JP2019147182A - 連続鋳造設備及び鋳造ストリップの巻取方法 - Google Patents

連続鋳造設備及び鋳造ストリップの巻取方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コイル状に巻取られた鋳造ストリップが、冷却過程において破断することを防止し、歩留り向上、更には製造コストの低減を可能とする。【解決手段】一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の冷却ドラムを回転させながら金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳造ストリップを圧延する圧延装置と、圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された鋳造ストリップをコイル状に巻取る巻取装置と、巻取装置により、鋳造ストリップを巻取る際に、コイル状に巻取られた鋳造ストリップの間に物質が介在するように介在物を供給する介在物供給装置と、を備え、鋳造ストリップ間に介在する介在物は、鋳造ストリップ間の温度が常温よりも高温であるときに、消失またはコイル径方向の介在物の厚みが減少する、連続鋳造設備を提供する。【選択図】図3

Description

本発明は、連続鋳造設備及び鋳造ストリップの巻取方法に関する。
双ドラム式連続鋳造装置では、例えば、特許文献1に記載されるような水平方向に対向配置された一対の連続鋳造用冷却ドラム(以下、「冷却ドラム」ともいう。)とサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムを回転させて薄肉の鋳片(以下、「鋳造ストリップ」という。)を鋳造する。金属溶湯貯留部に金属溶湯が貯留されると、冷却ドラムはそれぞれ上方から下方に回転され、金属溶湯を冷却ドラムの周面で凝固、成長させながら鋳造ストリップとして下方へ送り出す。冷却ドラムから送り出された鋳造ストリップは、ピンチロールによって水平方向へ送り出され、下流のインラインミルによって所望の板厚に調整される。インラインミルによって板厚が調整された鋳造ストリップは、インラインミルの下流に設置された巻取装置によってコイル状に巻取られる。
このような双ドラム式連続鋳造装置では、冷却ドラムは、一般的に、鋳造開始前は低温であり、鋳造を開始すると金属溶湯との接触により昇温する。また、冷却ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって所定の温度以上とならないように冷却されている。以下、冷却ドラムの温度が所定の温度に到達して一定となった期間を定常鋳造期間、定常鋳造期間の任意の時点を定常鋳造時、定常鋳造期間での冷却ドラムの温度を定常温度とする。また、定常鋳造期間の状態を定常状態という。
冷却ドラムのプロフィルは、鋳造を開始してから定常状態となるまでに経過時間とともに変化する。このため、冷却ドラムのプロフィルは、定常鋳造時における鋳造ストリップの板プロフィル(板クラウン)が所望の板プロフィルとなるように設定されている。
また、このような双ドラム式連続鋳造装置では、鋳造開始に当たってダミーシートが用いられている。このダミーシートの先端は、コイル巻取装置にセットされ、ダミーシートの尾端は双ロールドラムで挟むようにセットされている。
鋳造を開始すると、先ず鋳造ストリップの先端となる溶融金属は冷えて固まり、前述のダミーシートの尾端と結合する。その後ダミーシートと結合した鋳造ストリップは、冷却ドラムが回転することで、順次鋳造コイルに供給される。この鋳造ストリップとダミーシートとの結合部の板厚は、鋳造ストリップの板厚よりも遙かに厚い。この板厚が厚い部分をこぶとも称する。こぶをピンチロールやインラインミルで強く押さえたり、圧延したりすると蛇行または板破断が生じてしまうため、この部分はから通しを行う。鋳造ストリップの先端では板クラウンに変動があることから、蛇行または板破断の発生を防止するため、インラインミルでの圧延は、定常状態となってから開始される。鋳造ストリップの先端がインラインミルを通過後に、インラインミルのロールを回転させながらロールギャップを締め込み、圧延を開始する。この方法をフライングタッチと称する。また、以下では、インラインミルでの圧延が開始されるまでの鋳造ストリップを無圧延の鋳造ストリップと称する。
鋳造ストリップの先端からフライングタッチ完了までは、インラインミルで圧延が行われない。よって、圧延装置の下流に配置された巻取装置は、鋳造ストリップの巻取初期において無圧延の鋳造ストリップを巻取り、その後、インラインミルの圧延が定常状態となって圧延された鋳造ストリップが高温で巻取られる。鋳造ストリップの巻取りが完了すると、コイルは空冷により冷却される。
巻取られてコイル状となった鋳造ストリップは、冷却過程において熱収縮が生じて引張応力が発生する。鋳造ストリップの鋼種により、この引張応力は異なり、例えば高Si鋼等では、無圧延の鋳造ストリップは、材料の伸びがほとんど見られず脆い。特に高温で巻取られた高Si鋼は、無圧延の鋳造ストリップ部分において、冷却過程での熱収縮に耐えられず、引張応力により鋳造ストリップが破断してしまうことがあった。
