JP2019148569A - 塗布膜解析方法 - Google Patents

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【課題】塗布や測定に伴う処理対象物への微粒子の付着を抑制しつつ、塗布直後の塗布膜の状態を把握することが可能な塗布膜解析方法を提供する。【解決手段】この塗布膜解析方法は、回動アーム40に設けられた距離センサ30により、ウェハ1の表面高さ位置の分布を反映する第1測定データを取得するステップと、回動アーム40に設けられたノズル21の先端から液状の熱硬化性樹脂3を供給して、ウェハ1の表面上に熱硬化性樹脂3の塗布膜4を形成するステップと、距離センサ30により、塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第2測定データを取得するステップと、取得された第1測定データおよび第2測定データに基づいて、形成された塗布膜4を解析するステップと、を備える。【選択図】図1

Description

この発明は、塗布膜解析方法に関し、特に、液状の塗布材料により処理対象物の表面上に形成された塗布膜を解析する塗布膜解析方法に関する。
従来、液状の塗布材料により処理対象物の表面上に塗布膜を形成する方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、プラズマディスプレイパネルの基板(処理対象物)に蛍光体ペーストなどを塗布することが開示されている。上記特許文献1では、Y軸移動テーブルと、X軸移動テーブルとにより、塗布ヘッドが基板の上方を水平移動する。塗布ヘッドには、ノズルと距離センサとが設けられている。塗布に先立って、距離センサを走査させることにより、基板の表面のうねりデータが取得される。取得されたうねりデータを元に、塗布動作の際に、ノズル、基板間の距離が一定になるように制御される。
特許第4940806号公報
上記特許文献1のような塗布膜の形成方法では、いわゆるX−Yステージによって塗布ヘッドが基板の上方を移動する構成であるため、移動に伴う可動部の摺動に起因して発生した微粒子が、基板の表面上に付着するという問題点がある。微粒子の付着は、処理対象物が回路形成用の半導体ウェハなどの微細加工物である場合に特に問題となりやすい。
また、上記特許文献1では、形成された塗布膜の膜厚などの状態が適正であるか否かを評価する手段がないという問題点がある。たとえば上記特許文献1の装置によって塗布膜を形成した後、処理対象物を測定装置に移動させて、塗布膜の膜厚などの状態を測定することが考えられる。しかし、液状の塗布材料は溶剤を含んでいる場合が多いため、塗布膜を生成した後、塗布状態の測定を行うまでに時間がかかると、溶剤の揮発などによって塗布膜の状態が変化してしまうことが少なくない。塗布直後の塗布膜の状態の評価は、塗布条件の最適化のために重要であるため、塗布直後における塗布膜の状態を把握できるようにすることが望まれている。
なお、距離センサには、基板の表面高さ(表面までの距離)と塗布膜の表面高さ(表面までの距離)とを同時に検出して、膜厚を測定できるものもある。しかし、半導体ウェハなどに形成される塗布膜は膜厚が非常に小さくなるため、塗布膜の膜厚が距離センサによる測定可能範囲の下限以下の場合には測定することができない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、塗布や測定に伴う処理対象物への微粒子の付着を抑制しつつ、塗布直後の塗布膜の状態を把握することが可能な塗布膜解析方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明による塗布膜解析方法は、処理対象物が載置される回転テーブルよりも外周側に配置された回転軸を中心に回動する回動アームに設けられた距離センサにより、処理対象物の表面高さ位置の分布を反映する第1測定データを取得するステップと、回動アームに設けられたノズルの先端から液状の塗布材料を供給して、処理対象物の表面上に塗布材料の塗布膜を形成するステップと、距離センサにより、処理対象物の表面上に形成された塗布膜の表面高さ位置の分布を反映する第2測定データを取得するステップと、取得された第1測定データおよび第2測定データに基づいて、形成された塗布膜を解析するステップと、を備える。なお、処理対象物は、たとえばシリコン基板やガラス基板などの半導体用基板を含む概念である。
この発明による塗布膜解析方法では、上記構成により、回転テーブルよりも外周側に配置された回転軸を中心に回動する回動アームによって、距離センサおよびノズルが処理対象物の上方を移動するので、処理対象物の上方に摺動箇所を配置せずに済む。そのため、塗布や測定のためにノズルおよび距離センサを移動させても、処理対象物の上方で微粒子が発生することを抑制できるので、塗布や測定に伴う処理対象物への微粒子の付着を抑制することができる。また、上記構成により、塗布膜を形成する前に取得される第1測定データによって処理対象物の表面高さの分布を把握でき、塗布膜を形成した後に取得される第2測定データによって塗布膜の表面高さの分布を把握できる。そのため、塗布膜を解析するステップにおいて、たとえば処理対象物の表面高さと塗布膜の表面高さとの差分をとれば、塗布膜の膜厚が把握できるし、既知の塗布領域の寸法をさらに考慮すれば、塗布材料の体積(すなわち塗布量)が把握できる。第2測定データは、第1測定データと同様に回動アームの距離センサによって取得できるので、処理対象物を測定用の装置などに移動させることなく、塗布直後の塗布膜の状態を把握することができる。以上により、本発明によれば、塗布や測定に伴う処理対象物への微粒子の付着を抑制しつつ、塗布直後の塗布膜の状態を把握することができる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、塗布膜を解析するステップにおいて、第1測定データおよび第2測定データに基づいて、塗布膜の膜厚および体積の少なくとも一方を取得する。このように構成すれば、塗布膜の状態として、少なくとも塗布直後の塗布膜の膜厚または体積(塗布量)を把握することができる。これにより、塗布直後の膜厚や塗布量の分布等を把握して設計値との対比を行うことができる。そのため、塗布膜を形成するステップの直接の結果としての、塗布直後の膜厚や体積に基づいて、塗布膜を形成するステップにおける塗布条件の最適化を容易に行うことができる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、測定精度が確保される所定の距離範囲内で回転テーブルの中心の表面から離れた位置に距離センサが配置されるときの回動アームの高さ位置を第1アーム高さとし、第1測定データを取得するステップおよび第2測定データを取得するステップにおいて、第1アーム高さにおいて回動アームを回動させることにより、距離センサによる第1測定データおよび第2測定データを取得する。このように構成すれば、第1測定データおよび第2測定データを同一の第1アーム高さにおいて同一の条件で取得できるので、塗布前の処理対象物の表面高さの分布と塗布後の塗布膜の表面高さの分布とを精度よく取得することができる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、塗布膜を形成するステップにおいて、第1測定データに基づいて、ノズルの先端を処理対象物の表面高さ位置から一定の所定距離だけ離れた高さに制御しながら、ノズルの先端から液状の塗布材料を供給する。このように構成すれば、処理対象物の表面にうねりがあり表面高さ位置がばらつく場合でも、処理対象物の表面高さ位置の分布を反映する第1測定データを用いて、ノズルの先端と処理対象物の表面との間隔を一定(所定距離)に維持して塗布することができるので、表面高さ位置がばらつく処理対象物に対しても、より均一な膜厚で塗布膜を形成することができる。このような塗布方法で塗布膜の膜厚を極力均一にするためには、所定距離の設定値を最適化することが重要となる。そのため、塗布直後の塗布膜の状態を把握することができる本発明では、塗布膜の解析結果を用いて所定距離の設定値を最適化することができる点で、特に有用である。
この場合、好ましくは、ノズルの先端が回転テーブルの中心の表面と接触するときの回動アームの高さ位置を第2アーム高さとし、塗布膜を形成するステップにおいて、第2アーム高さと、上記所定距離と、回転する処理対象物の各々の位置における第1測定データと、に基づいて回動アームの高さ位置を制御する。このように構成すれば、ノズルの先端と処理対象物の表面との間を、精度よく一定の所定距離に保った状態で塗布を行うことができる。その結果、より精度よく、塗布膜を所望の膜厚で形成することができる。
上記塗布膜を形成するステップで、ノズルの先端を処理対象物の表面高さ位置から一定の所定距離だけ離れた高さに制御する構成において、好ましくは、上記所定距離は、塗布膜の設計膜厚に基づいて設定される一定値である。このように構成すれば、塗布材料の物性等を考慮した上で、塗布膜の設計膜厚に基づいて適切な所定距離を設定することができる。その結果、ノズルの先端が設計膜厚に対応した所定距離だけ離隔した状態を維持しながら塗布を行うことによって、所望の膜厚の塗布膜を精度よく形成することができる。また、上記の通り、塗布膜の設計膜厚に加えて、実際の塗布膜の解析結果から得られた知見を加味して所定距離の設定値を最適化すれば、さらに膜厚の精度を向上させることが可能となる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、塗布膜を形成するステップにおいて、ノズルの先端の高さ位置を処理対象物の上方で固定した状態で、ノズルの先端から液状の塗布材料を供給する。このように構成すれば、ノズルの先端の高さ位置を一定に維持した状態で塗布膜を形成できるので、ノズルの先端の高さ位置をリアルタイムで制御する必要がなく、容易に塗布膜を形成することができる。この場合、塗布膜の膜厚を均一にするためには、一定値に固定されるノズルの先端の高さ位置の設定値を最適化することが重要となる。そのため、塗布直後の塗布膜の状態を把握することができる本発明では、塗布膜の解析結果を用いてノズルの先端の高さ位置の設定値を最適化することができる点で、特に有用である。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、塗布膜を形成するステップにおいて、回転テーブルにより処理対象物を回転させながら、回動アームによりノズルを処理対象物の中心側から外周側または外周側から中心側に向けて回動させることにより、ノズルを処理対象物に対して渦巻き状に相対移動させながら塗布材料を供給する。このように構成すれば、塗布の開始点から終点まで途切れることなく連続的に塗布材料を供給する手法で、処理対象物の塗布範囲全体に塗布を行うことができる。