JP2019146538A - 水棲動植物用水槽および珪藻類の除去方法 - Google Patents

水棲動植物用水槽および珪藻類の除去方法 Download PDF

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智 宮添
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陽介 浅野
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Abstract

【課題】水槽内表面に珪藻類が付着したとしても、清掃時に強く擦る必要がなく、手、スポンジまたはクロスなどで容易にふき取ることができる、水棲動植物用水槽および前記珪藻類の除去方法を提供する。【解決手段】水棲動植物用水槽は、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、シラノール基、水酸基およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する親水性塗膜を内面に有することを特徴とし、水接触角が1°以上30°以下であるように、前記水棲動植物用水槽の親水性塗膜上に付着した珪藻類を除去することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、易ふき取り性に優れた水棲動植物用水槽および該水棲動植物用水槽に付着した珪藻類の除去方法に関する。
水棲動植物の飼育には、通常、該動植物を観察または観賞するために、ガラス製または樹脂製の透明な水槽が用いられている。しかしながら、水棲動植物を飼育すると珪藻類が発生および増殖して水槽の内面に付着するので、飼育動植物を水槽外部から観察または観賞するためには、珪藻類を除去する清掃が欠かせない。
このような珪藻類の発生を予防する方法として、例えば、ヒ素などの水溶性の金属毒を塗布または含浸させた樹脂を観賞用水槽にする方法(例えば、特許文献1)、光触媒活性を有する酸化チタンなどの金属酸化物粉末を塗膜に含有させ、その酸化力を利用して水生生物の付着・生育を防止する方法(例えば、特許文献2)、ガラス又は硬質の合成樹脂からなる水槽の内面又は外面に超音波振動子を付着して、ガラス又は硬質の合成樹脂を微弱超音波振動させることにより、珪藻類が水槽の内面に付着することを防ぐ方法(例えば、特許文献3)などが挙げられる。
しかしながら、特許文献1のように、付着防止成分の溶出や遊離を利用する方法では、それらの成分が消耗するため、長期間の付着防止効果は期待できないという問題がある。また、特許文献2の方法では、耐久性の塗膜を均一に形成することが困難であるとともに、膜形成樹脂自体が触媒作用により劣化してしまい耐久性が得られないという問題がある。また、特許文献3の手段は、コストや手間を要するなどの問題がある。
また、水族館など大規模に水棲動植物を飼育する場合や、愛好家がガラス製水槽の破損トラブルを忌避する場合に、樹脂製水槽が利用されるが、樹脂製水槽において清掃を繰り返すと、水槽内面にスポンジ等で擦った痕が付きやすく、水槽の透明性が低下する問題があった。
特開平03−262428号公報 特開平10−204335号公報 特開2000−41526号公報
本発明は、水槽内表面に珪藻類が付着したとしても、清掃時に強く擦る必要がなく、手、スポンジまたはクロスなどで容易にふき取ることができる、水棲動植物用水槽および前記珪藻類の除去方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、水接触角が特定の範囲である親水性塗膜を水槽の内面に形成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水棲動植物用水槽は、水接触角が1°以上30°以下である親水性塗膜を内面に有する。
前記親水性塗膜の表面硬度は鉛筆硬度1H〜5Hであることが好ましい。前記水棲動植物用水槽の基材は樹脂からなることが好ましい。前記親水性塗膜を有する面の視感透過率は80%以上であることが好ましい。
前記親水性塗膜は、
スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、シラノール基、水酸基およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有することが好ましく;
スルホン酸基を有する高分子親水性膜であり、表面スルホン酸基濃度(Sa)と深部におけるスルホン酸基濃度(Da)の比(Sa/Da)が1.1以上であることがより好ましく;
スルホン酸基と、重合性炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1つの官能基とを有する化合物(I)(ただし、親水基が水酸基を有する基の場合は、重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基は1つである。)、および重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基を2つ以上有する化合物(II)(ただし、水酸基は有してもよいが、アニオン性親水基およびカチオン性親水基はいずれも有さない。)を含む重合性組成物を重合することにより得られる架橋樹脂からなる単層膜であり、該単層膜のアニオン性親水基、カチオン性親水基および水酸基から選ばれる少なくとも1つの親水基の表面濃度(Sa)と単層膜の膜厚1/2地点における親水基の深部濃度(Da)の親水基濃度の傾斜度(Sa/Da)が1.1以上であることが、さらに好ましい。