このような課題を解決する方法として、例えば特許文献2には、鋳造ストリップを巻取る際に、高温で耐熱性と弾力性を有する材質(ガラス繊維、アルミナ繊維、石綿など)が使用された帯状シートを鋳造ストリップ間に挿入することで、鋳造ストリップを巻取る技術が開示されている。特許文献2においては、この帯状シートがクッション層となり緩衝材の役割を果たすことで鋳造ストリップに発生する張力を緩和し、巻取り後の鋳造ストリップの破断を抑制している。
特開2000−343103号公報 特開平5−138305号公報
しかしながら、高Si鋼では特に、圧延時の安定化のためコイルの巻取り張力を上昇させて鋳造ストリップを巻取る。そのため、特許文献2に記載の帯状シートを用いた場合、鋳造ストリップの巻取りの際には帯状シートが既に弾性変形しており、鋳造ストリップの冷却工程での緩衝効果を得ることができない。
また、特許文献2に記載の帯状シートにて、十分な緩衝効果を得ようとすると、帯状シートの厚みが数十mmは必要となるため、巻取り後の帯状シートを含めた鋳造ストリップの半径が大きくなり、実用的ではなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、双ドラム式連続鋳造装置により製造されてコイル状に巻取られた鋳造ストリップが、冷却過程において熱収縮に起因する引張応力によって破断することを防止し、歩留り向上、更には製造コストの低減が可能な、新規かつ改良された連続鋳造設備及び鋳造ストリップの巻取方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳造ストリップを圧延する圧延装置と、前記圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された常温よりも高温な鋳造ストリップをコイル状に巻取る巻取装置と、前記巻取装置により、前記常温よりも高温な鋳造ストリップを巻取る際に、コイル状に巻取られた前記常温よりも高温な前記鋳造ストリップの間に物質が介在するように前記介在物を供給する介在物供給装置と、を備え、前記介在物は、前記常温よりも高温な鋳造ストリップ間で、消失またはコイル径方向の前記介在物の厚みが減少する、連続鋳造設備が提供される。
前記介在物は、常温よりも高温である場合に燃焼してもよい。
前記介在物は、紙、竹、木材、または高分子材料であってもよい。
前記介在物は、常温以上の高温である場合に溶融してもよい。
前記介在物は、氷であってもよい。
前記介在物は、常温以上の高温である場合に昇華してもよい。
前記介在物は、ドライアイスであってもよい。
前記介在物が、シート状であるとき、シート状の前記介在物を切断する切断装置を備えてもよい。
前記介在物供給装置は、袋体に収容された前記介在物を供給してもよい。
前記袋体は、常温よりも高温である場合に燃焼する材料であってもよい。
前記袋体は、コイル状に巻取られた前記鋳造ストリップ間の温度では燃焼しない材料であってもよい。
前記介在物または前記介在物を収容する袋体から発生する気体を回収する排気装置を備えてもよい。
前記介在物供給装置は、少なくとも前記鋳造ストリップのうち先端部からフライングタッチ完了部までが前記巻取装置により巻取られるまで前記介在物を供給してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳造ストリップを圧延する圧延装置と、前記圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された常温よりも高温な鋳造ストリップをコイル状に巻取る巻取装置と、を備える連続鋳造設備において、前記巻取装置による前記常温よりも高温な鋳造ストリップの巻取り時に、前記常温よりも高温な鋳造ストリップ間で消失またはコイル径方向に厚みが減少する介在物を、前記常温よりも高温な鋳造ストリップ間に供給する、鋳造ストリップの巻取方法、が提供される。
上記構成により、常温よりも高温な鋳造ストリップがコイル状に巻取られる際に、常温よりも高温な鋳造ストリップ間に介在物が供給され、常温よりも高温な鋳造ストリップ間で、介在物が消失または介在物のコイル径方向の厚みが減少する。そのため、巻き取られた鋳造ストリップ間に空間を設けることができ、熱収縮による破断を防止することができる。
以上説明したように本発明によれば、双ドラム式連続鋳造設備により製造される鋳造ストリップにおいて、鋳造開始からフライングタッチ完了までの無圧延の鋳造ストリップが、巻取られた後に冷却過程で破断することを防止し、製造コストの低減及び歩留り向上をさせることができる。
鋳造ストリップの破断の様子を示す概念図である。 鋳造ストリップの破断の様子を示した図である。 本発明の一実施形態に係る双ドラム式連続鋳造設備を示した図である。 同実施形態に係る圧延開始時における鋳造ストリップSの先端とダミーシートとの接続部を示した説明図である。 同実施形態にかかる介在物供給装置の変形例を示した図である。 インラインミルによる圧下率及び室温における破断伸びの関係を示した図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.発明概要)
本発明は、双ドラム式連続鋳造装置によって鋳造され、インラインミルにて圧延後、コイル状に巻取られた鋳造ストリップが、冷却過程において破断することを防止する技術に関する。