その結果、ノズルからの塗布材料の供給のオンオフを行う場合に吐出量が不安定になり易いのと比較して、ノズルからの塗布材料の供給を継続することにより吐出量を安定させることができる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、塗布膜を形成するステップにおいて、回転テーブルにより処理対象物を回転させながら、回動アームによりノズルを処理対象物の半径方向において複数箇所の供給位置に移動させ、各々の供給位置で処理対象物に対して同心円状に相対移動させながら塗布材料を供給する。このように構成すれば、円状の軌跡での塗布材料の供給を、円の半径を異ならせて複数回行う手法で、処理対象物の塗布範囲全体に塗布を行うことができる。ここで、塗布材料の供給中に処理対象物の回転中心からの距離(円状軌跡の半径)が変化する場合、処理対象物の回転速度が一定だとノズルと処理対象物との相対速度が回転中心からの距離に応じて変化することになる。これに対して、各々の円状軌跡で塗布材料を供給する場合、回転中心からの距離が変化しないため、ノズルと処理対象物との相対速度を容易に一定に保って塗布を行うことができる。その結果、円状軌跡の各位置における塗布材料の供給量を安定させることができる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、第1測定データを取得するステップと、第2測定データを取得するステップとにおいて、回動アームの回動動作および回転テーブルの回転動作を同一とする。ここで、回動アームの回動動作は、回動アームの回動速度(角速度)および回動速度の時間変化パターン、回動の開始点および終点位置を含みうる。回転テーブルの回転動作は、回転速度(角速度)および回転速度の時間変化パターンを含みうる。このように構成すれば、それぞれの測定データを取得する際の距離センサ(回動アーム)と処理対象物(または処理対象物上の塗布膜)との相対運動を同一条件にすることができる。その結果、第1測定データと第2測定データとの間での測定条件の相違に起因する誤差を低減できるので、第1測定データおよび第2測定データに基づく解析を精度よく行うことができる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、第1測定データを取得するステップにおいて、回転テーブルの回転動作は、塗布膜を形成するステップにおける回転テーブルの回転動作と同一とし、回動アームの回動動作は、塗布膜を形成するステップにおける回動アームの回動動作からノズルと距離センサとの距離分だけオフセットさせた同一の動作とする。このように構成すれば、第1測定データを取得する際の距離センサの処理対象物に対する移動軌跡と、塗布膜を形成する際のノズルの処理対象物に対する移動軌跡とを、極力同一にすることができる。その結果、第1測定データの各測定点と、ノズルからの塗布材料の吐出位置とを近似させることができ、測定点と吐出位置との位置ずれに起因する誤差を低減できるので、第1測定データに基づく高さ制御を高精度に行うことができる。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、回動アームは、処理対象物を収容可能な真空チャンバ内に配置され、回転軸を介して真空チャンバの外部の回動駆動部および昇降駆動部により駆動され、回転テーブルは、真空チャンバ内に配置され、真空チャンバの外部のテーブル駆動部により回転駆動され、塗布膜を形成するステップにより真空チャンバ内で形成された塗布膜によって、処理対象物の表面に開口するように形成された微細空間内に塗布材料を充填する。このように構成すれば、真空チャンバ中の処理対象物に対しても、微粒子の付着を抑制しつつ塗布膜を形成し、塗布直後の塗布膜の状態を把握することができる。ここで、X−Yステージ型の塗布装置を用いる場合には、X−Yステージの駆動機構を真空チャンバ内に配置する必要があるため、通常のモータ(減圧下で用いることができない安価なモータ)が使用できない、真空チャンバが大型化する、微粒子の付着が避けられない、などの問題が生じる。これに対して、上記構成によれば、モータなどの駆動部を真空チャンバの外部に配置して、回動アームと処理対象物を載置した回転テーブルとを真空チャンバの内部で駆動することができるので、減圧下で用いることができない安価なモータの使用が可能であり、真空チャンバの大型化を抑制でき、微粒子の付着も抑制できる点で、特に効果的である。
上記発明による塗布膜解析方法において、好ましくは、塗布材料は、溶剤を含む熱硬化性樹脂であり、第2測定データを取得するステップの後、処理対象物を加熱して熱硬化性樹脂に含まれる溶剤を蒸発させる第1加熱処理を行うステップと、距離センサにより、第1加熱処理により溶剤が除去された塗布膜の表面高さ位置の分布を反映する第3測定データを取得するステップと、をさらに備える。このように構成すれば、塗布直後の塗布膜の状態を把握するだけでなく、溶剤蒸発後の塗布膜の表面高さの分布を把握することができる。さらに、塗布膜の形成、塗布直後の塗布膜の状態の把握のみならず、溶剤蒸発後の塗布膜の状態の把握を、同じ装置構成で行うことができるので、処理対象物に対する複数の処理を行う場合でも装置構成を複雑化することがないため有用である。
この場合、好ましくは、第3測定データを取得するステップの後、処理対象物を加熱して熱硬化性樹脂を固化させる第2加熱処理を行うステップと、距離センサにより、第2加熱処理により固化された塗布膜の表面高さ位置の分布を反映する第4測定データを取得するステップと、をさらに備える。このように構成すれば、溶剤蒸発後の塗布膜の表面高さの分布に加えて、さらに、固化後の塗布膜の表面高さの分布を把握することができる。その結果、塗布直後の塗布膜の状態、溶剤蒸発後の塗布膜の状態、および固化後の塗布膜の状態をそれぞれ把握できるので、各工程における塗布膜の状態を総合的に考慮して、所望の塗布状態の塗布膜を形成するための塗布条件の最適化を行うことが可能となる。
本発明によれば、上記のように、塗布や測定に伴う処理対象物への微粒子の付着を抑制しつつ、塗布直後の塗布膜の状態を把握することができる。
塗布膜形成装置の全体構成を示す模式的な断面図である。 図1に示した塗布膜形成装置の模式的な平面図である。 第1測定データを取得するステップを説明するための模式図である。 第1アーム高さの取得を説明するための模式図である。 塗布膜を形成するステップを説明するための模式図である。 第2アーム高さの取得を説明するための模式図である。 塗布材料の塗布方法を説明するための模式的な平面図である。 塗布材料の供給時のノズルの先端を示した模式図である。 ウェハの表面上での塗布材料の流動を示した模式的な平面図である。 距離センサによる測定点の分布を示した模式的な平面図である。 第2測定データを取得するステップを説明するための模式図である。 各測定点における測定データを模式的に示したグラフである。 一連の絶縁層形成処理の流れを示したフローチャートである。 絶縁層形成処理の工程毎のウェハの断面図および平面図である。 第1実施形態による塗布膜解析方法の実験結果を示した図である。 第2実施形態による塗布膜解析方法における塗布材料の塗布方法を説明するための模式的な平面図である。 変形例による塗布膜を形成するステップを説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図12を参照して、第1実施形態による塗布膜解析方法および塗布膜形成装置100について説明する。
第1実施形態による塗布膜解析方法は、処理対象物の表面上に液状の塗布材料を供給することにより形成された塗布膜を測定し、解析する方法である。塗布膜解析方法は、塗布膜を形成する方法を含む。また、塗布膜形成装置100は、第1実施形態の塗布膜解析方法を実施して処理対象物の表面上に塗布膜を形成し、塗布膜の測定を行う装置である。
(処理対象物および塗布材料)
処理対象物は、表面に塗布材料の塗布膜が形成される物体であれば特に限定されない。処理対象物は、通常、平板状の形状を有し、平坦な表面を有するが、表面に開口する微細空間が形成されていてもよい。この場合、塗布材料の塗布膜形成により、微細空間内に塗布材料が充填されてもよい。処理対象物の平面的な形状は問わない。処理対象物は、たとえば、シリコンやガラスなどにより形成されたウェハである。ウェハは、半導体素子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスなどが形成される半導体基板である。
塗布材料は、液状で所定の粘性を有する物質であれば、特に限定されない。第1実施形態の塗布膜解析方法は、様々な塗布材料の成膜において適用することができる。塗布材料は、たとえば、半導体基板に用いられるレジスト液、導電性ペースト、接着剤などのほか、液状の樹脂材料である。たとえば、塗布材料は、熱硬化性樹脂であり、絶縁材料として用いられる。
以下では、一例として、シリコンなどの半導体材料から構成されるウェハ1に、熱硬化性樹脂3からなる塗布材料の塗布膜を成膜する例について説明する。ウェハ1は、特許請求の範囲の「処理対象物」の一例である。熱硬化性樹脂3は、特許請求の範囲の「塗布材料」の一例である。図1および図2の例では、ウェハ1は、平面的に見て、半径R(図2参照)を有する略円形状であり、複数のチップを切り出すことが可能である。
(塗布膜形成装置)
図1および図2に示すように、塗布膜形成装置100は、回転テーブル10と、供給部20と、距離センサ30と、回動アーム40と、制御部50と、を備える。
また、塗布膜形成装置100は、ウェハ1を収容可能な真空チャンバ60と、真空チャンバ60を支持する基台部70とを備える。真空チャンバ60は、開閉可能に構成され、閉状態で内部空間が気密状態に維持される。真空チャンバ60は、気密シール62を介して接続された空圧源61により、内部空間が減圧される。真空チャンバ60は、回転テーブル10、供給部20および距離センサ30を保持する回動アーム40を収容している。真空チャンバ60は、開状態において、図示しないロボットアームなどにより回転テーブル10上のウェハ1の出し入れが行える。
基台部70は、真空チャンバ60の下側で真空チャンバ60を支持する筐体である。基台部70は、気密処理が施されておらず、基台部70内は外部雰囲気と同等の雰囲気となる。基台部70内には、供給部20および距離センサ30を保持する回動アーム40の移動機構41と、テーブル駆動部45とが収容されている。移動機構41は、鉛直方向に延びる回転軸42を介して回動アーム40を支持している。回転軸42は、真空チャンバ60の隔壁に設けられた貫通孔(図示せず)を通って基台部70から真空チャンバ60内に挿入されている。回転軸42と真空チャンバ60の隔壁との間は気密シール62によって封止されている。テーブル駆動部45は、鉛直方向に延びる接続部46を介して回転テーブル10を支持している。接続部46は、真空チャンバ60の隔壁に設けられた貫通孔(図示せず)を通って基台部70から真空チャンバ60内に挿入されている。接続部46と真空チャンバ60の隔壁との間は気密シール62によって封止されている。
