JP2019147934A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびそれからなる成形品 - Google Patents

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幸志郎 杉澤
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幸志郎 杉澤
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雅史 佐藤
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Abstract

【課題】流動性および耐加水分解性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびそれからなる成形品を得ること。
【解決手段】(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂1.0〜5.0重量部、(C)ヒンダードアミン化合物を0.001〜1重量部、(D)リン系耐熱剤を0.001〜0.2重量部、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体を1〜20重量部、および(F)強化繊維を10〜60重量部配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
Figure 2019147934

(一般式(1)中、nは0〜10の値を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品などの用途に対し有用な、流動性および耐加水分解性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂およびそれからなる成形品に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂と略記することがある。)は、耐熱性、耐薬品性、電気特性、寸法安定性などに優れているため、各種の電気・電子機器部材、自動車、列車、電車などの車両用部材、その他の一般工業製品製造用材料として、広く使用されている。
しかしながら、PBT樹脂は、加水分解により劣化しやすいため、各種の電気・電子機器部材、自動車、列車、電車などの車両用部材、その他の一般工業製品製造用材料として使用するためには、一般の化学的および物理的諸特性のバランスに加えて、長期における耐加水分解性を有することが求められている。
特に近年、車載用途に使用されるPBT樹脂においては、エンジンルームの省スペース化に伴う使用環境温度の上昇や、次世代車載(EV・HEV)向け先進運転支援システムに用いられる情報通信機器部品の信頼性確保の観点から、このような用途の構成部品に使用されるPBT樹脂は耐加水分解性向上が強く望まれている。
また、工業用成形品の小型化・軽量化に対する要求も高まっており、特に車載コネクターなどの薄肉成形品用途においては、薄肉成形を可能とするための流動性と、薄肉に耐えられる機械特性を有する材料が求められている。
これまで、ポリブチレンフタレート樹脂に耐加水分解性を付与する方法としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂にエポキシ樹脂を配合する方法や、ヒンダードアミン化合物を配合する方法が知られている。かかる樹脂組成物として、これまでに、熱可塑性ポリエステル樹脂に、特定構造のノボラック型エポキシ樹脂を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物(特許文献1)、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に特定のヒンダードアミン化合物を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、特許文献1においては、より高度な耐加水分解性能を発現するためにノボラック型エポキシ樹脂の配合量を増加すると、成形滞留時に増粘するため成形性が著しく低下する課題があった。特許文献2では、ヒンダードアミン化合物を増やすと成形時に発生するガスが増え、さらにヒンダードアミン化合物の配合だけでは近年求められる高度な耐加水分解性を発現されることは困難である課題があった。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂の耐加水分解性を向上し、長期間の使用に耐えるよう維持するためには、エポキシ樹脂やヒンダードアミン化合物を配合する手法の他に、高分子量のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を使用することが一般的であるが、高分子量のポリブチレンテレフタレート樹脂を用いた樹脂組成物は、流動性が悪く小型化や軽量化に対応する成形性を有さない。一方で、低分子量のポリブチレンテレフタレート樹脂を使用すると成形性は良くなるが、機械特性、特にコネクター成形品などに要求される靭性が低下してしまうといったトレードオフの関係があり、高度な流動性と機械特性を両立したまま耐加水分解性を向上させることは困難である課題があった。
国際公開第2015/072216号(特許請求の範囲) 特開平8−48869号公報(特許請求の範囲)
本発明は、工業用成形品の小型化、軽量化に対応する薄肉成形を可能とした流動性と、優れた機械特性および耐熱性を有し、さらに長期の耐加水分解性に優れた成形品を得ることのできるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、および成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記した課題を解決するために検討を重ねた結果、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂に対し、(B)特定構造のノボラックエポキシ樹脂と(C)ヒンダートアミン化合物を配合し、さらに(D)リン系耐熱剤、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体、および(F)強化繊維を特定量配合することにより、上記した課題を解決できることを見出し、本発明に達した。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂を1.0〜5.0重量部、(C)ヒンダートアミン化合物を0.001〜1重量部、(D)リン系耐熱剤を0.001〜0.2重量部、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体を1〜20重量部、および(F)強化繊維を10〜60重量部配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
Figure 2019147934
(一般式(I)中、nは0〜10の値を表す。)
また、本発明は上記のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品である。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物によれば、電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品などとして有用な流動性および耐加水分解性に優れる成形品を得ることができる。