ここでまず、図1及び図2を参照して、コイル状に巻取られた鋳造ストリップが冷却される過程で破断する様子を説明する。図1は、コイル状の鋳造ストリップの破断状態を示す概念図である。圧延後に巻取られた鋳造ストリップS1は、冷却過程において熱収縮が生じるため、引張り応力が発生する。鋳造ストリップS2は、鋳造ストリップS1の冷却途中を示しており、コイル内側にて破断部S21が生じている。破断部S21は、鋳造開始時からフライングタッチ完了までの無圧延の鋳造ストリップ区間に生じ得る。材料の特性上、無圧延の鋳造ストリップは、材料の伸びがほとんど見られないため、熱収縮に耐えられず破断することがある。
鋳造ストリップS2のように鋳造ストリップが一部破断すると、次工程における鋳造ストリップを巻戻す作業において、作業者が非定常作業である手作業にて鋳造ストリップの破断部を処理する必要がある。このため、鋳造ストリップに一部でも板破断が生じると、生産性を著しく低下させていた。
また、鋳造ストリップS2に破断部S21が生じると、破断の衝撃により、鋳造ストリップS3のように、コイル状の鋳造ストリップの外周部にまで破断部S31が生じる場合がある。図2では、鋳造ストリップが全破断した様子を示しており、破断部S31では、巻取られた鋳造ストリップが、何層にも亘って破断している様子がわかる。この様に鋳造ストリップに全破断が生じると、該鋳造ストリップは廃棄されるため、多大な歩留り低下を生じさせることとなる。
以上のように、従来の双ドラム式連続鋳造装置では、鋳造開始からフライングタッチ完了部までの無圧延の鋳造ストリップが巻取られて冷却される過程で、鋳造ストリップに破断が生じ、製造コストが上昇したり、歩留まりが低下したりしていた。
よって、本発明者は、コイル状の鋳造ストリップの冷却過程において板破断を防止する技術を鋭意研究した。その結果、巻取られた鋳造ストリップの間に空間が生じるように、鋳造ストリップ間の温度が常温よりも高温であるときに、消失またはコイル径方向の厚みが減少する介在物を鋳造ストリップ間に供給することを想到した。これにより、鋳造ストリップ間に空間が設けられるため、熱収縮による鋳造ストリップの収縮代を確保でき、板破断を防止することができる。
(2.鋳造ストリップ製造工程)
次に、図3〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る鋳造ストリップを製造する製造工程の概要を説明する。図3は、本実施形態に係る鋳造ストリップ(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を示す説明図である。
本実施形態に係る鋳造ストリップ製造工程1は、図3に示すように、例えば、貯蔵装置であるタンディッシュTと、双ドラム式連続鋳造設備10と、酸化防止装置20と、冷却装置30と、第1のピンチロール装置40と、インラインミル50と、第2のピンチロール装置60と、巻取装置70と、介在物供給装置100と、排気装置103とを備えている。
(双ドラム式連続鋳造装置)
双ドラム式連続鋳造装置10は、図3に示すように、例えば、一対の冷却ドラム10a及び10bと、一対の冷却ドラム10a及び10bの軸方向両側に配置されたサイド堰(図示せず。)と、を備える。一対の冷却ドラム10a及び10bとサイド堰とは、タンディッシュTから供給される溶融金属を貯留する金属溶湯貯留部15を構成している。
一対の冷却ドラム10a及び10bは、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとを備えている。第1冷却ドラム10a及び第2冷却ドラム10bは、軸方向中央が僅かに窪んだ凹形状のプロフィルを有している。また、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとは、製造する鋳造ストリップの板厚あるいは内部品質に応じて、冷却ドラム10a、10bの間隔を調整可能に構成されている。第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、内部に冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却ドラム10a、10bの内部に冷却媒体を流通させることによって、冷却ドラム10a、10bを冷却することができる。
本実施形態では、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、例えば、外径800mm、ドラム胴長(幅)1500mm、定常時における鋳造ストリップの板クラウンが30μmになるように設定(初期加工)されている。なお、一対の冷却ドラム10a、10bの外径、ドラム胴長(幅)は、これに限定されないことはいうまでもない。
図4は、圧延開始時における鋳造ストリップSの先端とダミーシート11との接続部を示した説明図である。双ドラム式連続鋳造装置10では、図4に示すように、鋳造ストリップSの先端にダミーシート11を接続して、鋳造を開始する。ダミーシート11の先端には、鋳造ストリップSよりも厚みを有するダミーバー13が設けられており、ダミーバー13によってダミーシート11が誘導される。また、鋳造ストリップSの先端とダミーシート11との接続部には、鋳造ストリップSの板厚よりも厚いこぶ12が形成される。インラインミル50における圧延では、このこぶがインラインミル50を通過した後に圧延を開始するフライングタッチと呼ばれる圧延開始方法が行われる。このような圧延開始方法により、鋳造ストリップSの先端部からフライングタッチ完了部分までの鋳造ストリップSは、鋳造されたままの無圧延の状態となる。
(酸化防止装置)