本発明の珪藻類の除去方法は、上述した本発明の水棲動植物用水槽の親水性塗膜上に付着した珪藻類を除去することを特徴とする。
本発明の水棲動植物用水槽では、珪藻類が水槽の内面に付着したとしても、手、スポンジ、クロスなどで容易にふき取ることができる。このため清掃の手間や頻度を軽減することができ、樹脂製水槽の傷付きを抑制することができる。
(a)指腹で擦り洗いした直後の外観を撮影した写真であり、マーキングしてある左半分が「コートあり」、右半分が「コートなし」の領域である。(b)(a)の写真を模式的に示した図である。 (a)スポンジで磨き洗いした直後の外観を撮影した写真であり、マーキングしてある奥の半分が「コートあり」、手前の半分が「コートなし」の領域であり、スポンジ洗浄した領域は右半分である。(b)(a)の写真を模式的に示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における水棲動植物用水槽の大きさ、形状および用途は、水棲動植物を飼育するために用いられる水槽であれば特に限定されず、一般的な観賞用の魚介類や水棲植物類を飼育するための水槽や、水族館用、いけす用および養魚用の水槽などを含む。また、本発明の水棲動植物用水槽に入れる水は淡水であっても天然や人工の海水等の塩水であってもよい。
本発明の水棲動植物用水槽は、水接触角が1°以上30°以下である親水性塗膜を内面(すなわち、水に接する面)に有する。前記水接触角の範囲の上限値は、好ましくは28°、より好ましくは26°、さらに好ましくは24°である。なお、本発明における水接触角は、協和界面科学社製の水接触角測定装置CA−V型を用いて、1サンプルについて3箇所測定し、これらの値の平均値とする。
水接触角が上記範囲の親水性塗膜は親水性が高いため、該親水性塗膜に珪藻類が付着したとしても容易にふき取ることができる。さらに前記親水性塗膜は、水となじみ(濡れ)やすく親水性材料として優れるため、例えば、防曇性、防汚性、帯電防止性およびほこり付着防止性にも優れている。
前記親水性塗膜の表面硬度は、鉛筆硬度で、好ましくは1H〜5H、より好ましくは3H〜5Hである。鉛筆硬度が前記範囲内であれば、十分な防汚性および持続性を得ることができる。なお、前記鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4に準じて測定した、塗膜のすり傷から、塗膜の鉛筆引っかき値として示される。
本発明の水棲動植物用水槽の基材は、ガラスまたは樹脂からなることが好ましい。ガラスとしては、例えば、高透過ガラスやフロートガラスなどのように、水槽内部が観賞できるような透過性を有するガラスを用いることができる。また、樹脂としては、割れ防止および軽量化の観点から、表面が疎水性(対水接触角70度以上)の樹脂、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、硬化型アクリル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂が挙げられる。これらの中でも、透明性や親水膜の塗装のしやすさの観点から、硬化型アクリル樹脂および熱可塑性アクリル樹脂が好ましい。
本発明の水棲動植物用水槽において、前記親水性塗膜を有する面の視感透過率は、水槽内部の視認性をより向上させる観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また、本発明の親水性塗膜は、水接触角を低減するために、親水性を発現する化学構造として、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、シラノール基、水酸基およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有することが好ましく、中でもスルホン酸基を有することがより好ましい。
リン酸(エステル)基を有する親水性塗膜としては、例えば、日油株式会社性「LIPIDURE」(登録商標)、または特開平07―010892号公報に記載のホスホリルコリン基を有する親水性ポリマーを用いることができる。
シラノール基を有する親水性塗膜としては、例えば、シラノール基を有するくし型ポリマーである大阪有機化学工業株式会社の「LAMBIC」(登録商標)、または特開2011―219637号公報や特開2012―007053号公報に記載の、(メタ)アクリル酸塩単量体とアルコキシシラン単量体からなる親水性ポリマーを好適に用いることができる。