次に、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物について、詳細に説明する。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂に、(B)特定構造のノボラックエポキシ樹脂、(C)ヒンダートアミン化合物を配合し、さらに(D)リン系耐熱剤、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体、および(F)強化繊維を特定量配合してなる。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、射出成形や機械特性に優れるものの、加水分解によりエステル結合が分解しやすく、その結果、カルボキシル末端基濃度が増加する。カルボキシル末端基濃度の増加に伴い、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の分子量低下が促進され、機械特性が低下する。本発明においては、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とともに、前記(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂を配合することにより、加水分解により生じる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル末端基と(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基とが反応してカルボキシル末端基の増加を抑制する。また、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得る際の溶融混練時にも(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル末端基と(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基との反応が進行し、得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の初期カルボキシル末端基濃度が低下する。その結果、得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の有する高い機械物性を維持することができる。しかしながら、(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂を1.0重量部以上配合すると、270℃以上の高温の溶融加工温度において、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル末端基と(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基とが反応すると同時に分子鎖が架橋を起こす。ここでいう架橋とは、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシ末端基と(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基との反応で生じた化合物と、ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基が反応して生じる、化合物が絡み合う網目構造のことである。このような架橋構造が形成されると、成形時の滞留安定性が悪化する、すなわち成形工程においてポブチレンテレフタレート樹脂組成物の粘度が上昇するので、薄肉部分を有する成形品を加工する場合においては、ショートショットが発生し、連続成形できなくなるため好ましくない。そこで、(C)ヒンダートアミン化合物および(D)リン系耐熱剤を配合することにより、(A)ポリブチンレテレフタレート樹脂の分子量低下を防ぎながら、滞留安定性の悪化に繋がるエポキシ樹脂同士の反応を抑制し、架橋構造を形成しにくくすると共に、選択的に(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル末端基と(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基との反応を促進させることができ、耐加水分解性をさらに向上させながら、滞留安定性の悪化を抑制できる。
ここで、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分とが反応した反応物を含むが、当該反応物は複雑な反応により生成されたものであり、その構造を特定することは実際的でない事情が存在する。したがって、本発明は配合する成分により発明を特定するものである。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
本発明を構成する(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体とを主成分とし、重縮合反応させる等の通常の重合方法によって得られる重合体であって、特性を損なわない範囲、例えば20重量部程度以下、他の共重合成分を含んでもよい。これら重合体および共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレート等が挙げられ、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、流動性の観点から250℃、1000gfで測定したときのメルトフローレート(MFR)が30g/10分以上であることが好ましく、40g/10分以上であることがより好ましい。
本発明で用いる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の重縮合法や開環重合法などを用いることができる。バッチ重合法および連続重合法のいずれでもよく、また、エステル交換反応および重縮合反応を経る方法、ならびに直接重合による重縮合反応による方法(直接重合法)のいずれも適用することができる。カルボキシル末端基量を少なくすることができ、かつ、流動性向上効果が大きくなるという点で、連続重合法が好ましく、コストの点で、直接重合法が好ましい。なお、エステル化反応またはエステル交換反応および重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に触媒を添加することが好ましい。触媒の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどの有機チタン化合物、ジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズハイドロオキシド、トリフェニルスズハイドロオキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキシド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸などのスズ化合物、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどのジルコニア化合物、三酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。これらの触媒を2種以上併用することもできる。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル基量の観点から、これらの重合反応触媒の中でも、有機チタン化合物およびスズ化合物が好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステルがさらに好ましく用いられる。重合反応触媒の添加量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、0.01〜0.2重量部の範囲が好ましい。
