JP2019145629A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドループ現象を改善し、発光効率を効果的に向上すること。【解決手段】半導体発光素子(100)は、主面に凹凸構造が形成された半導体発光素子用基板(101)と、半導体発光素子用基板の主面側に積層されたアンドープ型半導体層(151)と、アンドープ型半導体層上に積層された、2層以上の半導体層と発光層とを積層して構成される積層半導体層(160)と、を有する。積層半導体層は、半導体発光素子用基板の上側に設けられた第1導電型の第1半導体層(152)と、第1半導体層の上側に設けられた発光層(153)と、発光層の上側に設けられた第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層(154)と、を有している。アンドープ型半導体層内の半導体発光素子用基板との界面の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光層内の平均貫通転移欠陥数Teとの差が、5×108本/cm2以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、基板表面に凹凸構造を有する半導体発光素子に関する。
半導体層を利用した半導体発光素子である発光ダイオード(LED)は、従来の蛍光灯や白熱電球などの旧来の発光装置と比較し、小型で電力効率が高く、オンオフ応答性が速いなどの特性を有し、且つ、すべて固体で構成されているため、振動に強く機器寿命が長いなどの多くの利点を有している。
中でも、青色LEDに代表されるGaN系半導体発光素子は、単結晶基板上にエピタキシャル成長でn層、発光層、p層を積層して製造され、基板として一般にサファイア単結晶基板やSiC単結晶基板が用いられる。しかしながら、例えば、サファイア結晶とGaN系半導体結晶との間には、格子不整合が存在するため、この格子不整合によって結晶転位欠陥が発生する(例えば、特許文献1参照)。この転位欠陥の密度は、1×10個/cmに達する。この結晶転位欠陥によって、LED内部での内部量子効率が下がり、結果として、LEDの発光効率が下がってしまう。
上記問題を解決するために、GaN系半導体層をエピタキシャル成長させるサファイア基板表面に、周期的な凹凸構造を設け、GaN系半導体層を、横方向成長モードを利用しエピタキシャル成長させる技術が報告されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、半導体層のエピタキシャル成長の過程で、C面平面から成長した半導体層が凹凸構造を埋めるために、結晶転位欠陥(貫通転移欠陥)が減少し、得られる半導体層の結晶品質を向上させることができる。
また、このように得られた半導体層とサファイア基板との界面には凹凸が存在するため、横方向に伝播する光が散乱され、それによって光取り出し効率が向上する(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−352084号公報 特開2011−129718号公報
LEDの発光効率を示す外部量子効率EQE(External Quantum Efficieney)を決定する要因として、電子注入効率EIE(Electron Injection Efficiency)、内部量子効率IQE(Internal Quantum Efficiency)及び光取り出し効率LEE(Light Extraction Efficiency)が挙げられる。このうち、内部量子効率IQEは、GaN系半導体結晶の結晶格子不整合に起因する結晶転位欠陥密度に依存する。光取り出し効率LEEは、基板に設けられた凹凸構造による光散乱により、GaN系半導体結晶層内部の導波モードを崩すことで改善される。
このため、LEDの発光効率を向上するためには、GaN系半導体結晶の結晶格子不整合に起因する結晶転位欠陥密度を減らし、且つ、基板に設けられた凹凸構造による光散乱の度合いを高めることが必要となる。
一方で、GaN系半導体発光素子においては、発光層にかかる圧縮応力の影響により、駆動電流の増加に伴い発光効率が減少する、いわゆるドループ現象が課題である。上記した技術により、内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEが向上しても、駆動電流の増加により発光効率が低下するため、結果として、大電流における発光効率が向上しないという問題があった。
上記した特許文献1及び特許文献2で開示されている技術においては、いずれも、ドループ現象に対して何ら触れておらず、明確な改善策を提示できていない。このため、大電流における発光効率を含めたLEDの発光効率を十分に向上できていない課題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ドループ現象が改善され、発光効率が効果的に向上した半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明の一態様の半導体発光素子は、主面の一部又は全面に凹凸構造が形成された半導体発光素子用基板と、前記半導体発光素子用基板の主面側に積層されたアンドープ型半導体層と、前記アンドープ型半導体層上に積層された、少なくとも2層以上の半導体層と発光層とを積層して構成される積層半導体層と、を有する半導体発光素子であって、前記積層半導体層は、前記半導体発光素子用基板の上側に設けられた第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の上側に設けられた発光層と、前記発光層の上側に設けられた前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、を有し、前記アンドープ型半導体層内の前記半導体発光素子用基板との界面の平均貫通転移欠陥数Tsと、前記発光層内の平均貫通転移欠陥数Teとの差が、5×10本/cm以上であることを特徴とする。
この構成により、アンドープ型半導体層内の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光層内の平均貫通転移欠陥数Teとに差がある。すなわち、アンドープ型半導体層内における半導体発光素子用基板との界面近傍から、発光層に向かって、複数の貫通転移欠陥が会合によりまとめられ、貫通転移欠陥数が減少する。アンドープ型半導体層内で、半導体発光素子用基板側から積層半導体層側に向かって、減少する貫通転移欠陥の体積分、アンドープ型半導体層が収縮するため、発光層内に生じている圧縮応力を減少させることができ、発光層内のピエゾ電界が減って、ドループ現象が抑制される。
また、半導体発光素子用基板の主面に半導体層をエピタキシャル成長させる際に、エピタキシャル成長促進部となる凹構造と、エピタキシャル成長抑制部となる凸構造が、主面内に混在している。凹構造により、エピタキシャル成長促進部を確保することで、半導体層中の結晶欠陥が抑制され、半導体発光素子の内部量子効率IQEを高めることができる。また、凸構造により、凸構造の面積を確保することで、半導体発光素子において凸構造で光を散乱させることができる。
したがって、半導体層中の結晶欠陥を減らすことにより内部量子効率IQEが改善され、光散乱により導波モードを解消して光取り出し効率LEEが高められ、さらに、ドループ現象が改善され、発光効率が向上する。
本発明の一態様の半導体発光素子においては、前記平均貫通転移欠陥数Teが、4×10本/cm以下であることが好ましい。
本発明の一態様の半導体発光素子においては、前記平均貫通転移欠陥数Tsが、5×10本/cm以上であることが好ましい。
本発明の一態様の半導体発光素子においては、前記積層半導体層は、III族窒化物単結晶層からなることが好ましい。
本発明の一態様の半導体発光素子においては、前記半導体発光素子用基板は、前記アンドープ型半導体層及び前記積層半導体層とは組成が異なることが好ましい。
本発明の一態様の半導体発光素子においては、前記アンドープ型半導体層及び前記積層半導体層は、窒化物半導体を含むことが好ましい。
本発明の一態様の半導体発光素子においては、前記半導体発光素子用基板は、サファイア、炭化ケイ素、スピネル及びシリコンからなる群から選択された少なくとも1種で構成されることが好ましい。
本発明の一態様の半導体発光素子においては、前期半導体発光素子用基板において、前期凸構造は凸部群を含み、前期凸部郡の周囲に、曲率を有する曲面を含む前記凹構造が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、ドループ現象が改善され、発光効率が効果的に向上する。
本実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の歯抜け部を説明するための断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の平面模式図である。 図3中X−X断面を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用基板上に半導体層が形成される途中過程を示した平面模式図である。 図5中のA−A断面を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用基板上に半導体層が形成された状態を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の他の態様を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子における凸部群の一例を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子における凸部群の一例を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の他の態様を示す平面模式図である。 実施例に係る半導体発光素子用基板を示す平面図である。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下、本実施の形態に係る半導体発光素子について詳細に説明する。
(半導体発光素子用基材)
本実施の形態に係る半導体発光素子は、主面の一部又は全面に凹凸構造が形成された半導体発光素子用基板と、半導体発光素子用基板の主面側に積層されたアンドープ型半導体層と、アンドープ型半導体層上に積層された、少なくとも2層以上の半導体層と発光層とを積層して構成される積層半導体層と、を有する。
(積層半導体層)
本実施の形態に係る半導体発光素子の積層半導体層は、半導体発光素子用基板の上側に設けられた第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の上側に設けられた発光層と、発光層の上側に設けられた第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、を有している。