回転テーブル10は、平板状のウェハ1を保持して鉛直方向の回転中心軸11回りに回転させるように構成されている。回転テーブル10は、平坦な載置面12を有し、載置面12上に載置されたウェハ1を保持する。回転テーブル10は、テーブル駆動部45により、載置面12を鉛直方向の回転中心軸11回りに回転させることができる。回転テーブル10は、真空チャンバ60内に配置され、真空チャンバ60の外部のテーブル駆動部45により回転駆動されるように構成されている。
テーブル駆動部45は、回転テーブル10を回転駆動するための電動モータおよび角度検出器を含む。テーブル駆動部45は、真空チャンバ60の外部の基台部70に配置されている。テーブル駆動部45は、真空チャンバ60の外部から、接続部46を介して回転テーブル10を回転させる。テーブル駆動部45は、制御部50と電気的に接続されており、制御部50によってウェハ1の回転が制御されるように構成されている。
供給部20は、ウェハ1の表面1a上に液状の塗布材料(熱硬化性樹脂3)を供給するように構成されている。供給部20は、回転テーブル10の上方に配置されており、下部にノズル21を備えている。ノズル21は、塗布材料(熱硬化性樹脂3)を吐出するための1つの開口(図示せず)を有する管部材であり、回動アーム40の先端に下向きに設けられている。ノズル21は、図示しない材料貯留部と流体的に接続されており、材料貯留部から供給される熱硬化性樹脂3を吐出することができる。ノズル21は、回転テーブル10の上方位置から、回転テーブル10に保持されたウェハ1の表面1a上に熱硬化性樹脂3を供給することができる。ノズル21からの熱硬化性樹脂3の吐出は、制御部50により制御される。
塗布の際には、ウェハ1が回転中心軸11回りに回転し、回動アーム40に設けられたノズル21が回転軸42回りに円弧軌跡Q(図2参照)に沿って移動する。円弧軌跡Qに沿う回動アーム40の動作範囲は、少なくとも回転テーブル10の中心から回転テーブル10の外縁と円弧軌跡Qとの交点までの範囲を含む。そのため、ウェハ1とノズル21との相対移動によって、ノズル21は、ウェハ1の表面1a全体に亘って熱硬化性樹脂3の供給が可能である。
距離センサ30は、先端の検出部から対象物までの距離を測定するセンサである。距離センサ30は、後述するようにウェハ1の表面高さ(表面1aまでの距離)や塗布膜4の表面高さ(表面までの距離)が測定可能であれば、どのような測定原理により測定を行うものであってもよい。たとえば距離センサ30は、光学センサである。光学センサは、検出部から対象物に測定光を照射し、対象物からの反射光を受光する。光学センサは、たとえば、分光干渉方式のセンサであり、受光した反射光を波長毎に分光検出し、波形解析を行って光路長の相違に起因する光干渉を解析することにより、対象物までの距離を求める。
距離センサ30は、ノズル21と同様に回動アーム40に設けられている。具体的には、距離センサ30は、回動アーム40の先端部において、平面視でノズル21と並ぶように設けられている。距離センサ30とノズル21とは、所定距離(オフセット距離DOとする、図2参照)だけ水平に離隔するように設けられている。ノズル21の先端と、距離センサ30の先端の検出部とは、異なる高さ位置に配置されている。距離センサ30の先端は、ノズル21の先端よりも高い位置に配置されている。
測定の際には、ウェハ1が回転中心軸11回りに回転し、回動アーム40に設けられた距離センサ30が回転軸42回りに円弧軌跡Qに沿って移動する。回動アーム40は、少なくとも、回転テーブル10の中心から回転テーブル10の外縁と円弧軌跡Qとの交点までの範囲で回動可能であるので、ウェハ1と距離センサ30との相対移動によって、距離センサ30は、ウェハ1を完全に含む回転テーブル10の表面(載置面12)の全体に亘って表面高さ位置の測定が可能である。
図1に示すように、回動アーム40は、ウェハ1よりも上方の位置で供給部20および距離センサ30を保持している。回動アーム40は、ウェハ1の表面1aと略平行な方向においてノズル21および距離センサ30を回動させる機能を有する。
回動アーム40は、水平方向に延びるとともに、先端部で供給部20および距離センサ30を保持し、根元部が回転軸42に支持されている。回動アーム40は、ウェハ1が載置される回転テーブル10よりも外周側に配置された回転軸42を中心に回動するように構成されている。回動アーム40は、回転軸42を介して真空チャンバ60の外部の回動駆動部43および昇降駆動部44により駆動される。
回動駆動部43は、電動モータおよび角度検出器を備え、回転軸42を中心に回動アーム40を回動させることが可能である。回転軸42は、回転テーブル10に対して径方向外側に配置されている。これにより、回動駆動部43は、ノズル21および距離センサ30を、ウェハ1(回転テーブル10)の径方向外側に配置された回転軸42回りに回動(旋回)させる。ノズル21および距離センサ30は、回動アーム40において、回転軸42から略等しい距離DR(図2参照)だけ離れている。そのため、ノズル21および距離センサ30は、共に、回転軸42から距離DRを半径とする円弧軌跡Q上を移動する。円弧軌跡Qは、回転テーブル10の中心上を通るように設定されている。ノズル21および距離センサ30は、少なくとも回転テーブル10の中心から周縁部までの範囲を、円弧軌跡Qに沿って移動可能である。
また、昇降駆動部44は、電動モータおよび角度検出器を備え、電動モータの回転運動を昇降運動に変換することにより、回動アーム40を上下方向に移動させることが可能に構成されている。電動モータの検出角度から、回動アーム40を上下方向位置の制御が可能である。昇降駆動部44は、ノズル21および距離センサ30を、ウェハ1(回転テーブル10)の表面1aに対して接近または離隔させるように移動させる。
このように、回動アーム40は、回転軸42を中心に距離センサ30と供給部20とを一体的に移動させることが可能である。回動アーム40には可動部または摺動部が設けられておらず、ウェハ1の上方で摺動に伴う微粒子が発生することがない。回動駆動部43および昇降駆動部44は、制御部50と電気的に接続されており、制御部50によって距離センサ30およびノズル21の移動が制御される。
制御部50は、CPUなどのプロセッサと、揮発性および/または不揮発性メモリとを備えたコンピュータなどから構成され、塗布膜形成装置100の各部を制御する。制御部50は、回転テーブル10の回転制御、回動アーム40による距離センサ30およびノズル21の移動制御、および、ノズル21による熱硬化性樹脂3の供給制御を行うように構成されている。
第1実施形態では、制御部50は、回動アーム40に設けられた距離センサ30により、ウェハ1の表面高さ位置の分布を反映する第1測定データ81を取得する制御を行う。制御部50は、回動アーム40に設けられたノズル21の先端から液状の熱硬化性樹脂3を供給して、ウェハ1の表面上に熱硬化性樹脂3の塗布膜4を形成する制御を行う。制御部50は、距離センサ30により、形成された塗布膜4(図1参照)の表面高さ位置の分布を反映する第2測定データ82を取得する制御を行う。そして、制御部50は、取得された第1測定データ81および第2測定データ82に基づいて、形成された塗布膜4を解析するように構成されている。
また、第1実施形態では、制御部50は、距離センサ30により、後述するプリベーク処理後の塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第3測定データ83を取得する制御を行う。制御部50は、距離センサ30により、後述する焼成処理(キュア)後の塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第4測定データ84を取得する制御を行う。
(塗布膜解析方法)
次に、第1実施形態の塗布膜解析方法について説明する。塗布膜解析方法は、塗布膜形成装置100によって実施される。塗布膜形成装置100の動作制御は、制御部50により行われる。
第1実施形態の塗布膜解析方法は、少なくとも、以下の(1)〜(4)のステップを備える。(1)ウェハ1が載置される回転テーブル10よりも外周側に配置された回転軸42を中心に回動する回動アーム40に設けられた距離センサ30により、ウェハ1の表面高さ位置の分布を反映する第1測定データ81を取得する。(2)回動アーム40に設けられたノズル21の先端から液状の熱硬化性樹脂3を供給して、ウェハ1の表面上に熱硬化性樹脂3の塗布膜4を形成する。(3)距離センサ30により、ウェハ1の表面1a上に形成された塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第2測定データ82を取得する。(4)取得された第1測定データ81および第2測定データ82に基づいて、形成された塗布膜4を解析する。
〈第1測定データを取得するステップ〉
図3に示すように、第1測定データ81を取得するステップでは、制御部50が、ウェハ1が載置された回転テーブル10を回転させる制御と、回転軸42を中心に回動アーム40を回動させる制御とを行う。ウェハ1の回転中心軸11周りの回転と、距離センサ30の円弧軌跡Qに沿った移動(回転軸42周りの回動)とにより、距離センサ30は、ウェハ1の表面の複数の測定点MPにおける表面高さ位置を測定する。複数の測定点MPは、予め設定された熱硬化性樹脂3が塗布される領域内で分布するように設定される。これらの複数の測定点MPにおける表面高さ位置により、ウェハ1の表面高さ位置の分布を反映する第1測定データ81が取得される。後述するように、複数の測定点MPは、塗布膜4を形成するステップにおけるウェハ1に対するノズル21の相対移動経路AP1上の各点と略一致するように設定される。
第1測定データ81は、複数の測定点MPで取得された各表面高さ位置のデータ群である。表面高さ位置の分布を反映するデータとは、センサの種類にもよるが、表面高さ位置そのもののデータのみならず、たとえば表面高さ位置に応じた信号(電流値、電圧値などを含む)であって、表面高さ位置を示す数値情報に換算可能な情報を含むことを意味する。
第1測定データ81を取得するステップでは、制御部50は、回動アーム40を第1アーム高さH1に位置付ける。そして、制御部50は、第1アーム高さH1において回動アーム40を回動させることにより、距離センサ30による第1測定データ81を取得する。
図4に示すように、第1アーム高さH1は、測定精度が確保される所定の距離範囲内で回転テーブル10の中心の表面から離れた位置に距離センサ30が配置されるときの回動アーム40の高さ位置とされる。回転テーブル10の中心の表面とは、回転テーブル10の回転中心軸11が通る位置の表面(載置面12)を意味する。
