JP2019147172A - ロータハブの鍛造型、およびロータハブの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この製造方法では、仕上げ加工としての切削加工の前に、粗加工としての塑性加工を施すため、切削加工での切削代を小さくすることが可能になり、材料効率を改善し、製造コストを低減することができる。
このため、被加工材に鍛造加工を施してフランジ部を成形する際に、被加工材の一部が開口部から外側に逃げることが可能になり、被加工材のうち、フランジ部となる部分に加えられる鍛造加工の負荷を低減することができる。これにより、材料に残留ひずみ生じるのを抑えることができる。
また、第1鍛造工程において、フランジ部を除く部分を成形するので、特に高い加工精度が要求されるフランジ部と、フランジ部を除く部分と、を別の鍛造加工において成形することができる。これにより、それぞれの鍛造工程に用いられる金型の加工精度や成形条件等に自由度を与えることが可能になり、フランジ部の加工精度を確保しながら、製造コストがかさむのを抑えることができる。
図1に示すように、ロータハブ1は、図示しないアウターロータ式のスピンドルモータを構成する筒状の回転子である。ロータハブ1は、例えばステンレス鋼等の金属材料により形成されている。
また、回転軸Oと直交する方向を径方向といい、回転軸O回りに周回する方向を周方向という。
ロータハブ1は周方向に回転自在に支持され、図示しないスピンドルモータの駆動により周方向に回転する。
筒部10は、平面視で円形状を呈する頂壁部11と、頂壁部11の外周縁部から、軸方向に延びる筒状の周壁部12と、を備えている。周壁部12の軸方向の端部に、開口縁部10Aが形成されている。
ロータハブ1の製造方法では、粗加工としての鍛造加工、および仕上げ加工としての切削加工によりロータハブ1を製造する。
ロータハブ1の粗加工は、ロータハブ1のうち、フランジ部20を除く部分を成形する第1鍛造工程と、フランジ部20を成形する第2鍛造工程と、を備えている。
第1キャビティ型31は固定型であり、ロータハブ1の外形に沿った第1凹部33が形成されている。第1凹部33は平面視で円形状を呈している。第1凹部33は、回転軸Oと同軸に配置されている。
第1キャビティ中央型31Aおよび第1キャビティ囲繞型31Bはそれぞれ、回転軸Oと同軸に配置されている。第1キャビティ囲繞型31Bの内周面に、ロータハブ1の周壁部12が成形される。
第1コア型32は、円柱状の第1コア中央型32Aと、第1コア中央型32Aを径方向の外側から囲繞する筒状の第1コア囲繞型32Bと、を備えている。
第1コア中央型32Aおよび第1コア囲繞型32Bはそれぞれ、回転軸Oと同軸に配置されている。
第2キャビティ型41は固定型であり、ロータハブ1の外形に沿った第2凹部43が形成されている。第2凹部43は平面視で円形状を呈している。第2凹部43は、回転軸Oと同軸に配置されている。第2キャビティ型41は、1つの金型により構成されている。
第2コア型42は、円柱状の第2コア中央型42Aと、第2コア中央型42Aを径方向の外側から囲繞する筒状の第2コア囲繞型42Bと、を備えている。
第2コア中央型42Aおよび第2コア囲繞型42Bはそれぞれ、固定型となっており、回転軸Oと同軸に配置されている。
第2コア可動型42Cは、第2コア中央型42Aおよび第2コア囲繞型42Bに対して軸方向に変位自在とされている。
このため、第2鍛造工程において、第2コア中央型42Aおよび第2コア囲繞型42Bを軸方向に変位させることなく、第2コア可動型42Cだけを軸方向に変位させることができる。これにより、第2コア可動型42Cは、ロータハブ1のフランジ部20を成形する。
段差部42Dは、第2コア可動型42Cの軸方向の端面における外周縁部に配置され、前記端面から下方に向けて突出している。段差部42Dは、全周にわたって環状に形成されている。
なお、段差部42Dは、例えば周方向に間欠的に複数形成されてもよいし、例えば第2コア可動型42Cの軸方向の端面のうち、径方向の中間部に形成されてもよい。
開口部50は、第2キャビティ型41と、第2コア可動型42Cの段差部42Dと、の軸方向の間に形成されている。開口部50は、第2キャビティ型41と段差部42Dとの間に、全周にわたって形成されている。
開口部50の軸方向の大きさは、径方向および周方向の全域にわたって一様となっている。なお、前述したように段差部42Dの形状を変更することで、開口部50の軸方向の大きさを任意に変更することができる。
第1鍛造工程では、図4に示すように、第1鍛造型30における第1キャビティ型31の第1凹部33内に、被加工材1Aを配置する。被加工材1Aは例えば円柱状のステンレス鋼等である。
次に、被加工材1Aを軸方向に挟む第1キャビティ型31の反対側の位置に、第1コア型32を配置する。図示の例では、第1コア型32は、被加工材1Aの上方に配置されている。
そして、第1コア型32を軸方向の内側(下方)に向けて変位させて、冷間鍛造を行う。なお、鍛造加工は熱間鍛造であってもよい。
ここで、第1鍛造加工ではフランジ部20を成形しないため、第1中間材1Bにはフランジ部20が形成されていない。
これにより、図7に示すように、中間周壁部12Aが変形し、外形が第1中間材1Bよりもさらにロータハブ1の外形に近い第2中間材1Cが成形される。第2中間材1Cには、径方向の外側に向けて延びる中間フランジ部20Aが形成されている。
