定数のスロットのうち1つのスロットを用いて、受信機3からそれぞれのマイク子機2に送信される。なお、受信機3からマイク子機2への制御信号の送信中に電波干渉が発生した場合、空きスロット(言い換えると、未使用のスロット)を制御スロットとして使用してもよい。例えば、スロットS0で電波干渉等が発生した場合、受信機3は、制御スロットをスロットS0から他の空いているスロット(例えば、後述する切替用のスロット)に切り替えて使用してもよい。これと連動して、制御スロットに対する応答スロット(つまり、制御スロットに対する応答に用いられ、マイク子機2から受信機3への送信に使用されるスロット)は、スロットS12から他の空いているスロット(例えば、同様に後述する切替用のスロット)に変更される。このように、受信機3は、DECT通信の1フレーム期間毎に、制御チャネルや通信チャネルとして使用するスロットを、受信機3とマイク子機2のそれぞれとの間の電波状況等に応じて動的に決定する。例えば、コードレスフォン等の機器では、前半のスロットS0〜S11では受信機が送信側で子機が受信側であり、後半のスロットS12〜S23では受信機が受信側で子機が送信側である。
一方、ワイヤレスマイクシステム5では、受信機3は、複数のマイク子機2のそれぞれから送信される音声信号を受信する。また、受信機3は、各マイク子機2に対して1フレーム期間中に1回、制御信号を送信すればよい。従って、実施の形態1では、前半のスロットS0〜S11を、マイク子機2が送信側となるアップリンク用のスロット(通信スロット)として使用できるように、受信機3は、スロットS0〜S11を動的に決める。
例えば、受信機3は、1フレーム期間内のスロットS0を制御信号を送るための制御チャネルとして決め、この制御チャネルを通じて制御信号をマイク子機2に送信する。制御信号に含まれる制御情報には、例えばシステム情報、スロット情報、キャリア情報である。具体的には、制御情報は、例えば、キャリアかつスロットを用いた通信相手であるマイク子機2の識別情報とそのキャリアやスロットの識別情報、各スロットのビジー状態、使用可能な空きスロットの指定、接続されているマイク子機の数、受信機の無線エラー状況、無線干渉によるスロット切り換え等の情報が含まれる。
DECT通信の1フレームを構成するそれぞれのスロットは、416.67μs(=10ms/24)の時間幅で規定され、具体的には、同期信号フィールドと制御ビットフィールドとCRC1フィールドとデータビットフィールドとCRC2フィールドとから構成される。同期信号フィールドは、ビット同期を取るためのデータ列とスロットの同期を取るためのデータ列とから構成される固定データを含む。制御ビットフィールドは、上述した制御信号を含む。制御信号に含まれる制御情報の量が多くなる場合、例えば制御ビットフィールドだけではなく、データビットフィールドの領域の一部を使用してもよい。CRC1フィールドは、制御ビットフィールドのデータ列に基づいて算出されたCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)符号を含み、制御ビットフィールドの伝送誤り検出に用いられる。データビットフィールドは音声通信に用いられる。CRC2フィールドは、データビットフィールドのデータ列に基づいて算出されたCRC符号を含み、データビットフィールドの伝送誤り検出に用いられる。
図5は、マイク子機2のハードウェア構成例を示すブロック図である。マイクの一例としてのマイク子機2は、マイク制御部10と、マイク無線部11と、マイク無線部11に接続されたアンテナ12とを含む構成である。また、マイク子機2は、ユーザインタフェースとしての音質設定ボタンや電源をON/OFFするスイッチを含む操作部13と、操作部13による設定内容等を表示する表示部14と、不揮発性メモリで構成された記憶部15とを有する。また、マイク子機2は、マイク子機2の各部に電力を供給する電池16と、デュアルポートRAM(Random Access Memory)で構成され、リングバッファとして機能するメモリ17と、マイク音声処理部18と、音声を入力するマイクロフォン19とを含む構成である。
マイク制御部10は、記憶部15とバス等で結合されるCPU(Central Processing Unit)を備える。マイク制御部10は、マイク子機2の各部の動作を制御し、例えば音質設定ボタンが押下されたことを検出する。また、マイク制御部10は、マイク無線部11やマイク音声処理部18に対し、これらの動作タイミングを設定する。
図6は、受信機3のハードウェア構成例を示すブロック図である。受信機3は、マイク子機2と無線通信を行う受信機である。受信機3は、各部を制御する制御部の一例としての制御部20と、無線制御部31と、無線部21と、アンテナ221と、メモリ27とを含む構成である。また、受信機3は、操作部23と、表示部24と、記憶部25とを含む構成である。操作部23は、ユーザインタフェースとしての音量ボリュームや電源スイッチを含む。表示部24は、操作部23による設定内容等を表示する。記憶部25は、不揮発性メモリで構成される。また、受信機3は、電源26と、音声処理部28と、音声出力部29と、有線通信部30とを含む構成である。
電源26は、受信機3の各部に電力を供給する。電源26は、ミキサー受信機8から信号線140を通じて供給される電圧を受電する。また、電源26は、電源給電ユニットから供給される電圧を受電可能である。音声出力部29は、外部スピーカSPK2と接続して音声を再生する。有線通信部30は、信号線140を介してミキサー受信機8に接続され、受信機3で音声処理されたマイク子機2からの音声信号をミキサー受信機8に伝送する。
制御部20は、記憶部25とバス等で結合されている。制御部20は、受信機3の各部の動作を制御し、操作部23を介して入力された操作内容を取得する。また、制御部20は、信号線140を通じて供給される電圧の大小によってミキサー受信機8が電源オフであるか否かを検知する。