酸化防止装置20は、鋳造直後の鋳造ストリップSの表面が酸化してスケールが発生するのを防止するための処理を行う装置である。酸化防止装置20内では、例えば、窒素ガスによって酸素量を調整することが可能である。酸化防止装置20は、鋳造する鋳造ストリップSの鋼種等を考慮し、必要に応じて適用することが好ましい。
(冷却装置)
冷却装置30は、酸化防止装置20により酸化防止処理が表面に施された鋳造ストリップSを冷却する装置である。冷却装置30は、例えば、複数のスプレーノズル(図示せず。)を備え、鋼種に応じてスプレーノズルから鋳造ストリップSの表面(上面及び下面)に対して冷却水を噴出し、鋳造ストリップSを冷却する。
なお、酸化防止装置20と冷却装置30との間に、一対の送りロール87を配置してもよい。一対の送りロール87は、圧下装置(図示せず。)によって鋳造ストリップSを挟むとともに、一対の冷却ドラム10a、10bと送りロール87との間における鋳造ストリップSのループ長を計測しながら、当該ループ長が一定となるように鋳造ストリップSに水平方向の搬送力を付与する。送りロール87は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
(第1のピンチロール装置)
第1のピンチロール装置40は、インラインミル50の入側に配置されるピンチロール装置である。第1のピンチロール装置40は、上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bと、ハウジングと、ロールチョックと、圧延荷重検出装置と、圧下装置(第1のピンチロール装置40以外はいずれも図示せず。)と、を備えている。上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、第1のピンチロール装置40を冷却することができる。
上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、ハウジング内のロールチョックを介して配置されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。また、上ピンチロール40aは、上圧延荷重検出装置(図示せず。)を介してパスライン調整装置(図示せず。)と連結されており、下ピンチロール40bは、圧下装置(図示せず。)と接続されている。
かかる構成の第1のピンチロール装置40では、下ピンチロール40bが圧下装置により上ピンチロール40a側へ押し上げられると、上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bに負荷された圧下荷重が検出されるとともに、第1のピンチロール装置40と矯正装置(図示せず。)との間の鋳造ストリップSに張力が発生する。また、第1のピンチロール装置40とインラインミル50との間の鋳造ストリップSに生じる張力が予め設定された張力になるように、一対のピンチロール40a、40bとインラインミル50とにおける鋳造ストリップSの移動速度は制御されている。また、第1のピンチロール装置40と矯正装置との間の鋳造ストリップSの張力は、テンションロール88aにて検出される。第1のピンチロール装置40の上流側には、鋳造ストリップSの位置を検出する位置検出装置41が設けられてもよい。
(インラインミル)
インラインミル50は、鋳造ストリップSを圧延して、鋳造ストリップSを所望の板厚にする圧延装置である。本実施形態では、インラインミル50は6段圧延機として構成されている。すなわち、インラインミル50は、一対のワークロール51a、51bと、ワークロール51a、51bの上下に配置された中間ロール52a、52bと、中間ロール52a、52bの上下に配置されたバックアップロール53a、53bと、を備える。本実施形態では、例えば、ロール径400mmのワークロール51a、51b、ロール径450mmの中間ロール52a、52b、ロール径1200mmのバックアップロール53a、53bを用いてもよい。各ロールの胴長は同一であってもよく、例えば2000mmとしてもよい。
また、インラインミル50は、インラインミルを制御するインラインミル制御装置や板厚計(いずれも図示せず。)等を備えている。ワークロール51a、51bは、モータ(図示せず。)により回転駆動されるとともに、入側及び出側から冷却水により冷却されている。また、バックアップロール53aの上方には、バックアップロール53aを下方へ圧下する油圧シリンダ(図示せず。)が設けられている。
インラインミル50では、定常鋳造時に鋳造された鋳造ストリップSの先端が、インラインミル50を通過した後に、インラインミル50のワークロール51a、51bを回転させながらロールギャップを締め込んで圧延を開始する。このような圧延方法は、フライングタッチと呼ばれる。
また、インラインミル50は、インラインミル制御装置により制御されている。インラインミル制御装置は、例えば、インラインミル50を統括して制御するミル制御部、油圧シリンダを制御する油圧シリンダ制御部、中間ロールシフト制御部、ロール回転制御部、ロールベンディング力設定部等(いずれも図示せず。)を含む。