本発明で用いられる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル基濃度は、耐加水分解性および耐熱性の点で、40eq/t以下であることが好ましい。前述のとおり、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、加水分解により劣化しやすい傾向にあるが、(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂を配合することにより、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル基と(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基とが反応し、耐加水分解性を向上させることができる。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル基濃度が40eq/t以下とすることで、カルボキシル基が酸触媒として作用することによる耐加水分解性の大幅な低下を抑制し、さらに(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂と反応するカルボキシル基が多すぎることがなく、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の分子量変化を抑制できるので滞留安定性を維持することができる。好ましくは30eq/t以下であり、より好ましくは20eq/t以下である。カルボキシル基濃度の下限値は、0eq/t程度である。ここで、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル基濃度は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂をo−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解させた後、エタノール性水酸化カリウムで滴定し測定した値である。
(B)ノボラックエポキシ樹脂
本発明に用いる(B)特定構造のノボラックエポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂であり、分子中にエポキシ基を含有する。
Figure 2019147934
上記一般式(1)中のnは、(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂の繰り返し単位数を示す。nは、0〜10の範囲を表す。本発明に用いられる(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂は褐色のペレット形状を成しており、繰り返し単位数nが少ないとペレット同士が溶融しブロッキングを起こし、供給できなくなるため望ましくない。繰り返し単位数nが多いと、(B)ノボラックエポキシ樹脂同士の反応が進みやすく架橋構造を形成しやすくなり、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の滞留安定性が悪化する。ブロッキング性及び滞留安定性の観点から、ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂の繰り返し単位数のnは好ましくは0〜4、さらに好ましくは1〜3である。
特に好ましい上記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂としては、DIC(株)からHP−7200H、日本化薬(株)からXD−1000Lという名称で販売されているものを入手できる。
(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂は、上記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して1.0重量部以上5.0重量部以下であることが必要である。高度な耐加水分解性を発現させるためには1.0重量部以上配合することが必要であるが、5.0重量部より多く配合すると、成形性を悪化させるため望ましくない。成形性の観点から、より好ましくは1.0重量部以上3.0重量部、さらに好ましくは1.0重量部以上2.5重量部である。
(C)ヒンダードアミン化合物
本発明に用いるヒンダードアミン化合物は、下記一般式(2)で表される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体を分子中に少なくとも一つ有する構造を持つ化合物であることが好ましい。
Figure 2019147934
(C)ヒンダードアミン化合物の具体例としては、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スベレート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フタレート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イソフタルアミド、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジパミド、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5,1,11,2]ヘニコサン−21−オン、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ブチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ブチル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ブタンテトラカルボン酸のテトラ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。
(C)ヒンダードアミン化合物の中でも、活性水素を有し、塩基性の強い2級アミンであり、(B)エポキシ化合物とカルボキシル基との反応を促進できる前記一般式(3)で表される2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル構造を有するNH型ヒンダードアミンが好ましい。
Figure 2019147934
(C)ヒンダードアミン化合物の配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、0.001〜1重量部である。(C)ヒンダードアミン化合物の配合量が0.001重量部未満であると、耐加水分解性を向上させる効果が得られない。より好ましくは0.01重量部以上であり、さらに好ましくは0.03重量部以上である。一方、(C)ヒンダードアミン化合物の配合量が1重量部を超えると、アミンの塩基性によりポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の分解が顕著になり、発生ガスが多くなり成形性が低下すると共に、滞留安定性が低下する傾向がある。より好ましくは0.8重量部以下であり、さらに好ましくは0.5重量部以下である。