スルホン酸基を有する親水性塗膜としては、例えば、スルホン酸基を有する高分子親水性膜であり、表面スルホン酸基濃度(Sa)と深部におけるスルホン酸基濃度(Da)の比(Sa/Da)が1.1以上である膜を挙げることができる。このようなスルホン酸基含有親水性膜としては、WO2007/064003に記載の高分子膜を用いることができる。
スルホン酸基を有する親水性塗膜は、スルホン酸基と、重合性炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1つの官能基とを有する化合物(I)(ただし親水基が水酸基を有する基の場合は、重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基は1つである。)、および重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基を2つ以上有する化合物(II)(ただし、水酸基は有してもよいが、アニオン性親水基およびカチオン性親水基はいずれも有さない。)を含む重合性組成物を重合することにより得られる架橋樹脂からなる単層膜がさらに好ましい。
前記重合性組成物は、さらに、アニオン性親水基、カチオン性親水基、または2つ以上の水酸基を有する親水部、および有機残基からなる疎水部を有する界面活性剤(III)、ならびにシロキサン結合を有する分子量200〜1,000,000の化合物(IV)から選ばれる少なくとも1つの化合物(ただし、界面活性剤(III)および化合物(IV)は重合性炭素−炭素二重結合を有さない。)を含んでもよい。
前記単層膜のアニオン性親水基、カチオン性親水基および水酸基から選ばれる少なくとも1つの親水基の表面濃度(Sa)と単層膜の膜厚1/2地点における親水基の深部濃度(Da)の親水基濃度の傾斜度(Sa/Da)が、1.1以上であることが好ましい。
また、前記単層膜のスルホン酸基の表面濃度(Sa)と単層膜の膜厚1/2地点におけるスルホン酸基の深部濃度(Da)のスルホン酸基濃度の傾斜度(Sa/Da)が、1.1以上であることがより好ましい。このようなスルホン酸基含有親水性膜としては、例えば、WO2015/087810に記載の高分子膜を用いることができる。
本発明の水棲動植物用水槽において前記親水性塗膜は、直接あるいはプライマー層などを介して水槽を構成する基材と一体化させてもよく、粘着フィルムなどをフィルム・シート状の基材としてその最表面層として積層したものを、水槽本体に貼り合せてもよい。より具体的には、前記重合性組成物を、水槽の基材または該基材上に予め形成したプライマー層に塗布して、熱または放射線等で重合することにより形成することができる。また、前記重合性組成物をフィルムやシート状の基材に塗布して親水性膜を形成し、得られた親水性膜を有するフィルム・シート状部材を、水槽の基材に貼り合わせてもよい。なお、前記親水性塗膜を設ける部位は、水槽の側板内面に限定されず、底面やオーバーフロー排水管の内外面などに設けてよい。
前記基材としては、珪藻類ふき取り性の観点から、連続した平滑面を有する材質が好ましい。また、これら基材表面は、必要に応じて、基材表面を活性化することを目的に、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガスもしくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等による酸化処理、火炎処理等の物理的または化学的処理を施すこともできる。また、これら処理に替えて、あるいはこれら処理に加えて、プライマー処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理を施してもよい。
上記プライマー処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理に用いるコート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等の樹脂をビヒクルの主成分とするコート剤を用いることができる。上記コート剤としては、溶剤型コート剤、水性型コート剤のいずれであってもよい。
これらコート剤の中でも、変性ポリオレフィン系コート剤、エチルビニルアルコール系コート剤、ポリエチレンイミン系コート剤、ポリブタジエン系コート剤、ポリウレタン系コート剤;
ポリエステル系ポリウレタンエマルジョンコート剤、ポリ塩化ビニルエマルジョンコート剤、ウレタンアクリルエマルジョンコート剤、シリコンアクリルエマルジョンコート剤、酢酸ビニルアクリルエマルジョンコート剤、アクリルエマルジョンコート剤;
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスコート剤、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスコート剤、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックスコート剤、クロロプレンラテックスコート剤、ポリブタジエンラテックスのゴム系ラテックスコート剤、ポリアクリル酸エステルラテックスコート剤、ポリ塩化ビニリデンラテックスコート剤、ポリブタジエンラテックスコート剤、あるいはこれらラテックスコート剤に含まれる樹脂のカルボン酸変性物ラテックスもしくはディスパージョンからなるコート剤が好ましい。