油圧シリンダ制御部は、バックアップロール53aに連結された油圧シリンダを圧下制御する。油圧シリンダ制御部は、インラインミル50を統括して制御するミル制御部からの指示に基づき、油圧シリンダを制御して、ワークロール51a、51b間のロールギャップを調整する。この際、ミル制御部は、インラインミル50の出側に設置された板厚計(図示せず。)により測定された鋳造ストリップSの板厚に基づいて、鋳造ストリップSが予め設定された板厚に形成されるようにロールギャップを調整する。板厚計には、例えばX線板厚計等を用いてもよい。中間ロールシフト制御部は、ミル制御部からの指示に基づき、中間ロール52a、52bをそれぞれロール軸方向に移動させる。ロール回転制御部は、ミル制御部からの指示に基づき、ワークロール51a、51bの回転速度を制御する。ロールベンディング設定部は、ワークロール51a、51bに対するロールベンディング力を設定する。
(第2のピンチロール装置)
第2のピンチロール装置60は、インラインミル50の出側に配置されている。第2のピンチロール装置60は、第1のピンチロール装置40と同様、上ピンチロール及び下ピンチロールと、圧延荷重検出装置と、圧下装置とを備えている。上ピンチロール及び下ピンチロールは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、ピンチロールを冷却することができる。上ピンチロール及び下ピンチロールは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。また、上ピンチロール及び下ピンチロールは、ハウジング内のロールチョックを介して配置されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。インラインミル50と第2のピンチロール装置60との間には、テンションロール88bが配置されている。
(巻取装置)
巻取装置70は、第2のピンチロール装置60の出側に配置され、圧延された常温よりも高温な鋳造ストリップSをコイル状に巻取る装置である。第2のピンチロール装置60と巻取装置70との間には、デフレクタ-ロール89が配置されている。
(介在物供給装置)
介在物供給装置100は、巻取装置70が常温よりも高温な鋳造ストリップSをコイル状に巻取る際に、介在物Dを鋳造ストリップS間に供給する装置である。本実施形態においては、図3に示すように、介在物供給装置100の一例として、シート状の介在物Dを供給する装置を示している。介在物供給装置100は、巻取装置70に巻取られる鋳造ストリップSが既に巻回されている鋳造ストリップSと重なる直前で介在物Dを供給できるように、巻取装置70の近傍に配置される。
図3に示す介在物供給装置100から供給されるシート状の介在物Dは、例えば無駆動の回転軸にコイル状に巻回されており、巻取装置70に巻取られる鋳造ストリップSに供給されると、巻取装置70の回転駆動によって鋳造ストリップSとともに巻取られる。また、介在物供給装置100は、無駆動の回転軸の慣性による回転を抑制するために、例えば、パウダーブレーキのようなブレーキ機能(図示せず。)を備えてもよい。なお、図示していないが、介在物供給装置100の介在物Dの先端をつかみ、巻取装置70に誘導する介在物誘導装置が配備されてもよい。
介在物供給装置100から供給されるシート状の介在物Dが、巻取装置70に巻取られる鋳造ストリップSに正しく供給されるように、その搬送ラインがデフレクターロール101により位置決めされている。また、巻取装置70とデフレクターロール101との間には、シート状の介在物Dを切断する切断装置102が配備されている。切断装置102を設けることで、コイル状に巻回された鋳造ストリップSの間に必要な分だけシート状の介在物Dを供給することができる。
なお、介在物Dの詳細は後述するが、介在物Dは、図3に示したシート状以外にも、例えば氷等の粒状のものもある。この場合には、図3に示した介在物供給装置100の代わりに、例えば図5に示すような介在物供給装置100aを用いて、介在物Dを供給してもよい。介在物供給装置100aは、例えば、介在物Dを収容するホッパーを備え、ホッパーの供給口から介在物Dを所定の供給量だけ、鋳造ストリップS間に供給可能に構成されている。供給量の変更により、コイル状の鋳造ストリップSのコイル径方向の介在物の厚みを変更することができる。また、介在物供給装置100aから供給される粒状等の介在物Dが鋳造ストリップS上からこぼれ落ちないように、鋳造ストリップSの両端には、仕切り板(図示せず。)等が設けられてもよい。
(排気装置)
巻取装置70の上部には、介在物Dが消失または減少する際に発生する排煙を回収して排出する排気装置103が配備され得る。排気装置103は、例えばダクト、配管、排気ファンから構成され、巻取装置70の上方に設置されたフードにて囲い込んだ排煙を、排気ファンを駆動させることで、ダクト、配管を介して設備外へ排出する。排気設備103には、必要に応じて排煙に含まれる物質を捕集するフィルター等を設けても良い。
(3.介在物の種類)
本実施形態において鋳造ストリップS間に供給される介在物Dには、常温よりも高温な鋳造ストリップS間で、消失またはコイル径方向の介在物の厚みが減少する物質が用いられる。介在物Dが消失または介在物の厚みがコイル径方向に減少することにより、鋳造ストリップS間に空間が生じる。鋳造ストリップSが冷却される際には、この空間が熱収縮の際の鋳造ストリップSの収縮代となるため、鋳造ストリップSが破断することなく冷却できる。なお、鋳造ストリップSの巻取り温度は通常800℃〜1000℃程度であり、鋳造ストリップSは、常温になるまで冷却される。