(平均貫通転移欠陥数)
本実施の形態に係る半導体発光素子は、アンドープ型半導体層内の半導体発光素子用基板との界面の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光層内の平均貫通転移欠陥数Teとの差が、5×10本/cm以上であることを特徴とする。
これにより、アンドープ型半導体層内の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光層内の平均貫通転移欠陥数Teとに差がある。すなわち、アンドープ型半導体層内における半導体発光素子用基板との界面近傍から、発光層に向かって、複数の貫通転移欠陥が会合によりまとめられ、貫通転移欠陥数が減少する。アンドープ型半導体層内で、半導体発光素子用基板側から積層半導体層側に向かって、減少する貫通転移欠陥の体積分、アンドープ型半導体層が収縮するため、発光層内に生じている圧縮応力を減少させることができ、発光層内のピエゾ電界が減って、ドループ現象が抑制される。
また、半導体発光素子用基板の主面に半導体層をエピタキシャル成長させる際に、エピタキシャル成長促進部となる凹構造と、エピタキシャル成長抑制部となる凸構造が、主面内に混在している。凹構造により、エピタキシャル成長促進部を確保することで、半導体層中の結晶欠陥が抑制され、半導体発光素子の内部量子効率IQEを高めることができる。また、凸構造により、凸構造の面積を確保することで、半導体発光素子において凸構造で光を散乱させることができる。
したがって、半導体層中の結晶欠陥を減らすことにより内部量子効率IQEが改善され、光散乱により導波モードを解消して光取り出し効率LEEが高められ、さらに、ドループ現象が改善され、発光効率が向上する。
平均貫通転移欠陥数Teが、4×10本/cm以下であることが好ましい。これにより、発光層の貫通転移欠陥が抑えられることにより、電子とホールの発光再結合が維持され、内部量子効率IQEが低下することを抑制できる。
平均貫通転移欠陥数Tsが、5×10本/cm以上であることが好ましい。これにより、アンドープ型半導体層内で、半導体発光素子用基板側から積層半導体層側に向かって、貫通転移欠陥を効果的に減少させることができるため、この体積分アンドープ型半導体層が効果的に収縮し、発光層内に生じている圧縮応力を効果的に減少できる。このため、ドループ現象が効果的に抑制される。
(材質)
また、積層半導体層は、III族窒化物単結晶層からなることが好ましい。これにより、可視光から紫外光の範囲の発光波長を有する半導体発光素子としての、例えば、LEDが得られる。さらに、一般にIII族窒化物単結晶層は、ウルツ鉱構造の分極構造であるため、上記のように圧縮応力を減少し易く、ドループ現象が効果的に抑制でき、発光特性を効果的に向上することができる。積層半導体層には、適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。
半導体発光素子用基板は、アンドープ型半導体層及び積層半導体層とは組成が異なることが好ましい。また、アンドープ型半導体層及び積層半導体層が、窒化物半導体を含むことが好ましく、半導体発光素子用基板は、サファイア、炭化ケイ素、スピネル及びシリコンからなる群から選択された少なくとも1種で構成されることが好ましい。これにより、半導体発光素子用基板と、窒化物半導体を含む半導体層とで、組成を異ならせることができるため、格子定数の差から、アンドープ型半導体層と半導体発光素子用基板との界面の貫通転移欠陥を増やし易い。
(凹凸構造)
また、半導体発光素子用基板において、凸構造は凸部群を含み、凸部郡の周囲に、曲率を有する曲面を含む凹構造が形成されていることが好ましい。これにより、凹構造が曲面で形成されることにより、平均貫通転移欠陥数Tsを大きくできるとともに、凹構造からのエピタキシャル成長が効果的に促進される。また、エピタキシャル成長抑制部となる凸部郡の周囲に凹構造が形成されることで、アンドープ型半導体層内の半導体発光素子用基板との界面に発生した貫通転移欠陥同士の会合が起き易くなる。これにより、複数の貫通転移欠陥が効果的にまとめられ、平均貫通転移欠陥数Tsと平均貫通転移欠陥数Teとの差を大きくすることが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る半導体発光素子について説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面模式図である。
図1に示すように、半導体発光素子100においては、半導体発光素子用基板101の一主面上に設けられた凹凸構造上に、アンドープ型半導体層151、2層のn型半導体層152、発光半導体層153及びp型半導体層154が順次積層されている。また、p型半導体層154上には、透明半導体膜155が形成されている。なお、n型半導体層152は、少なくとも1層設けられていればよい。
半導体発光素子用基板101の主面には、凸構造を構成する複数の凸部102と、凸構造の周囲に形成される凹構造とが構成されている。複数の凸部102は、凸部群104を構成している。凹構造は、凸部102が形成されていない歯抜け部103となっている。
また、n型半導体層152表面に、カソード電極157が、透明導電膜155表面にアノード電極156がそれぞれ形成されている。なお、半導体発光素子用基板101上に順次積層されたn型半導体層152、発光半導体層153、p型半導体層154を、積層半導体層160と称する。なお、カソード電極157は、2層のn型半導体層152の少なくとも一方に設けられていればよい。
ここで、アンドープ型半導体層151の積層半導体層160側の主面は平坦面であることが好ましい。アンドープ型半導体層151の主面が平坦面であることにより、n型半導体層152、発光半導体層153、p型半導体層154の性能を効率化でき、内部量子効率IQEが向上する。
さらにアンドープ型半導体層151と半導体発光素子用基板101の界面には、図示しないバッファ層が存在することが好ましい。バッファ層の存在により、アンドープ型半導体層151の結晶成長の初期条件である核形成及び核成長が良好となり、積層半導体層160の半導体としての性能が向上するため、内部量子効率IQEが改善する。
バッファ層は、半導体発光素子用基板101の凹凸構造の表面全体を覆うように形成してもよいが、凹凸構造の表面に部分的に設けることができる。特に、半導体発光素子用基板101の凸部102を囲む歯抜け部103に優先的にバッファ層を設けることができる。アンドープ型半導体層151とバッファ層とを併せて、下地層と定義して記述する。
本実施の形態に係る半導体発光素子100においては、半導体発光素子用基板101から積層半導体層160にかけて貫通転移欠陥111が存在する。この貫通転移欠陥111は、主に、半導体発光素子用基板101と、アンドープ型半導体層151あるいは積層半導体層160との結晶格子定数の差異に起因している。そして、貫通転移欠陥111は、下地層と半導体発光素子用基板101との界面で多く、アンドープ型半導体層151と積層半導体層160との界面にかけて減少する。
(平均貫通転移欠陥数Ts、Te)
本実施に係る半導体発光素子100において、アンドープ型半導体層151内の半導体発光素子用基板101との界面近傍の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光半導体層153内の平均貫通転移欠陥数Teとの差は、5×10本/cm以上であることが好ましい。
TsとTeとの差が上記した値であると、駆動電流の増加により発光効率が低下するドループ現象を抑制することができる。TsとTeとの差が5×10本/cm以上であると、ドループ現象を抑制できる詳細なメカニズムは次のように考えられる。
ドループ現象は、次のように説明される。青色LEDを構成するGaN結晶層は圧電性を有しており、結晶層に応力がかかると、結晶内に分極が生じ、ピエゾ電界が発生する。このピエゾ電界により、発光半導体層153内において、電子とホールが空間的に分離されて、発光効率が低下する。
上記結晶層に発生する応力は、2種類ある。一つは、発光半導体層153と、n型半導体層152、p型半導体層154及びアンドープ型半導体層151との結晶格子定数の差異に由来する圧縮応力である。青色LEDの場合、発光半導体層153には、Inが混在し、Inの結晶格子はGaNよりも大きい。さらに、発光半導体層153は、n型半導体層152、p型半導体層154及びアンドープ型半導体層151よりも薄い。これらのため、発光半導体層153は、他のGaN層(n型半導体層152、p型半導体層154及びアンドープ型半導体層151)から圧縮応力を受ける。
もう一つは、アンドープ型半導体層151と半導体発光素子用基板101とが、組成が異なる異種基板の場合に、アンドープ型半導体層151と半導体発光素子用基板101との線膨張係数の差異に由来する応力である。特に、アンドープ型半導体層がGaNであり、半導体発光素子用基板101がサファイア基板である場合、サファイア基板の線膨張係数がGaNよりも大きいため、アンドープ型半導体層151及び積層半導体層160に大きな圧縮応力が生じる。なんとなれば、サファイア基板上にGaNをCVDで形成する温度は1000℃以上であり、室温との温度差1000℃は無視できない大きさのため、成膜時にGaNと同じ長さであったサファイア基板が室温に戻る際に大きく縮む。この結果、GaN(アンドープ型半導体層151)は、サファイア基板(半導体発光素子用基板101)から大きな圧縮応力を受ける。
一般的な青色LEDでは、半導体層にGaNを使用し、半導体発光素子用基板にサファイア基板を使用するため、上記、2種類の圧縮応力が、発光半導体層153内に生じ、大きなピエゾ電界を発生させ、ドループ現象となる。
本発明の実施に係る半導体発光素子100においては、貫通転移欠陥111は、下地層と半導体発光素子用基板101との界面から、アンドープ型半導体層151と積層半導体層160との界面にかけて、衝突によりまとめられ減少する。アンドープ型半導体層151内の半導体発光素子用基板101との界面近傍の平均貫通転移欠陥数Tsが、発光半導体層153内の平均貫通転移欠陥数Teまで減っていくことにより、減少する貫通転移欠陥の体積分、アンドープ型半導体層151は収縮する。このため、上記した2種類の圧縮応力を減少させることになり、半導体発光層153内のピエゾ電界が減り、ドループ現象が抑制されると推定される。
TsとTeの差は、10×10本/cm以上であると、ドループ抑制効果が顕著であり、より好ましい。また、TsとTeの差は、20×10本/cm以上であると、上記、サファイア基板(半導体発光素子用基板101)とGaN層(アンドープ型半導体層151)との線膨張係数差に基づく応力だけでなく、発光半導体層153とその他のGaN層(n型半導体層152、p型半導体層154及びアンドープ型半導体層151)との結晶格子定数差に基づく圧縮応力を抑制でき、ドループ抑制効果がさらに高まり、さらに好ましい。