また、制御部20は、マイク子機2から送信された圧縮信号の伝送エラーを検出する。具体的に、制御部20は、無線部21がマイク子機2から送信された圧縮信号を受信した際、エラー検出フィールドであるCRC2フィールド54を参照することで、伝送エラーの有無を検出する。制御部20は、無線通信のクロックを無線制御部31に供給する。無線制御部31は、マイク子機2との無線接続を制御し、制御部20から指定されたキャリア及びスロットを、無線部21に指示する。つまり、無線制御部31は、指定されたキャリアかつスロットに対応付けられたマイク子機2と通信を行うように、無線部21を制御する。無線部21(無線通信部の一例)は、無線アンテナ22を介して、指定されたキャリア及びスロットでマイク子機2との間で通信を行う。また、無線部21は、ワイヤレスマイクシステムの同期を制御するための無線制御信号を生成し、定期的に送信可能である。また、無線制御部31は、マイク子機2からの音声信号をメモリ27に記憶する。メモリ27は、デュアルポートRAM(Random Access Memory)で構成され、リングバッファとして機能する。
制御部20は、タイマを内蔵する。タイマは、例えばメイン基準受信機からの無線制御信号を受信して同期するまでの時間を計測する。制御部20は、タイマで計時される時間が所定の時間を経過しても、メイン基準受信機からの無線制御信号を受信していない場合、サーチ動作の失敗、又は基準受信機がないとして異常を判定する。
図7は、ミキサー受信機8のハードウェア構成を示すブロック図である。ミキサー受信機8は、ミキサー制御部80と、有線通信部82と、メモリ87と、音声処理部88と、音声出力部81と、を含む構成である。
ミキサー制御部80は、ミキサー受信機8の各部の動作を制御し、操作部83を介して入力された操作内容を取得する。また、ミキサー制御部80は、音声処理部88の動作タイミングを設定する。また、ミキサー制御部80は、基準受信機(例えば受信機3w1)から基準タイミング信号を受信すると、他の受信機(例えば受信機3w2,3w3,…,3wk)に同期信号を送信する。
有線通信部82は、信号線140を介して接続される複数の受信機3w1,3w2,3w3,…,3wkと通信可能である。信号線140は、電力を供給可能な電源ラインを有する。信号線140には、例えばPoE(Power over Ethernet)ケーブルが用いられる。メモリ87は、複数の受信機3w1,3w2,3w3,…,3wkから受信した音声データを一時的に記憶し、また、各種の設定値を記憶する。音声処理部88は、有線通信部82を介して接続された複数の受信機3w1〜3wkから入力される音声信号を合成処理し、音声出力部81に送出する。音声出力部81は、外部スピーカSPK1と接続して音声を出力する。
また、ミキサー受信機8は、操作部83と、表示部84と、電源86と、外部I/F部89と、を含む構成である。操作部83は、ユーザインタフェースとしての音量ボリュームや電源スイッチを含む。また、操作部83は、ディップ(DIP)スイッチ83zを有する。DIPスイッチ83zの値によって、メイン基準受信機3Aw1が接続されるポートPが指定される。例えばDIPスイッチ83zが3ビットを有する場合、値0〜値7に相当するポートは、メイン基準受信機3Aw1が接続されるポートPに設定される。
表示部84は、操作部83による設定内容等を表示する。電源86は、商用電源に接続され、ミキサー受信機8及び受信機3に所定の電圧を供給する。外部I/F部89は、LAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)を用いて接続された外部機器(例えばPC)との間で、ミキサー受信機8の設定変更等を行う。
次に、上述した実施の形態1に係るワイヤレスマイクシステム5の動作を説明する。
ここでは、複数のワイヤレスマイクシステムのカバーエリアが、一部重複する場合を示す。カバーエリアは、ワイヤレスマイクシステムが自システムに属する複数のマイク子機と通信可能なエリア(通信範囲)を意味する。また、各ワイヤレスマイクシステムは、自システム内の複数の受信機と無線同期し、更に、他システム内の複数の受信機とも無線同期する。ここで、同期とは、全システムで同時(つまり、同一のタイミング)にクロック同期する他、各システムにおいてクロック単位で一定時間ずれて同期することも含む。更に、同期は、多少クロックずれが生じても、干渉が起きない程度の時間差を有する同期も含む。
図8は、複数のワイヤレスマイクシステム5のカバーエリアの一例を示す図である。ここでは、複数のワイヤレスマイクシステム5の一例として、3つのワイヤレスマイクシステムを示す。3つのワイヤレスマイクシステムは、メイン1、サブワイヤレスマイクシステム5B、及びサブワイヤレスマイクシステム5Cである。
メインワイヤレスマイクシステム5Aのカバーエリアra1と、サブワイヤレスマイクシステム5Bのカバーエリアra2とは、それぞれのカバーエリアra1,ra2の一部を構成する共存エリアra12において重複する。また、メインワイヤレスマイクシステム5Aのカバーエリアra1と、サブワイヤレスマイクシステム5Cのカバーエリアra3とは、それぞれのカバーエリアra1,ra3の一部を構成する共存エリアra13において重複する。
ここで、メインワイヤレスマイクシステム5A及びサブワイヤレスマイクシステム5B,5Cのいずれも1つの基準受信機とその他の受信機とを含む。メインワイヤレスマイクシステム5Aに含まれる基準受信機をメイン基準受信機3Aw1と称する。メインワイヤレスマイクシステム5Aに含まれる他の受信機をメイン受信機3Aw2,3Aw3と称する。同様に、サブワイヤレスマイクシステム5B,5Cに含まれるそれぞれの基準受信機をサブ基準受信機3Bw1,3Cw1と称する。サブワイヤレスマイクシステム5B,5Cに含まれる他の受信機をサブ受信機3Bw2,3Bw3,3Cw2,3Cw3と称する。
図9は、メインワイヤレスマイクシステム5Aのメイン基準受信機3Aw1がサブワイヤレスマイクシステム5B,5Cに無線制御信号を送出する様子を示す図である。メインワイヤレスマイクシステム5Aのメイン基準受信機3Aw1は、自システムで使用する無線制御信号を生成し、サブ基準受信機3Bw1,3Cw1に向けて、無線制御信号scを定期的に繰り返し送出する。
図10は、ワイヤレスマイクシステム5内の無線同期を示す図である。基準受信機(例えば受信機3w1)は、基準タイミング信号をミキサー受信機8に送信する。ここで、メインワイヤレスマイクシステム5Aの場合、メイン基準受信機3Aw1は、自立して無線制御信号を生成し、その基準タイミング信号をメインミキサー受信機8Aに送信する。一方、サブワイヤレスマイクシステム5B,5Cの各サブ基準受信機3Bw1,3Cw1は、メイン基準受信機3Aw1が送出している無線制御信号に同期するための基準タイミング信号を生成し、サブワイヤレスマイクシステム5B,5C内のサブミキサー受信機8B,8Cにそれぞれ送信する。