本発明においては、従来の技術では達成できなかった耐加水分解性を付与するための第一の要因として、(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂および(C)ヒンダードアミン化合物を配合することで、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂に元々存在するカルボキシル末端基を反応により減少させることが重要である。その観点から、溶融混練後のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中におけるカルボキシル基濃度、すなわち(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、および(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂との反応物の合計量に対する、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂由来のカルボキシル基濃度、および(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂との反応物由来のカルボキシル基濃度はできる限り低いことが好ましく、20eq/t以下が好ましく、さらには15eq/t以下であることが特に好ましい。なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中における(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、および(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂との反応物の合計量に対する、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂由来のカルボキシル基濃度、および(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂との反応物由来のカルボキシル基濃度は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物をo−クレゾール/クロロホルム(2/1,vol/vol)混合溶液に溶解させた溶液を、1%ブロモフェノールブルーを指示薬として、0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定することにより算出することができる。
(D)リン系耐熱剤
本発明に用いるリン系耐熱剤は、下記構造式(4)または(5)で表される構造、すなわち、非共有電子対を有するリン原子に、2個以上の酸素原子が結合している構造を含む化合物である。(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中において、酸化劣化の原因となるフェノキシラジカルやキノンを生じやすい傾向にある。本発明においては、(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂とともに(D)リン系耐熱剤を配合することで、(D)リン系耐熱剤が生じたフェノキシラジカルやキノンに配位し、分解もしくは無色化することができるため、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の熱分解及び酸化劣化の進行を抑制することができ、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の分子量低下が起きにくくなり耐久性が向上する。なお、一般的なリン化合物において、リン原子の原子価から、非共有電子対を有するリン原子へ結合可能な酸素原子の上限は、3個である。
Figure 2019147934
(D)リン系耐熱剤としては、非共有電子対を有するリン原子へ2個の酸素原子が結合している構造を含む化合物としてホスフォナイト化合物、非共有電子対を有するリン原子へ3個の酸素原子がリン原子と結合している構造を含む化合物としてホスファイト化合物などを挙げることができる。
ホスフォナイト化合物としては、例えば、フェニル亜ホスホン酸や4,4’−ビフェニレンジ亜ホスホン酸などの亜ホスホン酸化合物と、炭素数4〜25の脂肪族アルコールおよび/または2,6−ジ−t−ブチルフェノールや2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノールなどのフェノール化合物との縮合物が挙げられる。具体的には、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−フェニルホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトなどが挙げられる。
なかでも、(D)リン系耐熱剤の耐熱安定性の観点から、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトが好ましい。
ホスファイト化合物としては、例えば、亜リン酸と、炭素数4〜25の脂肪族アルコール、グリセロールやペンタエリスリトールなどの多価アルコールおよび/または2,6−ジ−t−ブチルフェノールや2,4−ジ−t−ブチルフェノールなどのフェノール化合物との縮合物が挙げられる。具体的には、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイトなどのトリス(アルキルアリール)ホスファイト(ただし、この場合のアルキル基は炭素数3〜6の分岐アルキル基である)、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニル)ホスファイト、ビス(オクチル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのビス(アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト(ただし、この場合のアルキル基は炭素数3〜9のアルキル基である)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
なかでも、(D)リン系耐熱剤の耐熱性の観点から、ビス(アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトがより好ましい。
(D)リン系耐熱剤の配合量は、(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂の種類や配合量に応じて適宜調整することができるが、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、0.001〜0.2重量部である。(D)リン系耐熱剤の配合量が0.001重量部未満の場合は、(B)ノボラックエポキシ樹脂起因の酸化劣化を抑制することができない。一方、(D)リン系耐熱剤の配合量が0.2重量部を超えると、(B)ノボラックエポキシ樹脂を失活させてしまうため、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐加水分解性が低下する。よって配合量は、0.15重量部以下が好ましく、0.10重量部以下がより好ましい。
(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体
本発明で用いる(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体は、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体、もしくはα−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有の3元共重合体であることが好ましい。(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体の具体例としては、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸/グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができ、これらは各々単独、あるいは混合物の形で用いることができる。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂に(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体を配合することで、ポリブチレンフタレート樹脂組成物の流動性と靭性を向上させることができる。一方、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有の3元共重合体を単独で用いると、エチレン/アルキルアクリレート共重合体中のグリシジル基が(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と反応するため流動性と滞留安定性が低下する傾向がある。流動性と靭性付与の点で、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体と、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有の3元共重合体を併用して配合することが好ましく、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体を単独で配合することがより好ましい。