中間周壁部12Aは、第2コア可動型42Cからの加圧により、径方向の外側に向けて変形する。この際、中間周壁部12Aのうち、軸方向の端部に位置し、径方向の外側に向けて変形する部分(以下、変形部12Bという、図6参照)は、第2鍛造型40の開口部50から径方向の外側に向けて逃げるように変形する。
このため、変形部12Bは、軸方向の外端部が径方向の外側に向けた変形を規制された状態となり、変形部12Bのうち、段差部42Dと干渉していない部分が径方向の外側に向けて変形する。これにより、変形部12Bが過剰に変形することが抑えられ、変形部12Bの形状が崩れるのを抑制することができる。
すわなち、中間フランジ部20Aは、周壁部12から径方向に延びる内側フランジ部20Bと、内側フランジ部20Bよりも径方向の外側に位置し、内側フランジ部20Bよりも軸方向に薄い外側フランジ部20Cと、を備えている。
そして、周壁部12の外周面、およびフランジ部20における軸方向の外側を向く外面のうち、周壁部12の外周面と連なる部分を切削する。これにより、フランジ部20における軸方向の外側を向く外面のうち、周壁部12の外周面と連なる部分にディスク載置面21が形成される。
以上の工程により、図1に示すロータハブ1が製造される。
このため、被加工材1Aに鍛造加工を施してフランジ部20を成形する際に、第1中間材1Bの一部が開口部50から外側に逃げることが可能になり、第1中間材1Bのうち、フランジ部20となる部分に加えられる鍛造加工の負荷を低減することができる。これにより、材料に残留ひずみが生じるのを抑えることができ、仕上げ加工での加工精度を容易に確保することができる。
これにより、鍛造加工によりフランジ部20に加えられる負荷を顕著に低減することが可能になり、より一層効果的に被加工材1Aに残留ひずみが生じるのを抑えることができる。
このような金型を分割することによる応力分散の効果は、第1コア型32、および第2コア型42においても同様に奏功することができる。
次に、図8および図9を参照して、変形例に係るロータハブ1の製造方法について説明する。
変形例に係るロータハブ1の製造方法では、第2鍛造型40のみを用いてロータハブ1を成形する。すなわち、変形例に係るロータハブ1の製造方法では、まず、図8に示すように、第2キャビティ型41の第2凹部43に被加工材1Aを配置する。
また、第2鍛造工程として、第2コア可動型42Cを下方に向けてスライドさせて鍛造加工を行う。これにより、図7に示すように、第2凹部43内に第2中間材1Cが成形される。そして最後に、前述したように切削加工による仕上げ加工を行う。これにより、図1に示すロータハブ1が製造される。
次に、本発明のロータハブの製造方法の効果を確認した検証試験について説明する。
この検証試験では、有限要素法を用いて、仕上げ加工前における中間材の内部に発生するひずみ量について数値解析を行った。
この数値解析では、比較例1として、開口部50が設けられていない鍛造型により成形された中間材を採用した。
また、実施例1として、本発明のロータハブ1の製造方法により成形された第2中間材1Cを採用した。
図10および図11を比較すると、実施例1に係る第2中間材1Cが、比較例1に係る中間材よりもひずみ量のバラつきが小さいことが確認できた。このため、仕上げ加工において残留歪みの影響で加工精度が悪くなることが回避できることが確認できた。
以上のように、本発明のロータハブ1の製造方法によれば、材料に残留ひずみ生じるのを抑えることができる。
20 フランジ部
21 ディスク載置面
30 第1鍛造型
40 第2鍛造型(鍛造型)
42D 段差部
50 開口部
Claims (5)
- 鍛造加工によりロータハブを製造するロータハブの鍛造型であって、
前記ロータハブの回転軸に沿う縦断面視で、前記回転軸と直交する径方向の外側に向けて延び、かつ前記ロータハブのディスク載置面を有するフランジ部を成形する部分の一部には、開口部が形成されていることを特徴とするロータハブの鍛造型。 - 前記開口部は、前記縦断面視で、径方向の外側に向けて開口していることを特徴とする請求項1に記載のロータハブの鍛造型。
- 前記フランジ部を成形する部分のうち、径方向の外側に位置する部分には、前記回転軸に沿う軸方向の内側に向けて突出する段差部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のロータハブの鍛造型。
- 鍛造加工によりロータハブを製造するロータハブの製造方法であって、
請求項1から3のいずれか1項に記載のロータハブの鍛造型を用いることを特徴とするロータハブの製造方法。 - 鍛造加工によりロータハブを製造するロータハブの製造方法であって、
ロータハブのうち、ディスク載置面を有するフランジ部を除く部分を成形する第1鍛造工程と、
ロータハブのうち、前記フランジ部を成形する第2鍛造工程と、を備え、
前記第2鍛造工程において、請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のロータハブの鍛造型を用いることを特徴とするロータハブの製造方法。
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