ミキサー受信機8は、基準受信機(例えば受信機3w1)から基準タイミング信号を受信すると、この基準タイミング信号に同期するための同期タイミング信号を生成し、他の受信機3w2,3w3,…,3wkに送信する。他の受信機3w2,3w3,…,3wkは、ミキサー受信機8から受信した同期タイミング信号にしたがって同期し、無線フレームの開始位置を同期タイミング信号に合わせて、それぞれに属する複数のマイク子機2と無線通信を行う。
このように、メインワイヤレスマイクシステム5Aのメイン基準受信機3Aw1が定期的に送出する無線制御信号を基準として、全てのメインワイヤレスマイクシステム5Aに含まれる受信機3が同期する。
図11は、受信機3の動作手順を示すフローチャートである。受信機3は、電源オンにより動作を開始する。受信機3の制御部20は、自機が基準受信機であるか否かを判別する(St1)。ミキサー受信機8が基準受信機を設定している場合、制御部20は、ミキサー受信機8と通信を行い、ミキサー受信機8から設定情報を受信することで判断可能である。また、制御部20は、受信した設定情報を基に、記憶部25に基準受信機であることを示す値を書き込んでおくことで、それ以降、記憶部25の内容を読み出すことで、基準受信機であるか否かを判断可能である。なお、基準受信機の判断は、これに限らない。例えば、制御部20は、無線部21を介して、定期的に送信される信号レベルの強い無線制御信号を受信できなかった場合、自機が基準受信機であると判断し、一方、定期的に送信される信号レベルの強い無線制御信号を受信できた場合、自機が基準受信機でないと判断してもよい。
制御部20は、自機が属するワイヤレスマイクシステムがメインワイヤレスマイクシステムであるか否かを判別する(St2)。メインワイヤレスマイクシステムである場合、制御部20は、自立し、無線制御信号を生成して無線制御部31に渡し、無線部21を介して無線制御信号を定期的に送出する(St3)。更に、制御部20は、無線制御信号に同期する基準タイミング信号をミキサー受信機8に送信する(St4)。この後、制御部20は図11に示す処理を終了する。ミキサー受信機8は、他の受信機3に対し、基準タイミング信号に同期する同期タイミング信号を送信する。
一方、ステップSt2でサブワイヤレスマイクシステムである場合、制御部20は、メイン基準受信機3Aw1から送信される無線制御信号を探索(サーチ)する(St5)。制御部20は、無線制御信号が見つかったか否かを判別する(St6)。無線制御信号が見つかった場合、制御部20は、メイン基準受信機3Aw1の無線制御信号に同期する、自機の無線制御信号を送信する(St7)。この後、制御部20の処理はステップSt4に進む。
また、ステップSt6で無線制御信号が見つからなかった場合、制御部20は、内蔵するタイマが所定の時間を経過したか否かを判別する(St8)。ここで、所定の時間は、例えばメイン基準受信機からの無線制御信号を受信して同期するまでに要する十分な時間である。タイマが所定の時間を経過していない場合、制御部20は、ステップSt5に戻り、メイン基準受信機3Aw1から送信される無線制御信号を探索する。一方、タイマが所定の時間を経過した場合、サブワイヤレスマイクシステム5Bのサブ基準受信機3Bw1は、メインワイヤレスマイクシステム5Aのメイン基準受信機3Aw1と同期することを中止する。この場合、サブ基準受信機3Bw1の制御部20は、自立し、サブワイヤレスマイクシステム5B内で使用する無線制御信号を生成して送出する(St13)。この後、制御部20は図11に示す処理を終了する。
また、ステップSt1で自機が基準受信機でない場合、制御部20は、無線部21を介して、ミキサー受信機8からの同期タイミング信号を待ち受ける(St9)。制御部20は、ミキサー受信機8からの同期タイミング信号が検知されたか否かを判別する(St10)。同期タイミング信号が検知された場合、制御部20は、同期タイミング信号に合わせて、無線制御信号を送信する(St11)。この後、制御部20は図11に示す処理を終了する。
一方、ステップSt10でミキサー受信機8からの同期タイミング信号が検知されなかった場合、制御部20は、内蔵するタイマが所定の時間を経過したか否かを判別する(St12)。ここで、所定の時間は、例えばミキサー受信機からの同期タイミング信号を受信して同期するまでに十分な時間である。タイマが所定の時間を経過していない場合、制御部20の処理はステップSt9に戻り、制御部20は、ミキサー受信機8からの同期タイミング信号を待ち受ける。一方、タイマが所定の時間を経過した場合、受信機3は、基準受信機(例えば受信機3w1)と同期することを中止する。この場合、基準受信機(例えば受信機3w1)の制御部20は、自立しワイヤレスマイクシステム内で使用する無線制御信号を生成して送出する(St13)。この後、制御部20は図11に示す処理を終了する。
図12は、ミキサー受信機8の動作手順を示すフローチャートである。ミキサー受信機8は、電源オンにより動作を開始する。ミキサー受信機8のミキサー制御部80は、基準受信機(例えば受信機3w1)と接続されているか否かを判別する(St21)。基準受信機(例えば受信機3w1)と接続されている場合、ミキサー制御部80は、基準受信機(例えば受信機3w1)からの基準タイミング信号を待ち受ける(St22)。ミキサー制御部80は、基準タイミング信号を受信したか否かを判別する(St23)。基準タイミング信号を受信した場合、ミキサー制御部80は、他の受信機3に対し、基準タイミング信号に合わせて同期タイミング信号を送出する(St24)。この後、ミキサー制御部80は図12に示す処理を終了する。
一方、ステップSt23で基準タイミング信号を受信しなかった場合、ミキサー制御部80は、内蔵するタイマが所定の時間を経過したか否かを判別する(St25)。ここで、所定の時間は、例えば基準受信機(例えば受信機3w1)からの基準タイミング信号を受信するまでの時間である。タイマが所定の時間を経過していない場合、ミキサー制御部80の処理はステップSt22に戻り、ミキサー制御部80は、基準受信機(例えば受信機3w1)からの基準タイミング信号を待ち受ける。一方、タイマが所定の時間を経過した場合、ミキサー制御部80は、自立し、ワイヤレスマイクシステム5内で使用する同期タイミング信号を生成して送出する(St26)。この後、ミキサー制御部80は図12に示す処理を終了する。