(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体の配合量は、(A)ポリブチレンフタレート樹脂100重量部に対し1.0〜20重量部である。配合量が1.0重量部未満であると、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の靭性が劣り、20重量部を超えるとポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の機械特性や成形性が低下する。機械特性と靭性の点から、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体を、3.0〜15重量部の範囲で配合することが好ましく、5.0〜10重量部の範囲で配合することがより好ましい。
(F)強化繊維
本発明で用いられる(F)強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維および有機繊維(ナイロン、ポリエステル、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、アクリル等)等を使用することが可能である。(F)強化繊維により、機械強度と耐熱性をより向上させることができる。1種または2種以上の強化繊維を併用することも可能であるが、ガラス繊維を配合するのが最も好ましい。
ガラス繊維の具体例としては、チョップドストランドタイプやロービングタイプのガラス繊維であり、アミノシラン化合物やエポキシシラン化合物などのシランカップリング剤および/またはウレタン、アクリル酸/スチレン共重合体などのアクリル酸からなる共重合体、アクリル酸メチル/メタクリル酸メチル/無水マレイン酸共重合体などの無水マレイン酸からなる共重合体、酢酸ビニル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやノボラック系エポキシ化合物などの一種以上のエポキシ化合物などを含有した集束剤で処理されたガラス繊維が好ましく用いられる。
また、本発明で用いられるガラス繊維は、Eガラスと同じ成分を主成分とするガラス繊維であり、550℃で2時間灰化した後、走査電子顕微鏡を使用し元素分析した時の組成が、ガラス繊維全量100重量部に対し55.0〜60.0重量部のSiO2、16.0〜20.0重量部のAl2O3、8.0〜12.0重量部のMgO、および10.0〜20.0重量部のCaOを含有するガラス繊維であることが好ましい。このような組成のガラス繊維を用いると、通常のEガラス繊維を用いた場合と比較して、機械強度やせん断強度をさらに向上させることができる。本発明において使用される走査型電子顕微鏡としては、たとえば、日本電子株式会社製のJSM−IT100LA型走査電子顕微鏡などが挙げられる。
さらに、本発明のガラス繊維は、引張弾性率が80GPa以上であることが好ましい。このようなガラス繊維を用いることにより、機械強度やせん断強度をさらに向上させることができる。ガラス繊維の引張弾性率は、接触、摩擦等による傷、劣化等のない1本のガラスフィラメントを、中央に直径50mmの穴の開いた所定の台紙に接着して試験片とし、該試験片を引張試験機のつかみ具にセットし、台紙の端部を切除した後、クロスヘッド速度5mm/分で引張試験を行い、初期の強度変動値とそれに対する伸び率から算出できる。
強化繊維の繊維径は通常1〜30μmの範囲が好ましい。強化繊維がガラス繊維である場合、樹脂中におけるガラス繊維の分散性の観点から、その下限値は好ましくは5μmである。機械強度の観点からその上限値は好ましくは15μmである。
本発明における(F)強化繊維の配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して10〜60重量部である。強化繊維の配合量が10重量部未満であると、樹脂組成物の機械特性が劣り、60重量部を超えると樹脂組成物の流動性が低下するため好ましくない。
(G)高級脂肪酸金属塩
本発明で用いられる(G)高級脂肪酸金属塩は、高級脂肪酸誘導体と金属酸化物または金属水酸化物とから得られるケン化物である。(G)高級脂肪酸金属塩に配位した金属塩の触媒作用により(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂の反応が促進され、さらに耐加水分解性が向上する。(G)高級脂肪酸金属塩の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸と1価または2価以上のアルコールとのエステルと、これら高級脂肪酸エステルを部分的に金属酸化物、例えばCa(OH)、NaOH、Mg(OH)、Zn(OH)、LiOH、Al(OH)を用いてケン化した部分ケン化エステル、高級脂肪酸と金属酸化物または金属水酸化物とから得られる完全ケン化物が挙げられる。耐加水分解性の点から、酸度の高いLewis酸が好ましい。
本発明における(G)高級脂肪酸金属塩の配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.001〜0.2重量部であることが好ましい。高級脂肪酸金属塩の配合量が0.001重量部以上とすることで、触媒作用を発揮し、0.2重量部以下とすることで樹脂組成物を用いた成形時における滞留安定性を維持することができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、安定剤、離型剤、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、帯電防止剤を一種以上添加することができる。
本発明において、結晶核剤は、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれでもよい。無機系結晶核剤としては、合成マイカ、クレー、ゼオライト、酸化マグネシウム、硫化カルシウム、窒化ホウ素、酸化ネオジウムなどを挙げることができ、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていることが好ましい。また、有機系結晶核剤としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ソルビトール系化合物、フェニルホスホネートの金属塩、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩などを挙げることができる。これらの結晶核剤を配合することで、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた熱可塑性樹脂組成物および成形品を得ることができる。
本発明において、安定剤としては、熱可塑性樹脂の安定剤に用いられるものをいずれも使用することができる。具体的には、酸化防止剤、光安定剤などを挙げることができる。これらの安定剤を配合することで、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた熱可塑性樹脂組成物および成形品を得ることができる。