半導体発光素子100において、半導体発光層153内における平均貫通転移欠陥数Teは、4×10本/cm以下であることが好ましい。半導体発光層153に貫通転移欠陥が原因で電子とホールとの発光再結合が抑制されることが防止され、内部量子効率IQEの低下を防止できる。Teは、3×10本/cm以下であるとより好ましく、2×10本/cm以下であると、貫通転移欠陥による内部量子効率IQE低下効果が十分に抑制されるので、さらに好ましい。
また、アンドープ型半導体層151内の半導体発光素子用基板101との界面近傍の平均貫通転移欠陥数Tsが、5×10本/cm以上であると、貫通転移欠陥がまとめられてTsが減少した際のドループ抑制効果が発現し易く、好ましい。Tsが20×10本/cm以上であるとより好ましく、30×10本/cm以上であると、上記、サファイア基板(半導体発光素子用基板101)とGaN層(アンドープ型半導体層151)との線膨張係数差に基づく応力だけでなく、発光半導体層153とその他のGaN層(n型半導体層152、p型半導体層154及びアンドープ型半導体層151)との結晶格子定数差に基づく圧縮応力を抑制し易くなり、さらに好ましい。Tsが、40×10本/cm以上であると、ドループ抑制効果を一層高めることが可能となるため、さらにより好ましい。
(平均貫通転移欠陥数Te、Tsの測定)
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、平均貫通転移欠陥数Te、Tsは、次にように測定される。半導体発光素子100を所定の厚さに切断し、透過型電子顕微鏡(TEM)で、貫通転移欠陥を観察する。観察した欠陥数を測定試料の断面積で除して、平均貫通転移欠陥数が求められる。
半導体発光素子100においては、半導体発光素子用基板101の主面の一部には少なくとも凹凸構造が形成されており、凹凸構造表面も含めた断面積は大きくなるが、平均貫通転移欠陥数Ts、Teを求める際の断面積は、凹凸構造表面の断面積は考慮せず、観察面の厚さと幅の積から求められる断面積を採用する。
上記観察面の幅は、30μm以上が好ましい。観察面の厚さは、300nm以上が好ましく、より好ましくは400nm以上であり、500nm以上であると、凹凸構造による貫通転移欠陥数の測定ムラを抑制できるため、さらに好ましい。
(半導体層)
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、アンドープ型半導体層151としては、例えば、シリコンやゲルマニウムなどの元素半導体、又は、III−V属やII−VI族、IVI−IV族等の化合物半導体を適用できる。特に、アンドープ型半導体層151は、アンドープ窒化物層であることが好ましい。アンドープ窒化物層としては、例えば、900℃〜1500℃の成長温度で、NHとTMGaを供給することで成膜できる。
アンドープ型半導体層151の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましいが、アンドープ型半導体層151に対する残留応力の観点から、1.3μm以上10μm以下がより好ましい。
バッファ層には、例えば、GaN構造、AlGaN構造、AlN構造、AlInN構造、InGaN/GaN超格子構造、InGaN/GaN積層構造、AlInGaN/InGaN/GaN積層構造などを採用することができる。中でも、GaN構造、AlGaN構造、AlN構造が最も好ましい。これにより、アンドープ型半導体層151の成長速度のバラツキがより低減するため、貫通転移欠陥111の会合点の制御性が向上し、アンドープ型半導体層151の表面ラフネスを低減しやすい。
また、バッファ層の成膜については、成膜温度を350℃〜600℃の範囲にできる。また、バッファ層は、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD、Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法又はスパッタリング法により成膜されることが好ましい。
バッファ層の厚さは、5nm以上100nm以下が好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。バッファ層の厚みをこの範囲にすることにより、アンドープ型半導体層151の成長速度のバラツキを低減し、貫通転移欠陥111の会合点を制御し易い。
n型半導体層152としては、半導体発光素子100に適したn型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの元素半導体、III−V族、II−VI族、IV−IV族などの化合物半導体などに適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。例えば、GaNにn型ドーパントをドープしたものを適用できる。また、n型半導体層、p型半導体層には、適宜、図示しないn型クラッド層、p型クラッド層を設けることができる。
n型半導体層152としてのn型GaN層としては、例えば、NHを3×10−2〜4.2×10−2mol/分、トリメチルガリウム(TMGa)を0.8×10−4〜1.8×10−4mol/分及びSiに代表されるn型ドーパントを含むシランガスを5.8×10−9〜6.9×10−9mol/分供給することで、形成することができる。n型半導体層152の膜厚は、活性層への電子注入性の観点から、800nm以上であると好ましく、1500nm以上であることがより好ましい。
発光半導体層153としては、半導体発光素子として発光特性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、発光半導体層153として、AsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、AlInGaN、ZnSe、AlHaInP、ZnOなどの半導体層を適用できる。また、発光半導体層153には、適宜、特性に応じて種々の元素をドープしてもよい。
また、発光半導体層153は、単一量子井戸構造(SQW)又は多重量子井戸構造(MQW)とすることが好ましい。
例えば、単一量子井戸構造の場合、600℃〜850℃の成長温度で、窒素をキャリアガスとして使い、NH、TMGa及びトリメチルインジウム(TMIn)を供給することで、INGaN/GaNからなる活性層を、100Å〜1250Åの厚さに成長させることができる。また、多重量子井戸構造の場合、1つの層を構成するInGaNに関し、In元素濃度を変化させることもできる。
また、発光半導体層153とp型半導体層154との間に、電子ブロック層(図示せず)を設けることができる。電子ブロック層は、例えば、p−AlGaNにて構成される。
p型半導体層154としては、半導体発光素子に適したp型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの元素半導体、及び、III−V族、II−VI族、IV−IV族などの化合物半導体に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。例えば、GaNにp型ドーパントをドープしたものを適用できる。
p型半導体層154としてのp型GaN層は、例えば、成長温度を900℃以上に上昇させ、TMGa及びCPMgを供給することで、数百〜数千Åの厚さに成膜することができる。
これらの積層半導体層160(n型半導体層152、発光半導体層153及びp型半導体層154)は、基板表面に公知の技術により成膜できる。例えば、成膜方法としては、MOCVD、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)などが適用できる。
透明導電膜155の材質は、半導体発光素子に適した透明導電膜として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、Ni/Au電極などの金属薄膜や、ITO、ZnO、In、SnO、IZO、IGZOなどの導電性酸化物膜を適用できる。透明性、導電性の観点から、特に、ITOが好ましい。
透明導電膜155の厚みは、30nm以上100nm以下が好ましい。透明導電膜155の役割は、アノード電極156からの電流を拡散させ、p型半導体層154に注入することである。透明導電膜155の抵抗は厚みが厚いほど小さくなることから、透明導電膜155の厚み(T_TE)は、30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。光吸収を抑えることに加えて、薄膜干渉を利用して、臨界角以下の入射角に対する透過率を著しく上げることができ、また、臨界角以下の透過率分布を抑える観点から、透明導電膜155の厚み(T_TE)の上限としては、100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましい。
透明導電膜155の厚み(T_TE)は、例えば、走査透過電子顕微鏡(STEM)によって測定することができる。透明導電膜755の厚みのSTEMによる測定は、像のコントラストから、透明導電膜755と積層半導体層760との境界を明確化することができるため、好ましい。
(反射層)
半導体発光素子100において、半導体発光素子用基板101の積層半導体層160が形成されている主面の反対側の面に、図示しない反射層を設けてもよい。
反射層の材質は、発光波長での反射率が高ければ特に限定されない。例えば、金属ではAg、Al又はこれらの合金が、例えば反射率や半導体発光素子用基板101との密着性の観点から選択される。あるいは、より高い反射率とするために、反射層として、誘電体多層膜を形成してもよい。反射率が所望の範囲で有れば、反射層の膜厚及び層数は、特に限定されず、例えば、高屈折率層としてチタン酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、窒化アルミ、低屈折率層としてシリコン酸化物を用いることができる。また、誘電体多層膜を形成した後、金属を成膜してもよい。また、反射層と半導体発光素子用基板101との密着性を改善するために、反射層と半導体発光素子用基板101との間に密着層を設けてもよい。密着層は、例えば、シリコン酸化物を用いることができる。
(半導体発光素子用基板)
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、半導体発光素子用基板101の積層半導体層160が形成される側の主面の一部又は全面に、凹凸構造が形成されている。凸構造の周囲には、凹構造が形成されている。凸構造は、複数の凸部102が隣接して形成されており、複数の凸部102により凸部群104が構成されている。