なお、ここでは、メイン基準受信機は、自機の無線制御信号に同期した基準タイミング信号をミキサー受信機に送信する場合を示したが、ミキサー受信機からの同期タイミング信号によって、同期信号となる無線制御信号を生成して送信してもよい。つまり、ミキサー受信機が基準タイミング信号を生成してメイン基準受信機に送信してもよい。
以上により、実施の形態1に係るワイヤレスマイクシステム5は、それぞれ1つ以上のマイク子機2と無線通信可能な複数の受信機3(第1子受信機の一例、例えばメイン基準受信機3Aw1,メイン受信機3Aw2,3Aw3)と、複数の受信機3と接続されたミキサー受信機8(第1親受信機の一例、例えばメインミキサー受信機8A)とを有するメインワイヤレスマイクシステム5A(第1受信機セグメント、自セグメントの一例)を備える。ワイヤレスマイクシステム5は、それぞれ1つ以上のマイク子機2と無線通信可能な複数の受信機3(第2子受信機の一例、例えばサブ基準受信機3Bw1,3Cw1,サブ受信機3Bw2,3Bw3,3Cw2,3Cw3)と、複数の受信機3と接続されたサブミキサー受信機(第2親受信機の一例、例えばサブミキサー受信機8B,8C)とを有する、少なくとも1つのサブワイヤレスマイクシステム5B(第2受信機セグメント、他セグメントの一例)を備える。複数の受信機のうちメイン基準受信機3Aw1(基準となる第1子受信機の一例)は、メインワイヤレスマイクシステム5Aとサブワイヤレスマイクシステム5B,5Cとの同期を制御するための無線制御信号を繰り返し送信する。複数の受信機のうちサブ基準受信機3Bw1,3Cw1(基準となる第2子受信機の一例)は、この無線制御信号に同期して自己のサブワイヤレスマイクシステム5B,5C内で同期するための基準タイミング信号をサブミキサー受信機8B,8Cに送信する。サブミキサー受信機8B,8Cは、基準タイミング信号に応じて、自己のサブワイヤレスマイクシステム5B,5C内で無線同期するための同期タイミング信号を、自己のサブワイヤレスマイクシステム5B,5Cの他のサブ受信機3Bw2,3Bw3,3Cw2,3Cw3(第2子受信機、他受信機の一例)に送信する。
これにより、ワイヤレスマイクシステム5は、複数のワイヤレスマイクシステム(例えば、メインワイヤレスマイクシステム5A,サブワイヤレスマイクシステム5B,5C)のそれぞれのカバーエリアra1,ra2,ra3に共存エリアra12,ra13が存在する環境下でも、それぞれのワイヤレスマイクシステム間での無線同期を的確に実現できる。従って、ワイヤレスマイクシステム5は、それぞれのワイヤレスマイクシステム(例えば、メインワイヤレスマイクシステム5A,サブワイヤレスマイクシステム5B,5C)間での音声信号の衝突を的確に回避できるので、それぞれのワイヤレスマイクシステムにおいて高品質な音声信号の出力を支援することができる。
また、メイン基準受信機3Aw1は、基準タイミング信号をメインミキサー受信機8Aに送信する。メインミキサー受信機8Aは、基準タイミング信号に応じて、自己のメインワイヤレスマイクシステム5A内で無線同期するための同期タイミング信号を、自己のメインワイヤレスマイクシステム5A内の他のメイン受信機3Aw2,3Aw3に送信する。これにより、メインワイヤレスマイクシステム5A内での同期を確立できる。
また、サブ基準受信機3Bw1及びサブ受信機3Bw2,3Bw3は、同期タイミング信号に基づいて同期し、マイク子機2との無線通信に用いるフレームの開始位置を調整する。これにより、各ワイヤレスマイクシステム(例えば、メインワイヤレスマイクシステム5A,サブワイヤレスマイクシステム5B,5C)において、基準受信機以外の受信機が同期することができる。
なお、上記実施の形態1では、ミキサー受信機8に接続される複数の受信機3のうち、いずれの受信機が基準受信機であるかについて、特に限定していなかった。例えば、ミキサー受信機8に設けられた、複数の受信機3と信号線140(有線)で接続される複数のポートP(端子)のうち、所定の端子の一例としての1番目のポートP1(図1の最も左側に位置するポート)を基準受信機(例えば受信機3w1)が接続されるポートに設定してもよい。つまり、ミキサー受信機8は、1番目のポートP1に接続された受信機を基準受信機(例えば受信機3w1)に設定してもよい。これにより、ミキサー受信機の筐体の外側から1番目のポートP1に信号線140を接続する手作業だけで、ユーザは直接的かつ簡単に基準受信機を設定できる。
また、ミキサー受信機に設定された値にしたがって、複数のポートのいずれかを基準受信機が接続されるポートに設定してもよい。ここでは、ミキサー受信機8の操作部83には、ユーザ入力を受け付け可能なDIPスイッチ83z(設定部の一例)が設けられる。ミキサー受信機8は、ユーザ入力を受け付けた(ユーザがスイッチのON/OFFを操作した)際のDIPスイッチ83zの値(設定情報)によって、基準受信機(例えば受信機3w1)が接続されるポートを設定する。DIPスイッチ83zが例えば3ビットを有する場合、指定された値0〜値7に相当するポートが、基準受信機(例えば受信機3w1)が接続されるポートに設定される。これにより、ミキサー受信機の内部で基準受信機の設定を管理できる。したがって、安易に基準受信機が変更されることを回避できる。
また、ミキサー受信機8に内蔵された外部I/F部89(接続部の一例)は、LANあるいはUSB(Universal Serial Bus)でPC(外部機器の一例)と接続される。ミキサー受信機8は、外部I/F部89を介して受信した、PCからのデータ(設定情報)にしたがって、複数のポートPのうち、いずれかのポートを基準受信機が接続されるポートに設定してもよい。これにより、外部からミキサー受信機に対し、基準受信機を設定できる。したがって、遠隔で設定することも可能である。
このように、ミキサー受信機に設けられた複数のポートのうち、任意のポートを基準受信機が接続されるポートに設定できる。したがって、仮に基準受信機が接続されたポートに動作不良が生じても、他のポートに簡単に切り替えることができ、無線同期を継続できる。
(実施の形態1の変形例1)
各ワイヤレスマイクシステムでは、ミキサー受信機及び各受信機間の配線が長くなった場合、ミキサー受信機と各受信機との間で遅延が発生する。この遅延時間によって無線フレームにおけるクロックずれが起きないように、遅延時間を揃えることが要求される。
図13は、実施の形態1の変形例1に係るミキサー受信機8と受信機3との間における遅延時間の測定を示す図である。ミキサー受信機8は、基準受信機(例えば受信機3w1)に向けて遅延時間測定基準信号T0を送信する。基準受信機(例えば受信機3w1)は、ミキサー受信機8から遅延時間測定基準信号T0を受信すると、直ぐにあるいは予め決められた時間経過後に遅延時間測定応答信号T1を返信する。ミキサー受信機8は、遅延時間測定応答信号T1を受信すると、ミキサー受信機及び基準受信機間の遅延時間ΔT1(= T1−T0)を算出する。
同様に、ミキサー受信機8は、受信機3w2に向けて遅延時間測定基準信号T0を送信する。受信機3w2は、ミキサー受信機8から遅延時間測定基準信号T0を受信すると、直ぐにあるいは予め決められた時間経過後に遅延時間測定応答信号T2を返信する。ミキサー受信機8は、遅延時間測定応答信号T2を受信すると、ミキサー受信機及び基準受信機間の遅延時間ΔT2(= T2−T0)を算出する。以後、同様に、ミキサー受信機8に接続される最後の受信機3wkに対し、遅延時間ΔTk(= Tk−T0)の算出が行われる。
ミキサー受信機8は、各受信機3に対応する遅延時間ΔT1〜ΔTkを考慮し、各受信機3に到達する同期タイミング信号を揃えるように送信する。例えば、ミキサー受信機8は、全ての受信機3のうち、最も長い遅延時間ΔTmaxから各受信機3の遅延時間ΔTkを差し引いた時間(ΔTmax−ΔTk)を、同期タイミング信号の送信タイミングに加えて送信する。これにより、全ての受信機3に同時に同期タイミング信号が到達するように、送信できる。
通常、ミキサー受信機及び各受信機間の遅延時間の測定は、初期設定時に1回だけ行われる。また、ワイヤレスマイクシステムのレイアウトが変更され、配線の長さに違いか生じた場合、ミキサー受信機及び各受信機間の遅延時間の測定は行われてもよい。
図14は、ミキサー受信機8の動作手順を示すフローチャートである。図12に示したステップ処理と同一のステップ処理については、同一のステップ番号を付すことで、その説明を省略する。ミキサー制御部80は、基準受信機(例えば受信機3w1)を含む、全ての受信機3に向けて、遅延時間測定基準信号T0を送信する(St20A)。ミキサー制御部80は、各受信機3から遅延時間測定応答信号T1,T2,…,Tkを受信する(St20B)。ミキサー制御部80は、受信機3毎に、遅延時間ΔTk(= Tk−T0)を算出する(St20C)。
ミキサー制御部80は、前述した図12に示したステップSt21〜St23を処理した後、基準タイミング信号に遅延時間ΔTkを考慮したタイミングで同期タイミング信号を送信する(St24A)。つまり、ミキサー制御部80は、最も長い遅延時間ΔTmaxから各受信機3の遅延時間ΔTkを差し引いた時間(ΔTmax−ΔTk)を基準タイミング信号に加えたタイミングで、同期タイミング信号を送信する。
また、ミキサー制御部80は、ステップSt25を処理した後、自立したタイミング信号に遅延時間ΔTkを考慮したタイミングで同期タイミング信号を送信する(St26A)。つまり、ミキサー制御部80は、最も長い遅延時間ΔTmaxから各受信機3の遅延時間ΔTkを差し引いた時間(ΔTmax−ΔTk)を自立したタイミング信号に加えたタイミングで、同期タイミング信号を送信する。ミキサー制御部80は、ステップSt24A,St25Aを処理した後、図14に示す処理を終了する。
以上により、実施の形態1の変形例1におけるワイヤレスマイクシステム5では、基準受信機(例えば受信機3w1)は、それぞれ自己と接続される複数の受信機3w2,3w3との間の信号の遅延時間ΔTk(伝送遅延時間情報の一例)を複数の受信機3w2,3w3毎に保持し、複数のメイン受信機3Aw2,3Aw3毎の遅延時間ΔTkに基づいて、同期タイミング信号を送信する。これにより、ミキサー受信機及び各受信機間の配線が長くなって信号に遅延が生じる場合でも、個々の遅延時間によることなく、全ての受信機3に同時に同期タイミング信号を送信できる。
(実施の形態1の変形例2)
上述した実施の形態1では、サブワイヤレスマイクシステムのサブ基準受信機は、メインワイヤレスマイクシステムのメイン基準受信機から送信される無線制御信号に同期していたが、他のシステムと同期するようにしてもよい。
図15は、実施の形態1の変形例2に係る他のシステム6を利用したサブワイヤレスマイクシステム5Bの同期の確立を示す図である。サブ基準受信機3Bw1は、無線同期をとるために、探索(サーチ)する他のシステム6の通信機IDを予め記憶部25に登録しておく。サブ基準受信機3Bw1は、登録された通信機IDを有する通信機を探索し、通信機301から送信される信号sg1を受信し、この信号sg1に同期する基準タイミング信号を生成する。サブ基準受信機3Bw1は、生成した基準タイミング信号をサブミキサー受信機8Bに送信する。サブミキサー受信機8Bは、基準タイミング信号を基に生成した同期タイミング信号を同一のサブワイヤレスマイクシステム5B内の他のサブ受信機3Bw2,3Bw3に送信する。これにより、サブワイヤレスマイクシステム5B内では、無線同期が確立する。
以上により、実施の形態1の変形例2に係るワイヤレスマイクシステムによれば、サブワイヤレスマイクシステムは、同じワイヤレスマイクシステムではない、他のシステムとも無線同期をとることができ、音ノイズが生じることなく、共存できる。
(実施の形態1の変形例3)
図16は、実施の形態1の変形例3に係る制御ビットフィールドの構成を示す図である。メイン基準受信機が送信する無線制御信号に含まれる、制御ビットフィールドは、受信した信号が同期をとる基準となる信号がどうかを判定するためのMビットを含む。Mビットは、1ビットで構成されてもよいし、複数ビットで構成されてもよい。
例えば、Mビットが値1である場合、この無線制御信号をメイン基準信号と判定し、メイン基準受信機が送信する無線制御信号と同期するように、サブ基準受信機は、基準タイミング信号を送信する。一方、Mビットが値0である場合、この無線制御信号はメイン基準信号ではないと判定し、この無線制御信号とは無線同期をとらない。