本発明において、離型剤としては、熱可塑性樹脂の離型剤に用いられるものをいずれも使用することができる。具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、変成シリコーンなどを挙げることができる。これらの離型剤を配合することで、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた成形品を得ることができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法は、本発明で規定する要件を満たす限り特に限定されるものではなく、単軸または二軸押出機で、均一に溶融混練する方法や、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられるが、生産性の点で、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法が好ましく、流動性および耐加水分解特性に優れた樹脂組成物を得られるという点で、二軸押出機で均一に溶融混練する方法がより好ましい。なかでも、スクリュー長さをL(mm)、スクリュー直径をD(mm)とすると、L/D>30の二軸押出機を使用して溶融混練する方法が特に好ましい。ここで言うスクリュー長さとは、スクリュー根元の原料が供給される位置から、スクリュー先端部までの長さを指す。L/Dが大きい程、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂のカルボキシル基と(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂のエポキシ基との反応時間が十分に確保され、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の耐加水分解性が向上するので望ましい。
また、本発明において樹脂組成物を溶融混練する際に二軸押出機を用いる場合のスクリュー構成としては、フルフライトおよびニーディングディスクを組み合わせて用いられることが好ましいが、本発明の樹脂組成物を得るためにはスクリューによる均一的な混練が必要である。そのため、スクリュー全長に対するニーディングディスクの合計長さ(ニーディングゾーン)の割合は、5〜50%の範囲が好ましく、10〜40%の範囲であればさらに好ましい。
本発明において樹脂組成物を溶融混練する場合に、各成分を投入する好ましい方法としては、投入口を2カ所有する押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口から(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂、(C)ヒンダードアミン化合物、(D)リン系耐熱剤、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体、(G)高級脂肪酸金属塩および必要に応じてその他成分を供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から(F)強化繊維を供給し、溶融混合する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を製造する際の溶融混練温度は、流動性および機械物性に優れるという点で、190〜340℃が好ましく、210〜310℃がさらに好ましく、240〜280℃が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、通常公知の射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、シート、繊維などとして利用でき、フィルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用することができる。特に、本発明においては、流動性に優れる点を活かして、厚み0.1〜1.0mmの薄肉部位を有する射出成形品に加工することができ、また、流動性および外観性が必要とされる大型成形品にも加工することが可能である。
本発明において、上記各種成形品は、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができ、特に、特に車載用コネクター、電気・電子機器用コネクターとして好適である。
具体的な用途としては、エアフローメーター、エアポンプ、サーモスタットハウジング、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブースター部品、各種ケース、各種チューブ、各種タンク、各種ホース、各種クリップ、各種バルブ、各種パイプなどの自動車用アンダーフード部品、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジングなどの自動車用内装部品、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプベゼル、ドアハンドルなどの自動車用外装部品、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクターなど各種自動車用コネクター、電気用コネクター、リレーケース、コイルボビン、光ピックアップシャーシ、モーターケース、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、記録媒体(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライブのハウジングおよび内部部品、コピー機のハウジングおよび内部部品、ファクシミリのハウジングおよび内部部品、パラボラアンテナなどに代表される電気・電子部品を挙げることができる。更に、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、ビデオカメラ、プロジェクターなどの映像機器部品、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、ブルーレイディスクなどの光記録媒体の基板、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、などに代表される家庭・事務電気製品部品を挙げることができる。また、電子楽器、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機などのハウジングや内部部品、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドホン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子部品、サッシ戸車、ブラインドカーテンパーツ、配管ジョイント、カーテンライナー、ブラインド部品、ガスメーター部品、水道メーター部品、湯沸かし器部品、ルーフパネル、断熱壁、アジャスター、プラ束、天井釣り具、階段、ドアー、床などの建築部材、釣り糸、漁網、海藻養殖網、釣り餌袋などの水産関連部材、植生ネット、植生マット、防草袋、防草ネット、養生シート、法面保護シート、飛灰押さえシート、ドレーンシート、保水シート、汚泥・ヘドロ脱水袋、コンクリート型枠などの土木関連部材、洗面ボウル(洗面器)、手洗いボウル(手洗い器)、洗面カウンター、手洗いカウンター、収納ケース、収納棚、鏡枠、水栓部材、床および壁等の洗面所構成部材、浴槽、風呂蓋、浴室洗い場、浴室壁、浴室カウンター、浴室床、防水パン、浴室収納棚、浴室天井、洗い桶、シャワー水栓部材、洗い場イスおよび手すり等の浴室構成部材、便器、便器フタ、便座、トイレカウンター、洗浄ノズル、トイレ収納棚等のトイレ構成部材、キッチンカウンター、キッチンシンク、キッチンバック、キッチン天板、収納棚および収納棚扉等の台所構成部材、歯車、ねじ、バネ、軸受、レバー、キーステム、カム、ラチェット、ローラー、給水部品、玩具部品、ファン、テグス、パイプ、洗浄用治具、モーター部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの機械部品、マルチフィルム、トンネル用フィルム、防鳥シート、植生保護用不織布、育苗用ポット、植生杭、種紐テープ、発芽シート、ハウス内張シート、農ビの止め具、緩効性肥料、防根シート、園芸ネット、防虫ネット、幼齢木ネット、プリントラミネート、肥料袋、試料袋、土嚢、獣害防止ネット、誘因紐、防風網などの農業部材、紙おむつ、生理用品包材、綿棒、おしぼり、便座ふきなどの衛生用品、医療用不織布(縫合部補強材、癒着防止膜、人工器官補修材)、創傷被服材、キズテープ包帯、貼符材基布、手術用縫合糸、骨折補強材、医療用フィルムなどの医療用品、カレンダー、文具、衣料、食品等の包装用フィルム、トレイ、ブリスター、ナイフ、フォーク、スプーン、チューブ、プラスチック缶、パウチ、コンテナー、タンク、カゴなどの容器・食器類、ホットフィル容器類、電子レンジ調理用容器類、化粧品容器、ラップ、発泡緩衝剤、紙ラミ、シャンプーボトル、飲料用ボトル、カップ、キャンディ包装、シュリンクラベル、蓋材料、窓付き封筒、果物かご、手切れテープ、イージーピール包装、卵パック、HDD用包装、コンポスト袋、記録メディア包装、ショッピングバック、電気・電子部品等のラッピングフィルムなどの容器・包装、天然繊維複合、ポロシャツ、Tシャツ、インナー、ユニホーム、セーター、靴下、ネクタイなどの各種衣料、カーテン、イス貼り地、カーペット、テーブルクロス、布団地、壁紙、ふろしきなどのインテリア用品、キャリアーテープ、プリントラミ、感熱孔版印刷用フィルム、離型フィルム、多孔性フィルム、コンテナバッグ、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ICカード、紙、皮革、不織布等のホットメルトバインダー、磁性体、硫化亜鉛、電極材料等粉体のバインダー、光学素子、導電性エンボステープ、ICトレイ、ゴルフティー、ゴミ袋、レジ袋、各種ネット、歯ブラシ、文房具、水切りネット、ボディタオル、ハンドタオル、お茶パック、排水溝フィルター、クリアファイル、コート剤、接着剤、カバン、イス、テーブル、クーラーボックス、クマデ、ホースリール、プランター、ホースノズル、食卓、机の表面、家具パネル、台所キャビネット、ペンキャップ、ガスライターなどとして有用であり、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクターなど各種自動車用コネクターあるいは電気・電子部品用コネクターとして有用である。なかでも、最も薄い部分が1mm以下であるコネクターとして用いることが特に有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。以下に実施例、比較例で使用する原料の略号および内容を示す。ここで%および部とは、すべて重量%および重量部を表し、下記の樹脂名中の「/」は共重合を意味する。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
A−1:ポリブチレンテレフタレート(MFR:57g/10分(250℃、1000gf)、カルボキシル基濃度:15g/eq)
A−2:ポリブチレンテレフタレート(MFR:35g/10分(250℃、1000gf)、カルボキシル基濃度:15g/eq)
(B)エポキシ樹脂
B−1:一般式(1)で表されるエポキシ当量290g/eqのジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂DIC(株)製“HP−7200H”を用いた。なお、一般式(1)中のnは1〜3の値を示す。
B’−2:下記一般式(6)で表されるエポキシ当量211g/eqのクレゾール型ノボラックエポキシ樹脂:日本化薬(株)製“EOCN−102S”を用いた。
Figure 2019147934
上記一般式(6)中のnは、3〜5の値を示す。
B’−3:エポキシ当量190g/eqのビスフェノールAエピクロルヒドリンとの縮合物:三菱化学(株)製“jER”(登録商標)819を用いた。
(C)ヒンダードアミン化合物
C−1:一般式(3)で表されるビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート:(株)ADEKA製の“アデカスタブ”(登録商標)LA57を用いた。
(D)リン系耐熱剤
D−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト:(株)ADEKA製“アデカスタブ”(登録商標)PEP36を用いた。
(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体
E−1:エチレン/アクリル酸メチル共重合体(三井デュポンポリケミカル製“エルバロイAC”(登録商標)22534(商品名)、MFR:25g/10分(190℃、2.16kgf))を用いた。
E’−2:エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体(ARKEMA製“ロタダー”(登録商標)AX8840(商品名)、MFR:5g/10分(190℃、2.16kgf))を用いた。
(F)強化繊維
F−1:チョップドストランド(日本電気硝子(株)製 T−120H(商品名)3mm長、平均繊維径10.5μm、SiO2:51.0%、Al2O3:13.3%、MgO:2.1%、CaO:32.7%、引張弾性率:75GPa)を用いた。
F−2:チョップドストランド(日東紡(株)製 CH 3PE−941H(商品名)3mm長、平均繊維径13μm、SiO:56.7%、Al2O3:17.5%、MgO:9.5%、CaO:16.3%、引張弾性率:85GPa)を用いた。
(G)高級脂肪酸金属塩
G−1:モンタン酸の部分けん化エステルワックス、クラリアントジャパン(株)製リコワックスOPを用いた。
実施例、比較例においては、次に記載する測定方法によって、その特性を評価した。
(1)流動性
厚み0.5mm、幅10mmの短冊型成形品を用い、流動長を測定することにより判断した。流動長は、住友重機械工業(株)社製SE50DU型射出機を用い、実施例および比較例の組成のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を射出成形し、成形された上記短冊型成形品の長さで評価した。射出条件は、シリンダ温度260℃、金型温度80℃、射出圧100MPa、射出時間10秒、冷却時間10秒にて実施した。流動長が50mm以上を◎、40mm以上〜50mm未満を○、40mm未満を×とした。
(2)引張特性
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物を用いて、シリンダ温度260〜270℃、金型温度80℃で試験片を成形し、ISO527−1,2:2012年に準拠し、引張強度及び引張伸びを測定した。
(3)せん断特性
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物を用いて、シリンダ温度260〜270℃、金型温度80℃で試験片を成形し、ASTM D732に準拠し、せん断強度を測定した。
(4)耐加水分解性
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物を用いて、シリンダ温度260〜270℃、金型温度80℃で上記(2)に記載の方法と同様の方法で成形した試験片を(株)TABAI ESPEC製HAST CHAMBER EHS−221Mを用いて、121℃、100%RHの加水分解処理を100時間行った後、試験片の引張特性を(2)と同様の手法により測定し、以下の算出式より引張強度保持率を求め、耐加水分解性の評価を行った。
引張強度保持率(%)=(引張強度(加水分解処理後)(MPa)/引張強度(加水分解処理前)(MPa))×100