凹構造は、凸部102が形成されていない歯抜け部103となっている。歯抜け部103は、凸部群104の間に規則的に形成されており、歯抜け部103は、アンドープ型半導体層151を半導体発光素子用基板101上に形成する際に、エピタキシャル成長促進部とすることができる。また、凸部群104は、アンドープ型半導体層151に対して、エピタキシャル成長抑制部とすることができる。
半導体発光素子用基板101上に、エピタキシャル成長促進部とエピタキシャル成長抑制部があるために、アンドープ型半導体層151を形成する際に、半導体発光素子用基板101との界面に発生した貫通転移欠陥111同士の衝突による、貫通転移欠陥111の減少が起き易くなる。このため、アンドープ型半導体層151内の半導体発光素子用基板101との界面の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光半導体層153内の平均貫通転移欠陥数Teとの差を大きくすることが可能となる。
半導体発光素子用基板101と、アンドープ型半導体層151及び積層半導体層160とは、組成が異なる異種基板であることが好ましい。さらに、アンドープ型半導体層151及び積層半導体層160は、窒化物半導体を含むことが好ましく、半導体発光素子用基板101は、サファイア、炭化ケイ素、スピネル及びシリコンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
半導体発光素子用基板101と、アンドープ型半導体層151及び積層半導体層160とが異種基板であるために、格子定数の差から、アンドープ型半導体層151と半導体発光素子用基板101との界面の平均貫通転移欠陥数Tsを増やし易い。仮に、アンドープ型半導体層151がGaNである場合に、半導体発光素子用基板101もGaNであると、格子定数の差に由来する貫通転移欠陥111の発生がほとんどなく、アンドープ型半導体層151内の半導体発光素子用基板101との界面の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光半導体層153内の平均貫通転移欠陥数Teとの差を大きくできない場合がある。この場合、前記したようなアンドープ型半導体層151内の貫通転移欠陥数の減少が抑制され、発光半導体層153の圧縮応力が減らず、ドループが改善しない。
また、半導体発光素子用基板101においては、エピタキシャル成長促進部である歯抜け部103には、エピタキシャル成長を阻害しない範囲で、その一部あるいは全面に、半導体発光素子用基板101の主面に対して、曲率を有する面が存在することが好ましい。歯抜け部103が曲率を有する面であると、アンドープ型半導体層151内の半導体発光素子用基板101との界面の平均貫通転移欠陥数Tsを大きくできるため、好ましい。
ここで、「曲率を有する面」とは、半導体発光素子用基板101の主面に対する断面において、曲率が0でない曲面を有する面であり、断面において2つ以上の曲率を有する曲面であってもよい。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る歯抜け部の曲面について説明する。図2は、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の歯抜け部を説明するための断面模式図である。図2Aに示すように、半導体発光素子用基板201は、その主面に、複数の凸部202が隣接して構成される凸部群204が形成されており、凸部群204の周囲には、歯抜け部203が形成されている。歯抜け部203は、半導体発光素子用基板201の断面において、曲率を有する曲面で構成されることが好ましい。図2Aにおいては、歯抜け部203は、凹状に湾曲している。
また、図2Bに示すように、歯抜け部203は、半導体発光素子用基板201の断面において、曲率を有する2つの曲面で構成されていてもよい。図2Bにおいては、歯抜け部203は、凹状に2カ所で湾曲している。
図2Cに示すように、歯抜け部203は、半導体発光素子用基板201の断面において、曲率を有する曲面で構成されていてもよい。図2Cにおいては、歯抜け部203は、凸状に湾曲している。また、図2Dに示すように、歯抜け部203は、半導体発光素子用基板201の断面において、曲率を有する2つの曲面で構成されていてもよい。図2Dにおいては、歯抜け部203は、凸状に2カ所で湾曲している。
半導体発光素子用基板201においては、図2に示すように、歯抜け部203は、半導体発光素子用基板201の断面において、曲率を有する曲面だけで構成されていてもよく、少なくとも一部の底面が曲率を有する面となっていれば、歯抜け部103は一部に平坦面を有していてもよい。
歯抜け部203における曲面の曲率は、曲率半径が700nm以上であると、歯抜け部203がエピタキシャル成長促進部となるため、好ましい。また、歯抜け部203は、曲率半径が1000nm以上であると、より好ましく、曲率半径が1300nm以上であると、歯抜け部203からのエピタキシャル成長がより促進されるため、さらに好ましい。
また、歯抜け部203における曲面の曲率は、0を超えており、曲率半径が12000nm以下であると、アンドープ型半導体層151(図1参照)内の半導体発光素子用基板201との界面の平均貫通転移欠陥数Tsが増加するため、好ましい。また、歯抜け部203は、曲率半径が4000nm以下であると、より好ましく、曲率半径が2500nm以下であると、歯抜け部203からの貫通転移欠陥数が多くなるため、さらに好ましい。本実施の形態において、歯抜け部203における曲面の曲率は、曲面の曲率半径をRとすると、1/Rで定義される。
次に、図3−14を参照して、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の平面模式図である。図4は、図3中X−X断面を示す断面模式図である。
図3に示すように、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板301では、凸部302は、互いに等しい最近接距離P1で互いに隣接して凸部群304を構成している。また、凸部群304の最外郭を構成する凸部302は、互いに離間せず隣接している。凸部群304は、その周囲を歯抜け部303で囲まれている。歯抜け部303は、前記したような、半導体発光素子用基板301の断面において2つ以上の曲率を有する曲面で構成されているが、図3、4においては省略している。
本実施の形態において、凸部302が互いに離間していないとは、平面視において、少なくとも凸部底部の縁同士が、実際的に間に平坦面を有せずに接している状態である。凸部302が互いに隣接しているとは、2つの凸部302、305間には、他の凸部が存在せず、隣り合っている状態を指す。図3の場合、凸部群304を構成するすべての凸部302、305が、互いに離間せず、互いに等しい最近接距離P1で隣接している。
本実施の形態における最近接距離P1は、次のように定義される。即ち、凸部群304において、互いに離間せず隣接している2つの凸部302、305の頂点間の距離のうち、最も短い距離として定義される。さらに、本実施の形態においては、凸部群304内の各凸部302、305間の最近接距離P1の平均値P0に対して、各P1の変動が、±10%以内である場合、凸部群304内は、複数の凸部302、304が互いに等しい最近接距離P1で構成されているものとする。
前記した最近接距離P1の平均値P0は、凸部群304内における凸部302、305の最近接する頂点間の距離の相加平均として定義される。測定に使用する局所的範囲は、凸部302、305の平均ピッチPの5倍〜50倍程度の範囲として定義する。
ここで、複数の凸部302、305の平均ピッチとは、次のように定義される。ある凸部の中心とこの凸部に最近接する凸部の中心との間の中心間距離がピッチである。各凸部302、305間でピッチを測定し、それらの相加平均値を、複数の凸部302、305の平均ピッチPと定義する。なお、上記相加平均値を求める際に選択する凸部の数Nが10点以上であることが好ましい。
例えば、平均ピッチPが700nmであれば、最近接距離P1は、3500nm〜35000nmの測定範囲の中で測定される。このため、例えば7500nmの視野像を、凸部302、305を有する領域内の、例えば中央の位置で撮像し、この撮像を使用して相加平均を求める。視野像の撮像には、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)を用いることができる。
(凸部の最近接距離P1の相加平均)
ある要素(変量)の分布のN個の測定値をx1、x2・・・、xnとした場合に、相加平均値は、以下の式(1)にて定義される。
Figure 2019145629
相加平均を算出する際のサンプル点数Nは、20として定義する。20としたのは、局所的範囲内で任意に個々の凸部302、305を選んだ際、十分な統計平均を取るためである。
本実施の形態において、最近接距離P1は、100nm以上3500nm以下であると、内部量子効率IQEと、光取り出し効率LEEが向上するため好ましい。凸部302間の最近接距離P1が100nm以上であると、発光光の半導体発光素子内部の光学波長(波長/屈折率)と同程度以上になり、発光光に対する散乱性が強くなり好ましく、500nm以上であるとより好ましく、700nm以上であると更に好ましい。また、半導体発光素子用基材301の主面に半導体層をエピタキシャル成長させるときに、平坦化しにくくなることを防止する観点から、最近接距離P1は、3000nm以下であると好ましく、2000nm以下であるとより好ましい。
上記の通り、凸部群304の周囲は、エピタキシャル成長を阻害しない範囲で、曲率を有する曲面(図2参照)が形成される歯抜け部303で囲まれている。本実施の形態における歯抜け部303とは、半導体発光素子用基板301に供される基板の主面が露出している状態であり、例えば、基板としてC面サファイア基板を使用した場合、歯抜け部303は曲率を有し、サファイア基板のC面と略平行である。歯抜け部303の、例えばサファイア基板に対する傾きは、1.0度以下であると、アンドープ型半導体層と半導体発光素子用基板301との界面の平均貫通転移欠陥数Tsが増え易くなり、好ましい。より好ましくは、0.9度以下であり、0.8度以下であると、歯抜け部303からのエピタキシャル成長速度が低下せず、平均貫通転移欠陥数Tsを増加できるため、特に好ましい。
また、凸部302が基板と異なる材料で構成されているヘテロ構造である場合も、歯抜け部303は、曲率を有しながら基板の主面と略平行であり、例えば、基板としてC面サファイア基板を使用した場合、歯抜け部303は、前記と同様、サファイア基板のC面と曲率を有しながら略平行となる。
歯抜け部303が基板の主面と曲率を有しながら略平行であるために、半導体発光素子用基板301の凹凸構造上に半導体層をエピタキシャル成長させる際に、歯抜け部303がエピタキシャル成長促進部となる。一方、凸部302で構成された凸部群304はエピタキシャル成長抑制部となる。