ここで、光学式の距離センサ30では、光学的な仕様に起因して基準距離DSが設定されており、基準距離DSから所定の距離範囲が、測定精度が確保される所定の距離範囲とされる。そこで、距離センサ30による測定時には、回転テーブル10の中心の表面に対して所定の距離範囲だけ離れた位置で測定が行われるように、回動アーム40の高さが制御される。第1実施形態では、回転テーブル10の中心の表面から基準距離DSだけ離れた位置に距離センサ30が配置されるときの回動アーム40の高さ位置が第1アーム高さH1とされる。第1アーム高さH1は、第1測定データ81を取得するステップに先だって、予め取得される。
第1実施形態では、制御部50は、第1アーム高さH1における距離センサ30の測定結果に基づいて、ウェハ1の表面1aの基準距離DSからの変位量を第1測定データ81として取得する。つまり、第1測定データ81は、回転テーブル10の中心の表面の高さ位置からの、各測定点MPにおけるウェハ1の表面1aの高さ位置までの距離を表す。取得される第1測定データ81は、ウェハ1の厚みのばらつき、ウェハ1が載置された回転テーブル10の表面高さのばらつき、傾き等を含んだ、ウェハ1の表面高さの分布を反映する。
〈塗布膜を形成するステップ〉
図5に示すように、塗布膜4を形成するステップでは、制御部50が、ウェハ1が載置された回転テーブル10を回転させる制御と、回転軸42を中心に回動アーム40を回動させる制御と、熱硬化性樹脂3をノズル21から吐出させる制御と、を行う。これにより、制御部50は、第1測定データ81に基づいて、ノズル21の先端をウェハ1の表面高さ位置から一定の所定距離Gだけ離れた高さに制御しながら、ノズル21の先端から液状の熱硬化性樹脂3を供給する。その結果、ウェハ1の表面1a上に熱硬化性樹脂3の塗布膜4が形成される。
具体的には、塗布膜4を形成するステップでは、制御部50は、第2アーム高さH2と、所定距離Gと、回転するウェハ1の各々の位置における第1測定データ81と、に基づいて回動アーム40の高さ位置を制御する。
ここで、第2アーム高さH2は、図6に示すように、ノズル21の先端が回転テーブル10の中心の表面と接触するときの回動アーム40の高さ位置である。第2アーム高さH2は、塗布膜4を形成するステップに先だって、予め取得される。第2アーム高さH2を取得する際のノズル21の先端の位置(回転テーブル10の中心の表面)は、第1アーム高さH1を取得する際の距離センサ30の測定点と一致する。
第1測定データ81は、回転テーブル10の中心の表面の高さ位置からの、各測定点MPにおけるウェハ1の表面1aの高さ位置までの距離を表す。そのため、図5に示すように、第2アーム高さH2においてノズル21の先端が回転テーブル10の中心の表面の高さ位置に合わせられた状態で、第1測定データ81に対応するウェハ1の表面高さ分だけ回動アーム40が上昇されると、ノズル21の先端が各測定点におけるウェハ1の表面1aの高さ位置に正確に位置付けられる。そしてさらに、一定値である所定距離G分だけ回動アーム40が上昇されることにより、ノズル21の先端は、各測定点MPにおけるウェハ1の表面1aから所定距離Gだけ上昇した位置に配置される。これにより、制御部50は、第2アーム高さH2と、所定距離Gと、第1測定データ81と、に基づいて回動アーム40の塗布高さ85を算出する。
ウェハ1の回転および回動アーム40の回動に伴って、ウェハ1の表面1aに対するノズル21の相対位置が変化するので、制御部50は、ノズル21の相対位置に対応する測定点の第1測定データ81を使用して算出された塗布高さ85となるように、昇降駆動部44(回動アーム40の高さ位置)を制御する。その結果、塗布膜4を形成するステップでは、ウェハ1に対する各相対位置においてノズル21の先端が常にウェハ1の表面1aから所定距離Gだけ離隔した高さ位置に維持される。たとえば第1測定データ81の値が図5の破線で示したように波打つと仮定すると、ノズル21の先端が各位置の第1測定データ81(ウェハ1の表面高さ分布)に応じて上下するように移動して、所定距離Gが維持される。
第1実施形態では、所定距離Gは、塗布膜4の設計膜厚に基づいて設定される一定値である。所定距離Gは、粘性などの熱硬化性樹脂3の物性を考慮した上で、塗布膜4の設計膜厚と、熱硬化性樹脂3の吐出圧力と、回転テーブル10によるウェハ1の回転速度と、回動アーム40によるノズル21の移動速度と、に応じた所定値とされる。ノズル21の先端がウェハ1の表面から所定距離Gを隔てた状態で熱硬化性樹脂3が供給されることにより、ウェハ1の表面1aに設計膜厚に極力一致した塗布膜4が形成される。所定距離Gは、たとえば20μm以上、好ましくは約30μ以上である。たとえば所定距離Gは、設計膜厚と同じ値に設定される。なお、所定距離Gは解析的な手法のみでは、最適値を得ることは容易ではない。そのため後述するように、塗布膜4の解析結果から得られる知見を加味することにより、より設計膜厚に近付くように最適化できる。
〈塗布方法〉
具体的な塗布方法として、第1実施形態では、図7に示すように、塗布膜4を形成するステップにおいて、回転テーブル10によりウェハ1を回転させながら、回動アーム40によりノズル21をウェハ1の中心側から外周側または外周側から中心側に向けて回動させることにより、ノズル21をウェハ1に対して渦巻き状に相対移動させながら熱硬化性樹脂3を供給する。
図7では、一例として、制御部50は、ノズル21をウェハ1の中心上方に配置した開始点STからウェハ1の外周縁部近傍の終点EDまで、ウェハ1の中心側から外周側へ回動させる。この間、制御部50は、ノズル21から熱硬化性樹脂3を連続的に吐出させる。回転テーブル10によりウェハ1が回転中心軸11周りに回転されるので、ノズル21は、図7の破線で示すような渦巻き状の相対移動経路AP1で、ウェハ1に対して移動する。
制御部50は、塗布動作中に、水平方向におけるノズル21とウェハ1との相対移動速度が略一定となるように、回動アーム40の回動動作および回転テーブル10の回転動作を制御する。具体的には、制御部50は、相対移動経路AP1上の各ノズル位置におけるウェハ1の周速が略一定になるように制御する。すなわち、ノズル21とウェハ1との相対移動速度は、ノズル位置でのウェハ1の周速に一致すると見なすことができるので、制御部50は、ノズル位置のウェハ1の中心(回転中心軸11)からの距離(半径r)が増大するに従って、回転テーブル10の回転速度(角速度)を小さくするか、または回動アーム40の回動速度(角速度)を小さくする。回転テーブル10の回転速度の減少と回動アーム40の回動速度の減少との両方を行ってもよい。つまり、制御部50は、ノズル位置のウェハ1の中心からの距離が増大するに従って、回転テーブル10の回転速度(角速度)を小さくし、かつ、回動アーム40の回動速度(角速度)を小さくしてもよい。なお、回転テーブル10の回転速度は、たとえば、1rpm以上100rpm以下の回転速度とされる。
また、制御部50は、渦巻き状の相対移動経路AP1における半径方向に隣接する曲線部の間隔(ピッチ)DPが、略一定となるように回動アーム40の回動速度と回転テーブル10の回転速度とを制御する。間隔DPは、ノズル21の直径よりも大きい。
なお、図7では、終点EDで、回動アーム40の回動を停止した状態(ウェハ1の径方向におけるノズル21の位置を固定した状態)で、ウェハ1の概ね1回転分だけ、塗布を行う。これにより、形成される塗布膜4の外周部の形状が正円に近い形状に安定する。
図8に示すように、塗布動作中は、ノズル21の先端とウェハ1の表面との所定距離Gのギャップ領域に、熱硬化性樹脂3が供給される。粘性および吐出圧力にもよるが、熱硬化性樹脂3は、ギャップ領域から溢れ出すようにウェハ1の表面1a上へ流動する。図8では、ノズル21は、先端がウェハ1上の熱硬化性樹脂3と接触した状態で熱硬化性樹脂3を押し出すように吐出する。相対移動経路AP1に沿って、熱硬化性樹脂3がウェハ1上に連続的に供給される。
塗布動作中、平面視では、図9に示すように、ノズル21が相対移動経路AP1に沿って周回することにより、塗布済みの領域91の外側に熱硬化性樹脂3の曲線状の塗布ラインを形成し、塗布ラインの半径が徐々に大きくなっていく。相対移動経路AP1の隣接する曲線(塗布ライン)間は、間隔DPを隔てているが、ギャップ領域から溢れ出した熱硬化性樹脂3が流動して隙間を埋めていくことにより、新たに塗布された塗布ラインと塗布済みの領域91とが接続する。その結果、ノズル21が相対移動経路AP1に沿って周回する度に、ウェハ1上の塗布済みの領域91が半径方向に拡大する。ノズル21が相対移動経路AP1に沿って終点EDへ到達することにより、ウェハ1上に設定された塗布領域の全体が熱硬化性樹脂3に覆われる。このようにして、塗布膜4が形成される。
塗布動作が終了すると、制御部50は、回動アーム40を上昇させて、ノズル21をウェハ1の表面1aから離隔させる。たとえば、制御部50は、ウェハ1の回転を継続しながら、ノズル21の先端が熱硬化性樹脂3の塗布膜4と接触する位置から塗布膜4と非接触となる位置へ移動するまでに、少なくともウェハ1が1回転するように、回動アーム40を上昇させる制御を行う。ウェハ1の回転を停止させた状態でノズル21を離隔させると、ノズル21を離隔させた部分だけ熱硬化性樹脂3が盛り上がった状態となりやすい。そのため、上記のようにウェハ1の回転を継続しながらノズル21を徐々に離隔させることにより、熱硬化性樹脂3の盛り上がりを極力抑制することができる。
〈第1測定データの取得との関係〉
図10に示すように、第1実施形態では、第1測定データ81を取得するステップにおける距離センサ30のウェハ1に対する相対移動経路と、塗布膜4を形成するステップにおけるノズル21のウェハ1に対する相対移動経路AP1とが、概ね一致する。
すなわち、第1測定データ81を取得するステップにおいて、回転テーブル10の回転動作は、塗布膜4を形成するステップにおける回転テーブル10の回転動作と同一とされる。第1測定データ81を取得するステップにおいて、回動アーム40の回動動作は、塗布膜4を形成するステップにおける回動アーム40の回動動作からノズル21と距離センサ30とのオフセット距離DO(図2参照)分だけオフセットさせた同一の動作とされる。つまり、図10の例の場合は、回動アーム40をオフセット距離DO分だけオフセットさせてノズル21の代わりに距離センサ30を開始点STに配置した状態で、距離センサ30が相対移動経路AP1に沿って移動するように、回転テーブル10の回転動作と回動アーム40の回動動作とが制御される。
そのため、第1測定データ81の各測定点MPが、相対移動経路AP1と実質的に同一の経路上に分布することになる。言い換えると、第1測定データ81は、相対移動経路AP1におけるウェハ1の表面高さ分布を反映する。その結果、ノズル21の先端とウェハ1の表面1aとの間を精度よく所定距離Gに維持できる。
〈第2測定データ82を取得するステップ〉