引張強度保持率が、80%以上であれば成形品の耐加水分解性は良好と判断できる。引張強度保持率90%以上を◎、80%以上を超え90%未満を○、80%未満を×と判定した。
(5)カルボキシル末端基濃度
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中における(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂に対するカルボキシル末端基濃度(eq/t)は、各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物2gをo−クレゾール/クロロホルム(2/1vol)混合溶液50mLに溶解させた溶液を、1%ブロモフェノールブルーを指示薬として、0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対するカルボキシル基濃度を算出した後に、該濃度を(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の配合比で割り返すことにより求めた。
(6)滞留安定性
東洋精機(株)製C501DOSを用いて、温度270℃、荷重2160gf条件で、ASTM D1238(1999年)に準じてポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の溶融粘度指数(メルトフローレート)を測定した。
さらに、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物をシリンダ内で30分間滞留させた後、同条件で再び溶融粘度指数を測定し、滞留前の溶融粘度指数に対する滞留前後の溶融粘度指数の差の割合(変化率(%))を求めた。ここで算出される変化率(%)は絶対値であり正の値で算出した。溶融粘度指数の変化率が50%を超える場合は滞留安定性に劣ると判断し、変化率が小さいほど滞留安定性に優れると判断した。
(7)低ガス性
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物を用いて、(株)TABAI ESPEC製パーフェクトオーブンを用いて260℃で2hr加熱処理し、以下の算出式より加熱による重量減少率を求め、低ガス性の評価を行った。
重量減少率(%)={1−(加熱処理後の重量(g)/加熱処理前の重量(g))}×100
重量減少率が0.5%未満であれば、樹脂組成物の低ガス性は良好と判断できる。重量減少率0.5%未満を○、0.5%以上を×と判定した。
[実施例1〜6、比較例1〜9]
表1に示す配合組成に従い、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、および(G)成分、並びにその他添加剤全てを2軸押出機の元込め部から供給し、(F)成分を主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から供給してシリンダ温度250℃に設定したスクリュー径37mmφの二軸押出機(東芝機械(株)社製 TEM37SS(商品名))で溶融混練を行った。ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記方法で評価した結果を表1に記した。
Figure 2019147934
表1の結果より以下のことが明らかである。
実施例1〜3と比較例1〜9の比較から、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂1.0〜5.0重量部、(C)ヒンダードアミン化合物0.001〜1重量部、(D)リン系耐熱剤0.001〜0.1重量部、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体を1〜20重量部、(F)強化繊維を10〜60重量部配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、流動性、機械特性、滞留安定性、低ガス性のバランスに優れ、かつ高度な耐加水分解特性を有することがわかる。
また、実施例4〜6と実施例1〜3、および比較例1〜9の比較から、さらに(G)高級脂肪酸金属塩を0.001〜0.2重量部配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、滞留安定性を維持しながら耐加水分解性がさらに優れることがわかる。

Claims (9)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂を1.0〜5.0重量部、(C)ヒンダードアミン化合物を0.001〜1重量部、(D)リン系耐熱剤を0.001〜0.2重量部、(E)エチレン/アルキルアクリレート共重合体を1〜20重量部、および(F)強化繊維を10〜60重量部配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
    Figure 2019147934
    (一般式(1)中、nは0〜10の値を表す。)
  2. 前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の250℃、1000gf条件下におけるメルトフローレートが40g/10分以上である請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のカルボキシル基濃度が20eq/t以下である請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. 前記(B)一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂の一般式(1)中におけるnが、1〜3を示すエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  5. 前記(C)ヒンダードアミン化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有するNH型ヒンダードアミン化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2019147934
  6. さらに(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(G)高級脂肪酸金属塩を0.001〜0.2重量部配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
  7. 前記(F)強化繊維が、Eガラスと同じ成分を主成分とするガラス繊維であり、550℃で2時間灰化した後、走査電子顕微鏡を使用し元素分析した時の組成が、ガラス繊維全量100重量部に対し55.0〜60.0重量部のSiO2、16.0〜20.0重量部のAl2O3、8.0〜12.0重量部のMgO、および10.0〜20.0重量部のCaOを含有するガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  8. 前記(F)強化繊維が、引張弾性率が80GPa以上のガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023229132A1 (ko) * 2022-05-25 2023-11-30 (주) 엘지화학 폴리에스테르 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 성형품
WO2024005288A1 (ko) * 2022-06-27 2024-01-04 (주) 엘지화학 자동차 내장재용 복합수지 조성물 및 이를 이용한 자동차 내장재

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