ここで、本実施の形態における「歯抜け」とは、実際に形成されていた凸部302を後の工程で除去したことを意味するのではなく、周期配列された凸部から、間引かれたような間隔で形成されていること、間引かれたような形状となっていることを意味する。結晶成長面である半導体発光素子用基板301の主面内に、エピタキシャル成長促進部となる歯抜け部303と、エピタキシャル成長抑制部となる凸部群304が混在していることで、歯抜け部303により、エピタキシャル成長促進部が確保される。これにより、半導体層中の結晶欠陥が抑制され、半導体発光素子の内部量子効率IQEを高めることができる。
歯抜け部303は、図3に示すように、連続した歯抜け部303としてもよく、凸部群304は、その周囲を歯抜け部303で囲まれていることが好ましい。
半導体発光素子301においては、凸部群304は、少なくとも4個以上の凸部302で構成されていることが好ましい。また、外周部の凸部302の共通外接線を結んで形成される多角形は、1辺が3個以上の凸部302で構成されることが好ましい。図3において、半導体発光素子用基板301は、凸部群304の共通外接線を結んだ多角形が正六角形であり(破線参照)、この正六角形の1辺の長さは、凸部302が3個並んだ共通外接線の長さで示される。
凸部群304が、凸部302の共通外接線を結んだ多角形であり、1辺が3個以上の凸部302に相当する長さで構成されていると、歯抜け部304から半導体層をエピタキシャル成長させた際に、アンドープ型半導体層内の半導体発光素子用基板301との界面の貫通転移欠陥が、半導体層の成長と共に、貫通転移欠陥同士で衝突してまとめられる、あるいは凸部群304へ衝突することにより、効率的に減少する。これにより、半導体層の結晶品質が高まり、得られる半導体発光素子の内部量子効率IQEを高めることができる。同時に、半導体発光層内の平均貫通転移欠陥数Teが減るため、半導体発光層の圧縮応力を減少させることになり、半導体発光層内のピエゾ電界が減り、ドループ現象が抑制される。
さらに、凸部群304の共通外接線を結んだ多角形が正多角形であると、エピタキシャル成長した半導体層の平坦性が向上し、半導体発光素子のリーク電流が減るため、より好ましい。
また、半導体発光素子用基板301において、凸部302、305で構成された凸部群304は、一定の凸部群周期306で繰り返し配置されていることが好ましい。一定の凸部群周期306を有することで、凸部群304間の歯抜け部303の面積が略一定となり、エピタキシャル成長促進部が基板面内で均等化されるため、半導体発光素子用基板301上に得られる半導体層の平坦性が向上し、好ましい。
凸部群周期306を規定する凸部群304間の距離は、歯抜け部303を挟んで互いに隣接する2つの凸部群304において、各々の凸部群304の中心間距離で定義される。凸部群304の中心は、凸部群304の平面視における重心である。凸部群304間の距離が一定の値を有することで、凸部群304が一定の凸部群周期306で配置される。
半導体発光素子用基板301においては、凸部群周期306は、500nm以上、10000nm以下であると好ましい。500nm以上であると、凸部群304による発光光に対する光散乱性が増加し好ましく、800nm以上であるとより好ましく、1000nm以上であると、凸部302による光散乱性に重畳して光散乱性が強まり更に好ましい。また、半導体発光素子用基板301上に得られる半導体層の平坦化に要する時間を短縮して、スループットの低下を防止し、加えて成膜時の基板の反りを防止する観点から、凸部群周期306は、10000nm以下が好ましく、9000nm以下がより好ましく、8000nm以下が更に好ましい。
また、基板面内における凸部群304間の距離の平均に対して、各々の凸部群304間の距離の変動が±10%以内である場合、複数の凸部群304は、互いに等しい凸部群周期306で構成されているものとする。
図5は、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板上に半導体層が形成される途中過程を示した平面模式図である。また、図6は、図5中のA−A断面を示す断面模式図である。図7は、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板上に半導体層が形成された状態を示す断面模式図である。
図5、図6に示すように、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板401上に半導体層が形成される時、エピタキシャル成長面である歯抜け部403から優先的にエピタキシャル結晶が成長する。図5においては、例えば、エピタキシャル結晶層がGaN結晶である場合、六角錘台状の結晶面を伴い成長する途中過程を示している。半導体発光素子用基板401は、凸部402で構成された凸部群404と、凸部群404の周囲を囲んだ歯抜け部403とで構成されている。歯抜け部403は基板主面と略平行であり、半導体発光素子用基板401の断面において、曲率を有する曲面を有している(図2参照)。例えば、基板がC面サファイア基板である場合、歯抜け部403はC面に略平行である。この半導体発光素子用基板401で半導体層がエピタキシャル成長する際、エピタキシャル成長促進部である歯抜け部403に、初期の結晶核が集中するため、GaN結晶407も歯抜け部403から結晶成長を開始する。凸部群404は結晶成長面であるC面が露出していないため、エピタキシャル成長は抑制され、結果として、図5に示したように、凸部群404は、GaN結晶407で囲まれるようになる。
この後、図5中に矢印で示すように、GaN結晶407の成長と共に、凸部群404の中心方向に結晶が埋まっていく。そして、図7に示すように、平坦面450を有する半導体層451となる。この過程において、GaN結晶407内の欠陥は、凸部群404の中心方向に曲折された形となり、図7に示す貫通転移欠陥411のように互いに会合することで、半導体層451内の貫通転移欠陥数が減少する。
以上のように、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板401においては、歯抜け部403に多数の欠陥の起点が形成、制御され、さらに、凸部群404の中心に集中することで、欠陥密度の面内分布が低減され、アンドープ型半導体層内の半導体発光素子用基板401との界面の平均貫通転移欠陥数Tsに対して、半導体発光層内の平均貫通転移欠陥数Tsを効率的に減少させることができる。さらに、得られる半導体層451の表面における表面荒れやピットの形成を抑えながら、均一に結晶成長させることが可能となる。以上の効果により、半導体発光層内の圧縮応力を減少させ、ドループを抑制できる。
さらに、半導体層451内の圧縮応力が減るために、半導体発光素子用基板401上に半導体層451を形成した後、室温に冷却した際の、半導体発光素子用基板401の半導体層451側への凸状反りを抑制できる。基板が反ると、LED形成プロセスにおけるフォトリソ工程での製品歩留まりが低下することが問題であったが、本実施の形態に係る半導体発光素子においては、基板の凸状反りを抑制できるため、半導体発光素子の発光効率向上に加えて、ウェハから良品として得られる半導体発光素子の個数を増やすことができ、ウェハあたりのチップ収率を効果的に高くすることが可能となる。
次に、凸部202(図2参照)のパラメータについて詳細に説明する。
(凸部高さH)
凸部高さHは、凸部202の頂部と、歯抜け部203との境界部と、の高さの差として定義される(図2参照)。凸部高さHが高いと、半導体層451(図7参照)が平坦化する際に要する膜厚が厚くなり、成膜時に反り易くなる。このため、凸部高さHは、3000nm以下が好ましく、2000nm以下がより好ましい。
(凸部底部径D)
凸部底部径Dは、平面視において、凸部底部の外接円の直径として定義される。例えば、凸部底部が真円の場合は、図3に示すように直径が一意に定まる。しかしながら、実際の凹凸構造では、凸部底部は、真円から歪んだ形状になる。図8は、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の平面模式図である。図8に示すように、半導体発光素子用基板501において、凸部502、505で構成される凸部群504が、歯抜け部503に囲まれている。半導体発光素子用基板501で、特に凸部底部径Dを太らせるエッチング条件では、凸部502、505の底部は、円形状から六角形に近づく。この場合、凸部底部の外接円直径を、凸部底部径Dとする。
(デューティ)
デューティとは、凸部底部径Dと、凸部302、305間の最近接距離P1の平均値P0(図3参照)との比(D/P0)で定義される。凹凸構造の充填度を表す量である。デューティが小さい、即ち凸部底部径Dが平均値P0に比して小さい場合、凸部302、305間の隙間に平坦面が露出する割合が高くなる。このとき、凸部302、305間の隙間からも結晶成長が進行し、歯抜け部303から選択的に成長させるという、位置選択性が低下する。よって、半導体層の欠陥を抑制し内部量子効率IQEを向上させるには、半導体発光素子用基板301における凸部302、305間の隙間からの初期結晶成長を抑制することが好ましい。このため、デューティは1.0以上が好ましく、1.05以上がより好ましく、1.15以上が更に好ましい。
本実施の形態に係る半導体発光素子用基板において、前記した最近接距離P1で隣接した凸部は、平面視において、直線で構成された辺で互いに接していることが好ましい。図8に示す半導体発光素子用基板501では、図3と同様の凸部配置で、隣接した凸部502、505が平面視において、直線で構成された辺で互いに接している状態である。
このように、直線で構成された辺で互いに接している凸部間形状であると、凸部502、505間に平坦面が存在しにくくなり、上記したような歯抜け部503からのエピタキシャル成長の選択成長性が増加し、より好ましい。
さらに、図8においては、凸部群504は、平面視における底部形状が、直線で構成された辺と、円弧状の曲線と、で構成されている含円弧底部形状である凸部502と、平面視における底部形状が、直線で構成された辺のみで構成されている凸部505とで構成されている。したがって、複数の凸部505の周囲が、含円弧底部形状の、複数の凸部502で囲まれた凸部群504を構成している。このような凹凸構造であると、前記したような凸部間の隙間からの結晶成長を抑制することができ、より好ましい。
(凸部群の配列)
本実施の形態に係る半導体発光素子用基板においては、前記したような凸部と凸部で構成された凸部群であれば、得られる半導体発光層における圧縮応力を緩和し、ドループ現象を抑制できる。そして、内部量子効率IQEと光取り出し効率LEEを同時に高めることができる。さらに、得られる半導体層の平坦性が高く、半導体層形成後の基板の反りが少ないため、優れた発光効率を有する半導体発光素子を歩留まりよく製造することが可能となる。