図11に示すように、第2測定データ82を取得するステップは、基本的に第1測定データ81を取得するステップと同様である。すなわち、第2測定データ82を取得するステップでは、制御部50が、ウェハ1が載置された回転テーブル10を回転させる制御と、回転軸42を中心に回動アーム40を回動させる制御とを行う。ウェハ1の回転中心軸11周りの回転と、距離センサ30の円弧軌跡Qに沿った移動(回転軸42周りの回動)とにより、距離センサ30は、形成された塗布膜4の表面の複数の測定点MP(図10参照)における表面高さ位置を測定する。
第2測定データ82を取得するステップでは、制御部50は、回動アーム40を第1アーム高さH1に位置付ける。そして、制御部50は、第1アーム高さH1において回動アーム40を回動させることにより、距離センサ30による第2測定データ82を取得する。
このように、第1実施形態では、第1測定データ81を取得するステップおよび第2測定データ82を取得するステップの両方において、第1アーム高さH1において回動アーム40を回動させることにより、距離センサ30による第1測定データ81および第2測定データ82を取得する。
また、第1実施形態では、第1測定データ81を取得するステップと、第2測定データ82を取得するステップとにおいて、回動アーム40の回動動作および回転テーブル10の回転動作を同一とする。ここで、回動アーム40の回動動作は、回動アーム40の回動速度(角速度)および回動速度の時間変化パターン、開始点STおよび終点EDの位置を含む。回転テーブル10の回転動作は、回転テーブル10の回転速度(角速度)および回転速度の時間変化パターンを含む。そのため、図10に示したように、第2測定データ82は、第1測定データ81と同一の相対移動経路に分布する同じ測定点MPで取得されたデータとなる。したがって、第2測定データ82を取得するステップにおける距離センサ30のウェハ1に対する相対移動経路と、塗布膜4を形成するステップにおけるノズル21のウェハ1に対する相対移動経路AP1とが、概ね一致する。
第2測定データ82は、複数の測定点MPで取得された塗布膜4の各表面高さ位置のデータ群である。制御部50は、第1アーム高さH1における距離センサ30の測定結果に基づいて、塗布膜4の表面の基準距離DSからの変位量を第2測定データ82として取得する。つまり、第2測定データ82は、回転テーブル10の中心の表面(載置面12)の高さ位置からの、各測定点MPにおける塗布膜4の表面1aの高さ位置までの距離を表す。取得される第1測定データ81は、塗布膜4の厚みのばらつき、ウェハ1の厚みのばらつき、ウェハ1が載置された回転テーブル10の表面高さのばらつき、傾き等を含んだ、塗布膜4の表面高さの分布を反映する。
なお、後述する第3測定データ83の取得および第4測定データ84の取得も、第2測定データ82と同じ動作により行う。
〈塗布膜を解析するステップ〉
図12に示すように、塗布膜4を解析するステップでは、制御部50が、取得された第1測定データ81および第2測定データ82に基づいて、形成された塗布膜4を解析する。塗布膜4を解析するステップにおいて、制御部50は、第1測定データ81および第2測定データ82に基づいて、塗布膜4の膜厚および体積の少なくとも一方を取得する。
上記の通り、第1実施形態では、第1測定データ81と第2測定データ82とは、共に、同一の相対移動経路(相対移動経路AP1)に設定された同一の複数の測定点MPから取得された高さ位置のデータ群である。そして、第1測定データ81と第2測定データ82とは、共に、第1アーム高さH1における距離センサ30の測定結果に基づいて、塗布膜4の表面の基準距離DSからの変位量として取得される。したがって、同一の測定点MPにおける第1測定データ81と第2測定データ82との差分が、塗布膜4の膜厚tに相当する。
そのため、塗布膜4を解析するステップでは、制御部50は、各測定点MPにおける第1測定データ81と第2測定データ82との差分を求めることにより、塗布膜4の膜厚tを取得する。制御部50は、たとえば、各測定点MPにおける膜厚tに加えて、膜厚tの最大値、最小値、平均値または中央値を算出する。また、制御部50は、ウェハ1の表面1a上の塗布領域の設定データを参照し、膜厚tと塗布領域の面積とにより、塗布膜4の体積を取得する。塗布膜4の体積は、熱硬化性樹脂3の塗布量と言い換えてもよい。
得られた膜厚tまたは体積により、設計膜厚に対して許容範囲内に収まる膜厚tの塗布膜4が、塗布膜4を形成するステップによって形成できたか否かが評価できる。また、得られた膜厚tまたは体積に基づいて、ノズル21の先端とウェハ1の表面1aとの間に設定する所定距離Gの大きさ、熱硬化性樹脂3の吐出圧力、回転テーブル10によるウェハ1の回転速度、回動アーム40によるノズル21の移動速度、などの塗布動作条件を最適化することができる。たとえば所定距離Gの大きさは、最初の膜厚解析時には、設計膜厚と同じ値とし、得られた膜厚tまたは体積に基づいて微調整を行うことにより、熱硬化性樹脂3に応じた最適値が決定されうる。
(具体的適用例)
次に、第1実施形態による塗布膜解析方法の具体的な適用例を示す。以下では、複数の微細空間2(図14(A)参照)が形成されたウェハ1の表面1a上に、熱硬化性樹脂3を成膜することにより、微細空間2内に熱硬化性樹脂3を充填する例について説明する。
図14(A)に示すように、ウェハ1には、エッチング処理などの前工程により、複数の微細空間2が形成されている。たとえば、ウェハ1には、おおよそ100万個の微細空間2が形成されている。
微細空間2は、ウェハ1の表面1aに開口するように形成されている。微細空間2は、たとえばウェハ1を貫通しない穴部であり、ウェハ1の表面1aに開口するとともに、表面1aとは反対の反対面1bには開口しない。図14に示す微細空間2は、開口2a、内側面2bおよび底部2cを有する環状溝である。微細空間2は、平面視において柱状部分を取り囲む円環形状を有する。微細空間2は、所定の直径を有する円形状に形成されている。微細空間2は、厚み方向に直交する水平方向における幅W、厚み方向の深さL1を有する。
微細空間2の外径は、たとえば約250μm以下であり、好ましくは10μm以下である。微細空間2の幅Wはたとえば約100μm以下である。微細空間2の厚み方向の深さL1は、微細空間2の深さL1と幅Wとのアスペクト比(L1/W)が約2以上、約20以下を満たすように、幅Wに応じて決められるのが好ましい。一例として、たとえば微細空間2の幅Wは約2μmであり、深さL1はたとえば約20μmである(アスペクト比(L1/W)=約10)。
ウェハ1の表面1a上に熱硬化性樹脂3の塗布膜4が形成されると、微細空間2内にも熱硬化性樹脂3が流入する。熱硬化性樹脂3は、たとえば絶縁性材料として、常温より高くかつ約250℃以下の処理温度で固化する樹脂(結合剤)が用いられる。熱硬化性樹脂3としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、および、エポキシ樹脂がある。具体的には、フッ素樹脂として、旭硝子株式会社製のAL−X2003やAL−X2010などのAL−X2000シリーズが挙げられる。また、ポリイミド樹脂として、旭化成イーマテリアル株式会社製のPIMEL(登録商標)BM302やBL301が挙げられる。また、フェノール樹脂として、JSR株式会社製のELPAC(登録商標)WPR1201やWPR5100が挙げられる。
熱硬化性樹脂3は、後工程によって形成される貫通電極(図示せず)の絶縁層として機能する。貫通電極は、たとえば、複数のチップを積み重ねて実装する3次元実装における、上下のチップ間での電気的接続を行うための電極(シリコン貫通電極)として形成されるものである。以下、図13および図14を参照して、一連の絶縁材充填処理の流れについて概要を説明する。
まず、図13のステップS1に示すように、制御部50は、第1アーム高さH1(図4参照)および第2アーム高さH2(図6参照)を取得する。制御部50は、ステップS2において、第1測定データ81を取得する。制御部50は、図3および図10に示した手法により、塗布膜4の形成前のウェハ1から、各測定点MPにおける第1測定データ81を取得する。
制御部50は、ステップS3において、塗布膜4を形成する制御を行う。制御部50は、図5および図7に示した手法により、ウェハ1の表面1a上に熱硬化性樹脂3を供給し、塗布膜4を形成させる。この際、図14(B)に示すように、微細空間2に熱硬化性樹脂3が充填される。ウェハ1の表面1aには、膜厚t1の塗布膜4が形成される。
成膜および充填される熱硬化性樹脂3は、固化前の樹脂材料と溶剤との混合物である。時間が経過すると、溶剤の気化により塗布膜4の体積(膜厚)が変化する。
そこで、第1実施形態では、制御部50は、塗布膜4の形成(ステップS3)の直後のステップS4において、第2測定データ82を取得する。制御部50は、図10および図11に示した手法により、塗布膜4の形成後のウェハ1から、各測定点MPにおける第2測定データ82を取得する。
ステップS5において、制御部50は、塗布膜4を解析する。制御部50は、図12に示したように、第1測定データ81および第2測定データ82に基づいて、塗布膜4の膜厚t1などを取得する。第1実施形態では、真空チャンバ60内にウェハ1が配置されたままの状態で、これらのステップS3〜S5が連続して行われる。その結果、ステップS5では、塗布膜4の形成直後の膜厚t1などが解析結果として取得される。
なお、塗布膜4を形成するステップにより、ウェハ1の表面1aに開口するように形成された微細空間2内に熱硬化性樹脂3が充填される。また、熱硬化性樹脂3は、差圧充填によって、微細空間2内に充填される。すなわち、真空チャンバ60内は予め所定の真空度となるように減圧されており、塗布膜4の形成後、真空チャンバ60の内部圧力が大気圧程度まで上昇されることにより、微細空間2を覆う熱硬化性樹脂3が差圧によって微細空間2の内部に充填される。
次に、第2測定データ82を取得するステップの後、ステップS6において、ウェハ1を加熱して熱硬化性樹脂に含まれる溶剤を蒸発させるプリベーク処理を行う。プリベーク処理は、特許請求の範囲の「第1加熱処理」の一例である。プリベーク処理では、ウェハ1が加熱され、微細空間2に充填された熱硬化性樹脂3に含まれる溶剤が蒸発する。
プリベーク処理では、図14(C)に示すように、形成された塗布膜4および微細空間2内の熱硬化性樹脂3から溶剤が蒸発することにより、熱硬化性樹脂3は体積が減少する。微細空間2内の熱硬化性樹脂3の体積減少分は、ウェハ1の表面1a上の塗布膜4を構成する熱硬化性樹脂3によって補われる。したがって、プリベーク処理の後でウェハ1の表面1a上に残留する塗布膜4の膜厚t2は、塗布膜形成時の膜厚t1よりも小さくなる。
〈第3測定データを取得するステップ〉
そこで、第1実施形態では、ステップS7において、制御部50は、距離センサ30により、プリベーク処理により溶剤が除去された塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第3測定データ83を取得する。