ここで、常温よりも高温な鋳造ストリップS間で介在物Dが消失するとは、鋳造ストリップSが対向する領域において、介在物供給装置100により供給された介在物Dが時間の経過とともに自然になくなることをいう。このように介在物Dが消失することにより、対向する鋳造ストリップSの間に空間が存在するようになる。また、介在物Dの厚みが減少するとは、鋳造ストリップS間に供給された介在物Dの体積が時間の経過とともに変化したときに、コイル径方向に介在物Dの厚みが減少することをいう。介在物Dの消失と同様に、介在物の厚みが減少することにより、対向する鋳造ストリップSの間に空間が存在するようになる。
まず、コイル径方向に介在物Dの厚みが減少する場合に関して説明を行う。介在物Dの厚みが減少する一例として、例えば介在物Dは、鋳造ストリップ間の温度が常温よりも高温である場合に燃焼してもよい。介在物Dが燃焼することにより、介在物Dの体積が減少し、介在物Dのコイル方向の厚みが減少し得る。燃焼にて発生する排煙等は、排気装置により系外へ排出される。介在物Dは、例えば、紙、竹、木材、または高分子材料であってもよい。これらの物体を介在物Dとした場合には、鋳造ストリップS間に供給される際に容易に供給可能なシート状に加工することができ、利便性が向上する。
また、介在物Dは、鋳造ストリップ間の温度が常温以上の高温である場合に溶融してもよい。溶融することにより、介在物Dは、固体から液体へ変化するため、流動性を持ち、容易に鋳造ストリップS間から除去され、鋳造ストリップS間に空間を持たせることができる。例えば、介在物Dは、氷であってもよい。介在物Dが氷である場合には、氷が水に変化することにより、体積が減少するために、鋳造ストリップS間に空間を持たせることができる。また、介在物Dが氷であれば、表面への異物の付着による鋳造ストリップSの品質に与える影響を抑制して使用することができる。
次に、介在物Dが消失する場合に関して説明を行う。介在物Dが消失する一例として、例えば介在物Dは、鋳造ストリップ間の温度が常温以上の高温である場合に昇華してもよい。介在物Dが昇華することにより、固体が気体となるため、鋳造ストリップS間に空間を持たせることができる。具体的には、介在物Dはドライアイスであってもよい。ドライアイスから発生した気体は、排気装置により回収されてもよい。介在物Dが昇華することにより、別途、介在物Dを回収または除去する手間を省くことができる。
(3−1.介在物の形状)
介在物Dの形状は、例えばシート状であってもよい。介在物Dをシート状とすることで、介在物Dを連続的に鋳造ストリップS間に供給することができる。シート状の介在物Dは、鋳造ストリップSの幅と同程度の幅を有するのが望ましい。また、シート状の介在物Dは、凹凸を有していてもよいが、その厚みは、均一であるのがよい。これにより、鋳造ストリップSの間に径方向に均一な高さの空間を形成することができる。
介在物Dの形状は、粒状であってもよい。粒状とは、球状であってもよく、粒の粒径は5〜6mm程度であってもよい。このように介在物Dが粒状であれば、介在物供給量の調整により、鋳造ストリップS間に介在する介在物Dのコイル径方向の厚みを調整できる。例えば、介在物Dは氷の粒であってもよく、ドライアイスの粒であってもよい。また、介在物Dは、均一の粒状に限らず不均一な粉砕状であってもよい。例えば、介在物は廃棄プラスチック片のような粉砕状の物体であってもよい。これにより、廃材等を有効に使用することができる。
上述したような粒状の介在物Dは、袋体に収容されて供給されてもよい。袋体に収容されることにより、介在物Dの散乱を防止することができ、鋳造ストリップSが対向する領域に安定的に介在物Dを供給することができる。また、このような介在物Dを袋体に収容して供給することにより、介在物Dに含まれる物質が、鋳造ストリップSに付着することを抑制できる。
上述したような袋体は、常温よりも高温である場合に燃焼する材料から形成してもよい。袋体は燃焼することにより、体積が減少するため、鋳造ストリップSが対向する領域に、より空間を生じさせることができる。袋体は、例えば、紙、または高分子材料であってもよい。
一方で、袋体は、鋳造ストリップS間の温度において燃焼しない材料から形成されてもよい。袋体が燃焼しないことにより、袋内に収容された介在物Dが露呈しないため、鋳造ストリップSに介在物Dが付着することを抑制することができる。このような袋体は、例えばSiO繊維物から形成することができる。SiO繊維物は耐火温度が1000℃程度であり、鋳造ストリップS間の温度では燃焼しない。このように、鋳造ストリップS間の温度にて燃焼しない袋体であれば、袋体はSiO繊維物には限られない。
(3−2.介在物の供給箇所)
さらに、本発明者は、上述したような介在物Dを鋳造ストリップSのどの部分に供給する必要があるかに関しても鋭意研究を行った。
ここで、図6を参照して、鋳造ストリップSの破断と圧下率の関係を説明する。図6は鋳造ストリップSに対するインラインミルの圧下率と圧延された鋳造ストリップSの破断伸び(温度室温)の関係を示している。この例は、鋳造ストリップSがSiを3%以上含有する高Si鋼の一例を示している。なお、図6における鋳造ストリップの板厚は2mm、インラインミル入側の鋳造ストリップ板温度は1000℃である。
インラインミルで圧延すべき圧下率および板温度は、鋼種または得るべき品質、もしくは材質によって異なり、特に高Si鋼では、圧延温度が1000℃の場合には、25%以上の圧下率にて圧延を行う。