また、これらコート剤の中では、ポリウレタン系コート剤がより好ましい。ポリウレタン系コート剤は、そのコート剤に含まれる樹脂の主鎖もしくは側鎖にウレタン結合を有するものである。ポリウレタン系コート剤は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、またはアクリルポリオールなどのポリオールとイソシアネート化合物とを反応させて得られるポリウレタンを含むコート剤である。
これらポリウレタン系コート剤の中でも、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなどのポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物とを混合して得られるポリウレタン系コート剤が、密着性に優れているため好ましい。
ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを混合する方法は、特に限定されない。また配合比も特に制限されないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良を引き起こす場合があるためポリオール化合物のOH基とイソシアネート化合物のNCO基が当量換算でOH基/NCO基=2/1〜1/40の範囲であることが好適である。
これらコ−ト剤は、例えば、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法などにより塗布することができる。コート剤の基材への塗布量は、組成物に含まれる溶剤を除去した状態で、通常0.05g/m2〜10g/m2、好ましくは0.05g/m2〜5g/m2である。
基材表面に前記親水性塗膜(例:単層膜)を形成したものは、基材と親水性塗膜(例:単層膜)とを含む積層体として用いることができる。例えば、上記単層膜が防曇被膜、防汚被膜、速乾性被膜または帯電防止被膜である場合には、防曇被膜、防汚被膜、速乾性被膜または帯電防止被膜で基材が被覆された積層体が得られる。
前記基材がフィルムの場合には、例えば、前記親水性塗膜(例:単層膜)を形成しない面に、後述の粘着層を設けることもできるし、さらに粘着層の表面に剥離フィルムを設けることもできる。基材フィルムの他の片面に粘着層を積層しておくと、前記親水性塗膜(例:単層膜)を有する積層フィルムを水に接する面に貼り付けることができる。また、水に接しない面に貼り付けることによって、防曇フィルムおよび防汚フィルムとしても貼り付けできる。
粘着層に用いる粘着剤は特に制限はなく、公知の粘着剤を用いることができる。粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルエーテルポリマー系粘着剤およびシリコーン粘着剤等が挙げられる。粘着層の厚さは、通常2〜50μmの範囲、好ましくは5〜30μmの範囲である。
また、前記親水性塗膜(例:単層膜)および前記親水性塗膜を積層した積層体では、親水性塗膜(例:単層膜)の外気に接する表面を被覆材で被覆しておいてもよい。被覆材により被覆された前記親水性塗膜および前記親水性塗膜を有する積層体では、輸送や保管等する際に、親水性表面層が傷ついたり、汚れたりするのを防ぐことができる。
上記被覆材として好ましく用いられるフィルムの材質としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアセチルセルロース(TAC)、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系重合体、ポリアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が挙げられる。
本発明はまた、上述した本発明の水棲動植物用水槽の親水性塗膜上に付着した珪藻類を除去する方法に関する。
本発明の水棲動植物用水槽の前記親水性塗膜上に付着した珪藻類を除去する手段としては、手、クロス、スポンジ等で拭き取ってもよいし、水を含むウェス・布類で拭き取ってもよい。また、洗浄効果を高めるために、界面活性剤や添加剤などを加えてもよい。
以下、実施例に基づいてきさい本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<親水性塗膜を形成した試験片の作製>
WO2015/087810に記載の実施例6Aに準じて(ただし固形分60質量%から40質量%に変更した)、コーティング用組成物Aを調製した。
PMMA(ポリメチルメタクリレート)板(日東樹脂工業株式会社製「CLAREX 001」;厚み:2mm)に、上記コーティング用組成物A(固形分40wt%)をバーコーター#06で塗布し、温風乾燥機に2分間入れて50〜60℃で組成物中に含まれる溶剤を除去した。溶剤が十分に除去されたサンプルをUVコンベア内に一度通過させてUV照射(無電極Hバルブ 240W/cm2、出力100%、ランプ高さ40mm、コンベア速度8m/分、照度743mW/cm2、積算光量434mJ/cm2、Electronic Instrumentation & Technology, Inc., 製「UV Power PuckII」にて測定)し、PMMA板上に膜厚3μmの親水性表面を有する架橋樹脂からなる単層膜を形成させた。最後に、膜表面を流水洗浄し、エアガンで乾燥した後に、単層膜を有する領域と未処理の領域とが1/2ずつになるように切断して評価用の試験片を得た。以後、単層膜を有することを「コートあり」として、基材そのままであることを「コートなし」として、適宜記述する。