ステップS8において、制御部50は、第1測定データ81または第2測定データ82と、プリベーク処理後の塗布膜4の表面高さである第3測定データ83とに基づいて、塗布膜4を解析する。制御部50は、解析結果として、図14(C)に示したプリベーク処理後の塗布膜4の膜厚t2および/または体積を取得する。プリベーク処理後の塗布膜4の膜厚t2は、第2測定データ82と第3測定データ83との差分値の分だけ膜厚t1から減算してもよいし、第1測定データ81と第3測定データ83との差分から直接求めてもよい。
次に、第3測定データ83を取得するステップの後、ステップS9として、ウェハ1を加熱して熱硬化性樹脂を固化させる焼成処理(キュア)を行うステップが行われる。焼成処理は、特許請求の範囲の「第2加熱処理」の一例である。焼成処理は、ウェハ1を加熱して熱硬化性樹脂3を固化させる工程である。焼成処理の加熱温度は、プリベーク処理の加熱温度よりも高い。熱硬化性樹脂3は、焼成処理において加えられた熱によって固化する。なお、図14では、説明の便宜のため、プリベーク前とプリベーク後とで熱硬化性樹脂3のハッチングの種類を変更して示している。
焼成処理では、図14(D)に示すように、塗布膜4および微細空間2内の熱硬化性樹脂3から溶剤が蒸発することにより、熱硬化性樹脂3は体積が減少する。また、熱硬化性樹脂3自体も焼成によって体積が減少する。したがって、焼成処理の後でウェハ1の表面1a上に残留する固化済み塗布膜4の膜厚t3は、さらに小さくなる。
〈第4測定データを取得するステップ〉
そこで、第1実施形態では、ステップS10において、制御部50は、距離センサ30により、第2加熱処理により固化された塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第4測定データ84を取得する。
ステップS11において、制御部50は、第1測定データ81または第3測定データ83と、焼成処理後の塗布膜4の表面高さである第4測定データ84とに基づいて、塗布膜4を解析する。制御部50は、解析結果として、図14(D)に示した焼成処理後の塗布膜4の膜厚t3および/または体積を取得する。焼成処理後の塗布膜4の膜厚t3は、第3測定データ83と第4測定データ84との差分値の分だけプリベーク処理後の膜厚t2から減算してもよいし、第1測定データ81と第4測定データ84との差分から直接求めてもよい。
なお、図13では省略するが、焼成処理の後、図14(E)に示すように残渣除去処理が行われる。残渣除去処理は、ウェハ1の表面1a上に残存する固化済みの熱硬化性樹脂3の残渣を取り除く処理である。残渣除去処理は、たとえばCMP(化学機械研磨)やポリッシャーなどの機械研磨により行われる。これにより、微細空間2に絶縁層としての熱硬化性樹脂3が充填されたウェハ1が得られる。
上記のように、ウェハ1の表面1a上に形成された塗布膜4は、プリベーク処理および焼成処理における体積減少分を補う機能を有する。塗布膜4の膜厚t1がウェハ表面の開口面積に対して小さすぎる場合、微細空間2の内部への充填不良が発生する可能性が高まる。このため、塗布膜を形成するステップS3では、ウェハ1の表面1aには、微細空間2への充填量よりも多い量の熱硬化性樹脂3が供給される。プリベーク処理および焼成処理における体積減少分を考慮して、たとえば、塗布直後の塗布膜4の膜厚t1は、微細空間2の深さL1と同等か、深さL1よりも大きいことが望ましい。深さL1がたとえば約20μmである場合、塗布直後の塗布膜の膜厚t1は、約20μm以上である。膜厚t1は、より好ましくは約30μ以上である。
固化した塗布膜4が残渣除去処理によって除去される際、膜厚にばらつきがあると、残渣の除去量がばらついて、固化した塗布膜4の一部が除去しきれずに残ったり、除去しすぎてウェハ1の表面1aを削ってしまう可能性がある。そのため、固化前の塗布膜形成の時点で、塗布膜4の膜厚t1は、適切な大きさで極力均一であることが望まれる。
そこで、第1実施形態では、塗布膜4の形成前の第1測定データ81、塗布膜4の形成後の第2測定データ82、プリベーク処理後の第3測定データ83、焼成処理後の第4測定データ84がそれぞれ取得される。そして、塗布膜4を解析するステップにおいてそれぞれの膜厚t(塗布直後の膜厚t1、プリベーク処理後の膜厚t2、焼成処理後の膜厚t3)および/または体積が取得されることにより、プリベーク処理や焼成処理の後でも、充填不良を抑制でき、かつ不必要に大きな膜厚とならない必要十分な膜厚の塗布膜4が形成されているか否かを評価できる。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、回転テーブル10よりも外周側に配置された回転軸42を中心に回動する回動アーム40により、距離センサ30およびノズル21がウェハ1の上方を移動するので、ウェハ1の上方に摺動箇所を配置せずに済む。そのため、ノズル21および距離センサ30を移動させても、ウェハ1の上方で微粒子が飛散することを抑制できるので、ウェハ1への微粒子の付着を抑制することができる。また、第1測定データ81によってウェハ1の表面高さの分布を把握でき、第2測定データ82によって塗布膜4の表面高さの分布を把握できる。そのため、塗布膜4を解析するステップにおいて、塗布膜4の膜厚tや、熱硬化性樹脂3の体積(すなわち塗布量)が把握できる。第2測定データ82は、第1測定データ81と同様に回動アーム40の距離センサ30によって取得できるので、塗布直後の塗布膜4の状態を把握することができる。以上により、第1実施形態の塗布膜解析方法によれば、塗布や測定に伴うウェハ1への微粒子の付着を抑制しつつ、塗布直後の塗布膜4の状態を把握することができる。
また、塗布膜4を解析するステップにおいて、塗布膜4の膜厚tおよび体積の少なくとも一方を取得するので、塗布直後の膜厚t1や塗布量の分布等を把握して設計値との対比を行うことができる。そのため、塗布膜4を形成するステップの直接の結果としての、塗布直後の膜厚t1や体積に基づいて、塗布膜4を形成するステップにおける塗布条件の最適化を容易に行うことができる。
また、第1アーム高さH1で第1測定データ81および第2測定データ82を取得するので、第1測定データ81および第2測定データ82を同一の第1アーム高さH1において同一の条件で取得でき、その結果、塗布前のウェハ1の表面高さの分布と塗布後の塗布膜4の表面高さの分布とを精度よく取得することができる。
また、塗布膜4を形成するステップにおいて、第1測定データ81に基づいて、ノズル21の先端をウェハ1の表面高さ位置から一定の所定距離Gだけ離れた高さに制御するので、ウェハ1の表面1aにうねりがあり表面高さ位置がばらつく場合でも、第1測定データ81を用いて、ノズル21の先端とウェハ1の表面1aとの間隔を一定(所定距離G)に維持して塗布することができる。その結果、表面高さ位置がばらつくウェハ1に対しても、より均一な膜厚で塗布膜4を形成することができる。このような塗布方法で塗布膜4の膜厚を極力均一にするためには、所定距離Gの設定値を最適化することが重要となる。そのため、塗布直後の塗布膜4の状態を把握することができる第1実施形態の方法は、塗布膜4の解析結果を用いて所定距離Gの設定値を最適化することができる点で、特に有用である。
また、塗布膜4を形成するステップにおいて、第2アーム高さH2と、所定距離Gと、各測定点における第1測定データ81とに基づいて回動アーム40の高さ位置を制御するので、ノズル21の先端とウェハ1の表面1aとの間を、精度よく一定の所定距離Gに保った状態で塗布を行うことができる。その結果、より精度よく、塗布膜4を所望の膜厚で形成することができる。
また、所定距離Gを、塗布膜4の設計膜厚に基づいて設定される一定値とするので、熱硬化性樹脂3の物性等を考慮した上で、塗布膜4の設計膜厚に基づいて適切な所定距離Gを設定することができる。その結果、ノズル21の先端が設計膜厚に対応した所定距離Gだけ離隔した状態を維持しながら塗布を行うことによって、所望の膜厚の塗布膜4を精度よく形成することができる。
また、塗布膜4を形成するステップにおいて、ノズル21をウェハ1に対して渦巻き状に相対移動させながら熱硬化性樹脂3を供給するので、塗布の開始点STから終点EDまで途切れることなく連続的に熱硬化性樹脂3を供給することができる。その結果、供給を間欠的に行うのではなく、ノズル21からの熱硬化性樹脂3の供給を継続することにより吐出量を安定させることができる。
また、第1測定データ81を取得するステップと、第2測定データ82を取得するステップとにおいて、回動アーム40の回動動作および回転テーブル10の回転動作を同一とするので、それぞれの測定データを取得する際の距離センサ30(回動アーム40)とウェハ1(またはウェハ1上の塗布膜4)との相対運動を同一条件にすることができる。その結果、第1測定データ81および第2測定データ82に基づく解析を精度よく行うことができる。
また、第1測定データ81を取得するステップにおいて、回転テーブル10の回転動作を、塗布膜4を形成するステップにおける回転テーブル10の回転動作と同一とし、回動アーム40の回動動作を、塗布膜4を形成するステップにおける回動アーム40の回動動作からノズル21と距離センサ30との距離分だけオフセットさせた同一の動作とするので、第1測定データ81を取得する際の距離センサ30のウェハ1に対する相対移動経路と、塗布膜4を形成する際のノズル21のウェハ1に対する相対移動経路AP1とを、極力同一にすることができる。その結果、第1測定データ81の各測定点MPと、ノズル21からの熱硬化性樹脂3の吐出位置とを近似させることができるので、第1測定データ81に基づく高さ制御を高精度に行うことができる。
また、回動アーム40および回転テーブル10が真空チャンバ60内に配置され、真空チャンバ60の外部から駆動されるので、真空チャンバ60中のウェハ1に対しても、微粒子の付着を抑制しつつ塗布膜4を形成し、塗布直後の塗布膜4の状態を把握することができる。ここで、X−Yステージ型の塗布装置を用いる場合には、X−Yステージの駆動機構を真空チャンバ60内に配置する必要があるため、モータが使用できない、真空チャンバ60が大型化する、微粒子の付着が避けられない、などの問題が生じる。これに対して、上記構成によれば、モータの使用が可能であり、真空チャンバ60の大型化を抑制でき、微粒子の付着も抑制できる点で、特に効果的である。
また、プリベーク処理により溶剤が除去された塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第3測定データ83を取得するステップを実施するので、塗布直後の塗布膜4の状態を把握するだけでなく、溶剤蒸発後の塗布膜4の表面高さの分布を把握することができる。さらに、塗布膜4の形成、塗布直後の塗布膜4の状態の把握のみならず、溶剤蒸発後の塗布膜4の状態の把握を、同じ装置構成で行うことができるので、ウェハ1に対する複数の処理を行う場合でも装置構成を複雑化することがないため有用である。