また、半導体発光素子用基板においては、図3と同様の最近接距離P1を有する凸部で構成された凸部群が、歯抜け部で囲まれるが、凸部群間の距離が、図8の配置よりも狭くてもよい。このため、歯抜け部の面積も減る。
このような配置であると、歯抜け部からのエピタキシャル成長の選択成長性が増加し、得られる半導体層の結晶性がより向上する。さらに、基板面内の凸部群の存在面積比が増えるため、光取り出し効率LEEも増加する。一方、歯抜け部の面積が、凸部群に比べて減るため、半導体層の形成は図8と比較して難しくなる。
また、半導体発光素子用基板においては、図8の凸部配列よりも、凸部群を構成する凸部の数が増えてもよい。
この配置においても、歯抜け部からのエピタキシャル成長の成長選択性が維持され、得られる半導体層の結晶性が向上する。さらに、凸部群を構成する凸部の斜面部面積が増加するため、光取り出し効率LEEは増加する。さらに、歯抜け部を起点として成長する半導体層が凸部群を完全に覆うために必要な距離が増加するため、前記したように、半導体層の貫通転移欠陥が互いに会合するまでの距離が伸び、会合する確率が増え、貫通転移欠陥が減少し易くなる。結果として、半導体層の圧縮応力が減少し、ドループ特性が改善する。
図9は、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の他の態様を示す平面模式図である。図9に示す半導体発光素子用基板801においては、図8の凸部配列から、凸部群の中心を取り除いた配置となっている。凸部802、805で構成され、中心の凸部がない凸部群804が、歯抜け部803で囲まれている。凸部群804の中心には、歯抜け部806が形成されている。
この配置においても、歯抜け部803からのエピタキシャル成長の選択成長性が維持され、得られる半導体層の結晶性が向上する。さらに、光取り出し効率LEEも増加する。また、歯抜け部806からも半導体層がエピタキシャル成長するため、図8の平面配置よりも、半導体層の形成が容易であり、得られる半導体層の平坦性を高く維持できる。
図9においては、半導体発光素子用基板801の面内における凸部802、805の平面視面積が減る。これによる光取り出し効率LEEが高くなる詳細なメカニズムは不明であるが、凸部群804が、一定の周期で配置されているために、歯抜け部806も周期的に存在し、半導体発光素子からの発光光に対して、回折要素として働き、散乱性を高め、光取り出し効率LEEを高くできると考えられる。
図10は、本実施の形態に係る半導体発光素子における凸部群の一例を示す平面模式図である。本実施の形態に係る半導体発光素子における凸部群は、図9と同様に、所定の凸部配列から、該当する位置の凸部を取り除いた形態であってもよい。例えば、図10Aに示すように、複数の凸部902で構成された凸部群904から取り除かれた凸部に該当する位置が隣接していない配置であってもよい。また、図10B及び図10Cに示すように、取り除かれた凸部に該当する位置が隣接している配置であってもよい。図10A、図10B、図10Cにおいては、凸部群904は、いずれもその周囲を歯抜け部903で囲まれており、図示していない領域で、該当する凸部群904が一定の凸部群周期で繰り返し配置されていることが好ましい。
図11は、本実施の形態に係る半導体発光素子における凸部群の一例を示す平面模式図である。図10A、図10B、図10Cを用いた説明と同様に、図11A〜図11Fに例示した凸部群1004の一例もまた、好ましい。なお、図11A〜図11Fにおいては、凸部群1004はいずれも、複数の凸部1002で構成され、その周囲を歯抜け部1003で囲まれている。
図12は、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の他の態様を示す平面模式図である。図12に示す半導体発光素子用基板1101においては、3方配置の凸部から、凸部を周期的に取り除いた配置である。
半導体発光素子用基板1101は、歯抜け部1103と、その周囲を囲む凸部1102とで構成され、凸部1102は、周期Pnで周期配列されている。更に、歯抜け部1103は、歯抜け部1103aとの距離Peが互いに等しい、最近接する3個の歯抜け部1103b、1103c、1103dと、二次元六方格子1104を構成する位置で配置されており、二次元六方格子1104は周期的に配置されている。図12において、凸部群1105を構成する複数の凸部1102の凸部底部径Dが周期Pnの115%となっており、隣接する凸部1102間に平坦面がない構造である。
本実施の形態において、基板本体の材質は、半導体発光素子用基板として使用できるものであれば特に制限はない。例えば、サファイア、SiC、SiN、GaN,シリコン、スピネル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タングステン、モリブデン、GaP、GaAsの基板を用いることができる。中でも、半導体層との格子マッチングの観点から、サファイア、スピネル、シリコン、GaN、GaP、GaAs、SiCなどの基板を適用することが好ましい。例えば、基板に、C面(0001)を主面とするサファイア基板を用いることができる。更に、基板は、基板主面に凹凸構造を形成する凸部と同じ材質であってもよく、凸部と異なる材料で構成されているヘテロ構造としてもまた好ましい。
本実施の形態に係る半導体発光素子用基板における凸部と凸部で構成された凸部群は、前記したように、エピタキシャル成長抑制部であり、エピタキシャル成長促進部である歯抜け部との半導体結晶成長速度に差がある方が好ましい。結晶成長速度に差があると、結晶成長において凸部群を半導体結晶が覆うときに、貫通転移欠陥同士が会合し易くなり、貫通転移欠陥が減ることで、半導体層内の内部応力を抑制でき、ドループ特性が改善し易くなる。あるいは、凸部が、エピタキシャル成長しやすい基板(例えばC面サファイア基板)と異なる材料で構成されることで、凸部群の半導体結晶成長をより抑制することができる。
(半導体発光素子用基板の製造方法)
続いて、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板の製造方法について説明する。ただし、以下に示す製造方法は一例であって、これに限定されるものではない。
上記のような半導体発光素子用基板の製造方法としては、特に制限されるものではなく、通常のフォトリソグラフィ法、インプリント法、ナノインプリント法、ナノインプリントリソグラフィ法などが挙げられる。例えば、ナノインプリントリソグラフィ法においては、所定の基板表面に、レジスト層を形成したのち、必要とする転写パターンの反転型を使い、ナノインプリント法によりレジスト層にパターンを転写し、表面に必要とする凹凸パターンが形成されたレジスト層を得る。
また、あらかじめ必要とする所定の凹凸パターンの凹凸反転構造が形成されたシート表面に、ドライフィルムレジスト層を形成したドライフィルムパターンシートを形成し、ドライフィルムパターンシートを基板表面に転写し、表面に凹凸パターンが形成されたドライフィルムレジスト層を基板の表面に得る、ドライフィルムインプリントリソグラフィ法も利用できる。
上記のドライフィルムインプリントリソグラフィ法によれば、エッチング耐性の高いドライフィルムレジスト層で凹凸パターンを形成でき、これをマスク層として基板をエッチングして、基板表面に凹凸パターンを容易に形成できる利点があり好ましい。また、ドライフィルムパターンシートを基板に貼合する工程のみでよく、高精度のインプリント装置や露光装置が不要であり、生産効率も高めることができるので、工業生産上有益である。以上から、半導体発光素子用基材の製造方法としては、ドライフィルムインプリントリソグラフィ法を用いることが好適である。
ここで、サファイア基板を代表して、さらに説明する。サファイア基板を、例えば、硫酸と過酸化水素水の混合液(SPM液)にて洗浄し、クリーニングする。一方で、凸部及び凸部群の位置情報を相関係数0.9以上の精度で具備するドライフィルムパターンシートを準備する。例えば、ガラスのマザーロールに対して熱リソグラフィ法を適用してパターンを形成する。このとき、レーザーの照射パルスを制御することで、凸部及び凸部群の位置情報を、ガラスのマザーロールに形成できる。このマザーロールから光ナノインプリント法により、モールドを製造する。さらに、モールドからモールドを転写し、複製してもよい。
次に、上記のように得られたモールドに対して、無機又は有機無機ハイブリッド組成の第1レジストを充填する。例えば、有機金属や金属酸化物微粒子などを第1レジストに含有できる。この段階での充填状態は、モールドのパターン内に、レジストが完全には満たされておらず、第1レジストにより平坦化されていない状態であり、第1次レジストを塗布した後であっても、パターンの一部が露出している。
次に、第1レジスト充填モールドに対して、有機レジストである第2レジストを塗布する。ここでは、前段階と異なり、平坦化するように第2レジストを成膜する。第1レジスト及び第2レジストが成膜されたモールドをドライフィルムパターンシートと呼ぶ。ここで、2層として説明しているが、半導体発光素子用基材の製造方法には、第2レジストのみを成膜した単層レジストや、更に第3レジストを有する多層ドライフィルムパターンシートを使用することもできる。有機レジストは、ネガ型でもポジ型でもよく、少なくとも、紫外線にて効果作用が発現するラジカル重合系レジスト、又は、化学増幅系レジストを含むと好ましい。有機レジストは、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、アクリル変性エポキシノボラック、メタクリル変性エポキシノボラック、アダマンタン、フルオレン、カルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリパラヒドロキシスチレンなどを含むと、基板の加工性が向上するため好ましい。特に、有機レジストを、オリゴマー又はポリマー、モノマー及び重合開始剤を含む混合物とすると、塗布したレジストの薄膜状態を維持する機能が向上するため望ましい。
このような2層以上の構成のドライフィルムパターンシートであると、後工程のエッチング工程において、前記した第1レジストが第2レジストのマスクとなり、第2レジストを含んだエッチング耐性の高い多層のパターンを基板上に形成することが可能となる。
ここで、第2レジストに、金属や金属酸化物の微粒子が混入されていると、第2レジストをマスクとして得られる半導体発光素子用基板において、前記したような、その一部あるいは全面に曲率を有する曲面が存在する歯抜け部を形成することができ、好ましい。金属や金属酸化物の微粒子が第2レジストに存在すると、この部分の基板の主面に対して垂直方向のエッチング速度が変わるために、曲率を有する曲面が存在する歯抜け部が得られる。