以上により、実施の形態1の変形例3に係るワイヤレスマイクシステムによれば、容易に同じワイヤレスマイクシステムと同期することもでき、また、ワイヤレスマイクシステムでない、他のシステムとも無線制御信号にMビットを付与することで同期することが可能となる。したがって、音ノイズが起こることなく、同じワイヤレスマイクシステムとも他のシステムとも共存可能な汎用性のあるシステムを構築できる。
(実施の形態2の内容に至る経緯)
実施の形態1では、無線同期を確立するために、メインワイヤレスマイクシステム内のメイン基準受信機が自システム(つまり、メインワイヤレスマイクシステム)内のミキサー受信機に基準タイミング信号を送信し、サブワイヤレスマイクシステムのサブ基準受信機に無線制御信号(上述参照)を送信する。自システム(メインワイヤレスマイクシステム)内の受信機は、基準タイミング信号に基づくミキサー受信機からの同期タイミング信号にしたがって自システム内で他の受信機との間で同期した上で無線通信を行う。また、サブワイヤレスマイクシステムでは、サブ基準受信機は、メインワイヤレスシステムのメイン基準受信機からの無線制御信号を受信すると、自システム(つまり、サブワイヤレスマイクシステム)内のミキサー受信機に基準タイミング信号を送信する。自システム(サブワイヤレスマイクシステム)の受信機は、基準タイミング信号に基づくミキサー受信機からの同期タイミング信号にしたがって無線通信を行う。
ワイヤレスマイクシステムを構成する全ての受信機は、有線、例えばPoE(Power over Ethernet)でミキサー受信機と接続され、ミキサー受信機から電力供給を受ける。メインワイヤレスマイクシステム内のミキサー受信機の電源がユーザの操作によってオフに切り替えられた場合、メイン基準受信機もオフになって動作しなくなり、メイン基準受信機からの無線制御信号が送信されなくなる。この結果、無線制御信号と無線同期していた、サブワイヤレスマイクシステムの各受信機は、無線同期を失うことになる。この結果、異なるサブワイヤレスマイクシステム間でクロックずれが生じ、長い期間では通信が衝突し、音声品質が低下する。
そこで、以下の実施の形態2では、メインワイヤレスマイクシステム内のミキサー受信機の電源がオフになっても、メイン基準受信機が送信する無線制御信号を維持できるワイヤレスマイクシステムの例を説明する。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るワイヤレスマイクシステムにおいて、実施の形態1に係るワイヤレスマイクシステム5を構成する要素と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を簡略化又は省略する。
図17は、実施の形態2に係るメインワイヤレスマイクシステム5A1の構成を示す図である。実施の形態2に係るメインワイヤレスマイクシステム5A1は、実施の形態1に係るメインワイヤレスマイクシステム5A1の構成に加え、電源給電ユニット150及びACアダプタ160を更に含む構成である。
メイン基準受信機3Aw1とメインミキサー受信機8Aとの間には、例えばPoE(Power over Ethernet)ケーブル等の信号線140aが接続される。メイン基準受信機3Aw1は、信号線140aを介してメインミキサー受信機8Aとの間で信号を送受信すると共に、メインミキサー受信機8Aから電源電圧の供給を受ける。同様に、メイン受信機3Aw2,3Aw3とメインミキサー受信機8Aとの間には、それぞれ信号線140b,140cが接続される。信号線140a,140b,140cを特に区別しない場合、信号線140と総称する。メイン受信機3Aw2,3Aw3は、それぞれ信号線140b,140cを介してメインミキサー受信機8Aとの間で信号を送受信すると共に、メインミキサー受信機8Aから電源電圧の供給を受ける。
メインミキサー受信機8Aが電源オフの状態になると、メイン基準受信機3Aw1及びメイン受信機3Aw2,3Aw3とメインミキサー受信機8Aとの間で、通信及び電源電圧の供給が遮断される。
電源給電ユニット150とメイン基準受信機3Aw1との間には、電源給電ユニット150からメイン基準受信機3Aw1に電圧を供給するための電線146が接続される。電源給電ユニット150は、メインミキサー受信機8Aが電源オフになった場合、メインミキサー受信機8Aに代わってメイン基準受信機3Aw1に電力を供給する。
また、電源給電ユニット150とメインミキサー受信機8Aとの間には、メインミキサー受信機8Aの電源オフを検知するための信号線147が接続される。ACアダプタ160は、商用電源170に接続され、商用交流電圧を入力し、電源給電ユニット150に定電圧を供給する。
電源給電ユニット150は、ACアダプタ160から供給される定電圧を受け、常時、起動している。電源給電ユニット150は、信号線147を通じてメインミキサー受信機8Aの電源オフを検知すると、電線146を介してメイン基準受信機3Aw1に電源電圧を供給する。これにより、メイン基準受信機3Aw1は、メインミキサー受信機8Aが電源オフになっても、オン状態を維持する。一方、メイン基準受信機3Aw1以外のメイン受信機3Aw2,3Aw3,…は、メインミキサー受信機8Aの電源オフによってオフ状態となる。
メイン基準受信機3Aw1は、メインミキサー受信機8Aが電源オフになっても、電源給電ユニット150から電源電圧の供給を受けて動作し、無線制御信号を定期的に繰り返し送信する。サブワイヤレスマイクシステム5B,5Cにおけるサブ基準受信機3Bw1,3Cw1は、メイン基準受信機3Aw1から送信される無線制御信号を受信し、無線通信のフレームの開始タイミングを合わせるように、基準タイミング信号を生成する。サブワイヤレスマイクシステム5B,5Cの構成は、上述した実施の形態1に係るサブワイヤレスマイクシステム5B,5Cの構成と同じである。これにより、メインミキサー受信機8Aが電源オフになっても、サブワイヤレスマイクシステム5B,5Cにおけるサブ基準受信機3Bw1,3Cw1は、メインワイヤレスマイクシステム5Aとの無線同期を維持できる。
図18は、電源給電ユニット150の構成を示す図である。電源給電ユニット150は、ACアダプタ入力部151、電圧生成部152、ミキサー受信機I/F部153、基準受信機I/F部154、及びダイオード155を含む構成である。