また、焼成処理により固化された塗布膜4の表面高さ位置の分布を反映する第4測定データ84を取得するステップを実施するので、溶剤蒸発後の塗布膜4の表面高さの分布に加えて、さらに、固化後の塗布膜4の表面高さの分布を把握することができる。その結果、塗布直後の塗布膜4の状態、溶剤蒸発後の塗布膜4の状態、および固化後の塗布膜4の状態をそれぞれ把握できるので、各処理工程における塗布膜4の状態を総合的に考慮して、所望の塗布状態の塗布膜4を形成するための塗布条件の最適化を行うことが可能となる。さらに後工程の残渣除去においても、焼成後の膜厚測定結果より、必要な加工量が把握できるので加工条件を容易に設定できる。
(実験結果)
次に、第1実施形態の塗布膜解析方法により実際に測定データの取得、塗布膜4の形成および塗布膜4の解析を行った実験結果について説明する。
図15に示すように、まず、第1アーム高さH1および第2アーム高さH2を取得した。回動アーム40の昇降駆動部44は、回動アーム40の昇降動作範囲の上端を原点とし、下方向(ウェハ1に近付く方向)を正方向とする。第1アーム高さH1は、H1=23.765mmとなり、第2アーム高さH2は、H2=24.265mmとなった。また、ノズル21の先端とウェハ1の表面1aとの間の所定距離Gは、G=0.03mmとした。塗布膜4の設計膜厚は、0.03mmである。なお、ノズル21と距離センサ30とのオフセット距離DOは、DO=a(一定値)とおく。
距離センサ30の測定点MPは、番号0〜3000とし、合計3001点の測定点で第1測定データ81および第2測定データ82を取得した。各測定点における回動アーム40の位置(回動角度)をs0〜s3000とし、各測定点における回転テーブル10の位置(回転角度)をt0〜t3000とする。相対移動経路AP1における各測定点の位置座標は、これらの回動アーム40の位置および回転テーブル10の位置によって一義的に決定される。図15に示すように、第1測定データ81および第2測定データ82を取得する際の回動アーム40の位置を、塗布膜4を形成する際のノズル21の位置からオフセット距離a分だけオフセットさせた同じ位置とした。第1測定データ81および第2測定データ82は、上記の通り、回転テーブル10の表面の中央の高さ位置からの上方への変位量として取得した。
図15に示す測定データ(第1測定データ81、第2測定データ82)、塗布高さ85および解析結果(塗布後膜厚t1)は、各測定点の結果の一部を抜粋したものである。測定点番号0では、第1測定データ81が0.701mmとなった。そのため、測定点番号0の位置で塗布を行う際、回動アーム40は、第2アーム高さH2−第1測定データ81−所定距離G=(24.265−0.701−0.03)=23.534mmとなった。塗布後、測定点番号0における第2測定データ82が0.732mmとなった。その結果、塗布膜を解析するステップにおいて、測定点番号0における塗布膜4の膜厚t1が、第1測定データ81−第2測定データ82=(0.732−0.701)=0.031mmと算出された。
同様にして、各測定点番号を見ると、ウェハ1の表面高さ位置である第1測定データ81は、約0.02mm(20μm)の範囲でばらついた。解析結果としての塗布直後の膜厚t1は、設計膜厚(0.03mm)に対して、約0.003mm(3μm)の範囲に収まることが確認された。このようにして、第1実施形態の塗布膜解析方法では、塗布直後の塗布膜4の状態を把握することができる。
[第2実施形態]
次に、図16を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、塗布膜4を形成するステップにおいて、ノズル21をウェハ1に対して渦巻き状に相対移動させながら熱硬化性樹脂3を供給した上記第1実施形態とは異なり、ノズル21をウェハ1に対して同心円状に相対移動させる例について説明する。第2実施形態において、塗布膜4を形成するステップ以外については上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
第2実施形態では、図16に示すように、塗布膜4を形成するステップにおいて、回転テーブル10によりウェハ1を回転させながら、回動アーム40によりノズル21をウェハ1の半径方向に異なる複数箇所の供給位置に移動させ、各々の供給位置でウェハ1に対して同心円状に相対移動させながら熱硬化性樹脂3を供給する。
具体的には、制御部50は、円弧軌跡Q上で、ウェハ1の中心側から外周側に亘って設定された複数の供給位置QPにノズル21を移動させて、各供給位置QPで熱硬化性樹脂3を供給させる。したがって、第2実施形態では、制御部50は、ノズル21から熱硬化性樹脂3を間欠的に吐出させる。制御部50は、各供給位置QPにおいて、ウェハ1が概ね1回転する間継続して熱硬化性樹脂3を吐出させる。そのため、ノズル21は、図16の破線で示すように、各供給位置QPを通る同心円状の複数の相対移動経路AP2で、ウェハ1に対して移動する。それぞれの相対移動経路AP2は、ウェハ1の中心(回転中心軸11)を中心とする円周経路である。制御部50は、ウェハ1の中心側から外周側、または外周側から中心側へ、複数の相対移動経路AP2による塗布を順番に実施する。
また、第2実施形態では、同心円状の相対移動経路AP2の各々について、半径方向の間隔(ピッチ)DPが、略一定とされる。すなわち、相対移動経路AP2を形成する各供給位置QPは、ウェハ1の中心(回転中心軸11)からの距離(半径r)が間隔DPずつ異なるように設定される。
制御部50は、塗布動作中に、水平方向におけるノズル21とウェハ1との相対移動速度が略一定となるように、回動アーム40の回動動作および回転テーブル10の回転動作を制御する。すなわち、制御部50は、相対移動経路AP2上の各供給位置QPにおけるウェハ1の周速が略一定になるように制御する。第2実施形態の場合、上記第1実施形態と異なり、それぞれの相対移動経路AP2における回転中心軸11からノズル位置の距離(半径r)が固定となる。そのため、回転テーブル10の回転速度(角速度)も相対移動経路AP2毎に設定される固定値とされる。
第2実施形態においても、図9に示したように、隣接する相対移動経路AP2の間隔DPは、ギャップ領域から溢れ出した熱硬化性樹脂3が流動して隙間を埋めていくことにより、新たに塗布された塗布ラインが塗布済みの領域91に接続する。その結果、ノズル21が全ての相対移動経路AP2の塗布ラインを形成し終わることにより、ウェハ1上に設定された塗布領域の全体が熱硬化性樹脂3に覆われる。このようにして、塗布膜4が形成される。
〈第1測定データの取得との関係〉
第2実施形態においても、第1測定データ81(第2測定データ82〜第4測定データ84)を取得するステップにおける距離センサ30のウェハ1に対する相対移動経路と、塗布膜4を形成するステップにおけるノズル21のウェハ1に対する相対移動経路AP2とが、略一致する。
すなわち、それぞれの測定データを取得するステップでは、ノズル21と距離センサ30との距離DO分だけオフセットさせて、距離センサ30が各供給位置QPに配置される。これにより、距離センサ30がそれぞれの相対移動経路AP2で表面高さの測定を行う。図16では、便宜的に、ウェハ1の左下の扇状領域にのみ、測定点MPの分布を図示しているが、実際には、測定点MPが各相対移動経路AP2の全体に均一に分布するように設定される。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、塗布や測定に伴うウェハ1への微粒子の付着を抑制しつつ、塗布直後の塗布膜4の状態を把握することができる。
また、塗布膜4を形成するステップにおいて、ノズル21を各々の供給位置QPでウェハ1に対して同心円状に相対移動させながら熱硬化性樹脂3を供給するので、円状の軌跡での熱硬化性樹脂3の供給を、円の半径を異ならせて複数回行う手法で、ウェハ1の塗布範囲全体に塗布を行うことができる。そして、各々の相対移動経路AP2では回転中心からの距離(半径r)が変化しないため、ノズル21とウェハ1との相対速度を容易に一定に保って塗布を行うことができる。その結果、円状軌跡の各位置における熱硬化性樹脂3の供給量を安定させることができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、処理対象物として、シリコンやガラスなどにより形成されたウェハ1を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。表面に塗布材料の塗布膜が形成される物体であれば、ウェハ1以外の処理対象物であってよい。
また、上記第1および第2実施形態では、塗布材料として、液状の熱硬化性樹脂3を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。液状で所定の粘性を有する物質であれば、熱硬化性樹脂以外の塗布材料であってよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ウェハ1に熱硬化性樹脂3の塗布膜4を形成することにより、ウェハ1に形成された微細空間2内に熱硬化性樹脂3を充填する例について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、塗布材料の塗布膜を形成すればよく、微細空間内に充填する必要はない。したがって、処理対象物に微細空間が形成されていなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、塗布膜4を形成するステップにおいて、第1測定データ81に基づいて、ノズル21の先端をウェハ1の表面高さ位置から一定の所定距離Gだけ離れた高さに制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、塗布膜4を形成するステップにおいて、ノズル21の先端の高さ位置をウェハ1の上方で固定してもよい。具体的には、図17に示すように、塗布膜4を形成するステップにおいて、ノズル21の先端の高さ位置をウェハ1の上方で固定した状態で、ノズル21の先端から液状の熱硬化性樹脂3を供給する。制御部50は、ノズル21の先端が予め設定された所定高さHcとなるように、回動アーム40の塗布高さ185を算出する。たとえば制御部50は、図6に示した第2アーム高さH2から、所定高さHcだけ上昇させた位置として、回動アーム40の塗布高さ185を算出する。そして、制御部50は、熱硬化性樹脂3を供給して塗布膜4を形成する間、回動アーム40を塗布高さ185に維持することにより、ノズル21の先端を所定高さHcに固定する。
この変形例では、ノズル21の先端の高さ位置を一定に維持した状態で塗布膜4を形成できるので、ノズル21の先端の高さ位置をリアルタイムで制御する必要がなく、容易に塗布膜4を形成することができる。この場合、塗布膜4の膜厚を均一にするためには、一定値に固定されるノズル21の先端の高さ位置の設定値(所定高さHc)を最適化することが重要となる。そのため、塗布直後の塗布膜4の状態を把握することができる本発明では、塗布膜4の解析結果を用いてノズル21の先端の高さ位置の設定値(所定高さHc)を最適化することができる点で、特に有用である。