このため、第2レジストに混入させる微粒子は、所望とする歯抜け部よりも小さい粒子径であることが好ましい。さらに、第2レジストとのエッチング速度差を適度に有するために、金属や金属酸化物の微粒子であることが好ましい。
次に、前記したドライフィルムパターンシートを、第2レジストを介してサファイア基板に貼り合わせる。貼り合わせた後に、光や熱によりレジストを安定化させ、その後、モールドを取り除く。または、モールドを取り除いた後に、光や熱によりレジストを安定化させる。
以上の操作により、サファイア基板の主面上に第2レジスト層と第1レジスト層を転写する。レジストの表面にはモールドの反転構造が転写されており、この反転構造は、位置情報として、凸部及び凸部群の配列を有している。
最後に、基板表面に形成されたレジスト層をマスクとして、基板をエッチングすることで、基板表面に凸部及び凸部群を形成できる。エッチング方法としては、ウェットエッチング、ドライエッチング、あるいは両者を組み合わせた方法などが適用できる。特に、凸部及び凸部群の制御と、凸部群を囲む歯抜け部の曲率の制御の観点から、ドライエッチング法を用いることが好ましい。ドライエッチング法の中でも、異方性ドライエッチングなどが好ましく、ICP−RIE、ECM−RIEなどがより好ましい。ドライエッチングに使用する反応ガスとしては、基板の材質と反応すれば、特に限定されるものではないが、BCl、Cl、CHF、あるいはこれらの混合ガスが好ましく、適宜、Ar、O、Nなどを混合できる。
上記したドライフィルムインプリントリソグラフィ法とドライエッチング法により、本実施の形態に係る半導体発光素子用基板を形成することができる。
以下、本発明の効果を明確に行った実施例及び比較例をもとに本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
まず、半導体発光素子用基板を作製した。半導体発光素子用基板のパターンは、ドライフィルムパターンシートを使用して作成した。ドライフィルムパターンシートについては後述する。
2インチの片面鏡面のc面サファイア基板を準備し、洗浄した。続いて、サファイア基板を120℃のホットプレート上に配置した。次に、ドライフィルムパターンシートを、120℃に加温したラミネートロールを使用して、サファイア基板に貼り合わせた。貼り合わせは、0.5MPaの圧力で、線速50mm/秒にて行った。ドライフィルムパターンシートの貼り合わせされたサファイア基板に対して、サファイア基板越しに紫外線を照射した。紫外線は、波長365nmのUV−LED光源より照射されたもので、積算光量が1500mJ/cmになるように設定した。
次に、120℃に加熱した2枚の並行平板で、ドライフィルムパターンシートとサファイア基板を挟み込んだ。挟み込みの圧力は0.3MPaとし、時間は10秒とした。続いて、空冷にて室温まで冷却し、ドライフィルムパターンシートの樹脂モールドをサファイア基板より、50mm/秒の速度で剥離した。以上の操作により、サファイア基板の主面上に、2層レジスト層を転写付与した。レジスト層の主面には凹凸構造が設けられていた。この凹凸構造の形状及び配列、2層レジストの層構成、そして以下に記載のドライエッチング条件により、半導体発光素子用基板のパターンを制御した。
<ドライフィルムパターンシート>
ドライフィルムパターンシートは、貼合操作及び剥離操作で、被処理体上に加工マスクを転写付与できる成形体である。ドライフィルムパターンシートは、樹脂製のモールド(樹脂モールド)、第1レジスト層、及び第2レジスト層で構成されている。樹脂モールドは、主面に凹凸構造を有し、当該凹凸構造の凹部の内部に、第1レジスト層が充填される。そして、樹脂モールドの凹凸構造と第1レジスト層と、を平坦化するように第2レジスト層が配置される。
(樹脂モールド)
まず、樹脂製のモールドを、ロール・ツー・ロールの光ナノインプリント法を使用して、製造した。幅は500mm、長さは200mである。樹脂モールドの層構成としては、厚み50μmのPET(polyethylene terephthalate)フィルムの易接着面上に厚み1.5μmの転写層がある構成であり、転写層の主面に光ナノインプリント法にて転写された凹凸構造が形成されていた。また、樹脂モールドの凹凸構造面に対する水滴の接触角は140°〜153°の間であった。転写層の材料は、下記混合物とした。
(転写層)
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート(OPTOOL(登録商標) DAC HP(ダイキン工業社製)):トリメチロールプロパン(EO変性)トリアクリレート(M350(東亞合成社製)):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad(登録商標) 184(IGM Resins社製)):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Omnirad(登録商標) 369(IGM Resins社製))=17.5g:100g:5.5g:2.0gにて混合した。
次に、樹脂モールドの凹構造に対して、第1レジスト層を、ダイコート法にて成膜した。第1レジスト層の材料としては、下記に示す化合物を混合し、チタン含有有機無機複合レジストを調整した。
(第1レジスト層)
チタニウムテトラブトキシドモノマ(和光純薬工業社製):3―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製):フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製):1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad(登録商標) 184(IGM Resins社製)):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Omnirad(登録商標) 369(IGM Resins社製))=65.2g:34.8g:5.0g:1.9g:0.7gにて調合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルにて希釈してチタン含有有機無機複合レジストを調整した。更に固形分に対して0.000625質量%となるように高分子界面活性剤(KF−945(信越化学工業(株)製)を添加した。KF−945の分子量は約2500、分子構造は下記化学式(1)であると推定される。
Figure 2019145629
チタン含有有機無機複合レジストは、表面張力が24.0mN/m以下の溶剤Aと、表面張力が27.0mN/m以上の溶剤Bと、を混合した混合溶剤にて希釈し、これを塗布液とした。ダイコート法にて、塗布液を樹脂モールドの凹構造内に塗布する際に、ダイリップの上流側を減圧した。塗布の速度は10m/分とし、吐出量を制御することで、第1レジスト層の凹構造内への充填量を制御した。塗布後、120℃のエアを吹き付け乾燥させ、その後、樹脂モールドを巻き取り回収した。
塗布後、第1レジスト層を成膜した樹脂モールドを解析し、第1レジスト層の状態を把握した。解析は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分光法を併用した。第1レジスト層は、樹脂モールドの凹凸構造の凹構造の内部に充填されていた。一方で、樹脂モールドの凹凸構造の凸構造の上面には、数ナノメートルオーダーの第1レジスト層の残渣(凝集物)が観察されていた。
次に、第1レジスト層の充填された樹脂モールドに対して、第2レジスト層を成膜した。成膜方法は、第1レジスト層の場合と同様に行った。第2レジスト層の材料は、下記組成の混合物であり、これを表面張力が25.0mN/m以下の溶剤にて希釈して塗布液とした。
(第2レジスト層)
アクリロイル基変性率が100%のエポキシノボラック樹脂(CNEA−100(ケーエスエム社製)):ジペンタエリスリトールポリアクリレート(NKエステル A−DPH(新中村化学工業社製)):2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Omnirad(登録商標) 651(IGM Resins社製)):ジルコニアナノ粒子分散液(ジルコスター(登録商標)(日本触媒製))=80g:20g:4.5g:2gの比率にて混合した。
乾燥は、105℃にて行った。乾燥後、ヘーズ(濁度)が10%以下のPE(polyethylene)/EVA(ethylene−vinylacetate copolymer)保護フィルムを第2レジスト層に貼り合わせ、この状態で樹脂モールドを巻き取り、回収した。ここで、製造したドライフィルムパターンシートを解析し、第1レジスト層及び第2レジスト層の状態を把握した。解析は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分光法を併用した。第1レジスト層については、第2レジスト層の成膜前後で変化はなかった。第2レジスト層は、樹脂モールドの凹凸構造及び第1レジスト層を平坦化するように成膜できていた。また、第2レジスト層の成膜厚は、ダイコート成膜の塗布液の吐出量を変化させることで、制御可能であることを確認した。即ち、ダイコート成膜の塗布液の吐出量を制御して、第1レジスト層の充填径及び第2レジスト層の膜厚を変化させた。ドライフィルムパターンシートの第1レジスト層の充填径は600nm、第2レジスト層の膜厚は1500nmとした。
<半導体発光素子用基材の作製>
製造したドライフィルムパターンシートを使用して、既に説明したように、サファイア基板の主面上に、第1レジスト層及び第2レジスト層からなる2層レジスト層を転写付与した。2層レジスト層で構成される凸マスクは、以下の通り形成されていた。
凸マスク直径:0.62μm
凸マスク高さ:1.47μm
凸マスクピッチ(Pn):0.70μm
凸マスク間の凹部ピッチ(Pe):1.40μm
次に、レジスト層を加工するエッチングと、サファイア基板を加工するエッチングを同一チャンバー内で連続して行った。エッチングにはGigalane社製Maxis300LCHplus ICPプラズマエッチャーを使用した。レジスト層のエッチングには、酸素ガスを使用した。ここでは、第1レジスト層が第2レジスト層のエッチングマスクとして機能し、第2レジスト層をサファイア基板の主面が部分的に露出するまでエッチングした。エッチング条件は、処理ガス圧2Pa、ICP強度1200W、BIAS強度200W、処理時間200sの条件とした。
続いて、BClガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、サファイア基板をエッチングした。ここでは、第2レジスト層をエッチングマスクとして、サファイア基板をエッチングした。処理条件は、処理ガス圧0.4Pa、ICP強度1700W、BIAS強度320W、処理時間1000sとした。