ACアダプタ入力部151は、ACアダプタ160の出力端子が接続される入力端子を有し、ACアダプタ160から供給される出力電圧を入力する。電圧生成部152は、ACアダプタ入力部151を介して入力されたACアダプタ160の出力電圧を基に、メイン基準受信機3Aw1に供給される出力電圧を生成する。
電圧生成部152で生成された出力電圧は、ダイオード155のアノードに印加される。ダイオード155のカソードは、基準受信機I/F部154及びミキサー受信機I/F部153間の供給電源ラインsp1に接続される。また、基準受信機I/F部154とミキサー受信機I/F部153との間には、供給電源ラインsp1の他、制御信号ラインsp2、グランド(GND)ラインsp3等が接続される。
また、基準受信機I/F部154は、メイン基準受信機3Aw1に繋がる電線146が接続される出力端子を有し、メイン基準受信機3Aw1に電源電圧を供給する。ミキサー受信機I/F部153は、メインミキサー受信機8Aに繋がる信号線147が接続される入力端子を有し、信号線147に含まれる、メインミキサー受信機8Aの電源オフを検知する信号等を入力する。
メインミキサー受信機8Aが電源オンである場合、つまり、供給電源ラインsp1の電圧が、電圧生成部152の出力電圧から所定値を引いた電圧以上に高い電圧である場合、ダイオード155はオフとなる。所定値は、ダイオード155が導通するための順方向電圧に相当する。したがって、供給電源ラインsp1の電圧は、そのまま基準受信機I/F部154の出力端子に出力される。
一方、メインミキサー受信機8Aが電源オフである場合、つまり、供給電源ラインsp1の電圧が、電圧生成部152の出力電圧から所定値を引いた電圧未満に低い電圧である場合、ダイオード155はオンになる(つまり、導通する)。したがって、供給電源ラインsp1の電圧は、電圧生成部152の出力電圧から所定値を引いた電圧となる。ダイオード155の順方向電圧は、通常約0.6Vと小さい。したがって、供給電源ラインsp1の電圧は、電圧生成部152の出力電圧とほぼ等しくなる。このように、ダイオード155がオンになると、基準受信機I/F部154の出力端子には、電圧生成部152の出力電圧が出力される。
メイン基準受信機3Aw1は、基準受信機I/F部154を介して、電圧生成部152で生成された出力電圧を受ける。なお、ダイオード155のカソードは、メインミキサー受信機8Aの出力端子にも印加される。メインミキサー受信機8Aの出力端子は高インピーダンスであるので、メインミキサー受信機8Aの出力端子に電圧生成部152で生成された出力電圧による電流が流れ込むことはなく、電圧生成部152で生成された出力電圧は維持される。
また、電圧生成部152は、フィードバック回路fb1からのフィードバック電圧を入力し、出力電圧を一定の電圧に維持する。なお、フィードバック回路fb1は、例えば抵抗を用いて低コストで形成できる。また、フィードバック回路fb1は、電圧生成部152が生成する出力電圧がメイン基準受信機3Aw1に供給する電圧として適正である場合、省かれてもよい。
図19は、メインミキサー受信機8A及び電源給電ユニット150からそれぞれメイン基準受信機3Aw1に出力される供給電圧の変化を示すタイミングチャートである。縦軸は電圧vを示し、横軸は時間tを示す。メインミキサー受信機8Aが電源オンしている期間(図中、時刻t1以前の期間)では、メインミキサー受信機8Aの供給電圧は、電源給電ユニット150の供給電圧よりも所定の電圧差Va以上に高い。ダイオード155は、電圧差Vaに対し、電流の逆流を防止する。この場合、メイン基準受信機3Aw1には、メインミキサー受信機8Aの供給電圧が供給される。
時刻t1でメインミキサー受信機8Aの電源がオフになると、メインミキサー受信機8Aの供給電圧は、徐々に下降する。時刻t2でメインミキサー受信機8Aの供給電圧が電圧生成部152の出力電圧未満の低い電圧になると、ダイオード155がオン(導通)する。この場合、メイン基準受信機3Aw1には、電圧生成部152の出力電圧が供給される。ダイオード155のオンによって、メイン基準受信機3Aw1に供給される電圧が、メインミキサー受信機8Aの供給電圧から電圧生成部152の出力電圧に切り替わる。
なお、ここでは、メインミキサー受信機8Aは、商用交流電源に接続されたが、電源給電ユニットあるいはACアダプタから電圧供給を受けて動作してもよい。
以上により、実施の形態2のメインワイヤレスマイクシステム5A1は、それぞれ1つ以上のマイク子機2と無線通信可能な複数の受信機3(子受信機の一例、例えばメイン基準受信機3Aw1,メイン受信機2Aw2,3Aw3)と、複数の受信機3と接続されたメインミキサー受信機8A(親受信機の一例)とを有するメインワイヤレスマイクシステム(受信機セグメントの一例)と、複数の受信機3のうちメイン基準受信機3Aw1とメインミキサー受信機8Aとに接続され、電源電圧を供給可能な電源給電ユニット150(給電装置の一例)と、を備える。メイン基準受信機3Aw1は、メインミキサー受信機8Aの電源がオフされた場合に、電源給電ユニット150から供給される電源電圧に基づいて、それぞれ1つ以上のマイク子機2と無線通信可能な複数の受信機3(例えば、サブ基準受信機3Bw1,サブ受信機3Bw2,3Bw3)を少なくとも有するサブワイヤレスマイクシステム5Bとメインワイヤレスマイクシステム5A1との同期を制御するための無線制御信号を繰り返し(例えば定期的に)送信する。
これにより、複数のワイヤレスマイクシステムのカバーエリアに共存エリアが存在する環境下でも、それぞれのワイヤレスマイクシステム間での無線同期を的確に実現し、それぞれのワイヤレスマイクシステム間での高品質な音声信号の出力を支援する。また、ミキサー受信機の電源がオフされた場合でも、電源給電ユニットからメイン基準受信機の電源電圧が代替的に供給されるので、メイン基準受信機は電源オンの状態を維持でき、自己が含まれるワイヤレスマイクシステムと他のワイヤレスマイクシステムとの無線同期の喪失を回避できる。
また、メイン基準受信機3Aw1は、メインミキサー受信機8Aの電源がオンであると判断した場合に、メインミキサー受信機8Aから供給される電源電圧に基づいて、無線制御信号を繰り返し送信する。これにより、電源給電ユニット150を、メインミキサー受信機8Aの電源がオフした時のバックアップ電源として利用できる。したがって、メインミキサー受信機8Aの電源が復旧するまでの期間、電源給電ユニット150が電源電圧を供給し、メイン基準受信機が無線制御信号を送信し続けられるようにすればよく、給電能力が小さい電源給電ユニット150で済ますことができる。したがって、低コストで電源給電ユニット150をメインワイヤレスマイクシステム5Aに追加できる。
(実施の形態2の変形例1)
図20は、実施の形態2の変形例1に係るメインワイヤレスマイクシステム5A2の構成を示す図である。実施の形態2の変形例1に係るメインワイヤレスマイクシステム5A2では、実施の形態2に係る電源給電ユニット150Aの構成と異なる電源給電ユニット150Aを有する。
電源給電ユニット150Aは、電圧生成部152で生成される出力電圧の電圧値を可変し、電圧値の異なる出力電圧をメイン基準受信機3Aw1に供給する。電源給電ユニット150Aからメイン基準受信機3Aw1に供給される電源給電電圧が24Vである場合、メイン基準受信機3Aw1の無線制御部31は、無線部21で送信される無線出力を高出力(High)モードに設定する。また、電源給電ユニット150Aからメイン基準受信機3Aw1に供給される電源給電電圧が20Vである場合、メイン基準受信機3Aw1の無線制御部31は、無線部21で送信される無線出力を中出力モード(Middle)に設定する。また、電源給電ユニット150Aからメイン基準受信機3Aw1に供給される電源給電電圧が16Vである場合、メイン基準受信機3Aw1の無線制御部31は、無線部21で送信される無線出力を低出力(Low)モードに設定する。
図21は、電源給電ユニット150Aの構成を示す図である。電源給電ユニット150Aは、上述した電源給電ユニット150の構成に加え、出力電圧設定部158、フィードバック回路fb2,fb3,…,fbn、及びスイッチSW2,SW3,…,SWnを含む構成を有する。nの値は任意であり、ここではnが値4である場合を示す。
例えば、スイッチSW2がオンである場合、電圧生成部152のフィードバック抵抗は、フィードバック回路fb1とフィードバック回路fb2の合成抵抗となる。この場合、電圧生成部152は、電源供給電圧24Vを供給する。また、スイッチSW3がオンである場合、電圧生成部152のフィードバック抵抗は、フィードバック回路fb1とフィードバック回路fb3の合成抵抗となる。この場合、電圧生成部152は、電源供給電圧20Vを供給する。また、スイッチSWn(n=4)がオンである場合、電圧生成部152のフィードバック抵抗は、フィードバック回路fb1とフィードバック回路fbn(n=4)の合成抵抗となる。この場合、電圧生成部152は、電源供給電圧16Vを供給する。
図22は、メイン基準受信機3Aw1の動作手順を示すフローチャートである。メイン基準受信機3Aw1の制御部20は、メインミキサー受信機8Aと接続状態にあるか否か(つまり、メインミキサー受信機8Aが電源オンの状態にあるか否か)を判別する(St41)。メインミキサー受信機8Aが電源オンである場合、制御部20は、メインミキサー受信機8Aからの制御情報にしたがって、無線制御信号の送信電力(信号送信レベル)を決定する(St42)。この後、制御部20は図22に示す処理を終了する。
ステップSt41でメインミキサー受信機8Aが電源オフである場合、制御部20は、電源給電ユニット150Aの供給電圧を測定する(St43)。制御部20は、測定した供給電圧が閾値Vt1以上であるか否かを判別する(St44)。閾値Vt1は、電圧24V〜20Vの間で設定された電圧である。
閾値Vt1以上である場合、電源供給電圧24Vであるので、制御部20は、閾値Vt1に対応した高出力(High)モードに送信電力を決定する(St45)。この後、制御部20の処理はステップSt41に戻る。ステップSt44で、測定した供給電圧が閾値Vt1未満である場合、制御部20は、測定した供給電圧が閾値Vt2以上であるか否かを判別する(St46)。閾値Vt2は、電圧20V〜16Vの間で設定された電圧である。閾値Vt2以上である場合、電源供給電圧20Vであるので、制御部20は、閾値Vt2に対応した中出力(Middle)モードに送信電力を決定する(St47)。この後、制御部20はステップSt41の処理に戻る。
また、ステップSt46で、測定した供給電圧が閾値Vt2未満である場合、制御部20は、測定した供給電圧が閾値Vtn(n=3)以上であるか否かを判別する(St48)。閾値Vtnは、電圧16V〜10Vの間で設定された電圧である。閾値Vtn以上である場合、電源供給電圧16Vであるので、制御部20は、閾値Vt2に対応した低出力(Low)モードに送信電力を決定する(St49)。この後、制御部20の処理はステップSt41に戻る。ステップSt48で閾値Vtn未満である場合、制御部20は、電源給電ユニット150の供給電圧が異常であるとして、無線制御信号の送信を停止する(St50)。供給電圧の異常は、例えば、電源給電ユニット150Aの動作不良、電線146の断線等が挙げられる。この後、制御部20の処理はステップSt41に戻る。
以上により、実施の形態2の変形例1におけるメインワイヤレスマイクシステム5A2では、メイン基準受信機3Awは、自己への供給電圧を監視するとともに、供給電圧の値に応じて、無線制御信号の信号出力レベルを決定する。これにより、メイン基準受信機は、電源給電ユニットの給電能力に合わせた信号出力レベルで無線制御信号を継続できる。したがって、多様な電源給電ユニットを採用することができる。また、電源給電ユニットは、メイン基準受信機の信号出力レベルに合わせて供給電圧を可変することができ、必要以上の電圧をメイン基準受信機に供給しなくても済ますことができる。したがって、電源給電ユニットを、多くのメイン基準受信機に対応可能な汎用性のあるものにできる。
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施の形態では、前述したように、DECT方式の無線通信の1フレーム期間において、前半(ダウンリンク用)のスロットS0〜S11に対し、キャリアかつスロット毎に無線処理部とマイク子機を通信チャネル及び制御チャネルに対応付けることを示した。後半(アップリンク用)のスロットS12〜S23に対しても、同様に、キャリアかつスロット毎に無線処理部とマイク子機を通信チャネルに対応付けてもよい。
また、上述した実施の形態では、通信方式として、周波数帯1.9GHzのDECTが用いられたが、この周波数帯及び通信規格に限らず、周波数帯2.4GHzの無線LAN等の通信方式が用いられてもよい。