図6に示すように、圧下率の上昇に伴い、室温における鋳造ストリップSの破断伸びは増加し、圧下率25%以上では、破断伸びの増加率が鈍化する傾向が得られた。一方、から通しにより圧下を行わない圧下率が0%の無圧延の鋳造ストリップ部分で破断伸びはほとんど無いことがわかる。このため少しの熱収縮でも鋳造ストリップSは破断してしまう。従って、から通しにより圧下を行わない鋳造開始からフライングタッチ完了までの無圧延の鋳造ストリップ部分は、フライングタッチ完了後の部分に比べて、冷却工程での熱収縮で破断しやすいことが分かる。これより、板破断を防止するためには、少なくとも鋳造開始からフライングタッチ完了までの無圧延の鋳造ストリップに対して、熱収縮による引張応力を低減することが有効であるといえる。
なお、図示はしていないが、鋳造ストリップのインラインミルでの圧下率と強度に関しても、図6に示した傾向とほぼ一致した。よって、インラインミルで圧下率を高くするほど強度も高くなる。従って、インラインミルで圧下を行った鋳造ストリップSは、インラインミルでの圧下を行わない無圧延の材料よりも破断しにくい、との知見も得られた。
以上より、鋳造ストリップ巻取り後の冷却工程において、少なくとも鋳造開始からフライングタッチ完了までの無圧延の鋳造ストリップに対して介在物を供給することで、冷却工程での熱収縮による鋳造ストリップSの破断を防止することができる。
(4.まとめ)
以上、本実施形態に係る連続鋳造設備を説明した。本実施形態に係る連続鋳造設備では、巻取装置による鋳造ストリップの巻取り時に、常温よりも高温な鋳造ストリップ間で消失またはコイル径方向に厚みが減少する介在物を、鋳造ストリップ間に介在させる。これにより、冷却過程で鋳造ストリップが破断するのを防止する。鋳造ストリップの破断を防止することにより、製造コストの低減及び歩留り向上をさせることができる。
以下、本発明に関する実施例について説明する。本実施例は、図3または図5と同様の構成を備えた鋳造ストリップの製造工程において実施した。また、実施例に使用した鋳造ストリップは、Siを3%含有する高Si鋼であり、鋳造板厚2mm、板幅1200mmであった。鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは、150m/min/30秒であり、定常状態の冷却ドラムの回転速度は、150m/minであった。なお、冷却ドラムの初期プロフィルは、定常状態で鋳造ストリップの板クラウンが43μmとなるように初期プロフィルを加工した。
また、インラインミル入側の温度で1000℃であった鋳造ストリップを、インラインミルの圧化率30%で圧延し、インラインミル出側の鋳造ストリップの板厚を1.4mmとした。圧延後、該鋳造ストリップ間に、介在物を供給して、内径20センチのコイラーにて、巻取り張力10MPaとして巻取りを行った。巻取り後に、空冷による冷却を行い、コイルに板破断が生じるか否かを調査した。なお、コイラーには巻取りスリーブがセットされ、鋳造ストリップはスリーブ上に巻かれ、巻取られたコイル状の鋳造ストリップはスリーブ毎に取り出された後、次工程へ送られた。
介在物の供給は、鋳造ストリップの先端部から、インラインミルによる圧延が開始されるまでのフライングタッチ完了までの範囲で行い、該フライングタッチ完了部分にて介在物の供給を終了した。
なお、インラインミルでの圧延は、ダミーシートが通過して、鋳造ストリップの板クラウンが150μm以下になった後である鋳造開始から15秒後から開始した。
実施例1では、介在物としてシート状の紙を用いた。また、実施例2及び3では、介在物としてポリエチレンを用い、袋体に収容して供給した。実施例2では、粒径7mmを有する粒状のポリエチレンを厚さ0.3mmの紙製の袋体に収容した。実施例3では、粒径6mmを有するポリエチレンを厚さ1.0mmのSiO繊維織物からなる袋体に収容した。実施例4では、介在物として粒径6mmのドライアイスを用いた。比較例では、介在物を供給せずに鋳造ストリップのみで巻取りを行った。
まず、実施例1に関して説明する。実施例1では、厚みの異なる幅1200mmの紙を、鋳造ストリップの先端からフライングタッチ完了部まで供給し、板破断の有無を調べた。フライングタッチ完了部では、紙を切断することで介在物の供給を終了した。
その結果、厚さが5mm以上であれば、鋳造ストリップに板破断が生じないことが確認された。また、鋳造ストリップの巻取り過程において、紙の燃焼による煙が発生したが、排気装置によりスムースに排気処理が行われた。この結果より、介在物の平均厚みは、少なくとも5mm以上であればよいことがわかった。
次に、実施例2では、鋳造ストリップの先端からフライングタッチ完了部までの間で、粒径7mmのポリエチレンを、0.3mmの紙で作製された袋体に収容して供給した。コイル状に巻取られた鋳造ストリップ間に供給されている介在物のコイル径方向の厚みは、5mmであった。
実施例2における鋳造ストリップに関しても、常温まで冷却を行ったが、板破断が生じることは無かった。
実施例3では、鋳造ストリップの先端からフライングタッチ完了部までの間で、粒径6mmのポリエチレンを袋体に収容して供給した。コイル状に巻取られた鋳造ストリップ間に供給されている介在物のコイル径方向の厚みは、5mmであった。
実施例3における鋳造ストリップに関しても、常温まで冷却を行ったが、鋳造ストリップに板破断が生じることは無かった。