エッチング加工したサファイア基板を取り出し、硫酸及び過酸化水素水を2:1の重量比にて混合した溶液にて洗浄した。このとき、処理液の温度は、100℃以上に制御した。
製造したサファイア基板の主面には、パターンが形成されていた。形成されたパターンは、図12と同様の凸パターンであり、ピッチ0.70μmの格子定数で、凸部が六方格子に配置され、凸パターンが設けられていない歯抜け部が、1辺1.40μmの正六角形の各頂点に位置し、繰り返し配置されている。
上記操作で得られたサファイア基板表面を電子顕微鏡で観察した。図13は、実施例に係る半導体発光素子用基板を示す平面図である。図13Aは、得られたサファイア基板表面を電子顕微鏡で観察した図である。図13Bは、図13Aの一部を示す模式図である。観察条件は以下の通りであった。
(電子顕微鏡)
装置;HITACHI s−5500
加速電圧;10kV
MODE;Normal
凸部は、以下の通り形成されていた。
凸部直径:0.66μm
凸部高さ:0.38μm
凸部ピッチ(Pn):0.70μm
凸部間の歯抜け部ピッチ(Pe):1.40μm
得られたサファイア基板は、凸マスクパターンと同一配置の凸部と歯抜け部を有していた。ただし、凸部間の歯抜け部は、平坦面ではなく、サファイア基板に50nmの高さの湾曲部を形成していた。
得られたサファイア基板上に、バッファ層としてAlGa1−xN(0≦x≦1)の低温成長バッファ層を100Å成膜した。次に、非ドープ第1半導体層として、アンドープのGaNを成膜した。その後、得られた基板にドープ第1半導体層として、SiドープのGaNを成膜した。続いて歪吸収層を設け、発光半導体層として、多重量子井戸の活性層(井戸層、障壁層=アンドープのInGaN、SiドープのGaN)をそれぞれの膜厚を(60Å、250Å)として井戸層が6層、障壁層が7層となるように交互に積層した。発光半導体層上に、第2半導体層として、エレクトロブロッキング層を含むようにMgドープのAlGaN、アンドープのGaN、MgドープのGaNを積層し、積層半導体層を得た。
その後、透明導電膜としてITOを成膜し、電極形成した。その後、実装工程を行った。サファイア基板を厚さ160μmまで研磨して裏面に反射層を設けた。反射層は、Ag−Pd−Cu系の合金を成膜した。その後、裁断工程を経て得られた半導体発光素子について、3000個の半導体発光素子のうち、20個について実装を行い、平均を求めた。銀メッキTO缶にAgペーストで接合し、ワイヤボンディングすることで、p電極パッドとn電極パッドの間に電流を流し、発光出力を測定した。なお、チップの大きさは350μm四方、電流は20mAとし、発光波長は450nmであった。評価はつぎのように行った。
(平均貫通転移欠陥数)
平均貫通転移欠陥数は、透過型電子顕微鏡を使用し、得られた半導体発光素子の断面観察を実施して、測定した。なお、透過型電子顕微鏡の観察倍率は、50000倍とし、25μm幅における貫通転移欠陥数を、幅と厚さの積で除し、平均貫通転移欠陥数とした。半導体発光素子において、アンドープ型半導体層の基板界面の平均貫通転移欠陥数Ts、及び、発光半導体層内の平均貫通転移欠陥数Teを各々測定した。
(発光特性)
得られた半導体発光素子について、電流を変えながら光出力を積分球で測定し、発光出力(Pout)を得た。発光出力(Pout)を、電流値Iと出力電圧Vの積(I×V)で除すと、ウォールプラグ効率(WPE)となる。
WPE=Pout/(I×V)
さらに、WPEを、次式で定義される電圧効率(ηv)で除し、外部量子効率(ηex)を得た。
ηv=Vg/V (ここで、Vgは、電流vs電圧特性の立ち上がり電圧)
ηex=WPE/ηv
本実施例において、ドループは、電流値が0(mA/mm)から350(mA/mm)の範囲において、外部量子効率(ηex)の最大値(ηmax)と、電流値350(mA/mm)の外部量子効率(η350)との差を、ηmaxで除したもので評価し、効率ドループ(Dp)と示す。
Dp=|(ηmax)−(η350)|/(ηmax)
[比較例1]
実施例1と同様の方法で、サファイア基板表面に、実施例1と同様なパターンを形成した。ドライフィルムパターンシートの第1レジスト層の充填径は600nm、第2レジスト層の膜厚は1000nmとした。製造したサファイア基板の主面には、実施例1と同様なパターンが形成されていた。
凸部は、以下の通り形成されていた。
凸部直径:0.66μm
凸部高さ:0.38μm
凸部ピッチ(Pn):0.70μm
凸部間の歯抜け部ピッチ(Pe):1.40μm
ただし、凸部間の歯抜け部は、湾曲形状ではなく、サファイア基板の主面と略平行な平坦面を形成していた。
次に、得られたサファイア基板上に、実施例1と同様に各半導体層、ITO、電極を形成した後、実装工程を経て、半導体発光素子を得た。なお、チップの大きさは350μm四方、電流は20mAとし、発光波長は450nmであった。実施例1と同様に、半導体発光素子において、アンドープ型半導体層の基板界面の平均貫通転移欠陥数Ts、及び、発光半導体層内の平均貫通転移欠陥数Teを各々測定した。
実施例1、比較例1の半導体発光素子における、アンドープ型半導体層の基板界面の平均貫通転移欠陥数Tsと、発光半導体層内の平均貫通転移欠陥数Te及び効率ドループ(Dp)を、表1に示す。表1より、実施例1は、比較例1よりも効率ドループ(Dp)が向上していた。
Figure 2019145629
以上より、本実施の形態の半導体発光素子100によれば、アンドープ型半導体層151内の平均貫通転移欠陥数Tsと、半導体発光層153内の平均貫通転移欠陥数Teとに差がある。すなわち、アンドープ型半導体層151内における半導体発光素子用基板101との界面近傍から、半導体発光層153に向かって、複数の貫通転移欠陥111が会合によりまとめられ、貫通転移欠陥数が減少する。アンドープ型半導体層151内で、半導体発光素子用基板101側から積層半導体層160側に向かって、減少する貫通転移欠陥111の体積分、アンドープ型半導体層151が収縮するため、半導体発光層151内に生じている圧縮応力を減少させることができ、半導体発光層151内のピエゾ電界が減って、ドループ現象が抑制される。
また、半導体発光素子用基板101の主面に半導体層をエピタキシャル成長させる際に、エピタキシャル成長促進部となる凹構造103と、エピタキシャル成長抑制部となる凸構造104が、主面内に混在している。凹構造103により、エピタキシャル成長促進部を確保することで、半導体層中の結晶欠陥が抑制され、半導体発光素子100の内部量子効率IQEを高めることができる。また、凸構造104により、凸構造104の面積を確保することで、半導体発光素子100において凸構造104で光を散乱させることができる。
したがって、半導体層中の結晶欠陥を減らすことにより内部量子効率IQEが改善され、光散乱により導波モードを解消して光取り出し効率LEEが高められ、さらに、ドループ現象が改善され、発光効率が向上する。
本発明の実施の形態は上記の各実施の形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
以上説明したように、本発明は、ドループ現象が改善され、発光効率が効果的に向上するという効果を有し、特にLEDなどの半導体発光素子に好適に使用することができる。本発明の半導体発光素子は、高い発光効率を有するため、電力の有効活用ができ、省エネルギーに大きく貢献できる。
100 半導体発光素子
101、201、301、401、501、601、701、801、1101 半導体発光素子用基板
102、202、302、305、402、502、505、602、605、702、705、802、805、902、1002、1102 凸部
103、203、303、403、503、603、703、803、903、1003、1103 歯抜け部
104、204、304、404、504、604、704、804、904、1004、1105 凸部群
111、411 貫通転移欠陥
151 アンドープ型半導体層
152 n型半導体層(第1半導体層)
153 半導体発光層(発光層)
154 p型半導体層(第2半導体層)
160 積層半導体層

Claims (8)

  1. 主面の一部又は全面に凹凸構造が形成された半導体発光素子用基板と、前記半導体発光素子用基板の主面側に積層されたアンドープ型半導体層と、前記アンドープ型半導体層上に積層された、少なくとも2層以上の半導体層と発光層とを積層して構成される積層半導体層と、を有する半導体発光素子であって、
    前記積層半導体層は、前記半導体発光素子用基板の上側に設けられた第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の上側に設けられた発光層と、前記発光層の上側に設けられた前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、を有し、
    前記アンドープ型半導体層内の前記半導体発光素子用基板との界面の平均貫通転移欠陥数Tsと、前記発光層内の平均貫通転移欠陥数Teとの差が、5×10本/cm以上であることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記平均貫通転移欠陥数Teが、4×10本/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記平均貫通転移欠陥数Tsが、5×10本/cm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記積層半導体層は、III族窒化物単結晶層からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体発光素子。
  5. 前記半導体発光素子用基板は、前記アンドープ型半導体層及び前記積層半導体層とは組成が異なることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体発光素子。
  6. 前記アンドープ型半導体層及び前記積層半導体層は、窒化物半導体を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体発光素子。
  7. 前記半導体発光素子用基板は、サファイア、炭化ケイ素、スピネル及びシリコンからなる群から選択された少なくとも1種で構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体発光素子。
  8. 前期半導体発光素子用基板において、前期凸構造は凸部群を含み、前期凸部郡の周囲に、曲率を有する曲面を含む前記凹構造が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の半導体発光素子。
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