試験片の水接触角を計測した結果、「コートあり」は5°、「コートなし」は79°であった。コニカミノルタ製分光測色計「CM−5」を用いて試験片の視感透過率を測定した結果、「コートあり」は95.59%、「コートなし」は95.93%であった。JIS K 5600−5−4に準じて試験片の鉛筆硬度(750g荷重)を測定した結果、「コートあり」は5H、「コートなし」は4Hであった。
<飼育水への試験片の浸漬処理>
メダカ2匹、ヒメタニシ2匹、および岩石に活着させたアヌビアス・ナナ草1株を飼育している35cmガラス製水槽の側板内面の水面下の部位に、前記試験片を固定した。そして飼育を継続し、浸漬開始から1ヶ月後に、試験片を飼育水から取り出した。この時、試験片の「コートあり」の表面および「コートなし」の表面のいずれにも、茶色や緑色の藻が付着しており、試験片越しに見通すことは困難な状態であった。
<洗浄性評価>
飼育水から取り出した試験片の藻が付着した面の全領域を、第二指の指腹を用いて、流水中で擦り洗いを行った。洗浄後の外観を図1に示す。マーキングされた側の半領域が「コートあり」、もう一方が「コートなし」である。「コートあり」の方が藻の残りが少なく、藻などの汚れを拭い取りやすい結果であった。
次に擦り洗いした面のうち、「コートあり」と「コートなし」の領域のそれぞれ半分の領域に対して、流水中でスポンジを用いて磨き洗いを行った。洗浄後の外観を、図2に示す。「コートあり」および「コートなし」のいずれも、藻が除去されて、試験片の透明性が回復した。スポンジで洗浄後の水接触角を測定した結果、「コートあり」面は23.4°であり親水性を保持していたが、「コートなし」面は80°であり浸漬前と同様に疎水性を示した。
以下、参考として、浸漬処理に用いた飼育水槽の構成と運用条件を示す。
1 コートありの領域
2 コートなしの領域
3 スポンジ洗浄した領域(点線内)

Claims (8)

  1. 水接触角が1°以上30°以下である親水性塗膜を内面に有する水棲動植物用水槽。
  2. 前記親水性塗膜の表面硬度が鉛筆硬度1H〜5Hである請求項1に記載の水棲動植物用水槽。
  3. 前記水棲動植物用水槽の基材が樹脂からなる請求項1または2に記載の水棲動植物用水槽。
  4. 前記親水性塗膜を有する面の視感透過率が80%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水棲動植物用水槽。
  5. 前記親水性塗膜が、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、シラノール基、水酸基およびこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の水棲動植物用水槽。
  6. 前記親水性塗膜が、スルホン酸基を有する高分子親水性膜であり、表面スルホン酸基濃度(Sa)と深部におけるスルホン酸基濃度(Da)の比(Sa/Da)が1.1以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の水棲動植物用水槽。
  7. 前記親水性塗膜が、
    スルホン酸基と、重合性炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1つの官能基とを有する化合物(I)(ただし、親水基が水酸基を有する基の場合は、重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基は1つである。)、および
    重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基を2つ以上有する化合物(II)(ただし、水酸基は有してもよいが、アニオン性親水基およびカチオン性親水基はいずれも有さない。)
    を含む重合性組成物を重合することにより得られる架橋樹脂からなる単層膜であり、
    該単層膜のアニオン性親水基、カチオン性親水基および水酸基から選ばれる少なくとも1つの親水基の表面濃度(Sa)と単層膜の膜厚1/2地点における親水基の深部濃度(Da)の親水基濃度の傾斜度(Sa/Da)が1.1以上である
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の水棲動植物用水槽。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水棲動植物用水槽の親水性塗膜上に付着した珪藻類を除去する方法。
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