また、上記第1および第2実施形態では、塗布膜4を解析するステップにおいて、塗布膜4の膜厚tおよび体積の少なくとも一方を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、少なくとも第1測定データ81および第2測定データ82に基づいて算出可能であれば、塗布膜4のどのような情報を取得してもよい。また、膜厚tの最大値、最小値、平均値の他に、標準偏差を取得するなど、統計的な解析を行ってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1アーム高さH1において第1測定データ81および第2測定データ82を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。第1測定データ81および第2測定データ82を第1アーム高さH1以外の高さ位置で取得してもよいし、第1測定データ81および第2測定データ82の測定時の回動アーム40の高さ位置を異ならせてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、ノズル21の先端が回転テーブル10の中心の表面と接触する第2アーム高さH2を基準としてノズル21の高さ位置を制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。第2アーム高さH2以外の高さ位置を基準としてノズル21の高さ位置を制御してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1測定データ81を取得するステップと、第2測定データ82を取得するステップとにおいて、回動アーム40の回動動作および回転テーブル10の回転動作を同一とする例を示したが、本発明はこれに限られない。第1測定データ81を取得するステップと、第2測定データ82を取得するステップとで、回動アーム40および回転テーブル10の少なくとも一方の動作を異ならせてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1測定データ81を取得するステップと塗布膜4を形成するステップとで、距離センサ30とノズル21とが同じ相対移動経路AP1(AP2)を移動するようにした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、距離センサ30とノズル21とが異なる相対移動経路を移動するようにしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、回動アーム40および回転テーブル10を真空チャンバ60内に収容し、真空チャンバ60の外部の駆動部により駆動するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、真空チャンバ60を設けなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、プリベーク処理後の塗布膜4の第3測定データ83を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第3測定データ83を取得しなくてもよい。また、プリベーク処理を行わなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、焼成処理後の塗布膜4の第4測定データ84を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第4測定データ84を取得しなくてもよい。また、焼成処理を行わなくてもよい。
なお、この他、塗布後の塗布膜4に対するプリベーク処理および焼成処理以外の処理を行った後に、当該処理後の測定データを取得するようにしてもよい。その場合の塗布膜4に対する処理はどのような処理であってもよい。
1 ウェハ(処理対象物)
1a 表面
3 熱硬化性樹脂(塗布材料)
10 回転テーブル
11 回転中心軸
21 ノズル
30 距離センサ
40 回動アーム
42 回転軸
43 回動駆動部
44 昇降駆動部
45 テーブル駆動部
60 真空チャンバ
81 第1測定データ
82 第2測定データ
83 第3測定データ
84 第4測定データ
DO オフセット距離(ノズルと距離センサとの距離)
G 所定距離
H1 第1アーム高さ
H2 第2アーム高さ

Claims (14)

  1. 処理対象物が載置される回転テーブルよりも外周側に配置された回転軸を中心に回動する回動アームに設けられた距離センサにより、前記処理対象物の表面高さ位置の分布を反映する第1測定データを取得するステップと、
    前記回動アームに設けられたノズルの先端から液状の塗布材料を供給して、前記処理対象物の表面上に塗布材料の塗布膜を形成するステップと、
    前記距離センサにより、前記処理対象物の表面上に形成された塗布膜の表面高さ位置の分布を反映する第2測定データを取得するステップと、
    取得された前記第1測定データおよび前記第2測定データに基づいて、形成された塗布膜を解析するステップと、を備える、塗布膜解析方法。
  2. 前記塗布膜を解析するステップにおいて、前記第1測定データおよび前記第2測定データに基づいて、前記塗布膜の膜厚および体積の少なくとも一方を取得する、請求項1に記載の塗布膜解析方法。
  3. 測定精度が確保される所定の距離範囲内で前記回転テーブルの中心の表面から離れた位置に前記距離センサが配置されるときの前記回動アームの高さ位置を第1アーム高さとし、
    前記第1測定データを取得するステップおよび前記第2測定データを取得するステップにおいて、前記第1アーム高さにおいて前記回動アームを回動させることにより、前記距離センサによる前記第1測定データおよび前記第2測定データを取得する、請求項1または2に記載の塗布膜解析方法。
  4. 前記塗布膜を形成するステップにおいて、前記第1測定データに基づいて、前記ノズルの先端を前記処理対象物の表面高さ位置から一定の所定距離だけ離れた高さに制御しながら、前記ノズルの先端から液状の塗布材料を供給する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  5. 前記ノズルの先端が前記回転テーブルの中心の表面と接触するときの前記回動アームの高さ位置を第2アーム高さとし、
    前記塗布膜を形成するステップにおいて、前記第2アーム高さと、前記所定距離と、回転する前記処理対象物の各々の位置における前記第1測定データと、に基づいて前記回動アームの高さ位置を制御する、請求項4に記載の塗布膜解析方法。
  6. 前記所定距離は、前記塗布膜の設計膜厚に基づいて設定される一定値である、請求項4または5に記載の塗布膜解析方法。
  7. 前記塗布膜を形成するステップにおいて、前記ノズルの先端の高さ位置を前記処理対象物の上方で固定した状態で、前記ノズルの先端から液状の塗布材料を供給する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  8. 前記塗布膜を形成するステップにおいて、前記回転テーブルにより前記処理対象物を回転させながら、前記回動アームにより前記ノズルを前記処理対象物の中心側から外周側または外周側から中心側に向けて回動させることにより、前記ノズルを前記処理対象物に対して渦巻き状に相対移動させながら前記塗布材料を供給する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  9. 前記塗布膜を形成するステップにおいて、前記回転テーブルにより前記処理対象物を回転させながら、前記回動アームにより前記ノズルを前記処理対象物の半径方向において複数箇所の供給位置に移動させ、各々の供給位置で前記処理対象物に対して同心円状に相対移動させながら前記塗布材料を供給する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  10. 前記第1測定データを取得するステップと、前記第2測定データを取得するステップとにおいて、前記回動アームの回動動作および前記回転テーブルの回転動作を同一とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  11. 前記第1測定データを取得するステップにおいて、
    前記回転テーブルの回転動作は、前記塗布膜を形成するステップにおける前記回転テーブルの回転動作と同一とし、
    前記回動アームの回動動作は、前記塗布膜を形成するステップにおける前記回動アームの回動動作から前記ノズルと前記距離センサとの距離分だけオフセットさせた同一の動作とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  12. 前記回動アームは、前記処理対象物を収容可能な真空チャンバ内に配置され、前記回転軸を介して前記真空チャンバの外部の回動駆動部および昇降駆動部により駆動され、
    前記回転テーブルは、前記真空チャンバ内に配置され、前記真空チャンバの外部のテーブル駆動部により回転駆動され、
    前記塗布膜を形成するステップにより前記真空チャンバ内で形成された前記塗布膜によって、前記処理対象物の表面に開口するように形成された微細空間内に前記塗布材料を充填する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  13. 前記塗布材料は、溶剤を含む熱硬化性樹脂であり、
    前記第2測定データを取得するステップの後、前記処理対象物を加熱して前記熱硬化性樹脂に含まれる溶剤を蒸発させる第1加熱処理を行うステップと、
    前記距離センサにより、前記第1加熱処理により溶剤が除去された前記塗布膜の表面高さ位置の分布を反映する第3測定データを取得するステップと、をさらに備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載の塗布膜解析方法。
  14. 前記第3測定データを取得するステップの後、前記処理対象物を加熱して前記熱硬化性樹脂を固化させる第2加熱処理を行うステップと、
    前記距離センサにより、前記第2加熱処理により固化された前記塗布膜の表面高さ位置の分布を反映する第4測定データを取得するステップと、をさらに備える、請求項13に記載の塗布膜解析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111678442A (zh) * 2020-06-15 2020-09-18 南通理工学院 一种半封闭空间内壁涂层湿膜膜厚检测装置

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