実施例4では、鋳造ストリップの先端からフライングタッチ完了部までの間で、袋体を使用せずに粒径6mmのドライアイスを直接供給した。コイル状に巻取られた鋳造ストリップ間に供給されている介在物のコイル径方向の厚みは、5mmであった。
実施例4における鋳造ストリップに関しても、常温まで冷却を行ったが、鋳造ストリップに板破断が生じることは無かった。実施例4の様に、介在物としてドライアイスを供給した場合には、実施例1のように介在物として紙を供給した場合と比較すると、燃焼物などが無いために、煙(水蒸気含む)の発生は抑制された。
一方で、比較例では、介在物を供給せずに鋳造ストリップを巻取った。比較例においては、この鋳造ストリップを常温まで冷却する際に、コイルの内側にて板破断が生じた。
以上のことから、本発明により、双ドラム式連続鋳造設備により製造される鋳造ストリップについて、コイル状に巻取られた鋳造ストリップを冷却する過程で生じる熱収縮に起因した引張応力による鋳造ストリップの破断を防止して、歩留まりの向上または製造コストの低減が可能であることが確認された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 鋳造ストリップ製造工程
10 双ドラム式連続鋳造装置
10a、10b 冷却ドラム
11 ダミーシート
12 突起部
13 ダミーバー
15 金属溶湯貯留部
20 酸化防止装置
30 冷却装置
40 第1のピンチロール装置
40a、40b ピンチロール
50 インラインミル
51a、51b ワークロール
52a、52b 中間ロール
53a、53b バックアップロール
60 第2のピンチロール装置
70 巻取装置
100 介在物供給装置
101 デフレクターロール
102 切断装置
103 排気装置

Claims (14)

  1. 一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、
    前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳造ストリップを圧延する圧延装置と、
    前記圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された常温よりも高温な鋳造ストリップをコイル状に巻取る巻取装置と、
    前記巻取装置により、前記常温よりも高温な鋳造ストリップを巻取る際に、コイル状に巻取られた前記常温よりも高温な前記鋳造ストリップの間に物質が介在するように前記介在物を供給する介在物供給装置と、
    を備え、
    前記介在物は、前記常温よりも高温な鋳造ストリップ間で、消失またはコイル径方向の前記介在物の厚みが減少する、連続鋳造設備。
  2. 前記介在物は、常温よりも高温である場合に燃焼する、請求項1に記載の連続鋳造設備。
  3. 前記介在物は、紙、竹、木材、または高分子材料である、請求項2に記載の連続鋳造設備。
  4. 前記介在物は、常温以上の高温である場合に溶融する、請求項1に記載の連続鋳造設備。
  5. 前記介在物は、氷である、請求項4に記載の連続鋳造設備。
  6. 前記介在物は、常温以上の高温である場合に昇華する、請求項1に記載の連続鋳造設備。
  7. 前記介在物は、ドライアイスである、請求項6に記載の連続鋳造設備。
  8. 前記介在物が、シート状であるとき、
    シート状の前記介在物を切断する切断装置を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
  9. 前記介在物供給装置は、袋体に収容された前記介在物を供給する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
  10. 前記袋体は、常温よりも高温である場合に燃焼する材料からなる、請求項9に記載の連続鋳造設備。
  11. 前記袋体は、コイル状に巻取られた前記鋳造ストリップ間の温度では燃焼しない材料からなる、請求項9に記載の連続鋳造設備。
  12. 前記介在物または前記介在物を収容する袋体から発生する気体を回収する排気装置を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
  13. 前記介在物供給装置は、少なくとも前記鋳造ストリップのうち先端部からフライングタッチ完了部までが前記巻取装置により巻取られるまで前記介在物を供給する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の連続鋳造設備。
  14. 一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、
    前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳造ストリップを圧延する圧延装置と、
    前記圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された常温よりも高温な鋳造ストリップをコイル状に巻取る巻取装置と、
    を備える連続鋳造設備において、
    前記巻取装置による前記常温よりも高温な鋳造ストリップの巻取り時に、前記常温よりも高温な鋳造ストリップ間で消失またはコイル径方向に厚みが減少する介在物を、前記常温よりも高温な鋳造ストリップ間に供給する、鋳造ストリップの巻取方法。

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